JP3832621B2 - 回路基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波モジュール等に用いられるシールドケースに収納された回路基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高周波モジュール等に用いられるシールドケースに収納された回路基板の製造方法の従来技術に関して、図5の製造工程を示す要部側面断面図を用いて説明する。
【0003】
図5において、1は両面に部品が実装可能な回路基板であり、1aはその回路基板1の表面、1bはその回路基板1の裏面である。3aは回路基板表面1aに実装する部品、3bは回路基板裏面1bに実装する部品、3cは比較的重量の重い部品、2は回路基板表面1a及び基板回路裏面1bに印刷法等により塗布される半田、4は一面が開口されると共にこの開口面の反対側が閉塞されたシールドケース、5は半田2を塗布するノズル、6は回路基板1とシールドケース4との結合部分である。
【0004】
通常、高周波モジュール等に用いられる回路基板1は、その周囲を導電性のシールドケース4等で覆うようにしている。
【0005】
この従来技術において、まず、回路基板表面1aの部品3aを搭載する部分に半田2を印刷法等により塗布して(工程S51)、部品3aを回路基板表面1aに搭載する(工程S52)。そして、部品3aを搭載後、1回目のリフロー半田付けを行ない部品3aを実装する(工程S53)。
【0006】
次に、回路基板1の表面/裏面を反転して回路基板裏面1bを図中上方に向け、回路基板裏面1bの部品3bを搭載する部分に半田2を印刷法等により塗布して(工程S54)、部品3bを回路基板表面1bに搭載する(工程S55)。そして、部品3bを搭載後、2回目のリフロー半田付けを行ない部品3bを実装(工程S56)。
【0007】
次に、回路基板1をシールドケース4内に圧入等で収納して(工程S57)、回路基板1とシールドケース4との結合部分6に図中上方からノズル5等で半田を塗布し(工程S58)、3回目のリフロー半田付けを行い回路基板1とシールドケース4とを固定する(工程S59)。
【0008】
以上のような各工程を経ることによって、シールドケース4内に、部品を両面に実装した回路基板1が製造される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術では、リフロー半田付け工程を3回通過するため(工程S53,S56及びS59)、最初に回路基板表面1aに搭載した部品3aは、3回のリフロー半田付け工程による熱ストレスをかけられることになる。すなわち、熱により部品3aの性能に悪影響を与えることになる。このため、部品3aの耐熱性(耐熱仕様)を考慮すると、少なくとも3回以上のリフロー半田付けに耐える部品を選定するか、又は、この回数のリフロー半田付けに耐えられない部品を使うのであれば、回路基板上に搭載する部品の耐熱性に合わせて部分的に熱を加える方法をとる等の対策が必要となる。
【0010】
また、上記リフロー半田付けを行う際に、鉛フリー半田を使用すると、共晶半田より融点が高くなるため、さらに部品3aにかかる熱ストレス対策が必要となる。そこで、熱ストレス対策のための新たな工程の追加や、製造方法の見直し等を行う必要があり、そのため、設備投資にかかる費用等も含めて製品コストが増加してしまう。また、部品の耐熱性に起因する品質面等でもマイナスの要因となった。
【0011】
また、比較的重量の重い部品3cを回路基板表面1aに実装してから回路基板1の表面/裏面を反転して回路基板裏面1bのリフロー半田付けを行うと、回路基板表面1aの半田2が融解して比較的重量の重い部品3cがその自重のために落下する恐れがある。このため、比較的重量の重い部品3cは、回路基板裏面1bにまとめて実装するか、又は、接着剤等で固定しておく必要があった。
【0012】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、リフロー半田付けの回数を減らすことにより、実装される部品にかかる熱ストレスを軽減するシールドケースに収納された回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、一面が開口されると共にこの開口面の反対側の面が閉塞されたシールドケース内に、両面に部品が実装された回路基板が収納される、回路基板の製造方法において、一方の面に部品が実装された回路基板を表面/裏面を反転した状態でシールドケース内に圧入によって収納し、シールドケースの閉塞面側の一方の面に部品が実装された回路基板に対して、シールドケースの開口面側の他方の面に部品を搭載した後に、この他方の面に搭載された部品を回路基板に半田付けすると共に、回路基板とシールドケースとを半田付けすることを特徴とするものである。
