JP3839632B2 - Ni−Al系金属間化合物の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、Ni−Al系金属間化合物の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、Ni−Al系金属間化合物の生成時の反応過程を容易に制御することができる新しいNi−Al系金属間化合物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
金属間化合物は、複雑な結晶構造を持つものが多く、概して固くて脆いために、実用材料として単体で活用されることは少なかった。しかし、近年になって検討が進むにつれて、従来知られていない特異性が見出されるようになり、金属間化合物は機能性材料として有望なものとなっている。
【0003】
この金属間化合物の製造方法の一つとしては、従来より反応焼結法が有用なものとして広く用いられている。反応焼結法は、2種類以上の金属成分粉末、あるいは金属成分粉末と雰囲気ガスとを焼結過程中に反応させて焼結体とする焼結方法である。構成元素である粉体の圧粉体に高熱を与えると、着火し、生成熱を発しながら合成反応が進行することになる。一般に焼結反応は、数秒〜数10秒という極めて短い時間内で、2000℃以上もの高温に達して終了する。このため、反応焼結法においては、反応過程を制御することは、一般的に、非常に困難なこととされていた。
【0004】
そこで、これまでにも、比較的低温で反応焼結させる方法(特開平5−263177、特開平9−3503)が提案されている。しかしながら、実際は、1000℃以上の高温での焼結反応であったり、焼結時間が十数時間にもおよぶ長時間であったり、クラッド内に被覆する等の処理を必要としたりするものであるため、高温加熱や長時間の処理、あるいは特別な処理が必要であるなどの問題点があった。また、これらの提案されている手段では、反応過程を制御するものとして満足できるものではなかった。
【0005】
だが、新たな金属間化合物を創製したり、金属間化合物に機能性材料としてのさらなる性質を付与したりするためには、最適な組成とプロセスとを設計し、実行することが必要であるため、反応焼結時の反応過程の制御を容易とすることが求められていた。
【0006】
一方、この出願の発明者らは、Ni−Al系金属間化合物を採り上げ、従来の反応焼結における熱挙動を解明することを試みてきた。その結果、Ni−Al系金属間化合物の反応過程には、固相Niと固相Alとの反応、Alの溶融反応、および固相Niと液相Alとの反応の3つの発・吸熱反応が含まれることが明らかとなり、そのうちの固相Ni−固相Alおよび固相Ni−液相Alの反応における発熱は、Al粉末の粒径を調整することによって制御できることがわかった。
【0007】
このような金属間化合物の反応焼結における熱挙動を、反応焼結過程においてさらに効果的に制御することが可能となれば、金属間化合物の生産ラインに耐熱性の高い設備を必要としないという実用的な利点だけでなく、さらには、反応系全体までをも制御容易とすることのできる可能性が開け、様々な分野で要求される性能に合致した金属間化合物を作り出すことまでもが期待できる。
【0008】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、反応焼結の反応過程を容易に制御することができる新規なNi−Al系金属間化合物の製造方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、以下のとおりの発明を提供する。
【0010】
すなわち、まず第1には、この出願の発明は、原料金属粉末の圧粉体を反応焼結させて金属間化合物を製造する方法であって、圧粉体を焼結温度にまで加熱する間に、金属間の固相反応が起きる430〜470℃の温度範囲で圧粉体を等温保持して圧粉体の少くとも一部に固相反応を生じさせることを特徴とするNi−Al系金属間化合物の製造方法を提供する。
【0011】
また第2には、この出願の発明は、430〜470℃の温度範囲で多段階で等温保持する方法をも提供する。
【0012】
