JP3835056B2 - リサイカブル電力ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電力ケーブル、特にリサイカブル電力ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来におけるこの種の電力ケーブルの代表的なものとしては、導体上に、プラスチックにカーボンブラックの如き半導電性材料を高配合した樹脂組成物を押出被覆して内部半導電層を形成し、その上に架橋ポリエチレン絶縁体を形成した電力ケーブルが有る(図1参照)。
【0003】
しかしながら、この様な従来の電力ケーブルをリサイクルしようとした場合、絶縁体に使用されている架橋ポリエチレンは熱可塑性を有しないため、分離回収してもそのままリサイクル出来ず、サーモリサイクルする他に方法がなかった。しかも、従来の電力ケーブルの構造においては、内部半導電層に含まれる半導電性材料が不可避的に絶縁体に付着するので、絶縁体のみを内部半導電層の構成成分から分離して回収することは出来ず、この点から絶縁体材料としてのリサイクル(マテリアルリサイクル)は不可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記の問題点を有効に解決するために案出されたものである。
【0005】
本発明の目的は、簡単に人の力でも絶縁体により剥がすことが可能で、回収に要する作業時間を短縮することが出来、リサイクル作業性の高いフリスト内部半導電層を有する電力ケーブルを提供することにある。
【0006】
また、本発明の目的は、リサイクル作業性の高い内部半導電層を有し、絶縁体材料に半導電性材料を付着せしめることなく絶縁体のみを確実に回収し、絶縁体材料のグレードを落とすことなく再度絶縁体として利用出来るリサイクル(マテリアルリサイクル)性の高い電力ケーブルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、導体、上記導体上の内部半導電層及び上記内部半導電層上の絶縁体を有する電力ケーブルにおいて、上記内部半導電層が数平均分子量が3×104 以上または、重量平均分子量が3×105 以上で、融点が60〜80℃であるエチレン−酢酸ビニル共重合体及び上記エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、体積抵抗率が常温で5000Ω・cm以下になる如き割合の半導電性カーボンブラックを含有する半導電性樹脂組成物によって構成され、又、上記絶縁体がメルトテンションが3g以上で、且つ、融点が120℃以上の非架橋タイプで耐熱性の直鎖状ポリエチレンを含有する絶縁性樹脂組成物によって構成することを特徴とする。これによって、例えば、電力ケーブルの押出成形の工程に、上記半導電性樹脂組成物及び上記絶縁性樹脂組成物を導入することによって、導体上にフリストタイプの内部半導体層とその上の目的とする特徴を具備する絶縁体を有するリサイカブル電力ケーブルが得られる。
【0008】
本発明の上記半導電性樹脂組成物は、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体及び上記半導電性カーボンブラックに加えて、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体99〜50重量部に対し、1〜50重量部の割合の融点が120℃以上のポリオレフィンであって高密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれる1種または2種以上のポリオレフィンを含有せしめられることが好ましい。
【0009】
又、本発明の上記半導電性樹脂組成物は、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体、上記半導電性カーボン及び上記融点120℃以上のポリオレフィンに加えて、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体及び上記融点120℃以上のポリオレフィンの合量100重量部に対し、1〜20重量部の割合の200℃における揮発量が2%未満の炭化水素系ワックスを含有せしめることがさらに好ましい。
【0010】
さらに又、本発明の上記絶縁性樹脂組成物が、(1)融点が120℃以上の非架橋タイプで耐熱性の直鎖状ポリエチレンに加えて(2)上記直鎖状ポリエチレンとの配合物のメルトテンションが3g以上となる如き割合の高圧ラジカル重合ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメタクリレート共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合体、エチレンプロピレンゴム、エチレンブテン−1共重合体、エチレンオクテンゴム等のエチレン共重合体から選ばれる1種又は2種以上を含有せしめられることが、より好ましい。
【0011】
