JP3837813B2 - 感熱記録材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱記録材料に関し、さらに詳しくは、支持体上に感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、支持体と感熱記録層との間に断熱性のよいお椀型重合体粒子を含有する中間層を介在せしめることによって、熱応答性その他の特性が向上した感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に感熱記録材料は、支持体上に発色剤と顕色剤との組合せからなる感熱発色層のような記録層を設けたものであって、熱ペンまた熱ヘッドのような手段によって加熱することによって感熱発色層に画像が形成される。
発色剤と顕色剤との組合せとしては、例えば、塩基性無色染料と酸性物質からなるロイコ染料型発色材料、高級脂肪酸鉄塩と没食子酸ステアリルからなるキレート型発色材料、イミノ化合物とイソシアネートからなる顔料型発色材料などが知られている。
【0003】
感熱記録材料は計測用レコーダー、コンピューターの端末プリンター、ファクシミリ、自動券売機、バーコードラベルなど広範囲の分野に応用されているが、最近はこれら記録装置の多様化、高性能化が進められるに従って、感熱記録材料に対する要求品質もより高度なものとなっている。例えば、記録の高速化に伴ない微小な熱エネルギーでも高濃度で鮮明な発色画像が得られること、印字画素(ドット)の再現性に優れていること、感熱ヘッドへのカス付着やスティッキングを生じないことなどの特性に優れた感熱記録材料が要求されている。
【0004】
感熱記録材料の熱応答性を高めるために感熱発色層と支持体との間に断熱性のよい中間層を介在せしめることが提案されている。例えば、特開昭54−92263号公報には、ガラス転移点60℃以下の造膜性高分子からなる中間層を設ける方法が開示されているが、この方法によっては満足できる熱応答性は得られていない。また、特開昭59−5093号公報には、微小中空球粒子を含有した中間層を設ける方法が、特開昭59−171685号公報には、熱発泡剤と熱可塑性高分子からなる中間層を設け、加熱発泡してスポンジ状の中間層とする方法が、さらに特開昭59−225987号公報には、発泡性プラスチックフィラーを加熱発泡させた層およびその上の充填材と結合剤を含有させた層の2つの層を中間層として設ける方法が、それぞれ開示されている。
【0005】
上記のような微小中空を有する中間層を設けたものであっても、未だ充分満足できるものは得られていない。例えば、非発泡性の中空球微粒子を用いたものは、一応の感度向上は認められるものの、未だ満足できる熱応答性は得られない。一方、発泡体を利用して中空層を設けたものは、充分な断熱機能を有し、微小なエネルギーで高濃度の記録像が得られるものの、発泡体を発泡させる工程が必要であり、また安定な品質を得るためのコントロールが難しいなどという生産上の問題をかかえている。
【0006】
特開平2−164580号公報には、プラスチック中空球体をしぼませて凹凸表面を形成した多孔性の非球状中空フィラーを含有せしめた中間層を設けることが提案されている。しかしながら、このような中間層を設けることによって熱応答性は向上するものの、支持体と感熱記録層との結着力が十分でない。
【0007】
また、特開平5−573号公報には、プラスチック球状または楕円球状中空粒子を含有する中間層を設けることが提案されている。この中空粒子は、平均粒径2.0〜20μm、好ましくは3〜10μmを有する発泡状態の微小中空粒子であるが、バラツキの少ない粒径分布がせまく均一なものを調製するのが困難である。
【0008】
さらに、特開平2−57382号公報には、5μm以下、好ましくは0.1〜3μmの中空重合体微粒子を含有せしめた中間層を設けることが提案されている。しかしながら、このような中間層を設けても感度は十分でなく、また、スティッキングや感熱ヘッドへのカスの付着が生じる。
【0009】
また、特開平2−14222号公報には、扁平面の少なくとも一方に凹部を有している扁平なビニル重合体のエマルジョン粒子が記載されており、さらに、この粒子は塗料、紙コーティング、情報記録紙などへのコーティング剤の添加剤として用いられると記載されている。この公開公報には、この粒子を含有する中間層を感熱記録紙の支持体と感熱記録層との間に設けることは記載されていない。しかしながら、この扁平重合体粒子は、その形状が扁平であるために、そのように感熱記録紙に使用した場合の断熱効果は十分とは言えない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱応答性に優れ、動的感度が高く、印字画素(ドット)の再現性に優れ、また感熱ヘッドへのカス付着やスティッキングを生じ難い感熱記録材料を提供することにある。
本発明者らは、断熱剤、白色度向上剤および不透明性付与剤などとして有用な微小重合体粒子の製造を試みていたが、或る条件下にお椀型の重合体粒子が形成されること、また、感熱記録材料の支持体と感熱記録層との間に、そのような粒子を含有する中間層を介在せしめることによって、意外にも、上記のような特性をもつ感熱記録材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、支持体上に感熱記録層を設けた感熱記録材料において、該支持体と該記録層との間に、断熱性を有する重合体粒子を含有する中間層が設けられており、該重合体粒子は、芯部にボイドを有する球状中空重合体粒子の一部を平面で裁断して得られるお椀型状を有するお椀型重合体粒子であって、該お椀型重合体粒子の開口部の平均直径(肉厚部を含む外径)の、該お椀型重合体粒子の平均最大直径に対する比率が25〜100%であり、かつ、中間層中のお椀型重合体粒子の含有量は、支持体表面に対し1〜30g/m2 、かつ、中間層中のお椀型重合体粒子とバインダー両者の固形分合計重量に基づき、5〜95重量%であることを特徴とする感熱記録材料が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料は、支持体、感熱記録層、および支持体と感熱記録層との間に介在する、お椀型重合体粒子を含有する中間層を含んで構成される。
支持体は、一般に、紙、合成紙、不織布、プラスチックフィルムもしくはシートなどのシート状物から構成されるが、その形態は必ずしもシート状物に限定されるものではない。
支持体と感熱記録層との間に形成される中間層は少なくともお椀型重合体粒子とバインダーとを含んで構成される。
【0013】
本発明で使用するお椀型重合体粒子は、通常、その肉厚部が多層重合体構造を有し、次の工程(1)〜(7)を含む多段重合法によって製造される。
(1)酸性基含有単量体30〜65重量%およびこれと共重合可能な単量体70〜35重量%との単量体混合物を共重合することによって核重合体粒子を調製し、
【0014】
(2)上記該重合体粒子の存在下に、酸性基含有単量体10〜35重量%およびこれと共重合可能な単量体90〜65重量%との単量体混合物を共重合することによって、実質的に上記核重合体粒子を包囲する芯重合体を形成し(但し、ここで芯重合体粒子中における酸性基含有単量体の含有比率は、核重合体中における酸性基含有単量体の含有比率と等しいか、または、より小さい)、
【0015】
(3)上記核/芯重合体粒子の存在下に、酸性基含有単量体1〜12重量%およびこれと共重合可能な単量体99〜88重量%との単量体混合物を共重合することによって、実質的に上記芯重合体粒子を包囲する少なくとも1層の中間層重合体を形成し、
【0016】
(4)上記芯重合体粒子を包囲する中間層重合体が形成された重合体粒子の存在下に、芳香族ビニル単量体を単独で、または酸性基含有単量体0.5重量%以下およびこれと共重合可能な芳香族ビニル単量体99.5重量%以上とからなる単量体混合物を共重合することによって、実質的に上記中間層重合体を包囲する外層重合体を形成し、
(5)得られた少なくとも4層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に塩基を添加して該分散液のpHを7以上とし、
【0017】
(6)次いで、所望により、この分散液のpHを7未満としたうえ、この水性分散液に芳香族ビニル単量体を単独で、または芳香族ビニル単量体90重量%以上およびこれと共重合可能な単量体10重量%以下とからなる単量体混合物を添加して、前記少なくとも4層構造を有する重合体粒子の存在下に、重合することによって外層重合体の周囲に最外層重合体を形成し、次いで、
(7)得られた重合体粒子の分散液を乾燥する。
【0018】
上記の製造方法によれば、お椀型重合体粒子の集合体が得られる。この集合体には、通常、上述の定義を満足する本発明のお椀型重合体粒子以外の形態的特性をもつ重合体粒子が約20重量%以下混在する。
以下に、上記多段重合方法をより詳しく説明する。
核重合体の形成
核重合体は、酸性基含有単量体30〜65重量%、好ましくは30〜55重量%およびこれと共重合可能な単量体70〜35重量%、好ましくは70〜45重量%との単量体混合物を共重合して得られる。酸性基含有単量体の量が過少であると、塩基処理工程において重合体粒子中に塩基が浸透し難くなり、重合体粒子中にボイドの形成が困難となり、ひいてはお椀型重合体粒子の形成が困難となる。また、その量が過大であると、核重合体が中間層重合体や外層重合体の外側へ移動し易くなり、重合の安定性が損なわれる。
【0019】
酸性基含有単量体は酸性を示す官能基を有する単量体であって、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸;イタコン酸モノエチル、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチルなどの不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステルなどのカルボキシル基含有単量体、ならびにスチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体などを挙げることができる。これらの酸性基含有単量体は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。親水性が強い酸では酸性基が重合体粒子の外側に局在し易く、芯重合体および中間層重合体による核重合体の被覆が困難となったり、お椀型重合体粒子の形成が困難になる。
酸性基含有単量体の中でもモノカルボン酸およびジカルボン酸のモノエステルが好ましく用いられる。これらの中でもメタクリル酸が最も好ましい。
【0020】
酸性基含有単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体;ブタジエン、イソプレンなどのジエン系単量体;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;ビニルピリジンなどを挙げることができる。これらの単量体の中でも(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。これらの単量体は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
また、例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの架橋性単量体を必要に応じて使用することができる。但し、架橋性単量体を多量に使用するとお椀型重合体粒子形成が困難になるので、その量は安定なボイド形成が維持できる範囲にとどめるべきである。
【0022】
核重合体を形成する重合方法としては、通常、乳化重合法が採られる。ただし、他の重合法によって得られた重合体を転相法によってラテックスとしてもよい。重合方式としては、回分式、半連続式、連続式などのいずれの方式を採用してもよい。重合温度も、低温、高温のいずれでもよい。重合圧力、重合時間も格別限定されることなく、公知の条件が採られる。また、重合用副資材としては、公知のもの、例えば、各種乳化剤、重合開始剤、キレート剤、電解質、分子量調整剤、界面活性剤などの各種添加剤を使用することができる。また、核重合体の形成はシードを用いて重合を行うことが望ましい。シードを使用すれば生成する重合体粒子の径を制御することが容易となる。シードの組成は格別限定されない。重合反応における単量体の転化率は通常90重量%以上、好ましくは97重量%以上であり、生成する共重合体の組成は使用した単量体混合物の組成とほぼ同じである。
【0023】
芯重合体の形成
芯重合体は、核重合体の存在下に酸性基含有単量体10〜35重量%、好ましくは15〜35重量%およびこれと共重合可能な単量体90〜65重量%、好ましくは85〜65重量%とを共重合して得られる。但し、ここで芯重合体粒子中における酸性基含有単量体の含有比率は、核重合体中における酸性基含有単量体の含有比率と等しいかまたはより小とする。酸性基含有単量体の量が過小であると、塩基処理工程において重合体粒子中に塩基が浸透し難くなり、お椀型重合体粒子の形成が困難となる。また、その量が過大であると、芯重合体が中間層重合体や外層重合体の外側へ移動し易くなり、重合の安定性が損われ、またお椀型粒子が形成困難となる。
【0024】
酸性基含有単量体およびこれと共重合可能な単量体としては、核重合体の生成に用いられる単量体として例示したものの中から選ぶことができ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
必要により、少量の架橋性単量体を用いることができる。また、重合方法としては、核重合体の場合と同様に、通常、乳化重合法が採られる。また、重合方式、重合条件、重合用副資材についても同様に公知のものが採られる。
【0025】
核重合体と芯重合体との重量比率は、芯重合体100重量部に対して、核重合体が1〜25重量部、好ましくは3〜20重量部となるように、芯重合体形成用単量体混合物を使用する。この重量比率が大きすぎると、お椀型粒子が形成されない。少なすぎると重合安定性が悪くなる。
芯層まで形成した重合体粒子の粒径は、好ましくは150〜500nm、さらに好ましくは200〜400nmである。これより小さいとお椀型粒子とならず、大きいと重合安定性が悪い。
【0026】
中間層重合体の形成
中間層重合体は芯層まで形成された重合体粒子の存在下に、酸性基含有単量体1〜12重量%、好ましくは2〜10重量%、さらに好ましくは3〜9重量%およびこれと共重合可能な単量体99〜88重量%、好ましくは98〜90重量%、さらに好ましくは97〜91重量%からなる単量体混合物を共重合することにより形成される。酸性基含有単量体の量が過少であると、塩基の浸透が困難となり、お椀型粒子とならない。その量が過大であると重合の安定性が損なわれる。
