JP3833296B2 - タッチパネル用透明導電積層体 - Google Patents
タッチパネル用透明導電積層体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3833296B2 JP3833296B2 JP07263896A JP7263896A JP3833296B2 JP 3833296 B2 JP3833296 B2 JP 3833296B2 JP 07263896 A JP07263896 A JP 07263896A JP 7263896 A JP7263896 A JP 7263896A JP 3833296 B2 JP3833296 B2 JP 3833296B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- transparent conductive
- touch panel
- film
- refractive index
- plastic film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Position Input By Displaying (AREA)
- Non-Insulated Conductors (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学特性に優れたタッチパネル用途の透明導電性積層体に関するものであり、液晶パネルと共用される時に特に優れた視認性と優れた視野角特性を有するタッチパネル用透明導電積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示素子と組み合わせた入力機器としてのタッチパネルが広範に使用されている。デジタル式のスイッチ素子から、ペン入力によるアナログ認識素子まで幅広くPDAデバイスとして使用されている。従来のタッチパネルの基本構成はガラス基板透明導電膜とPET基板透明導電膜の組合せで液晶表示素子の上側に重ね合わせて使用されている(タッチパネルが液晶表示素子の偏光板の外側にある)
【0003】
しかるにこの方式では、タッチパネルを通して見る液晶表示素子の視認性が悪く、またサングラスをかけた場合には、PETの光学異方性に起因する着色が生じて視認性が著しく阻害されるという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般にプラスチックフィルムの光学等方性はガラスに比較すると劣っており、直線偏光を表示原理に使用する液晶表示素子と組み合わせる場合には、不要な着色の原因となり液晶表示素子の視認性を低下させるという問題となる。また液晶表示素子の上側にタッチパネルを重ねる方式では液晶表示素子の視認性を著しく低減させ、携帯情報端末の使用範囲を制限する結果となっていた。
【0005】
本発明はかかるタッチパネルの欠点を解消し、視認性と視角特性を低減させる事無く使用できるタッチパネル用フィルム透明導電積層体を目的とするものである。また、基板とするプラスチックフィルムの3次元屈折率を制御する事により、液晶表示素子の視野角や視認性を積極的に補償し、結果これらの特性を向上させる事が出来る事を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち本発明は、溶液製膜された正の屈折率異方性を有するプラスチックフィルムであって、590nmの波長におけるリタ−デイション値が、15nm以下であり且つ遅相軸のバラツキが±10度以下であり、そして前記プラスチックフィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx,面内進相軸方向の屈折率をny,フィルム厚み方向の屈折率をnz,フィルム厚みをdとしたときに、3次元屈折率異方性を示すパラメ−タ−をK=((nx+ny)/2−nz)×dとした時に│K│≦120nmであるプラスチックフィルムの両面に、光学的に透明で耐溶剤性を有する保護層を形成し、少なくとも一方の保護層上に酸化インジウムを主成分とした透明導電膜が形成されていることを特徴とするタッチパネル用透明導電積層体である。以下本発明の詳細を発明にいたる経過とともに説明する。
【0007】
タッチパネル用の透明導電フィルムとしては前述したように、PETを基板として透明導電薄膜が積層された透明導電フィルムが使用されている。しかるにPETフィルムは2軸に延伸されたフィルムであり、面内の光学異方性つまりリタ−デイション値は100nmより大きくなり,直線偏光を表示に使用する液晶表示素子の内部(偏光板の内側には)には着色が生ずるために使用できない。このために、偏光板の外側に使用されるタッチパネルに使用されているが、このタイプでは液晶表示素子の視認性が低下することにより、入力機器としての機能が制限されることになる。また、サングラスを等を使用してみた場合には、液晶表示素子が着色して見えるという欠点が生じてしまう。
