JP3831328B2 - 在庫管理方法、在庫管理システムおよび在庫管理プログラム - Google Patents

在庫管理方法、在庫管理システムおよび在庫管理プログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、
在庫数量の管理を行う在庫管理方法、在庫管理システム、および在庫管理プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
在庫管理の手法としては、大別して定量発注方式および定期発注方式が知られている。定量発注方式とは、ある基準となる在庫を割ったときに、一定量の発注を行う方式である。定期発注方式とは、一定周期(月末、週末など)毎に、基準在庫に不足している分だけ発注する方式である。
ここで在庫管理の基本となる基準在庫は、発注した製品が補充されるまでの時間、即ち補充リードタイム内に出荷が予想される想定出荷量と、出荷がこの想定出荷量を上回った場合にその差を吸収する安全在庫をもとに算出される。工場や物流部門では、在庫がこの基準在庫に近づくように発注数量や生産数量などを調整する。在庫が多いほど注文に柔軟に対応でき納期遵守率が向上するが、在庫が多すぎると在庫回転率が減少し在庫経費が高くなる。従って、基準在庫は、在庫回転率が高くなるように、納期遵守率があまり悪化しない程度まで減少させる必要がある。
そこで、在庫を効率的に管理するシステムが幾つか開発されている。例えば、基準在庫を過去の所要と払い出し実績及び将来の所要計画からシミュレーション計算を行い、これに基づき発注方法を決定する在庫管理システムが開発されている(特許文献1を参照されたい。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−192068号公報(段落0009−0015、図1−2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の在庫管理システムでは、基準在庫の設定のときに受注情報に基づき基準在庫を決定する。例えば、上述した従来在庫管理システムでは、予め長期の納期が設定された大量の受注、いわゆる「スパイクオーダー」がなされた場合にも在庫計算のシミュレーションの母集団として取り入れられ、基準在庫に反映されてしまう。しかしながら、平均受注数量を大幅に上回るような大量の受注は稀である。このようなスパイクオーダーなどの一時的データを取り入れて基準在庫を決定すると、必要以上の回転在庫を抱え込む結果となり、在庫費用が膨れ上がり、効率的な在庫管理はできない。
そこで、本発明では、統計的な手法を利用した効率的な在庫管理方法、在庫管理システム及び在庫管理プログラムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明による在庫管理方法は、在庫量の管理を行うものであって、
受注ロットの納期及び数量(受注データ)と製品毎に予め設定された補充リードタイムとを記憶装置(在庫データベース)に格納にする格納ステップと、
前記受注ロットのうち、基準時よりb日前からこの基準時よりa日後までの間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定する閾値設定ステップと、
前記選択した受注ロットの各々の数量をαとし、αが前記閾値以下である場合は当該受注ロットを通常受注ロットとして分類し、αが前記閾値を越える場合は当該受注ロットを特別受注ロットとして分類する分類ステップと、
前記分類された通常受注ロットに基づき所定の計算式で基準在庫を求める基準在庫算出ステップと、
を有することを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明による在庫管理方法は、在庫量の管理を行うものであって、
受注ロットの納期及び数量と製品毎に予め設定された補充リードタイムとを記憶装置に格納にする格納ステップと、
前記受注ロットのうち、基準時より前のb日間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定し、かつ、前記受注ロットのうち、基準時より後のa日間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定する閾値設定ステップと、
