JP3837467B2 - ラクタムの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、高温高圧水条件下でオキシムからラクタムを連続的に製造する方法に関するものであり、更に詳しくは、高温高圧水条件下でオキシムの転位反応を無触媒で行ないラクタムを連続的に製造する新規な無触媒連続製造方法に関するものである。さらに詳しくいえば従来の濃硫酸を触媒とした製造方法に見られるような、使用した多量の廃硫酸の中和処理を必要としないラクタムの製造を可能とするものであり、産業技術としては好適かつ有用な方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ナイロン6の原料となるε―カプロラクタムのようなラクタムを工業的に生産するにはシクロヘキサノンオキシムといったカルボニル化合物のオキシムからベックマン転位法によって製造されている。この転位反応には酸触媒が使用されているが、煮沸して反応させるため系内における水の存在は微量であってもオキシムが加水分解を起こし、ラクタムの収率を低下させる。これを防ぐため、酸触媒として発煙硫酸を使用し、煮沸して反応させる方法が一般的となっている。この方法は苛酷な条件下で反応させるため装置材料の腐食、あるいは製造工程の危険性と共に副生成物である硫酸アンモニウムの処理に問題があることが知られている。ラクタムを回収する際に使用した硫酸はアンモニアで中和処理する必要があり、硫安(硫酸アンモニウム)が、ラクタム1kg当たり2kg以上副生する。硫安は商品価値が低いため、利用が困難となってきており、その処理が必要とされている。
近年、地球環境の悪化の懸念が高まりつつあり、化学工業分野において有害物質を使用しない、あるいは排出しないで且つ簡単で効率的な、さらには短時間で反応が終了するような環境調和型の化学プロセスの開発が求められている。ラクタムの製造プロセスにおいては、装置材料腐食、操作上の安全性や環境面で問題がある濃硫酸を使用しない、あるいは副生成物を伴わない、効率的な新たな製造プロセスの開発が要望されてきている。
【0003】
上記課題を解決する方法として、硫酸等の酸触媒を全く使用せず高温高圧水下で反応させる方法として、(1)バッチ式合成法(O. Sato, Y. Ikushima and T. Yokoyama, Journal of Organic Chemistry 1998, 63, 9100-9102)と(2)流通式合成法(Y. Ikushima, K. Hatakeda, O. Sato, T. Yokoyama and M. Arai, Journal of American Chemical Society 2000, 122, 1908-1918)の2つの方法が提案されている。
(1)のバッチ式合成法では内容積10mlのステンレス管にシクロヘキサノンオキシムを封入し、塩浴中に入れて30秒以内の時間で200〜400℃に昇温し、3分間反応させて生成物を得ている。この方法は、大量生産プロセスとしては不向きであると考えられるが、発煙硫酸などの酸触媒を使用しない合成法として着目されている。一回ごとに反応を終結させるため操作が断続的で、設定温度への上昇に20―30秒程度の時間を要する。従って昇温時に加水分解生成物であるシクロヘキサノンが多量に生成し、目的のε―カプロラクタムの収率が低くなる欠点がある。またシクロヘキサノンはシクロヘキサノンオキシムの原料なので、反応が逆方向になり、工業プロセスとしては致命的な反応といえる。
(2)の流通式合成法は操作が連続的で大量生産するには好適であると考えられるが、室温のシクロヘキサノンオキシム水溶液を加熱して高温高圧のキャリヤー水としているため、設定反応温度への上昇に時間を要すると考えられる。従って350℃及び22.1MPa条件下で113秒、反応させた実験では生成物としてシクロヘキサノンだけが得られ、ε―カプロラクタムは全く生成していない結果が示されている。また、374.5℃の結果でも、ε―カプロラクタムとシクロヘキサノンが生成していることが報告されている。従って(1)のバッチ式合成法と同様に昇温に時間がかかり、溶媒である水が例えば100−300℃の水熱状態を経る間にシクロヘキサノンオキシムの加水分解反応によるシクロヘキサノンが生成して、目的のε―カプロラクタムの収率が低くなる欠点を有すると考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者らは、上記、従来技術に鑑みて、高温高圧水下でオキシムからのラクタムの製造方法について種々研究を進める過程で、高温高圧水条件下で、オキシムからラクタムを連続的に効率よく製造するためには、オキシムを短時間で設定反応温度に上昇させることが重要であることを見出し、かかる知見に基づいて更に研究を重ねて、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、高温高圧水中にオキシムを導入して、基質物質の昇温時間を短縮して反応させ、シクロヘキサノンを生成することなくラクタムを選択的に製造する方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らが、種々の実験を経て開発した本発明の合成法は、例えば、オキシム水溶液或いはオキシムを直接高温高圧水条件下の反応場に連続的に導入させ、短時間で反応設定温度に到達させることによりオキシムの加水分解反応を抑制して、カプロラクタムを選択的に且つ従来法より短時間で効率的に製造する方法である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)連続的に流通させている250〜450℃の温度範囲及び12〜40MPaの圧力範囲の高温高圧水中オキシムからラクタムを製造する方法であって、設定温度より5〜300℃程度高い温度のキャリヤー水を使用することにより所定の高温高圧条件に3秒以下の短時間で昇温して反応させることを特徴とするラクタムの製造方法。
(2)連続的に流通させている高温高圧水にオキシムを溶解した基質水溶液を導入して所定の高温高圧条件下で反応させることを特徴とする前記(1)記載のラクタムの製造方法。
(3)連続的に流通させている高温高圧水に溶融したオキシムを導入して所定の高温高圧条件下で反応させることを特徴とする前記(1)記載のラクタムの製造方法。
(4)300℃以上の温度範囲及び15MPa以上の圧力範囲である高温高圧水条件下でオキシムを反応させることを特徴とする前記(1)ないし(3)記載のラクタムの製造方法。
(5)オキシムを所定の高温高圧条件に1秒以内の短時間で昇温させて反応させることを特徴とする前記(1)ないし(4)記載のラクタムの製造方法。
(6)オキシムを所定の高温高圧条件で0.001秒から60秒の範囲の時間で反応させることを特徴とする前記(1)ないし(5)記載のラクタムの製造方法。
(7)オキシムがシクロヘキサノンオキシムである前記(1)ないし(6)記載のラクタムの製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の説明を容易にするために、以下、オキシム水溶液を、高温高圧水に導入することにより3秒以内の短時間で250〜450℃の反応温度に到達させ、12〜40MPaの反応圧力条件下で、ラクタムを製造する場合を例にとって詳細に説明する。
本発明者らが、種々の実験を経て開発した本発明の製造方法は、例えば、流通させている高温高圧水条件下の反応場にシクロヘキサノンオキシム水溶液を連続的に導入し、3秒以下の短時間で反応設定温度に到達させることにより加水分解反応をおこすことなく、シクロヘキサノンオキシムの転位反応によってε―カプロラクタムを合成する方法である。本発明では高温高圧水を反応場あるいは反応溶媒として用い、有機溶媒や硫酸等の触媒は使用しないし、また、特に使用する必要はない。従って、この方法を用いれば、処理しなければならない廃溶媒や廃触媒あるいは硫安といった類の廃棄物は排出されない。また、シクロヘキサノンオキシムの加水分解反応によるシクロヘキサノンは生成しない。未反応の供給原料は本発明の反応に再使用することが可能である。更に、本発明の方法は、製品を収率よく連続的に高速で製造できることから、ラクタムの製造方法の手段として最も好適な方法であると考えられる。
【0007】
本発明のラクタムの製造方法について、以下に説明する。
本発明では、例えば、オキシム水溶液或いはオキシムを直接、高温高圧水条件下の反応場に連続的に導入させることにより短時間で反応設定温度に到達させ、オキシムの加水分解反応を抑制してラクタムを選択的に且つ従来法より短い反応時間で効率的に製造することができる。
【0008】
本発明において基質原料として使用されるオキシムとしては【化1】の一般式(1)で表され、n=1〜9およびR=Hあるいはあるいはアルキル基である。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等炭素数1〜20のものはいずれも使用できる。オキシムを例示すれば、例えばシクロヘキサノンオキシムを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
【化1】
Figure 0003837467
【0010】
本発明で得られるラクタムとしては【化2】の一般式(2)で表され、n=1〜9およびR=Hあるいはあるいはアルキル基である。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等炭素数1〜20のものはいずれも使用できる。
【0011】
【化2】
Figure 0003837467
【0012】
本発明で得られるラクタムは五員環ラクタム、六員環ラクタム、七員環ラクタム等の五員環以上の多員環ラクタムである。例えばε−カプロラクタム、γ−ブチルラクタム、γ−バレロラクタム、δ―バレロラクタム等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない
【0013】