【0008】
これらの欠点を解決するためには、面内リタ−デイション値の低いプラスチックフィルムを使用する必要がある。一般的にはリタ−デイション値が20nm以下の特性を有するプラスチックフィルムを使用すれば着色の問題は無いといわれているが、携帯情報端末などの反射タイプの液晶表示素子においては、光が2回プラスチックフィルムを通過する事になる。このため少なくとも590nmでのリタ−デイション測定値が15nm以下、好ましくは10nm以下のフィルムを使用する事が必要である。また、光軸のバラツキを示す遅相軸のバラツキは±15度以下、好ましくは±10度以下である事が必要である。このような特性を有するプラスチックフィルムはフィルムの一般的な製膜方法である溶融押し出し法のフィルム製膜ではなく、溶液製膜法で作製する事が好ましい。溶融押し出し法は、リタ−デイション値を小さくする事が困難であると同時に、幅方向と長さ方向の膜厚均一性の制御が困難であり、また溶融による熱履歴に起因する異物欠点を伴いやすく、液晶表示素子の様な光学的な用途に使用するには向いていない。溶液製膜法は、これに対して、膜厚均一性と光学特性均一性に優れたフィルムの作製が可能でありまた、異物欠点などの除去もプロセス上容易である。さらに、リタ−デイション値の制御も溶融押し出し法と比較すれば容易である。
【0009】
面内のリタ−デイション値が20nm程度以下のフィルムの製膜も可能であり、10nm以下のレベルも可能である。また、遅相軸のバラツキの制御も±10度以下が可能であるこのように、溶液製膜のプラスチックフィルムを基板とする事により、偏光板と液晶表示セルとの間に挿入して使用するタッチパネルの透明導電積層体を得る事ができる。
【0010】
また、プラスチックフィルムの3次元光学特性を制御する事によりタッチパネルの基板を兼ねた、視認性と視野角拡大の機能を賦与する事が可能である。すなわち、プラスチックフィルムの面内遅相軸の屈折率をnx,面内進相軸の屈折率をny,フィルム厚み方向の屈折率をnz,フィルム厚みをdとしたときに、3次元屈折率異方性を示すパラメ−タ−をK=((nx+ny)/2−nz)×dとした時に│K│≦120nmとする事により液晶表示素子の視認性と視野角拡大を達成する事が可能となる。
【0011】
視角による視認性の変化の少ない優れた視角特性を賦与するためには、│K│≦120nm、さらに優れた視角特性を賦与するためには│K│≦60nmとする事が好ましい。
【0012】
Kの値が液晶パネル表示の視角特性に影響を与える詳細な理由については不明であるが、プラスチックフィルムを3次元屈折率楕円体と見做し液晶表示素子の屈折率異方性との補償効果により効果が得られるものと考えられる。具体的にはリタ−デイション値と│K│の値の事なるフィルムと液晶表示素子を組み合わせれば、効果が歴然とする。実際のパネル構成とした場合には顕著な差が見られる。タッチパネル用透明導電積層体の3次元光学特性を有効に生かす、液晶表示パネルの設計とタッチパネルとの積層構成の設計を行なう必要があるが、少なくともリタ−デイション値が15nm以下であり且つ、│K│≦120nmのプラスチックフィルムを基板として使用する事により、液晶表示素子の視認性を向上させる事が出来る。
【0013】
本発明に使用されるプラスチックフィルムは、正の屈折率異方性を有する高分子樹脂を溶液製膜したものであれば簡便に使用する事ができる。これらの樹脂の代表例としてはポリアリレ−ト樹脂などのポリエステル樹脂、ポリエ−テルスルフォンやポリスルフォン樹脂などのエンジニアリングプラスチック樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂やアモルファスポリオレフィン樹脂が好ましく用いられる。特にポリカ−ボネ−ト樹脂は、機械特性、光学特性や耐熱性の点で本用途に適している。ポリカ−ボネ−ト樹脂に溶解性、光学特性と耐熱性をさらに向上させるために種々の成分を共重合して用いることも適宜可能である。
【0014】
溶液製膜する方法としては、従来よく知られているように、高分子樹脂をよく溶解する溶媒に溶解したのちに、ダイコ−ティング等の手法により基板上に連続的に展開し、剥離乾燥させることにより好適なプラスチックフィルムを得る事ができる。かかる乾燥工程においては、プラスチックフィルムに上記光学特性を保有させるために、張力と熱処理のバランスをとることにより、3次元の屈折率nx,ny,nzと膜厚dを制御する必要があるこのような処理を行なうことにより有効な光学機能を保持したタッチパネル用透明導電積層体を得る事ができる。
【0015】
ここでリタ−デイションの測定法とパラメ−タ−Kを決定するに必要な3次元屈折率の測定方法を説明する。リタ−デイションの測定は市販のリタ−デイション測定装置で簡便に測定可能である。たとえば、日本分光(株)製の商品名「M−150」によって測定できる。測定波長は590nmとする。また、リタ−デイションの測定に必要なプラスチックフィルムの膜厚は、通常のフィルム膜厚計によって簡便に測定が可能である。