【0014】
本発明によれば、回路基板の片面に部品を搭載して半田付けする際に、その回路基板とシールドケースとを併せて半田付けするので、リフロー半田付けの回数を減らすことができ、それにより、実装される部品にかかる熱ストレスを軽減することが可能となる。よって、熱ストレス対策等の工程削減によるコストダウンや、熱ストレスの低減により部品の品質を向上させることができる。
【0015】
従って、コストアップを招くことなく、共晶半田より融点が高い鉛フリー半田の使用を可能とする。
【0016】
また、本発明は、前記回路基板の製造方法において、前記シールドケースの閉塞面に、前記回路基板の一方の面に実装された部品と接触する舌片が切り抜きによって設けられており、前記回路基板の他方の面を半田付けする際に、この舌片が前記一方の面に実装されている部品を圧接して保持することを特徴とするものである。
【0017】
本発明によれば、シールドケースの閉塞面側の一方の面に部品が実装された回路基板において、その回路基板の他方の面を半田付けする際に、あらかじめ部品が実装された一方の面の半田が溶解してその部品が落下しないように、シールドケースに設けられた舌片でその部品を圧接して保持することにより落下を防止することができる。
【0018】
また、本発明は、前記回路基板の製造方法において、
前記シールドケースの閉塞面に、前記回路基板の一方の面に実装された部品の周囲を囲むカバー部が設けられたシールドケースを用いることを特徴とするものである。
【0019】
本発明によれば、シールドケースの閉塞面側の一方の面に部品が実装された回路基板において、その回路基板の他方の面を半田付けする際に、あらかじめ部品が実装された一方の面の部品の熱ストレスをさらに軽減するために、シールドケースに設けられたカバー部にてその部品の周囲を囲み、そして、その回路基板にカバー部を当接させる。このことにより、その回路基板に生じる熱をカバー部によってシールドケース全体に伝達させることができるので放熱効果が高まり、その部品の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図中、上記従来の技術にて説明したものと同様のものには同じ符号を付与する。
【0021】
また、以下の説明では、本発明を高周波モジュールに適用した実施の形態1から3について説明するが、本発明はシールドケースに収納された回路基板であれば、これ以外のものでも適用可能である。
【0022】
[実施の形態1]
本発明による実施の形態1について、図1及び図2を用いて説明する。なお、図1は本実施の形態の製造方法における各製造工程を示す要部側面端面図であり、図2は回路基板とシールドケースとの接合部分の部分拡大図である。
【0023】
図1において、1は両面に部品が実装可能な回路基板であり、1aはその回路基板1の表面、1bはその回路基板1の裏面である。3aは回路基板表面1aに実装する部品、3bは回路基板裏面1bに実装する部品、3cは比較的重量の重い部品、2は回路基板表面1a及び基板回路裏面1bに印刷法等により塗布される半田、4は一面の略全域が開口されると共にこの開口面の反対側の面の略全域が閉塞されたシールドケース、5は半田2を塗布するノズル、6は回路基板1とシールドケース4との結合部分である。
【0024】
本実施の形態は、上記従来技術と同様に、回路基板1は、その周囲を導電性のシールドケース4等で覆うようにしているものである。
【0025】
本実施の形態においては、まず、回路基板表面1aの部品3aを搭載する部分に半田2を印刷法等により塗布して(工程S11)、部品3aを回路基板表面1aに搭載する(工程S12)。そして、部品3a及び3cを搭載後、1回目のリフロー半田付けを行ない部品3a及び3cを実装する(工程S13)。
【0026】
次に、回路基板1の表面/裏面を反転して回路基板裏面1bを図中上方に向け、回路基板1をシールドケース4内に圧入等で収納する(工程S14)。そして、回路基板裏面1bの部品3bを搭載する部分及び回路基板1とシールドケース4との結合部分6に図中上方からノズル5等で半田2を塗布する(工程S15)。