本発明によるラクタムの製造の具体例として、例えば七員環ラクタムの製造例として、シクロヘキサノンオキシムからのε−カプロラクタム合成の反応式を【化3】の一般式(3)に示す。
【0014】
【化3】
Figure 0003837467
【0015】
オキシムのベックマン転移反応によるラクタムの合成は酸触媒の存在下で進行することが知られている。本発明の高温高圧水でオキシムのベックマン転移反応によるラクタムが合成されることは興味深い事実である。高温高圧水中ではプロトンの生成あるいは水分子構造の分極などによって酸触媒機能が発現している可能性が推察されうるが、高温高圧水に関する今後の物理化学的研究の展開による検証を期待したい。
【0016】
本発明によれば、基質であるオキシムを短時間で所定の高温高圧条件に設定できるため加水分解反応を抑制でき、ラクタムを選択的に製造することができる。なお、本反応では少量のアミノ酸が生成する。例えば、シクロヘキサノンオキシムからのε−カプロラクタム合成を温度375℃、圧力30MPaの高温高圧条件下で0.667秒間反応させた場合、ε−カプロラクタムの収率41.4%に対して6−アミノカプロン酸が収率0.3%で得られた。6−アミノカプロン酸からのε−カプロラクタムへの変換は比較的容易であり、高温高圧水中においてもこの反応は進行する。この反応では加水分解反応物であるシクロヘキサノンは全く検出されなかった。
【0017】
本発明における高温高圧水の原料に用いる水は蒸留水、イオン交換水、水道水、地下水等を好適に用いることができる。これらの原料水を高温高圧水として使用する際、
溶存酸素は高温高圧水、特に超臨界水として使用する場合は有機物質を酸化分解する可能性があるため、予め窒素ガス等でバブリングして除去してから用いるのが望ましい。亜臨界状態で高温高圧水を使用する場合は、原料水から溶存酸素を特に除去する必要はないが、除去して使用してもよい。
【0018】
本発明で用いられる高温高圧水は反応器の外からヒーターや溶融塩等を用いて温度を制御できる。あるいは反応器内で内熱方式で温度制御することも可能である。また、予め高温高圧水を製造しておき、外部から送水ポンプ等を用いて反応器内に注入して反応させることもできる。温度圧力条件の異なる2種類以上の高温高圧水を反応系に供給して反応条件を制御することも可能である。反応容器内での圧力は流通式であれば圧力調整弁で制御することができる。更に、窒素ガスなど他の気体を注入することによって圧力をコントロールすることもできる。一般的には使用する圧力は使用温度における自生圧力以上であればよい。
基本的には、温度250℃以上及び圧力12MPa以上の高温高圧水条件下であれば本発明は達成される。温度300℃以上及び圧力15MPa以上の高温高圧水条件下では、より好適に本発明を達成できる。更に、350℃以上の温度範囲及び15MPa〜40MPaの圧力範囲である高温高圧水条件を選択すれば、最も好適に本発明は達成される。最適の温度条件は処理時間によっても変化するが、一般に、300℃から450℃の温度範囲を好適に選択できる。また、処理量や反応装置によって適宜の温度及び圧力条件を採用することができる。本発明では温度が高い程反応が進行し、また圧力が高い程やや反応が促進される傾向が認められる。
反応装置としては、例えば、高温・高圧反応装置が使用されるが、これに限らず、高温高圧水条件下の反応系を設定できる装置であれば、その種類は制限されない。ここで、好適な反応装置として、例えば、本発明で使用した流通式高温高圧反応装置及び溶融オキシム導入型流通式高温高圧反応装置が例示される。
【0019】
本発明では流通させている高温高圧水中に、例えば室温のオキシム水溶液あるいはオキシムを直接導入しているため、混合後の温度が低下する。混合後の温度低下の割合はキャリヤー水の最初の温度、反応圧力、キャリヤー水の流速、オキシム水溶液あるいはオキシムの導入流速、オキシムの導入量、反応器の形態、反応器容量等によって変化する。通常、キャリヤー水の最初の温度は設定温度より5〜300℃程度高い温度を適宜選択して使用することによって経験的に設定温度を調節できる。
【0020】
本発明の最も特徴的なことは上記に記述したように設定温度より5〜300℃程度高い温度の高温高圧水中にオキシムを直接導入することによってオキシムの昇温時間が3秒以下の短時間になることである。このことにより、オキシム加水分解反応を抑制でき、その結果ラクタムの選択性や収率を向上することができる。より好適なオキシムの昇温時間は1秒以下であることが好ましく、更に好適なオキシムの昇温時間は0.5秒以下であることが好ましく及び最も好適なオキシムの昇温時間は0.3秒以下であることが好ましい。
【0021】
特に超臨界状態のキャリヤー水を使用した場合は、液体のキャリヤー水に比べて流体の粘度が低下し、拡散係数が大きくなるため、混合速度が急激に速くなっていると考えられる。また、超臨界点に近い亜臨界水条件以上の高温高圧水では誘電率が低下して有機物溶解度が急激に大きくなっていくことが知られており、同様にオキシムの溶解度も大きくなり、転移反応に好適な条件を与えると考えられる。
【0022】