さらに、第4には、この出願の発明は、圧粉体を任意の形状に成形することで、ニアネットシェイプを可能とする金属間化合物を得ることを特徴とする前記第1または第2に記載の発明のNi−Al系金属間化合物の製造方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記の通りの特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0014】
まず、この出願の発明が提供するNi−Al系金属間化合物の製造方法は、原料金属粉末の圧粉体を反応焼結させて金属間化合物を製造する反応焼結による方法であって、圧粉体を焼結温度にまで昇温加熱する間に、金属間の固相反応が起きる温度範囲のうちの430〜470℃の温度範囲で圧粉体を等温保持して圧粉体の少くとも一部に固相反応を生じさせることを特徴としている。
【0015】
この方法においては、金属間の固相反応が生じる温度範囲での圧粉体の等温保持は一段階もしくは多段階で設定してもよい。
原料金属粉末の粒径は、粉末の混合および固相反応の進行に関わる要因である。粉末粒径の大きなものを使用すると、低コストであり、混合しやすいが、Ni−Al間の固相反応が進行しにくくなってしまうため、この発明の方法に使用するには適さない。また逆に、粉末粒径が小さすぎると、高コストであり、粉末の混合が難しくなってしまうために固相反応が進行しにくくなり、この発明の方法に使用するには適さない。したがって、粉末の混合および固相反応の進行の2つの要因を考慮すると、Al原料粉末の粒径は、250メッシュアンダー(平均粒径約33.6μm以下)程度のものを使用することが望ましい。
【0016】
原料粉末は、NiAl金属間化合物を目標生成物とする場合では、Ni−Al系状態図より、43〜60at%Ni(63〜76wt%Ni)となるように配合される。このとき、たとえば、機械的特性を向上させるなどの目的で、微小量のTi、Nb、Fe等の添加元素が加えられてもよい。
【0017】
圧粉体は、高密度に形成されるほど固相反応が進行しやすくなり、好ましい。そのため、圧粉体の形成条件は、設備容量、圧粉体の大きさおよび形状に合わせて設定される。
【0018】
図1は、一段保持と二段保持についてこの発明の製造方法の概要を加熱温度−時間の関係として例示説明した図である。一段保持は、図1におけるライン(1)として例示される。また、二段保持は、ライン(2)として例示される。そして、図1に例示した金属間の固相反応が起きる温度範囲(3)は、NiおよびAlが固相状態で安定であって、かつ拡散し得る温度でのことである。具体的には、AlのほうがNiよりも融点が低いので、Alの融点である660℃よりも低い温度とすることができるが、一般的には、400〜500℃程度とすることがより適当である。そして、この出願の発明においては、金属間の固相反応のためのより適切な温度範囲として、430〜470℃の温度範囲とするようにしている。このような固相反応の温度範囲(3)に圧粉体を保持することで、圧粉体を形成する固相Niと固相Alとの間に拡散反応を進行させる。固相反応により生じる反応生成物は、上記温度範囲での保持時間(4)が長くなるほどその量を増すが、圧粉体中の固相Niと固相Alとを完全に反応させるにはかなりの時間を必要とする。そのため、この固相反応の温度範囲(3)での圧粉体の保持時間(4)は適当な時間とし、その後に焼結温度にまで加熱することで、反応を完全なものとする。
【0019】
保持時間(4)は、反応焼結における発熱量を制御することにおいて重要である。つまり、保持時間(4)が短いと、圧粉体中には固相拡散していない固相Niおよび固相Alが多く残っており、それらは焼結温度にまで加熱すると発熱を伴って反応する。つまり、固相Ni−固相Al間、および固相Ni−液相Al間で発熱反応が起こるのである。この反応は加速度的に進行するために制御ができず、その発熱による温度のピークは、従来の反応焼結法と同じような高温にまで達してしまう。そこで、この出願の発明では、保持時間(4)を適切に調整することで、圧粉体中に残存する未反応の固相Niおよび固相Alの量を制御し、それによって、焼結温度における反応の発熱量を制御することを可能とする。
【0020】
焼結温度での反応発熱による圧粉体の最高温度、すなわち発熱温度ピークは、固相反応温度での圧粉体の保持時間(4)が長ければ長いほど低くなる。しかしながら、保持時間(4)を限りなく長くすることは実際的ではない。そこでこの保持時間(4)の調整に際しては、保持時間(4)と発熱ピーク温度との特徴的な関係を考慮することができる。