【0016】
3次元屈折率の測定は、プラスチックフィルムを3次元屈折楕円体であると仮定して、面内リタ−デイション値の入射角依存性から計算で求めることが出来る。すなわち、3次元屈折率を、nx,ny,nzとした時に
【0017】
【数1】
【0018】
【数2】
【0019】
の関係式が成り立つ
【0020】
そこでプラスチックフィルムの平均屈折率n=(nx+ny+nz)/3を決定した後に、入射角θにおけるリタ−デイションであるR(θ)を入射角θを変えて測定し、式−1と式−2より屈折率nx,ny,nzを決定することが出来る。なお、△n(θ)は入射角θにおける複屈折率、dはプラスチックフィルムの膜厚である。また、nについては文献値を使用しても差し支えない。
【0021】
溶液製膜で作製されたプラスチックフィルムには有機溶剤に対する耐溶剤性は十分ではない。分子骨格がアモルファス構造を有し溶液製膜可能なレベルの有機溶媒可溶性を示すことから、タッチパネル用透明導電積層体とする場合にはプラスチックフィルムの耐溶剤性を向上させる保護層としての透明な樹脂層を積層する必要がある。
【0022】
耐溶剤性の必要性としては、タッチパネル加工工程でのパタ−ニング、導電インキ塗布や洗浄溶媒等の処理に耐える必要性があるからである。
【0023】
プラスチックフィルムに耐溶剤性を賦与する手法としては、硬化架橋型の透明樹脂を塗布する事により目的を達することができる。
【0024】
透明な樹脂としては、可視光線領域で特異な光学吸収を保持しない事を意味しておりこの観点で高分子樹脂を選択する必要がある。
【0025】
基本的な選択肢としては、架橋硬化型の樹脂で可視光領域で透明な樹脂であれば使用可能であるが、耐溶剤性と透明導電薄膜として使用するインジウムを主成分とする透明導電材料との接着性を十分考慮して選択する必要がある。また、プラスチックフィルムとの接着性を考慮して、シランカップリング剤の添加やプライマ−となる接着層やコロナ処理を用いて基板となるプラスチックフィルムとの接着信頼性を向上させることも可能である。
【0026】
また、適当なサイズのフィラ−類を添加することによりタッチパネルのニュ−トンリングの発生の防止や貼り付き抑制等を行なうことも可能である。
【0027】
また、保護層は酸化インジウムを主体とした透明導電膜と基板フィルムとの接着層としての役割を果たしている。接着力の評価としては、クロスカットテストなどで評価が可能である。少なくとも保護層と透明導電膜との接着力は、上記評価によって初期及び各種の信頼性テストの後に、剥離等が起きない材料である事が必要である。
【0028】
本発明の目的にかなう樹脂として関熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂が代表的に好適に使用可能な樹脂である。
【0029】
熱硬化樹脂としては、エポキシ樹脂やイソシアネ−ト架橋ウレタン樹脂等が代表的であり、UV硬化樹脂としては、分子あるいは単位構造内に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレ−ト成分が樹脂中に含まれることが好ましい。
【0030】
樹脂の選択の基準としては、プラスチック基板との接着性や透明導電性薄膜との接着性とともに、基板となるプラスチックフィルムへの耐溶剤性の観点から選択する事が好ましい接着性は初期クロスカットテストや高温高湿テスト実施後のクロスカットテストにて判断することが可能であり、クロスカットテストによる剥離部分が全体の10%以下である事が好ましい。基板に対する耐溶剤性の付与としては、タッチパネル加工プロセスでの使用溶媒から基板を保護するとともに、保護層そのものが変化しない事とともに接着性などが変化しない事も要求される。タッチパネル加工プロセスで使用される溶媒としては、レジスト及びレジスト溶媒やレジスト剥離剤としてのNaOHやエッチング剤としての塩酸溶液などとともに有機溶媒や導電インク溶媒と洗浄溶媒などが代表的であり、これらの溶液や溶媒にさらされても、基板フィルムを保護し更に保護層自体が耐久性を持ち合わせている必要がある。
【0031】
また、タッチパネル用透明導電積層体が液晶パネルと偏光板の間に挿入される場合には、偏光板への貼り合わせに使用される粘着剤への接着性を評価しておく事が好ましく、且つ粘着剤の塗工工程で使用される材料及び粘着剤に対する十分な信頼性を有する観点も含めた材料選択が必要である。
【0032】
耐溶剤性の評価としては、プロセス溶媒を使用する濃度にて、かかるタッチパネル用透明導電積層体を10分程度浸積し、目視による変化がない事、クロスカット剥離が起きない事と重量減少が起こらないことが好ましい。
【0033】