【0027】
次に、部品3bを回路基板表面1bに搭載して(工程S16)、2回目のリフロー半田付けを行ない部品3bを実装すると共に、回路基板1とシールドケース4とを固定する(工程S17)。
【0028】
以上のような各工程を経ることによって、シールドケース4内に、部品を両面に実装した回路基板1が製造される。
【0029】
また、図2は、図1のS14に示される回路基板1をシールドケース4内に圧入等で収納する工程における、その回路基板1とシールドケース4との接合部分の部分拡大図である。
【0030】
図2において、1は図1と同様の回路基板、4は図1と同様のシールドケースである。そして、1cは回路基板1の側面に形成されてシールドケース4と接合する突起部である。また、シールドケース4の側壁には、突起部1cと接合するための切込み部分が形成されており、その切込み部分において、7は突起部1cを狭持して固定するために突き出し加工された固定部、8は回路基板3の突起部1cを切込み部分へ誘導するために面取り加工された基板誘導部である。
【0031】
図2では、シールドケース4の図中上方から下矢印方向に回路基板3を降下させて収納して接合するものである。その際に、シールドケース4の側壁に形成された切込み部分の基板誘導部8により、回路基板3の突起部1cは、シールドケースの切込み部分の中央へ誘導される。そして、固定部7より下には、回路基板3の突起部1cを図中下方へ圧入することにより移動させる。これにより、突起部1cは固定部7により狭持されて固定されるので、回路基板1とシールドケース4が固定されることになる。
【0032】
以上のように本実施の形態では、回路基板1の片面に部品を搭載して半田付けする際に、その回路基板1とシールドケース4とを併せて半田付けするので、上記従来技術リフロー半田付けの回数(3回)と比較して、リフロー半田付けの回数を減らすことができ(2回)、それにより、実装される部品3aにかかる熱ストレスを軽減することが可能となる。よって、熱ストレス対策等の工程削減によるコストダウンや、熱ストレスの低減により部品の品質を向上させることができる。
【0033】
従って、コストアップを招くことなく、共晶半田より融点が高い鉛フリー半田の使用を可能とする。
【0034】
なお、本実施の形態では、工程の順番を工程S11から工程S17の順番としたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、工程の追加、削除又は入れ替え等を適宜行ってもよい。例えば、工程S11と工程S12との間に部品を固定する接着剤等を塗布する工程を追加したり、又は、工程S15を行う順番を替えて、工程S11と工程S15とをあらかじめ先に行うことによって、実質的に工程S15を削除する等としてもよい。
【0035】
[実施の形態2]
実施の形態2として、上記実施の形態1の回路基板の製造方法において、シールドケースの閉塞面側の回路基板に実装された部品の落下防止のための舌片を設けたシールドケースを用いることについて、図3の要部側面断面図を用いて説明する。
【0036】
なお、図3において、上記実施の形態2を示す図1と共通部分については同符号を付与する。また、上記実施の形態1と異なる点について説明し、同様なものについては説明を省略する。
【0037】
図3は、実施の形態1の図1のS14に示される回路基板1をシールドケース4内に圧入等で収納する工程における、その回路基板1とシールドケース4との部分拡大図である。
【0038】
図3において、9は部品3cを図中下方向から圧接して保持する舌片である。なお、この舌片9は、シールドケース4の一部を切り抜き等により形成してもよいし、別部材を用いてもよい。
【0039】
本実施の形態によれば、シールドケース4の閉塞面側の一方の面に比較的重量の重い部品3cが実装された回路基板1において、その回路基板1の他方の面を半田付けする際に(図1においてはS17)、あらかじめ部品3cが実装された一方の面の半田が溶解してその部品3cが落下しないように、シールドケース4に設けられた舌片9でその部品3cを圧接して保持する。このことにより、部品3cが落下することを防止できる。
【0040】
[実施の形態3]
