JP3832302B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に関するもので、特にメモリに記憶した制御特性に応じて送風機または冷房機器または暖房機器の空調制御量(空調能力または空調状態)を自動制御するオート空調制御モードと、ユーザーの手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映する学習制御モードとを実施することが可能な学習オートエアコン装置に最適な車両用空調装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特開平5−254332号公報においては、予め定められた制御特性に応じて自動制御(オート空調制御)されている空調ユニットの制御対象(空調手段)を、エアコン操作パネルに設置されたプッシュ式の学習スイッチを押した後に空調操作スイッチをユーザーが手動操作した場合に、ユーザーの手動操作または手動設定をメモリに記憶しユーザーの手動操作量に応じて上記の制御特性を学習変更し、その後にエアコン操作パネルに設置されたプッシュ式のオートスイッチを押し、ユーザーの手動操作または手動設定を以後の空調制御(オート制御)に反映する学習制御モードに切り替えて、つまりユーザーの好みに合った自動空調制御に移行(遷移)させるようにした学習オートエアコン装置が提案されている。
【0003】
ここで、上記の学習オートエアコン装置は、オートにて(風量特性に応じて)吹き出される風量をユーザーが手動操作で設定変更した時、この手動変更量を学習し、風量特性に反映させるようにしているので、ユーザーの好みに合ったものになり、ユーザーは自分の好みに合った風量の風が吹き出されることによって快適さを感じるようになる。また、何らかの理由によってユーザーが上記の制御特性を学習変更させたくない時、つまりこれから行う手動操作スイッチの手動操作を以後の空調制御に反映させたくない時には、学習スイッチを所定時間だけ長押しすることで、オート空調制御モード中にユーザーが手動操作または手動設定するにもかかわらず、上記の制御特性の学習変更を禁止できるようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の学習オートエアコン装置は、ユーザーの手動操作または手動設定をその都度メモリに記憶していき、オートスイッチを押すと過去のユーザーの手動操作または手動設定が反映されるものであるが、学習制御モード以外のモード(学習禁止モード1、学習禁止モード2、工場出荷モード等)から学習制御モードに戻す場合には、学習スイッチを上記所定時間だけ長押した後に、空調操作スイッチをユーザーが手動操作して、その後に快適な自動制御(オート空調制御)になったところでオートスイッチを押さないと学習制御モードに切り替わらない。
【0005】
したがって、学習制御モード以外のモードから学習制御モードに切り替えるために、ユーザーが学習スイッチやオートスイッチ等の空調制御スイッチを何回も手動操作する必要があるので、ユーザーの空調制御スイッチの操作回数が多くなり、ユーザーの使い勝手が悪い。その結果、車両を運転している際に車両の前方への注意がおろそかになる可能性があり、安全運転への寄与が少なくなるという問題が生じている。
【0006】
【発明の目的】
本発明の目的は、学習制御モード以外のモードから学習制御モードに切り替える際のユーザーによる無駄な手動操作または手動設定を防ぐことにより、安全運転に大きく寄与することのできる車両用空調装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、車室内の空調状態を調節する空調手段と、この空調手段の制御特性を記憶する制御特性記憶手段と、この制御特性記憶手段に記憶されている前記制御特性に応じて前記空調手段を自動制御する自動制御手段と、ユーザーが前記空調手段を手動操作または手動設定する手動設定手段と、前記空調手段が前記制御特性に応じて自動制御されている時、前記ユーザーが前記空調手段を手動操作または手動設定した場合に、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を記憶し、且つ前記ユーザーの手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映するために、前記空調制御量に応じて前記制御特性を学習変更する制御特性変更手段とを備え、
前記自動制御手段は、前記手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映する学習制御モードと前記学習制御モード以外のモードとを切り替える学習モード切替手段、および前記制御特性に応じて前記空調手段を自動制御するオート空調制御モードと前記オート空調制御モード以外のモードとを切り替えるオートモード切替手段を有し、
前記オート空調制御モード以外のモード、および前記学習制御モード以外のモード中、前記オート空調制御モードに切り替わった時には、現在の前記空調手段の空調制御量を、過去の前記ユーザーの手動操作または手動設定が反映された空調制御量に切り替えると共に、オート作動表示を行い、
前記学習制御モードに切り替わった時には、現在の前記空調手段の空調制御量を、過去の前記ユーザーの手動操作または手動設定が反映された空調制御量に切り替えると共に、学習表示およびオート作動表示を行うことをその要旨とする。
ここで、図16に示したように、上記の空調手段として、例えば車室内に送風する送風機を用いることが望ましい。また、上記の自動制御手段は、例えば、少なくともFACEモード、B/Lモード、FOOTモード等の吹出口モードを検出する吹出モード検出手段と、車室内の空調状態に影響を及ぼす空調環境条件を検出する環境条件検出手段と、この環境条件検出手段の検出信号に基づいて車室内へ吹き出す空気の目標吹出温度情報を演算する目標吹出温度情報演算手段とを含んで構成することが望ましい。
また、上記の制御特性記憶手段として、例えば前記目標吹出温度情報演算手段が演算した前記目標吹出温度情報と前記送風機のブロワ電圧との相対的関係である風量特性を前記目標吹出温度情報の複数のポイントで記憶している風量特性記憶手段を用いることが望ましい。
また、上記の自動制御手段として、例えば前記風量特性記憶手段が記憶している前記風量特性に基づいて前記送風機の風量を決定する風量決定手段を用いることが望ましい。また、上記の手動設定手段として、例えば前記送風機の風量を手動設定する風量手動設定手段を用いることが望ましい。また、上記の空調手段のアクチュエータとして、例えば前記風量決定手段および前記風量手動設定手段の各出力信号に基づいて前記送風機の駆動を制御する(送風機)駆動手段を用いることが望ましい。
また、上記の制御特性変更手段として、例えば前記風量特性のうちの所定の前記ポイント間の領域内で前記風量手動設定手段によって風量が変更された時、前記環境条件検出手段の検出信号および前記吹出モード検出手段の検出信号を加味しながら、前記領域の両端に位置する前記ポイントにおける前記ブロワ電圧を学習変更する風量特性変更手段を用いることが望ましい。
【0009】