前記選択した受注ロットのうち前記基準時より前に納期が設定されている受注ロットの各々の数量をBとし、前記選択した受注ロットのうち前記基準時より後に納期が設定されている受注ロットの各々の数量をAとし、B≦x+yσ、A≦x+yσである場合には、当該受注ロットを通常受注ロットとして分類する分類ステップと、
前記分類された通常受注ロットに基づき所定の計算式で基準在庫を求める基準在庫算出ステップと、
を有することを特徴とする。
さらに、本発明による在庫管理方法は、
前記基準在庫算出ステップが、
前記通常受注ロットのうち、前記基準時からa日後までの間に納期が設定されているロットの1日あたりの出荷量の平均をz、前記補充リードタイムをc日、発注差分日数をt日とし、
さらに、前記通常受注ロットのうち、前記基準時よりb日前からこの基準時までの間に納期が設定されていたロットの1日あたりの出荷量の標準偏差をσ、納期遵守率を左右する係数をmとし、発注点rを
Figure 0003831328
(ここでm≧1である。)とし、基準在庫βをβ=r+tzとして設定する発注点・基準在庫設定ステップと、
現在庫をd、現在発注中の数量をeとし、d+e≦rとなった場合に、必要発注数量fをf=β−(d+e−cz)に設定する発注量設定ステップと、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、上記のように、適切な演算手段を用いて受注ロット毎の数量の統計を基に受注ロットの閾値を設定し、受注ロットの数量がこの閾値より大きいものを、基準在庫および発注点を演算するための母集団から除外しておくステップを設けることによって、顧客のニーズに応えつつ(即ち、適切な納期遵守率を達成しつつ)も適切な基準在庫および発注点を設定して在庫の圧縮を図ることができる。すなわち、スパイクオーダーのような受注ロットの数量が多いもの(特別受注ロット)は、指定納期が長い場合がほとんどであるため基準在庫に含めなくとも納期に十分対応可能である。従って、本発明のように特別受注ロットを在庫計算の母集団から除外しても納期遵守率に影響を与える恐れは実質的にない。なお、所定の計算式としては、既知の様々な在庫管理の計算式を用いることもできるが、前記発注点・基準在庫設定ステップの式を用いることが好適である。
【0006】
本発明において発注点r及び基準在庫βは、基準日より過去のb日前から将来のa日後までの間に納期が設定された受注ロットを選択して、さらにこの選択された受注ロットのうち数量が所定の閾値以下であるものを「通常受注ロット」として分類し、この「通常受注ロットのみ」を母集団として算出される。
また、通常受注ロットは、以下のように分類することもできる。
すなわち、本発明において、基準日より前のb日間に納期が設定されている受注ロットと、基準日より後のa日間に納期が設定されている受注ロットとでそれぞれ別に閾値を設け、各々選択された受注ロットのうち数量がそれぞれの閾値以下であるものを「通常受注ロット」とすることもできる。このように閾値をそれぞれ設けることによって、より的確に通常受注ロットを分類することが可能となる。
本発明において基準時とは、基準在庫βを決定する基準となる時点、通常は現在の日付を用いる。a及びbの値は、小さくすればするほど、より最近の受注ロットの数量データを基準在庫に反映することができるが、それと同時に小さくなりすぎるとデータの母集団が小さくなり、基準在庫βの演算の基礎データとしての信用性が低くなるため、下記のように適切な範囲に設定することが望ましい。
【0007】
ここで基準在庫βは、主として発注点rに基づき求められ、発注点rは、安全在庫と補充リードタイム内の想定出荷量との合計により求められる。補充リードタイム内の想定出荷量とは、補充リードタイム(生産部門への製品の注文から物流部門への到着までの期間)内に予想される出荷量であり、本発明においては、通常受注ロットのうち、基準時(現時点)から将来のa日後までの間に納期が設定されているものに基づき求められる。
【0008】
安全在庫とは、実際の受注数量が補充リードタイム内の想定出荷量を上回った場合に、その差を吸収するために設けられるものであり、本発明においては、通常受注ロットのうち、基準時より過去のb日前から基準時までの間に納期が設定されていたものに基づき求められる。将来の日数aを過去の日数bよりも短く設定すれば、最近の将来の受注に基づき回転在庫を決定しつつ、幅を持たせた安全在庫を決定することができる。実際に本発明を適用した在庫管理システムを運用したところ、a:b=1:1.5〜3に設定することが望ましいことがわかった。さらに、例えば5日≦b≦60日とすることが好適である。