これらの評価により、保護層となる透明樹脂材料を選択する事が出来る。保護層となる透明樹脂層の膜厚は、耐溶剤性の観点から決めることが出来るが、基板に対する耐溶剤性を十分な事とする観点から0.5μm以上ある事が好ましく、クラックの発生や塗工の経済性の観点から20μm以下である事が好ましい。
【0034】
また、かかる保護層は耐溶剤層の他に機械特性に優れた保護層としての役割もあり、耐スクラッチ性などプロセス及び使用形態における機械的な保護機能を考慮する事が好ましい。かかる保護層の少なくともどちらか一方に透明導電性薄膜が形成されタッチパネル用透明導電積層体が形成される。透明導電薄膜としてはインジウム酸化物を主成分として、鈴酸化物をド−プした、いわゆるITOが好ましく用いられる。しかるにタッチパネル、特にペン入力でアナログ信号を入力するアナログ入力タッチパネルにおいては、タッチパネルの消費電力を低減する意味から、表面抵抗値の高い透明導電薄膜が望まれている。かかる観点からは、絶縁性を有する金属酸化物を微量添加することにより透明導電薄膜の比抵抗値を大きくし、結果として表面抵抗値を大きくする手段がとられる。添加する金属酸化物としては二酸化珪素や酸化チタンなどが好ましく用いられる。特にタッチパネルの特性を悪化させないという観点からは酸化チタンの添加が好ましい。
【0035】
酸化チタンなどの酸化物を添加する事により、ITOを主体とした透明導電薄膜の透明性を損なう事無く、比抵抗値を上げることができる。比抵抗値を上げることにより、透明導電薄膜の膜厚を薄くする事無く、表面抵抗値を大きくする事が出来る。この事により、透明導電性薄膜の信頼性と機械特性を向上させる事ができる。タッチパネルとして使用される透明導電薄膜は抵抗値の安定性と機械的な摺動による薄膜の磨耗に対する安定性が要求される。特にペン入力のアナログ入力タッチパネルの場合には、抵抗値に依存する電圧降下からペンの位置を検出する原理を採用していること、また先の鋭いペンにて連続的な摺動を受ける事から、透明導電薄膜の膜厚が厚く出来ることはデバイスとしての信頼性向上に大きな効果が期待できる。
【0036】
透明導電薄膜の表面抵抗値は、タッチパネルの目的に応じて任意の表面抵抗値を選択する事が出来るが、アナログ入力タッチパネルにおいては、タッチパネルの消費電力を低減させる目的から500Ω/□以上の表面抵抗値とすることが好ましい。透明導電薄膜の抵抗値安定性としては、例えば60℃90%RHの高温高湿雰囲気や80℃の高温乾燥雰囲気において500時間後の抵抗値変化が、初期表面抵抗値の1.5倍以下になる事が好ましい。また初期表面抵抗値の上限値としては2000Ω/□以下が好ましく、更に1000Ω/□以下である事が特に好ましい。
【0037】
透明導電薄膜の膜厚としては、信頼性試験における抵抗値安定性の観点から、少なくとも18nm以上、好ましくは20nm以上の膜厚であることが特に好ましい。
【0038】
透明導電膜の形成方法としては公知の手法が用いられる、たとえばスパッタリングやイオンビ−ムスパッタリング等が好適に用いられるが、一般的な真空蒸着やイオンプレ−ティングの手法も用いることが可能である。これらの膜形成方法は、基板フィルムの性状に応じた、設備を選定することにより簡便に目的とした透明導電薄膜を形成する事が出来る。
【0039】
本発明のタッチパネル用透明導電積層体はタッチパネルとして使用される場合には、偏光板と液晶パネルガラスの間に挿入されて使用されるタッチパネルとして用いられることが好ましい。本発明のタッチパネル用透明導電積層体の対向電極としては、ガラス基板やプラスチックシ−トを基板とした透明導電基板やガラスやプラスチックシ−トに本発明のタッチパネル用透明導電をラミネ−トした透明導電基板が好ましく用いられる。
【0040】
本発明のタッチパネル用透明導電積層体を使用する事により、偏光板の外側にセットされる従来のタッチパネルに比較して、指示をする液晶表示素子の視認性に優れた、明るく視野角特性に優れた視認性に優れた、見易い携帯表示端末の入力機器が実現される。
【0041】
【実施例1】
ビスフェノ−ル成分としてビスフェノ−ルAを用いた平均分子量37000のポリカ−ボネ−ト樹脂をメチレンクロライドに20wt%に溶解せしめて、溶液製膜したフィルム膜厚100μmのポリカ−ボネ−トフィルム(帝人製の商品名「C110−100」)を基板として用いて、タッチパネル用透明導電積層体を構成した。基板としたポリカ−ボネ−トフィルムのリタ−デイション値は、7〜9nmであり、│K│は80nmであった。かかるポリカ−ボネ−トフィルム上に、耐溶剤性を有する保護層として一般式(1)で表されるアクリル樹脂主成分とした樹脂を紫外線硬化させた膜を両面に膜厚5μmの厚さで形成した。
【0042】
【化1】
【0043】
