JP3835233B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、予め定められた風量特性に応じて送風機のブロワモータに印加するブロワ電圧を算出し、この算出したブロワ電圧に応じて送風機のブロワモータを自動制御するようにした車両用空調装置に関するもので、特にオート風量モード時に、ユーザーが風量を手動設定した場合、ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を以後のオート空調制御に反映するように、上記の風量特性を学習変更するようにした学習オートエアコン装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両用空調装置として、予め定められた風量特性に応じて送風機のブロワモータに印加するブロワ電圧を算出し、この算出したブロワ電圧に応じて送風機のブロワモータを自動制御することで、各吹出口より吹き出される空気の風量を自動コントロールするようにしたオート風量モード時に、ユーザーが風量を手動設定(手動操作)した場合、ユーザーの手動操作による空調制御量を以後のオート風量制御に反映するように、上記の風量特性を学習変更するようにした学習オートエアコン装置(特開平7−329539号公報)が提案されている。なお、その学習オートエアコン装置は、オート空調制御モード時のユーザーの手動操作による空調制御量をその都度、記憶媒体(メモリ)に記憶していき、記憶媒体の記憶容量が限界に達すると、記憶媒体に記憶された過去の操作情報は平均化され、補正量を算出するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の学習オートエアコン装置においては、記憶媒体に記憶される記憶容量が十分多ければ、非常に多くのユーザーの手動操作からユーザーの好みに合ったオート風量制御を再現することができるが、多くの記憶容量を確保するための高価な記憶媒体が必要となるので、コストアップとなるという問題が生じている。
【0004】
【発明の目的】
本発明の目的は、送風機の風量が低風量領域である空調制御量の変化が分かり易い領域、すなわち、乗員(ユーザー)にとって風量変化が分かり易い領域を忠実に学習変更することのできる車両用空調装置を提供することにある。また、高価な記憶媒体を不要とすることでコストダウンを図ることのできる車両用空調装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、車両の車室内に送風する送風機と、この送風機風量特性を記憶する制御特性記憶手段と、この制御特性記憶手段に記憶されている前記風量特性に応じて前記送風機の風量を自動制御する自動制御手段と、ユーザーが前記送風機の風量を手動操作または手動設定する手動設定手段と、前記送風機の風量が前記風量特性に応じて自動制御されている時、前記ユーザーが前記送風機の風量を手動操作または手動設定した場合に、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を記憶し、且つ前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を以後の空調制御に反映するために、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量に対する前記風量特性への学習変更の割合を示す寄与度に基づいて前記風量特性を学習変更する制御特性変更手段とを備え、
前記制御特性変更手段は、
前記送風機の風量が低風量領域ではない場合には、所定の寄与度で前記風量特性を学習変更し、
前記送風機の風量が低風量領域の場合には、前記送風機の風量が低風量領域ではない場合に比べて寄与度を大きくして前記風量特性を学習変更することをその要旨とする。
ここで、図16に示したように、上記の自動制御手段は、例えば少なくともFACEモード、B/Lモード、FOOTモード等の吹出口モードを検出する吹出モード検出手段と、車室内の空調状態に影響を及ぼす空調環境条件を検出する環境条件検出手段と、この環境条件検出手段の検出信号に基づいて車室内へ吹き出す空気の目標吹出温度情報を演算する目標吹出温度情報演算手段とを含んで構成することが望ましい。
また、上記の制御特性記憶手段として、例えば前記目標吹出温度情報演算手段が演算した前記目標吹出温度情報と前記送風機のブロワ電圧との相対的関係である風量特性を前記目標吹出温度情報の複数のポイントで記憶している風量特性記憶手段を用いることが望ましい。
また、上記の自動制御手段として、例えば前記風量特性記憶手段が記憶している前記風量特性に基づいて前記送風機の風量を決定する風量決定手段を用いることが望ましい。また、上記の手動設定手段として、例えば前記送風機の風量を手動設定する風量手動設定手段を用いることが望ましい。また、上記の空調手段のアクチュエータとして、例えば前記風量決定手段および前記風量手動設定手段の各出力信号に基づいて前記送風機の駆動を制御する(送風機)駆動手段を用いることが望ましい。
また、上記の制御特性変更手段として、例えば前記風量特性のうちの所定の前記ポイント間の領域内で前記風量手動設定手段によって風量が変更された時、前記環境条件検出手段の検出信号および前記吹出モード検出手段の検出信号を加味しながら、前記領域の両端に位置する前記ポイントにおける前記ブロワ電圧を学習変更する風量特性変更手段を用いることが望ましい。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、送風機の風量が低風量領域ではない場合には、所定の寄与度で送風機の風量特性を学習変更し、また、送風機の風量が低風量領域の場合には、送風機の風量が低風量領域ではない場合に比べて寄与度を大きくして送風機の風量特性を学習変更することにより、低風量領域である25℃前後の吹出温度等の空調制御量の変化が分かり易い領域、すなわち、乗員(ユーザー)にとって風量変化が分かり易い領域を忠実に学習変更することができる。また、ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量をその都度記憶する記憶媒体と比べて、制御特性記憶手段を構成する記憶媒体に記憶する記憶容量を低減することができるので、高価な記憶媒体が不要となり、コストダウンを図ることができる。
また、請求項2および請求項3に記載の発明によれば、ユーザーの手動操作または手動設定が、送風機の風量が低風量領域の場合で、しかも送風機の風量が低風量である程、ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を大きくしている。
【0007】
請求項4、請求項5および請求項6に記載の発明によれば、ユーザーの手動操作または手動設定が複数あった時に、上記の送風機の風量が低風量領域でのユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を、上記の送風機の風量が低風量領域ではない領域でのユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度に比べて大きくすることにより、低風量領域である25℃前後の吹出温度等の空調制御量の変化が分かり易い領域、すなわち、乗員(ユーザー)にとって風量変化が分かり易い領域を忠実に学習変更することができる。また、ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量をその都度記憶する記憶媒体と比べて、制御特性記憶手段を構成する記憶媒体に記憶する記憶容量を低減することができるので、高価な記憶媒体が不要となり、コストダウンを図ることができる。