請求項1、請求項2および請求項3に記載の発明によれば、オート空調制御モード以外のモード、および前記学習制御モード以外のモード中、オートモード切替手段を手動操作することで、前記オート空調制御モードに切り替わった時には、現在の空調手段の空調制御量を、過去のユーザーの手動操作または手動設定が反映された空調制御量に切り替えると共に、オート作動表示を行う。また、学習モード切替手段を手動操作することで、学習制御モードに切り替わった時には、現在の前記空調手段の空調制御量を、過去のユーザーの手動操作または手動設定が反映された空調制御量に切り替えると共に、学習表示およびオート作動表示を行うことにより、空調制御中に学習変更される手動操作または手動設定は、常に最新の学習結果に対して行われるので、ユーザーによる無駄な手動操作または手動設定を防止することができる。また、オートモード切替手段を手動操作することで、現在の学習パターンを確認することができる。
【0010】
請求項4、請求項5および請求項6に記載の発明によれば、学習制御モード以外のモード中、ユーザーが空調手段を手動操作または手動設定した場合には、その手動操作または手動設定後の空調手段の空調制御量が、制御特性に応じて空調手段を自動制御するオート空調制御モードに遷移するか、あるいはその手動操作または手動設定後の空調制御量が、ほぼ維持される制御モードに遷移するかを選択可能な手段を設けたことにより、空調手段の空調制御量が固定になる従来のマニュアルエアコン装置のユーザーにも違和感なく操作可能な学習オートエアコン装置を提供することができる。
【0012】
請求項7に記載の発明によれば、ユーザーの手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映する学習制御モード中、制御特性に応じて空調手段を自動制御するオート制御状態を解除した時には、以後の手動操作後の空調制御量が、ほぼ維持されるモードに遷移することにより、ユーザーが激しい運動を行った後など、任意の空調制御量でしばらく固定したい時等、空調手段を手動操作または手動設定(固定)する手動設定手段を設けることで、ユーザーの使い勝手を向上することができる。
【0013】
請求項8に記載の発明によれば、ユーザーの手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映する学習制御モードを解除した時には、ユーザーの手動操作または手動設定を反映していないベース(オリジナルパターン)の空調制御量で、空調手段を自動制御するモードに遷移することにより、学習制御による効果がどのくらいあったかを実感でき、学習制御の商品性を向上することができる。
【0014】
請求項9に記載の発明によれば、空調制御スイッチを長押しすることにより、手動操作または手動設定後の空調制御量が、ほぼ維持されるモードに遷移することで、学習による効果がどのくらいあったかを実感でき、学習制御の商品性を向上することができる。また、請求項10に記載の発明によれば、ユーザーの手動操作または手動設定の記憶または新しい制御パターンの演算を、車外の演算装置によって行うことにより、車両に搭載された車載用コンピュータの演算負荷や記憶媒体の記憶容量を低減することができる。また、請求項11に記載の発明によれば、学習感度を設定可能な手段を設けたことにより、学習量の規制による誤学習を防止することができる。
【0015】
請求項12に記載の発明によれば、予め記憶された基準の制御値に対してどれだけ異なった制御値まで以後の空調制御に反映可能かを設定可能な手段を設けたことにより、学習範囲を規制することで誤学習を防止することができる。また、請求項13に記載の発明によれば、学習制御モード時、ユーザー判別手段によって、各ユーザー毎にこれまでの各ユーザーの手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映することにより、他のユーザーの手動操作または手動設定による誤学習を防止することができる。
【0016】
請求項14に記載の発明によれば、複数の空調ゾーンで独立に空調操作するモードになった時には、ユーザーの手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映しない学習制御禁止モードに切り替えることにより、他のユーザーの手動操作または手動設定による誤学習を防止することができる。また、請求項15に記載の発明によれば、複数の空調ゾーンで独立に空調操作するモードが解除された時には、ユーザーの手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映する学習制御モードに切り替えることにより、ユーザーの操作性を向上することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
[第1実施形態の構成]
図1ないし図9は本発明の第1実施形態を示したもので、図1は自動車等の車両に搭載されたオートエアコン装置の概略構成を示した図である。
【0018】
本実施形態のオートエアコン装置は、エンジンを搭載する自動車等の車両の車室内を空調する空調ユニット1における各空調機器(アクチュエータ)を、電子制御ユニット(以下エアコンECUと言う)10によって電気的に制御することで、オート(またはマニュアル)で車室内の空調能力を制御することができるように構成されている。
【0019】
空調ユニット1は、内部に空気通路を形成する空調ダクト2を有している。この空調ダクト2の最上流側には、内外気切替ドア3が設置されている。この内外気切替ドア3は、外気導入口4と内気導入口5とが分かれた部分に配置されて、図示しないサーボモータ等のアクチュエータにより空調ダクト2に導入する空気の内気と外気との割合を選択する内外気切替手段である。
【0020】
内外気切替ドア3よりも下流側には、遠心式送風機を構成するブロワモータ6、およびこのブロワモータ6により回転駆動される遠心式ファン7が設けられている。ブロワモータ6および遠心式ファン7は、空調ダクト2内に空気を吸い込んで空調ダクト2の下流側に送風するものであり、遠心式ファン7の下流側にエバポレータ8とヒータコア9とが設けられている。
【0021】
エバポレータ8は、所謂冷凍サイクルの冷媒蒸発器で、その冷凍サイクルの作動に応じ、遠心式ファン7より送られてきた空気を冷却(冷房)する冷却用熱交換器である。なお、冷凍サイクルは、図示しないコンプレッサ(冷媒圧縮機)、コンデンサ(冷媒凝縮器)、レシーバ(受液器)、エキスパンション・バルブ(膨張弁)等を備えている。また、冷凍サイクルの起動は、コンプレッサの図示しない電磁クラッチへのオンによりエンジンの回転動力がコンプレッサに伝達されることによって開始される。
【0022】
また、ヒータコア9は、エンジン冷却水が内部を循環し、自身を通過する空気を加熱(暖房)する加熱用熱交換器である。ヒータコア9の上流側には、エアミックス(A/M)ドア11が設けられており、A/Mドア11の開度は図示しないサーボモータ等のアクチュエータにより調節され、これによってヒータコア9を通過する空気量とヒータコア9を迂回する空気量との割合が調整され、空調ダクト2の最下流で開口した各吹出口より車室内に向かって吹き出される空気の吹出温度がコントロールされる。