一般式(1)で表される樹脂50重量部とビニルトリメトキシシランの加水分解液50重量部、未分解のビニルトリメトキシシラン10重量部、光開始剤2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製の商品名「ダロキュア−1173」)5重量部及びレベリング剤としてシリコンオイル(東レ・ダウコ−ニングシリコン社製の商品名「SH28PA」)を0.02重量部混合して塗工液とした。ビニルトリメトキシシランの加水分解液は以下の様にして調製した。ビニルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KBM1003」)148重量部を水冷した撹拌容器内に入れ、激しく撹拌しながら0.01規定の塩酸水溶液54部を徐々に添加し、更に3時間ゆっくり撹拌することによりビニルトリメトキシシランの加水分解液を得た。
【0044】
かかる塗工液を、連続的にコ−テイング出来るマイクログラビアコ−タ−に供給し、ポリカ−ボネ−トフィルム上に連続コ−ティングを行ない、60℃で1分間加熱して塗膜中の残留溶媒を揮発除去した後に、160W/cmの高圧水銀灯を積算光量750mJ/cm2の条件で紫外線照射し塗膜の硬化を行ない、厚さ5μmの保護層を得た。さらにこの表面にはコロナ放電処理も施した。
【0045】
こうして得られた積層フィルムの密着性試験結果は、クロスカットテストの残存部が100/100であり、十分な初期接着力を有していた。また、信頼性試験において60℃90%RHで240時間後、80℃高温試験240時間後のクロスカットによる接着力には変化が見られなかった。
【0046】
また、この積層フィルムの耐酸性試験として0.1規定塩酸水溶液、耐アルカリ試験として0.1規定カセイカリ水溶液に25℃の温度で10分間浸積したが何らの変化も見られなかった。耐溶媒試験として、トルエンに25℃の温度で5分間浸積したが何ら変化は見られなかった。
【0047】
かかる積層フィルムを連続的にスパッタリング可能な連続真空コ−タ−にセットし、連続的にスパッタリングによりインジウムとスズの酸化物からなる透明導電薄膜を積層したタ−ゲットにはインジウム酸化物95wt%とスズ酸化物5wt%からなる、充填度95%のタ−ゲットを用いた。真空コ−タ−中で、1.3mPaまで排気した後に、アルゴン/酸素=98.5/1.5の体積比の混合ガスをマスフロ−メ−タ−にて連続的に導入しスパッタリング圧力0.27Paにてタ−ゲットへのDC投入電力0.8w/cm2にてスパッタリングを行なった。得られたITO薄膜の膜厚は15nmであり、表面抵抗値は520Ω/□であった。かかる積層体の可視光線透過率は、90%であった。
【0048】
かかる透明導電積層体をパタ−ニング加工して、ガラス透明導電基板を対向電極としてアナログタッチパネルとした。透明導電積層体フィルム上に偏光板を粘着剤にてラミネ−トして、液晶表示素子の上側偏光板とし液晶表示素子と一体化せしめた入力・表示素子を組み上げた。
【0049】
得られた、入力・表示素子は視認性に優れ、従来のPET/ガラス基板からなる外側タッチパネルと比較して見易さと操作性の点で勝っていた。
【0050】
【実施例2】
透明導電薄膜をインジウム−スズ酸化物に酸化チタンを微量添加して比抵抗値を大きくした以外は実施例1と同様の方法で透明導電積層体を作成した。
【0051】
インジウム−スズ酸化物に酸化チタンを微量添加した透明導電薄膜は、インジウム酸化物90wt%とスズ酸化物10wt%からなるタ−ゲット材料に酸化チタンを1.2wt%添加する事により得られる。充填度は93%であり、実施例1と同様のスパッタリング条件にて、膜厚25nmで表面抵抗値650Ω/□の透明導電薄膜が得られた。得られた透明導電薄膜の高温高湿(60℃90%RH)と高温放置(80℃)放置の抵抗値安定は実施例1の透明導電薄膜より優れていた。得られた積層体の可視光線透過率は88%であった。
【0052】
【比較例1】
ポリカ−ボネ−トフィルムのリタ−デイション値が20nmであり│K│が180nmであるポリカ−ボネ−トフィルムを使用する以外は実施例1と全く同様の方法で透明導電積層体を得た。ポリカ−ボネ−トフィルムのリタ−デイション値と│K│の制御はフィルム製膜時の乾燥温度と製膜張力の制御により可能である。
【0053】
得られた透明導電積層体を用いて、実施例1と同様なアナログ入力タッチパネルを作成し、液晶表示素子と組み合わせた。得られた入力・表示一体化された素子の視認性は、視野角が狭い事とコントラストの点で実施例1より劣っていた。
【0054】
【実施例3】
ポリカ−ボネ−トフィルムの両面に構成される保護層がフェノキシ樹脂のイソシアネ−ト架橋構造を有する熱硬化樹脂層を用いる以外は実施例1と同様の方法で透明導電積層体を構成した。フェノキシ樹脂のイソシアネ−ト架橋層は、フェノキシ樹脂の東都化成(株)製の商品名「フェノト−トYP−50」を20部とメチルエチルケトン40部と2−エトキシエチルアセテ−ト20部を混合したものに多官能イソシアネ−トを20部加えた塗工液を使用して作成した。この時、NCO/OHの比率は1.0とした。この塗工液をコ−タ−にセットし連続的にグラビアコ−タ−にて塗工し、130℃にて5分間乾燥せしめて膜厚3μmの保護層とした。
【0055】
実施例1と同様な耐溶剤試験を実施したが、何ら変化は見られずタッチパネルに適した透明導電積層体が得られた。
【0056】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のタッチパネル用透明導電積層体は、視認性に優れ明るく見易く視認性に優れた携帯情報端末用入力機器を実現できるものであり、携帯情報端末の進歩に大きな寄与をなすものである。
Claims (4)
- 溶液製膜された正の屈折率異方性を有するプラスチックフィルムであって、590nmの波長におけるリタ−デイション値が、15nm以下であり且つ遅相軸のバラツキが±10度以下であり、そして前記プラスチックフィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx,面内進相軸方向の屈折率をny,フィルム厚み方向の屈折率をnz,フィルム厚みをdとしたときに、3次元屈折率異方性を示すパラメ−タ−をK=((nx+ny)/2−nz)×dとした時に│K│≦120nmであるプラスチックフィルムの両面に、光学的に透明で耐溶剤性を有する保護層を形成し、少なくとも一方の保護層上に酸化インジウムを主成分とした透明導電膜が形成されていることを特徴とするタッチパネル用透明導電積層体。
- 前記酸化インジウムを主成分とした透明導電膜の表面抵抗値が500Ω/□以上である請求項1記載のタッチパネル用透明導電積層体。
- 前記プラスチックフィルムがポリカ−ボネ−ト樹脂を主成分とする請求項1〜2のいずれかに記載のタッチパネル用透明導電積層体。
- タッチパネル用透明導電積層体が、液晶パネルと偏光板の間に挿入されたタッチパネルのフィルム導電体として使用される請求項1〜3のいずれかに記載のタッチパネル用透明導電積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07263896A JP3833296B2 (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | タッチパネル用透明導電積層体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07263896A JP3833296B2 (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | タッチパネル用透明導電積層体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09265351A JPH09265351A (ja) | 1997-10-07 |
JP3833296B2 true JP3833296B2 (ja) | 2006-10-11 |
Family
ID=13495137
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP07263896A Expired - Lifetime JP3833296B2 (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | タッチパネル用透明導電積層体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3833296B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4177557B2 (ja) | 1998-06-08 | 2008-11-05 | 株式会社カネカ | 液晶表示装置に使用するための抵抗膜方式のタッチパネルおよびこれを備えた液晶表示装置 |
US6534183B1 (en) * | 1998-08-31 | 2003-03-18 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | Target for transparent electroconductive film, transparent electroconductive material, transparent electroconductive glass, and transparent electroconductive film |
KR20030043783A (ko) | 2000-02-02 | 2003-06-02 | 쓰리엠 터치 시스템, 인크. | 편광자를 갖는 터치 스크린 및 그의 제조 방법 |
JP2011037936A (ja) * | 2009-08-07 | 2011-02-24 | Mitsubishi Plastics Inc | 両面積層ポリエステルフィルム |
JP2011201093A (ja) * | 2010-03-25 | 2011-10-13 | Meihan Shinku Kogyo Kk | 透明多層合成樹脂シート及び透明導電膜シート |
-
1996
- 1996-03-27 JP JP07263896A patent/JP3833296B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09265351A (ja) | 1997-10-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1574882B1 (en) | Transparent conductive laminate, touch panel and liquid crystal display unit with touch panel | |
KR100727796B1 (ko) | 투명 전기 전도성 적층체 및 이를 사용하는 터치 패널 | |
JPH11149826A (ja) | 導電性フィルム | |
CN103250120A (zh) | 用于显示面板装置的静电容量型接触式传感器叠层体 | |
JPWO2016190406A1 (ja) | 水平配向型液晶表示装置 | |
JP3833296B2 (ja) | タッチパネル用透明導電積層体 | |
JP2002316378A (ja) | 透明導電性積層体及びそれを用いたタッチパネル | |
JP2004005540A (ja) | タッチパネル付画像表示装置 | |
JPS6179644A (ja) | 透明積層導電フイルム | |
JP2000082338A (ja) | 透明導電性フィルム、透明タッチパネルおよび液晶表示素子 | |
JP3947950B2 (ja) | 透明導電性フィルム、透明タッチパネルおよび液晶表示素子 | |
JPH08201791A (ja) | 透明電極基板 | |
JP3629333B2 (ja) | タッチパネル用透明導電積層体及びその製造方法 | |
JPH08294989A (ja) | 積層フィルム | |
JPH1044286A (ja) | 静電気防止フィルムおよびそれを用いた偏光フィルム | |
JP2003280550A (ja) | 表示装置の製造方法 | |
JPH10119170A (ja) | 可とう性積層フィルム | |
JPH09254303A (ja) | 透明導電フィルム | |
JP3114853B2 (ja) | 積層フィルム | |
JPH09262926A (ja) | タッチパネル用透明導電積層体及びその製造方法 | |
JP3313303B2 (ja) | 導電性フィルム | |
JP2002055780A (ja) | タッチパネル及びタッチパネル付表示装置 | |
JPS6132749A (ja) | 積層導電フイルム | |
JP3114852B2 (ja) | 積層フィルム | |
JPS6132751A (ja) | 積層導電フイルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050601 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051227 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060223 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060404 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060627 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060719 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100728 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110728 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110728 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120728 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120728 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130728 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140728 Year of fee payment: 8 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |