JP5769321B2 - シラン架橋樹脂成形体の製造方法及びその方法を用いた成形体 - Google Patents

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本発明は、成形性及び経済性を備えたポリオレフィン系シラン架橋樹脂成形体の製造方法及びそれを用いた成形体に関する。
電線・ケーブルは、電力輸送媒体として使用されることはいうまでもないが、情報化社会の発達やあらゆる機器のエレクトロニクス化により、情報伝達の分野における使用量が増加してきた。そのため、特別な場合を除き、殆どプラスチック材料が使用されている電線・ケーブルの被覆材料も重要な役割を担い、電線・ケーブル本来の目的である電気絶縁、保護、取扱い易さ、及び、安全性等に加え、美観、経済性、及び、環境性等も求められるようになってきた。
電力輸送媒体としては、発電所で作られた電気を消費地の変電所まで送る送電線、変電所で所定の電圧に下げられた電気を工場やビル、家庭などに配る配電線、更に工場内、ビル内、家庭内で使用される配線、そして船舶・航空機・自動車等に使われる特殊機器用電線に分けられる。
高圧の送電・配電用のものは幾分複雑な被覆構造となっているが、地中送電のものは、内側の絶縁体として電気特性や機械強度に優れた架橋PEが使用され、外側のシースとしてポリ塩化ビニル(PVC)やPEが使用される。この内側の架橋PEには、電子線を照射する電子線架橋や過酸化物を用いる化学架橋等を適用したものもあるが、シラノール縮合触媒の存在下で水分との接触で架橋することができる水架橋型PEを用いることが多い。
家電やOA機器等の電源コードには、成形性が良い等の理由で、熱可塑性エラストマー(TPE)を使用することも多いが、高温域で使用される電線の場合、その被覆にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの他、架橋PEも用いられる。この架橋PEにも水架橋型PEを適用することが多い。
一方、情報伝達媒体としては、オフィスや家庭での電子機器間の接続用電線、特にテレビのリード線等は、PE被覆或いはその外側シースにゴムを用いるが、この場合も、PEとしては水架橋型PEを用いることが多い。
近年、エレクトロニクス化の進展やハイブリッド化等により、自動車における電線使用量が増加している。その主な被覆材料はPVCであるが、耐熱性が要求される被覆材料としては、PETや水架橋型PEが用いられる。
このように、水架橋型PEは、今や必要不可欠な絶縁材料である。今後、環境性という観点からは塩素を含むPVCに替わって、また、経済性という観点からは高価なPETに替わって使用されるものと予測される。
さて、このような水架橋型PEには、高密度PE(HDPE)、直鎖状低密度PE(LLDPE)、低密度PE(LDPE)のいずれも使用することができるが、それぞれ、特徴がある。HDPEは、分岐のない直線状の高分子であるため、結晶化度が高く、電線被覆材料に求められる電気的、力学的、熱的、及び、化学的特性に最も優れているが、成形性が悪く、押出成形によって表面に凹凸ができるメルトフラクチャーという表面平滑性の問題がある。これは、電線被覆加工のような細孔押出しの場合に見られる特異な膨らみ現象で、ベイラス(Baras)効果によるものと推測される(非特許文献1参照)。LDPEは、長い分岐を有する枝分れ状の高分子であるため、結晶化度が低く、成形加工し易く、可撓性に優れているものの、引張り強度や耐熱性等に劣るという問題がある。LLDPEは、短い分岐を有する直線状の高分子であり、その構造上、HDPEとLDPEの中間に存在するが、HDPE同様、表面平滑性の課題を有している。
しかし、エチレンとα‐オレフィンの共重合で製造されるLLDPEは、LDPEに比べ、機械的強度、耐熱性、及び、熱間シール性に優れ、シール強度、耐衝撃性、及び、ホットタック性等が、サーリン(登録商標:PEアイオノマー)を凌ぐものであるため、包装材料を中心として、従来のLDPEがLLDPEに置き換わってきており、経済性という大きな利点がでてきた。そのため、被覆電線等のように経済性が要求される分野において、原料価格という観点から、包装材料等として大量に使用されるフィルム用PE、すなわち、メルトフローレシオ(MFR)が小さいLDPEやLLDPE、特に、LLDPEを水架橋型PEとして使いこなすことが必要となってきた。
そこで、上述したような成形性(表面平滑性)の問題を解決するため、特開昭55−128441号、特開昭60−139713号、及び、特開平9−306241号等に開示されているような改良が施されてきたものの、次のような課題が残されている。