【0023】
空調ダクト2の最下流では、デフロスタ(DEF)吹出口12、フェイス(FACE)吹出口13およびフット(FOOT)吹出口14が開口している。それらのDEF吹出口12、FACE吹出口13およびFOOT吹出口14の上流側には、デフロスタ(DEF)用のモード切替ドア15、フェイス(FACE)用のモード切替ドア16およびフット(FOOT)用のモード切替ドア17がそれぞれ設けられている。
【0024】
そして、温度コントロールされた空気は、これらの各モード切替ドア15〜17を図示しないサーボモータ等のアクチュエータにより駆動することによって、例えばデフロスタ(DEF)モード、フェイス(FACE)モード、バイレベル(B/L)モード、フット(FOOT)モード、フットデフ(F/D)モード等の各吹出口モードにて吹き出される。
【0025】
エアコンECU10の内部には、図示しない中央演算処理装置(CPU)、ROM(またはEEPROM)、RAM、スタンバイRAM、I/Oポート、A/D変換回路等の機能を含んで構成される、それ自体は周知の構造のマイクロコンピュータ21を内蔵している。ここで、遠心式ファン7の送風量(つまりブロワモータ6への印加電圧:ブロワ電圧)は、マイクロコンピュータ21からの出力信号に基づいてブロワモータ6を駆動するブロワ駆動回路22によって電気的に制御されるように構成されている。
【0026】
スタンバイRAMは、イグニッションスイッチ(以下IGと記す)オフの場合においても、乗員(ユーザー)の好みを学習した値を記憶(バックアップ)するためのRAMであり、IGがオフであってもバッテリーからIGを介さずに直接電源が供給される。また、バッテリーより電源が外された状況でも、短時間ならばマイクロコンピュータ21には電源が供給されるような図示しないバックアップ用の電源から構成されている。
【0027】
マイクロコンピュータ21の入力回路には、操作部(エアコン操作パネル)23からの出力信号が入力されるように構成されている。その操作部23は、図示しない内外気モードを内気循環モードまたは外気導入モードのうちのいずれかに設定するための手動内外気切替スイッチ、吹出口モードをDEFモード、FACEモード、B/Lモード、FOOTモード、F/Dモードのうちのいずれかに設定するための手動吹出口モード切替スイッチ(DEF、FACE、B/L、FOOT、F/D)、手動送風量切替スイッチ等から構成される。
【0028】
また、マイクロコンピュータ21には、車両の車室内の空調に影響を及ぼす環境条件が、車室内の空気温度を検出する内気温センサ(内気温度検出手段)24、車室外の空気温度を検出する外気温センサ(外気温度検出手段)25、車室内に入射する日射量を検出する日射センサ(日射量検出手段)26、図示しないエバ後温度センサよりそれぞれのレベル変換回路28を介して入力され、これらはマイクロコンピュータ21においてA/D変換され環境条件が読み込まれる。
【0029】
また、乗員の好みの温度は、車室内の温度を所望の温度に設定するための温度設定スイッチ(温度設定手段)27より入力され、レベル変換回路28でレベル変換され、マイクロコンピュータ21に入力される。また、操作部23には、乗員により車室内に吹き出す空気の風量の手動設定が可能な空調操作スイッチ(手動設定手段)としての風量アップスイッチと風量ダウンスイッチ(いずれも図示せず)が設けられている。その風量アップスイッチは、1回押される毎にブロワ電圧(ブロワモータ6への印加電圧)を1レベル(0.25V)上げる信号をマイクロコンピュータ21の入力回路に出力し、風量ダウンスイッチは、1回押される毎にブロワ電圧(ブロワモータ6への印加電圧)を1レベル(0.25V)下げる信号をマイクロコンピュータ21の入力回路に出力する。
【0030】
また、操作部23には、乗員の指示(マニュアル操作)を制御特性中に反映する学習モードの実施または解除を指令するためのプッシュ式学習スイッチ装置が設けられている。この学習スイッチ装置は、図2(a)に示したように、車室内のエアコン操作パネルのうち運転者(ドライバー)が操作し易くまた目視し易い位置に配設されており、押しボタンスイッチ(押圧ノブ:以下学習スイッチと言う)31、および点灯または消灯することで学習モード状態か学習モード解除状態かを知らせる発光ダイオード(LED)等よりなる学習モードインジケータ32等から構成されている。
【0031】
ここで、乗員の生理的状態が普段と異なる場合であるとか、車両がトラックの後方で運転されているような場合には、学習変更を禁止したい。この場合には、学習スイッチ31を3秒間長押しすると学習変更を禁止することができる。このときのモードを学習禁止モード1と呼ぶ。学習禁止モード1になった時には、学習モードインジケータ32が消灯(OFF)し、『学習禁止モード1にします』といった音声によって乗員に報知する。また、学習禁止モード1になった後に再び学習モードに戻したい場合には、もう一度学習スイッチ31を3秒間長押しするか、イグニッションスイッチ(IG)を一度オフし、その後再びオンすることで学習モードに戻すことができる。このとき、学習モードインジケータ32が点灯(ON)する。
【0032】
また、車両を他人に数日間に渡って貸す場合にも、学習変更を禁止したい。この場合には、学習スイッチ31を3〜10秒間長押しすると学習変更を禁止することができる。このときのモードを学習禁止モード2と呼ぶ。学習禁止モード2になった時には、学習モードインジケータ32が消灯(OFF)し、『学習禁止モード2にします』といった音声によって乗員に報知する。また、学習禁止モード2になった後に再び学習モードに戻したい場合には、もう一度学習スイッチ31を3〜10秒間長押しする。このとき、学習モードインジケータ32が点灯(ON)する。なお、学習禁止モード2の場合には、IGを一度オフし、その後再びオンしても学習モードに戻らないように構成されている。
【0033】
また、本実施形態では、上記の学習禁止モード1、2の他に、工場出荷モードを設けている。学習変更した後のブロワ電圧特性が初期の特性(オリジナルパターン)よりも悪くなってしまった場合、あるいは車両を中古で買ったときのように車両の所有者が変わった場合は、工場出荷モードにすることによってブロワ電圧特性を初期の特性に戻すことができる。本実施形態では、学習スイッチ31を10秒間以上長押しすることによって工場出荷モードに変更することができる。この工場出荷モードになったときは学習モードインジケータ32が消灯(OFF)し、『工場出荷モードにします』といった音声によって乗員に報知する。また、工場出荷モードから学習モードへ戻す場合には、再び学習スイッチ31を10秒間以上長押しすれば良い。
【0034】
また、操作部23には、予め定められた制御特性に基づいて空調ユニット1の各アクチュエータを自動コントロールするオート制御を設定するためのプッシュ式オート(AUTO)スイッチ装置が設けられている。このオートスイッチ装置は、図2(b)に示したように、車室内のエアコン操作パネルに配設されており、押しボタンスイッチ(以下オートスイッチと言う)33、および点灯または消灯することで現在の空調状態がオート制御状態かマニュアル制御状態かを知らせる発光ダイオード(LED)等よりなるオートインジケータ34等から構成されている。
