JP3839331B2 - 製鋼スラグの処理方法 - Google Patents

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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレス鋼又は電気炉の還元期スラグ等の製造過程(例えば、脱炭及び/又は脱ガス工程等)で発生する溶融スラグを再利用するための製鋼スラグの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、製鋼過程(例えば、ステンレス鋼の製造過程)で発生するスラグは、粉化が行われた後、例えば、肥料の原料として再利用されていることが知られている。このとき、塩基度が1.5を超えるスラグの粉化方法については、2CaO・SiO2 (Ca2 SiO4 )のα′→γの変態時の膨張崩壊を利用する方法が用いられてきた。ここで、この作業手順について説明する。
まず、図6(A)に示すように、製鋼過程で発生する溶融スラグ(製鋼スラグ)50をスラグ容器51に入れた後、1〜3時間の徐冷(空冷)を行う。なお、溶融スラグ50が入れられたスラグ容器51は、製鋼の製造頻度により、例えば2時間に3個程度のペースで発生する。
次に、図6(B)に示すように、スラグ容器51中の溶融スラグ50は、全てが凝固するまで、例えば溶融スラグ50が15トンの場合は24〜48時間徐冷される。このとき、溶融スラグ50の外周部(表層部)は、中央部と比較して冷却速度が速いため、長時間の冷却により凝固した外周部から膨張崩壊が始まる。
更に、図6(C)に示すように、凝固したスラグ52は、スラグ容器51に入れられた状態で建家内に運搬された後、膨張崩壊が終了するまで例えば67時間程度放置され、徐冷される。
このように、スラグ粉の製造には、従来90時間以上の時間を要している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した製鋼スラグの処理方法には以下の問題がある。
現状より多くの溶融スラグが発生した場合は、上記した処理を行うため、更に多くのスラグ容器と冷却を行うためのスペースが必要となるので、経済的でない。また、例えスラグ容器と冷却スペースを確保できたとしても、スラグ粉の製造に90時間以上かかるため、効率的に作業を行うことができない。
そして、必要以上に長い時間をかけて溶融スラグを凝固させる場合、凝固したスラグの外周部の2CaO・SiO2 は、α′→γの変態を開始するので、粉塵が発生する。このため、建家への運搬時において、外周部の粉塵の飛散が顕著に起こるので、環境に悪影響を及ぼすこととなる。
そして、凝固したスラグは、膨張崩壊が終了するまで例えばスラグ容器内で冷却されるので、2CaO・SiO2 のα′→γの変態時における冷却速度を制御できず、目標となる粒径(粒度分布)を備えたスラグ粉を得ることができない。このため、製品として出荷できるスラグ粉の歩留が低下するので、経済的でない。本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、作業を効率的に行うことができ、しかも目標とする粒径のスラグ粉を経済的に得ることができる製鋼スラグの処理方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る製鋼スラグの処理方法は、製鋼過程で発生する塩基度が1.5を超える溶融スラグをスラグ容器に入れて徐冷して、α′−Ca2 SiO4 を多量に含む高温状態のスラグ大塊とし、更にスラグ大塊を高温状態で破砕してスラグ小塊を製造する第1工程と、スラグ小塊を一方から冷却空気を入れるロータリクーラに入れて冷却して、含まれるα′−Ca2 SiO4 をγ−Ca2 SiO4 に変態させてスラグ小塊を粉化させる第2工程とを有し、ロータリクーラの排気ガスに混入している第1のスラグ粉と、ロータリクーラから排出される粉化スラグを分級して得られた第2のスラグ粉とを回収して土壌改良材、肥料の原料又はその他の化学材とする。第1工程において、α′−Ca2 SiO4 を多量に含む高温状態のスラグ大塊を製造するので、粉化するスラグ量を増やすことができる。また、スラグ大塊を破砕しスラグ小塊とするので、中央部と周辺部とで温度に違いのあるスラグ大塊に対して処理を行う場合よりも、より均一な処理を施すことができる。そして、第2工程において、スラグ小塊を冷却するので、短時間の間にα′−Ca2 SiO4 をγ−Ca2 SiO4 へと変態させ、スラグ小塊を粉化させることができる。更に、第1及び第2のスラグ粉を土壌改良材、肥料の原料又はその他の化学材(例えば、セメント原料、フィラー等)として利用するので、溶融スラグの有効利用を図ることができる。
ここで、本発明に係る製鋼スラグの処理方法において、スラグ容器での溶融スラグの冷却は、該溶融スラグの重量Mトンに対し、(M/15)2 ×20〜(M/15)2 ×30時間の範囲で行うことが好ましい。このように、溶融スラグの冷却時間を設定することで、スラグ大塊の周辺部を粉化させることなく、スラグ大塊の中央部まで凝固できる。
【0005】
本発明に係る製鋼スラグの処理方法において、ロータリクーラから排出される粉化スラグを、粒径の大きいメタル分と、粒径の小さいスラグ分とに分級し、更に粒径の小さいスラグ分を分級して0.1〜0.5mmアンダーの第2のスラグ粉に分級することが好ましい。このように、粉化スラグを分級するので、粉化しない金属不純物、例えば、鉄、ニッケル等を除去できると共に、目標とする粒径を備えた第2のスラグ粉を容易に回収できる。
本発明に係る製鋼スラグの処理方法において、ロータリクーラは冷却空気と投入したスラグ小塊の流れが逆方向になった交流式であって、ロータリクーラを通過した粉化スラグの温度は200℃以下となっていることが好ましい。このように、ロータリクーラを交流式とするので、スラグ小塊の冷却を促進できる。また、粉化スラグの温度を200℃以下とするので、ロータリクーラの下流側における処理が容易となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る製鋼スラグの処理方法の説明図、図2は同処理方法に適用されるCaO−SiO2 の2元系状態図の説明図、図3は冷却時間別スラグ大塊の温度分布の説明図、図4はスラグ小塊のスラグ粒径と冷却時間との関係を示す説明図、図5は本発明の一実施の形態に係る製鋼スラグの処理方法に適用されるロータリクーラの温度分布の説明図である。
【0007】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る製鋼スラグの処理方法は、製鋼過程の一例であるステンレス鋼の製造過程(例えば、脱炭及び/又は脱ガス工程等)で発生する溶融スラグ(製鋼スラグ)からスラグ粉を回収し、このスラグ粉を、土壌改良材、肥料の原料又はその他の化学材として再利用する方法である。以下、詳しく説明する。
【0008】
図2に示すように、例えば転炉から出てくる溶融スラグは、塩基度が1.5を超えるのものであり、Ca2 SiO4 (2CaO・SiO2 )がα′→γの変態を起こすものである。ここで、塩基度(V)は、CaO/SiO2 で示されるので、例えば2CaO・SiO2 の場合、塩基度はV=2/1=2.0となる。また、CaOはC、SiO2 はSとしてそれぞれ簡略化して示すこともできる。なお、図2は、Bert Phillips and Arnulf Muan,J.Am.Ceram.Soc.,42(9)414(1959)に掲載された状態図である。
【0009】
ここで、1.5<V<2.0の場合におけるC2 S(2CaO・SiO2 )の変態について説明する。
1464℃では、
αC2 S+Liquid→C32 +αC2
1450℃では、
32 +αC2 S→C32 +α′C2
725℃では、
32 +α′C2 S→C32 +γC2
の変態が、スラグの冷却に伴ってそれぞれ行われる。
また、V=2.0の場合におけるC2 Sの変態について説明する。
1450℃では、
αC2 S→α′C2
725℃では、
α′C2 S→γC2
の変態が、スラグの冷却に伴ってそれぞれ行われる。
【0010】
そして、2.0<V<3.0の場合におけるC2 Sの変態について説明する。
1450℃では、
3 S+αC2 S→C3 S+α′C2
1250℃では、
3 S+α′C2 S→α′C2 S+CaO
725℃では、
α′C2 S+CaO→γC2 S+CaO
の変態が、スラグの冷却に伴ってそれぞれ行われる。
【0011】
更に、3.0≦Vの場合におけるC2 Sの変態について説明する。
1250℃では、
3 S→α′C2 S+CaO
725℃では、
α′C2 S+CaO→γC2 S+CaO
の変態が、スラグの冷却に伴ってそれぞれ行われる。
このように、スラグを徐冷することで、C2 Sはα→α′→γの経路、またC3 Sはα′→γの経路でそれぞれ変態し、膨張崩壊する。なお、スラグを急冷した場合は、αC2 S又はC3 Sが過冷却され、α′を経由することなくγとなるため、凝固したスラグの膨張崩壊が発生しない。
【0012】
従って、まず、図1に示すように、溶融スラグをスラグ容器10に入れて徐冷(例えば、自然放冷、空冷等)して、α′−Ca2 SiO4 を多量に含む高温状態(例えば、1000〜1400℃程度)のスラグ大塊を製造する。このスラグ容器10は従来公知のもので、その形状はすり鉢状となっており、例えば、内径の最大値は1500〜3000mm程度、深さは内径の最大値の1/3〜1/2程度のものである。
ここで、溶融スラグの冷却は、溶融スラグの重量Mトンに対し、(M/15)2 ×20〜(M/15)2 ×30時間の範囲で行うが、この冷却時間は、例えば、スラグの成分、スラグ容器の内径、深さ等に応じて調整することが好ましい。
【0013】
なお、冷却時間が(M/15)2 ×20時間未満の場合は、図3にM=15トンの場合を示すように、スラグの中央部が凝固しないので、後工程で処理できない可能性がある。また、スラグが凝固したとしても、スラグの塩基度によっては、冷却時間が短いことによりα′C2 Sへと変態する量が少なくなるので、膨張崩壊する量が減少し、回収できるスラグ粉の歩留を低下させる可能性がある。一方、冷却時間が(M/15)2 ×30時間を超える場合は、スラグ周辺部(特に表層部)において、α′C2 SからγC2 Sへの変態が開始するため、スラグ周辺部で膨張崩壊が行われる。これにより、例えば、スラグ大塊の運搬時において粉塵が飛散するので、作業性が悪くなると共に、環境に悪影響を及ぼす可能性がある。
従って、スラグを凝固させると共にα′C2 Sへと変態する量を多くし、しかも凝固したスラグ周辺部での膨張崩壊を抑制するためには、溶融スラグの冷却を(M/15)2 ×21〜(M/15)2 ×28時間、更には(M/15)2 ×22〜(M/15)2 ×26時間の範囲とすることが好ましい。なお、溶融スラグの重量が10〜15トンの場合は、溶融スラグの冷却を20〜30時間の範囲で行うことが好ましい。
【0014】
次に、スラグ容器10を転倒させ、スラグ容器10中からスラグ大塊を取出し、このスラグ大塊を破砕機11(例えば、ブレーカ)を用いて高温状態で破砕する。これにより、粒径が300mm以下のスラグ小塊を含んだ破砕物が製造される。
ここで、スラグ小塊の粒径が300mmを超える場合は、後工程において、短時間の間(例えば、1時間程度)にスラグ小塊の膨張崩壊を行うことができず、作業効率が悪くなる。また、スラグ小塊の周辺部と中央部との冷却速度に違いが生じるので、均一な性質を備えたスラグ粉を製造できない可能性がある。一方、スラグ小塊の粒径の下限値について規定してないが、これは最終的に製造するものが、スラグ粉であることに起因する。
【0015】
なお、図4に示すように、例えば、粒径が150mmを超え200mm以下(図4中の◆、▲)のスラグ小塊は、40〜60分冷却することで粉化が終了する。また、粒径が150mm以下(図4中の■、×)のスラグ小塊は、30〜50分冷却することで粉化が終了する。なお、スラグ大塊の中央部から回収したスラグ小塊は符号a(図4中の◆、■)で、スラグ大塊の周辺部から回収したスラグ小塊は符号b(図4中の▲、×)でそれぞれ示される。
このように、スラグ小塊の粒径を200mm以下に調整することで、スラグの粉化を短時間で行うことができるので、作業効率を良好にできる。従って、作業効率を良好とし、しかも均一な品質を備えたスラグ粉を製造するためには、スラグ小塊の粒径を180mm以下、更には150mm以下とすることが好ましい。
なお、この破砕物中のスラグ小塊は、グリズリ(選別装置の一例)12によって、他の破砕物から分別回収される(以上、第1工程)。
【0016】
回収されたスラグ小塊(例えば、平均温度が750〜1000℃程度)は、エプロンコンベア13で下流側に搬送され、一方から冷却空気(例えば、温度15〜25℃程度、風量200〜1000Nm3 /min程度)を入れるロータリクーラ14に入れられ(例えば、供給量20〜30t/h程度)、200℃以下に1〜2時間程度かけて冷却される。これにより、スラグ小塊に含まれるα′−Ca2 SiO4 をγ−Ca2 SiO4 に変態させ、スラグ小塊を膨張崩壊させて粉化させる。
このロータリクーラ14は、従来公知のもので、スラグ小塊の供給口側(上流側)から排出口側(下流側)へかけて傾斜した略円筒状の回転可能なロータリクーラ本体(例えば、長さ20〜50m程度)を備えたものである。このロータリクーラ本体は、駆動手段によって例えば0.5〜5rpm程度に回転駆動される。ロータリクーラ本体の排出口(一方)側からは、冷却空気が供給されるので、ロータリクーラ14は冷却空気と投入したスラグ小塊の流れが逆方向になった交流式となっている。なお、ロータリクーラ本体の供給口側には、集塵機15が設けられているので、ロータリクーラ本体の内部で発生する粉塵(第1のスラグ粉の一例)は、排気ガスとなった冷却空気に混入した状態で集塵機15へと運ばれ回収され、土壌改良材、肥料の原料又はその他の化学材として利用される。
【0017】
図5に示すように、ロータリクーラ14にスラグ小塊を投入することで、ロータリクーラ本体の供給口側で800℃程度あった温度を、排出口側で100℃程度まで低下できることが分かる。ここで、図5中の横軸は、ロータリクーラ本体の長さを80等分したことを意味しているので、各部分のスラグ及び冷却空気の温度がそれぞれ把握できる。
なお、ロータリクーラ本体へ供給するスラグ小塊の供給量は25t/hである。このとき、冷却条件としては、ロータリクーラ本体へ供給する冷却空気の温度を20℃、風量を460Nm3 /minとしている。
ロータリクーラ14によるスラグ小塊の冷却は、1時間程度で行うことができる(以上、第2工程)。
【0018】
粉化スラグは、ベルトコンベア16によってスクリーン17へ搬送され、粒径の大きいメタル分(例えば、粒径が10mmを超えるもの)と、スラグ分(例えば、粒径が10mm以下のもの)とに分級される。このスラグ分は、更にスクリーン18によって、混入していた粒径の大きいメタル分(例えば、粒径が2mmを超えるもの)と、粒径の小さいスラグ分(例えば、粒径が2mm以下のもの)とに分級される。このように、スクリーンを2段に配置し分級するので、スクリーンの損傷を低減でき、経済的である。
そして、粒径の小さいスラグ分は、分級器(セパレータ)19によって更に分級され、粒径の小さいスラグ分から、土壌改良材、肥料の原料又はその他の化学材として利用可能な、0.1〜0.5mmの範囲の所定値以下(アンダー)の粒径を備えた第2のスラグ粉が回収される。
【0019】
なお、回収する第2のスラグ粉の粒径が0.5mm(500μm)を超える場合は、このスラグ粉を肥料の原料として利用することで、例えば、稲、麦、花等に吸収されにくい可能性がある。一方、回収する第2のスラグ粉の粒径の下限値について規定していないが、これは、粒径が細かくなるほど肥料の原料として有効に利用できるためである。
従って、回収する第2のスラグ粉をより有効に肥料の原料として利用するには、第2のスラグ粉の粒径を0.3mm以下、更には0.2mm以下とすることが好ましい。
【0020】
ここで、例えば、集塵機15に回収された粉塵に不純物が含まれる場合、また粉塵の粒径が大きい場合等は、粉塵を粒径の小さいスラグ分と一緒にした後、分級器19によって分級することが好ましい。これにより、土壌改良材、肥料の原料又はその他の化学材として利用可能なスラグ粉の品位を高めることができると共に、製品の品質を向上できる(図1中の2点鎖線)。
なお、スクリーン17、18で分級された粒径の大きいメタル分、及び分級器19で分級された第2のスラグ粉以外のものは、ピット20に集められ回収される。ピット20に回収された処理物は、例えば、磨鉱(ロッドミル、ボールミル等)処理、磁選処理等が施され、製鋼工程で処理される。
【0021】
【実施例】
本発明に係る製鋼スラグの処理方法を適用し、試験を行った結果について説明する。
まず、ステンレス鋼の製造過程で発生する溶融スラグを、スラグ容器に15トン程度入れて24時間徐冷してスラグ大塊とし、このスラグ大塊を200mm以下に粗割してスラグ小塊とした。このスラグ小塊に1時間程度風を吹き付け急速冷却し、スラグ小塊を粉化させ、その粒径を測定した。この結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003839331
【0023】
肥料の原料として利用可能なスラグ粉の粒径は、300μm以下が好ましい。
表1から明らかなように、粒径が300μm以下のスラグ粉は、回収されたスラグの81.16%で、大部分のスラグ粉を肥料の原料として利用可能な粒径に調整できたことが分かる。
【0024】
また、300μm超の粒径を備えたスラグの真比重は、3.59〜3.92の範囲であり、一方、300μm以下の粒径を備えたスラグの真比重は3.03〜3.15の範囲となっている。即ち、スラグを粉化させ、粒径を300μm以下とすることで、スラグ粉中への金属不純物、例えば鉄、ニッケル等の混入を抑制できていることが分かる。
このように、成分的にも肥料の原料として利用可能なスラグ粉を、25時間程度(従来の1/4〜1/3程度)で製造できたことが分かる。従って、従来と比較して作業効率を大幅に高めることができるので、現状より多くの溶融スラグが発生した場合においても、容易に対応できる。
【0025】
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて、本発明の製鋼スラグの処理方法を構成する場合にも本発明は適用される。
また、その他の化学材としては、例えば、セメント原料に利用することも可能である。
そして、前記実施の形態においては、製鋼過程としてステンレス鋼を製造する過程で発生する溶融スラグを処理する方法について説明した。しかし、他の製鋼過程、例えば電気炉の還元期スラグ等の製造過程で発生する溶融スラグを処理することも可能である。
【0026】
【発明の効果】
請求項1〜4記載の製鋼スラグの処理方法においては、第1工程において、α′−Ca2 SiO4 を多量に含む高温状態のスラグ大塊を製造するので、粉化するスラグ量を増やすことができる。従って、多くの溶融スラグを、例えば廃棄することなく再利用できるので、経済的である。
また、スラグ大塊を破砕しスラグ小塊とするので、中央部と周辺部とで温度に違いのあるスラグ大塊に対して処理を行う場合よりも、より均一な処理を施すことができる。従って、スラグ小塊に対して、同一の処理装置を用い、同様の処理を施すことができるので、異なる処理条件を設定した設備を必要とすることなく、作業効率や作業性が良好となる。また、目標となる粒径(粒度分布)を備えた第2のスラグ粉の歩留が高められるので、経済的である。
そして、第2工程において、スラグ小塊を冷却するので、短時間の間にα′−Ca2 SiO4 をγ−Ca2 SiO4 へと変態させ、スラグ小塊を粉化させることができる。従って、従来のように、スラグを放置して冷却する必要がなくなるので、新たな場所を確保することなく、更に多くの溶融スラグを処理でき経済的である。このとき、スラグ小塊は、同一の処理条件で処理が行われるので、容易に目標となる粒径を備えた第2のスラグ粉を製造でき経済的である。
更に、第1及び第2のスラグ粉を土壌改良材、肥料の原料又はその他の化学材として利用するので、スラグ粉の有効利用を図ることができる。これにより、スラグを廃棄処分することなく利用でき、しかも環境保全にも寄与できる。