【0027】
芯層重合体と中間層重合体との重量比率は、通常5/95〜60/40、好ましくは10/90〜50/50である。この重量比率が大きすぎると(芯重合体が多いと)、お椀型粒子になりにくい。
酸性基含有単量体およびこれと共重合可能な単量体としては、核重合体の生成に用いられる単量体として例示したものの中から選ぶことができ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
必要により、少量の架橋性単量体を用いることができる。また、重合方法としては、核重合体の場合と同様に、通常、乳化重合法が採られる。重合方式、重合条件、重合用副資材についても同様に公知のものが採られる。
【0028】
中間層まで形成した重合体粒子の粒径は、好ましくは300〜900nm、さらに好ましくは350〜800nmである。粒径がこれより小さいと、断熱効果が十分でなく、これより大きいと重合安定性に問題が生じる。
また、芯層まで形成した重合体と中間層まで形成した重合体との重量比率(芯層までの重合体/中間層までの重合体)は0.05以上、好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.17以上である。この重量比率が大きいほど、お椀型粒子になりやすい。
【0029】
外層重合体の形成
外層重合体は、中間層重合体まで形成された重合体粒子の外周に形成され、この核/芯/中間層重合体粒子を実質的に包み込むものである。外層重合体は、中間層重合体まで形成された重合体粒子の存在下に、芳香族ビニル単量体を単独で、または芳香族ビニル単量体99.5重量%以上および酸性基含有単量体0.5重量%以下とからなる単量体混合物を重合することによって形成される。
【0030】
外層重合体の形成に用いる単量体は、芳香族ビニル単量体のみであるか、または芳香族ビニル単量体を99.5重量%以上含む単量体混合物であるが、芳香族ビニル単量体のみであることが望ましい。芳香族ビニル単量体の量が99.5重量%未満であると、断熱効果に乏しい粒子となる。
芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびハロゲン化スチレンなどが挙げられる。これらの中でもスチレンが最も好ましい。
【0031】
芳香族ビニル単量体と共重合される酸性基含有単量体としては、核重合体形成用単量体として例示した酸性基含有単量体の中から選ばれた単量体を用いることができる。酸性基含有単量体の量が0.5重量%を超えるとお椀型粒子の生成が困難となる。
中間層まで形成した重合体と外層まで形成した重合体との重量比率(中間層までの重合体/外層までの重合体)は0.4以上、0.6以下であることが好ましい。これ未満では、お椀型粒子になり難い。
【0032】
芯層まで形成した重合体粒子と外層まで形成した重合体粒子との重量比率(芯層までの重合体/外層までの重合体)は、通常0.02以上、好ましくは0.04以上、さらに好ましくは0.07以上である。この重量比率が大きいほど重合体粒子がお椀型になり易い。逆に、この比率が過少であると、重合時または塩基処理時に芯重合体が外層重合体の外側に移動して、塩基処理時に粒子中にボイドが形成され難く、ひいてはお椀型粒子の形成が困難となる。
外層重合体を形成するための重合方法としては、核重合体、芯重合体および中間層重合体の場合と同様に、通常、乳化重合法が採用され、また、重合方式、重合条件、重合用副資材についても同様に公知のものが採られる。
【0033】
塩基処理
核重合体、芯重合体、中間層重合体および外層重合体からなる少なくとも4層構造を有する重合体粒子を含有するラテックスなどの水性分散液に塩基を添加して水性分散液のpHを7以上とすることによって、重合体粒子内に少なくとも一つのボイドが形成される(ただしボイドは水性分散液を形成する水性媒体で充満している)。
【0034】
使用される塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属(重)炭酸塩;炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムなどの(重)炭酸アンモニウム塩;などを挙げることができる。これらの中でも、アルカリ金属の水酸化物が好ましい。使用する塩基の量は、前記重合体粒子中の酸性基の少なくとも一部を中和して、重合体粒子を含有する水性分散液のpHを7以上とする量である。
【0035】
塩基を水性分散液に添加して、重合体粒子内部の酸性基を中和するためには、塩基が重合体粒子内部に拡散する時間が必要であり、従って、塩基を添加した後、時間をかけて攪拌を十分に行うことが望ましい。塩基処理における処理温度は、重合体粒子を十分に軟化させうる温度以上が好ましい。塩基添加後の処理時間は、通常15分〜120分程度である。
塩基の添加により水性分散液の安定性が低下することがあるが、これを防ぐために、塩基を添加する前に、アニオン界面活性剤や非イオン界面活性剤を単独または併用して添加してもよい。
【0036】
特開平3−26724号公報に開示されている中空重合体粒子の製造方法においては、塩基処理工程における有機溶剤の存在を教示しているが、本発明においてはむしろ有機溶剤を使用しないほうが望ましい。塩基処理工程において、有機溶剤、特に非重合性の脂肪族炭化水素などを存在させると、最終的に得られる粒子の形状がお椀型ではなく、扁平なものになってしまう。
【0037】
塩基処理工程において、重合性単量体を存在させてもよい。重合性単量体としては、通常、酸性基を含まない単量体を使用する。重合性単量体は、前記重合体粒子を製造する際に仕込んだ全単量体混合物100重量部に対して、通常1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の範囲で使用する。
【0038】
酸処理
塩基処理した重合体ラテックスは、所望ならば、酸で処理してラテックスのpHを7未満にすることができる。酸で処理することによって粒子径、ボイド径を大きくすることができる。
任意工程である酸処理に使用される酸は、特に限定されず、その具体例としては、塩酸、硫酸などの鉱酸;酢酸、マロン酸などの有機酸を挙げることができる。酸処理工程において、酸として酸性基含有単量体を使用することができる。酸として酸性基含有単量体を使用する場合には、核重合体、芯重合体、中間層重合体および外層重合体の合成に使用した単量体合計100重量部に対して、通常0.01〜40重量部、好ましくは0.05〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部の範囲で使用する。
【0039】
また、酸処理工程において、酸性基含有単量体と共に、これと共重合可能な単量体を共存させてもよい。酸性基含有単量体と共重合可能な単量体を使用する場合には、酸性基含有単量体は、最外層用単量体合計100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲で使用する。酸性基含有単量体および共重合可能な単量体の具体例としては芯重合体について例示したものと同様な単量体が挙げられる。
酸処理工程における処理温度、処理時間などは、塩基処理の条件とほぼ同様である。酸の添加により水性分散液の安定性が低下することがあるが、これを防ぐために、酸を添加する前に、アニオン界面活性剤や非イオン界面活性剤を単独または併用して添加してもよい。
