JP3830824B2 - ディジタル形方向継電器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は不平衡成分電気量のうち、逆相分電気量の変化分を用いて、事故の方向を判別するようにしたディジタル方向継電器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電力系統の事故方向の判定を、逆相分電気量あるいは零相分電気量を用いた方向継電器により行うことは電気協同研究第37巻1号第54頁の記事等で広く知られている。
【0003】
ここで、逆相方向継電器をディジタル形で実現しようとした場合、一定サンプリング間隔で得た電力系統の電圧、電流のサンプル値をそれぞれVm、Imとすると、電圧、電流の逆相成分は次式(3)のように求めることができる。
3V2m=Vam+Vb(m-8)+Vc(m-4)、
3I2m=Iam+Ib(m-8)+Ic(m-4) (3)
【0004】
ここで、サンプリング間隔は電気角30°、mはサンプリングの時点、添字の2は逆相成分、更にa,b,cは各々A相、B相、C相の電気量である。また、m-αはmからαサンプリング前の電気量であることを示している。
【0005】
電力系統が3相平衡している場合、逆相成分は存在しないから(3)式の各項の値はともに0であるが、電力系統に不平衡事故が発生すると、系統保護リレーから見た逆相インピーダンスZ2は、V2m=Z2・I2mの関係が成立する。この式においてZ2は一般的にほとんどがリアクタンス成分であるため、V2mとI2mとはほぼ位相が90°ずれる。その際、電圧と電流のうちどちらが進みとなるかは、事故が前方即ち保護方向か、後方かによって決まる。
【0006】
逆相回路には電源がないため、正相回路とは逆の関係になり、事故が前方の場合、電流が電圧に対して進み、後方事故の場合は電流が電圧に対して遅れることとなる。従って、例えば電流を90°進み側に移相し、電圧との内積をとった結果が正となれば後方事故、負となれば前方事故と判定することができる。実際の演算は次式(4)のようになる。
V2m×J2m+V2(m-3)×J2(m-3)<0 (4)
【0007】
ここで、J2mはI2mの位相を90°進めたものである。実際には若干の不感帯をもたせ、それをKとすれば動作ゾーンは図10のように表すことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単相再閉路無電圧時間中のように一時的に3相のうち1相が欠相している状態の場合には、電力系統には実際に事故が発生していないにも拘わらず逆相成分の電気量が存在するため、その電気量を用いて演算した場合、感度が鈍くなるとか誤動作する可能性があった。
【0009】
本発明の目的は、定常状態において電力系統に逆相成分電気量が存在していたとしても、不平衡事故が発生した場合に正しく事故の方向を判別することのできるディジタル形方向継電器を供給することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係るディジタル形方向継電器の発明は、電力系統の電圧値および電流値を周期的にサンプリングしてディジタル値に変換し、このディジタル値に変換された電圧データおよび電流データを用いて事故方向の判定演算を行うようにしたディジタル形方向継電器において、基準となる時点の電圧データおよび電流データと、その基準となる時点から所定のサンプリング間隔だけ離れた時点の電圧データおよび電流データとを用いて、それぞれ不平衡成分電圧の変化分および不平衡成分電流の変化分を求める手段と、この不平衡成分電圧の変化分および不平衡成分電流の変化分を入力してその位相関係を求め、前方事故か後方事故かを判定する手段と、を備え、前記不平衡成分電圧の変化分および不平衡成分電流の変化分として、それぞれ逆相変化分の電気量を使用することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、逆相分電気量の変化分を使用することで、常時存在する逆相分電気量の影響を受けにくくすることが可能であり、事故の方向判別の精度を上げることが可能となる。
【0012】
