JP3835635B2 - 衛生洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛生洗浄装置に関するものであり、特に、ユニットバス等の、高湿度状態で使用される衛生洗浄装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
便器使用後に人体局部の洗浄機能を備えた衛生洗浄装置は、通常洗浄水を加温する温水ヒータが設けられている。この温水ヒータは、洗浄水の温度を使用者の好みに合わせるために、温水ヒータへの通電量を制御する機能が付属されている。この通電量の制御は、使用者側の操作により設定される。一例として図8に示す如きものがある。これは、操作パネル上に湯温調節つまみ22が備えられ、この湯温調節つまみ22を操作することにより、通電量が制御され、洗浄水温度が調節されるものである。また湯温調節つまみ22を図において反時計方向にいっぱいに回すと、温水ヒータへの通電が停止され、温水ヒータが切りの状態となる。
【0003】
また便器使用中に、便座の温度を調節する暖房便座機能を備えたものは、便座内部に便座ヒータが配設されている。この便座ヒータは、便座の温度を使用者の好みに合わせるために、便座ヒータへの通電量を制御する機能が付属されている。この通電量の制御は、温水ヒータの通電量制御機能と同様に、使用者の操作により設定される。これは、図に示すように、操作パネル上に便座温度調節つまみ23が備えられ、この便座温度調節つまみ23を操作することにより、便座温度が調節されるものである。また便座温度調節つまみ23を図において反時計方向にいっぱいに回すと、便座ヒータへの通電が停止され、便座ヒータが切りの状態となる。
【0004】
通常便器使用後は、電力の節約のため、温水ヒータ及び便座ヒータを切りの状態としておく。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のトイレは以上のように構成されている。ところで、この種の温水洗浄機能、暖房便座機能を備えたトイレをユニットバス等の高湿度状態となる場所に設置した場合、温水ヒータ及び便座ヒータを切りとすると、洗浄水を貯留する洗浄水タンクや便座表面の温度が低下してその表面上に結露を生じる。このように生じた結露が部品に付着すると、腐食を起こし、部品の寿命を短縮化する。
【0006】
故に、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、加温部分に結露を生じないようにすることを技術的課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記技術の課題を解決するために、本発明の請求項1において講じた技術的手段は、便器上に配された便座と、該便座の内部に配され前記便座を加温する便座ヒータと、洗浄機能を備えたケース内に収納され人体局部を洗浄する洗浄水を収納する洗浄水タンクと、該洗浄水タンク内に配され洗浄水を加熱する温水ヒータと、前記便座ヒータ及び前記温水ヒータを常時作動させるヒータ制御部とを備えており、ヒータ制御部は、便座ヒータ及び温水ヒータが同時に通電されないように便座ヒータ及び温水ヒータを制御するとともに洗浄機構の作動時には温水ヒータへの通電を停止するように制御することである。
【0008】
上記技術的手段による作用は以下のようである。即ち、ヒータ制御部により、温水ヒータ及び便座ヒータは常時通電され得、洗浄水タンク表面及び便座表面は、常に結露温度以上に加温された状態となっている。このため、高湿度下においても、ヒータ通電用の電気部品やその他の金属部品が多数配置された洗浄水タンク付近及び便座付近には結露は生じない。
【0009】
上記技術の課題を解決するに当たって、本発明の請求項2において講じた技術の手段のように、前記ヒータ制御部は、体温近傍を含む温度に前記便座温度もしくは温水温度を維持する高温状態と、該高温状態より低い温度に前記便座温度もしくは温水温度を維持する低温状態とに切り換え可能であることが好ましい。
【0010】
上記技術的手段における作用は以下のようである。即ち、衛生洗浄装置を使用する際には使用者は便座の温度を高温状態とし、使用後は低温状態とするものである。また同様に、使用者は、使用中には温水温度を高温状態とし、使用後は低温状態とするものである。ここで、体温近傍の温度とは、使用者が熱いとも冷たいとも思わない程度の温度のことであり、個人差があって一概に温度範囲を限定することできないが、あえて限定するとなれば、36℃〜44℃程度の温度範囲である。
【0012】