【0008】
請求項7に記載の発明によれば、ユーザーの手動操作または手動設定が複数あった時に、上記の送風機の風量が低風量領域でのユーザーの手動操作または手動設定の記憶期間を、上記の送風機の風量が低風量領域ではない領域でのユーザーの手動操作または手動設定の記憶期間に比べて長くすることにより、低風量領域である25℃前後の吹出温度等の空調制御量の変化が分かり易い領域、すなわち、乗員(ユーザー)にとって風量変化が分かり易い領域を、限られた記憶容量でも学習変更し易くなる。また、ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量をその都度記憶する記憶媒体と比べて、制御特性記憶手段を構成する記憶媒体に記憶する記憶容量を低減することができるので、高価な記憶媒体が不要となり、コストダウンを図ることができる。
【0009】
請求項、請求項および請求項1に記載の発明によれば、ユーザーの手動操作または手動設定が、環境条件に変化がない時間が長かった後である程、ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を大きくすることにより、長い時間、現在の空調制御量を続けた結果、ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を変更した場合のユーザーの手動操作または手動設定は、ユーザーの好みを正確に反映していると判断することができ、その空調制御量を忠実に学習変更することができる。
【0010】
請求項1、請求項1および請求項1に記載の発明によれば、ユーザーの上半身への吹出割合の多い吹出口モードでのユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を、ユーザーの上半身への吹出割合の少ない吹出口モードでのユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度に比べて大きくすることにより、ユーザーが空調制御量を感じ易い、ユーザーの上半身への吹出割合の多い吹出口モード(例えばFACEモードまたはB/Lモード)での、ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を忠実に学習変更することができる。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、送風機の風量特性を学習変更しない場合、あるいはユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を学習しない場合、あるいはその学習量を減らす場合には、学習インジケータを消灯または点滅または減光させるか、あるいは操作音を小さくすることにより、ユーザーに、ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を忠実に学習変更していないことを報知することで、ユーザーのシステムに対する不信感を和らげることができる。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量の記憶、あるいは新しい制御パターンの演算を、車外の演算装置によって行うことにより、車両に搭載された空調制御装置の演算負荷、記憶媒体の記憶容量を低減することができる。また、請求項1に記載の発明によれば、学習感度を設定可能な手段を設けることにより、学習量の規制による誤学習を防止することができる。これによっても、記憶媒体に記憶する記憶容量を低減することができる。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、予め記憶された基準の制御値に対してどれだけ異なった制御値まで、以後の空調制御に反映可能かを設定可能な手段を設けることにより、学習範囲を規制することによる誤学習を防止することができる。これによっても、記憶媒体に記憶する記憶容量を低減することができる。また、請求項18に記載の発明によれば、ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を以後の空調制御に反映する時に、ユーザー判別手段によって各ユーザー毎にこれまでの各ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が反映されることにより、他のユーザーの手動操作または手動設定による誤学習を防止することができる。これによっても、記憶媒体に記憶する記憶容量を低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
[第1実施形態の構成]
図1ないし図7は本発明の第1実施形態を示したもので、図2は自動車等の車両に搭載されたオートエアコン装置の概略構成を示した図である。
【0015】
本実施形態のオートエアコン装置は、エンジンを搭載する自動車等の車両の車室内を空調する空調ユニット1における各空調機器(アクチュエータ)を、電子制御ユニット(以下エアコンECUと言う)10によって電気的に制御することで、オート(またはマニュアル)で車室内の空調能力を制御することができるように構成されている。
【0016】
空調ユニット1は、内部に空気通路を形成する空調ダクト2を有している。この空調ダクト2の最上流側には、内外気切替ドア3が設置されている。この内外気切替ドア3は、外気導入口4と内気導入口5とが分かれた部分に配置されて、図示しないサーボモータ等のアクチュエータにより空調ダクト2に導入する空気の内気と外気との割合を選択する内外気切替手段である。
【0017】
内外気切替ドア3よりも下流側には、遠心式送風機を構成するブロワモータ6、およびこのブロワモータ6により回転駆動される遠心式ファン7が設けられている。ブロワモータ6および遠心式ファン7は、空調ダクト2内に空気を吸い込んで空調ダクト2の下流側に送風するものであり、遠心式ファン7の下流側にエバポレータ8とヒータコア9とが設けられている。
【0018】
エバポレータ8は、所謂冷凍サイクルの冷媒蒸発器で、その冷凍サイクルの作動に応じ、遠心式ファン7より送られてきた空気を冷却(冷房)する冷却用熱交換器である。なお、冷凍サイクルは、図示しないコンプレッサ(冷媒圧縮機)、コンデンサ(冷媒凝縮器)、レシーバ(受液器)、エキスパンション・バルブ(膨張弁)等を備えている。また、冷凍サイクルの起動は、コンプレッサの図示しない電磁クラッチへのオンによりエンジンの回転動力がコンプレッサに伝達されることによって開始される。
【0019】
また、ヒータコア9は、エンジン冷却水が内部を循環し、自身を通過する空気を加熱(暖房)する加熱用熱交換器である。ヒータコア9の上流側には、エアミックス(A/M)ドア11が設けられており、A/Mドア11の開度は図示しないサーボモータ等のアクチュエータにより調節され、これによってヒータコア9を通過する空気量とヒータコア9を迂回する空気量との割合が調整され、空調ダクト2の最下流で開口した各吹出口より車室内に向かって吹き出される空気の吹出温度がコントロールされる。
【0020】
