JP3835527B2 - ベルト製造方法 - Google Patents

ベルト製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3835527B2
JP3835527B2 JP2001211225A JP2001211225A JP3835527B2 JP 3835527 B2 JP3835527 B2 JP 3835527B2 JP 2001211225 A JP2001211225 A JP 2001211225A JP 2001211225 A JP2001211225 A JP 2001211225A JP 3835527 B2 JP3835527 B2 JP 3835527B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
belt
base
manufacturing
tube
adhesive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001211225A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003025442A (ja
Inventor
猛 加藤
陽一 石川
善智 高坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Kogyo Corp
Original Assignee
Nitto Kogyo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Kogyo Corp filed Critical Nitto Kogyo Corp
Priority to JP2001211225A priority Critical patent/JP3835527B2/ja
Publication of JP2003025442A publication Critical patent/JP2003025442A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3835527B2 publication Critical patent/JP3835527B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、薄肉状のベルト基体の外周に、フッ素樹脂製チューブを被覆してフッ素樹脂製チューブ被覆ベルトを製造する製造方法に関し、例えば、電子写真装置用の定着装置に使用される定着ベルトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真装置用の定着装置においては、ベルト基体の周囲にゴム等の弾性体層を設け、この弾性体層の外周にフッ素樹脂被覆を施した定着ベルトが用いられるベルト式定着装置が知られている。このようなゴム弾性層を有するベルトの外周面にフッ素樹脂を被覆する方法としては、例えば特許第3051085号(特開平11−15303号)に示される方法が知られている。
【0003】
この登録特許においては、ベルト基体の外径よりも、形成するシリコーンゴム層の厚み分だけ大きく設定された内径を有する注型金型を用意し、この注型金型の内周面にフッ素樹脂フィルムを被覆し、この注型金型内にベルト基体を同心状にセットし、注型金型の両端を金型蓋体で夫々密封し、注型金型とベルト基体との間に形成された隙間に、シリコーンゴムを注入し、硬化冷却後、注型金型を外すことにより、フッ素樹脂フィルムが被覆されたシリコーンゴム層がベルト基体の外周に形成されるようにした技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の方法では、先ず第1に、比較的剛性の高い芯金の外周面にシリコーンゴム層を形成したり、また、このシリコーンゴム層の外周を熱硬化性接着剤を介してフッ素樹脂製フィルムで被覆することは、容易に可能と思われるが、このシリコーンゴムを形成したり、フッ素樹脂フィルムを被覆する対象となる部材が、芯金ではなく、可撓性を有するベルト等の場合には、シリコーンゴムの注入時に外径保持が出来ずに、成型できない問題点が指摘され、改善が要望されている。
【0005】
また、上述の従来方法を可撓性を有するベルト等に適用するに際して、仮に、何らかの方法で、外径保持を出来る状態が達成されたとしても、形成されたベルトにおいて接着剤に接着性を発揮させるために加熱炉に投入して加熱する場合に、フッ素樹脂フィルムに皺が寄ったり、このフッ素樹脂フィルムと接着剤との間に空気溜まりが出来る虞がある。このように皺や空気溜まりができると、不良品の原因となり、強く改善が要望されている。