JP3837213B2 - 回転部材の軸受機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、印刷機、ファクシミリおよびプリンタ等の機器で用いる紙搬送ローラ等の回転部材を軸受を介して回転自在に支持する回転部材の軸受機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、印刷機、ファクシミリおよびプリンタ等の機器では用紙を搬送する紙搬送ローラを軸受を介して回転自在に支持している。
しかし、このような紙搬送ローラおよび軸受は使用により摩耗するので一定期間使用した後には新たなものと交換する必要があった。
【0003】
このような要請に応えることを目的に開発されたものとして、特開平8−177850号公報に開示の技術があり、同技術では軸受のような回転体支持装置の着脱を容易にして専用工具なしに行なえるようにし、組立・分解の作業性の改善およびリサイクル使用を可能としている。
【0004】
また、図9(a)は、一対の紙搬送ローラの軸受機構の従来例を示す正面図、同図(b)は側面図、同図(c)は、軸受保持部材の穴形状を示す図である。 図9(a)で、駆動側回転部材111および従動側回転部材112はそれぞれの軸受部材121,122で回転自在に支持されており、抜け止め部材としてのEリング131,132がそれぞれの回転部材111,112のスラスト方向の抜け止めをなしている。
【0005】
駆動側軸受部材121の保持部の外形は小判形状よりなり、軸受保持部材151の穴形状Aも(c)に示すように小判形状をなし、駆動側軸受部材121の回り止めとなっている。一方、従動側軸受部材122は平行な二つの平面から構成され、それらの面をガイドする軸受保持部材151の穴形状Bは(c)に示す形状をなし、加圧部材141により加圧されてスライドする。このために従動側軸受部材122には加圧部材141の受座部Cが1ヵ所設けてある。
【0006】
図10は、使用時に軸受部材が受ける圧力の方向(矢印の方向)と圧力の大きさ(矢印の長さ)を示す図であり、aは従動側軸受部材122の受ける圧力の方向と大きさを示し、bは駆動側軸受部材121の受ける圧力の方向と大きさを示す。なお、軸受部材は合成樹脂や銅系焼結合金で構成されているすべり軸受で、回転部材との硬度の関係は回転部材の硬度>軸受部材の硬度が一般的であり、回転による摩耗は軸受部材のほうが遥かに大きい。
【0007】
図11および図12は従動側軸受部材122の従来例の構成を示す図であり、図11では加圧部材による加圧方向側に設けられた受座部Cを示し、図12は図11の従動側軸受部材122側の軸受保持部材151の穴形状B′を示している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特開平8−177850号公報に開示の技術では、回転体支持装置を、例えば、軸受部材とすると、2分割のために部品点数が増したり、形状が複雑で大型になりコスト高となるという問題点があり、また、軸に関しても使用面が異なるので表面仕上げ工程が倍になり、コスト高になるという問題点があった。
【0009】
また、上述の紙搬送ローラの従来例の軸受部材では、上述したように回転軸の硬度>軸受の硬度が一般的であり、回転による摩耗は軸受部材のほうが遥かに大きく、軸受機構における軸受部材の摩耗は圧力を受ける面に限られており、反対面は未使用状態であった。
【0010】
従って、最初の使用面に寿命がきた場合には未使用面を使用するようにすれば長寿命化が図れることとなる。図9の例では駆動側軸受部材121は上下対象形状のため未使用面を使用するように組み替えが可能であるが、Eリング121を外す必要等があることから、専用工具が必要で作業時間がかかり、また、従動側軸受部材122は加圧部材141の受座部Cが未使用方向には設けられていないので再使用できなかった。
【0011】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、このような紙送り搬送ローラ等の軸受部材の寿命を長くし、耐久性を向上させてランニングコストの低減を図ると共に、例えばリサイクル使用を可能として製作コストの低減を図り、また近年の省資源化の要請に応えることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、軸受部材の回転部材を支持する円筒形状面で摩耗する部分は圧力を受ける一部分(図9,12の例では円筒形状内面の上面或いは下面)であることから、その他の摩耗しない部分(図9,12の例では円筒形状内面の下面或いは上面)をも使用するように構成している。
【0013】