空調ダクト2の最下流では、デフロスタ(DEF)吹出口12、フェイス(FACE)吹出口13およびフット(FOOT)吹出口14が開口している。それらのDEF吹出口12、FACE吹出口13およびFOOT吹出口14の上流側には、デフロスタ(DEF)用のモード切替ドア15、フェイス(FACE)用のモード切替ドア16およびフット(FOOT)用のモード切替ドア17がそれぞれ設けられている。
【0021】
そして、温度コントロールされた空気は、これらの各モード切替ドア15〜17を図示しないサーボモータ等のアクチュエータにより駆動することによって、例えばデフロスタ(DEF)モード、フェイス(FACE)モード、バイレベル(B/L)モード、フット(FOOT)モード、フットデフ(F/D)モード等の各吹出口モードにて吹き出される。
【0022】
エアコンECU10の内部には、図示しない中央演算処理装置(CPU)、ROM(またはEEPROM)、RAM、スタンバイRAM、I/Oポート、A/D変換回路等の機能を含んで構成される、それ自体は周知の構造のマイクロコンピュータ21を内蔵している。ここで、遠心式ファン7の送風量(つまりブロワモータ6への印加電圧:ブロワ電圧)は、マイクロコンピュータ21からの出力信号に基づいてブロワモータ6を駆動するブロワ駆動回路22によって電気的に制御されるように構成されている。
【0023】
スタンバイRAMは、イグニッションスイッチ(以下IGと記す)オフの場合においても、乗員の好みを学習した値を記憶(バックアップ)するためのRAMであり、IGがオフであってもバッテリーからIGを介さずに直接電源が供給される。また、バッテリーより電源が外された状況でも、短時間ならばマイクロコンピュータ21には電源が供給されるような図示しないバックアップ用の電源から構成されている。
【0024】
マイクロコンピュータ21の入力回路には、操作部(エアコン操作パネル)23からの出力信号が入力されるように構成されている。その操作部23は、図示しない内外気モードを内気循環モードまたは外気導入モードのうちのいずれかに設定するための手動内外気切替スイッチ、吹出口モードをDEFモード、FACEモード、B/Lモード、FOOTモード、F/Dモードのうちのいずれかに設定するための手動吹出口モード切替スイッチ(DEF、FACE、B/L、FOOT、F/D)、手動送風量切替スイッチ等から構成される。
【0025】
また、マイクロコンピュータ21には、車両の車室内の空調に影響を及ぼす環境条件が、車室内の空気温度を検出する内気温センサ(内気温度検出手段)24、車室外の空気温度を検出する外気温センサ(外気温度検出手段)25、車室内に入射する日射量を検出する日射センサ(日射量検出手段)26、図示しないエバ後温度センサよりそれぞれのレベル変換回路28を介して入力され、これらはマイクロコンピュータ21においてA/D変換され環境条件が読み込まれる。
【0026】
また、乗員の好みの温度は、車室内の温度を所望の温度に設定するための温度設定スイッチ(温度設定手段)27より入力され、レベル変換回路28でレベル変換され、マイクロコンピュータ21に入力される。また、操作部23には、乗員により車室内に吹き出す空気の風量の手動設定が可能な空調操作スイッチとしての風量アップスイッチおよび風量ダウンスイッチ(いずれも図示せず)が設けられている。その風量アップスイッチは、1回押される毎にブロワ電圧(ブロワモータ6への印加電圧)を1レベル(0.25V)上げる信号をマイクロコンピュータ21の入力回路に出力し、風量ダウンスイッチは、1回押される毎にブロワ電圧(ブロワモータ6への印加電圧)を1レベル(0.25V)下げる信号をマイクロコンピュータ21の入力回路に出力する。
【0027】
また、操作部23には、乗員の指示(マニュアル操作)を制御特性中に反映する学習モードの実施または解除を指令するための押しボタンスイッチ(押圧ノブ:以下学習スイッチと言う)、および点灯または消灯することで学習モード状態か学習モード解除状態かを知らせる発光ダイオード(LED)等よりなる学習モードインジケータ(いずれも図示せず)等から構成されている。
【0028】
また、操作部23には、予め定められた制御特性に基づいて空調ユニット1の各アクチュエータを自動コントロールするオート制御を設定するための押しボタンスイッチ(以下オートスイッチと言う)、および点灯または消灯することで現在の空調状態がオート制御状態かマニュアル制御状態かを知らせる発光ダイオード(LED)等よりなるオートインジケータ(いずれも図示せず)等から構成されている。
【0029】
[第1実施形態の制御方法]
次に、本実施形態のオートエアコン装置の制御方法を図1ないし図7に基づいて簡単に説明する。ここで、図3は本実施形態の基本的な制御プログラム(ソフトウェア)を示したフローチャートであり、図3のフローチャートを以下に説明する。
【0030】
マイクロコンピュータ21は、IGオンと共にステップ100にて制御を開始し、ステップ110に進み、各種変換、フラグ等の初期値を設定する(初期設定手段)。次のステップ150では、内気温センサ24、外気温センサ25、日射センサ26およびエバ後温度センサからのセンサ信号により環境条件を入力し、操作部23および温度設定スイッチ27より各手動操作スイッチの状態を入力する。
【0031】
次のステップ200では、ステップ150で入力した環境条件より車室内に吹き出す空気の目標吹出温度(TAO)を下記の数1の式に従って演算する(目標吹出温度決定手段)。
【数1】
Figure 0003835233
【0032】
但し、KSET、KR、KAM、KSは係数、Cは定数であり、TSETは温度設定スイッチ27によって設定される車室内の設定温度で、TRは内気温センサ24によって検出された車室内の空気温度(内気温度:以下内気温と言う)で、TAMは外気温センサ25によって検出された車室外の空気温度(外気温度:以下外気温と言う)で、TSは日射センサ26によって検出された車室内の日射量である。
【0033】
次に、ステップ300に進み、オート空調制御モード(以下オートモードと略す)時には、TAOに対してA/Mドア11の開度が演算され、この開度となるようにA/Mドア11を制御し、各吹出口12〜14から車室内へ吹き出される空気の吹出温度をコントロールする。
【0034】
次に、ステップ400に進み、オートモード時には、遠心式ファン7の送風量(ブロワ風量)を演算し、ブロワ駆動回路22を介してブロワモータ6に接続された遠心式ファン7を回転させ、車室内へ吹き出される送風量を制御する。しかし、乗員が望む送風量には個人差があり一律に決めることは難しい。そこで、本実施形態では、乗員の手動操作または手動設定による空調制御量を記憶し、その乗員の手動操作または手動設定による空調制御量を以後の風量制御に反映する学習制御モード(以下学習モードと略す)時に、乗員の好みの送風量を乗員のマニュアル操作時に学習変更し、乗員の好みを反映した送風(風量、ブロワ電圧)特性になるようにしたものである。この学習モードについては、後で詳細に説明する。
【0035】
次に、ステップ500に進み、オートモード時には、内外気切替ドア3による内外気の導入割合を例えばTAOに応じた導入割合となるように演算する。つまり、内外気モードを内気循環モードまたは外気導入モードまたは内外気導入モードのうちのいずれかに決定する。そして、決定した内外気モードとなるように内外気切替ドア3を制御する。なお、内外気モードが手動(マニュアル操作)で選択されている場合には、選択された内外気モードになるように内外気切替ドア3を制御する。また、乗員の好みの内外気モードを乗員のマニュアル操作時に学習し、乗員の好みを反映した内外気特性になるようにしても良い。