また、請求項2に係るディジタル形方向継電器の発明は、電力系統の電圧値および電流値を周期的にサンプリングしてディジタル値に変換し、このディジタル値に変換された電圧データおよび電流データを用いて事故方向の判定演算を行うようにしたディジタル形方向継電器において、基準となる時点の電圧データおよび電流データと、その基準となる時点から所定のサンプリング間隔だけ離れた時点の電圧データおよび電流データとを用いて、それぞれ不平衡成分電圧の変化分および不平衡成分電流の変化分を求める手段と、これら不平衡成分電圧の変化分および不平衡成分電流の変化分から不平衡インピーダンス分を求める手段と、この求められた不平衡インピーダンス分を基準値と比較し、前方事故か後方事故かを判定する手段と、を備え、前記不平衡成分電圧の変化分および不平衡成分電流の変化分として、それぞれ逆相変化分の電気量を使用することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば逆相分電気量の変化分を使用してインピーダンスを求めることで、常時存在する不平衡成分電気量の影響を受けにくくすることが可能であり、事故の方向判別の精度を上げることが可能となる。
【0014】
更に、請求項3に係るディジタル形方向継電器の発明は、電力系統の電圧値および電流値を周期的にサンプリングしてディジタル値に変換し、このディジタル値に変換された電圧データおよび電流データを用いて事故方向の判定演算を行うようにしたディジタル形方向継電器において、基準となる時点の電圧データおよび電流データと、その基準となる時点から所定のサンプリング間隔だけ離れた時点の電圧データおよび電流データとを用いて、電流の逆相変化分ΔI2と電圧の逆相変化分ΔV2を求める第1の手段と、任意の定数K1とK2、Ψおよび、電流が電圧に対し進んでいる位相をφとしたときに、(1)式K1ΔI2−ΔV2cos(φ−Ψ)>K2が成立した場合前方事故と判定する第2の手段と、(2)式K1ΔI2−ΔV2cos(φ−Ψ)<K2が成立した場合後方事故と判定する第3の手段と、を設けたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る全ての実施の形態に共通なハードウェア構成図である。図1において、101は保護対象である送電線、102はこの送電線101から電圧を取り出すためのPT回路、103は送電線101から電流を取り出すためのCT回路である。
【0016】
また、104-1および104-2は電力回路であるPT回路102およびCT回路103をそれぞれ電子回路と電気的に分離するためと、取り込んだ電流値、電圧値を後述する演算回路109で取り扱う大きさに変換するための入力変換器である。
【0017】
105-1、105-2は折り返し周波数をカットするアナログフィルタ、106-1、106-2はアナログフィルタの出力を所定間隔でサンプリングし、そのサンプル値を保持するサンプルホルダーである。
【0018】
107は複数のサンプルホールド値を時系列に並び換えて出力するマルチプレクサ、108マルチプレクサの出力をディジタル値に変換して出力するA/D変換器、109はマイコン等のディジタル演算回路である。
【0019】
(第1の実施の形態)
図2は前記演算回路109の機能を演算手段の形式で表した第1の実施の形態のブロック図である。図2において、110はディジタルフィルタであり、入力されたディジタルデータV、Iをフィルタリングしたのち、v,iをそれぞれ次に述べる演算手段111、112に入力する。
【0020】
111は電圧逆相分演算手段であり、例えば以下の式(5)で電圧の逆相分求める。
3V2m=VAm+VB(m-8)+VC(m-4) (5)
ここでmは現時点のサンプルを示し、以下30°ごとにデータがあるものとする。従って、m-4は120°前のデータを意味する。
【0021】
112は電流逆相分演算手段であり、例えば以下(6)のような式で電流の逆相分を求める。
3I2m=IAm+IB(m-8)+IC(m-4) (6)
113はこれらの演算結果を保存しておくための電圧および電流データ保存手段である。
【0022】
114は電圧逆相変化分演算手段であり、例えば1サイクル前の値と現時点の値との変化分を、以下のような式(7)で求める。
ΔV2m=V2m−V2(m-12) (7)
【0023】