かような技術的手段における作用は以下のようである。即ち便座ヒータ(温水ヒータ)への通電を停止している間に温水ヒータ(便座ヒータ)に通電するようにして、便座(洗浄水)の温度が低下して便座(洗浄水タンク)の結露温度に至る前に洗浄水(便座)が所定温度に達するような仕様が可能とするものである。
【0013】
かような技術的手段における作用は以下のようである。即ち便座ヒータ(温水ヒータ)への通電を停止している間に温水ヒータ(便座ヒータ)に通電するようにして、便座(洗浄水)の温度が低下して便座(洗浄水タンク)の結露温度に至る前に洗浄水(便座)が所定温度に達するような仕様が可能とするとともにいかなる場合も当該装置の消費電力の総和が構成要素中の最大に電力を消費する温水ヒータの消費電力を越えないようにすることができる。
【0014】
上記技術的課題を解決するに当たって、本発明の請求項3において講じた技術的手段のように、前記温水洗浄便座は、浴槽に隣接して設けられ、ユニットバスの一部して構成することが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1、図2、図3は本実施形態例における衛生洗浄装置の温水タンク付近の構成を示す図であり、図1は正面図、図2は側面図、図3は上面図である。図1において、1は、洗浄機能を備えたケース内に収納され人体局部を洗浄する洗浄水を収納する洗浄水タンク、2は洗浄水タンク1に貯留された洗浄水を温めるための温水ヒータである。温水ヒータ2は、洗浄水タンク1の内部に配され洗浄水を温めるヒータ部2aと、洗浄水タンク1の上方に突出した連結部2bよりなる。ヒータ部2aは、洗浄水タンク1内の洗浄水との接触面積を増加させるために、図1における正面視ではクランク状に、図2における側面視では略U字状に形成される。連結部2bは、温水ヒータ2の両端部で形成され、この連結部2bのそれぞれの端部には電力を供給するためのリード線3が連結されている。連結部2bとリード線3の一端部との接続部分には、シリコンで形成された絶縁物4が固着しており、外部との電気的な絶縁が維持されている。リード線3は外周が樹脂製等の被覆物で絶縁されており、リード線3の他端部は電力供給部5に接続している。電力供給部5は、マイコン等の制御部6により、リード線3への電力の供給状態が制御される。
【0017】
洗浄水タンク1の上部には、図1及び図2に示すように、洗浄水タンク1内の洗浄水の温度を検知する温水温度センサ7、タンク1内の洗浄水の量を検知するフロート8、洗浄水の過剰加熱を防止するためのセーフティーサーモスタット9、洗浄水の逆流を防止するバキュームブレーカ10、等、さまざまな部品が配置している。これらは主に金属部品で構成される。また温水温度センサ7、フロート8、セーフティーサーモスタット9等は、制御部に検知した情報を伝達するために、図2に示すように絶縁被覆したリード線に連結されている。
【0018】
図4は、本実施形態例における、衛生洗浄装置の暖房便座であり、部分的に内部を示した暖房便座の上面図である。
【0019】
図4において、便座ヒータ11は、便座12の内部に一様に配設されている。そして、便座ヒータ11はその端部において接続用のリード線13に接続されている。接続用のリード線13はさらにグロメット14により束ねられ、電力が供給されるようになっている。15は便座の表面温度を検知する便座温度センサ、16は便座12の温度制御用のサーモスタットである。
【0020】
図5は、本実施形態例における制御部6の構成を示すが、ここでは本発明に関連する部分のみを示すこととする。
【0021】
図5において、制御部6はマイコン17を備える。マイコン17は、便座温度センサ15及び温水温度センサ7からのそれぞれの温度情報が入力され、入力された温度情報に基づいて、便座ヒータ11及び温水ヒータ2への通電を制御する。制御方法は、本実施形態例では、便座ヒータ及び温水ヒータに接続されたトライアックのゲートにパルス電流を流すことによりオンオフ制御するものである。
【0022】
図7は、本実施形態例における衛生洗浄装置の各機能を操作する操作パネルを示す図である。図7において、18は便座スイッチであり、便座12の温度を変化させるときに使用する。19は便座温度が低状態(後述する)であることを表示する低状態表示ランプ、20は便座温度が高状態(後述する)であることを表示する高状態表示ランプである。便座スイッチ18を押す毎に、低状態表示ランプ19と高状態表示ランプ20との点灯状態が変化する。この操作パネルには、その他、シャワー洗浄を開始するシャワースイッチ、ビデ洗浄を開始するチャームスイッチ、洗浄を停止するストップスイッチが備えられている。