このように、本発明においては、安全在庫は、過去b日間の受注データ、即ち出荷実績に基づき計算し、回転在庫となり得る想定出荷数量は、将来a日間の受注データに基づき計算するため、過去の実績を踏まえつつアップトレンドにも対応した最適な基準在庫を設定することが可能となる。
【0009】
また、本発明による在庫管理方法においては、さらに、前記基準在庫に基づき警告基準の範囲を設定して、警告基準時より将来のc日間の出荷数量の合計を監視し、この合計が前記警告基準の範囲を超えた場合に警告を発する警告ステップを設けることもできる。
本発明によれば、一度設定した基準在庫が実際の出荷量に適応しないものになったときに警告が発せられるため、担当者は、機を逸することなく実際の受注数量などに基づき基準在庫をマニュアルで再設定することができるようになる。
なお、この警告基準時は、警告基準の範囲や基準在庫を設定した時としても良いし、或いは、現時点より数日前とすることもできる。
【0010】
この警告基準の範囲は、上限および下限を設定することが望ましいが、上限のみを定めても良いし、下限のみを定めても良い。例えば、警告基準の範囲は基準在庫の±20%と定めることができる。
警告を発する手段は特に限定されず、例えば、本システムのディスプレイ上に表示することもできるし、電子メールやショートメッセージなどで担当者のPCや携帯電話などに通知することもできる。また、本方法において警告基準の範囲は、日次、週次などで再設定をすることもできる。また、警告は、監視に基づき当該範囲を逸脱した時点で行うことが望ましいが、日次、週次などにまとめて警告を発するような構成を取ることも可能である。
【0011】
また、基準在庫や発注点を、前記警告の発生、または、計算に関連する諸データ更新をトリガーとして再計算、或いは所定の周期で再計算し、この再計算した基準在庫や発注点を再設定する再設定ステップを設けることで、基準在庫や発注点を自動的かつ適時に再設定することもできる。
【0012】
説明の便宜上、本発明を方法の形態で説明してきたが、本発明は、方法のみならず、上述した各方法に相当するシステム(装置)、プログラム、このプログラムを記録した記憶媒体の形でも実現でき、これらも本発明の範囲に含まれることを理解されたい。
例えば、本発明による在庫量の管理を行う在庫管理システムは、
受注ロットの納期及び数量と製品毎に予め設定された補充リードタイムとを記憶装置に格納にする格納手段と、
前記受注ロットのうち、基準時よりb日前からこの基準時よりa日後までの間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定する閾値設定手段と、
前記選択した受注ロットの各々の数量をαとし、αが前記閾値以下である場合は当該受注ロットを通常受注ロットとして分類する分類手段と、
前記分類された通常受注ロットに基づき所定の計算式で基準在庫を求める基準在庫算出手段と、
を有することを特徴とする。
【0013】
さらに、例えば、本発明による在庫量の管理を行う在庫管理プログラムは、
受注ロットの納期及び数量と製品毎に予め設定された補充リードタイムとを記憶装置に格納にする格納ステップと、
前記受注ロットのうち、基準時よりb日前からこの基準時よりa日後までの間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定する閾値設定ステップと、
前記選択した受注ロットの各々の数量をαとし、αが前記閾値以下である場合は当該受注ロットを通常受注ロットとして分類する分類ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、諸図面を参照しつつ本発明の実施態様を詳細に説明する。
図1は、本発明による在庫管理システムの利用環境の一例を示すブロック図である。図に示すように、本発明による在庫管理システム10は、生産システム12および営業支援システム14とイントラネットなどのネットワーク(図示しない)或いはインターネットなどのネットワーク20で接続されている。在庫管理システムは、生産システム12から工場在庫や生産状況に関するデータなど受信し、発注点に達したときに生産システムに発注データを送信する。また、在庫管理システム10は、営業支援システム14から受注データ(例えば、予約、問い合わせ、引当データ)を受信し、営業支援システムへ在庫データを送信する。
上述した在庫管理システム10、生産システム12および営業支援システム14は、ネットワーク20を介して複数の得意先システム30に接続されている。営業支援システム14は、これらの得意先システム30から受注データを受信すし、この受信したデータを処理して在庫管理システム10へ転送する。
【0015】
図2は、本発明による在庫管理システムの基本的なコンポーネントを示すブロック図である。図に示すように、本在庫管理システム100は、格納手段110、在庫データベース115、閾値設定手段120、分類手段130、発注点・基準在庫設定手段140、発注量設定手段150、警告手段160、再設定手段170を具える。また、在庫管理システム100は、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの表示手段、および外部インターフェイス(これらは図示しない)を具える。格納手段110は、営業支援システムや生産システムから受信した、受注ロットの納期・数量および製品毎に予め設定された補充リードタイムを在庫データベース115(記憶装置)に格納にする。この在庫管理データベースには、後述する発注点や基準在庫などのなどの在庫管理に関する諸データも格納される。
【0016】
前記閾値設定手段120は、前記受注ロットのうち、現時点よりb日前からこの現時点よりa日後までの間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定(演算)し、その計算結果を在庫データベース115に格納する。設定した閾値は、所定の周期或いは任意の時点で再設定することが好適である。
前記分類手段130は、前記選択した受注ロットの各々の数量をαとし、αが前記閾値以下である場合は当該受注ロットを通常受注ロットとして分類し、αが前記閾値を越える場合は当該受注ロットを特別受注ロットとして分類し、その分類結果を在庫管理データベース115に格納する。
また、通常受注ロットは、以下のように分類することもできる。
すなわち、前記閾値設定手段120は、前記受注ロットのうち、基準日より前のb日間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均x及び標準偏差σから閾値x+yσを設定し、かつ、前記受注ロットのうち、基準日より後のa日間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均x及び標準偏差σから閾値x+yσを設定(演算)し、その計算結果を在庫データベース115に格納する。
前記分類手段130は、前記選択した受注ロットのうち前記基準時より前のb日間に納期が設定されている受注ロットの各々の数量をBとし、前記選択した受注ロットのうち前記基準時より後のa日間に納期が設定されている受注ロットの各々の数量をAとし、B≦x+yσ、A≦x+yσである場合には、当該受注ロットを通常受注ロットとして分類し、その分類結果を在庫管理データベース115に格納する。
前記発注点・基準在庫設定手段140は、前記通常受注ロットのうち、前記現時点からa日後までの間に納期が設定されているロットの1日あたりの出荷量の平均をz、前記補充リードタイムをc日、発注差分日数をt日とし、
さらに、前記通常受注ロットのうち、前記現時点よりb日前からこの現時点までの間に納期が設定されていたロットの1日あたりの出荷量の標準偏差をσ、係数をmとし、発注点rを
Figure 0003831328
(ここでm≧1である。)とし、基準在庫βをβ=r+tzとして設定(演算)し、こららの結果も在庫管理データベース115に格納する。
前記発注量設定手段150は、現在庫をd、現在発注中の数量をeとし、d+e≦rとなった場合に、必要発注数量fをf=β−(d+e−cz)に設定(演算)し、その結果も在庫管理データベース115に格納する。
【0017】
前記警告手段160は、前記基準在庫βに基づき警告基準の範囲を設定して、警告基準時より将来のc日間の出荷数量の合計を監視し、この合計が前記警告基準の範囲を超えた場合に警告を発する。
また、前記再設定手段170は、前記警告手段によって警告が発せられた場合、在庫に関連する諸データが更新された場合、所定の周期(週次、月次など)に達した場合のうちのいずれかの場合に、前記基準在庫および/または前記発注点を再計算し、これらを再設定する。
【0018】