すなわち、本発明の軸受機構は、軸受保持部材で保持される第1及び第2の軸受部材と、第1及び第2の回転部材をそれぞれ上記第1及び第2の軸受部材を介して回転自在に支持する回転部材の軸受機構において、第1及び/または第2の軸受部材の一部に弾性を有する回り止め部を形成するとともに、上記第1及び第2の軸受部材がそれぞれ対応する複数の嵌合形状部を有し、第1の軸受部材と第2の軸受部材が対応する嵌合形状部の一つで嵌合して組み合うことを特徴とする。
【0014】
また、上記回転部材の軸受機構において、第2の軸受部材が加圧部材によりスライド可能に構成され、該第2の軸受部材に加圧部材の受座部を複数個設けるとともに、上記第1及び第2の軸受部材がそれぞれ対応する複数の嵌合形状部を有し、第1の軸受部材と第2の軸受部材が対応する嵌合形状部の一つで嵌合して組み合うことを特徴とする。この場合、第2の軸受部材の軸受保持部材の保持部の一部に拡大部を形成するように構成することが望ましい。
【0015】
また、上記第1及び第2の軸受部材に使用状態を示すマークを配してもよい。
【0016】
また、第1の軸受部材の軸受保持部材の保持部が該第1の軸受部材を回転可能に保持するよう構成することが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に基づく軸受機構の一実施例を示す図であり、(a)は駆動側軸受部材10を、(b)は軸受保持部材の穴形状20を示す。
駆動側軸受部材10には回り止め部材11が設けられており、軸受保持部材の凹部21と嵌合して回り止めの役目を果す。回り止め部材11はスリット12,12により駆動側軸受部材10の縁部と区分されて形成され、弾性を有している。
【0018】
駆動側軸受部材10の使用面に寿命がきた場合には、回り止め部材11を中心方向に押倒し気味にして凹部21から出し、駆動側軸受部材10を半回転して凹部22に嵌入させ、未使用面での使用を可能とする。例えば、円筒形状内面上面を使用面とした場合に、駆動側軸受部材10を半回転させることにより未使用状態の下面を上面として用いることができる。この場合、軸受保持部材の凹部22が回り止めの役目をする。このように専用工具なしで、しかも部品の取り外しを要することなく簡単な作業で駆動側軸受部材10を再使用することができるので、製品寿命を延すことができる。
【0019】
図2(a)は、本発明に基づく従動側軸受部材の一実施例の構成を示す図である。従動側軸受部材30は従来例(図11)と同様に上面に設けられた加圧部材35の受座部Cの他に底面にも受座部C′を設けている。これにより始めの使用面の寿命がきたときに未使用面での再使用が可能となり、軸受部材の寿命を延ばすことができる。
【0020】
図2(b)は図2(a)の従動側軸受部材30に対応の軸受保持部材の穴形状の例を示す図であり、一部に拡大部Dを有している。拡大部Dの直径L′は従動側軸受部材30の最大寸法Lよりすこし大きく(L′>L)設定してある。
【0021】
仮に、前述した図11の従来例の従動側軸受部材122の軸受保持部材の穴形状(図12)を用いて図2(a)の従動側軸受部材30の再使用を行なうには、Eリング(図示せず)を専用工具で取り外し、従動側軸受部材30を従動軸から取り外して未使用面を新たな使用面とするように組替える作業が必要になる。
【0022】
これに対して、図2(b)の軸受保持部材の穴形状で軸受部材30の未使用面を使用する場合には、加圧部材35を外してから軸受部材30を拡大部Dまで移動し、半回転することで再使用可能となり、再使用の場合に部品の組替えを必要としないので作業性が改善される。
【0023】
図3は本発明による軸受部材の一実施例を示す図であり、(a)は駆動側軸受部材10を、(b)は従動側軸受部材30の斜視図である。
本実施例は駆動側軸受部材10の始めの使用面と再使用面が作業者に識別可能なように異なる使用マーク41(図の例では一つの矢印)及び、使用マーク42(図では二つの矢印)を記し、従動側軸受部材30についても同様に始めの使用面と再使用面が作業者に識別可能なように異なる使用マーク51,52を記した例である。
【0024】
これにより、再使用のための組替え時に組替えミスが生じることを防止でき、また、組替えようとする面が再使用面か未使用面かを知ることができる。
【0025】
図4は本発明に基づく軸受機構の正面図(a)と側面図(b)を示す。なお、図4では加圧部材とEリングの図示を省略した(図5〜図8についても同様に図示を省略してある)。
図4で、駆動軸3には駆動ローラ5が、従動軸4には従動ローラ6が取り付けられ、駆動時には駆動ローラ5および従動ローラ6は対になって搬送紙を加圧搬送する。また、駆動軸3は駆動側軸受部材10によって支持され、従動軸4は従動側軸受部材30によって支持されている。