反応条件は使用するオキシムの種類及び濃度、反応管体積、高温高圧水条件等によって変化する。本発明では反応に用いるオキシムは1種類に限定される物でなく、2種類以上の混合物を用いても反応は好適に進行する。オキシムを溶融して高温高圧水中に導入して溶解できるが、直接オキシムの粉末を高温高圧水中に導入してもよい。また予め室温でオキシムを溶解させた基質水溶液を高温高圧水中に導入することもできる。
流通方式のキャリヤー水として用いる高温高圧水の流速及び反応基質であるオキシムの導入流速を制御することによって反応器に導入するオキシムの濃度をコントロールできる。通常、反応器に導入するオキシムの濃度としては1mMから10Mの濃度範囲で選択できる。好適には2mMから5Mの間の適宜な濃度の値を選択でき、最も好適には2mMから2Mの間の適宜な濃度の値が選択されるが、本発明はこれらの濃度の値に限定されるものではない。
本発明では、オキシムの種類に応じて、反応系の温度、圧力、反応器内径、反応器体積、流速、反応基質の濃度、反応時間等を調節することによって、ラクタムの反応収率を操作することができる。
【0023】
本発明の反応系は、温度250℃以上、及び圧力12MPa以上の高温高圧水中に上記反応基質のオキシムを存在させればよく、その際、例えば、金属イオン、酸、あるいは塩基等のような水溶性の触媒、金属担持触媒、固体酸、固体塩基等の固体触媒あるいは酵素等は特に添加する必要がなく、また、有機溶媒を使用する必要もない。
本発明は、基本的には、高温高圧水中に上記反応基質を存在させて、無触媒条件下で、あるいは有機溶媒を反応に関与させることなく、オキシムよりラクタムを合成することを最大の特徴としているが、必要に応じて、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の有機溶媒、金属イオン、酸、あるいは塩基等のような水溶性の触媒、金属担持触媒、固体酸、固体塩基等の固体触媒あるいは酵素を添加して反応させても一向にさしつかえない。
【0024】
本発明では、上記反応系により、例えば、反応時間0.001秒から60秒の短時間でオキシムからラクタムが合成される。流通式反応装置を用いる場合、反応時間は反応温度、反応圧力、高温高圧水の流速、反応基質の導入流速、反応器の形状、反応器内径、反応器の流通経路の長さ等を制御することによって反応時間をコントロールできる。より好適には反応時間として0.01秒から30秒の範囲の値を選択でき、最も好適には0.05秒から10秒の範囲の値を選択できるが、本発明はこれらの値に限定されるものではない。
【0025】
本発明者らは、後記する実施例に示されるように、高温高圧水条件下では、短時間(例えば、反応時間1秒前後)でオキシムからラクタムへの転換反応が可能であることを、高速液体クロマトグラフィー質量分析装置(LC−MS装置)、核磁気共鳴スペクトル測定装置(NMR測定装置)やフリエー赤外分光光度測定装置(FTIR測定装置)を用いて確認している。さらにLC−MS装置を用いることにより、オキシムやラクタム及び副生成物のアミノ酸の種類を同定でき、それらの含有量を正確に定量できる。また連続的に得られるラクタムをイオン交換樹脂カラムによって分離精製して、FTIR測定装置により赤外線吸収スペクトルを計測し、純度の高い特級試薬製品のそれと比較する事により、ラクタム種を正確に同定できる。同様にNMRスペクトル測定によってもラクタムの種類や純度を確認できる。それらの構造はガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC−MS装置)、LC−MS装置、NMR測定装置やFTIR装置で確認できる。
【0026】
本発明で生成したラクタムの反応収率は温度、圧力等の反応条件、オキシムの種類、オキシムの濃度、反応装置の形態、反応器の大きさ、キャリヤー水の流速、オキシム導入速度、反応時間等によって変動する。例えばε−カプロラクタムの場合の反応収率は5.5%から76.3%であった。これらのε−カプロラクタムは原料のシクロヘキサノンオキシムと混合して回収される。同様に本発明によって種々のオキシムあるいはそれらの混合物から多種のラクタムが原料基質とともに回収されるが、例えば陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂あるいはそれらの併用によってラクタムと原料基質のオキシムを分離でき、更にラクタム同士の分離も可能なので、ラクタムはその種類毎に精製濃縮できる。また、同時に回収されたオキシムは再度原料として用いることができる。
従って高温高圧水条件下でオキシムを転移反応させラクタムを合成し、得られた反応溶液に対してイオン交換樹脂を用いてラクタムを分離精製して、高純度のラクタムを好適に製造できる。
【0027】
【作用】
本発明では、高温高圧水条件下の高温熱水中に、反応基質として所定の濃度のオキシムを導入し、反応基質を短時間で昇温し、所定の高温高圧水条件下で反応させることにより、例えば、シクロヘキサノンオキシムからε−カプロラクタムが合成される。また、これらのオキシム等を流通させている高温高圧水に連続的に導入することにより、連続的にそれぞれのオキシムに対応した種々のラクタムを合成することができる。