本発明者は、半導電層と絶縁体と剥離し易くするには、一般的に半導電性樹脂組成物を工夫して溶解性パラメータの差を大きくすること、即ち、エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニルの濃度を上げることが有効であると言われて来た点について鋭意検討した結果、単に酢酸ビニルの濃度を大きくしただけでは不十分であることを確認し、絶縁体と半導電層界面におけるポリマの分子拡散を抑制することによって剥離性が向上するのではないかと考え、研究を重ねた結果、エチレン−酢酸ビニル共重合体の高分子量化、即ち、多段重合技術により合成される分子量の大きいエチレン−酢酸ビニル共重合体を配合成物に適用すると、酢酸ビニルの濃度を極端に高めることなく、剥離性を著しく向上させ得ることを見出だし本発明を完成した。
【0012】
本発明における、半導電性樹脂組成物の成分としての、エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、高分子量の共重合体、即ち、浸透圧法により測定した3×104 以上、光散乱法により測定した重量平均分子量が3×105 以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体が用いられるが、その理由は、酢酸ビニルの濃度を極端に高めることなく著しく半導電層−絶縁体間の剥離性を向上させ得ることに有り、これは酢酸ビニル成分による溶解パラメータの差の拡大によるだけでなく、絶縁体と半導電層界面におけるポリマの分子拡散を抑制する効果により剥離性が向上するためと考えられる。また、このようなエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニルの濃度としては、示差走査熱量計(DSC)の結晶融解ピークから求めた融点が60〜80℃となる如き濃度とされる。ここで、融点を60〜80℃としたのは、融点が60℃未満では、ケーブルのコアをドラムに多段に巻いた場合の変形が大きくなり、また銅テープや、銅のワイヤの腐食も大きくなるためであり、一方、融点が80℃を超えると、分子量を上記のように規定しても、剥離強度が高くなって、剥離性が不十分となってしまうためである。
【0013】
本発明における、上記の如き高分子量のエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、例えば多段重合技術により合成される分子量の大きい共重合体から選択されたものが挙げられる。
【0014】
本発明の上記半導電性樹脂組成物は、上記酢酸ビニル共重合体及び上記半導電性カーボンブラックに加えて、上記酢酸ビニル共重合体99〜50重量部に対し1〜50重量部となる割合の融点120℃以上のポリオレフィンであって高密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれる1種類または2種類以上から成るポリオレフィンを含有せしめることが好ましいが、その理由は、これにより電力ケーブル実使用時の加熱変形率をさらに小さく抑えることが可能となるためである。ここで、上記の融点120℃以上のポリオレフィンの配合量を1〜50重量部とした理由は、規定量を超えると絶縁体と半導電層の剥離強度が高くなりすぎて剥離が困難となるためである。
【0015】
本発明における、半導電性樹脂成分としての、エチレン酢酸ビニル共重合体は、上記融点120℃以上のポリオレフィンに加えて、上記エチレン−酢酸ビニル重合体及び上記融点120℃以上のポリオレフィンの合量100重量部に対し、200℃での揮発量が2%未満の炭化水素系ワックス1〜20重量部を配合することがより好ましいが、その理由は、これにより、半導電性樹脂組成物の粘度を下げ、加工性を改良することが出来るためである。但し、熱重量解析(TGA)により、常温から5℃/minの速度で200℃に昇温させて測定した重量減少(揮発量)が2%以上のものは、押出被覆に際して発泡が起こり、半導電層の内部にボイドが生成したり、絶縁体との界面に剥離が生じるという問題が出るために好ましくない。
【0016】
本発明における、上記の如き炭化水素系ワックスとしては、分子量が10000以下で、低分子量の高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン系ポリマやポリプロピレン等から選択されたものが挙げられる。
【0017】
本発明における、絶縁性樹脂組成物の成分としての、メルトテンションが3g(190℃で測定)以上で、融点が120℃以上の直鎖状ポリエチレンとしては、上記の如きメルトテンション(3g以上)及び融点(120℃)を有するチーグラー系のマルチサイト触媒又はメタロセン触媒と呼ばれるシングルサイト触媒を用いて二段重合されたポリエチレン、あるいは、クロム系触媒を用いて重合された分子量分布の広いポリエチレンが含まれる。ここに、メルトテンションが3g(190℃で測定)以上で、融点が120℃以上の直鎖状ポリエチレンを選択、使用する理由は、絶縁破壊強さや耐水トリー特性を向上するためである。殊に、メルトテンションを3g以上とすることによって押出成形後の変形を抑制出来ることはもとより、冷却過程で樹脂が結晶化し、収縮する際における微小ボイドの生成抑制が可能となり、これによって絶縁破壊強さや耐水トリー特性が向上出来るためである。又、殊に、融点120℃以上とすることによって、JIS C3005に規定されている試験方法において、120℃における加熱変形率を小さくすることが出来るためである。なお、ここで規定している融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/minの昇温速度で測定した時の吸熱ピーク温度をいう。
【0018】
又、本発明の絶縁性樹脂組成物として好ましい一群のものは、融点が120℃以上の直鎖状ポリエチレン及びエチレン共重合体を配合して成るメルトテンションが3g以上となる如き樹脂配合物を主体とする絶縁性樹脂組成物である。かかる絶縁性樹脂組成物は、メルトテンションが3g以上で、且つ、融点が120℃以上の直鎖状ポリエチレン又はその他の融点が120℃以上の直鎖状ポリエチレンとエチレン共重合体のブレンドによって得ることが出来る。ここにおいて、上記の融点が120℃以上の直鎖状ポリエチレンに、ブレンドされるエチレン共重合体としては、高圧ラジカル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメタクリレート共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合体、エチレンプロピレンゴム、エチレンブテン−1共重合体、エチレンオクテンゴム等のエチレン共重合体から選ばれる1種類又は2種類以上であって、ブレンド物のメルトテンションが3g以上になる如き割合でブレンドするのが好ましい。その理由は、これによって耐水トリー性が向上するためである。
【0019】
なお、上記の如きエチレン共重合体に組合せし使用出来るポリマとしては、水添スチレンブタジエンゴム、水添スチレンブタジエンスチレンゴムあるいはこれ等の混合物が挙げられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態例を添付図面を参照しながら、従来の技術による電力ケーブルと比較し説明する。
【0021】
図4は、本発明に係る電力ケーブルの一形態の断面概略説明図であり、図5及び図6は夫々図4に示される電力ケーブルにより遂次に導体及び内部半導電層を取出した状態の概略説明図である。また、図1、図2及び図3は従来技術による電力ケーブルについての概略説明図であって、夫々図4、図5及び図6に対応している。さらにまた、図7は、本発明に係る電力ケーブルの他の一形態の概略説明図である。
【0022】
図4に示される本発明に係る電力ケーブル例においては、導体1、導体1上の押出形成された内部半導電層(フリストタイプ半導電性樹脂組成物)2b、内部半導電性2b上に形成された絶縁体(非架橋タイプの耐熱性ポリエチレン)3b及びその上のPVCシース4から構成される。図5に示される如く、図4に示される電力ケーブルより導体1を取り出し、次いで図6に示される如く内部半導電層(フリストタイプ半導電性樹脂組成物)2bを取出した状態において、絶縁体(非架橋タイプの耐熱性ポリエチレン)3bの内側に内部半導電層(半導電性樹脂組成物)2bの付着が全く認められない。
【0023】
これに対し、図1に示される如き従来技術による電力ケーブルより、導体1を取り出し(図2)、次いで内部半導電層(フリストタイプ半導電性樹脂組成物)2aを取出した状態における架橋ポリエチレン絶縁体3aの内側に内部半導電層(半導電性樹脂組成物)2aの一部が付着し残留する。
【0024】
図7に示される本発明に係る電力ケーブルの他の一例においては、導体1、内部半導電層(フリストタイプ半導電性樹脂組成物)2b、絶縁体(非架橋タイプの耐熱性ポリエチレン)3b、外部半導電層(フリストタイプ半導電性樹脂組成物)5及びPVCシース4によって電力ケーブルが構成される。
【0025】
本発明の好適な実施に形態は、上記の如き半導電性樹脂組成物によって構成される内部半導電層及び上記の如き非架橋型樹脂で構成される絶縁体を組合せた電力ケーブルであって、以下の実施例中に比較例と対比しつつ例示される。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を比較例等と対比しつつ説明する。
【0027】
(実施例)
電力ケーブル押出工程によって、図4に示される如き、導体1上にフリストタイプ内部半導電層2b及びその上にマテリアルリサイクルが可能な非架橋タイプの耐熱性ポリエチレンの絶縁体3bを施しPVCシース4を被覆して成る電力ケーブルを製造した。
【0028】
ここにおいて、導体断面積は60mm2 、フリスト内部半導電層厚さ0.7mm(図6:t1)、絶縁体厚さ4.5mm(図6:t2)とした。
【0029】
又、内部半導電層用の半導電性樹脂組成物としては、表3中のC,D及びE群に示される組成成分のものを、絶縁体用の絶縁性樹脂組成物としては、表1中のA群及びB群に示される組成成分のものと表5〜9の如くに組合せて用いた。
【0030】
(比較例)
上記の実施例に準じて比較のための電力ケーブルを押出成形した。内部半導体層用の半導電性樹脂組成物としては、表4中のF群に示される組成成分のものを、絶縁体用の絶縁性樹脂組成物として表1中のA群及びB群に示されるものと組合せて用いた。
【0031】
なお、表2中の比較例(1〜5)は、予備実験段階における参考比較絶縁組成物の組成成分(及び評価結果)を示す。
【0032】
なお又、上記の電力ケーブル等は、下記評価のための試料に供され、評価結果は対応する表中に示される。
【0033】
樹脂組成物の簡単な説明を、以下に行う。
【0034】
(1)A群:メルトテンションが3g以上で融点が120℃以上の直鎖状ポリエチレンとして、チーグラ触媒を用い2段重合した直鎖状ポリエチレン(密度d=0.935g/cm3 、メルトインデックス(MI)=0.8、融点=126℃、メルトテンション=5g)、シングルサイト触媒を用い2段重合した直鎖状ポリエチレン(d=0.922g/cm3 、MI=2.3、融点=124℃、メルトテンション=4g)又はクロム触媒を用いて重合した直鎖状ポリエチレン(d=0.922g/cm3 、MI=0.85、融点=126℃、メルトテンション=7g)を主成分として配合した絶縁性樹脂組成物(表1)。
【0035】
(2)B群:(A)メルトテンションが3g以上で融点が120℃以上の直鎖状ポリエチレンとしては、シングルサイト触媒を用いて2段重合した直鎖状ポリエチレン(d=0.922g/cm3 、MI=2.3、融点=124℃、メルトテンション=4g)又はシングルサイト触媒を用いて重合した直鎖状ポリエチレン(d=0.935g/cm3 、MI=3.5、融点=126℃、メルトインデックス=1g)が、(B)上記直鎖状ポリエチレンに配合されるエチレン共重合体としては、高圧ラジカル重合ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ブテン−1−ジエン共重合体又はエチレン・オクテンゴムが配合され、かかる(A)及び(B)を主成分とする絶縁性樹脂組成物(表1)。
【0036】
(3)C群:数平均分子量が3×104 以上または、重量平均分子量が3×105 以上で、融点が60〜80℃であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、体積抵抗率が常温で5000Ω・cm以下になるように半導電性カーボンブラックを配合した半導電性樹脂組成物(表3)。
【0037】
(4)D群:(A)数平均分子量が3×104 以上または、重量平均分子量が3×105 以上で、融点が60〜80℃であるエチレン−酢酸ビニル共重合体及び(B)配合用のエチレン共重合体としての高密度ポリエチレン(融点=132℃、d=0.952g/cm3 、MI=0.1)、直鎖状ポリエチレン(融点=123℃、d=0.925g/cm3 、MI=4)又はポリプロピレン(融点=167℃、d=0.89g/cm3 、MI=0.8)を配合した半導電性樹脂組成物(表3)。
【0038】
(5)E群:(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体(数平均分子量=50000、重量平均分子量=450000、融点=72℃)、(B)高密度ポリエチレン(融点=132℃、d=0.952g/cm3 、MI=0.1)及び(C)200℃での揮発量が2%未満の炭化水素系ワックスとしての高密度ポリエチレンワックス(分子量=4000、揮発量=0.1%)、低密度ポリエチレンワックス(分子量=2000、揮発量=1.7%)又はエチレン−酢酸ビニル共重合体ワックス(分子量=6700、揮発量=0.3%)を配合した半導電性樹脂組成物(表3)。
【0039】
(6)F群:比較例のための半導電性樹脂組成物であって、その組成成分及び組成割合は、表4中に示される。
【0040】
(7)表2中の比較例:比較のための絶縁性樹脂組成物で、その組成成分は表2中に示される。なお、A群、B群及び上記の表2中の比較例(1〜5)の特性比較を、下記の(A)〜(B)の項目について実施したが、該比較例の絶縁性樹脂組成物の場合には、(A)JIS C 3005に準拠し120℃における加熱変形率が25%を超えるかあるいは(及び)(B)導体内に注入した試料を90℃の温水中に浸漬し、導体と水との間に50Hz/9kVの交流電圧を500日間印加した後、試料の断面を薄くスライスしてメチレンブルー水溶液で煮沸染色し光学顕微鏡にて測定して200μm以上のボウタイトリー発生数が103 以上ありボウタイトリー特性が劣っていた。
【0041】
評価試験は、以下の如くにした。
【0042】
(1)剥離試験・剥離強度試験:上記の如くにして製造した電力ケーブルの導体1を取り除き(図5)、フリストタイプ内部半導電層2bを非架橋タイプの絶縁体3bより剥がす(図6)際の強度(剥離強度)をAEIC−CS5(SPECIFICATIONS FOR CROSS-LINKED POLYEHTYLENE INSULATED SHIELDED POWER CABLES PATED 5 THROGH 46kV)に準拠して常温で測定した。この方法で、0.5〜4kg/1/2 インチの剥離強度を有する電力ケーブルであって、且つ図6の如くに絶縁体に内部半導電層成分の付着がないものを○印とし、フリスト内部半導電層が0.5〜4kg/ 1/2インチで剥離出来ないものを×印とした。結果は表5に示す。
【0043】
(2)加熱変形試験:JIS C 3005に準拠して、120℃における試料の加熱変形が25%以下のものを○印、25%を超えるものを▲印とした。結果は表6に示す。
【0044】
(3)体積抵抗率試験:AEIC−CS5に準拠して、体積抵抗率を測定し、これが常温で5000Ω・cm以下、90℃で50000Ω・cm以下のものを○印、この範囲に入らないものを△印とした。結果は表7に示す。
【0045】
(4)押出外観試験:押出外観が良いものを○印、発泡して外観が悪いものを■印とした。結果は表8に示す。
【0046】
(5)総合評価:上記の全ての項目において○印のものを「合格」とし、1つでも×、▲、△、■印が有れば、「不合格」とした。結果は表9に示す。
【0047】
以上の試験評価の結果は、表5〜9に示される。表1〜9に示される如く、本発明の実施例の電力ケーブルにおいては、一般特性に優れ、且つ半導電層材料が混入していない絶縁体を容易に剥離・回収出来た。これによって絶縁体材料のリサイクルが可能となった。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
なお、リサイカブル電力ケーブルとして、導体上にフリスト内部半導電層を押出した上に絶縁体を施し、その上にフリスト内部半導電層と同じ半導電性樹脂組成物(フリスト外部半導電層)を押出したもの(図7)においても、上記の如き効果が得られた。
【0058】
以上本発明の実施例では、耐熱性に優れ、又、押出成形性が良く、加熱変形率が小さく、耐水トリー(特に耐ボウタイトリー特性)にも優れた絶縁体(A群、B群)と絶縁体との剥離性に優れ、加熱変形性にも優れるフリスト半導電性樹脂組成物(C群、D群、E群)を組み合わせて使用することによって、材料としてのリサイクル(マテリアルリサイクル)が可能なケーブルが得られ、その工業的価値は著しく高い。
【0059】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、諸特性に優れると共に、絶縁体の剥離性、回収作業性、リサイクル性に優れた電力ケーブルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の電力ケーブルの断面概略説明図である。
【図2】図1の電力ケーブルより導体を取出した状態説明図である。
【図3】図1の電力ケーブルよりさらに内部半導電層を剥離した状態説明図である。
【図4】本発明に係る電力ケーブルの態様の断面概略説明図である。
【図5】本発明に係る、図4の電力ケーブルより導体を取出した状態説明図である。
【図6】本発明に係る、図4の電力ケーブルよりさらに内部半導電層を剥離した状態説明図である。
【図7】本発明に係る電力ケーブルの他の態様の断面概略説明図である。
【符号の説明】
1 導体
2a 内部半導電層(半導電性樹脂組成物)
2b 内部半導電層(フリストタイプ半導電性樹脂組成物)
3a 架橋ポリエチレン絶縁体
3b 絶縁体(非架橋タイプの耐熱性ポリエチレン)
4 PVCシース
5 外部半導電層(フリストタイプ半導電性樹脂組成物)
Claims (3)
- 導体、上記導体上の内部半導電層及び上記内部半導電層上の絶縁体を有する電力ケーブルにおいて、上記内部半導電層が数平均分子量が3×104以上または、重量平均分子量が3×105以上で、融点が60〜80℃であるエチレン−酢酸ビニル共重合体及び上記エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、体積抵抗率が常温で5000Ω・cm以下になる如き割合の半導電性カーボンブラックを含有する半導電性樹脂組成物によって構成され、又、上記絶縁体がメルトテンションが3g以上で、且つ融点が120℃以上で耐熱性の直鎖状ポリエチレン及びエチレン共重合体を含有する非架橋タイプの絶縁性樹脂組成物によって構成されることを特徴とする電力ケーブル。
- 上記半導電性樹脂組成物が、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体99〜50重量部に対し、1〜50重量部の割合の融点が120℃以上のポリオレフィンであって高密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれる1種または2種以上のポリオレフィンを含有せしめられることを特徴とする請求項1記載の電力ケーブル。
- 上記半導電性樹脂組成物が、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体及び上記融点120℃以上のポリオレフィンの合量100重量部に対し、1〜20重量部の割合の200℃における揮発量が2%未満の炭化水素系ワックスを含有せしめられることを特徴とする請求項1または2記載の電力ケーブル。
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