従来技術に共通している課題は、シラノール縮合触媒の存在で水分によって架橋させるための水架橋型PEを予め作製していることである。つまり、ラジカル発生剤の下、PEと不飽和二重結合を有するアルコキシシラン化合物とを加熱し、ラジカル反応によってアルコキシシランをPE分子内に導入するグラフト反応工程が必要とされ、生産性が悪いという問題がある。更に、この工程は、大量の樹脂を用いて行われるため、大型の加熱混合装置が必要であり、工程時間が長いという問題もある。例えば、特開昭55−128441号では、MFRが2.0のLDPEにポリプロピレンを導入することによって表面平滑性の問題を改良しているが、グラフト反応工程を必要としている。
一方、表面平滑性の問題についても未だ解決されていない。特開昭60−139713号では、LLDPEの成形性を改良しているが、表面平滑性には言及していない。更に、特開平9−306241号では、被覆電線の製造速度が40m/min以下における表面平滑性の改良が開示されているが、問題が生じる実用レベルの高線速製造における効果が未確認である。
このように、従来の水架橋型PEを用いたシラン架橋成形体の製造方法では、原料価格の低減を図れるが、成形性(表面平滑性)及び生産性(経済性)の問題を同時に解決することが困難な状況にある。
特開昭55−128441号公報 特開昭60−139713号公報 特開平9−306241号公報 特開平10−120797号公報
大柳康,エンジニアリングプラスチック−その特性と加工−,p.74,1985.
本発明は、安価なフィルム用PE系樹脂を主成分とし、電気的、力学的、熱的、及び、化学的特性に加え、成形性及び経済性を備えたシラン架橋樹脂成形体を製造する方法及びその方法を用いた成形体を提供することをその目的とするものである。特に、ポリオレフィン系シラン架橋樹脂で被覆された電線・ケーブルの製造方法及びその方法を用いた被覆電線・ケーブルの提供を目的とする。
上記課題に対し、次に示す製造方法を適用することによって解決できることを見出した。すなわち、本発明は、少なくとも一種のPE系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂成分(A)0〜92質量部、不飽和二重結合を有する有機アルコキシシラン化合物(1)及びラジカル発生剤(2)を含み、少なくとも一種のPE系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂成分(B‐1・2)5〜97質量部、及び、シラノール縮合触媒(3)及び酸化防止剤(4)を含むポリオレフィン系樹脂成分(C‐3・4)3〜30質量部を、それぞれ、マスターバッチとして作製し、上記(A)、(B‐1・2)、及び、(C‐3・4)を混合した後、或いは、各構成成分をそれぞれ独立して、押出成形機に供給し、溶融混練しながら反応させ、押出成形した後、水分と接触させて架橋させることを特徴とする架橋形成体の製造方法である。その結果、その製造方法を用いて物性、表面平滑性、経済性に優れたシラン架橋樹脂成形体、特に、被覆電線・ケーブルの製造が可能となった。
また、上記樹脂成分(A)、(B‐1・2)、及び、(C‐3・4)の総樹脂成分(ABC‐1・2・3)100質量部の内、ポリプロピレン(PP)系樹脂成分(p)30〜2質量部が、(A)、(B‐1・2)、及び、(C‐3・4)の少なくとも一つの構成成分に含まれていることを特徴とするシラン架橋樹脂成形体の製造方法であり、その製造方法を用いたシラン架橋樹脂成形体である。
更に好ましくは、上記PP系樹脂(p)を含む樹脂成分(A‐p)、(B‐p・1・2)、及び、(C‐p・3・4)の総樹脂成分(ABC‐p・1・2・3・4)100質量部の内、異種のPE系樹脂を含み、その配合比が10〜30質量部であることを特徴とするシラン架橋樹脂成形体の製造方法であり、その製造方法を用いたシラン架橋樹脂成形体である。
より更に好ましくは、上記PP系樹脂成分(p)を含む樹脂成分(A‐p)、(B‐p・1・2)、及び、(C‐p・3・4)の総樹脂成分(ABC‐p・1・2・3・4)100質量部の内、熱可塑性ゴム(TPE)と呼ばれる、融点が40〜80℃のエチレン-α-オレフィン共重合体であるPE系樹脂を含み、その配合量が5〜15質量部であることを特徴とする架橋成形体の製造方法であり、その製造方法を用いたシラン架橋成形体である。
なお、上記TPEは、本来、エチレン-α-オレフィン共重合体のPE系ゴムであり、PE系樹脂とは区別されるものであるが、本明細書においては、PE系樹脂として扱った。
ただし、上記アルコキシシラン化合物(1)、ラジカル発生剤(2)、シラノール縮合触媒(3)、及び、酸化防止剤(4)は、総樹脂成分(ABC)100質量部に対し、アルコキシシラン化合物(1)0.2〜4.0質量部、ラジカル発生剤(2)0.05〜0.4質量部、シラノール縮合触媒(3)0.005〜0.04質量部、及び、酸化防止剤(4)0.05〜0.5質量部が、それぞれ、(B)及び(C)に含まれている。
本発明の製造方法を用いることによって、電気的、力学的、熱的、化学的特性に加え、成形性及び経済性を備えたシラン架橋樹脂成形体、特に、ポリオレフィン系シラン架橋樹脂の被覆電線・ケーブルが押出成形によって得られる。
本発明の製造方法は、従来、ポリオレフィン系樹脂に水分で架橋するためのアルコキシシランを導入するグラフト反応工程を不要としたこと、少なくともPE系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂成分(A)、不飽和二重結合を有する有機アルコキシシラン化合物及びラジカル発生剤を含み、少なくともPE系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂成分(B‐1・2)、及び、シラノール縮合触媒及び酸化防止剤を含むポリオレフィン系樹脂成分(C‐3・4)の3種のマスターバッチを予め作製しておくことに大きな特徴を有する。一方、原材料としては、ポリオレフィン系樹脂にPP系樹脂成分が含まれること、ポリオレフィン系樹脂が一種又は二種のPE系樹脂であること、及び、ポリオレフィン系樹脂にTPEと呼ばれるPE系樹脂を含むことを特徴としている。
グラフト反応工程の省略が生産効率を高めることは明白であるが、上記3種のマスターバッチを作製することも生産性を高める重要な技術である。まず、上記アルコキシシラン化合物、ラジカル発生剤、シラノール縮合触媒、及び、酸化防止剤等、樹脂に混合分散させる樹脂量を自由に調整(低減)することができ、設備の小型化、工程時間の短縮化を実現することができる。また、3種のマスターバッチから独立して押出成形機に送入することによって、大型の撹拌混合機も不要となる。
このような特徴を有する本発明の樹脂組成物を製造する方法の例を、次に具体的に説明するが、これに限定されるものではない。ここで、PE系樹脂成分及びPP系樹脂の存在の有無を明確にするため、種類にとらわれず、PE系樹脂(e)を用いて説明する。
(イ)少なくとも一種のPE系樹脂(e)を含むポリオレフィン系樹脂成分(B)として、少なくとも一種のPE系樹脂(e)、アルコキシシラン化合物(1)、及び、ラジカル発生剤(2)の各所定量をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、マスターバッチ(B‐e・1・2)を作製する。次いで、ポリオレフィン系樹脂成分(C)としては、PP系樹脂成分(p)に所定量のシラノール縮合触媒(3)と酸化防止剤(4)を加え、バンバリーミキサーを用いることによって加熱混練後、ペレット化したマスターバッチ(C‐p・3・4)を作製する。これら(B‐e・1・2)及び(C‐p・3・4)をタンブラーで撹拌混合して、本発明の樹脂組成物を作製することができる。
(ロ)少なくとも一種のPE系樹脂(e)を含むポリオレフィン系樹脂成分(A)として、少なくとも一種のPE系樹脂(e)のペレットをそのままマスターバッチ(A‐e)として用意する。次いで、少なくとも一種のPE系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂成分(B)として、上記ポリオレフィン系樹脂成分(A)に含まれるPE系樹脂(e)と同種又は異種のPE系樹脂(e)のペレットに、そのPE系樹脂(e)の融点より約10℃低い温度となるように余熱を与え、所定量のアルコキシシラン化合物(1)とラジカル発生剤(2)をヘンシェルミキサーで含浸させたマスターバッチ(B‐e・1・2)を作製する。次いで、ポリオレフィン系樹脂成分(C)としては、PP系樹脂成分(p)に所定量のシラノール縮合触媒(3)と酸化防止剤(4)を加え、バンバリーミキサーを用いることによって加熱混練後、ペレット化したマスターバッチ(C‐p・3・4)を作製する。これら(A‐e)、(B‐e・1・2)、及び、(C‐p・3・4)をタンブラーで撹拌混合して、本発明の樹脂組成物を作製することができる。ただし、ポリオレフィン樹脂成分(B)が25%未満の場合は、余熱、含浸は不要である。
(ハ)少なくとも一種のPE系樹脂(e)を含むポリオレフィン系樹脂成分(B)として、少なくとも一種のPE系樹脂(e)、アルコキシシラン化合物(1)、及び、ラジカル発生剤(2)の各所定量をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、マスターバッチ(B‐e・1・2)を作製する。次いで、ポリオレフィン系樹脂成分(C)としては、上記ポリオレフィン系樹脂成分(B)を構成するPE系樹脂(e)と同種又は異種のPE系樹脂(e)とPP系樹脂成分(p)を混合し、所定量のシラノール縮合触媒(3)と酸化防止剤(4)を加え、バンバリーミキサーを用いることによって加熱混練後、ペレット化したマスターバッチ(C‐e・p・3・4)を作製する。これら(B‐e・1・2)及び(C‐e・p・3・4)をタンブラーで撹拌混合して本発明の樹脂組成物を作製することができる。
(ニ)少なくとも一種のPE系樹脂(e)を含むポリオレフィン系樹脂成分(B)として、所定量の少なくとも一種のPE系樹脂(e)とPP系樹脂成分(p)のペレットに、アルコキシシラン化合物(1)とラジカル発生剤(2)をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、マスターバッチ(B‐e・p・1・2)を作製する。次いで、ポリオレフィン系樹脂成分(C)としては、上記ポリオレフィン系樹脂成分(B)を構成するPE系樹脂(e)と同種又は異種のPE系樹脂(e)に、所定量のシラノール縮合触媒(3)と酸化防止剤(4)を加え、バンバリーミキサーを用いることによって加熱混練後、ペレット化したマスターバッチ(C‐e・3・4)を作製する。これら(B‐e・p・1・2)及び(C‐e・3・4)をタンブラーで撹拌混合して本発明の樹脂組成物を作製することができる。
(ホ)少なくとも一種のPE系樹脂(e)を含むポリオレフィン系樹脂成分(A)として、少なくとも一種のPE系樹脂(e)とPP系樹脂成分(p)のペレットをタンブラーで撹拌混合したマスターバッチ(A‐e・p)を用意する。少なくとも一種のPE系樹脂(e)を含むポリオレフィン系樹脂成分(B)として、上記ポリオレフィン系樹脂成分(A)を構成するPE系樹脂(e)と同種又は異種のPE系樹脂(e)のペレットに、その融点より約10℃低い温度となるように余熱を与え、所定量のアルコキシシラン化合物(1)とラジカル発生剤(2)をヘンシェルミキサーで含浸させたマスターバッチ(B‐e・1・2)を作製する。次いで、ポリオレフィン系樹脂成分(C)としては、上記ポリオレフィン系樹脂成分(A)を構成するPE系樹脂(e)と同種又は異種のPE系樹脂に、所定量のシラノール縮合触媒(3)と酸化防止剤(4)を加え、バンバリーミキサーを用いることによって加熱混練後、ペレット化したマスターバッチ(C‐e・3・4)を作製する。これら(A‐e・p)、(B‐e・1・2)、及び、(C‐e・3・4)をタンブラーで撹拌混合して、本発明の樹脂組成物を作製することができる。ただし、ポリオレフィン樹脂成分(B)が25%未満の場合は、余熱、含浸は不要である。
(ヘ)少なくとも一種のPE系樹脂(e)を含むポリオレフィン系樹脂成分(A)として、少なくとも一種のPE系樹脂(e)のペレットをそのままマスターバッチ(A‐e)として用意する。少なくとも一種のPE系樹脂(e)を含むポリオレフィン系樹脂成分(B)として、上記ポリオレフィン系樹脂成分(A)を構成するPE系樹脂(e)と異種又は同種のPE系樹脂(e)とPP系樹脂成分(p)のペレットに、所定量のアルコキシシラン化合物(1)とラジカル発生剤(2)をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、マスターバッチ(B‐e・p・1・2)を作製する。次いで、ポリオレフィン系樹脂成分(C)としては、上記ポリオレフィン系樹脂成分(A)を構成するPE系樹脂(e)と同種又は異種のPE系樹脂(e)に、所定量のシラノール縮合触媒(3)と酸化防止剤(4)を加え、バンバリーミキサーを用いることによって加熱混練後、ペレット化したマスターバッチ(C‐e・3・4)を作製する。これら(A‐e)、(B‐e・p・1・2)、及び、(C‐e・3・4)をタンブラーで撹拌混合して、本発明の樹脂組成物を作製することができる。
上記製造方法の例を明らかとするため、表1にまとめた。
Figure 0005769321
以上、製造方法の具体例を挙げたが、特に、製造方法(ロ)、(ホ)、及び、(ヘ)に代表される製造方法が好ましい。製造方法(イ)、(ハ)、及び、(ニ)では、ポリオレフィン系樹脂(B)、アルコキシシラン化合物(1)、及び、ラジカル発生剤(2)を撹拌混合するためには、大型の混合機が必要であるが、製造方法(ロ)、(ホ)、及び、(ヘ)では、取り扱う樹脂量が大幅に低減され、混練機の小型化、省スペース化、及び、省エネルギー化を図ることが可能となるためである。
このようにして作製された樹脂組成物は、押出成形機に送入され、成形された後、水分と接触させて架橋反応を完結させ、本発明のシラン架橋樹脂成形体が製造される。
樹脂組成物の押出成形機への送入は、一つのホッパーから一括して送入してもよいが、各マスターバッチの最終撹拌混合を省き、各マスターバッチを複数のホッパーを設置して、それぞれ独立して押出成形機に送入してもよい。
押出成形機は、一般的なものを使用することができ、装置の機種によって、最適な条件を設定する必要がある。この条件は、物性やゲル分率の評価によって決定される。
また、被覆電線・ケーブルを製造する場合は、押し出された樹脂が先端のクロスヘッドにある成形金型を通して導体の上にほぼ均一に被覆される。導体に制限はなく、被覆電線の絶縁体だけでなく、シースの製造にも使用できる。