これらのことから、本発明は、上記反応系において、反応条件、反応基質のオキシムの種類、オキシムの濃度を調節することによりラクタムを短時間で連続的に製造することを可能とする新規の連続ラクタム製造方法であり、ラクタム製造方法として有用である。
【0028】
【実施例】
次に実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
図1に示す連続式高温高圧反応装置を用い、温度375℃、圧力30MPa及び密度0.5583g/cmの高温高圧水条件下でAldrich Chemical Company, Inc.社製品であるシクロヘキサノンオキシム試薬(純度97%)を用い、転移反応によるε−カプロラクタムの連続製造を試みた。
反応器の材料は合金C−276であり、反応器の内径:0.325mm及び反応器の長さ:120cmで、従って反応器容積は0.0995cmと算出された。各導入調製液は高圧ポンプで注入した。窒素ガスでバブリングして溶存酸素を追い出した蒸留水を加熱して460℃及び30MPaのキャリヤー水を作製し、3.8ml/minの流速で通水した。同様に脱酸素処理した蒸留水を用いて21.9mM シクロヘキサノンオキシム含有基質溶液を調製した。室温及び30MPaの基質溶液を1.3ml/minの流速で反応器入り口のキャリヤー水中に導入し、混合した。反応器入り口から1cmに設置した熱電対(1)で計測した混合溶液の反応温度は375℃であり、反応器出口の熱電対(2)で計測した温度と一致し、反応器内の温度は一定であり、キャリヤー水と基質溶液は均質に混合していると考えられる。混合後の基質濃度は5.58mMであった。反応時間は0.667秒であった。従って、0.006秒以内の短時間で混合は完全に行われていると考えられる。混合後の基質濃度は5.58mMであった。反応後に回収した水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、主生成物としてε−カプロラクタムと副生成物である6−アミノカプロン酸が生成しているのが確認された。その他には未反応のシクロヘキサノンオキシムのみが検出され、原料の加水分解反応物であるシクロヘキサノンは全く認められなかった。ε−カプロラクタムの含有濃度は2.31mMであり、その反応収率は41.4%であった。6−アミノカプロン酸の含有量は0.017mMであり、反応収率は0.3%であった。
【0029】
実施例2
実施例1と同様な操作で反応させて、シクロヘキサノンオキシムの転移反応によるε−カプロラクタムの連続製造を試みた。ただし、反応条件を下記の様に変更して実施した。
反応条件
キャリヤー水の温度及び圧力及び:404℃及び25MPa
キャリヤー水の流速:3.7ml/min
21.9mM 基質溶液の温度及び圧力:25℃及び25MPa
21.9mM 基質溶液の流速:1.3ml/min
反応高温高圧水の温度:350℃
反応高温高圧水の圧力:25MPa
反応高温高圧水の密度:0.6257g/cm
反応高温高圧水の流速:5.0ml/min
混合した時のシクロヘキサノンオキシムの基質濃度は5.69mMであった。反応時間は0.747秒であり、反応器内の温度が一定であるため、0.006秒以内の短時間で混合されていると推察された。反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、主生成物としてε−カプロラクタムと副生成物である6−アミノカプロン酸が生成しているのが確認された。その他未反応のシクロヘキサノンオキシムのみが検出され、原料の加水分解反応物であるシクロヘキサノンは全く認められなかった。ε−カプロラクタムの含有濃度は1.61mMであり、反応収率は28.3%であった。6−アミノカプロン酸の含有量は0.011mMであり、反応収率は0.2%であった。
【0030】
実施例3
実施例1と同様な操作で反応させて、シクロヘキサノンオキシムの転移反応によるε−カプロラクタムの連続製造を試みた。ただし、反応条件を下記の様に変更して実施した。
反応条件
キャリヤー水の温度及び圧力及び:352℃及び15MPa
キャリヤー水の流速:2.9ml/min
21.9mM 基質溶液の温度及び圧力:25℃及び15MPa
21.9mM 基質溶液の流速:2.1ml/min
反応高温高圧水の温度:300℃
反応高温高圧水の圧力:15MPa
反応高温高圧水の密度:0.7259g/cm
反応高温高圧水の流速:5.0ml/min
混合した時のシクロヘキサノンオキシムの基質濃度は9.20mMであった。反応時間は0.867秒であり、反応器内の温度が一定であるため、0.007秒以内の短時間でキャリヤー水と基質溶液が混合されていると考えられる。反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、生成物としてε−カプロラクタムが生成しているのが確認された。その他は未反応のシクロヘキサノンオキシムだけが検出され、原料の加水分解反応物であるシクロヘキサノンは全く認められなかった。ε−カプロラクタムの含有濃度は0.51mMであり、反応収率は5.5%であった。