実施の形態3として、上記実施の形態1又は2の回路基板の製造方法において、シールドケースの閉塞面側の回路基板に実装された部品の耐熱性を向上させる機構を設けたシールドケースを用いることについて、図4の要部側面断面図を用いて説明する。
【0041】
なお、図4において、上記実施の形態1,2を示す図1,3と共通部分については同符号を付与する。また、上記実施の形態1,2と異なる点について説明し、同様なものについては説明を省略する。
【0042】
図4は、実施の形態1の図1のS14に示される回路基板1をシールドケース4内に圧入等で収納する工程における、その回路基板1とシールドケース4との部分拡大図である。
【0043】
図4において、3dは耐熱性の劣る部品、10は耐熱性の劣る部品3dの周囲を囲んで温度上昇を抑制する耐熱用カバー部である。なお、耐熱用カバー部10は、シールドケース4の一部を切り抜き等により形成してもよいし、別部材を用いてもよい。
【0044】
本実施の形態によれば、シールドケース4の閉塞面側の一方の面に耐熱性の劣る部品3dが実装された回路基板1において、その回路基板1の他方の面を半田付けする際に(図1においてはS17)、あらかじめ部品3dが実装された一方の面の部品3dの熱ストレスをさらに軽減するために、シールドケース4に設けられた耐熱用カバー部10にて部品3dの周囲を囲み、そして、回路基板1に耐熱用カバー部10を当接させる。このことにより、部品3dが実装された回路基板1周辺に生じる熱を耐熱用カバー部10によってシールドケース4全体に伝達させることができるので放熱効果が高まり、部品3dの温度上昇を抑制することが可能となる。
【0045】
なお、耐熱用カバー部10は、耐熱性の劣る部品3dの周辺を完全に囲むように設けてもよいし、耐熱性の劣る部品3dの周辺の一部分にだけ設けてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明の回路基板の製造方法によれば、回路基板の片面に部品を搭載して半田付けする際に、その回路基板とシールドケースとを併せて半田付けするので、リフロー半田付けの回数を減らすことができ、それにより、実装される部品にかかる熱ストレスを軽減することが可能となる。よって、熱ストレス対策等の工程削減によるコストダウンや、熱ストレスの低減により部品の品質を向上させることができる。
【0047】
従って、コストアップを招くことなく、共晶半田より融点が高い鉛フリー半田の使用を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の回路基板の製造方法における各製造工程を示す要部側面端面図である。
【図2】実施の形態1の回路基板とシールドケースとの接合部分の部分拡大側面図である。
【図3】実施の形態2の回路基板の製造方法に用いられるシールドケースを示す要部側面断面図である。
【図4】実施の形態3の回路基板の製造方法に用いられるシールドケースを示す要部側面断面図である。
【図5】従来技術の回路基板の製造方法を示す要部側面断面図である。
【符号の説明】
1 回路基板
3a,3b 部品
4 シールドケース

Claims (2)

  1. 一面が開口されると共にこの開口面の反対側の面が閉塞されたシールドケース内に、両面に部品が実装された回路基板が収納される、回路基板の製造方法において、
    一方の面に部品が実装された回路基板を表面/裏面を反転した状態でシールドケース内に圧入によって収納し、
    シールドケースの閉塞面側の一方の面に部品が実装された回路基板に対して、シールドケースの開口面側の他方の面に部品を搭載した後に、
    この他方の面に搭載された部品を回路基板に半田付けすると共に、回路基板とシールドケースとを半田付けするものであって、
    前記シールドケースの閉塞面に、前記回路基板の一方の面に実装された部品と接触する舌片が切り抜きによって設けられており、前記回路基板の他方の面を半田付けする際に、この舌片が前記一方の面に実装されている部品を圧接して保持することを特徴とする回路基板の製造方法。
  2. 請求項に記載の回路基板の製造方法において、前記シールドケースの閉塞面に、前記回路基板の一方の面に実装された部品の周囲を囲むカバー部が設けられたシールドケースを用いることを特徴とする回路基板の製造方法。
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