【0026】
駆動側軸受部材10と従動側軸受部材30は対になって配置されており、駆動側軸受部材10には一方に太く短い凸形状片101が、他方に細くて長い凸形状片102が設けられており、従動側軸受部材30には一方に太く浅い凹形状切り欠き301が、他方に細くて深い凹形状切り欠き302が設けられており、凸形状片101と凹形状切り欠き301の凹凸部は互に嵌合するよう形成され、凸形状片102と凹形状切り欠き302の凹凸部は互に嵌合するよう形成されている。
【0027】
図5は、図4の軸受機構を再使用した場合の実施例を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図4(b)で、駆動側軸受部材10の凸形状片101と従動側軸受部材30の凹形状切り欠き301を嵌合させた状態での駆動側軸受部材10と従動側軸受部材30の組合せを最初の使用状態とすると、図5(b)で、それぞれ駆動側軸受部材10と従動側軸受部材30を半回転させ、駆動側軸受部材10の凸形状片102と従動側軸受部材30の凹形状切り欠き302を嵌合させることにより、再使用状態にすることができる。
【0028】
図6,図7は図4の軸受部材10,30の再使用時に発生し得る組合せミス防止の説明図である。
図4(b)で、駆動側軸受部材10の凸形状片101と従動側軸受部材30の凹形状切り欠き301を嵌合させた状態での駆動側軸受部材10と従動側軸受部材30の組合せを最初の使用状態とした場合に、図6に示すように誤って駆動側軸受部材10だけを半回転させて組合せると、駆動側軸受部材10の凸形状片102は従動側軸受部材30の凹形状切り欠き301に嵌まるが、凸形状片102の高さと凹形状切り欠き301の深さが異なるために、駆動側ローラ5と従動側ローラ6の間に凸形状片102の高さと凹形状切り欠き301の深さの差分の隙間d1が生じてローラ5,6が加圧されなくなるので組合せミスが簡単に発見でき、予防できる。
【0029】
また、図7に示すように誤って従動側軸受部材30だけを半回転させて組合せると、駆動側軸受部材10の凸形状片101と従動側軸受部材30の凹形状切り欠き302は幅が異なるため嵌合しないので、凸形状片101の高さと凹形状切り欠き301の深さが異なるために、駆動側ローラ5と従動側ローラ6の間に凸形状片101の高さ分の隙間d2が生じてローラ5,6が加圧されなくなるので組合せミスが簡単に発見でき、予防できる。
【0030】
なお、上述の例(図4〜図7)では、駆動側軸受部材10には一方に太く短い凸形状片101を、他方に細くて長い凸形状片102を設け、駆動側軸受部材30には一方に太く浅い凹形状切り欠き301を、他方に細くて深い凸形状切り欠き302が設けたが、駆動側軸受部材10には一方に太く浅い凹形状切り欠きを、他方に細くて深い凹形状切り欠きを設け、駆動側軸受部材30には一方に太く短い凸形状片を、他方に細くて長い凸形状片を設けるようにしてもよい。
【0031】
図8は、図4の軸受機構における駆動側軸受部材10の軸受保持部材の穴形状の実施例であり、軸受保持部材の穴形状71を小判型から丸型にした例である。従動側軸受部材30には回り止めがあり、それと凹凸を組合せることで駆動側軸受部材30の回り止めを兼ねることになるので、軸受保持部材の穴形状71は回り止めとしての小判型である必要がなくなる。
そして、穴形状71を丸型とすることで軸受部材の再使用時には従動側軸受部材30を移動させて凹凸部の嵌合を解除し、駆動側軸受部材10を半回転することで、組替え作業が終了する。このように、駆動側軸受部材10の再使用時の組立も専用工具なしに簡単に行なうことができる。
【0032】
なお、図4〜図8の説明では凸形状片および凹形状切り欠きはそれぞれ駆動側軸受部材10或いは従動側軸受部材30の上下(または左右)に設けられているが、これに限られず、上下左右に各1個(形4個)設けてもよく、さらに、駆動側軸受部材10或いは従動側軸受部材30の対応する位置であれば複数個設けてもよい。これにより、さらに軸受部材の寿命を延長させることが可能となる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の軸受機構によれば、第1及び/または第2の軸受部材の一部に弾性を有する回り止め部を形成し、軸受部材の再使用時には回り止め部を押圧して軸受部材を回転させ、軸受部材の未使用面を新たな使用面とするようにできるので、専用工具が不要となり、また、部品の取り外しも不要となり、作業性が大幅に改善された。
【0034】