【0031】
比較例1
実施例1と同様な操作で反応させて、シクロヘキサノンオキシムの転移反応によるε−カプロラクタムの連続製造を試みた。ただし、反応条件を下記の様に変更して実施した。
反応条件
キャリヤー水の温度及び圧力及び:314℃及び15MPa
キャリヤー水の流速:3.5ml/min
21.9mM 基質溶液の温度及び圧力:25℃及び15MPa
21.9mM 基質溶液の流速:1.4ml/min
反応高温高圧水の温度:200℃
反応高温高圧水の圧力:15MPa
反応高温高圧水の密度:0.8746g/cm
反応高温高圧水の流速:4.9ml/min
混合した時のシクロヘキサノンオキシムの基質濃度は6.26mMであった。反応時間は1.066秒であり、反応器内の温度が一定であるため、0.009秒以内の短時間でキャリヤー水と基質溶液が混合されていると考えられる。反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、ε−カプロラクタムの生成は全く認められなかった。
【0032】
比較例2
実施例1と同様な操作で反応させて、シクロヘキサノンオキシムの転移反応によるε−カプロラクタムの連続製造を試みた。ただし、反応条件を下記の様に変更して実施した。
反応条件
キャリヤー水の温度及び圧力及び:345℃及び9MPa
キャリヤー水の流速:3.3ml/min
21.9mM 基質溶液の温度及び圧力:25℃及び9MPa
21.9mM 基質溶液の流速:1.7ml/min
反応高温高圧水の温度:300℃
反応高温高圧水の圧力:9MPa
反応高温高圧水の密度:0.7134g/cm
反応高温高圧水の流速:5.0ml/min
混合した時のシクロヘキサノンオキシムの基質濃度は7.45mMであった。反応時間は0.852秒であり、反応器内の温度が一定であるため、0.007秒以内の短時間でキャリヤー水と基質溶液が混合されていると考えられる。反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、ε−カプロラクタムの生成は全く認められなかった。
【0033】
実施例4
実施例1と同様な操作で反応させて、シクロヘキサノンオキシムの転移反応によるε−カプロラクタムの連続製造を試みた。ただし、反応条件を下記の様に変更して実施した。
反応条件
キャリヤー水の温度及び圧力及び:550℃及び25MPa
キャリヤー水の流速:4.6ml/min
21.9mM 基質溶液の温度及び圧力:25℃及び25MPa
21.9mM 基質溶液の流速:0.5ml/min
反応高温高圧水の温度:400℃
反応高温高圧水の圧力:25MPa
反応高温高圧水の密度:0.1666g/cm
反応高温高圧水の流速:5.1ml/min
混合した時のシクロヘキサノンオキシムの基質濃度は2.15mMであった。反応時間は0.195秒であり、反応器内の温度が一定であるため、0.002秒以内の短時間で混合されていると考えられる。反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、主生成物としてε−カプロラクタムと副生成物である6−アミノカプロン酸が生成しているのが確認された。その他未反応のシクロヘキサノンオキシムのみが検出され、原料の加水分解反応物であるシクロヘキサノンは全く認められなかった。ε−カプロラクタムの含有濃度は0.19mMであり、反応収率は8.8%であった。6−アミノカプロン酸の含有量は0.002mMであり、反応収率は0.1%であった。
【0034】
実施例5
実施例1と同様な操作で反応させて、シクロヘキサノンオキシムの転移反応によるε−カプロラクタムの連続製造を試みた。ただし、反応条件を下記の様に変更して実施した。
反応条件
キャリヤー水の温度及び圧力及び:550℃及び40MPa
キャリヤー水の流速:3.7ml/min
21.9mM 基質溶液の温度及び圧力:25℃及び40MPa
21.9mM 基質溶液の流速:1.3ml/min
反応高温高圧水の温度:400℃
反応高温高圧水の圧力:40MPa
反応高温高圧水の密度:0.5237g/cm
反応高温高圧水の流速:5.0ml/min
混合した時のシクロヘキサノンオキシムの基質濃度は5.69mMであった。反応時間は0.625秒であり、反応器内の温度が一定であるため、0.005秒以内の短時間で混合されていると考えられる。反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、主生成物としてε−カプロラクタムと副生成物である6−アミノカプロン酸が生成しているのが確認された。その他未反応のシクロヘキサノンオキシムのみが検出され、原料の加水分解反応物であるシクロヘキサノンは全く認められなかった。ε−カプロラクタムの含有濃度は3.78mMであり、反応収率は66.4%であった。6−アミノカプロン酸の含有量は0.078mMであり、反応収率は1.4%であった。
