JP5495039B2 - 絶縁電線およびケーブル - Google Patents
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Description
絶縁電線またはケーブルの被覆材はポリ塩化ビニルやポリエチレン、架橋ポリエチレンが使用されている。使用後、回収された電線またはケーブルは導体と被覆材に分離され、被覆廃材はリサイクルもしくは埋立処理される。被覆廃材の中でもポリ塩化ビニルやポリエチレンは熱可塑性樹脂であり、再成形加工が容易であることから、再び電線被覆材としてリサイクルすることが容易であった。
本発明は、架橋ポリオレフィン(系)廃材の再生材を従来に比べ多く用いることのできる絶縁電線およびケーブルを提供することを目的とする。
本発明は、これらの知見に基づきなすに至ったものである。
すなわち、本発明は、
(1)被覆層の少なくとも1層を、ゲル分率40%以下の架橋ポリオレフィン(系)再生材と、JIS K 7210に基づく温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるMFRの値が0.25以下である高圧ラジカル重合法により製造された低密度ポリエチレンとからなる再生材混合樹脂であって、前記架橋ポリオレフィン(系)再生材の配合量が全樹脂量の50質量%を超え60質量%以下である再生材混合樹脂で形成したことを特徴とする絶縁電線、
(2)導体が絶縁層で被覆された絶縁電線の前記絶縁層を、ゲル分率40%以下の架橋ポリオレフィン(系)再生材と、JIS K 7210に基づく温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるMFRの値が0.25以下である高圧ラジカル重合法により製造された低密度ポリエチレンとからなる再生材混合樹脂であって、前記架橋ポリオレフィン(系)再生材の配合量が全樹脂量の50質量%を超え60質量%以下である再生材混合樹脂で形成したことを特徴とする絶縁電線、及び
(3)(1)または(2)に記載の絶縁電線を絶縁線心として用いたケーブル
を提供するものである。
本発明において、「架橋ポリオレフィン(系)再生材」とは、架橋ポリオレフィン樹脂またはそれを主成分とする樹脂組成物の廃材を、架橋を切断する再生処理したものである。
また、前記「全樹脂量」とは、再生材混合樹脂を構成する架橋ポリオレフィン(系)再生材の量と、ポリエチレンの量との合計量である。
本発明の絶縁電線は、好ましくは、導体が絶縁層で被覆され、前記絶縁層が、架橋ポリオレフィン(系)再生材を含む再生材混合樹脂により形成されたものである。
本発明のケーブルは、好ましくは、線心として前記絶縁電線と同じ構造のものを用い、これにシースを施したものである。
再生処理に供される架橋ポリオレフィン(系)樹脂の廃材は、前記ポリオレフィン樹脂やポリオレフィン系樹脂を主成分とする架橋された樹脂を主成分とする廃材であればよい。
前記廃材の発生源としては、例えば、電線被覆廃材、光ケーブル被覆廃材などの配線材の被覆廃材や、一般廃棄物として廃棄される給水用、給湯用、屋内暖房用のパイプ、または各種発泡体などが挙げられる。回収された廃材は、使用年数に関係なく、極端に劣化が進んだものでも支障なく使用できる。
好ましい架橋ポリオレフィン(系)廃材は、電線、ケーブルに被覆された架橋ポリエチレンであって、有機過酸化物、シラン、電子線照射などで架橋されたものである。
架橋ポリオレフィン(系)樹脂の架橋度は、一般に、ゲル分率で示される。前記再生処理の程度は、このゲル分率を目安にすることができる。再生処理を高度に行うと、ゲル分率は小さくなる。
本発明において、ゲル分率は、加温したキシレンに試料を入れ溶解せずに残った試料の質量の、元の試料の質量に対する割合(%)であり、JIS C 3005中の「4.25架橋度」に従って測定したものである。
前記再生処理の程度が低く、架橋ポリオレフィン(系)再生材のゲル分率が40%を超えると電線被覆材としての特性、特に、絶縁層に要求される機械的特性、電気的特性を満足できない。ゲル分率は35%以下であることがさらに好ましいが、過剰な再生処理を行うとゲル分率を下げることはできるが、MFRが極端に大きくなってケーブル製造時の加工性が低下しまう。従って、さらに好ましい再生材のゲル分率は5〜30%である。
本発明においては、架橋ポリオレフィン(系)廃材のゲル分率が40%以下のものであっても脱架橋したものが再生材として用いられる。
本願の第1の実施形態においては、JIS K 7210に準拠して温度190℃,荷重21.18N(2.16kg)の条件で測定されるMFR(メローフローレート)の値が0.25以下である高圧ラジカル重合法により製造された低密度ポリエチレンを用いる。本実施形態では、再生材を60質量%まで増量配合しても電線、ケーブルに要求される機械特性や電気特性を満足するものを得ることができる。
本実施形態の再生材混合樹脂において、架橋ポリオレフィン(系)再生材と高圧ラジカル重合法により製造された低密度ポリエチレンとの合計を100質量%として、再生材の含有量は60質量%以下にする。好ましくは55質量%以下である。架橋ポリオレフィン(系)再生材の含有量の下限は特に限定されるものではないが、リサイクルの観点からより多く配合することが好ましく、50質量%超であることがさらに好ましい。
なお、再生材の量を上記範囲にした結果、再生材混合樹脂においてポリエチレンの含有量は40質量%以上になる。
また、本発明の絶縁電線・ケーブルは、再生材混合樹脂で構成された層が、被覆層のうち少なくとも1層であればよく、複数層、または全層であってもよい。上記再生材混合樹脂で構成された層以外の層は、通常の電線・ケーブルの被覆材として使用される樹脂であれば特に制限なく使用可能であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
また、導体としては特に制限は無く、任意の導体を用いることができる。
また、本発明におけるケーブルは、任意の光ファイバを上記の再生材混合樹脂で被覆した光ケーブルであっても良い。
(電線の製造)
下記の再生材と高圧ラジカル重合法により製造された低密度ポリエチレンを表1に示す割合(表1に示す数値の単位は質量%である。)で混合して再生材混合樹脂とし、これを断面積120mm2のアルミ導体上に押出温度200℃、厚さ3mmで押出して絶縁層を形成し、実施例1〜3、比較例1〜7の絶縁電線(図2に示す構造のACSR−OE電線)を得た。なお、絶縁層の樹脂は架橋していない。
(架橋ポリエチレン再生材(XLPE再生材))
屋外型ポリエチレン電線の被覆廃材(シラン架橋されたポリエチレンの廃材)を平均粒径10mm以下に粉砕後、同方向に回転する2軸押出機で350℃、せん断速度2500sec−1で再生処理を行った。得られた再生材のゲル分率は33%と47%であった。
(ポリエチレン)
市販の高圧ラジカル重合法により製造された低密度ポリエチレンの中から、MFRの異なる以下のものを準備して実験を行なった。
NUC8042(日本ユニカー(株)製、MFR=0.15)
LF128(日本ポリエチレン(株)製、MFR=0.25)
NUC8013(日本ユニカー(株)製、MFR=0.35)
LF244E(日本ポリエチレン(株)製、MFR=0.6)
LF342M(日本ポリエチレン(株)製、MFR=1.0)
NUC9060(日本ユニカー(株)製、MFR=1.2)
得られた電線を電力用規格C−248屋外用鋼心アルミ導体ポリエチレン絶縁電線(ACSR−OE)(社団法人日本電気協会)に準拠し、以下の規格について評価試験を行った。結果を表1に示す。なお、規格値は以下のとおりで、表1において、耐トラッキングおよび、耐電圧については、規格値をクリアするものを「良」、クリアしないものを「否」で示した。
規格値(ACSR−OE(120mm2))
・絶縁体引張強度:10Mpa以上
・絶縁体の伸び:350%以上
・加熱後の引張強度:引張強度残率85%以上
・加熱後の伸び:伸び残率65%以上
・加熱変形:10%以下
・耐トラッキング試験:噴霧回数101回においても、0.5A以上の電流が
試料表面を流れないか、または燃え上がらないこと
・絶縁抵抗:1500MΩ・km以上
・耐電圧試験:1200Vの試験電圧に1分間耐えること
2 絶縁被覆層
11 鋼線
12 アルミニウム導体
13 絶縁被覆層
21 導体
22 絶縁被覆層
23 介在
24 押さえテープ
25 シース
Claims (3)
- 被覆層の少なくとも1層を、ゲル分率40%以下の架橋ポリオレフィン(系)再生材と、JIS K 7210に基づく温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるMFRの値が0.25以下である高圧ラジカル重合法により製造された低密度ポリエチレンとからなる再生材混合樹脂であって、前記架橋ポリオレフィン(系)再生材の配合量が全樹脂量の50質量%を超え60質量%以下である再生材混合樹脂で形成したことを特徴とする絶縁電線。
- 導体が絶縁層で被覆された絶縁電線の前記絶縁層を、ゲル分率40%以下の架橋ポリオレフィン(系)再生材と、JIS K 7210に基づく温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるMFRの値が0.25以下である高圧ラジカル重合法により製造された低密度ポリエチレンとからなる再生材混合樹脂であって、前記架橋ポリオレフィン(系)再生材の配合量が全樹脂量の50質量%を超え60質量%以下である再生材混合樹脂で形成したことを特徴とする絶縁電線。
- 請求項1または2に記載の絶縁電線を絶縁線心として用いたケーブル。
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