該第2の軸受部材に加圧部材の受座部を複数個設けたことにより、従来例では一方行だけしか使用できなかった第2の軸受部材を複数方向に使用可能としたので、再使用が可能となり、製品寿命が大幅に延びた。
【0035】
また、第2の軸受部材の軸受保持部材の保持部の一部に拡大部を形成するように構成したことにより、専用工具が不要となり、また、部品の取り外しも不要となり、作業性が大幅に改善された。
【0036】
また、上記第1及び第2の軸受部材に使用状態を示すマークを配したことにより、残寿命(未使用面の有無)を作業者に明きらかにできると共に、再組立ミスの防止を可能とした。
【0037】
また、第1及び2の軸受部材が対応する嵌合形状部の一つで嵌合して組み合うよう構成したことにより、再組立ミスの防止が可能となった。なお、この場合、第1の軸受部材の軸受保持部材の保持部を該第1の軸受部材を回転可能に保持するように形成することにより、第1の軸受部材の再使用時に専用工具が不要となり、また、部品の取り外しを少なくできるので作業性が大幅に改善された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく駆動側軸受部材の一実施例を示す図である。
【図2】本発明に基づく従動側軸受部材の一の実施例の構成を示す図である。
【図3】本発明による軸受部材の一実施例を示す図である。
【図4】本発明による軸受機構の一実施例を示す図である。
【図5】図4の軸受機構を再使用した場合の実施例を示す図である。
【図6】本発明による軸受部材の再使用時の組合せミス防止の説明図である。
【図7】本発明による軸受部材の再使用時の組合せミス防止の説明図である。
【図8】図4の軸受機構における駆動側軸受部材の側軸受保持部材の穴形状の実施例である。
【図9】一対の紙搬送ローラの従来例を示す図である。
【図10】使用時に軸受部材が受ける圧力の方向と圧力の大きさを示す図である。
【図11】従動側軸受部材の軸受保持部材の従来例の穴形状を示す図である。
【図12】従動側軸受部材の従来例の構成を示す図であ
【符号の説明】
3,111 駆動軸(第1の回転部材)
4,122 従動軸(第2の回転部材)
7,151 軸受保持部材
10 駆動軸側軸受部材(第1の軸受部材)
20 軸受保持材の穴形状(軸受保持材の保持部)
21,22 回り止め
30 従動軸側軸受部材(第2の軸受部材)
35,141 加圧部材
41,42,51,52 マーク
101,102 凸部(嵌合形状部)
301,302 凹部(嵌合形状部)
C,C′ 加圧部材の受座部
D 拡大部
Claims (5)
- 軸受保持部材で保持される第1及び第2の軸受部材と、第1及び第2の回転部材をそれぞれ上記第1及び第2の軸受部材を介して回転自在に支持する回転部材の軸受機構において、
第1及び/または第2の軸受部材の一部に弾性を有する回り止め部を形成するとともに、
上記第1及び第2の軸受部材がそれぞれ対応する複数の嵌合形状部を有し、第1の軸受部材と第2の軸受部材が対応する嵌合形状部の一つで嵌合して組み合うことを特徴とする回転部材の軸受機構。 - 軸受保持部材で保持される第1及び第2の軸受部材と、第1及び第2の回転部材をそれぞれ上記第1及び第2の軸受部材を介して回転自在に支持する回転部材の軸受機構において、
第2の軸受部材が加圧部材によりスライド可能に構成され、該第2の軸受部材に加圧部材の受座部を複数個設けるとともに、
上記第1及び第2の軸受部材がそれぞれ対応する複数の嵌合形状部を有し、第1の軸受部材と第2の軸受部材が対応する嵌合形状部の一つで嵌合して組み合うことを特徴とする回転部材の軸受機構。 - 上記スライド可能な第2の軸受部材の軸受保持部材の保持部の一部に拡大部を形成したことを特徴とする請求項2記載の回転部材の軸受機構。
- 上記第1及び第2の軸受部材に使用状態を示すマークを配したことを特徴とする請求項1または2記載の回転部材の軸受機構。
- 上記第1の軸受部材の軸受保持部材の保持部が該第1の軸受部材を回転可能に保持することを特徴とする請求項1または2記載の回転部材の軸受機構。
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JPH1193947A JPH1193947A (ja) | 1999-04-06 |
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- 1997-09-22 JP JP27330897A patent/JP3837213B2/ja not_active Expired - Fee Related
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