【0035】
実施例6
実施例1と同様な操作で反応させて、シクロヘキサノンオキシムの転移反応によるε−カプロラクタムの連続製造を試みた。ただし、反応条件を下記の様に変更して実施した。
反応条件
キャリヤー水の温度及び圧力及び:550℃及び40MPa
キャリヤー水の流速:4.2ml/min
21.9mM 基質溶液の温度及び圧力:25℃及び40MPa
21.9mM 基質溶液の流速:0.8ml/min
反応高温高圧水の温度:420℃
反応高温高圧水の圧力:40MPa
反応高温高圧水の密度:0.4238g/cm
反応高温高圧水の流速:5.0ml/min
混合した時のシクロヘキサノンオキシムの基質濃度は3.50mMであった。反応時間は0.506秒であり、反応器内の温度が一定であるため、0.004秒以内の短時間で混合されていると考えられる。反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、主生成物としてε−カプロラクタムと副生成物である6−アミノカプロン酸が生成しているのが確認された。その他未反応のシクロヘキサノンオキシムのみが検出され、原料の加水分解反応物であるシクロヘキサノンは全く認められなかった。ε−カプロラクタムの含有濃度は1.58mMであり、反応収率は45.1%であった。6−アミノカプロン酸の含有量は0.028mMであり、反応収率は0.8%であった。
【0036】
実施例7
実施例1と同様な操作で反応させて、シクロヘキサノンオキシムの転移反応によるε−カプロラクタムの連続製造を試みた。ただし、反応条件を下記の様に変更して実施した。
反応条件
キャリヤー水の温度及び圧力及び:475℃及び40MPa
キャリヤー水の流速:15.6ml/min
21.9mM 基質溶液の温度及び圧力:25℃及び40MPa
21.9mM 基質溶液の流速:4.4ml/min
反応高温高圧水の温度:375℃
反応高温高圧水の圧力:40MPa
反応高温高圧水の密度:0.6096g/cm
反応高温高圧水の流速:20.0ml/min
混合した時のシクロヘキサノンオキシムの基質濃度は4.82mMであった。反応時間は0.182秒であり、反応器内の温度が一定であるため、0.002秒以内の短時間で混合されていると推察される。反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、主生成物としてε−カプロラクタムと副生成物である6−アミノカプロン酸が生成しているのが確認された。その他未反応のシクロヘキサノンオキシムのみが検出され、原料の加水分解反応物であるシクロヘキサノンは全く認められなかった。ε−カプロラクタムの含有濃度は1.31mMであり、反応収率は27.2%であった。6−アミノカプロン酸の含有量は0.023mMであり、反応収率は0.5%であった。
【0037】
実施例8
実施例1と同様な操作で反応させて、シクロヘキサノンオキシムの転移反応によるε−カプロラクタムの連続製造を試みた。ただし、反応条件を下記の様に変更して実施した。
反応条件
キャリヤー水の温度及び圧力及び:475℃及び40MPa
キャリヤー水の流速:1.4ml/min
21.9mM 基質溶液の温度及び圧力:25℃及び40MPa
21.9mM 基質溶液の流速:0.6ml/min
反応高温高圧水の温度:375℃
反応高温高圧水の圧力:40MPa
反応高温高圧水の密度:0.6096g/cm
反応高温高圧水の流速:2.0ml/min
混合した時のシクロヘキサノンオキシムの基質濃度は4.82mMであった。反応時間は1.820秒であり、反応器内の温度が一定であるため、0.015秒以内の短時間で混合されていると推察される。反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、主生成物としてε−カプロラクタムと副生成物である6−アミノカプロン酸が生成しているのが確認された。その他未反応のシクロヘキサノンオキシムのみが検出され、原料の加水分解反応物であるシクロヘキサノンは全く認められなかった。ε−カプロラクタムの含有濃度は3.68mMであり、反応収率は76.3%であった。6−アミノカプロン酸の含有量は0.132mMであり、反応収率は2.7%であった。
【0038】
実施例9
図2に示す連続式反応装置を用い、温度350℃、圧力30MPa及び密度0.6443g/cmの高温高圧水条件下でAldrich Chemical Company, Inc.社製品であるシクロヘキサノンオキシム(純度97%)の溶融液を導入して用い、転移反応によるε−カプロラクタムの連続製造を試みた。