【0035】
このオート(AUTO)スイッチ33を押すと、予め定められた制御特性(例えば風量特性)に基づく(例えば風量)オート(自動制御)モードを実施(ON)し、且つオートインジケータ34が点灯(ON)し、他のマニュアル操作スイッチを乗員が操作すると、乗員の指示に応じたマニュアル(手動制御)モードを実施するために(例えば風量)オートモードを解除(OFF)し、且つオートインジケータ34も消灯(OFF)する。また、オートスイッチ33を再び押すと、(例えば風量)オートモードが再び実施(ON)され、且つオートインジケータ34が再点灯(ON)する。なお、オートモードの解除は、乗員が操作した風量切替スイッチ(風量アップスイッチと風量ダウンスイッチ)であれば風量オートモードのみ解除され、その他の内外気モード、吹出温度、吹出口モードの各オートモードはそのまま維持されるようにしても良い。
【0036】
[第1実施形態の制御方法]
次に、本実施形態のオートエアコン装置の制御方法を図1ないし図6に基づいて簡単に説明する。ここで、図3は本実施形態の基本的な制御プログラム(ソフトウェア)を示したフローチャートであり、図3のフローチャートを以下に説明する。
【0037】
マイクロコンピュータ21は、IGオンと共にステップ100にて制御を開始し、ステップ110に進み、各種変換、フラグ等の初期値を設定する(初期設定手段)。次のステップ150では、内気温センサ24、外気温センサ25、日射センサ26およびエバ後温度センサからのセンサ信号により環境条件を入力し、操作部23および温度設定スイッチ27より各手動操作スイッチの状態を入力する。また、前述した学習スイッチ31およびオートスイッチ33からの信号も入力する。
【0038】
次のステップ200では、ステップ150で入力した環境条件より車室内に吹き出す空気の目標吹出温度(TAO)を下記の数1の式に従って演算する(目標吹出温度決定手段)。
【数1】
【0039】
但し、KSET、KR、KAM、KSは係数、Cは定数であり、TSETは温度設定スイッチ27によって設定される車室内の設定温度で、TRは内気温センサ24によって検出された車室内の空気温度(内気温度:以下内気温と言う)で、TAMは外気温センサ25によって検出された車室外の空気温度(外気温度:以下外気温と言う)で、TSは日射センサ26によって検出された車室内の日射量である。
【0040】
次に、ステップ300に進み、オート空調制御モード(以下オートモードと略す)時には、TAOに対してA/Mドア11の開度が演算され、この開度となるようにA/Mドア11を制御し、各吹出口12〜14から車室内へ吹き出される空気の吹出温度をコントロールする。
【0041】
次に、ステップ400に進み、オートモード時には、遠心式ファン7の送風量(ブロワ風量)を演算し、ブロワ駆動回路22を介してブロワモータ6に接続された遠心式ファン7を回転させ、車室内へ吹き出される送風量を制御する。しかし、乗員が望む送風量には個人差があり一律に決めることは難しい。そこで、本実施形態では、乗員の手動操作または手動設定を記憶しその乗員の手動操作または手動設定を以後の風量制御に反映する学習制御モード(以下学習モードと略す)時に、乗員の好みの送風量を乗員のマニュアル操作時に学習変更し、乗員の好みを反映した送風(風量、ブロワ電圧)特性になるようにしたものである。この学習モードについては、後で詳細に説明する。
【0042】
次にステップ500に進み、オートモード時には、内外気切替ドア3による内外気の導入割合を例えばTAOに応じた導入割合となるように演算する。つまり、内外気モードを内気循環モードまたは外気導入モードまたは内外気導入モードのうちのいずれかに決定する。そして、決定した内外気モードとなるように内外気切替ドア3を制御する。なお、内外気モードが手動(マニュアル操作)で選択されている場合には、選択された内外気モードになるように内外気切替ドア3を制御する。また、乗員の好みの内外気モードを乗員のマニュアル操作時に学習し、乗員の好みを反映した内外気特性になるようにしても良い。
【0043】
次にステップ600に進み、オートモード時には、吹出口モードの状態を例えばTAOに応じた状態となるように演算する。つまり、吹出口モードをFACEモードまたはB/LモードまたはFOOTモードまたはF/DモードまたはDEFモードのうちのいずれかに決定する。そして、決定した吹出口モードとなるように各モード切替ドア15〜17を制御する。なお、吹出口モードが手動(マニュアル操作)で選択されている場合には、選択された吹出口モードになるように各モード切替ドア15〜17を制御する。また、乗員の好みの吹出口モードを乗員のマニュアル操作時に学習し、乗員の好みを反映した吹出口特性になるようにしても良い。
【0044】
次にステップ700に進み、オートモード時には、図示しないコンプレッサの制御を行う。例えばエバ後温度センサによって検出したエバ後温度(エバポレータ8の下流直後の空気温度またはエバポレータ8のフィン温度:TE)が3℃以下に低下したらコンプレッサの電磁クラッチをOFFし、前述のエバ後温度(TE)が4℃以上に上昇したら電磁クラッチをONするように制御する。
【0045】
そして、ステップ700の処理後、ステップ150に戻って再び各種信号を読み込み、それによりステップ200でTAOを演算し、以下このTAOとステップ150により読み込まれた操作スイッチの状態によってステップ300、400、500、600、700により車室内の空調能力の制御が繰り返される。
【0046】
次に、本実施形態の遠心式送風機のブロワモータ6への印加電圧を吹出口モードに応じて電気的に制御するブロワ電圧制御方法を図1ないし図8に基づいて簡単に説明する。ここで、図4ないし図6はブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートであり、このブロワ風量制御を以下に説明する。
【0047】
先ず、ステップ410では、現在の吹出口モードが、FACE吹出口13から空調風(主に冷風)が乗員の頭胸部に向けて吹き出されるFACEモードであるか否かを判定する。そして、現在の吹出口モードがFACEモードであればステップ411へ進み、ブロワ風量が手動で操作されたか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップ412へ進み、FACEモード時のブロワ電圧算出マップ(図7(a)参照)を変更し、ステップ413へ進み、ブロワ電圧VFを算出する。次に、ステップ460へ進み、ブロワ電圧VFを出力し、ステップ500へ進む。
【0048】
また、ステップ420では、現在の吹出口モードが、FACE吹出口13から空調風(主に冷風)が乗員の頭胸部に向けて吹き出され、且つFOOT吹出口14から空調風(主に温風)が乗員の足元部に向けて吹き出されるB/Lモードであるか否かを判定する。そして、現在の吹出口モードがB/Lモードであればステップ421へ進み、ブロワ風量が手動で操作されたか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップ422へ進み、B/Lモード時のブロワ電圧算出マップ(図7(b)参照)を変更し、ステップ423へ進み、ブロワ電圧VFを算出する。次に、ステップ460へ進み、ブロワ電圧VFを出力し、ステップ500へ進む。
【0049】
また、ステップ430では、現在の吹出口モードが、FOOT吹出口14から空調風(主に温風)が乗員の足元部に向けて吹き出されるFOOTモードであるか否かを判定する。そして、現在の吹出口モードがFOOTモードであればステップ431へ進み、ブロワ風量が手動で操作されたか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップ432へ進み、FOOTモード時のブロワ電圧算出マップ(図7(c)参照)を変更し、ステップ433へ進み、ブロワ電圧VFを算出する。次に、ステップ460へ進み、ブロワ電圧VFを出力し、ステップ500へ進む。
【0050】
また、ステップ440では、現在の吹出口モードが、DEF吹出口12から空調風(主に温風)がフロントウインドウの内面に向けて吹き出され、且つFOOT吹出口14から空調風(主に温風)が乗員の足元部に向けて吹き出されるF/Dモードであるか否かを判定する。そして、現在の吹出口モードがF/Dモードであればステップ441へ進み、ブロワ風量が手動で操作されたか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップ442へ進み、F/Dモード時のブロワ電圧算出マップ(図7(d)参照)を変更し、ステップ443へ進み、ブロワ電圧VFを算出する。次に、ステップ460へ進み、ブロワ電圧VFを出力し、ステップ500へ進む。
【0051】
また、ステップ451では、それまでのモード判定から吹出口モードは、DEF吹出口12から空調風(主に温風)がフロントウインドウの内面に向けて吹き出されるDEFモードであるので、ブロワ風量が手動で操作されたか否かを判定する。この判定結果がYESの場合、つまりブロワ風量が手動で操作された場合には、ステップ452へ進み、DEFモード時のブロワ電圧算出マップ(図7(e)参照)を変更し、ステップ453へ進み、ブロワ電圧VFを算出する。次に、ステップ460へ進み、ブロワ電圧VFを出力し、ステップ500へ進む。
【0052】
次に、本実施形態の学習モード時の学習変更制御方法を簡単に説明する。オートモード中(つまりオートインジケータ34が点灯(ON)中)で、且つ学習モード中(つまり学習モードインジケータ32が点灯(ON)中)の場合に、乗員がブロワ風量を手動操作(設定)すると、オートインジケータ34が消灯(OFF)し、その乗員の所望するブロワ風量(ブロワ電圧VF)となるようにブロワモータ6の印加電圧を制御する。そして、乗員の手動操作が終了してから3〜5秒間が経過したら、手動操作に応じてブロワ電圧特性を学習変更しても良いかどうかを乗員へ報知するために、学習モードインジケータ32を点滅させるのと同時にブザー音を鳴らす。
【0053】
ここで、何らかの理由によって上記の学習変更を禁止したい場合には、乗員への報知が開始されてから2秒以内に乗員が学習スイッチ31を押すことによって上記の学習変更を禁止することができる。また、乗員への報知が開始されてから2秒を越えてから学習スイッチ31を押した場合には、後述するようにブロワ電圧マップのブロワ電圧特性は学習変更される。以上により、乗員がブロワ風量を自分の好みの風量に手動設定した場合には、手動設定完了後所定時間(例えば5秒間)経過後にオートモード時のブロワ電圧特性を乗員の好みを反映した特性に変更することができる。
【0054】
ブロワ電圧マップのブロワ電圧(風量)特性の学習変更方法(学習制御方法)は、どのようなものでも良いが、例えば次のような方法で行う。学習制御方法について図8に基づいて説明する。出荷時の特性は、図8のオリジナルパターンで表される。今、乗員によって1回目の操作が行われた時を考える。乗員が図8(a)のようにブロワ風量(ブロワ電圧)を下げると、操作点1を通るようにオリジナルパターンの傾斜の部分を平行移動させる。この操作を学習した以後のブロワ電圧(風量)特性は図8(a)の太い実線のようになる。
【0055】
次に、乗員によって2回目の操作(図8(b)のようにブロワ風量(ブロワ電圧)を下げたとする)が行われると、1回目の学習パターンを操作点1、操作点2を通るように傾きを変更する。この操作を学習した以後のブロワ電圧(風量)特性は図8(b)の太い実線のようになる。
【0056】
さらに、乗員によって3回目の操作(図8(c)のようにブロワ風量(ブロワ電圧)を下げたとする)が行われると、2回目の学習パターンを操作点1、操作点2、操作点3を最小2乗近似する傾きに変更する。この操作を学習した以後のブロワ電圧(風量)特性は図8(c)の太い実線のようになる。なお、3回以上の操作に対しては、各操作点を最小2乗近似する傾きを求める。
【0057】
次に、本実施形態の学習モード以外のモードから学習モードへの空調モード切替制御方法を図1ないし図9に基づいて簡単に説明する。ここで、図9は学習モード以外のモードから学習モードへの空調モード切替制御の概略を示したフローチャートであり、この空調モード切替制御を以下に説明する。
【0058】
例えば乗員が激しい運動を行った後に車両に乗り込み車室内空調をオートモードで開始した場合、この乗員は普段よりも涼し目の吹出温度を好み、また、普段よりも多めのブロワ風量を好む。このため、過去の手動操作により学習変更したブロワ電圧特性に応じたブロワ風量では乗員は満足しないため、自分が満足できるような吹出温度、ブロワ風量となるように手動で変更する。しかし、このような状態で行った手動操作に応じてブロワ電圧特性を学習変更してしまうと、当然このブロワ電圧特性は乗員が普段の状態である時に好む特性とは異なったものに変更されてしまうので、この手動操作に応じた学習変更を禁止するために、学習スイッチ31を3秒間長押しすることによって上記の学習禁止モード1に変更し、学習モードインジケータ32を消灯(OFF)させた後に、乗員は手動操作によりブロワ風量を変更するものである。
【0059】
したがって、図9のフローチャートのステップS11において、何らかの理由によって上述したように学習スイッチ31を3秒間長押して学習モードを解除したか否かを判定する。次に、学習モード以外のモード(学習禁止モード1等)の場合には、ステップS12において、ブロワ風量を手動操作したか否かを判定する。すなわち、乗員が風量アップスイッチを1回以上押して、ブロワモータ6に印加するブロワ電圧を1レベル(0.25V)以上上げたか否かを判定する。あるいは、乗員が風量ダウンスイッチを1回以上押して、ブロワ電圧を1レベル(0.25V)以上下げか否かを判定する。
【0060】