本発明による在庫管理システムは、上述したように、営業支援システムなどから転送された受注データ(受注ロット番号、受注属性(確定、予約、問い合わせ段階など)、顧客名、品目、指定納期、数量など)を受信する受注データ受信手段を設け、在庫管理データベースを更新する。また、本発明の在庫管理システムは、設定された発注点に達した場合は、生産システムなどへ発注データを送信する発注手段を設けることも可能である。ここでロットとは、1注文に対応する製品のまとまりの単位であり、例えば、コンデンサー100万個の受注があった場合、この100万個で1ロットと呼ぶ。
【0019】
閾値の計算で使用するy、y、yは、閾値を増減させるための係数であり、より頻度の低い数量の受注ロットを、基準在庫を演算するための母集団に含める場合は、yを大きくすれば良く、小さくすればその逆となる。例えば、y=0である場合は、閾値は、受注ロット毎の数量の平均そのものであり、受注ロットの数量が閾値内に収まる確率は50%となる。また、y=1であれば84.13%、y=2であれば97.72%、y=3であれば99.87%となる。
さらに、上述した係数mは、安全係数と呼ばれるものであり、これを大きくするほど、急激な出荷量の変化にも対応できサービス水準(即ち納期遵守達成率)が向上するが、安全在庫が多くなり経費が高くなる。従って、係数mは、所望のサービス水準に応じて決定することが望ましい。
【0020】
基準在庫βの計算で使用する発注差分日数tは、想定された補充リードタイムより数日遅れて入庫される場合に備えて、その見込み差分日数を予め考慮して基準在庫を算出するためのものである。即ち、この発注差分日数によって、本来一定であるべき補充リードタイムが変動し製品の納入が遅れた場合にその遅れた差分に対応することができるようになる。
【0021】
本在庫管理システムにおいて警告を発するにあたり、以下の手順を踏む。まず基準在庫に基づき警告基準の範囲を設定する。例えば、基準在庫の±20%以内とする。次に、警告基準時を、基準在庫を決定するための基準時に置き換えてリードタイム内の想定出荷量czを求め、このczを警告基準とを比較する。ここで閾値は、警告基準時より将来のa日間および過去のb日間に納期が設定された受注ロットの数量に基づき算出され。zの母集団からは閾値を超えた数量の受注ロットは除かれることとなる。
結果として、czの値が警告基準内に収まった場合は警告を発せず、czの値が警告基準の範囲を超えた場合は警告を発する。警告基準時は、例えば1日一回、或いは3日に一回などのように任意に設定できる。
【0022】
さらに、基準在庫調整(再設定)手段を設ける場合には、基準在庫を調整するにあたり、以下の手順を踏む。すなわち、警告が発せられた場合、この警告をトリガーとして、警告基準時を基準在庫の基準時とした場合の基準在庫を演算し、その結果を基準在庫として再設定する。従って、警告が発せられた場合に基準在庫を再度演算するための母集団は、警告基準時より将来のa日間および過去のb日間に納期が設定された受注ロットとなる。
発注点の再設定も基本的には上記手順と同じように行うことができる。基準在庫や発注点の再設定は、警告が発せられた回数により決定することもできる。例えば、3回連続警告が発生した場合にはじめて再設定を行うようにすることも可能である。
【0023】
上述した本発明による在庫管理システムの処理をフローチャートとして表すと図3のようになる。但し、図示した各処理ボックスは論理的に矛盾しなければ再配置することもできる。例えば、警告の判定ボックスは基準在庫が決定された後であればどこに配置させても良い。この図では警告の後、閾値決定の処理ボックスへ戻すようにしてあるが、別の処理ボックスへ処理を戻しても良い。
また、諸データの入力・受信や格納は、実際にはその都度、或いは周期的に繰り返され、これらデータの更新に基づき、その更新の都度或いは所定の周期で基準在庫や発注点を再計算することとなる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、「特別受注ロット」を除外し「通常受注ロット」のみを基準在庫の計算に用いるため、納期遵守率を低下させることなく基準在庫が適正な値まで減少させることができる。すなわち、顧客満足度を損なわずに在庫費用を効率的に減少させることができる。また、基準在庫の減少によって在庫回転率も向上させることができる。さらに、警告手段によって、担当者に適時に在庫の調整を促し、これによってより適切に在庫管理することが可能となる。