【0023】
上記構成の衛生洗浄装置において、以下に、各ヒータの温度制御について説明する。
【0024】
図6は、便座ヒータの制御フローチャートである。図6に示すように、初期状態においてS1に示すように、便座温度は低状態である。この低状態における便座温度は約27℃に設定される。これは、便座温度センサ15の情報により便座ヒータ11への通電が制御部6によりオンオフ制御され、便座12の表面温度を常に約27℃に保つ処理を行う。次に、S2において、操作パネル上の便座スイッチ18が押されたか否かを判断する。便座スイッチ18が押されていないと判断したときは、S1に戻り、再び便座温度を低状態とする処理を続行する。便座スイッチ18が押されたと判断したときは、S3に移る。S3においては、便座温度は高状態となる。この高状態における便座温度は約35℃に設定される。これは、便座温度センサ15の情報により便座ヒータ11への通電がオンオフ制御され、便座12の表面温度を常に約35℃に保つ処理を行う。S3の処理を実行した後、S4においてS2と同じように、便座スイッチ18が押されたか否かを判断する。便座スイッチ18が押されていないと判断したときは、S3に戻り、再び便座温度を高状態とする処理を続行する。便座スイッチ18が押されたと判断したときは、S1に戻り、便座温度を低状態とする処理を行う。このようにして、便座12の温度が制御される。このように、便座12の温度を、体温付近(約35℃)である高状態と、それよりも低い温度(約27℃)である低状態の2つに設定することにより、使用者は、使用中に高状態とし、使用後は低状態とすることが可能となる。これにより、電力の節約が達成される。
【0025】
また、温水ヒータ2においては、便座ヒータ11における場合と異なり、温度の高低状態は存在せず、常に洗浄水温度が約38℃となるように、マイコンにより制御される。
【0026】
本実施形態例における衛生洗浄装置は、上記のように制御されるため、常に、温水ヒータ2及び便座ヒータ11には通電されている。従来のタイプでは、衛生洗浄装置を使用しない時にヒータの通電を遮断できる構成であるため、ユニットバス等の高湿度下においては、便座及びタンクの温度が低下した場合にその表面に結露を生じる。これらの表面に結露が生じると、温水ヒータ2、フロート8、セーフティーサーモスタット9、便座ヒータ11等の金属部品においては腐食の原因となり、製品の寿命を短縮化させる。また、本実施形態例において、温水ヒータ2の連結部2bとリード線3との接続部分にはシリコン樹脂等で固着してあるが、高湿度状態においてはこのシリコン樹脂内にも湿気が侵入し、シリコン樹脂が湿った状態となる。このためシリコン樹脂による絶縁が低下する。この点、本実施形態例においては、常に温水ヒータ2及び便座ヒータ11に通電されているため、ユニットバスのような高湿度下においても結露が生じる可能性は極めて少ない。そのため上記腐食が発生しにくくなり、製品の長寿命化が図れるものである。
【0027】
以上本発明の実施形態例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態例では温水タンク内の温水温度を常に一定温度としたが、便座ヒータの制御で説明したように、適温状態及び低温状態に設定可能に構成してもよいことは固より、以下に示す他の実施態様が示すように、温水ヒータ2および便座ヒータ11の制御を行っても良い。すなわち、図8に示すように、洗浄機能が作動しない状態(使用者が便座12に着座している状態)下、温水ヒータ2への通電がなされている間は便座ヒータ11への通電を停止するようにすると共に、温水ヒータ2(便座ヒータ11)への通電が停止された後、所定のタイムデイレイないしはタイムラグの後、便座ヒータ11(温水ヒータ2)への通電がなされるようにしても良い。しかして温水ヒータ2の消費電力は便座ヒータ11の消費電力よりも大きいのであるが、両者の同時通電がないから、装置全体の消費電力は、温水ヒータ2の消費電力を越えることがない。かような制御態様の下においては、便座ヒータ11(温水ヒータ2)への通電を停止している間に温水ヒータ2(便座ヒータ11)に通電するようにしているので、便座12(洗浄水)の温度が徐々に低下する。しかしながら、便座12(洗浄水タンク1)の温度が結露温度に至る前に洗浄水(便座12)が所定温度に達するようにすることは、便座12の最高温度(設定温度)、便座12の材質、洗浄水タンク1の材質・容積、洗浄水の最高温度(設定温度)を適宜調整することにより、可能となるものである。
【0028】
また、図9に示すように、洗浄機能が作動される蓋然性がある場合(使用者が便座12に着座し、洗浄機構を利用する蓋然性がある場合)、洗浄機能が作動している間は、温水ヒータ2への通電は停止されるようになっているが、便座ヒータ11への通電は、適宜なされるようになっている。しかして、また、洗浄機能が作動するときの消費電力と便座ヒータ11への通電時の消費電力の和は、温水ヒータ2への通電時の消費電力よりも小さく設定され得るので、この場合もやはり、装置全体の消費電力は、温水ヒータ2の消費電力を越えることがない。
【0029】
【発明の効果】
請求項1の発明は、以下の如く効果を有する。
【0030】
常時温水ヒータ及び便座ヒータに通電されているため、洗浄水タンク周辺及び便座周辺は常に加温され得、特に高湿度下での結露を防止でき、結露による腐食を防止できる。
【0031】
請求項2の発明は、以下の如く効果を有する。
【0032】
衛生洗浄装置の使用中には便座を適温状態にし、使用後には低温状態とするため、使用者は快適に衛生洗浄装置を使用でき、さらに節電効果がある。また、衛生洗浄装置の使用中には温水温度を適温状態にし、使用後には低温状態とするため、使用者は快適に衛生洗浄装置を使用でき、さらに節電効果がある。
【0033】
請求項3の発明は、以下の如く効果を有する。
【0034】
電力消費量が最大の温水ヒータへの通電時に便座ヒータへの通電がなされないので、消費電力の最大値が温水ヒータの消費電力となり、節電効果がある。
【0035】
請求項4の発明は、以下の如く効果を有する。
【0036】
洗浄機構の作動時に消費電力が最大の温水ヒータへの通電が停止されるので、他の構成要素の消費電力の総和を温水ヒータの消費電力以下に設定しておくことにより、装置の最大消費電力を一定にすることができる。
【0037】
請求項5の発明は、以下の如く効果を有する。
【0038】
ユニットバスに備えられた衛生洗浄装置は、特に高湿度下での使用が考えられるため、本発明をユニットバスに使用することにより、ユニットバスに適した衛生洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例における、衛生洗浄装置の洗浄水タンク付近の正面図である。
【図2】本発明の実施形態例における、衛生洗浄装置の洗浄水タンク付近の側面図である。
【図3】本発明の実施形態例における、衛生洗浄装置の洗浄水タンク付近の上面図である。
【図4】本発明の実施形態例における、衛生洗浄装置の便座付近の上面図である。
【図5】本発明の実施形態例における、制御装置の回路図である。
【図6】本発明の実施形態例における、衛生洗浄装置の便座の温度制御を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態例における、操作パネルを示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態例における、洗浄機能が非作動状態下にある衛生洗浄装置の、便座ヒータおよび温水ヒータへの通電状態を示すチャートである。
【図9】本発明の他の実施形態例における、洗浄機能が作動状態下にある衛生洗浄装置の、便座ヒータおよび温水ヒータへの通電状態を示すチャートである。
【図10】従来技術における衛生洗浄装置の操作パネルを示す図である。
【符号の説明】
1 洗浄水タンク
2 温水ヒータ、 2a ヒータ部、 2b 連結部
3 リード線
5 電力供給部
6 制御部
11 便座ヒータ
12 便座
Claims (3)
- 便器上に配設された便座と、該便座の内部に配され前記便座を加温する便座ヒータと、洗浄機能を備えたケース内に収納され人体局部を洗浄する洗浄水を収納する洗浄水タンクと、該洗浄水タンク内に配され洗浄水を加熱する温水ヒータと、前記便座ヒータ及び前記温水ヒータを常時作動させ得るヒータ制御部とを備えており、
前記ヒータ制御部は、前記便座ヒータ及び前記温水ヒータが同時に通電されないように前記便座ヒータ及び前記温水ヒータを制御するとともに前記洗浄機構の作動時には前記温水ヒータへの通電を停止するように制御することを特徴とする衛生洗浄装置。 - 前記ヒータ制御部は、体温近傍を含む温度に前記便座温度もしくは温水温度を維持する高温状態と、該高温状態より低い温度に前記便座温度もしくは温水温度を維持する低温状態とに切り換え可能であることを特徴とする請求項1に記載の衛生洗浄装置。
- 前記温水洗浄便座は、ユニットバスの浴槽に隣接して設けられることを特徴とする、請求項1に記載の衛生洗浄装置。
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