【0036】
次に、ステップ600に進み、オートモード時には、吹出口モードの状態を例えばTAOに応じた状態となるように演算する。つまり、吹出口モードをFACEモードまたはB/LモードまたはFOOTモードまたはF/DモードまたはDEFモードのうちのいずれかに決定する。そして、決定した吹出口モードとなるように各モード切替ドア15〜17を制御する。なお、吹出口モードが手動(マニュアル操作)で選択されている場合には、選択された吹出口モードになるように各モード切替ドア15〜17を制御する。また、乗員の好みの吹出口モードを乗員のマニュアル操作時に学習し、乗員の好みを反映した吹出口特性になるようにしても良い。
【0037】
次に、ステップ700に進み、オートモード時には、図示しないコンプレッサの制御を行う。例えばエバ後温度センサによって検出したエバ後温度(エバポレータ8の下流直後の空気温度またはエバポレータ8のフィン温度:TE)が3℃以下に低下したらコンプレッサの電磁クラッチをOFFし、前述のエバ後温度(TE)が4℃以上に上昇したら電磁クラッチをONするように制御する。
【0038】
そして、ステップ700の処理後、ステップ150に戻って再び各種信号を読み込み、それによりステップ200でTAOを演算し、以下このTAOとステップ150により読み込まれた操作スイッチの状態によってステップ300、400、500、600、700により車室内の空調能力の制御が繰り返される。
【0039】
次に、本実施形態の遠心式送風機のブロワモータ6への印加電圧を吹出口モードに応じて電気的に制御するブロワ電圧制御方法を図2ないし図7に基づいて簡単に説明する。ここで、図4ないし図6はブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートであり、このブロワ風量制御を以下に説明する。
【0040】
先ず、ステップ410では、現在の吹出口モードが、FACE吹出口13から空調風(主に冷風)が乗員の頭胸部に向けて吹き出されるFACEモードであるか否かを判定する。そして、現在の吹出口モードがFACEモードであればステップ411へ進み、ブロワ風量が手動で操作されたか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップ412へ進み、FACEモード時のブロワ電圧算出マップ(図7(a)参照)を変更し、ステップ413へ進み、ブロワ電圧VFを算出する。次に、ステップ460へ進み、ブロワ電圧VFを出力し、ステップ500へ進む。
【0041】
また、ステップ420では、現在の吹出口モードが、FACE吹出口13から空調風(主に冷風)が乗員の頭胸部に向けて吹き出され、且つFOOT吹出口14から空調風(主に温風)が乗員の足元部に向けて吹き出されるB/Lモードであるか否かを判定する。そして、現在の吹出口モードがB/Lモードであればステップ421へ進み、ブロワ風量が手動で操作されたか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップ422へ進み、B/Lモード時のブロワ電圧算出マップ(図7(b)参照)を変更し、ステップ423へ進み、ブロワ電圧VFを算出する。次に、ステップ460へ進み、ブロワ電圧VFを出力し、ステップ500へ進む。
【0042】
また、ステップ430では、現在の吹出口モードが、FOOT吹出口14から空調風(主に温風)が乗員の足元部に向けて吹き出されるFOOTモードであるか否かを判定する。そして、現在の吹出口モードがFOOTモードであればステップ431へ進み、ブロワ風量が手動で操作されたか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップ432へ進み、FOOTモード時のブロワ電圧算出マップ(図7(c)参照)を変更し、ステップ433へ進み、ブロワ電圧VFを算出する。次に、ステップ460へ進み、ブロワ電圧VFを出力し、ステップ500へ進む。
【0043】
また、ステップ440では、現在の吹出口モードが、DEF吹出口12から空調風(主に温風)がフロントウインドウの内面に向けて吹き出され、且つFOOT吹出口14から空調風(主に温風)が乗員の足元部に向けて吹き出されるF/Dモードであるか否かを判定する。そして、現在の吹出口モードがF/Dモードであればステップ441へ進み、ブロワ風量が手動で操作されたか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップ442へ進み、F/Dモード時のブロワ電圧算出マップ(図7(d)参照)を変更し、ステップ443へ進み、ブロワ電圧VFを算出する。次に、ステップ460へ進み、ブロワ電圧VFを出力し、ステップ500へ進む。
【0044】
また、ステップ451では、それまでのモード判定から吹出口モードは、DEF吹出口12から空調風(主に温風)がフロントウインドウの内面に向けて吹き出されるDEFモードであるので、ブロワ風量が手動で操作されたか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップ452へ進み、DEFモード時のブロワ電圧算出マップ(図7(e)参照)を変更し、ステップ453へ進み、ブロワ電圧VFを算出する。次に、ステップ460へ進み、ブロワ電圧VFを出力し、ステップ500へ進む。
【0045】
次に、本実施形態の学習モード時の学習変更制御方法を簡単に説明する。オート風量モード時に、乗員がブロワ風量を手動操作(設定)すると、オートインジケータが消灯(OFF)し、その乗員の所望するブロワ風量(ブロワ電圧VF)となるようにブロワモータ6の印加電圧を制御する。そして、乗員の手動操作が終了してから3〜5秒間が経過したら、手動操作に応じてブロワ電圧特性を学習変更しても良いかどうかを乗員へ報知するために、学習モードインジケータを点滅させるのと同時にブザー音を鳴らす。
【0046】
ここで、何らかの理由によって上記の学習変更を禁止したい場合には、乗員への報知が開始されてから2秒以内に乗員が学習スイッチを押すことによって上記の学習変更を禁止することができる。また、乗員への報知が開始されてから2秒を越えてから学習スイッチを押した場合には、後述するようにブロワ電圧マップのブロワ電圧特性は学習変更される。以上により、乗員がブロワ風量を自分の好みの風量に手動設定した場合には、手動設定完了後所定時間(例えば5秒間)経過後にオート風量モード時のブロワ電圧特性を乗員の好みを反映した特性に変更することができる。
【0047】
次に、本実施形態のブロワ電圧(風量)マップの学習変更制御を図1ないし図7に基づいて簡単に説明する。ここで、図1は風量マップの学習変更制御の概略を示したフローチャートであり、この風量マップの学習変更制御を以下に説明する。
【0048】
図1のフローチャートのステップS11において、ブロワ電圧(風量)マップに応じて遠心式送風機のブロワモータ6への印加電圧を自動コントロールするオート風量モード時に、乗員がブロワ風量を自分の好みの風量に手動操作(または手動設定)したか否かを判定する。すなわち、乗員が風量アップスイッチを1回以上押して、ブロワモータ6に印加するブロワ電圧を1レベル(0.25V)以上上げたか否かを判定する。あるいは、乗員が風量ダウンスイッチを1回以上押して、ブロワ電圧を1レベル(0.25V)以上下げたか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップS12において、乗員の手動操作後のブロワレベルが、乗員にとって風量変化(ブロワ風量の変化)が分かり易い領域(ブロワ風量が低風量領域である吹出温度が25℃前後の吹出温度等の空調制御量の変化が分かり易い領域)であるか否かを判定する。つまり、ブロワレベルが所定値(例えば10レベル)以下であるか否かを判定する。
【0049】
この判定結果がYESの場合、つまり乗員にとってブロワ風量変化が分かり易い領域(ブロワ風量が低風量域)の場合には、ステップS13において、上記の手動設定による風量操作量は、ブロワ電圧(風量)マップ形成の寄与度の大きい操作データであると判断する。また、その判定結果がNOの場合、つまり乗員にとってブロワ風量の変化が分かり難い領域の場合には、ステップS14において、上記の手動設定による風量操作量は、ブロワ電圧(風量)マップ形成の寄与度の小さい操作データであると判断する。次に、ステップS15において、風量マップ形成の寄与度の大きい操作点を通るように制御パターンを変更することで、乗員にとってブロワ風量の変化分かり易い操作点を通るように風量マップが形成される。通常、乗員の手動操作の何割かを学習変更するが、ブロワ風量が低風量域ではない場合には20〜50%だけブロワ電圧(風量)マップの風量特性を学習変更し、また、ブロワ風量が低風量域の場合には100%ブロワ電圧(風量)マップの風量特性を学習変更する。
【0050】
以上のように、本実施形態のオートエアコン装置においては、乗員の手動操作が、乗員にとってブロワ風量変化が分かり易い領域(ブロワ風量が低風量域)である程、乗員の手動操作による風量操作量が以後の風量オート制御に反映される寄与度を大きくすることにより、低風量領域である25前後の吹出温度等空調制御量の変化が分かり易い領域、すなわち、乗員にとってブロワ風量の変化が分かり易い領域を忠実に学習変更することができる。また、乗員の手動操作による風量操作量(空調制御量をその都度記憶する記憶媒体と比べて、マイクロコンピュータ21に内蔵されたスタンバイRAM(記憶媒体)に記憶する記憶容量を低減することができるので、高価な記憶媒体が不要となり、コストダウンを図ることができる。
【0051】
[第2実施形態]
図8ないし図11は本発明の第2実施形態を示したもので、図8ないし図10はブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである。
【0052】
本実施形態では、吹出口モードとしてDEFモードが必要な場合には、ブロワ風量がHIレベルに固定されていれば、ブロワ風量を手動操作する可能性は少ないので、図4のフローチャートのうちステップ451およびステップ452を廃止するようにしても良い。
【0053】
ここで、ブロワ電圧(風量)マップの学習変更方法は、次のような方法で行うようにしても良い。学習制御方法について図11に基づいて説明する。出荷時の特性は、図11のオリジナルパターンで表される。今、乗員によって1回目の操作が行われた時を考える。乗員が図11(a)のようにブロワ風量を下げると、操作点1を通るようにオリジナルパターンの傾斜の部分を平行移動させる。この操作を学習した以後のブロワ電圧(風量)特性は図11(a)の太い実線のようになる。
【0054】
次に、乗員によって2回目の操作(図11(b)のようにブロワ風量を下げたとする)が行われると、1回目の学習パターンを操作点1、操作点2を通るように傾きを変更する。この操作を学習した以後のブロワ電圧(風量)特性は図11(b)の太い実線のようになる。さらに、乗員によって3回目の操作(図11(c)のようにブロワ風量を下げたとする)が行われると、2回目の学習パターンを操作点1、操作点2、操作点3を最小2乗近似する傾きに変更する。この操作を学習した以後のブロワ電圧(風量)特性は図11(c)の太い実線のようになる。なお、3回以上の操作に対しては、各操作点を最小2乗近似する傾きを求める。
【0055】
[第3実施形態]
図12は本発明の第3実施形態を示したもので、図12は風量マップの学習変更制御の概略を示したフローチャートである。
【0056】
図12のフローチャートのステップS21において、第1実施形態と同様にして、オート風量モード時に、乗員がブロワ風量を自分の好みの風量に手動操作したか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップS22において、乗員の手動操作後のブロワレベルが、乗員にとってブロワ風量変化が分かり易い領域(ブロワ風量が低風量である25℃前後の吹出温度の空調制御量の変化が分かり易い領域)であるか否かを判定する。つまり、ブロワレベルが所定値(例えば10レベル)以下であるか否かを判定する。
【0057】
この判定結果がYESの場合、つまり乗員にとってブロワ風量変化が分かり易い領域(ブロワ風量が低風量域)の場合には、ステップS23において、上記の手動設定による風量操作量は、風量マップ形成の寄与度の大きい操作データであると判断する。また、その判定結果がNOの場合、つまり乗員にとってブロワ風量変化が分かり難い領域の場合には、ステップS24において、上記の手動設定による風量操作量は、風量マップ形成の寄与度の小さい操作データであると判断する。次に、ステップS25において、乗員にとってブロワ風量変化分かり易い操作ポイントを通るように風量マップが形成され、単純な風量マップでも、乗員の好みを反映したブロワ電圧(風量)特性になる。以上により、乗員が感じ易い空調領域が忠実に学習変更され、少ない記憶容量のスタンバイRAM(記憶媒体)を有する低価格なマイクロコンピュータ21でも乗員の好みを反映させることができる。
【0058】
[第4実施形態]
図13は本発明の第4実施形態を示したもので、図13は風量マップの学習変更制御の概略を示したフローチャートである。
【0059】
図13のフローチャートのステップS31において、第1実施形態と同様にして、オート風量モード時に、乗員がブロワ風量を自分の好みの風量に手動操作したか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップS32において、乗員の手動操作後のブロワレベルが、乗員にとってブロワ風量変化が分かり易い領域(ブロワ風量が低風量である25℃前後の吹出温度の空調制御量の変化が分かり易い領域)であるか否かを判定する。つまり、ブロワレベルが所定値(例えば10レベル)以下であるか否かを判定する。
【0060】
この判定結果がYESの場合、つまり乗員にとってブロワ風量変化が分かり易い領域(ブロワ風量が低風量域)の場合には、ステップS33において、操作データの記憶時間の長いデータとする。また、その判定結果がNOの場合、つまり乗員にとってブロワ風量変化が分かり難い領域の場合には、ステップS34において、操作データの記憶時間の短いデータとする。次に、ステップS35において、例えば操作ポイント(操作点)が3点記憶可能な場合、4回目に操作された領域が低風量域の場合に、例えば3番目に操作されたデータが高風量域の時はこれを削除する。以上により、少ない記憶容量のスタンバイRAM(記憶媒体)を有する低価格なマイクロコンピュータ21においても、乗員の好みをほぼ再現することができる。
【0061】
[第5実施形態]
図14は本発明の第5実施形態を示したもので、図14は風量マップの学習変更制御の概略を示したフローチャートである。
【0062】
図14のフローチャートのステップS41において、第1実施形態と同様にして、オート風量モード時に、乗員がブロワ風量を自分の好みの風量に手動操作したか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップS42において、安定状態で手動操作されたか否かを判定するために、環境条件に変化がない時間が長いか否かを判定する。つまり、ブロワレベルが最後に変化してから所定時間(例えば30秒間)が経過しているか否かを判定する。なお、ブロワレベルの±1レベル以内の変化なら安定状態と判断する等、安定状態と判断する範囲を設定しても良い。
【0063】
この判定結果がYESの場合には、安定状態で手動操作されたブロワ風量は、操作前が不満であった可能性が非常に高いと判断し、ステップS43において、上記の手動設定による風量操作量は、風量マップ形成の寄与度の大きい操作データであると判断する。また、その判定結果がNOの場合には、ブロワ風量変化中に手動操作されたブロワ風量は、どのくらい不満があったか分かり難いと判断し、ステップS44において、上記の手動設定による風量操作量は、風量マップ形成の寄与度の小さい操作データであると判断する。次に、ステップS45において、寄与度の大きい操作点を通り易い風量マップを形成する。以上により、より信用できるデータに基づいた手動操作によって風量マップが形成されるため、より乗員の好みに合った風量特性に近づくのが早くなる。
【0064】
[第6実施形態]
図15は本発明の第6実施形態を示したもので、図15は風量マップの学習変更制御の概略を示したフローチャートである。
【0065】
図15のフローチャートのステップS51において、第1実施形態と同様にして、オート風量モード時に、乗員がブロワ風量を自分の好みの風量に手動操作したか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップS52において、乗員の上半身(特に顔)への空調風の多い吹出口モード(例えばFACEモードまたはB/Lモード)であるか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまり乗員の上半身への空調風の多い吹出口モードで手動操作されたブロワ風量は、FOOTモードまたはF/Dモード等の、乗員にとってブロワ風量変化の分かり難い吹出口モードの時に手動操作された時に比べてより乗員の好みを反映していると判断し、ステップS53において、上記の手動設定による風量操作量は、風量マップ形成の寄与度の大きい操作データであると判断する。
【0066】
また、その判定結果がNOの場合、つまり乗員の上半身への空調風の少ない吹出口モード(例えばFOOTモードまたはF/Dモード等)で手動操作されたブロワ風量は、FACEモードまたはB/Lモード等の、乗員にとってブロワ風量変化の分かり易い吹出口モードの時に手動操作された時に比べて乗員の好みを反映していないと判断し、ステップS54において、上記の手動設定による風量操作量は、風量マップ形成の寄与度の小さい操作データであると判断する。次に、ステップS55において、乗員にとってブロワ風量変化の分かり易い操作データ、つまり寄与度の大きい操作データを通るように風量マップを形成する。以上により、乗員に敏感に感じられる吹出口モードの時に、より風量パターンに乗員の手動操作が反映されるため、早く乗員の好みに合った風量特性となる。
【0068】
[他の実施形態]
本実施形態では、学習した内容をイグニッションスイッチ(IG)のオフ時にも記憶するためのスタンバイRAMを用いたが、スタンバイRAMを用いずに、EPROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ等の不揮発性メモリのような他の記憶媒体を用いても良い。この場合にも、IGのオフ時にバッテリーからの電源の供給が停止しても学習した内容は保存される。
【0069】
本実施形態では、ブロワ風量が低風量領域である25℃前後の吹出温度等の空調制御量の変化が分かり易い領域、すなわち、乗員(ユーザー)にとってブロワ風量化の分かり易い領域を100%学習変更するようにしたが、乗員(ユーザー)にとってブロワ風量変化の分かり難い領域に比べて大きければ60%の学習変更等でも良い。また、本実施形態では、ブロワ風量の手動操作をエアコン操作パネルに設置した空調操作スイッチである風量アップスイッチと風量ダウンスイッチによって行う例を説明したが、エアコン操作パネルの画面上のパネルスイッチや、ナビゲーションシステムの画面上のタッチスイッチや、乗員(ユーザー)の音声によって行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】風量マップの学習変更制御の概略を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図2】オートエアコン装置を示した断面図である(第1実施形態)。
【図3】基本的な制御プログラムを示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図4】ブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図5】(a)、(b)はブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図6】(a)、(b)はブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図7】(a)〜(e)は各吹出口モード時の目標吹出温度に対するブロワ電圧特性のオリジナルパターンを示した特性図である(第1実施形態)。
【図8】ブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである(第2実施形態)。
【図9】(a)、(b)はブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである(第2実施形態)。
【図10】(a)、(b)はブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである(第2実施形態)。
【図11】(a)〜(c)は1〜3回目乗員操作時のブロワ電圧特性の学習後パターンを示した特性図である(第2実施形態)。
【図12】風量マップの学習変更制御の概略を示したフローチャートである(第3実施形態)。
【図13】風量マップの学習変更制御の概略を示したフローチャートである(第4実施形態)。
【図14】風量マップの学習変更制御の概略を示したフローチャートである(第5実施形態)。
【図15】風量マップの学習変更制御の概略を示したフローチャートである(第6実施形態)。
【図16】車両用風量制御装置を示した構成図である。
【符号の説明】
1 空調ユニット
空調ダクト
3 内外気切替ド
6 ブロワモータ(遠心式送風機のアクチュエータ)
7 遠心式ファン(遠心式送風機
8 エバポレー
9 ヒータコ
10 エアコンECU
11 A/Mド
15 モード切替ド
16 モード切替ド
17 モード切替ド
22 ブロワ駆動回路
23 操作部(エアコン操作パネル)

Claims (18)

  1. (a)車両の車室内に送風する送風機と、
    (b)この送風機風量特性を記憶する制御特性記憶手段と、
    (c)この制御特性記憶手段に記憶されている前記風量特性に応じて前記送風機の風量を自動制御する自動制御手段と、
    (d)ユーザーが前記送風機の風量を手動操作または手動設定する手動設定手段と、
    (e)前記送風機の風量が前記風量特性に応じて自動制御されている時、前記ユーザーが前記送風機の風量を手動操作または手動設定した場合に、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を記憶し、且つ前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を以後の空調制御に反映するために、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量に対する前記風量特性への学習変更の割合を示す寄与度に基づいて前記風量特性を学習変更する制御特性変更手段と
    を備え、
    前記制御特性変更手段は、
    前記送風機の風量が低風量領域ではない場合には、所定の寄与度で前記風量特性を学習変更し、
    前記送風機の風量が低風量領域の場合には、前記送風機の風量が低風量領域ではない場合に比べて寄与度を大きくして前記風量特性を学習変更することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 請求項1に記載の車両用空調装置に適用されるソフトウェアまたは制御プログラムであって、
    前記ユーザーの手動操作または手動設定が、前記送風機の風量が低風量領域の場合で、しかも前記送風機の風量が低風量である程、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を大きくすることを特徴とするソフトウェアまたは制御プログラム。
  3. 請求項1に記載の車両用空調装置に適用される空調制御方法であって、
    前記ユーザーの手動操作または手動設定が、前記送風機の風量が低風量領域の場合で、しかも前記送風機の風量が低風量である程、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を大きくすることを特徴とする空調制御方法。
  4. (a)車両の車室内に送風する送風機と、
    (b)この送風機風量特性を記憶する制御特性記憶手段と、
    (c)この制御特性記憶手段に記憶されている前記風量特性に応じて前記送風機の風量を自動制御する自動制御手段と、
    (d)ユーザーが前記送風機の風量を手動操作または手動設定する手動設定手段と、
    (e)前記送風機の風量が前記風量特性に応じて自動制御されている時、前記ユーザーが前記送風機の風量を手動操作または手動設定した場合に、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を記憶し、且つ前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を以後の空調制御に反映するために、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量に対する前記風量特性への学習変更の割合を示す寄与度に基づいて前記風量特性を学習変更する制御特性変更手段と
    を備え、
    前記制御特性変更手段は、
    前記送風機の風量が低風量領域ではない場合には、所定の寄与度で前記風量特性を学習変更し、
    前記送風機の風量が低風量領域の場合には、前記送風機の風量が低風量領域ではない場 合に比べて寄与度を大きくして前記風量特性を学習変更すると共に、
    前記ユーザーの手動操作または手動設定が複数あった時には、前記送風機の風量が低風量領域での前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を、前記送風機の風量が低風量領域ではない領域での前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度に比べて大きくすることを特徴とする車両用空調装置。
  5. 請求項4に記載の車両用空調装置に適用されるソフトウェアまたは制御プログラムであって、
    前記ユーザーの手動操作または手動設定が複数あった時には、前記送風機の風量が低風量領域での前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を、前記送風機の風量が低風量領域ではない領域での前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度に比べて大きくすることを特徴とするソフトウェアまたは制御プログラム。
  6. 請求項4に記載の車両用空調装置に適用される空調制御方法であって、
    前記ユーザーの手動操作または手動設定が複数あった時には、前記送風機の風量が低風量領域での前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を、前記送風機の風量が低風量領域ではない領域での前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度に比べて大きくすることを特徴とする空調制御方法。
  7. (a)車両の車室内に送風する送風機と、
    (b)この送風機風量特性を記憶する制御特性記憶手段と、
    (c)この制御特性記憶手段に記憶されている前記風量特性に応じて前記送風機の風量を自動制御する自動制御手段と、
    (d)ユーザーが前記送風機の風量を手動操作または手動設定する手動設定手段と、
    (e)前記送風機の風量が前記風量特性に応じて自動制御されている時、前記ユーザーが前記送風機の風量を手動操作または手動設定した場合に、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を記憶し、且つ前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を以後の空調制御に反映するために、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量に対する前記風量特性への学習変更の割合を示す寄与度に基づいて前記風量特性を学習変更する制御特性変更手段と
    を備え、
    前記制御特性変更手段は、
    前記送風機の風量が低風量領域ではない場合には、所定の寄与度で前記風量特性を学習変更し、
    前記送風機の風量が低風量領域の場合には、前記送風機の風量が低風量領域ではない場合に比べて寄与度を大きくして前記風量特性を学習変更すると共に、
    前記ユーザーの手動操作または手動設定が複数あった時には、前記送風機の風量が低風量領域での前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量の記憶期間を、前記送風機の風量が低風量領域ではない領域での前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量の記憶期間に比べて長くすることを特徴とする車両用空調装置。
  8. (a)車両の車室内に送風する送風機と、
    (b)この送風機風量特性を記憶する制御特性記憶手段と、
    (c)この制御特性記憶手段に記憶されている前記風量特性に応じて前記送風機の風量を自動制御する自動制御手段と、
    (d)ユーザーが前記送風機の風量を手動操作または手動設定する手動設定手段と、
    (e)前記送風機の風量が前記風量特性に応じて自動制御されている時、前記ユーザーが前記送風機の風量を手動操作または手動設定した場合に、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を記憶し、且つ前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を以後の空調制御に反映するために、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量に対する前記風量特性への学習変更の割合を示す寄与度に基づいて前記風量特性を学習変更する制御特性変更手段と
    を備え、
    前記制御特性変更手段は、
    前記送風機の風量が低風量領域ではない場合には、所定の寄与度で前記風量特性を学習変更し、
    前記送風機の風量が低風量領域の場合には、前記送風機の風量が低風量領域ではない場合に比べて寄与度を大きくして前記風量特性を学習変更すると共に、
    前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が、環境条件に変化がない時間が長かった後である程、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を大きくすることを特徴とする車両用空調装置。
  9. 請求項に記載の車両用空調装置に適用されるソフトウェアまたは制御プログラムであって、
    前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が、環境条件に変化がない時間が長かった後である程、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を大きくすることを特徴とするソフトウェアまたは制御プログラム。
  10. 請求項に記載の車両用空調装置に適用される空調制御方法であって、
    前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が、環境条件に変化がない時間が長かった後である程、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を大きくすることを特徴とする空調制御方法。
  11. (a)車両の車室内に送風する送風機と、
    (b)この送風機風量特性を記憶する制御特性記憶手段と、
    (c)この制御特性記憶手段に記憶されている前記風量特性に応じて前記送風機の風量を自動制御する自動制御手段と、
    (d)ユーザーが前記送風機の風量を手動操作または手動設定する手動設定手段と、
    (e)前記送風機の風量が前記風量特性に応じて自動制御されている時、前記ユーザーが前記送風機の風量を手動操作または手動設定した場合に、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を記憶し、且つ前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を以後の空調制御に反映するために、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量に対する前記風量特性への学習変更の割合を示す寄与度に基づいて前記風量特性を学習変更する制御特性変更手段と、
    (f)前記ユーザーの上半身への吹出割合の多い吹出口モードと前記ユーザーの上半身への吹出割合の少ない吹出口モードとを切り替える吹出口切替手段と
    を備え、
    前記制御特性変更手段は、
    前記送風機の風量が低風量領域ではない場合には、所定の寄与度で前記風量特性を学習変更し、
    前記送風機の風量が低風量領域の場合には、前記送風機の風量が低風量領域ではない場合に比べて寄与度を大きくして前記風量特性を学習変更すると共に、
    前記ユーザーの上半身への吹出割合の多い吹出口モードでの前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を、前記ユーザーの上半身への吹出割合の少ない吹出口モードでの前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度に比べて大きくすることを特徴とする車両用空調装置。
  12. 請求項1に記載の車両用空調装置に適用されるソフトウェアまたは制御プログラムであって、
    前記ユーザーの上半身への吹出割合の多い吹出口モードでの前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を、前記ユーザーの上半身への吹出割合の少ない吹出口モードでの前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度に比べて大きくすることを特徴とするソフトウェアまたは制御プログラム。
  13. 請求項1に記載の車両用空調装置に適用される空調制御方法であって、
    前記ユーザーの上半身への吹出割合の多い吹出口モードでの前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度を、前記ユーザーの上半身への吹出割合の少ない吹出口モードでの前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が以後の空調制御に反映される割合を示す寄与度に比べて大きくすることを特徴とする空調制御方法。
  14. 請求項1ないし請求項1のうちのいずれかに記載の車両用空調装置において、
    前記制御特性変更手段は、前記風量特性を学習変更しない場合、あるいは前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を学習しない場合、あるいはその学習量を減らす場合には、学習インジケータを消灯または点滅または減光させるか、あるいは操作音を小さくすることを特徴とする車両用空調装置。
  15. 請求項1ないし請求項1のうちのいずれかに記載の車両用空調装置において、
    前記制御特性変更手段は、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量の記憶、あるいは新しい制御パターンの演算を、車外の演算装置によって行うことを特徴とする車両用空調装置。
  16. 請求項1ないし請求項1のうちのいずれかに記載の車両用空調装置において、
    学習感度を設定可能な手段を設けたことを特徴とする車両用空調装置。
  17. 請求項1ないし請求項1のうちのいずれかに記載の車両用空調装置において、
    予め記憶された基準の制御値に対してどれだけ異なった制御値まで、以後の空調制御に反映可能かを設定可能な手段を設けたことを特徴とする車両用空調装置。
  18. 請求項1ないし請求項1のうちのいずれかに記載の車両用空調装置において、
    前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を以後の空調制御に反映する時には、ユーザー判別手段によって各ユーザー毎にこれまでの各ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量が反映されることを特徴とする車両用空調装置。
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