【0040】
最外層重合体の形成
塩基処理の後、またはさらに酸処理を行った後、所望により、重合体粒子の存在下に芳香族ビニル単量体を単独でまたは芳香族ビニル単量体90重量%以上およびこれと共重合可能な単量体10重量%以下とからなる単量体混合物を重合することによって外層重合体の外周に最外層重合体を形成することができる。芳香族ビニル単量体またはそれを主成分とする単量体混合物を重合することによってガラス転移温度(Tg)の高い最外層重合体が形成され、得られる中空重合体粒子の断熱効果が向上するとともに、粒子同士の融着も防止される。
【0041】
最外層重合体形成用単量体は、前述のように、塩基処理工程において重合体粒子中への塩基の拡散を促進するために、塩基処理する重合体の水性分散液中に添加することができる。また、芳香族ビニル単量体に併用する共重合可能な単量体として、酸性基含有単量体を用いることが好ましい。この酸性基含有単量体は、前記酸処理工程で説明したように酸処理を目的として重合体の水性分散液に添加することができる。芳香族ビニル単量体に酸性基含有単量体を併用すると、中空重合体粒子の空隙率が向上し、お椀型になりやすいので好ましい。
【0042】
最外層重合体形成用単量体混合物中の芳香族ビニル単量体の量が90重量%未満であると断熱効果が不十分となり、粒子同士の融着も起り易くなる。
外層重合体まで形成した重合体粒子と最外層重合体との重量比(外層重合体までの重合体/最外層重合体)は、通常100/10〜50/100、好ましくは100/25〜100/100である。
【0043】
所望ならば、最外層重合体形成用単量体混合物の一部として、少割合の架橋性単量体を用いることができる。
最外層重合体を形成するための重合方法としては、他の層の場合と同様に、通常、乳化重合法が採用され、また、重合方式、重合条件、重合用副資材についても同様に公知のものが採用される。
【0044】
乾燥
最外層まで形成すると、少くとも一つのボイドを有する中空重合体粒子が形成される。ただし、重合終了段階では重合体粒子中のボイドは水性液で充満している。この中空重合体粒子の水性分散液を乾燥することによって、お椀型重合体粒子を得ることができる。
乾燥の進行に伴い、内部の水が揮散するとともに、中空重合体粒子の外殻が内側に折返されるように陥没して粒子全体がお椀型形状になると考えられる。乾燥の進行に伴い、陥没の度合いが増し、中空部分が次第に小さくなり、最終的には中空部分のないお椀型重合体粒子となる。
【0045】
乾燥は、ラテックスをスプレー乾燥などの方法によって直接乾燥するか、あるいは通常のラテックス凝固法に従って凝固して中空重合体粒子を分離した後、常法に従って乾燥する。比較的急速に乾燥することによって中空部分のないお椀型重合体粒子を得ることができる。スプレー乾燥によれば、直接、中空部分のないお椀型粒子を得ることができる。
【0046】
上述の製造方法によって得られる本発明で使用するお椀型重合体粒子は、恰かも、芯部にボイド(中空部)を有するほぼ真球状の中空重合体粒子の一部を平面で裁断することによって得られるようなお椀型をしていて、その裁断面に垂直で中空重合体粒子の中心を通る断面は、図1に示すように、二重円の一部を直線mで切り取ったような形状をしている。図1に示す断面において、外側の円弧上の任意の点から上記直線mへの垂線の長さHの最大値Hmaxは、上記二重円の外側の円pの半径D/2と等しいか、またはより大きい。換言すれば、お椀型重合体粒子の外径は、ほぼ、お椀型粒子形成前の元の球状中空重合体粒子の直径(外径)に等しく、また、お椀型重合体粒子の外形は、元の球状中空重合体粒子の半分(半球)よりは大きく、半球と球状粒子との中間的形状をしている。お椀型重合体粒子の開口部の平均直径(肉厚部を含む外径)の、お椀型重合体粒子の平均最大直径に対する比率は25〜100%、好ましくは60〜95%である。
【0047】
お椀型重合体粒子の肉厚部は、お椀の開口縁の近辺では、内方に向って若干膨大となっており、お椀型粒子形成前の中空重合体粒子の肉厚の約2倍の厚さを有している。お椀型重合体粒子の肉厚は、開口縁の近辺では、粒子の最大外径Dの約10〜約30%である。また、お椀型重合体粒子の肉厚部は、その内部に元の中空重合体粒子の芯部のボイドに由来する扁平状に潰れたボイド(中空部)を有していてもよく、または、中空部のない密実なものであってもよい。
【0048】
お椀型重合体粒子の平均最大直径は、一般に、0.3〜5μm、好ましくは0.5〜3μmである。
【0049】
感熱記録材料
支持体上に、上記のお椀型重合体粒子を含有する中間層を形成するには、お椀型重合体粒子をバインダーとともに水に分散し、この分散液を支持体表面に塗布し、乾燥する。塗布方法は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従うことができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ビルブレードコーター、ロールコーターなどコーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が使用される。
【0050】
バインダーとしては、例えば、部分ケン化または完全ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼインなどの水溶性高分子、ならびに、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系重合体などのラテックスや塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂などのエマルジョンなどの高分子水性エマルジョンが挙げられる。
【0051】
中間層形成用塗液中のお椀型重合体粒子およびバインダーの量は、それぞれ、両者の固形分合計重量に基づき、5〜95重量%、好ましくは60〜85重量%、および95〜5重量%、好ましくは40〜15重量%である。支持体表面への塗液の適用量は、お椀型重合体粒子の量として1〜30g/m2、好ましくは3〜20g/m2である。
【0052】
中間層形成用塗液中には、お椀型重合体粒子およびバインダーとともに、必要に応じて、感熱記録材料に用いられる補助添加成分、例えば、充填剤、分散剤、消泡剤、蛍光染料、着色染料、無機顔料、有機顔料、ワックスなどの滑剤、ベンゾフェノン系やトリアゾール系などの紫外線吸収剤、増感剤、導電性物質などを配合することができる。
また、必要に応じて、お椀型重合体粒子を含有する中間層に加えて、顔料、その他の補助成分とバインダーを含有する付加層を中間層とを支持体との間および/または中間層と感熱記録層との間に形成することもできる。
【0053】
顔料としては公知の無機顔料および有機顔料が使用できる。無機顔料としては、アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。有機顔料としては尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂、アミノ樹脂フィラーなどが挙げられる。これらのうち、特に吸油量が30〜200cc/100g程度のものが好ましく用いられる。
中間層の上に感熱記録層が形成されるが、必要に応じて、中間層形成後カレンダー処理を行い表面を平滑にしたうえ、感熱記録層形成用塗液を適用することができる。
【0054】
感熱記録層は発色剤と顕色剤との組合せを含有する。発色剤と顕色剤の組合せは特に限定されるものではなく、熱によって両者が接触して呈色反応を起こすような組合せなら何れも使用可能であり、例えば無色ないし淡色の塩基性染料と無機または有機の酸性物質とからなるロイコ染料型発色材料、ステアリン酸第2鉄などの高級脂肪酸金属塩と没食子酸ステアリルからなるキレート型発色材料、イミノ化合物とイソシアナート化合物とからなる顔料型発色剤、ジアゾニウム化合物、カプラーおよび塩基性物質の組合せなどが挙げられる。
発色剤と顕色剤との組合せの中でも、塩基性無色ないし淡色染料と酸性物質からなるロイコ染料型発色材料が好ましい。
【0055】
塩基性無色ないし淡色染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリドなどのトリフェニルメタン系ロイコ染料;3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−N−n−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン、3−n−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−クロルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−フルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[a]−フルオラン、3−n−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキソ−ヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキソ−ヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキソ−ヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロル−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオランおよび3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオランなどのフルオラン系ロイコ染料;3,6,6′−トリス(ジメチルアミノ)スピロ[フルオレン−9,3′−フタリド]および3,6,6′−トリス(ジエチルアミノ)スピロ[フルオレン−9,3′−フタリド]などのフルオレン系ロイコ染料;3,3−ビス−[2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−[2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス−[1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル]−4,5,6,7−テトラブロモフタリドおよび3,3−ビス−[1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリドなどのジビニル系ロイコ染料;ならびに1,1−ビス−[2′,2′,2″,2″−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル]−2,2−ジニトリルエタン、1,1−ビス−[2′,2′,2″,2″−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル]−2−β−ナフトイルエタン、1,1−ビス−[2′,2′,2″,2″−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル]−2,2−ジアセチルエタン、ビス−[2,2,2′,2′−テトラキス(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル]−メチルマロン酸ジメチルエステルなどが挙げられる。
これらの染料は、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0056】
上記のようなロイコ染料と組合せる顕色剤としては、4,4′−イソプロピリデンジフェノール(別名ビスフェノールA)、4,4′−シクロヘキシリデンジフェノール、p,p′−(1−メチル−ノルマルヘキシリデン)ジフェノールおよび1,7−ジ(ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタンなどのビスフェノールA類;4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、4−ヒドロキシ安息香酸ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸イソブチルおよび4−ヒドロキシ安息香酸メチルベンジルなどの4−ヒドロキシ安息香酸エステル類;4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシフタル酸ジイソプロピル、4−ヒドロキシフタル酸ジベンジルおよび4−ヒドロキシフタル酸ジヘキシルなどの4−ヒドロキシフタル酸ジエステル類;フタル酸モノベンジルエステル、フタル酸モノシクロヘキシルエステル、フタル酸モノフェニルエステル、フタル酸モノメチルフェニルエステル、フタル酸モノエチルフェニルエステル、フタル酸モノプロピルベンジルエステル、フタル酸モノハロゲンベンジルエステルおよびフタル酸モノエトキシベンジルエステルなどのフタル酸モノエステル類;ビス−(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−エチルフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−イソプロピルフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシ−2,3−ジメチルフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシ−2,5−ジイソプロピルフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルフェニル)スルフィド、ビス−(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシ−2−シクロヘキシル−5−メチルフェニル)スルフィド、ビス−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス−(4,5−ジヒドロキシ−2−tert−ブチルフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシ−2,5−ジフェニルフェニル)スルフィドおよびビス−(4−ヒドロキシ−2−tert−オクチル−5−メチルフェニル)スルフィドなどのビス−(ヒドロキシフェニル)スルフィド類;4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−n−ブチルオキシジフェニルスルホンおよび4−ヒドロキシ−4′−n−プロポキシジフェニルスルホンなどの4−ヒドロキシフェニルアリールスルホン類;4−ヒドロキシフェニルベンゼンスルホナート、4−ヒドロキシフェニル−p−トリルスルホナート、4−ヒドロキシフェニルメチレンスルホナート、4−ヒドロキシフェニル−p−クロルベンゼンスルホナート、4−ヒドロキシフェニル−p−tert−ブチルベンゼンスルホナート、4−ヒドロキシフェニル−p−イソプロポキシベンゼンスルホナート、4−ヒドロキシフェニル−1′−ナフタリンスルホナートおよび4−ヒドロキシフェニル−2′−ナフタリンスルホナートなどの4−ヒドロキシフェニルアリールスルホナート類;1,3−ジ[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]−ベンゼン、1,3−ジ[2−(4−ヒドロキシ−3−アルキルフェニル)−2−プロピル]−ベンゼン、1,3−ジ[2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル]−ベンゼンおよび1,3−ジ[2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2−プロピル]−ベンゼンなどの1,3−ジ[2−(ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]−ベンゼン類;1,3−ジヒドロキシ−6(α,α−ジメチルベンジル)−ベンゼンなどのレゾルシノール類;4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸ブチル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸イソプロピル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸tert−ブチル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸ヘキシル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸オクチル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸ノニル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸シクロヘキシル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸β−フェネチル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸α−ナフチル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸β−ナフチルおよび4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸sec−ブチルなどの4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸エステル類;ビス−(3−1−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)スルホン、ビス−(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(3−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(2−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(2−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(3−クロル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(2,3−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−2′−エチル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−2′−イソプロピル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−3′−イソプロピル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−3′−secブチル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、3−クロル−4−ヒドロキシフェニル−3′−イソプロピル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−5−t−アミノフェニル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−5−t−イソプロピルフェニル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル−3′−クロル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル−3′−メチル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル−3′−イソプロピル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル−3′−クロル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル−3′−メチル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル−3′−イソプロピル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル−2′−メチル−4′−ヒドロキシフェニルスルホン、4,4′−スルホニルジフェノール、2,4′−スルホニルジフェノール、3,3′−ジクロル−4,4′−スルホニルジフェノール、3,3′−ジプロモ−4,4′−スルホニルジフェノール、3,3′,5,5′−テトラプロモ−4,4′−スルホニルジフェノール、および3,3′−ジアミノ−4,4′−スルホニルジフェノールなどのビスフェノールスルホン類;ならびに、4,4′−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、p−tert−ブチルフェノール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ノボラック型フェノール樹脂、4−ヒドロキシアセトフェノン、p−フェニルフェノール、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルアセテートおよびp−ベンジルフェノールなどが例示される。
発色性塩基性染料と顕色剤の重量比率は、前者1部に対し後者1〜8部の範囲である。
【0057】
感熱記録層を形成するための塗液にはバインダーが配合されるが、その量は塗液の全固形分重量に基づき通常5〜40重量%、好ましくは10〜25重量%程度である。バインダーとしては中間層用バインダーの場合と同様に水溶性高分子または高分子水性エマルジョンが用いられ、その具体例としては、中間層用バインダーとして例示のものと同様なものが挙げられる。
【0058】
さらに、本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、感熱記録層に公知の増感剤を含有せしめることができる。増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド、エチレンビスアミド、モンタン系ワックス、ポリエチレンワックス、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、p−ベンジルビフェニル、フェニルα−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタリン、1−ヒドロキシ−2−ナフエト酸フェニルエステル、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニルp−トリルエーテル、o−キシレリン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニルなどを例示することができる。これらの増感剤は単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0059】
また、感熱記録層には、p−ニトロ安息香酸金属塩、フタル酸モノベンジルエステル金属塩のような安定剤、および顔料や充填剤を配合することもできる。顔料および充填剤としては、中間層に配合する顔料として例示したものと同様なものが挙げられる。さらに、脂肪酸金属塩などの雛型剤、ワックス類などの滑剤、ベンゾフェノン系やトリアゾール系などの紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤なども配合できる。
【0060】
感熱記録層形成用塗液の塗布も、中間層形成用塗液の場合と同様公知方法に従って行うことができる。
なお、保存性を高める目的で感熱記録層上に顔料を含有する高分子物質からなるオーバーコート層を設けたり、支持体に高分子物質からなるバックコート層を設けることもできる。
【0061】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。なお、以下の実施例において部および%は、いずれも重量基準である。また、ラテックスの量は固形分換算重量で示した。
参考例1 お椀型重合体粒子の製造例1
メチルメタクリレート(MMA)60%、ブチルアクリレート(BA)5%およびメタクリル酸(MAA)35%からなる、核重合体形成用の単量体混合物(a)1部、乳化剤(DBS)0.005部およびイオン交換水0.8部を攪拌下に混合してエマルジョン(イ)を調製した。
【0062】
別に、MMA70%、BA10%およびMAA20%からなる、芯重合体形成用単量体混合物(b)10部、乳化剤(DBS)0.05部およびイオン交換水8部を攪拌下に混合してエマルジョン(ロ)を調製した。
また、MMA78%、BA16%およびMAA6%からなる、中間層重合体形成用の単量体(c)25部、乳化剤(DBS)0.1部およびイオン交換水35部を攪拌下に混合してエマルジョン(ハ)を調製した。
【0063】
さらに、スチレン(ST)36.9部、乳化剤(DBS)0.3部およびイオン交換水16部を攪拌下に混合して外層重合体形成用のエマルジョン(ニ)を調製した。
また、ST96.9%およびMAA3.1%からなる、最外層重合体形成用の単量体混合物(d)38.1部、乳化剤(DBS)0.3部およびイオン交換水16部を攪拌下に混合してエマルジョン(ホ)を調製した。
【0064】
攪拌装置、還流冷却管、温度計、分液ロートを取り付けた反応器に、イオン交換水2.8部、粒子径35nm、固形分濃度12%のアクリルシード系ラテックス0.04部(固形分換算)を仕込み、80℃まで昇温した。次いで、過硫酸カリウム(KPS)3%水溶液0.17部を分液ロートより添加し、エマルジョン(イ)を4時間かけて連続的に添加し、その後さらに1時間重合して核重合体エマルジョンを得た。単量体混合物(イ)の重合転化率は99%であった。
【0065】
次いで、イオン交換水28部、KPS3%水溶液1.7部を添加した後、エマルジョン(ロ)を上記反応器に3時間かけて連続的に添加した。添加後、さらに2時間重合して芯層重合体を形成した。単量体混合物(ロ)の重合転化率は99%であった。
次いで、イオン交換水を240部、KPS3%水溶液6.7部を添加した後、エマルジョン(ハ)を上記反応器に4時間かけて連続的に添加した。添加後、さらに2時間重合して中間層重合体を形成した。単量体混合物(ハ)の重合転化率は99%であった。
【0066】
さらに、85℃に昇温し、KPS3%水溶液6.7部を添加した後、エマルジョン(ニ)を上記反応器に1.5時間かけて連続的に添加した。添加後、さらに1時間重合して外層重合体を形成した。単量体混合物(ニ)の重合転化率は99%であった。
上記で得た重合体粒子を含有するラテックスに、水酸化ナトリウム10%水溶液9部を分液ロートから滴下し、その後30分、85℃に加熱を続けて塩基処理を行った。この段階でラテックスの一部を採取し、室温でラテックスのpHを測定したところ、8.7であった。
【0067】
次に、KPS3%水溶液10部を添加し、次いでエマルジョン(ホ)を上記反応器に1.5時間かけて連続的に添加した。添加後、さらに2時間重合して最外層重合体が形成された重合体粒子を含有するラテックスを得た。単量体混合物(ホ)の重合転化率は99%であった。
次に、上記重合体粒子を含有するラテックスを入り口温度160℃のスプレー乾燥乾燥機で乾燥して(出口温度は60℃であった。)、重合体粒子を得た。
【0068】
得られた重合体粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を図2に示す。SEMにより、得られた重合体粒子の形状を観察したところ、平均最大直径890nmの球状粒子の一部が凹面部を形成しているお椀型粒子であり、凹面部の開口部の平均直径は690nmであった。
【0069】
参考例2 お椀型重合体粒子の製造例2
アクリル系シードラテックスの使用量を0.0048部とし、核重合体形成用単量体混合物(a)の使用量を0.12部とし、芯用重合体形成用単量体混合物の(b)の組成をMMA60%、BA10%およびMAA30%、使用量を3部とした他は、参考例1と同様にして、重合体粒子を製造した。生成物は平均最大直径1390nmの球状粒子の一部が凹面部を形成しているお椀型粒子であり、凹面開口部の直径は1100nmであった。
【0070】
実施例1
以下の配合からなる配合物を攪拌分散して、中間層塗液[A液]を調製した。[A液]
参考例1で調製したお椀型重合体粒子(A) 100部
スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス(固形分48%) 11部
10%ポリビニルアルコール水溶液 5部
水 150部
次に[A液]を坪量50g/m2の上質紙に、乾燥後の塗布量が8g/m2となるように塗布乾燥して中間層形成紙を得た。
【0071】
また、次の配合からなる各混合物を、それぞれ、平均粒径が1μm以下となるようにサンドグラインダーで粉砕分散して、B液、C液およびD液を調製した。[B液](顕色剤分散液)
4,4′−イソプロピリデンジフェノール 6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 18.8部
水 11.2部
Figure 0003837813
【0072】
次に、上記B液、C液およびD液をカオリンクレー分散液とともに下記の割合で混合して、塗工液を調製した。
B液 36.0部
C液 9.2部
D液 12.0部
カオリンクレー(50%分散液) 12.0部
上記塗工液を、上記中間層形成紙上に、乾燥後の塗布量が6.0g/m2となるように塗布乾燥し、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が700〜800秒になるように処理し、感熱記録シートを作成した。
【0073】
上記感熱記録シートについて、下記の試験方法により、動的発色感度、ドット再現性および熱ヘッドへのカス付着性を評価した。
(動的発色感度)
松下電送社製感熱ファクシミリUF−1000Bを用いて、電圧14.7V、抵抗値360Ω、パルス幅0.82ms、印加エネルギー0.37mJ/ドットで記録した画像濃度を、マクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定した。
(ドット再現性)
上記と同様にして動的記録した画像の印字ドットの形状を目視により観察した。
A 良好
B やや不良
【0074】
(カス付着性)
松下電送社製感熱ファクシミリUF−60コピーモード、縦縞原稿(B4)20枚を記録し、感熱ヘッドに付着したカスの量を目視により観察した。
A 非常に良好
B 良好
C やや不良
これらの評価結果を、表2に示す。
【0075】
実施例2、比較例1〜4
お椀型重合体粒子のラテックス(A)に代えて表1に示す各粒子を使用した他は、実施例と同様の評価を行った。結果を併せて表2に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0003837813
【0077】
【表2】
Figure 0003837813
【0078】
発明の好ましい実施態様
本発明の感熱記録材料、すなわち、「支持体上に感熱記録層を設けた感熱記録材料において、該支持体と該記録層との間に、断熱性を有する重合体粒子を含有する中間層が設けられており、該重合体粒子は、芯部にボイドを有する球状中空重合体粒子の一部を平面で裁断して得られるお椀型状を有するお椀型重合体粒子であって、該お椀型重合体粒子の開口部の平均直径(肉厚部を含む外径)の、該お椀型重合体粒子の平均最大直径に対する比率が25〜100%であり、かつ、中間層中のお椀型重合体粒子の含有量は、支持体表面に対し1〜30g/m2 、かつ、中間層中のお椀型重合体粒子とバインダー両者の固形分合計重量に基づき、5〜95重量%であることを特徴とする感熱記録材料」の好ましい実施態様をまとめると以下のとおりである。
【0079】
(イ)お椀型重合体粒子の平均最大直径は0.3〜5μm、より好ましくは0.5〜3μmである。
(ロ)お椀型重合体粒子の開口部の平均直径(外径)の粒子の平均最大直径に対する比率は、好ましくは60〜95%である。
(ハ)お椀型重合体粒子の開口縁部の肉厚は粒子の平均最大直径の約10〜約30%である。
【0080】
(ニ)お椀型重合体粒子は下記の工程(1)〜(7)を含む製造方法によって製造されたものである。
(1)酸性基含有単量体30〜65重量%およびこれと共重合可能な単量体70〜35重量%との単量体混合物を共重合することによって核重合体粒子を調製し、
(2)上記該重合体粒子の存在下に、酸性基含有単量体10〜35重量%およびこれと共重合可能な単量体90〜65重量%との単量体混合物を共重合することによって、実質的に上記核重合体粒子を包囲する芯重合体を形成し(但し、ここで芯重合体粒子中における酸性基含有単量体の含有比率は、核重合体中における酸性基含有単量体の含有比率と等しいか、または、より小さい)、
【0081】
(3)上記核/芯重合体粒子の存在下に、酸性基含有単量体1〜12重量%およびこれと共重合可能な単量体99〜88重量%との単量体混合物を共重合することによって、実質的に上記芯重合体粒子を包囲する少なくとも1層の中間層重合体を形成し、
(4)上記芯重合体粒子を包囲する中間層重合体が形成された重合体粒子の存在下に、芳香族ビニル単量体を単独で、または酸性基含有単量体0.5重量%以下およびこれと共重合可能な芳香族ビニル単量体99.5重量%以上とからなる単量体混合物を共重合することによって、実質的に上記中間層重合体を包囲する外層重合体を形成し、
【0082】
(5)得られた少なくとも4層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に塩基を添加して該分散液のpHを7以上とし、
(6)次いで、該水性分散液に芳香族ビニル単量体を単独でまたは芳香族ビニル単量体90重量%以上およびこれと共重合可能な単量体10重量%以下とからなる単量体混合物を添加して、前記少なくとも4層構造を有する重合体粒子の存在下に、重合することによって外層重合体の周囲に最外層重合体を形成し、次いで、
(7)得られた重合体分散液を乾燥する。
【0083】
(ホ)中間層は、お椀型重合体粒子と高分子物質バインダーを、両者の固形分合計重量に基づき、それぞれ、60〜85重量%、および40〜15重量%の割合で含み、また、中間層中のお椀型重合体粒子の量は、支持体表面に対し3〜20g/m2である。
(ヘ)感熱記録層は、無色ないし淡色の塩基性染料と無機または有機の酸性物質とからなるロイコ染料型発色材料、ステアリン酸第2鉄などの高級脂肪酸金属塩と没食子酸ステアリルからなるキレート型発色材料、イミノ化合物とイソシアナート化合物とからなる顔料型発色剤、ジアゾニウム化合物、カプラーおよび塩基性物質の組合せの中から選ばれた、発色剤と顕色剤との組合せを含有し、かつ全固形分重量に基づき5〜40重量%の高分子物質バインダーを含有する。
【0084】
【発明の効果】
感熱記録層と支持体との間に形成されたお椀型重合体粒子を含有する中間層は断熱層として作用するため、熱ヘッドなどの熱エネルギーの利用度が向上し、感熱記録層の発色感度が高まる。また、中間層中のお椀型重合体粒子は適度の弾力性をもつので印字画素(ドット)の再現性が向上する。さらに、本発明の感熱記録材料は感熱ヘッドへのカス付着やスティッキングを生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するお椀型重合体粒子の開口面に垂直で球状中空重合体粒子の中心を通る断面を示す。
【図2】参考例1において得られたお椀型重合体粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。

Claims (1)

  1. 支持体上に感熱記録層を設けた感熱記録材料において、該支持体と該記録層との間に、断熱性を有する重合体粒子を含有する中間層が設けられており、該重合体粒子は、芯部にボイドを有する球状中空重合体粒子の一部を平面で裁断して得られるお椀型状を有するお椀型重合体粒子であって、該お椀型重合体粒子の開口部の平均直径(肉厚部を含む外径)の、該お椀型重合体粒子の平均最大直径に対する比率が25〜100%であり、かつ、中間層中のお椀型重合体粒子の含有量は、支持体表面に対し1〜30g/m2 、かつ、中間層中のお椀型重合体粒子とバインダー両者の固形分合計重量に基づき、5〜95重量%であることを特徴とする感熱記録材料。
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