反応器の材料は合金C−276であり、反応器の内径:4.68mm及び反応器の長さ:200mmで、従って反応器容積は3.440cmと算出された。各導入調製液は高圧ポンプで注入した。窒素ガスでバブリングして溶存酸素を追い出した蒸留水を加熱して357℃及び30MPaのキャリヤー水を作製し、24.6ml/minの流速で通水した。 シクロヘキサノンオキシムを95℃で加温して基質溶融液を調製した。基質溶融液を加圧水で30MPaで加圧して0.4ml/minの流速で反応器入り口のキャリヤー水中に導入して混合した。反応器入り口から1cmに設置した熱電対(1)で計測した混合溶液の反応温度は350℃であり、反応器出口の熱電対(2)で計測した温度と一致し、反応器内の温度は一定であり、キャリヤー水と基質溶融液は均質に混合していると考えられる。混合後の基質濃度は141.6mMであった。反応時間は5.165秒であった。従って、0.258秒以内の短時間で混合溶解は完全に行われていると考えられる。混合後の基質濃度は141.6mMであった。反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、主生成物としてε−カプロラクタムと副生成物である6−アミノカプロン酸が生成しているのが確認された。その他には未反応のシクロヘキサノンオキシムのみが検出され、原料の加水分解反応物であるシクロヘキサノンは全く認められなかった。ε−カプロラクタムの含有濃度は96.8mMであり、その反応収率は68.4%であった。6−アミノカプロン酸の含有量は2.1mMであり、反応収率は1.5%であった。
【0039】
比較例3
内径8.7mm、長さ170mmのSUS316製管式反応器(内容積10.1cm)に熱電対を接続し、溶融塩浴で急速昇温を試みることで、375℃に設定して3分間のバッチ式反応法によるシクロヘキサノンオキシムからε−カプロラクタムの合成実験を行った。反応器に蒸留水3.5gとシクロヘキサノンオキシム0.5gを仕込み、窒素気流中で封管した。予め375℃に設定しておいた溶融塩浴中にこの反応器を投入することによって、反応器は設定温度に昇温される。反応温度における圧力は内容積、使用した水の量及び温度より、水の蒸気圧曲線から計算して求めた。反応器は375℃で3分間反応後、反応器を冷水浴に入れて反応を停止させた。反応圧力は25MPaで、375℃までの昇温時間は29秒であった。
冷却後、反応器内の生成物を水とクロロホルムを用いて回収し、有機溶媒層を分離した後、有機溶媒を留去した。質量スペクトル測定、核磁気共鳴スペクトル測定及びガスクロマトグラフィー分析により生成物を調べた。分析の結果、ε−カプロラクタムの収率:14.7%およびシクロヘキサノンの収率:45.8%であった。本バッチ式合成法ではシクロヘキサノンオキシムの加水分解生成物であるシクロヘキサノンが大量に生成するため、工業プロセスとしては不適と考えられる。
【0040】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明は、流通させている高温高圧水にオキシムを導入することによって加水分解反応をおこすことなく、ラクタムを連続合成することを特徴とするラクタム連続製造方法、高温高圧水条件下でオキシムからラクタムを選択的に製造することを特徴とする連続ラクタム製造方法に係り、本発明により、1)高温高圧水下でのオキシムの加水分解反応を抑制することによってオキシムからラクタムを選択的に製造することができる、2)オキシムを高温高圧下で反応させてラクタムを短時間で製造することができる、3)触媒を一切使用しないラクタム製造方法を提供することができる、4)環境に優しい化学物質生産システムであるという格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いた送水ポンプ2台付属の流通式高温高圧反応装置のフローシートを示す。
【図2】本発明に用いた送水ポンプ2台付属の溶融オキシム導入型流通式高温高圧反応装置を示す。

Claims (7)

  1. 連続的に流通させている250〜450℃の温度範囲及び12〜40MPaの圧力範囲の高温高圧水中オキシムからラクタムを製造する方法であって、設定温度より5〜300℃程度高い温度のキャリヤー水を使用することにより、所定の高温高圧条件に3秒以下の短時間で昇温して反応させることを特徴とするラクタムの製造方法。
  2. 連続的に流通させている高温高圧水にオキシムを溶解した基質水溶液を導入して所定の高温高圧条件下で反応させることを特徴とする請求項1記載のラクタムの製造方法。
  3. 連続的に流通させている高温高圧水に溶融したオキシムを導入して所定の高温高圧条件下で反応させることを特徴とする請求項1記載のラクタムの製造方法。
  4. 300℃以上の温度範囲及び15MPa以上の圧力範囲である高温高圧水条件下でオキシムを反応させることを特徴とする請求項1ないし3記載のラクタムの製造方法。
  5. オキシムを所定の高温高圧条件に1秒以内の短時間で昇温させて反応させることを特徴とする請求項1ないし4記載のラクタムの製造方法。
  6. オキシムを所定の高温高圧条件で0.001秒から60秒の範囲の時間で反応させることを特徴とする請求項1ないし5記載のラクタムの製造方法。
  7. オキシムがシクロヘキサノンオキシムである請求項1ないし6記載のラクタムの製造方法。
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