115は電流逆相変化分演算手段であり、例えば1サイクル前の値と現時点の値との変化分を、以下のような式(8)で求める。
ΔI2m=I2m−I2(m-12) (8)
この例では先に逆相成分を求め、次に変化分を求めているが、先に変化分を求め、次に逆相分を求めても全く同じである。
【0024】
116は前方事故判定手段であり、逆相変化分電圧と逆相変化分電流の位相関係から前方事故を判定する。逆相のインピーダンスはほぼ順リアクタンスであることを考慮入れると、前方事故の場合は、ΔI2mは−ΔV2mに対して約90°遅れることになる。従ってΔI2mを90°移相し、−ΔV2mとの内積をとることでそれらの位相関係を見ることができる。これを式で表すと例えば以下の式(9)のようになる。
ΔI2m ∠ 90 °*(−ΔV2m)>k1|ΔV2m| (9)
【0025】
この式(9)によればΔI2mの90°進み分を−ΔV2mに投影した成分が、k1以上になった場合に動作となる。この動作域を図に示したものが図3である。内積演算は次の式(10)で求める。
−ΔV2m*ΔI2m ∠ 90 °=−ΔV2m・ΔJ2m−ΔV2(m-3)・ΔJ2(m-3) (10)
【0026】
ここでΔJ2mはΔI2mを90°進めたもので、例えば次式(11)のように求めることができる。
ΔJ2m=(ΔI2m−2ΔI2(m-2))/√3 (11)
【0027】
絶対値は例えば次式(12)のように求めることができる。
【数1】
【0028】
逆相インピーダンスに抵抗成分Rが多く含まれている場合などは、電流の移相を変化させて、最も感度の良い角度を変更すればよく、ユーザーによる整定とすることも可能である。
【0029】
117は後方事故判定手段であり、前述の前方事故判定手段116と同様、逆相変化分電圧と逆相変化分電流の位相関係から後方事故を判定する部分である。ただし、前方事故と反対であるので以下のような式(13)で判定する。
ΔI2m ∠ 90*(−ΔV2m)<k2|ΔV2m| (13)
具体的な演算方法は前方事故の判定と全く同じであるので省略する。
【0030】
図3にこの動作域を示す。これらの判定式中のk1,k2は感度を決める要素であり、系統条件に合わせて適宜決めれば良い。
以上述べた実施の形態によれば、逆相分電気量の変化分を使用することで、常時存在する逆相分電気量の影響を受けにくくすることが可能であり、事故の方向判別の精度を上げることが可能となる。
【0031】
なお、自明なことであるが、電流を移相する代りに電圧を移相して判定しても全く同じである。また、逆相変化分電圧と逆相変化分電流との位相関係を求めるのに、どちらかの電気量を90°移相して内積演算を行うようにしたが、外積演算を行っても良い。
【0032】
(変形例1)
第1の実施の形態の変形例として、単純に位相差だけを見るものを挙げることができる。既に述べたように、前方事故では−ΔV2mとΔJ2mはほぼ同位相となることから、その位相差をφとすれば次の式(14)、
【数2】
で判定が可能となる。このときX=0とすれば動作範囲は
【数3】
となり、
【数4】
となる。これを図示すると図4となる。
【0033】
(変形例2)
この変形例2は動作領域をオフセットさせたもので、例えば−ΔV2mに−(ΔV2m−αΔV2m)を代入すれば図5に示すようにαΔV2mだけオフセットした特性を得ることができる。なお、αは例えば定数である。
【0034】
ここではオフセットを電圧の方向にとったが、動揺の計算を電流に対して行えば、電流の方向にとることも可能である。このように、様々な簡単な変更、あるいは機能追加が可能であるが、基本的に逆相電流の変過分と逆相電圧の変化分の位相差に着目するという点で第1の実施形態から変形例2までは共通している。
【0035】
(第2の実施の形態)
図6は本発明の第2の実施の形態を示す演算手段のブロック図である。この第2の実施例は逆相変化分電流と逆相変化分電圧から逆相インピーダンスを求め、その値から事故の方向を判定しようというものである。なお、ディジタルフィルタ110から演算手段115までは図2の場合と同じであるので説明は省略する。
【0036】
逆相インピーダンスのうち、リアクタンス分はIm(ΔV2/ΔI2)で求めることができる。変化分を用いることで、定常状態で存在している逆相分はキャンセルすることができ、精度を上げることができる。