【0027】
特に、請求項2記載の製鋼スラグの処理方法においては、溶融スラグの冷却時間を設定することで、スラグ大塊の周辺部を粉化させることなく、スラグ大塊の中央部まで凝固できる。これにより、大気中でのスラグ大塊の粉化を抑制できるので、作業環境を良好にし、環境保全を図ることができ、しかもより多くのスラグ粉を回収できる。
請求項3記載の製鋼スラグの処理方法においては、粉化スラグを分級するので、粉化しない金属不純物、例えば、鉄、ニッケル等を除去できると共に、目標とする粒径を備えた第2のスラグ粉を容易に回収できる。これにより、回収したスラグ粉は、多くの処理を施すことなく容易に土壌改良材、肥料の原料又はその他の化学材として利用可能な成分を備えるので、作業性が良好となる。
請求項4記載の製鋼スラグの処理方法においては、ロータリクーラを交流式とするので、スラグ小塊の冷却を促進できる。これにより、短時間の間にスラグ粉を製造できるので、同じ時間で従来より多くのスラグ粉を回収でき経済的である。また、粉化スラグの温度を200℃以下とすることで、ロータリクーラの下流側における処理が容易となるので、作業性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る製鋼スラグの処理方法の説明図である。
【図2】同処理方法に適用されるCaO−SiO2 の2元系状態図の説明図である。
【図3】冷却時間別スラグ大塊の温度分布の説明図である。
【図4】スラグ小塊のスラグ粒径と冷却時間との関係を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る製鋼スラグの処理方法に適用されるロータリクーラの温度分布の説明図である。
【図6】(A)〜(C)は従来例に係る製鋼スラグの処理方法の説明図である。
【符号の説明】
10:スラグ容器、11:破砕機、12:グリズリ(選別装置)、13:エプロンコンベア、14:ロータリクーラ、15:集塵機、16:ベルトコンベア、17、18:スクリーン、19:分級器、20:ピット

Claims (4)

  1. 製鋼過程で発生する塩基度が1.5を超える溶融スラグをスラグ容器に入れて徐冷して、α′−Ca2 SiO4 を多量に含む高温状態のスラグ大塊とし、更に該スラグ大塊を高温状態で破砕してスラグ小塊を製造する第1工程と、
    前記スラグ小塊を一方から冷却空気を入れるロータリクーラに入れて冷却して、含まれるα′−Ca2 SiO4 をγ−Ca2 SiO4 に変態させて前記スラグ小塊を粉化させる第2工程とを有し、
    前記ロータリクーラの排気ガスに混入している第1のスラグ粉と、前記ロータリクーラから排出される粉化スラグを分級して得られた第2のスラグ粉とを回収して土壌改良材、肥料の原料又はその他の化学材とすることを特徴とする製鋼スラグの処理方法。
  2. 請求項1記載の製鋼スラグの処理方法において、前記スラグ容器での溶融スラグの冷却は、該溶融スラグの重量Mトンに対し、(M/15)2 ×20〜(M/15)2 ×30時間の範囲で行うことを特徴とする製鋼スラグの処理方法。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の製鋼スラグの処理方法において、前記ロータリクーラから排出される粉化スラグを、粒径の大きいメタル分と、粒径の小さいスラグ分とに分級し、更に前記粒径の小さいスラグ分を分級して0.1〜0.5mmアンダーの前記第2のスラグ粉に分級することを特徴とする製鋼スラグの処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製鋼スラグの処理方法において、前記ロータリクーラは冷却空気と投入した前記スラグ小塊の流れが逆方向になった交流式であって、該ロータリクーラを通過した前記粉化スラグの温度は200℃以下となっていることを特徴とする製鋼スラグの処理方法。
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