架橋工程は、製造する製品に応じた条件を設定するが、その場合にも、物性やゲル分率の評価によって決定する。
上記シラン架橋樹脂成形体は、加熱されたシリンダー内をスクリューによって押し出される過程において、ラジカル反応とイオン反応が同時に進行しながらヘッドから押し出されるが、主にラジカル反応が優先的に進行し、その後、水分による架橋反応で製造が完結される。このように、押出成形機を一度履歴しただけでグラフト工程を省略することができたのは、後ほど詳しく説明するが、樹脂組成物の粘性の低下が、ラジカルの移動度を高め、反応が容易になったからであると推測している。
一方、本発明に用いられるPE系樹脂成分(e)は、経済性という観点から、ヒートシール性等の包装材料としての適性を重視した、安価なフィルム用PE系樹脂、すなわち、MFRが0.5以上5以下である高圧法LDPEや各種LLDPEを用いることが好ましい。特に、電線・ケーブルの被覆材料として、物性及び経済性の両立という観点から、LLDPEが好ましい。
LLDPEには、気相重合法や溶液重合法等の各種LLDPEがあるが、溶液重合法のエチレン‐α‐オレフィン共重合体が好ましい。具体的には、エチレン‐ブテン共重合体、エチレン‐ヘキセン共重合体、及び、エチレン‐オクテン共重合体を用いることができる。
このような安価なフィルム用LLDPEの市場流通品としては、次のようなものがある。例えば、市販されている気相重合法LLDPEとしては、日本ポリエチレン社製のフィルム用のノバテック(登録商標)LL及びノバテック(登録商標)C6等がある。更に、市販されている溶液重合法LLDPEとして、プライムポリマー社製のネオゼックス(登録商標)、ウルトゼックス(登録商標)、モアテック(登録商標)、及び、エボリュー(登録商標)等がある。
このような、MFRが0.5以上5以下であるフィルム用途に使用される高圧法LDPEや各種LLDPE等のPE系樹脂(e)を単独で用いるのではなく、二種のエチレン‐α‐オレフィン共重合体を混合して用いることもできる。具体的には、エチレン‐ブテン共重合体、エチレン‐ヘキセン共重合体、及び、エチレン‐オクテン共重合体から選択されるが、特に、その内一種のLLDPEは、100℃以下の融点のものが適しており、組合せとしては、エチレン‐ヘキセン共重合体とエチレン‐オクテン共重合体が適している。異種のPE系樹脂成分は、総ポリオレフィン系樹脂成分100質量部の内、10〜30質量部含まれることが好ましく、この範囲外の場合、表面平滑性を改良する効果がない。また、融点が100℃以下のLLDPEを用いることは、製造法(ロ)及び(ホ)等のように、アルコキシシラン化合物(1)を含浸させる場合に、その蒸発を抑制できるという製造工程上の利点もある。
また、MFRが0.5以上5以下であるフィルム用途に使用される高圧法LDPEや各種LLDPE等のPE系樹脂に、熱可塑性エラストマー(TPE)と呼ばれる、融点が40〜80℃のエチレン‐α‐オレフィン共重合体であるPE系樹脂を混合して用いることもできる。TPEは、総ポリオレフィン系樹脂成分の内、5〜15質量部含まれることが好ましい。5質量部未満であると、表面平滑性を改良する効果がなく、15質量部以上であると、熱的及び力学的特性の低下を招く。また、融点の低いTPEを用いることは、上記融点の低いLLDPE同様、アルコキシシラン化合物(1)を含浸させる場合に、その蒸発を抑制できるという製造工程上の効果もある。このようなTPEと同様の機能を果たす樹脂として、エチレン‐エチルアクリレート(EEA)樹脂、エチレン‐ブチルアクリレート(EBA)樹脂、及び、エチレン‐酢酸ビニル(EVA)樹脂等を適用できるが、EA含有量9%以上のEEA樹脂及びVA含有量9%以上のEVA樹脂が特に好ましい。例えば、TPEは、ダウ社製エンゲージ等が、EEA及びEBA樹脂は、デュポン社製エルバロイ(登録商標)や日本ユニカー社製EEA等が、EVA樹脂は、日本ポリエチレン社製ノバテック(登録商標)EVA、三井・デュポン・ポリケミカル社製エバフレックス(登録商標)、及び、日本ユニカー社製等がそれぞれ市販されている。
本発明のPP系樹脂成分(p)としては、PP単独重合体のホモポリマー(h‐PP)、少量のエチレン及び/又は1‐ブテンとの共重合体であるランダムPP(r‐PP)、及び、ゴム成分をh‐PPやr‐PPに分散したブロックPPのいずれも使用することができ、総ポリオレフィン系樹脂成分の内、30〜2質量部用いることが好ましい。2質量部未満の場合、成形性を改良する効果がなく、30質量部以上の場合、熱的特性の低下を招く。
特に、本発明のPP系樹脂成分(B)としては、r‐PPが好ましい。更に、r‐PPでも、MFRが8以上のものが好ましいが、15以上であることが更に好ましく、25以上であることがより更に好ましい。
例えば、このようなPP系樹脂の市場流通品として、日本ポリプロピレン製ノバテック(登録商標)PP、サンアロマー社製ポリプロピレン・サンアロマー、住友化学社製住友ノーブレン(登録商標)、及び、プライムポリマー社製プライムポリプロ(登録商標)等の製品がある。
本発明で好ましく用いることができる不飽和二重結合を有する有機アルコキシシラン化合物(1)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、及び、アリルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
本発明で用いられるラジカル発生剤(2)は、有機パーオキサイドが好ましい。例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ‐tert‐ブチルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(tert‐ブチルペルオキシ)ヘキシン‐3、1,3‐ビス(tert‐ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1‐ビス(tert‐ブチルパーオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、n‐ブチル‐4,4‐ビス(tert‐ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p‐クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert‐ブチルパーオキシベンゾエート、tert‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、及び、tert‐ブチルクミルパーオキサイド等を挙げることができる。これらのうち、ジクミルパーオキサイド、ジ‐tert‐ブチルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、及び、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐ブチルペルオキシ)ヘキシン‐3が最も好ましい。
本発明で用いることができるシラノール縮合触媒(3)としては、例えば、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウリレート、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ナフテン酸鉛、硫酸鉛、硫酸亜鉛、及び、有機白金化合物等が挙げられる。
本発明で用いることができる酸化防止剤(4)としては、例えば、4,4’‐ジオクチル・ジフェニルアミン、N,N’‐ジフェニル‐p‐フェニレンジアミン、及び、2,2,4‐トリメチル‐1,2‐ジヒドロキノリンの重合物等のアミン系酸化防止剤、ペンタエリトリトール‐テトラキス(3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル‐3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート、及び、1,3,5‐トリメチル‐2,4,6‐トリス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2‐メチル‐4‐(3‐n‐アルキルチオプロピオニルオキシ)‐5‐t‐ブチルフェニル)スルフィド、2‐メルカプトベンゾイミダゾールおよびその亜鉛塩、及び、ペンタエリトリトール‐テトラキス(3‐ラウリル‐チオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。特に、フィンダートフェノール系酸化防止剤が好ましく、具体的には、ペンタエリトリトール‐テトラキス(3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を挙げることができる。
本発明において、上記各成分の他に、金属不活性剤、耐候剤、滑剤、着色剤、或いは、その他添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。
金属不活性剤としては、N,N’‐ビス(3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3‐(N‐サリチロイル)アミノ‐1,2,4‐トリアゾール、及び、2,2’‐オキサミドビス‐(エチル3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。
耐候剤としては、光安定剤(例えばヒンダードアミン系光安定剤)、或いは、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、カーボンブラック)等一般的な耐候剤が挙げられる。
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系、及び、シリコーン系等が挙げられ、特に、炭化水素系やシリコーン系が好ましい。
ところで、従来、ラジカル発生剤を用いて、ポリオレフィン系樹脂と不飽和二重結合を有する有機アルコキシシラン化合物とのラジカル反応で、側鎖にアルコキシシランを有するポリオレフィン樹脂を予め製造しておく必要があると報告されてきた。しかしながら、本発明の製造方法では、グラフト反応工程を不要とすることができた。その要因は定かではないが、次のように推量している。
すなわち、MFRが0.5以上5以下であるフィルム用途に使用されるPE系樹脂を少なくとも一種以上含むポリオレフィン系樹脂成分とPP系樹脂成分の最適な組み合わせによって生じた粘弾性挙動に変化を生じたことである。押出成形機内における粘性が低下し、ラジカルの移動度が高まり、ラジカル反応による不飽和二重結合を有する有機アルコキシシラン化合物のポリオレフィン樹脂に対するグラフト反応が十分生起することができたものと考えられる。この粘弾性挙動の変化は、同時に、表面平滑性を改良する効果としても有効に作用した。
表面平滑性が改良された要因は、次のように考えられる。押出成形体の表面の凹凸は、押出成形機内で溶融していた樹脂が、ノズルから外界に出る際、粘弾性体特有の法線応力効果によって盛り上がり、その形状が、溶融体から固体になっても残されたものであると推測される。これに基づけば、直鎖状分子や狭い分子量分布等を有する高分子のように、結晶化しやすく、凝固速度の大きいもの程生じ易く、事実、LDPE、LLDPE、HDPEの順に凹凸が形成され易いことが報告されている。特に、押出成形における電線被覆加工のように、細孔押出しの場合に見られる特異な膨らみ現象であるベイラス(Baras)効果(非特許文献1参照)は、高速成形になる程より顕著になってくるようである。従って、異種のPE系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂とすることや、PP系樹脂成分を混合することによって凝固速度が低下し、表面平滑性が向上したものと考えられる。
更に、二種のエチレン‐α‐オレフィン共重合体であるPE系樹脂を混合したこと、或いは、TPEと呼ばれる、融点が40〜80℃のエチレン‐α‐オレフィン共重合体のPE系樹脂を混合したことも、より最適な粘弾性挙動に変化させていることが分かった。
以下、実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[試料]
本実施例で使用したPE系樹脂、PP系樹脂、不飽和二重結合を有する有機アルコキシシラン化合物、ラジカル発生剤、シラノール縮合触媒、酸化防止剤は、表2に示した。
Figure 0005769321
[混合方法]
樹脂のペレットの混合には、タンブラーを用い、常温で10分間撹拌した。
樹脂のペレットに有機アルコキシシラン化合物及びラジカル発生剤を含浸するには、実施例12、13、27、及び、28のような場合、ヘンシェルミキサーを用い、樹脂の融点より10℃低い温度となるように余熱を与え、3分撹拌する。それ以外の実施例では、ヘンシェルミキサーで3分撹拌するだけである。
樹脂とシラノール縮合触媒及び酸化防止剤とを混合する場合、バンバリーミキサーを用い、200℃で5分混練し、ペレット化した。
[電線製造工程]
押出成形機は、シリンダー径φ70mm、L/D=25のものを用い、押出温度を、シリンダー:190℃、フランジ:200℃、ヘッド:210℃、ダイス:220℃と設定し、線速50、100、及び、150m/minで、導体に樹脂を被覆した。導体は、1/0.8Aの軟銅線で、被覆樹脂の肉厚は0.4mm、外形が約φ1.6mmとなるようにした。
[架橋工程]
60℃の温水に24時間浸漬させた。
[評価]
○加熱変形:JIS−C3005に基づき、試験温度120℃、荷重5Nで行い、変形率40%以下のものを○、それ以外を×とし、○を合格とした。
○ホットセット:JIS−C3660−2−1に基づき、試験温度200℃、荷重20N/mm、荷重時間15minで行い、加熱時の伸びが100%以下、かつ、冷却後の永久伸びが25%以下のものを○、それ以外を×とし、○を合格とした。
○高線速製造性:各線速の外観を確認した。外観が非常に優れているものを○、製品上問題ないが、外観がやや劣るものを△、製品上問題になるものを×とし、100m/minの線速で△までを合格とした。
○低温性A(低温巻付け性):JIS−C3005に基づき、試験温度−45℃、巻付けマンドレルに巻付けた後、目視にてクラックがないものを○、それ以外を×とした。本試験は、用途により、必須条件ではないため、合否とは無関係な参考試験としたが、従来のシラン架橋樹脂成形体との特性比較のために実施した。
○低温性B(耐寒性):JIS−C3005に基づき、試験温度−65℃で行った。サンプルは、電線と同様の設備、押出条件で作製した厚さ2mmのシートを用いた。試験後、目視による評価を行い、変化がない場合を○、ピンホールが見られた場合を△、割れ、クラック等がある場合を×とした。本試験も、必須条件ではないため、合否とは無関係な参考試験としたが、従来のシラン架橋樹脂成形体との特性比較のために実施した。
製造方法(イ)に示した方法で、樹脂組成物を作製し、上記[電線製造工程]及び[架橋工程]を経て作製された製品の評価を行った結果を表3及び4に示した。
Figure 0005769321
Figure 0005769321
実施例1〜6、実施例16〜21及び比較例1〜7から明らかなように、PP系樹脂は、製造方法にかかわりなく、2〜30重量部の範囲で良好な結果が得られた。
実施例11及び26と比較例2から、酸化防止剤は、架橋形成体の物性を損なうため、0.05〜0.5質量部の範囲が好ましい。
実施例3及び18、実施例7〜10、実施例22〜25から、製造方法にかかわらず、実用上PP系樹脂の種類が問われることはないが、表面平滑性の観点から、r‐PP系樹脂が好ましい。また、r‐PP系樹脂でも、MFRが大きいもの程平滑性が改善され、5以上であることが好ましく、8以上であることがより更に好ましく、25以上であることが最も好ましい。
実施例12〜14及び27〜29から分かるように、製造方法によらず、異種のPE系樹脂、或いは、PE系樹脂でも、密度、融点が極めて低い、ゴム状であるTPEを混合した場合、実験結果には表現されていないが、特に表面平滑性に優れていた。
以上、製造方法によらず、樹脂組成物の配合比によって、シラン架橋樹脂形成体の物性、表面平滑性に変化が認められないことは、生産工程上、極めて重要なことである。すなわち、製造方法(イ)、(ハ)、及び、(ニ)では、アルコキシシラン化合物(1)及びラジカル発生剤(2)を含浸するためには、大型の混合機が必要であり、工程時間も長くなり、光熱費が莫大なものとなるのに対し、製造方法(ロ)、(ホ)、及び、(へ)では、取り扱う樹脂量が大幅に低減され、混合小型化、省エネルギー化を図ることが可能となる。
本発明のシラン架橋樹脂形成体の製造方法によれば、ポリオレフィン樹脂にアルコキシシラン化合物をグラフトするための反応工程が不要で、装置の小型化や工程の短縮化が可能となる上、原料価格の低いLLDPEを主成分として使用しているため、生産性及び経済性に優れている。また、電気的、力学的、熱的、及び、化学的物性に優れたLLDPEを主成分として使用しているにも関わらず、表面平滑性に優れた成形体を得られる。そのため、特に被覆電線・ケーブルに適しているが、ケーブル、光コード、電源プラグ、コネクタ、スリーブ、ボックス、テープ、チューブ、及び、シート等の製造にも幅広く応用することができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも一種のポリエチレン(PE)系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂成分(A)0〜92質量部、不飽和二重結合を有する有機アルコキシシラン化合物(1)及びラジカル発生剤(2)少なくとも一種のPE系樹脂グラフト反応が生起することなく混合したポリオレフィン系樹脂成分(B‐1・2)5〜97質量部、及び、シラノール縮合触媒(3)及び酸化防止剤(4)を加熱混練したポリオレフィン系樹脂成分(C‐3・4)3〜30質量部を、それぞれ、マスターバッチとして作製し、記(A)、前記(B‐1・2)、及び、前記(C‐3・4)を混合した後、或いは、各構成成分をそれぞれ独立して、電線・ケーブル等を製造する押出成形機に供給し、溶融混練しながら反応させ、押出成形した後、水分と接触させることを特徴とするシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記(A)、前記(B‐1・2)、及び、前記(C‐3・4)の総樹脂成分(ABC‐1・2・3・4)100質量部の内、ポリプロピレン(PP)系樹脂成分(p)30〜2質量部が、前記(A)、前記(B‐1・2)、及び、前記(C‐3・4)の少なくとも一つの構成成分に含まれていることを特徴とする請求項1に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  3. 前記PE系樹脂が、少なくとも直鎖状低密度PE(LLDPE)を含むことを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  4. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の製造方法によって得られることを特徴とするシラン架橋樹脂成形体。
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