実際に本発明を在庫管理システムとして導入した結果、基準在庫が減少して、従来在庫管理システムでは在庫回転率が0.5回転であったものを2.1回転へと大幅に向上させることができた。これに伴い在庫費用も大幅に軽減できた。また、このとき基準在庫を減少させたにもかかわらず、納期遵守率は従来の在庫管理システムの値とほぼ同じ値に維持することもできた。
【0025】
本明細書では、様々な実施態様で本発明の原理を説明してきたが、本発明は上述した実施例に限定されず幾多の変形および修正を施すことが可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による在庫管理システムの利用環境の一例を示すブロック図である。
【図2】 本発明による在庫管理システムの基本的なコンポーネントを示すブロック図である。
【図3】 本発明による在庫管理システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 在庫管理システム
12 生産システム
14 営業支援システム
20 ネットワーク
30 得意先システム
100 在庫管理システム
110 格納手段
115 在庫データベース
120 閾値設定手段
130 分類手段
140 発注点・基準在庫設定手段
150 発注量設定手段
160 警告手段
170 再設定手段

Claims (21)

  1. 在庫量の管理を行う在庫管理方法であって、
    受注ロットの納期及び数量と製品毎に予め設定された補充リードタイムとを記憶装置に格納にする格納ステップと、
    前記受注ロットのうち、基準時よりb日前からこの基準時よりa日後までの間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定する閾値設定ステップと、
    前記選択した受注ロットの各々の数量をαとし、αが前記閾値以下である場合は当該受注ロットを通常受注ロットとして分類する分類ステップと、
    前記分類された通常受注ロットに基づき所定の計算式で基準在庫を求める基準在庫算出ステップと、
    を有することを特徴とする在庫管理方法。
  2. 在庫量の管理を行う在庫管理方法であって、
    受注ロットの納期及び数量と製品毎に予め設定された補充リードタイムとを記憶装置に格納にする格納ステップと、
    前記受注ロットのうち、基準時より前のb日間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定し、かつ、前記受注ロットのうち、基準時より後のa日間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定する閾値設定ステップと、
    前記選択した受注ロットのうち前記基準時より前に納期が設定されている受注ロットの各々の数量をBとし、前記選択した受注ロットのうち前記基準時より後に納期が設定されている受注ロットの各々の数量をAとし、B≦x+yσ、A≦x+yσである場合には、当該受注ロットを通常受注ロットとして分類する分類ステップと、
    前記分類された通常受注ロットに基づき所定の計算式で基準在庫を求める基準在庫算出ステップと、
    を有することを特徴とする在庫管理方法。
  3. 請求項1または2に記載の在庫管理方法において、
    前記基準在庫算出ステップが、
    前記通常受注ロットのうち、前記基準時からa日後までの間に納期が設定されているロットの1日あたりの出荷量の平均をz、前記補充リードタイムをc日、発注差分日数をt日とし、
    さらに、前記通常受注ロットのうち、前記基準時よりb日前からこの基準時までの間に納期が設定されていたロットの1日あたりの出荷量の標準偏差をσとし、発注点rを
    Figure 0003831328
    (ここでm≧1である。)とし、基準在庫βをβ=r+tzとして設定する発注点・基準在庫設定ステップと、
    現在庫をd、現在発注中の数量をeとし、d+e≦rとなった場合に、必要発注数量fをf=β−(d+e−cz)に設定する発注量設定ステップと、
    を有することを特徴とする在庫管理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の在庫管理方法において、
    前記aと前記bとの関係が、a:b=1:1.5〜3である、
    ことを特徴とする在庫管理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の在庫管理方法において、