【0037】
逆相回路は定常時は電源を持たないため、前方事故の場合発生する電圧は、自分の背後にあるインピーダンスにより決まり、電流が電圧に対し進むことになる。その大きさは事故が前方であれば事故点に関係なく、背後のインピーダンスと等しいものなる。
【0038】
逆に背後事故であれば、前方のインピーダンスを求めることとなり、遅れ方向となる。遅れ方向を正にとれば、背後事故においては前方の電力系統が最も大きいケースでインピーダンスは最小となる。従って、それ以下であればインピーダンスが負になる場合も含めて、前方事故と判定できるので、判定式は次式(15)のように表すことができる。
Im(ΔV2/ΔI2)<K1 (15)
ここでK1は系統構成等により考えられ得る最小のインピーダンス以下にすれば良い。
【0039】
この式を積の形で表すと次式のようになる。次式(16)が成立すれば前方の事故となり、成立しなければ後方の事故となる。
ΔV2*ΔI2∠90°<K1ΔI2 2 (16)
上式を演算するためには、逆相変化分電流の大きさと逆相変化分電圧と逆相変化分電流の内積を求めれば良い。
【0040】
図6において、120は逆相変化分電流の大きさの2乗を求める絶対値演算手段であり、例えば次式(17)のように表すことができる。
|ΔI2|2=(ΔI2m)2+(ΔI2(m-3))2 (17)
【0041】
121は逆相変化分電流を90°位相したものと逆相変化分電圧の内積を求める内積演算手段であり、求め方は既に示したとおりである。
122は絶対値演算手段120, 内積演算手段121から既述の判定式により前方事故か否かを判定する前方事故判定手段、そして123は絶対値演算手段120, 内積演算手段121から既述の判定式により後方事故か否かを判定する後方事故判定手段である。
【0042】
以上述べたように、本発明によれば逆相分電気量の変化分を使用してインピーダンスを求めることで、常時存在する逆相分電気量の影響を受けにくくすることが可能であり、事故の方向判別の精度を上げることが可能となる。この場合の動作域の例を図7に示す。
【0043】
電力系統により誤差が発生しやすい場合などは、判定式に不感帯を設けることも可能である。次式(18)に本実施の形態の変形例を示す。
K1ΔI2 2−ΔV2*ΔI2∠90°>K2 (18)
上式では右辺を0とせず定数を置いたことで感度の調整ができるようになり誤差に強くなる。その他の演算方法は全く同じであるのでここでは省略する。
【0044】
(第3の実施の形態)
図8は本発明による第3の実施の形態を示す演算手段のブロック図である。110から115は図2の場合と同じであり、また120から123は図6の場合と同じであるので説明は省略する。
【0045】
第3の実施の形態では前方事故の判定を次式(19)によって行う。
K1ΔI2−ΔV2cos(φ−Ψ)>K2 (19)
ここでΨは最も感度を高くしたい角度に設定すれば良い。既に述べているように、一般に逆相回路のインピーダンスはほとんどがリアクタンス成分であるので、電流と電圧の位相はほぼ90°開く。従って、Ψは90°付近に設定すれば良い。
【0046】
以下ではΨを90°にした場合について説明する。上式(19)の両辺にΔI2をかけてサンプリング表現に変更すると、次式(20)となる。
K1|ΔI2m|2−ΔV2m*ΔI2m∠90°>K2ΔI2m (20)
【0047】
130は逆相変化分電流の2乗の平方根を求める平方根演算手段である。
これらの演算により、上の判定式を演算することができる。この判定式による動作域は図9のように表すことができる。
【0048】
このように本発明によれば、逆相分電気量の変化分を使用することにより、常時存在する逆相分電気量の影響を受けにくくすることが可能である。また、基本的に逆相電圧、電流変化分の位相差に着目した手法であるが、逆相変化分電流により補償していることで、それが多く流れた場合には動作しやすくなるという特性を持っており、更に事故の方向判別の精度を上げることが可能となる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば定常状態において電圧および電流に逆相分が発生している場合においても、逆相分電気量の変化分を使用することからその影響を受けにくく、精度よく事故の方向判別を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る全ての実施の形態に共通なハードウェア構成図。
【図2】 第1の実施の形態を実現する演算手段のブロック図。
【図3】 第1の実施の形態の動作範囲を示す図。
【図4】 第1の実施の形態の変形例1の動作範囲を示す図。
【図5】 第1の実施の形態の変形例2の動作範囲を示す図。
【図6】 第2の実施の形態を実現する演算手段のブロック図。
【図7】 第2の実施の形態の動作範囲を示す図。
【図8】 第3の実施の形態を実現する演算手段のブロック図。
【図9】 第3の実施の形態の動作範囲を示す図。
【図10】 従来の逆相方向継電器の演算による動作範囲を示す図。
【符号の説明】
101…送電線、102…変成器、103…変流器、104、105…入力変換回路、106…A/D変換回路、107…演算回路、110、210…ディジタルフィルタ、111…電圧逆相分演算手段、112…電流逆相分演算手段、113…電圧・電流保存手段、114…電圧逆相変化分演算手段、115…電流逆相変化分演算手段、116,122,131…前方事故判定手段、117,123,132…後方事故判定手段、120…電気量の絶対値演算手段、121…2つの電気量の内積演算、130…平方根演算手段、140…電圧逆相分演算手段、141…電流逆相分演算手段、142…電圧逆相変化分演算手段、143…電流逆相変化分演算手段。
Claims (3)
- 電力系統の電圧値および電流値を周期的にサンプリングしてディジタル値に変換し、このディジタル値に変換された電圧データおよび電流データを用いて事故方向の判定演算を行うようにしたディジタル形方向継電器において、
基準となる時点の電圧データおよび電流データと、その基準となる時点から所定のサンプリング間隔だけ離れた時点の電圧データおよび電流データとを用いて、それぞれ不平衡成分電圧の変化分および不平衡成分電流の変化分を求める手段と、
この不平衡成分電圧の変化分および不平衡成分電流の変化分を入力してその位相関係を求め、前方事故か後方事故かを判定する手段と、を備え、前記不平衡成分電圧の変化分および不平衡成分電流の変化分として、それぞれ逆相変化分の電気量を使用することを特徴とするディジタル形方向継電器。 - 電力系統の電圧値および電流値を周期的にサンプリングしてディジタル値に変換し、このディジタル値に変換された電圧データおよび電流データを用いて事故方向の判定演算を行うようにしたディジタル形方向継電器において、
基準となる時点の電圧データおよび電流データと、その基準となる時点から所定のサンプリング間隔だけ離れた時点の電圧データおよび電流データとを用いて、それぞれ不平衡成分電圧の変化分および不平衡成分電流の変化分を求める手段と、
これら不平衡成分電圧の変化分および不平衡成分電流の変化分から不平衡インピーダンス分を求める手段と、
この求められた不平衡インピーダンス分を基準値と比較し、前方事故か後方事故かを判定する手段と、を備え、前記不平衡成分電圧の変化分および不平衡成分電流の変化分として、それぞれ逆相変化分の電気量を使用することを特徴とするディジタル形方向継電器。 - 電力系統の電圧値および電流値を周期的にサンプリングしてディジタル値に変換し、このディジタル値に変換された電圧データおよび電流データを用いて事故方向の判定演算を行うようにしたディジタル形方向継電器において、
基準となる時点の電圧データおよび電流データと、その基準となる時点から所定のサンプリング間隔だけ離れた時点の電圧データおよび電流データとを用いて、電流の逆相変化分ΔI2と電圧の逆相変化分ΔV2を求める第1の手段と、
任意の定数K 1 とK 2 、Ψおよび、電流が電圧に対し進んでいる位相をφとしたときに、
K1ΔI2−ΔV2cos(φ−Ψ)>K2 (1)
が成立した場合前方事故と判定する第2の手段と、
K1ΔI2−ΔV2cos(φ−Ψ)<K2 (2)
が成立した場合後方事故と判定する第3の手段と、
を設けたことを特徴とするディジタル形方向継電器。
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