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みなされたもので、この発明の主たる目的は、可撓性を有するベルトの外周に、合成樹脂製の薄層を、皺無く、空気溜まりもない良好な状態で形成することの出来るベルト製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項1の記載によれば、可撓性を有する薄肉状のベルト基体の外周面に、合成樹脂製チューブを被覆して離型層を有するベルトを製造するベルト製造方法において、前記ベルト基体の外周面に接着剤を塗布する第1の工程と、前記接着剤を塗布されたベルト基体の外周に合成樹脂製チューブを、該チューブの両端が、前記ベルト基体の両端部から夫々外方に突出するように被覆する第2の工程と、前記チューブの両突出端部を、前記ベルト基体の対応する端部において内側に折り返す第3の工程と、前記チューブの両折り返し端部を夫々係止する第4の工程と、前記チューブの両折り返し端部を夫々係止した状態を維持したままで、前記接着剤を加熱して硬化させる第5の工程とを具備することを特徴としている。
【0008】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項2の記載によれば、前記第2及び第3の工程の間に実施され、扱きリングを、前記ベルト基体の外周に被覆された前記合成樹脂製チューブの外周の一端に嵌合させ、該扱きリングを該ベルト基体の軸方向に沿って他端に向けて移動させて、前記接着剤を該ベルト基体と該合成樹脂製チューブとの間で扱く扱き工程を更に具備することを特徴としている。
【0009】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項3の記載によれば、前記合成樹脂は、フッ素樹脂を含む事を特徴としている。
【0010】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項4の記載によれば、前記ベルト基体は、薄肉状の基材と、この基材の少なくとも最外周に配設されたゴム弾性層を有することを特徴としている。
【0011】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項5の記載によれば、前記基材は、その肉厚が300μm以下に設定されていることを特徴としている。
【0012】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項6の記載によれば、前記合成樹脂製チューブは、少なくとも径方向に沿う弾性を有し、前記ベルト基体への被覆前の段階において、該ベルト基体の外径よりも径小な外径を有して形成されていることを特徴としている。
【0013】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項7の記載によれば、前記基材は、金属製のベルトであることを特徴としている。
【0014】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項8の記載によれば、前記金属製の基材は、ニッケル電鋳製のベルトであることを特徴としている。
【0015】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項9の記載によれば、前記基材は、合成樹脂製のベルトであることを特徴としている。
【0016】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項10の記載によれば、前記合成樹脂製の基材は、ポリイミド製のベルトであることを特徴としている。
【0017】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項11の記載によれば、前記第4の工程において、前記チューブの両折り返し端部の内周に夫々截頭円錐形状の嵌合体を嵌入し、対応する折り返し端部の内径部分を係止することを特徴としている。
【0018】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項12の記載によれば、前記嵌合体は、大円の直径が、前記ベルト基体の内直径よりも径大に、且つ、小円の直径が、前記ベルト基体の内直径よりも径小に、夫々設定されていることを特徴としている。
【0019】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項13の記載によれば、前記嵌合体は、中実状に形成されていることを特徴としている。
【0020】
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項14の記載によれば、前記第4の工程において、前記チューブの両折り返し端部の外周に夫々、中空状の截頭円錐形状の嵌合体を嵌め、対応する折り返し端部の外径部分を係止することを特徴としている。
また、この発明に係わるベルト製造方法は、請求項15の記載によれば、前記嵌合体は、大円の内直径が、前記ベルト基体の外直径よりも径大に、且つ、小円の直径が、前記ベルト基体の外直径よりも径小に、夫々設定されていることを特徴としている。
【0021】
【発明を実施する形態】