    前記aが5日≦a≦60日の範囲である、
    ことを特徴とする在庫管理方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の在庫管理方法において、
    前記基準在庫βに基づき警告基準の範囲を設定して、警告基準時より将来のc日間の出荷数量の合計を監視し、この合計が前記警告基準の範囲を超えた場合に警告を発する警告ステップ、
    をも有することを特徴とする在庫管理方法。
  7. 請求項6に記載の在庫管理方法において、
    前記警告が発せられた場合に、前記基準在庫および/または前記発注点を再計算し、これらを再設定する再設定ステップ、
    をも有することを特徴とする在庫管理方法。
  8. 在庫量の管理を行う在庫管理システムであって、
    受注ロットの納期及び数量と製品毎に予め設定された補充リードタイムとを記憶装置に格納にする格納手段と、
    前記受注ロットのうち、基準時よりb日前からこの基準時よりa日後までの間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定する閾値設定手段と、
    前記選択した受注ロットの各々の数量をαとし、αが前記閾値以下である場合は当該受注ロットを通常受注ロットとして分類する分類手段と、
    前記分類された通常受注ロットに基づき所定の計算式で基準在庫を求める基準在庫算出手段と、
    を有することを特徴とする在庫管理システム。
  9. 在庫量の管理を行う在庫管理システムであって、
    受注ロットの納期及び数量と製品毎に予め設定された補充リードタイムとを記憶装置に格納にする格納手段と、
    前記受注ロットのうち、基準時より前のb日間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定し、かつ、前記受注ロットのうち、基準時より後のa日間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定する閾値設定手段と、
    前記選択した受注ロットのうち前記基準時より前に納期が設定されている受注ロットの各々の数量をBとし、前記選択した受注ロットのうち前記基準時より後に納期が設定されている受注ロットの各々の数量をAとし、B≦x+yσ、A≦x+yσである場合には、当該受注ロットを通常受注ロットとして分類する分類手段と、
    前記分類された通常受注ロットに基づき所定の計算式で基準在庫を求める基準在庫算出手段と、
    を有することを特徴とする在庫管理システム。
  10. 請求項8または9に記載の在庫管理システムにおいて、
    前記基準在庫算出手段が、
    前記通常受注ロットのうち、前記基準時からa日後までの間に納期が設定されているロットの1日あたりの出荷量の平均をz、前記補充リードタイムをc日、発注差分日数をt日とし、
    さらに、前記通常受注ロットのうち、前記基準時よりb日前からこの基準時までの間に納期が設定されていたロットの1日あたりの出荷量の標準偏差をσとし、発注点rを
    Figure 0003831328
    (ここでm≧1である。)とし、基準在庫βをβ=r+tzとして設定する発注点・基準在庫設定ステップと、
    現在庫をd、現在発注中の数量をeとし、d+e≦rとなった場合に、必要発注数量fをf=β−(d+e−cz)に設定する発注量設定手段と、
    を有することを特徴とする在庫管理システム。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の在庫管理システムにおいて、
    前記aと前記bとの関係が、a:b=1:1.5〜3である、
    ことを特徴とする在庫管理システム。
  12. 請求項8〜11のいずれか1項に記載の在庫管理システムにおいて、
    前記aが5日≦a≦60日の範囲である、
    ことを特徴とする在庫管理システム。
  13. 請求項8〜12のいずれか1項に記載の在庫管理システムにおいて、
    前記基準在庫βに基づき警告基準の範囲を設定して、警告基準時より将来のc日間の出荷数量の合計を監視し、この合計が前記警告基準の範囲を超えた場合に警告を発する警告手段、
    をも有することを特徴とする在庫管理システム。
  14. 請求項13に記載の在庫管理システムにおいて、
    前記警告が発せられた場合に、前記基準在庫および/または前記発注点を再計算し、これらを再設定する再設定ステップ、
    をも有することを特徴とする在庫管理方法。
  15. 在庫量の管理を行う在庫管理プログラムであって、
    受注ロットの納期及び数量と製品毎に予め設定された補充リードタイムとを記憶装置に格納にする格納ステップと、
    前記受注ロットのうち、基準時よりb日前からこの基準時よりa日後までの間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定する閾値設定ステップと、
    前記選択した受注ロットの各々の数量をαとし、αが前記閾値以下である場合は当該受注ロットを通常受注ロットとして分類する分類ステップと、
    前記分類された通常受注ロットに基づき所定の計算式で基準在庫を求める基準在庫算出ステップと、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする在庫管理プログラム。
  16. 在庫量の管理を行う在庫管理プログラムであって、
    受注ロットの納期及び数量と製品毎に予め設定された補充リードタイムとを記憶装置に格納にする格納ステップと、
    前記受注ロットのうち、基準時より前のb日間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定し、かつ、前記受注ロットのうち、基準時より後のa日間に納期が設定されているものを選択し、その選択した受注ロットの数量の平均xおよび標準偏差σから閾値x+yσ(ここでy≧0である。)を設定する閾値設定ステップと、
    前記選択した受注ロットのうち前記基準時より前に納期が設定されている受注ロットの各々の数量をBとし、前記選択した受注ロットのうち前記基準時より後に納期が設定されている受注ロットの各々の数量をAとし、B≦x+yσ、A≦x+yσである場合には、当該受注ロットを通常受注ロットとして分類する分類ステップと、
    前記分類された通常受注ロットに基づき所定の計算式で基準在庫を求める基準在庫算出ステップと、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする在庫管理プログラム。
  17. 請求項15または16に記載の在庫管理プログラムにおいて、
    前記基準在庫算出ステップが、
    前記通常受注ロットのうち、前記基準時からa日後までの間に納期が設定されているロットの1日あたりの出荷量の平均をz、前記補充リードタイムをc日、発注差分日数をt日とし、
    さらに、前記通常受注ロットのうち、前記基準時よりb日前からこの基準時までの間に納期が設定されていたロットの1日あたりの出荷量の標準偏差をσとし、発注点rを
    Figure 0003831328
    (ここでm≧1である。)とし、基準在庫βをβ=r+tzとして設定する発注点・基準在庫設定ステップと、
    現在庫をd、現在発注中の数量をeとし、d+e≦rとなった場合に、必要発注数量fをf=β−(d+e−cz)に設定する発注量設定ステップと、
    を有することを特徴とする在庫管理プログラム。
  18. 請求項15〜17のいずれか1項に記載の在庫管理プログラムにおいて、
    前記aと前記bとの関係が、a:b=1:1.5〜3である、
    ことを特徴とする在庫管理プログラム。
  19. 請求項15〜18のいずれか1項に記載の在庫管理プログラムにおいて、
    前記aが5日≦a≦60日の範囲である、
    ことを特徴とする在庫管理プログラム。
  20. 請求項15〜19のいずれか1項に記載の在庫管理プログラムにおいて、
    前記基準在庫βに基づき警告基準の範囲を設定して、警告基準時より将来のc日間の出荷数量の合計を監視し、この合計が前記警告基準の範囲を超えた場合に警告を発する警告ステップ、
    をもコンピュータに実行させることを特徴とするも在庫管理プログラム。
  21. 請求項19に記載の在庫管理プログラムにおいて、
    前記警告が発せられた場合に、前記基準在庫および/または前記発注点を再計算し、これらを再設定する再設定ステップ、
    をもコンピュータに実行させることを特徴とするも在庫管理プログラム。
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