次に、ブロワ風量を手動操作している場合には、ステップS13において、風量マニュアルモードとなり、オートインジケータ34も消灯(OFF)する。次に、ステップS14において、乗員の所望するブロワ風量に変更する。つまり、その乗員の所望するブロワ風量(ブロワ電圧VF)となるようにブロワモータ6の印加電圧を制御する。そして、ステップS15において、ブロワ風量が乗員の好みの風量となり、乗員が普段の状態に戻り、過去の手動操作により学習変更したブロワ電圧特性に応じたブロワ風量を望むようになったか否かを判定する。つまり、乗員が学習スイッチ31を3秒間長押して学習モードに戻したか否かを判定する。次に、乗員が学習モードに戻した場合には、ステップS16において、過去の手動操作により学習変更したブロワ電圧特性に応じた風量オートモードに切り替えると共に、オートインジケータ34を点灯(ON)する。
【0061】
以上のように、本実施形態のオートエアコン装置は、学習モード以外のモード(例えば学習禁止モード1等)から学習スイッチ31を長押しして学習モードに戻す時に、オートスイッチ33を押すことなく、空調制御モードが現在の学習パターン(つまり過去の手動操作により学習変更したブロワ電圧特性に応じた風量オートモード)にジャンプする。これにより、過去の手動操作に応じたブロワ電圧特性の学習変更の結果を反映したい時、従来のようにオートスイッチを押す必要がなくなり、乗員の煩わしさを解消することができる。また、学習される乗員の手動操作は、常に最新の学習結果に対して行われる(学習パターンが乗員の好みに合っていない場合にのみ行われる)ことになり、乗員による無駄な手動操作を防止することができるので、車両を運転している際に車両の前方への注意がおろそかになることはなく、安全運転への寄与が多くなる。
【0062】
[第2実施形態]
図10ないし図12は本発明の第2実施形態を示したもので、図10ないし図12はブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである。
【0063】
本実施形態では、吹出口モードとしてDEFモードが必要な場合には、ブロワ風量がHIレベルに固定されていれば、ブロワ風量を手動操作する可能性は少ないので、図4のフローチャートのうちステップ451およびステップ452を廃止するようにしても良い。
【0064】
[第3実施形態]
図13および図14は本発明の第3実施形態を示したもので、図13(a)は学習オートスイッチ装置を示した図で、図14は学習モード以外のモードから学習モードへの空調モード切替制御の概略を示したフローチャートである。
【0065】
本実施形態の操作部23には、乗員の指示(マニュアル操作)を制御特性中に反映する学習オートモードの実施または解除を指令するためのプッシュ式学習オートスイッチ装置が設けられている。この学習オートスイッチ装置は、図13(a)に示したように、車室内のエアコン操作パネルのうち運転者(ドライバー)が操作し易くまた目視し易い位置に配設されており、押しボタンスイッチ(押圧ノブ:以下学習オートスイッチと言う)35、および点灯または消灯することで学習オートモードか学習モードを禁止する学習モード以外のモードかを知らせる発光ダイオード(LED)等よりなる学習オートインジケータ36等から構成されている。
【0066】
図14のフローチャートのステップS21において、何らかの理由によって上述したように学習スイッチ31を3秒間長押して学習モードを解除したか否かを判定する。次に、学習モード以外のモード(学習禁止モード1等)の場合には、ステップS22において、学習オートインジケータ36を消灯(OFF)する。次に、ステップS23において、ブロワ風量を手動操作したか否かを判定する。つまり、図示しない風量アップスイッチまたは風量ダウンスイッチを手動操作したか否かを判定する。
【0067】
次に、ブロワ風量を手動操作している場合には、ステップS24において、風量マニュアルモードとなる。次に、ステップS25において、乗員の所望するブロワ風量に変更する。つまり、その乗員の所望するブロワ風量(ブロワ電圧VF)となるようにブロワモータ6の印加電圧を制御する。そして、ステップS26において、ブロワ風量が乗員の好みの風量となり、乗員が普段の状態に戻り、過去の手動操作により学習変更したブロワ電圧特性に応じたブロワ風量を望むようになったか否かを判定する。つまり、乗員が学習スイッチ31を3秒間長押して学習モードに戻したか否かを判定する。次に、乗員が学習モードに戻した場合には、ステップS27において、過去の手動操作により学習変更したブロワ電圧特性に応じた風量オートモードに切り替えると共に、学習オートインジケータ36を点灯(ON)する。
【0068】
以上により、本実施形態のオートエアコン装置においては、学習モード以外のモード(例えば学習禁止モード1等)から学習スイッチ31を長押しして学習モードに戻す時に、オートスイッチ33を押すことなく、空調制御モードが現在の学習パターン(つまり過去の手動操作により学習変更したブロワ電圧特性に応じた風量オートモード)にジャンプする。これにより、過去の手動操作に応じたブロワ電圧特性の学習変更の結果を反映したい時、従来のようにオートスイッチを押す必要がなくなり、乗員の煩わしさを解消することができる。
【0069】
また、学習される乗員の手動操作は、常に最新の学習結果に対して行われる(学習パターンが乗員の好みに合っていない場合にのみ行われる)ことになり、乗員による無駄な手動操作を防止することができるので、車両を運転している際に車両の前方への注意がおろそかになることはなく、安全運転への寄与が多くなる。さらに、本実施形態では、図13(b)に示したオートスイッチ33を廃止できることにより、部品点数を軽減でき、コストダウンになると共に、学習オートモードをOFFからONする際の乗員による手動操作が簡略化され、乗員の使い勝手を更に向上することができる。
【0070】
[第4実施形態]
図15は本発明の第4実施形態を示したもので、図15は学習モード以外のモードから学習モードへの空調モード切替制御の概略を示したフローチャートである。
【0071】
図15のフローチャートのステップS31において、何らかの理由によって上述したように学習スイッチ31を3秒間長押して学習モードを解除したか否かを判定する。次に、学習モード以外のモード(学習禁止モード1等)の場合には、ステップS32において、ブロワ風量を手動操作したか否かを判定する。つまり、図示しない風量アップスイッチまたは風量ダウンスイッチを手動操作したか否かを判定する。
【0072】
次に、ブロワ風量を手動操作している場合には、ステップS33において、オートインジケータ34の点灯(ON)を継続する。次に、ステップS34において、図8に示したように、ブロワ電圧特性マップ(風量マップ)を(仮)変更する。そして、ステップS35において、乗員が学習スイッチ31を3秒間長押して学習モードに戻したか否かを判定する。次に、乗員が学習モードに戻した場合には、ステップS36において、ブロワ電圧特性マップ(風量マップ)をS31以前のパターンに戻す。
【0073】
以上のように、本実施形態のオートエアコン装置においては、学習モード以外のモード(例えば学習禁止モード1等)から学習スイッチ31を長押しして学習モードに戻される時に、ブロワ風量操作後も風量マニュアルモードではなく、風量オートモードで制御されるため、熱負荷の変化に応じてブロワ風量は増減することになり、乗員の快適性の許容範囲を外れ難くなる。これにより、車両を運転している時に、乗員の手動操作を記憶し以後の空調制御に乗員の手動操作を反映させる学習制御に戻す手動操作を行う必要がなくなり、乗員の使い勝手を向上することができる。
【0074】
[他の実施形態]
本実施形態では、本発明を、遠心式送風機のブロワモータ6への印加電圧(ブロワ電圧、ブロワ風量)を乗員(ユーザー)が手動操作(マニュアル操作)してブロワ電圧(風量)特性を学習変更する場合に適用した例を説明したが、本発明はこれに限らず、乗員の指示(手動操作または手動設定)により内外気特性または吹出温度特性または吹出口モード特性等の制御特性を学習変更する場合にも適用しても良い。
【0075】
本実施形態では、学習した内容をイグニッションスイッチ(IG)のオフ時にも記憶するためのスタンバイRAMを用いたが、スタンバイRAMを用いずに、EPROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ等の不揮発性メモリのような他の記憶媒体を用いても良い。この場合にも、IGのオフ時にバッテリーからの電源の供給が停止しても学習した内容は保存される。
【0076】
本実施形態では、学習モード(学習制御モード)または学習オートモードと学習モードを禁止する学習モード以外のモード(学習禁止モード1、学習禁止モード2、工場出荷モード)との切り替えをエアコン操作パネルに設置した学習スイッチ31または学習オートスイッチ35によって行う例を説明したが、学習モード(学習制御モード)または学習オートモードと学習モードを禁止する学習モード以外のモード(学習禁止モード1、学習禁止モード2、工場出荷モード)との切り替えをエアコン操作パネルの画面上のパネルスイッチや、ナビゲーションシステムの画面上のタッチスイッチや、乗員(ユーザー)の音声によって行うようにしても良い。
【0077】
また、本実施形態では、ブロワ風量の手動操作をエアコン操作パネルに設置した空調操作スイッチである風量アップスイッチと風量ダウンスイッチによって行う例を説明したが、エアコン操作パネルの画面上のパネルスイッチや、ナビゲーションシステムの画面上のタッチスイッチや、乗員(ユーザー)の音声によって行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】オートエアコン装置を示した構成図である(第1実施形態)。
【図2】(a)は学習スイッチ装置を示した概略図で、(b)はオートスイッチ装置を示した概略図である(第1実施形態)。
【図3】基本的な制御プログラムを示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図4】ブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図5】(a)、(b)はブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図6】(a)、(b)はブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図7】(a)〜(e)は各吹出口モード時の目標吹出温度に対するブロワ電圧特性のオリジナルパターンを示した特性図である(第1実施形態)。
【図8】(a)〜(c)は1〜3回目乗員操作時のブロワ電圧特性の学習後パターンを示した特性図である(第1実施形態)。
【図9】学習モード以外のモードから学習モードへの空調モード切替制御の概略を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図10】ブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである(第2実施形態)。
【図11】(a)、(b)はブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである(第2実施形態)。
【図12】(a)、(b)はブロワ電圧制御ステップの詳細を示したフローチャートである(第2実施形態)。
【図13】(a)は学習オートスイッチ装置を示した概略図で、(b)は廃止することが可能なオートスイッチ装置を示した概略図である(第3実施形態)。
【図14】学習モード以外のモードから学習モードへの空調モード切替制御の概略を示したフローチャートである(第3実施形態)。
【図15】学習モード以外のモードから学習モードへの空調モード切替制御の概略を示したフローチャートである(第4実施形態)。
【図16】車両用風量制御装置を示した構成図である。
【符号の説明】
1 空調ユニット
3 内外気切替ドア(空調手段、内外気モード可変手段)
6 ブロワモータ(空調手段のアクチュエータ、風量可変手段)
7 遠心式ファン(空調手段)
8 エバポレータ(空調手段)
9 ヒータコア(空調手段)
10 エアコンECU(自動制御手段)
11 A/Mドア(空調手段、吹出温度可変手段)
15 モード切替ドア(空調手段、吹出口モード可変手段)
16 モード切替ドア(空調手段、吹出口モード可変手段)
17 モード切替ドア(空調手段、吹出口モード可変手段)
21 マイクロコンピュータ(制御特性記憶手段、制御特性変更手段)
23 操作部(手動設定手段)
31 学習スイッチ
32 学習モードインジケータ
33 オートスイッチ
34 オートインジケータ
Claims (15)
- (a)車室内の空調状態を調節する空調手段と、
(b)この空調手段の制御特性を記憶する制御特性記憶手段と、
(c)この制御特性記憶手段に記憶されている前記制御特性に応じて前記空調手段を自動制御する自動制御手段と、
(d)ユーザーが前記空調手段を手動操作または手動設定する手動設定手段と、
(e)前記空調手段が前記制御特性に応じて自動制御されている時、前記ユーザーが前記空調手段を手動操作または手動設定した場合に、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を記憶し、且つ前記ユーザーの手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映するために、前記空調制御量に応じて前記制御特性を学習変更する制御特性変更手段と
を備え、
前記自動制御手段は、前記手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映する学習制御モードと前記学習制御モード以外のモードとを切り替える学習モード切替手段、
および前記制御特性に応じて前記空調手段を自動制御するオート空調制御モードと前記オート空調制御モード以外のモードとを切り替えるオートモード切替手段を有し、
前記オート空調制御モード以外のモード、および前記学習制御モード以外のモード中、 前記オート空調制御モードに切り替わった時には、現在の前記空調手段の空調制御量を、過去の前記ユーザーの手動操作または手動設定が反映された空調制御量に切り替えると共に、オート作動表示を行い、
前記学習制御モードに切り替わった時には、現在の前記空調手段の空調制御量を、過去の前記ユーザーの手動操作または手動設定が反映された空調制御量に切り替えると共に、学習表示およびオート作動表示を行うことを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1に記載の車両用空調装置に適用されるソフトウェアまたは制御プログラムであって、
前記オート空調制御モード以外のモード、および前記学習制御モード以外のモード中、 前記オート空調制御モードに切り替わった時には、現在の前記空調手段の空調制御量を、過去の前記ユーザーの手動操作または手動設定が反映された空調制御量に切り替えると共に、オート作動表示を行い、
前記学習制御モードに切り替わった時には、現在の前記空調手段の空調制御量を、過去の前記ユーザーの手動操作または手動設定が反映された空調制御量に切り替えると共に、学習表示およびオート作動表示を行うことを特徴とするソフトウェアまたは制御プログラム。 - 請求項1に記載の車両用空調装置に適用される空調制御方法であって、
前記オート空調制御モード以外のモード、および前記学習制御モード以外のモード中、 前記オート空調制御モードに切り替わった時には、現在の前記空調手段の空調制御量を、過去の前記ユーザーの手動操作または手動設定が反映された空調制御量に切り替えると共に、オート作動表示を行い、
前記学習制御モードに切り替わった時には、現在の前記空調手段の空調制御量を、過去の前記ユーザーの手動操作または手動設定が反映された空調制御量に切り替えると共に、学習表示およびオート作動表示を行うことを特徴とする空調制御方法。 - (a)車室内の空調状態を調節する空調手段と、
(b)この空調手段の制御特性を記憶する制御特性記憶手段と、
(c)この制御特性記憶手段に記憶されている前記制御特性に応じて前記空調手段を自動制御する自動制御手段と、
(d)ユーザーが前記空調手段を手動操作または手動設定する手動設定手段と、
(e)前記空調手段が前記制御特性に応じて自動制御されている時、前記ユーザーが前記空調手段を手動操作または手動設定した場合に、前記ユーザーの手動操作または手動設定による空調制御量を記憶し、且つ前記ユーザーの手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映するために、前記空調制御量に応じて前記制御特性を学習変更する制御特性変更手段と
を備え、
前記自動制御手段は、前記手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映する学習制御モードと前記学習制御モード以外のモードとを切り替える学習モード切替手段を有し、 前記学習制御モード以外のモード中、前記ユーザーが前記空調手段を手動操作または手動設定した場合には、その手動操作または手動設定後の前記空調手段の空調制御量が、前記制御特性に応じて前記空調手段を自動制御するオート空調制御モードに遷移するか、あるいはその手動操作または手動設定後の空調制御量が、ほぼ維持される制御モードに遷移するかを選択可能な手段を設けたことを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項4に記載の車両用空調装置に適用されるソフトウェアまたは制御プログラムであって、
前記学習制御モード以外のモード中、前記ユーザーが前記空調手段を手動操作または手動設定した場合には、手動操作または手動設定後の前記空調手段の空調制御量が、前記制御特性に応じて前記空調手段を自動制御するオート空調制御モードに遷移するか、あるいは手動操作または手動設定後の空調制御量が、ほぼ維持される制御モードに遷移するかを選択可能としたことを特徴とするソフトウェアまたは制御プログラム。 - 請求項4に記載の車両用空調装置に適用される空調制御方法であって、
前記学習制御モード以外のモード中、前記ユーザーが前記空調手段を手動操作または手動設定した場合には、手動操作または手動設定後の前記空調手段の空調制御量が、前記制御特性に応じて前記空調手段を自動制御するオート空調制御モードに遷移するか、あるいは手動操作または手動設定後の空調制御量が、ほぼ維持される制御モードに遷移するかを選択可能としたことを特徴とする空調制御方法。 - 請求項4に記載の車両用空調装置において、
前記自動制御手段は、前記学習制御モード中、
前記制御特性に応じて前記空調手段を自動制御するオート制御状態を解除した時には、以後の手動操作後の空調制御量が、ほぼ維持されるモードに遷移することを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1に記載の車両用空調装置において、
前記自動制御手段は、前記学習制御モードを解除した時には、
前記ユーザーの手動操作または手動設定を反映していないベースの空調制御量で、前記空調手段を自動制御するモードに遷移することを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1ないし請求項8のうちいずれかに記載の車両用空調装置において、
前記自動制御手段は、空調制御スイッチを長押しすることにより、
手動操作前または手動操作後の空調制御量が、ほぼ維持されるモードに遷移することを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1ないし請求項9のうちいずれかに記載の車両用空調装置において、
前記ユーザーの手動操作または手動設定の記憶または新しい制御パターンの演算を、車外の演算装置によって行うことを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1ないし請求項10のうちいずれかに記載の車両用空調装置において、
学習感度を設定可能な手段を設けたことを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1ないし請求項11のうちいずれかに記載の車両用空調装置において、
予め記憶された基準の制御値に対してどれだけ異なった制御値まで前記以後の空調制御に反映可能かを設定可能な手段を設けたことを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1ないし請求項12のうちいずれかに記載の車両用空調装置において、
前記学習制御モード時、ユーザー判別手段によって各ユーザー毎にこれまでの各ユーザーの手動操作または手動設定が空調制御に反映されることを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1ないし請求項13のうちいずれかに記載の車両用空調装置において、
前記空調手段は、複数の空調ゾーンで独立に空調操作可能で、且つ少なくとも1つ以上の制御対象を、前記複数の空調ゾーンで共有している空調ユニットを備え、
前記複数の空調ゾーンで独立に空調操作するモードになった時には、
前記ユーザーの手動操作または手動設定を以後の空調制御に反映しない学習制御禁止モードに切り替えることを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項14に記載の車両用空調装置において、
前記複数の空調ゾーンで独立に空調操作するモードが解除された時には、
前記学習制御モードに切り替えることを特徴とする車両用空調装置。
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