以下に、この発明に係わるベルト製造方法の一実施例の構成を、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0022】
先ず、図1に(図2に拡大した状態で)示すように、可撓性を有する(即ち、自身で外径保持が出来ない)薄肉円筒状のベルト基体10として、ニッケル電鋳製のエンドレスベルト(以下、基材と呼ぶ。)10Aと、これの外周面に、厚さ200μmで被覆されたシリコーンゴム層10Bとを有するエンドレス状のベルトを用意する。ここで、この基材10Aは、周知のものであるためここでの説明を省略するが、これが円筒形状を呈する状態(即ち、実質的に断面真円形状を呈する状態)において、例えば内径40mm、軸方向長さ360mm、厚さ50μmを有するように予め形成されている。そして、図3に示すように、このベルト基体10の外周面に接着剤12を介してフッ素樹脂である例えばPFA製のチューブ14を皺や空気溜りがない状態で被覆して定着ベルトXを製造するための製造方法として、以下の手順を実施する。
【0023】
先ず、図4に示すように、予め、金属製の中子16と、後述する扱き動作に用いられる扱きリング18と、この扱きリング18を保持する押上部材20とを準備する。ここで、この扱きリング18は、O−リングから構成されており、後述する扱き動作のために、JIS B 2401で規定される呼び番号「P40」に準拠して形成されたものが用いられている。
【0024】
ここで、中子16は、中実円柱状の中子本体16Aと、この中子本体16Aの図中下部に同軸状に連接されたフランジ部16Bとを一体に備えている。この中子本体16Aの外径は、ベルト基体10内に充分な隙間(例えば数mm)をもって挿入可能に設定されており、換言すれば、ベルト基体10の内径よりも充分に小さな外径を有するように設定されている。また、フランジ部16Bの外径は、中子本体16Aの外径よりも、上述したベルト基体10の肉厚分だけ径大に設定されている。
【0025】
また、フランジ部16Bの上面16C、即ち、中子本体16Aの外周面に直接的に交差する状態で連接する平面は、中子本体16Aの外周にベルト基体10が遊挿される状態において、これの下端が当接する当接端面として機能するように設定されており、図5に示すように、この上面16Cにベルト基体10の下端が当接する状態において、ベルト基体10の外周面とフランジ部16Bの外周面とは、面一となるように設定されている。
【0026】
一方、中子本体16Aの図中上部と下部には、これの外周に遊挿されたベルト基体10との間を気密に密封する封止部材22,24が夫々取り付けられている。この実施例においては、各封止部材22,24は、エアーピッカー(商品名:ブリヂストン社製)から構成されており、各々は中子本体16Aの外周面と面一に設定されたゴム面を備え、各ゴム面は、作動圧搾空気の導入により、半径方向外方に弾性的に膨出して、ベルト基体10の内周面に密着して、これとの間を気密に封止することが出来るように構成されている。尚、このエアーピッカーは、周知の構成であるため、これの詳細な説明は省略する。
【0027】
また、この中子本体16Aの外周面であって、上下両封止部材22,24の間に位置する部分には、複数の加圧孔26が開口しており、各加圧孔26は、図示していないが中子16内を貫通する状態で形成された加圧導入路に連通している。
【0028】
次に、以上のように構成された中子16の外周に、ベルト基体10を遊挿し、図5に示すように、ベルト基体10の下端を、中子16のフランジ部16Bの上面16Cに当接させる。これにより、ベルト基体10のセット動作を終了する。
【0029】
このようにして、ベルト基体10のセット動作が終了した後、図示していないが、少なくともベルト基体10の外周面に、シリコーンゴム製の接着剤12を塗布する。このように接着剤12を塗布することにより、後述するPFA製のチューブ14が被覆される被被覆体が構成されることになる。
【0030】
尚、このような液状のシリコーンゴム接着剤としては、自己接着性を有するシリコーンゴムを用いることが好ましい。自己接着性を有するシリコーンゴム接着剤としては、脱アセトン型、脱オキシム型、脱アルコール型、脱酢酸型、付加型(付加反応硬化型)を使用することが出来るが、脱アセトン型、脱オキシム型、脱アルコール型、脱酢酸型は、硬化時に副生成物が発生するのと、空気中の水分と反応して硬化するため、作業上取り扱いにくい問題点がある。このため、副生成物の発生がなく、100℃以上の加熱で硬化する付加型の自己接着性を有するシリコーンゴム接着剤が好適するものである。
【0031】
次に、図6に示すように、この被被覆体の外周面に、PFA製のチューブ14を接着剤12を介して密着した状態で被覆し、セットする。
【0032】
次に、このようにPFA製チューブ14が被覆された被被覆体を扱き上げて、接着剤12を薄く、且つ、均一にならすための扱き動作について、図6乃至図10を参照して詳細に説明する。
【0033】