【0021】
図2は、固相反応温度での保持時間(4)と、発熱ピーク温度との関係の概要を例示したものであって、ライン(A)は一段階保持の場合、ライン(B)は二段階保持の場合を例示している。
【0022】
図2に例示したように、一般的に、固相反応温度での保持時間(4)がある時間、すなわち臨界保持時間(5)付近になると、焼結温度における発熱温度ピークは急速に低下する。このため、保持時間(4)は、臨界保持時間(5)よりも長い時間とすればよいことがわかる。発熱ピーク温度の低下の観点では、臨界保持時間(5)以上であればよく、長くしすぎても低下の効果は変化しないことがわかる。
【0023】
なお、ここで臨界保持時間(5)については、図2では、発熱ピーク温度の低下開始点と低下完了点との中間点を示すものとしている。反応焼結の状況によっては、この臨界保持時間(5)は、低下完了点を示すものとしてもよい。
【0024】
以上のことを考慮することにより、この出願の発明では、一般的には、固相反応温度での保持時間(4)は数時間以下とすることができる。
図1のライン(1)で例示した一段保持の場合には、固相反応温度をたとえば430℃〜470℃、より具体的には、約440℃、たとえば440±5℃として、保持時間(4)を120分間から180分間(2〜3時間)とすることが考えられる。
【0025】
また、図1のライン(2)で示したように、固相反応を二段階で行う場合には、図2のラインBで示したように、前記臨界保持時間(5)を短くすることが可能となる。つまり、図1の第1の温度での保持時間(4)と第2の温度での保持時間(4)とを合わせた時間とすることで、臨界保持時間(5)は短くすることができるのである。具体的には、より好適な例として、等温保持の過程が、たとえば430℃〜470℃、より具体的には約440℃、たとえば440±5℃で60から90分間と、約460℃、たとえば460±5℃で30分間との2段保持で行うことが例示される。
【0026】
各段階での温度の範囲については、約440℃と約460℃のように、比較的低い温度で等温保持したのち、前記温度よりも高い温度で等温保持するのが適当である。この場合の温度差は数〜数十℃程度あればよく、10〜30℃程度が好ましい例として示すことができる。
【0027】
焼結温度にまで加熱する工程については、Alの融点以上まで加熱することで達成できる。しかしながら、焼結後の圧粉体の形状を保つためにはNiの融点(1455℃)以下にする必要があることや、また、最終的な焼結温度が高いほど単一の金属間化合物が生成しやすくなることなども考慮される。したがって、最終的な焼結温度は、700℃〜1400℃程度と示すことができるが、より好ましくは、1000℃〜1300℃程度とすることが望ましい。
【0028】
なお、上記発明の方法において、圧粉体を加熱する速度は速いほど効率的であるが、実用的には、昇温速度は10〜20℃/min.程度であることが望ましい。
【0029】
この操作によってAl−Ni間の拡散が十分に進行し、得られるAl−Ni系金属化合物の機械的特性を更に向上させるのである。
これによって、Al−Ni系金属間化合物の作製において、反応過程を制御することを可能とする。
【0030】
もちろん、この発明の方法においては、前記のとおりの一段階、もしくは二段階での保持に限定されることなしに、さらに多段階での等温保持としてもよい。そして、等温保持は、真空減圧雰囲気において行うのが適当である。希ガス等の不活性ガス雰囲気としてもよい。
【0031】
さらに、この出願の発明では、原料粉末の圧粉体を任意の形状に成形することで、ニアネットシェイプを可能とする金属間化合物を得ることができる。
原料粉末の圧粉体は、複雑な形状であってもよいし、単純な形状であってもよく、任意の形状に成形することができる。またその成形方法についても、たとえば、金型成形、CIP成形あるいはHIP成形などの、従来より広く知られている任意の方法で行うことができる。
【0032】
この出願の発明の方法によって得られる金属間化合物は、焼結の反応過程が制御されているため溶解することなどがなく、形状を保っている。固くて脆いなどという難加工性を示す金属間化合物に対してこの発明の方法を適用すれば、任意の形状の金属間化合物を得られるため、塑性加工等を施す必要がなくなり、コストを大きく低減させることができる。また、様々な分野において金属間化合物を部品などとして実用することが可能となり、金属間化合物の使用を促進させる効果も期待できる。
【0033】
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0034】
【実施例】
Ni−50at%Alの圧粉体を、固相反応を利用して反応焼結させた。
<1>圧粉体の作製は、以下のように行った。
【0035】
原料粉末には、市販のAl粉末(平均粒径:32.7μm、純度:約99.5%)およびNi粉末(平均粒径:22.6μm、純度:約99.8%)を用いた。この粉末を、Ni−50at%Alとなるように配合し、ミーリングにより十分に混合した。ミーリングの方法としては、まず、ポットミルに、粉末と、直径10mmおよび5mmのアルミナボールをそれぞれ100gずつと、40mlのアセトンとを入れて、回転速度80rpmで、7200秒間の湿式ミーリングを行った。その後、アセトンを蒸発させて、今度は乾式で7200秒間のミーリングを行った。この混合粉末を金型に充填して、80MPaで300秒間の予備成形を行った後、800MPaで900秒間の圧縮成形を行い、直径20mm、厚さ3mmの円柱状のNi−50at%Al圧粉体を得た。
<2>図3に例示したように、この圧粉体(6)を石英ガラス管(7)の中にセットした後に、石英ガラス管(7)内を真空ポンプ(11)にて2.67×10-3Pa以上の真空にして、電気炉(9)を用いて反応焼結を行った。また、圧粉体(6)にCA熱電対(8)を挿し込んでおくことで、圧粉体(6)の中心温度を測定し、温度記録計(10)に記録した。
<3>圧粉体の反応焼結は、以下の比較例、並びに実施例1および実施例2の各プロセスにおいて行った。なお、すべての方法においての昇温速度は10℃/minである。得られた焼結体に対しては、SEMによる内部表面観察と、X線回折による反応生成物の解析、およびビッカース硬さ(Hv)等の物性の測定を行った。ビッカース硬さ(Hv)は5回測定した結果の平均値であり、荷重100gfを15秒間加圧して測定した。
(比較例)
比較例として、圧粉体を440℃まで加熱し、この440℃において、a:60分、b:90分、c:180分、d:240分の各々の時間に保持して、室温にまで冷却した。つまり、440℃での保持の後は、それ以上の温度には昇温加熱しなかった。
【0036】
得られた4種の試料を、それぞれ、試料1−a〜1−dとし、各種測定を行い、その結果等を、表1に記した。
【0037】
【表1】
【0038】
X線回折による反応生成物の解析の結果、Ni−50at%Al圧粉体を440℃で保持して固相反応させることで、試料中にAl3 Ni金属間化合物が生成していることが確認された。また、その際、Al3 Ni金属間化合物の生成量は保持時間が長くなるほど増加するが、しかし未反応のAlおよびNiが多く残存していることも確認された。
【0039】
ビッカース硬さは圧粉体のもの(Hv=60)と大きく変わらなかった。
これらの結果から、Ni−50at%Al圧粉体を固相反応温度に保持することでAl3 Ni金属間化合物が生成されるが、全体をAl−Ni系金属間化合物とすることは困難であることが確認された。
(実施例1)
一段保持反応焼結として、Ni−50at%Al圧粉体を440℃まで加熱し、この440℃において、a:90分、b:105分、c:120分、d:180分の各々の時間に保持した後、各々を700℃にまで加熱して、室温にまで冷却した。
【0040】
一段保持反応焼結で得られた4種の試料を、それぞれ、試料2−a〜2−dとし、各種測定の結果等を表2に示した。また、焼結時の試料2−bと試料2−cとの中心温度を図4に示した。さらにまた、得られたX線回折の結果を図5に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
図4より、試料2−bおよび試料2−cは共に、焼結温度にまで加熱をする際に発熱反応を起こしている。しかしながら、発熱ピーク温度(Tp)については大きな差が見られ、試料2−cのTpが1083℃であるのに対し、試料2−bのTpはCA熱電対の測定上限温度である1370℃以上で測定不能となり、かなりの高温に達していることが確認された。
【0043】
このことから、Ni−50at%Al圧粉体を440℃で固相反応を行わせる場合の臨界保持時間は、試料2−bおよび試料2−cの保持時間の間にあることがわかる。そして、保持時間を調整することによって、反応焼結時の反応温度を制御することが可能となることがわかる。
【0044】
図5より、すべての焼結体中はAlNi金属間化合物となっていることが確認された。しかしながら、最も保持時間の長かった試料2−dについては、AlNi3 およびNiも存在していた。
【0045】
Hvについては、すべての試料が未焼結の圧粉体よりも高くなっているが、固相反応温度での保持時間が長いほどHvが低くなっており、Tpと同様の傾向を示した。特に、Tpの差が大きい試料2−bと試料2−cとの間で、Hv値も差が大きかった。
【0046】
また、すべての試料は成形時の形状を保っていた。
これらの結果から、この出願の発明の方法によって、反応焼結時の反応温度を制御することは可能であることが示された。また、ニアネットシェイプが可能な金属間化合物を得ることができることがわかった。
(実施例2)
二段保持反応焼結として、Ni−50at%Al圧粉体を440℃と460℃との2段階で等温保持した後、700℃にまで加熱して、室温にまで冷却した。それぞれの温度における保持時間は、それぞれ、a:30分、30分の計60分、b:45分、30分の計75分、c:60分、30分の計90分、d:90分、30分の計120分とした。
【0047】
二段保持反応焼結で得られた4種の試料を、それぞれ、試料3−a〜3−dとし、Hvを測定し、その結果を表3に示した。
【0048】
【表3】
【0049】
保持時間の短かった試料3−aおよび試料3−bは、発熱反応の際に溶融し、圧粉体の形状をとどめていなかった。一方、試料3−cおよび試料3−dのTpはそれぞれ806℃と737℃とかなり低く押さえられており、形状を保っていた。
【0050】
すべての試料がAl−Ni系金属間化合物となっていることが確認され、保持時間が長くなるほどAlNi3 、Ni5 Al3 など多様な組成のものが生じていることが確認された。
【0051】
以上のことから、この出願の発明の、反応焼結時の等温保持を2段階で行う方法によって反応過程を制御できるとともに、さらに、プロセス時間の短縮を図ることが可能であることが示された。
【0052】
もちろん、この発明は以上の例に限定されるものではなく、細部については様々態様が可能であることは言うまでもない。
【0053】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この発明により、金属間化合物を作製する際の反応焼結法に固相反応を有効的に適用することで、反応過程を容易に制御することができるNi−Al系金属間化合物の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の焼結方法の、温度制御の概要を例示した図である。
【図2】固相反応温度での等温保持時間と、焼結温度に加熱したときの発熱ピーク温度との関係を例示した図である(図中のアルファベットはそれぞれ、A:1段保持反応焼結、B:2段保持反応焼結を示す。)。
【図3】Ni−Al系混合粉末の圧粉体を反応焼結させる場合の装置概要を例示した図である。
【図4】1段保持反応焼結で得られた焼結体の中心温度を例示した図である。
【図5】1段保持反応焼結で得られた焼結体の、X線回折の結果を例示した図である。
【符号の説明】
1 1段保持反応焼結
2 2段保持反応焼結
3 固相反応が起きる温度範囲
4 保持時間
5 臨界保持時間
6 圧粉体
7 石英ガラス管
8 CA熱電対
9 電熱炉
10 温度記録計
11 真空ポンプ
Claims (3)
- 原料金属粉末の圧粉体を反応焼結させて金属間化合物を製造する方法であって、圧粉体を焼結温度にまで加熱する間に、金属間の固相反応が起きる430〜470℃の温度範囲で圧粉体を等温保持して圧粉体の少くとも一部に固相反応を生じさせることを特徴とするNi−Al系金属間化合物の製造方法。
- 430〜470℃の温度範囲で多段階で等温保持する請求項1の製造方法。
- 圧粉体を成形することで、ニアネットシェイプを可能とする金属間化合物を得る請求項1または2の製造方法。
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