先ず、図7に示すように、上下両封止部材22,24に加圧作動空気を導入して、各々を半径方向外方に膨出させ、ベルト基体10の内周面に密着させて、両封止部材22,24間を気密に密閉する。この後、加圧導入路に連接されている図示しない加圧源を起動すること(または、起動している加圧ポンプと連結すること)により、図8に示すように、ベルト基体10の内部は、圧縮空気により加圧されることになる。
【0034】
この結果、ベルト基体10は上下両端で内部空間を気密に封止されているので、ベルト基体10の外周の見かけ上の剛性が高められることになる。即ち、ベルト基体10は、何ら固形物により内部を直接的に支持されているものではないものの、上述した加圧動作により、ベルト基体10の外周の見かけ上の剛性が高められ、あたかも固形物により内部を直接的に支持されたと実質的に同様な状態となり、自身で外径保持できる状態となる。
【0035】
このようにベルト基体10の外周の見かけ上の剛性を高めた状態で、図9に示すように、扱きリング18を詳細は図示していないが移動機構の押上部材20を介してフランジ部16Bが設けられている側とは反対側に向けて、被被覆体の軸方向に沿って、例えば15cm/minの速度で押上移動させる。このような扱きリング18の移動に伴い、予めベルト基体10の外周面に塗布されていた接着剤12は、被被覆体の外周面とPFA製チューブ14の内周面との間を扱かれて、両面の間の全域に渡り、均一に押し出されることになる。そして、図10に示すように、扱きリング18がベルト基体10の上端位置まで移動させられることにより、被被覆体の外周面とPFA脂製チューブ14の内周面との間に、均一な接着剤12の層が形成されることになる。
【0036】
即ち、上述したように、扱きリング18を介してベルト基体10を含む被被覆体の外周面を扱く際には、この被被覆体の外周面に過大な力が作用することになる。ここで、仮に、被被覆体の内周面が固形物により直接的に支持されていないと、外周の剛性不足から、扱きリング18により作用される応力に負けて、被被覆体の外周は凹む等の形状的な変形が発生することになる。
【0037】
このようにベルト基体10の外周に形状的な変形が発生すると、被被覆体の外周面とPFA脂製チューブ14の内周面との間に、均一な接着剤12の層が形成されなくなり、皺等の発生や、空気溜りの残留等の不都合が発生することになる。しかしながら、この実施例においては、上述したように、ベルト基体10の内部を空気で加圧しているために、これの外周の見かけ上の剛性が高められており、このような不都合は全く発生せず、きわめて良好な状態で均一な接着剤12の層が形成され、皺の発生もなく、空気溜りの残留等の不都合の発生もないものである。
【0038】
そして、図11に示すように、加圧ポンプの起動を停止(または、起動している加圧ポンプと連結を解除)して、大気に開放することにより、ベルト基体10の内部の加圧状態は解除され、これの外周の見かけ上の剛性の高まりは元に復帰することになる。
【0039】
この加圧状態の解除の後、図12に示すように、両封止部材22,24による封止状態を解除し、扱きリング18を被被覆体から引き抜き、この後、図13に示すように、PFA製チューブ14が被覆されたベルト基体10を取り出す。このようにして、ベルト基体10と、このベルト基体10の外周面に接着剤12を介して接着されたPFA製チューブ14とから構成される目的のベルトXが形成されることになる。換言すれば、図14に示すように、このベルト基体10の外周面に接着剤12を介してフッ素樹脂であるPFA製のチューブ14を皺や空気溜りがない状態で被覆されることになる。この状態で、接着剤12を硬化させることにより、目的となる定着ベルトXが製造されることになる。
【0040】
次に、この発明の特徴をなす硬化工程について、詳細に説明する。即ち、図14に示す状態において、PFA製チューブ14は、接着剤12を介してベルト基体10の外周面に被覆はされているが、この接着剤12は、加熱されていないため、未だ、硬化していない状態、換言すれば、接着力を発揮するに至っていない状態となっている。このため、接着剤12を硬化させて接着力を発揮させるために、図示しない加熱炉に入れ込んで、所定時間だけ、所定温度で加熱させる必要がある。
【0041】
この硬化工程においては、図14に示すように、ベルト基体10の外周面に接着剤12を介して被覆されたPFA製のチューブ14の両端は、夫々、対応するベルト基体10の両端から軸方向外方に沿って突出した状態にもたらされている。
【0042】
この硬化工程においては、夫々ベルト基体10の両端から突出した部分を、図15に示すように、内側に折り返し、ベルト基体10の内周面に沿って軸方向内方に押し込む。そして、図16に示すように、PFA製チューブ14の両折り返し端部に係止部材(嵌合体)28を夫々嵌入して、PFA製チューブ14の折り返し端部を夫々係止する。ここで、各係止部材28は、中実の截頭円錐形状に形成されている。
【0043】
具体的には、PFA製チューブ14の両折り返し端部の内周に、夫々、截頭円錐形状の係止部材28を嵌入し、対応する折り返し端部の内径部分を係止している。ここで、各係止部材28は、大円の直径が、ベルト基体10の内直径よりも径大に、且つ、小円の直径が、ベルト基体10の内直径よりも径小に、夫々設定されている。そして、この嵌入状態は、係止部材28とPFA製チューブ14との摩擦係合により、良好に維持されている。
【0044】
このように、ベルト基体10の外周に被覆されたPFA製チューブ14の両端面を、係止部材28により夫々係止した状態で、一方の係止部材28を下に向けた状態で図示しない加熱炉にセットし、先ず、一次加熱として、150℃で20分間だけ加熱し、次に、二次加熱として、200℃で4時間に渡り加熱する。
【0045】
ここで、一次加熱においては、室温状態から150℃間での加熱となるので、大きな温度差が発生し、このため、PFA製チューブの熱収縮とベルト基体10の熱膨張とが発生して、従来においては、皺の発生や空気溜まりが生じる問題があったが、この実施例においては、上述したように、PFA製チューブ14の両端面を、係止部材28により夫々係止した状態で加熱しているため、熱収縮が規制されて皺の発生も空気たまりの発生も無く、極めて良好な状態で、加熱されることとなり、この結果、加熱後のベルトXの外周を構成するPFA製チューブ14に皺も空気たまりも無い極めて良好な状態が、達成されることになる。
【0046】
このようにして加熱炉内での加熱による硬化工程が終了すると、接着剤12は硬化して、ベルト基体10とPFA製チューブ14とを互いに強固に接着することになる。この後、加熱炉から取り出し、両係止部材28を取り外し、所定の長さになるように両端を切り落とすことにより、図3に示すような、この発明の製造方法により製造される目的物としてのベルトXが完成する。
【0047】
以上詳述したように、この実施例においては、外周をゴム弾性層10Bで被覆された基材(電鋳ベルト)10Aにより構成されるベルト基体10の外周面に接着剤12を塗布し、これの外周面にフッ素樹脂製チューブ14を緊密に被覆した後、扱きリング18を介してフッ素樹脂製チューブ14を外周を軸方向の全長に渡り扱くことにより、予め塗布されていた接着剤12をベルト基体10とフッ素樹脂製チューブ14との間に薄く押し出すことができ、その後、この接着剤12を硬化させることにより、ベルト基体10とフッ素樹脂製チューブ14とを接着剤12を介して接着するようにしているので、ゴムの劣化を招くような高温処理を必要とせず、高精度で高価な金型を用いることなく寸法精度の高いフッ素樹脂被覆ベルトを容易に且つ安価に製造することが出来、また、フッ素樹脂製チューブ14の表面を平滑化させて、ベルト基体10の外径寸法を均一に維持した状態で成形することが出来ることになる。
【0048】
また、加熱工程において、ベルト基体10の外周面に被覆したPFA製チューブ14を夫々の両端面を係止部材28により係止した状態で加熱させるようにしたため、皺や空気溜まりの発生を効果的に抑制して、良好な状態での加熱工程を達成することができることになる。
【0049】
この発明は、上述した手順に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
【0050】
例えば、上述した実施例においては、ベルト基体10として、薄肉状の基材10Aと、この基材10Aの少なくとも最外周面に配設されたゴム層10Bとを備えるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、ゴム層10Bを備えない構成、即ち、ベルト基体10が薄肉状の基材10Aそのものから構成されるようにしても良いことは言うまでもない。
【0051】
また、上述した実施例においては、薄肉状の基材10Aとして、ニッケル電鋳製のベルトを用いるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、金属製のベルト、例えばSUS製のベルトにも適用できることは言うまでもない。
【0052】
また、上述の薄肉状の基材10Aとしては、金属製に限定されることなく、合成樹脂製のベルト、例えばポリエーテルイミド製のベルトにも適用できることはいうまでもない。
【0053】
また、上述した実施例においては、扱き動作を1回実施するように説明したが、この発明は、このような回数に限定されることなく、複数回に渡り扱き動作を実施するようにしても良いことは言うまでもない。特に、接着剤層の厚さが厚く設定されていて、この為に接着剤14の量が多い場合には、複数回に渡り扱き動作を分けることにより、より均一に接着剤を押し広めることが出来て有利である。
【0054】
また、上述した実施例においては、ベルト基体10として、外周にゴム弾性層10Bが被覆された基材(電鋳ベルト)10Aを用いるように説明したが、この発明は、このような適用に限定されることなく、例えば、電鋳ベルトではなく、SUS等の異なる種類の金属を用いることも出来るし、また、ポリイミド等の合成樹脂を用いることも出来ることは言うまでもない。
【0055】
また、上述した実施例においては、ベルト基体10は、外周にゴム弾性層10Bが被覆された基材(電鋳ベルト)10Aから構成されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、ベルト基体10は、電鋳ベルトそのものから構成されるように、換言すれば、ゴム弾性層が外周に被覆されていない電鋳ベルト10Aそのものから直接的に構成されるようにしても良いことは言うまでもない。
【0056】
また、上述した実施例においては、中子16は金属から形成されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、例えば、合成樹脂製の中子を用いることが出来ることは言うまでもない。
【0057】
また、上述した実施例においては、ベルト基体10の加圧動作を、扱き動作の直前に実施するように説明したが、この発明は、扱き動作の直前に実施されることに限定されることなく、少なくとも扱き動作の直前までに実施されていれば良いものである。但し、ベルト基体10内の密封動作が完了していることが条件となることはいうまでもない。
【0058】
また、上述した実施例においては、この製造方法により製造されるベルトは定着ベルトとして用いられるように説明したが、この発明は、このような適用に限定されることなく、例えば、搬送ベルト等にも用いられ得ることはいうまでもない。
【0059】
また、上述した実施例においては、加熱工程において、ベルト基体10の外周面に被覆したPFA製チューブ14の両端面を、中実状の截頭円錐形状の係止部材28をベルト基体10内に夫々嵌入して、PFA製チューブ14の折り返し片の内周縁を係止するように説明したが、この発明は、このような工程に限定されることなく、例えば、図17に変形性として示すように、加熱工程において、ベルト基体の外周面に被覆したPFA製チューブ14の両端面を、中空状の截頭円錐形状の係止部材30をベルト基体10の外周に嵌めこみ、PFA製チューブ14の折り返し片の対応する外周縁を係止するように構成してもよいことは言うまでもない。
【0060】
この場合、外周縁を係止するための係止部材30は、大円の内直径が、ベルト基体10の外直径よりも径大に、且つ、小円の直径が、ベルト基体10の外直径よりも径小に、夫々設定されて形成されている。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば可撓性を有するベルトの外周に、合成樹脂製の薄層を確実に形成することの出来るベルト製造方法が提供されることになる。
【0062】
また、この発明によれば、外周にゴム層が形成された可撓性を有するベルトの外周に、合成樹脂製の薄層を確実に形成することの出来るベルト製造方法が提供されることになる。
【0063】
また、この発明によれば、外周に薄いゴム層が形成された可撓性を有するベルトの外周に、合成樹脂製の薄層を確実に形成することの出来るベルト製造方法が提供されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わるフッ素樹脂製チューブ被覆ベルトを構成するベルト基体を取り出して示す断面図である。
【図2】図1に示すベルト基体の構造を拡大した状態で示す断面図である。
【図3】ベルト基体の外周面に接着剤を介してフッ素樹脂製のチューブを被覆したところの、この発明の製造方法で製造する目的物としての構成を示す断面図である。
【図4】中子及び扱きリングの構成を取り出した状態で示す断面図である。
【図5】中子の外周にベルト基材を遊挿した状態で示す断面図である。
【図6】被被覆体の外周面にフッ素樹脂製チューブを緊密に被覆した状態で取り付けた状態を示す断面図である。
【図7】上下一対の封止部材により、ベルト基体の内部を密封した状態で示す断面図である。
【図8】ベルト基体の内部を圧縮空気により加圧している状態を示す断面図である。
【図9】ベルト基体内部を加圧しつつ、接着剤を扱きリングを介して扱いている状態を示す断面図である。
【図10】扱きリングを介して扱き終えた状態を示す断面図である。
【図11】ベルト基体の内部の加圧状態を解除した状態を示す断面図である。
【図12】封止部材による密閉状態を解除した状態を示す断面図である。
【図13】中子を取り外す途中の状態で示す断面図である。
【図14】中子を取り外した後の状態で示す断面図である。
【図15】PFA製チューブの両端をベルト基体内に折り返した状態で示す断面図である。
【図16】図15に示す状態から、係止部材を嵌入した状態で示す断面図である。
【図17】図16に示す工程の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
X 定着ベルト
10 ベルト基体
10A 基材(電鋳ベルト)
10B ゴム弾性層
12 接着剤
14 PFA製チューブ(フッ素樹脂製チューブ)
16 中子
16A 中子本体
16B フランジ部
16C 上面(当接端面)
18 扱きリング
20 押上部材
22 上封止部材
24 下封止部材
26 加圧孔
28 係止部材
30 係止部材(変形例)

Claims (15)

  1. 可撓性を有する薄肉状のベルト基体の外周面に、合成樹脂製チューブを被覆して離型層を有するベルトを製造するベルト製造方法において、
    前記ベルト基体の外周面に接着剤を塗布する第1の工程と、
    前記接着剤を塗布されたベルト基体の外周に合成樹脂製チューブを、該チューブの両端が、前記ベルト基体の両端部から夫々外方に突出するように被覆する第2の工程と、
    前記チューブの両突出端部を、前記ベルト基体の対応する端部において内側に折り返す第3の工程と、
    前記チューブの両折り返し端部を夫々係止する第4の工程と、
    前記チューブの両折り返し端部を夫々係止した状態を維持したままで、前記接着剤を加熱して硬化させる第5の工程と、
    を具備することを特徴とするベルト製造方法。
  2. 前記第2及び第3の工程の間に実施され、扱きリングを、前記ベルト基体の外周に被覆された前記合成樹脂製チューブの外周の一端に嵌合させ、該扱きリングを該ベルト基体の軸方向に沿って他端に向けて移動させて、前記接着剤を該ベルト基体と該合成樹脂製チューブとの間で扱く扱き工程を更に具備することを特徴とする請求項1に記載のベルト製造方法。
  3. 前記合成樹脂は、フッ素樹脂を含む事を特徴とする請求項1又は2に記載のベルト製造方法。
  4. 前記ベルト基体は、薄肉状の基材と、この基材の少なくとも最外周に配設されたゴム弾性層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のベルトの製造方法。
  5. 前記基材は、その肉厚が300μm以下に設定されていることを特徴とする請求項4に記載のベルトの製造方法。
  6. 前記合成樹脂製チューブは、少なくとも径方向に沿う弾性を有し、前記ベルト基体への被覆前の段階において、該ベルト基体の外径よりも径小な外径を有して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト製造方法。
  7. 前記基材は、金属製のベルトであることを特徴とする請求項4に記載のベルト製造方法。
  8. 前記金属製の基材は、ニッケル電鋳製のベルトであることを特徴とする請求項7に記載のベルト製造方法。
  9. 前記基材は、合成樹脂製のベルトであることを特徴とする請求項1に記載のベルト製造方法
  10. 前記合成樹脂製の基材は、ポリイミド製のベルトであることを特徴とする請求項9に記載のベルト製造方法。
  11. 前記第4の工程において、前記チューブの両折り返し端部の内周に夫々截頭円錐形状の嵌合体を嵌入し、対応する折り返し端部の内径部分を係止することを特徴とする請求項1に記載のベルト製造方法。
  12. 前記嵌合体は、大円の直径が、前記ベルト基体の内直径よりも径大に、且つ、小円の直径が、前記ベルト基体の内直径よりも径小に、夫々設定されていることを特徴とする請求項11に記載のベルト製造方法。
  13. 前記嵌合体は、中実状に形成されていることを特徴とする請求項11又は12に記載のベルト製造方法。
  14. 前記第4の工程において、前記チューブの両折り返し端部の外周に夫々、中空状の截頭円錐形状の嵌合体を嵌め、対応する折り返し端部の外径部分を係止することを特徴とする請求項1に記載のベルト製造方法。
  15. 前記嵌合体は、大円の内直径が、前記ベルト基体の外直径よりも径大に、且つ、小円の直径が、前記ベルト基体の外直径よりも径小に、夫々設定されていることを特徴とする請求項14に記載のベルト製造方法。
JP2001211225A 2001-07-11 2001-07-11 ベルト製造方法 Expired - Fee Related JP3835527B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001211225A JP3835527B2 (ja) 2001-07-11 2001-07-11 ベルト製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001211225A JP3835527B2 (ja) 2001-07-11 2001-07-11 ベルト製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003025442A JP2003025442A (ja) 2003-01-29
JP3835527B2 true JP3835527B2 (ja) 2006-10-18

Family

ID=19046578

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001211225A Expired - Fee Related JP3835527B2 (ja) 2001-07-11 2001-07-11 ベルト製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3835527B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006008898A1 (ja) * 2004-07-16 2006-01-26 Nok Corporation 密封装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003025442A (ja) 2003-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4381961A (en) Printing cylinder with an outside covering and a method and apparatus for applying a covering on a cylinder surface
JPS61297118A (ja) 合成樹脂製薄肉内管を備えたホ−スの製造方法
JP4094457B2 (ja) フッ素樹脂被覆ローラの製造方法及びフッ素樹脂被覆ローラ
US20130264836A1 (en) Semiconductor Die Collet and Method
JP3835527B2 (ja) ベルト製造方法
JP2005238765A (ja) 基材へのチューブの被覆方法及びそれを用いて製造した定着ベルト
JP4347533B2 (ja) ベルト製造方法
JP4412518B2 (ja) フッ素樹脂製チューブ被覆ロールの製造方法
JP2004223963A (ja) フッ素樹脂被覆層の形成方法及びフッ素樹脂被覆ローラおよびベルト
JP2002036361A (ja) フッ素樹脂製チューブ被覆ベルトの製造方法
US20220072808A1 (en) Composite material structure manufacturing jig, method of manufacturing the same, and method of manufacturing composite material structure
JP3299103B2 (ja) 円筒形状物及び円筒形状物の製造方法及び画像形成装置用のフィルム
JP2002036383A (ja) フッ素樹脂製チューブ被覆ベルトの製造方法
WO2014083662A1 (ja) 成形用治具の製造方法
JP2007055008A (ja) 複合型光学素子の離型方法および金型装置
JPH072068Y2 (ja) 塗装用ロール
JPH08325531A (ja) 取付面への要素の取付方法および装置
JPH04168040A (ja) 樹脂チューブ被覆ローラの製造方法
JP2991455B2 (ja) 複合型光学素子の成形方法
JPH06134869A (ja) フッ素樹脂の接合方法
JP2018011486A (ja) クロージャの補修用部材、加熱部材、封止部材、及び、クロージャの補修方法。
JP2019059569A (ja) ベルトの製造方法
JPH0312543B2 (ja)
JPH04119824A (ja) 口金付frp円筒成形方法
JP2001082449A (ja) ローラの製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060622

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060718

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3835527

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090804

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100804

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110804

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120804

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120804

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130804

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees