JPH07121254A - 電力用高調波・無効電力補償装置 - Google Patents

電力用高調波・無効電力補償装置

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JPH07121254A
JPH07121254A JP5263492A JP26349293A JPH07121254A JP H07121254 A JPH07121254 A JP H07121254A JP 5263492 A JP5263492 A JP 5263492A JP 26349293 A JP26349293 A JP 26349293A JP H07121254 A JPH07121254 A JP H07121254A
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康廣 小松
Takao Kawabata
隆夫 川畑
Shuji Nishida
秀志 西田
Masatoshi Takeda
正俊 竹田
Tomohiro Kobayashi
知宏 小林
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  • Supply And Distribution Of Alternating Current (AREA)
  • Control Of Electrical Variables (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 系統電圧に逆相分、零相分が存在する場合で
も系統電流が正弦波となるような、電力用高調波または
無効電力補償装置を得る。 【構成】 3相電力系統の各相瞬時電圧を90゜遅らせ
た電圧を導出する回路を設け、その電圧と各相瞬時電流
の積から3相一括の瞬時無効電力を求めることにより、
系統電圧に逆相分、零相分が存在する場合でも系統電流
が正弦波となるような補償が行えるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、インバータを主構成
要素とする電力用アクティブフィルタや電力用無効電力
補償装置(SVGともいう)などの電力用高調波及び無
効電力の補償装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】瞬時電力・瞬時無効電力理論を用いた従
来の無効電力補償装置の補償電流導出法を文献、赤木、
金澤、藤田、難波江:「瞬時無効電力の一般化理論とそ
の応用」電気学会論文誌B、103巻、7号、pp48
3−490、昭和58年7月を基に説明する。なお、標
記の都合上文章中の添字αとβは<a> と<b> で表す。瞬
時電力p・瞬時無効電力qはα電圧e<a> 、β電圧e
<b> 、α電流i<a> 、β電流i<b> を用いて次式のよう
に表される。
【0003】
【数1】
【0004】図5は3相3線式電力系統に設けられた従
来の無効電力補償装置の構成を示した図である。瞬時電
力p、瞬時無効電力qを図4の系統の各部分において求
めることができる。また、瞬時電力p、瞬時無効電力q
が求められれば次式からその部分を流れる電流を求める
ことができる。
【0005】
【数2】
【0006】系統の電源側を添字S、負荷側を添字L、
無効電力補償装置側を添字Cで表して、(4)式から次
式を得る。
【0007】
【数3】
【0008】無効電力補償装置が負荷電流の高調波成分
を供給する場合には、無効電力補償装置が供給する瞬時
電力pC 、瞬時無効電力qC を、次式のように表す。な
お、添字ACは交流成分、添字DCは直流成分を表すも
のとする。 pC =pLAC (8−1) qC =qLAC (8−2) なお、(8−1)および(8−1)式(以下、両式を単
に(8)式という。)は負荷電流の無効電流分などを無
効電力補償装置から供給することを示している。
【0009】(6)式からわかるように、負荷瞬時電力
L は、電圧e<a> 、e<b> と負荷電流iL<a>、iL<b>
の測定値を用いて導出できる。pLAC はその交流成分で
あり、適当な回路によって負荷瞬時電力pL から抽出す
ることができる。(6)式からわかるように負荷瞬時無
効電力qL も電圧e<a> 、e<b> と負荷電流iL<a>、i
L<b>の測定値を用いて導出できる。したがって、(8)
式から瞬時電力pC 、瞬時無効電力qC を導出できる。
ゆえに、(7)式からわかるように補償電流iC<a>、i
C<b>はこれら瞬時電力pC 、瞬時無効電力qC と電圧e
<a> 、e<b> の測定値を用いて導出することができる。
さらに、(3)式を用いて電流iC<a>、iC<b>から各相
瞬時補償電流指令iCa、iCb、iCcを導出できる。
【0010】図7において、1は3相3線式電力系統の
電源、2は負荷、3は無効電力補償装置の構成要素であ
る3相3線式インバータ、41は系統の相電圧を検出す
る系統電圧検出器、22はは系統の相電流を検出する負
荷電流検出器、5は検出器41の各相電圧からα電圧e
<a> 、β電圧e<b> を導出する第1のαβ変換回路、6
は負荷電流検出器22の各相負電流からα電流iL<a>
β電流iL<b>を導出する第2のαβ変換回路、7は第1
および第2のαβ変換回路5、6の出力から負荷瞬時電
力pL を導出する負荷瞬時電力導出回路、8は第1およ
び第2のαβ変換回路5、6の出力から負荷瞬時無効電
力qL を導出する負荷瞬時無効電力導出回路、9は第1
のαβ変換回路5の出力から上記Δを導出するΔ導出回
路、26は負荷瞬時電力導出回路7の出力から交流成分
LAC を抽出する第1の交流成分抽出回路、27は負荷
瞬時無効電力導出8の出力から交流成分qLAC を抽出す
る第2の交流成分抽出回路、10は第1のαβ変換回路
5、Δ導出回路9、交流成分抽出回路26、交流成分抽
出回路27の出力からα、β補償電流iC<a>、iC<b>
導出する回路、11は10の出力からα、β補償電流i
C<a>、iC<b>を導出するiC<a>・iC<b>導出回路、11
はiC<a>・iC<b>導出回路10の出力から各相補償電流
指令値iCa、iCb、iCcを導出する各相成分変換回路で
ある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】無効電力補償装置にお
いて、従来の瞬時電力・瞬時無効電力理論を用いた補償
電流導出回路を採用した場合、キルヒホッフの第一法則
と(5)、(6)、(7)式および(8)式から、系統
の電源側から流れ込む電流、すなわち系統電流is<a>
s<b>は次式となる。
【0012】
【数4】
【0013】系統電圧が正弦波の場合(基本波成分だけ
が存在する場合)、電圧e<a> 、e<b> は正弦波の交流
となる。また、定常状態において、負荷側の瞬時電力の
直流分pLDC は一定値である。したがって、上記Δが直
流成分だけなら、1/Δが直流となり、is<a>、is<b>
は正弦波となる。当然、系統各相電流isa、isb、isc
も正弦波になる。しかし、Δに交流成分が含まれるなら
ば、1/Δにも交流成分が含まれることになり、
s<a>、is<b>に高調波成分が含まれることになる。こ
の高調波成分は誘導障害などをもたらすため好ましくな
い。Δに交流成分が含まれる場合というのは、つぎのケ
ースである。 (1)系統電圧に高調波成分が含まれる。 (2)系統電圧が正弦波であっても非対称である。すな
わち、正相成分以外に逆相、零相成分が含まれる。 後者のケースはよくみられる。従来の方式が望ましい結
果をもたらすのは結局、正弦波対称3相電圧の場合に限
られる。さらに、(1)、(2)、(3)式から瞬時無
効電力qは
【0014】
【数5】
【0015】となり、系統が対称3相電圧の場合、(e
c−eb)/√3はea を90°進ませた電圧、(ea
c)/√3はeb を90°進ませた電圧、(eb
a)/√3はec を90°進ませた電圧となり、瞬時
無効電力qの平均値は無効電力となる(ただし、進み電
流による無効電力を正としている)。しかし、非対称3
相電圧の場合、瞬時無効電力qの平均値は無効電力を表
さない。 以上が従来の瞬時電力・瞬時無効電力を用いた電力用無
効電力補償装置の問題点である。
【0016】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたものであり、系統電圧が正弦波であるな
らば、対称3相電圧の場合はもちろん、非対称3相電圧
の場合に対しても負荷に流れる高調波電流、また必要な
らば無効電流、逆相電流を供給し、しかも系統電流に高
調波成分を生じさせない無効電力補償装置を得ることを
目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
る電力用無効電力補償装置の補償電流導出回路は、従来
の方式で用いられていた瞬時無効電力とは異なる新しい
瞬時無効電力を用いる手段、上記瞬時無効電力を導出す
るために各相瞬時電圧を90°遅らせる手段、上記90
°遅らせた電圧と各相電流とから瞬時無効電力を導出す
る手段、および上記瞬時無効電力から補償電流の指令値
を導出する手段を備えたものである。
【0018】請求項2、3に係るものは、上記各相瞬時
電圧を90°遅らせる手段として、位相遅れ回路または
メモリを用いるものである。
【0019】請求項4に係るものは、上記90°遅らせ
た電圧と各相瞬時電圧とから関数を導出し、これと瞬時
無効電力の交流成分の積から補償電流の指令値を導出す
るものである。
【0020】請求項5に係るものは、3相3線式電力系
統において、上記瞬時無効電力を導出するために2相の
電流信号を用いるものである。
【0021】請求項6、7、8、9、10項に係るもの
は、上記補償電流指令値の導出において、各相電圧を9
0°以外の任意の角度θだけ遅らせた電圧を用いるもの
である。
【0022】
【作用】この発明の請求項1に係る電力用無効電力補償
装置は系統電圧に高調波成分が含まれていない限り、系
統電圧が対称の場合はもちろん、非対称の場合に対して
も、その平均値が真の無効電力を表す正しい瞬時無効電
力を用いている。すなわち、本発明では瞬時無効電力q
を、相電流瞬時値と相電圧を90°遅らせた電圧瞬時値
との積の3相分の和と定義する。なお90°進ませた相
電圧ではなく、90°遅らせた相電圧を用いているの
は、遅れ電流による無効電力を正とするためである。瞬
時無効電力qを式で表せば次のようになる。 q=ea′ia+eb′ib+ec′ic (10) ただし、ea′ :ea を90°遅らせた電圧 eb′ :eb を90°遅らせた電圧 ec′ :ec を90°遅らせた電圧 一方、瞬時電力pは従来と同様に次式で表される。 p=eaa+ebb+ecc (11) 3相4線式の電力系統を考えることにする。中性線電流
0 は次式で与えられる。 i0=ia+ib+ic (12) (10)、(11)、(12)式から次式を得る。
【0023】
【数6】
【0024】(13)式から次式を得る。
【0025】
【数7】
【0026】(13)、(14)式は系統の各部分で成
立する。無効電力補償装置が供給する瞬時電力pC 、瞬
時無効電力qC を(8)式のように定め、中性線電流i
C0をiL0とおけば、(14)式から補償電流指令iCa
Cb、iCcは次式で表される。
【0027】
【数8】
【0028】同様にして(14)式から系統電流isa
sb、iscは次式で表される。
【0029】
【数9】
【0030】この発明の方式における(13)、(1
4)、(15)、(16)式がそれぞれ、従来方式にお
ける(1)、(4)、(7)、(9)式に対応する。系
統電圧が非対称の場合、従来の方式における(9)式の
Δには直流成分に加えて交流成分が生じたが、対応する
発明の方式における(16)式のΔ4′ は直流成分だけ
である。したがって、(16)式からわかるように発明
方式では系統各相電流isa、isb、iscに高調波成分が
含まれず、良好な動作を行うことになる。
【0031】請求項2に記載した位相遅れ回路を用いる
方法、あるいは請求項3に記載したメモリを用いる方法
は、従来方式で用いられていたαβ変換を用いず、各相
量を直接取り扱うので回路が簡単となる。また、回路が
簡単になるので、精度の高い出力電流指令値が得られる
ことになる。
【0032】請求項4に記載した瞬時無効電力に各相瞬
時電圧と各相瞬時電圧を90°遅らせた電圧の関数を乗
じて補償電流の指令値を算出する回路は、(16)式か
らわかるように、Δ4′ に交流成分が含まれないので系
統電流は正弦波となり、良好な動作を行うことになる。
【0033】請求項5に記載した3相3線式の回路では
次式が成立する。 ic=−(ia+ib) (17) (17)式を(10)、(11)式に代入し、次式を得
る。
【0034】
【数10】
【0035】(18)式から次式を得る。
【0036】
【数11】
【0037】(18)、(19)式は系統の各部分で成
立する。瞬時電力pC 、瞬時無効電力qC を(8)式の
ように定めると、(8)、(19)式から補償電流指令
Ca、iCbは次式で表される。
【0038】
【数12】
【0039】同様にして、(8)、(19)式から系統
電流isa、isbは次式で表される。
【0040】
【数13】
【0041】この発明の方式における(18)、(1
9)、(20)、(21)式がそれぞれ、従来方式にお
ける(1)、(4)、(7)、(9)式に対応する。系
統電圧が非対称の場合、従来方式における(9)式のΔ
には直流成分に加えて交流成分が生じたが、対応するこ
の発明の方式における(21)式のΔ3′ は直流成分だ
けである。したがって、(21)式からわかるようにこ
の発明の方式では系統各相電流isa、isbに高調波成分
が含まれない。そのため、電流iscにも高調波成分が含
まれない。以上のことからこの発明の方式では良好な動
作を行うことになる。
【0042】請求項6に記載した、90°の代わりにθ
だけ遅れた相電圧を導出する回路は、θを90°未満に
すれば、90°だけ遅れた相電圧を導出する回路より
も、過渡応答特性がよくなり、さらに負荷に応じてθを
適当に選ぶことによって式(22)で定義されるfの交
流成分が小さくなり、上記fからfの交流成分を分離、
抽出する回路の過渡応答特性を向上できる。 f=ea″ia+eb″ib+ec″ic (22) ただし、 ea″ 、eb″ 、ec″ :それぞれea 、eb
、ec を位相角θ遅らせた電圧 (11)、(12)、(22)式から次式を得る。
【0043】
【数14】
【0044】(23)式から次式を得る。
【0045】
【数15】
【0046】Δ4″ には直流成分だけが存在する。例え
ばea″ はea′ 、ea を用いて次式のように表され
る。 ea″=ea′sinθ+eacosθ したがって、上記fは瞬時電力p、瞬時無効電力qを用
いて次式のように表される。 f=pcosθ+qsinθ (25) (23)、(24)、(25)式は系統の各部分で成立
する。無効電力補償装置が供給する瞬時電力pC 、瞬時
無効電力qC を(8)式のように定め、電流iC0が電流
L0と等しいとおけば、(8)、(24)、(25)式
から次式を得る。
【0047】
【数16】
【0048】同様にして、(8)、(24)、(25)
式から系統電流isa、isb、iscは次式で表される。
【0049】
【数17】
【0050】系統電圧が非対称の場合、従来方式におけ
る(9)式の上記Δには直流成分に加えて交流成分が生
じたが、対応するこの発明の方式における(27)式の
Δ4は直流成分だけである。したがって、(27)式か
らわかるようにこの発明の方式では系統各相電流isa
sb、iscに高調波成分が含まれず、良好な動作を行う
ことになる。
【0051】請求項7に記載した位相遅れ回路を用いる
方法、あるいは請求項8に記載したメモリを用いる方法
は、αβ変換を用いていないので回路が簡単となる。ま
た、回路が簡単になるので、精度の高い出力電流指令値
が得られることになる。
【0052】請求項9に記載した、上記fに各相瞬時電
圧と各相瞬時電圧を90°遅らせた電圧の関数を乗じて
補償電流の指令値を算出する回路は、(27)式からわ
かるように、Δ4″ に交流成分が含まれないので補償電
流指令値は正弦波波形となり、良好な動作を行うことに
なる。
【0053】請求項10に記載した3相3線式の回路で
は(17)式が成立する。(17)式を(11)、(2
2)式に代入し、次式を得る。
【0054】
【数18】
【0055】(28)式から次式を得る。
【0056】
【数19】
【0057】Δ3″ には直流成分だけが存在する。(2
8)、(29)式は系統の各部分で成立する。瞬時電力
C 、瞬時無効電力qC を(8)式のように定めると、
(8)、(25)、(29)式から補償電流指令iCa
Cbは次式で表される。
【0058】
【数20】
【0059】(30)式からわかるようにpLAC 、f
LAC を用いて無効電力補償装置の出力電流を導出でき
る。同様にして(8)、(25)、(29)式から系統
電流isa、isbは次式で表される。
【0060】
【数21】
【0061】(31)式のΔ3″ は直流成分だけであ
る。したがって、(31)式からわかるように系統各相
電流isa、isbに高調波成分が含まれず、良好な動作を
行うことになる。
【0062】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1を図に基づいて説
明する。図1の3相3線式系統において、1は電源、2
は負荷、3は3相3線式インバータ、21は系統電圧検
出器、22は負荷電流検出器、23は系統電圧検出器2
1と負荷電流検出器22の検出結果から負荷瞬時電力p
L を導出する負荷瞬時電力導出回路、24は系統電圧検
出器21の検出瞬時電圧の位相を90°遅らせる90゜
遅延回路、25は負荷電流検出器22と90゜遅延回路
24の出力から負荷瞬時無効電力qL を導出する負荷瞬
時無効電力導出回路、26は負荷瞬時電力導出回路23
から交流成分pLAC を抽出する第1の交流成分抽出回
路、27は負荷瞬時無効電力導出回路25から交流成分
LAC を抽出する第2の交流成分抽出回路、28は系統
電圧検出器21と90゜遅延回路24の出力からΔ3
を出力するΔ3′ 導出回路、29は系統電圧検出器2
1、90゜遅延回路24、第1の交流成分抽出回路2
6、第2の交流成分抽出回路27、Δ3′ 導出回路28
の出力から補償電流指令iCaとiCbを出力するiCa・i
Cb導出回路、30はiCa・iCb導出回路29の出力から
補償電流指令iCcを出力するiCc導出回路である。補償
電流指令iCa、iCbおよびiCcによって3相3線式イン
バータ3の出力電流を追従させる。
【0063】次に動作について説明する。系統電圧検出
器21では線間瞬時電圧(ea−ec)、(eb−ec)を
検出する。負荷電流検出器22では負荷のa、b相瞬時
電流iLa、iLbを検出する。負荷瞬時電力導出回路23
では(18)式から得られる次式を用いて負荷瞬時電力
L を計算する。 pL=(ea−ec)iLa+(eb−ec)iLb (32) 90゜遅延回路24では(ea−ec)、(eb−ec)の
位相を90°遅らせた(ea−ec)′、(eb−ec)′
を出力するが、これらはそれぞれ(ea′−ec′)、
(eb′−ec′)に等しい。負荷瞬時無効電力導出回路
25では、(18)式から得られる次式に従って負荷瞬
時無効電力qL を導出する。 qL=(ea′−ec′)iLa+(eb′−ec′)iLb (33) 第1の交流成分抽出回路26では負荷瞬時電力pL から
交流成分pLAC を抽出し、第2の交流成分抽出回路27
では負荷瞬時無効電力qL から交流成分qLACを抽出
する。Δ′ 導出回路28では系統電圧検出器21の
検出電圧と90゜遅延回路24の位相を90°遅らせた
電圧から(19)式に従って△3′ を導出する。iCa
Cb導出回路29では、(20)式の演算を行う。すな
わち、系統電圧検出器21の検出電圧と90゜遅延回路
24の位相を90°遅らせた電圧からなる関数を第2の
交流成分抽出回路27の出力であるqLAC や第1の交流
成分抽出回路26の出力であるpLAC と乗じて、さらに
両者を加えることによって補償電流指令iCa、iCbを導
出する。iCc導出回路30では、次式に従ってiCcを導
出する。 iCc=−(iCa+iCb) (34) iCa・iCb導出回路29、iCc導出回路30の出力が補
償電流指令であり、3相3線式インバータ3の出力電流
を追従させる。
【0064】実施例2.なお、上記実施例1では90゜
遅延回路24により90°遅れた線間電圧瞬時値を線間
電圧瞬時値の位相遅れ回路通過値から求める場合につい
て述べたが、図2に示すように、90゜遅延回路24の
かわりにAD変換器60、メモリ61とDA変換器62
を設け、90°に相当する時間だけ過去に記憶させた線
間電圧瞬時値を出力するようにしている。このようにす
れば実施例1に比べて温度変化に起因する誤差が減少す
る。
【0065】実施例3.なお、上記実施例1、実施例2
では第2の交流成分抽出回路27により負荷瞬時無効電
力導出回路25の出力である負荷瞬時無効電力qL から
交流成分qLACを抽出する場合を述べたが、図3に示す
ように、交流成分抽出回路27を取り除き、25の出力
L を直接29に入力して、補償電流指令iCa、iCb
導出するようにした。すなわち、(20)式においてq
LAC のかわりに負荷瞬時無効電力qL を用いて補償電流
指令iCa、iCbを導出することになる。この場合、無効
電力補償装置は高調波電流と無効電流を供給することに
なる。
【0066】実施例4.なお、上記実施例1、実施例
2、実施例3では3相3線式系統の場合を取り扱ってい
るが、図4に示すように3相4線式系統では図1の3と
異なり3相4線式インバータ4を用い、また図1の系統
電圧検出器21と異なり、系統電圧検出器41では中性
線から測った各相の瞬時電圧ea 、eb 、ec を検出す
る。さらに、図1の負荷電流検出器22と異なり、負荷
電流検出器42では3相の負荷電流iLa、iLb、iLc
検出している。90°遅れ回路34では系統電圧検出器
41の出力から位相を90°遅らせたea′ 、eb′ 、
c′ を導出する。負荷瞬時電力導出回路43では(1
1)式から得られる次式に従って系統電圧検出器41、
負荷電流検出器42の出力から負荷瞬時電力pL を導出
する。 pL=eaLa+ebLb+ecLc (35) 負荷瞬時無効電力導出回路45では(10)式から得ら
れる次式に従って90°遅れ回路34、負荷電流検出器
42の出力から負荷瞬時無効電力qL を導出する。 qL=ea′iLa+eb′iLb+ec′iLc (36) Δ4′ 導出回路48では(14)式に従って90°遅れ
回路34、系統電圧検出器41の出力からΔ4′ を導出
する。加算回路46では負荷電流検出器42の出力から
(12)式にしたがって負荷中性線電流iL0を導出す
る。補償電流導出回路49では(15)式に基づき補償
電流指令iCa、iCb、iCcを第1の交流成分抽出回路2
6、第2の交流成分抽出回路27、90°遅れ回路3
4、系統電圧検出器41、加算回路46、Δ4′ 導出回
路48の出力から導出する。 これら補償電流指令に3相
4線式インバータ4の出力電流を追従させる。
【0067】実施例5.なお、上記実施例1では90°
遅れ回路24において系統線間電圧を90°遅らせた電
圧を導出し、負荷瞬時無効電力導出回路25において9
0°遅れ回路24の出力と負荷電流とから負荷瞬時無効
電力qL を導出する場合を述べたが、図5に示すよう
に、90°遅れ回路24の代わりに任意の角度θだけ遅
れた線間電圧瞬時値ea″−ec″、eb″−ec″を導出
するθ遅れ回路54を設ける。(28)式から得られる
次式に従ってθ遅れ回路54の出力と負荷電流検出器2
2の出力iLa、iLbから下記fL を出力する回路は、図
1における負荷瞬時無効電力導出回路25と同一とな
る。 fL=(ea″−ec″)iLa+(eb″−ec″)iLb (37) したがって、θ遅れ回路54、負荷電流検出器22の出
力から(28)式に基づき負荷瞬時無効電力導出回路2
5において上記fL を導出する。なお、(29)式に従
ってea−ec、eb−ec、ea″−ec″、eb″−ec
からΔ3″ を導出する、図1におけるΔ3′ 導出回路2
8と同一のものである。したがって、系統電圧検出器2
1、θ遅れ回路54の出力から(29)式に従って
Δ3′ 導出回路28においてΔ3″ を導出する。補償電
流指令iCa、iCbは、系統電圧検出回路21、第1の交
流成分抽出回路26、第2の交流成分抽出回路27、Δ
3′ 導出回路28、θ遅れ回路54の出力から(30)
式に従って、iCa・iCb導出回路29において導出され
る。iCc導出回路30においてiCa・iCb導出回路29
の出力から補償電流指令iCcを導出する。これら補償電
流指令に3相3線式インバータ3の出力電流を追従させ
る。θだけ遅れた線間電圧を導出する回路は、θを90
°未満にすれば、90°だけ遅れた線間電圧を導出する
回路よりも、過渡応答特性がよくなり、さらに負荷に応
じてθを適当に選ぶことによって上記fL の交流成分f
LAC が小さくなり、fL からfLAC を抽出する回路の過
渡応答特性を向上させることができる。
【0068】実施例6.なお、上記実施例4では34に
おいて系統線間電圧の90°遅れた電圧を導出し、負荷
瞬時無効電力導出回路45において90°遅れ回路34
の出力と負荷電流検出器42の出力である負荷電流とか
ら負荷瞬時無効電力qL を導出する場合を述べたが、図
6に示すように、90°遅れ回路34の代わりに、各相
電圧から任意の角度θだけ遅れた電圧の瞬時値ea″ 、
b″ 、ec″ を出力するθ遅れ回路64を設ける。
(22)式から得られる次式に従ってθ遅れ回路64の
出力と負荷電流検出器42の出力iLa、iLb、iLcから
下記fL を導出する回路は、図4における負荷瞬時無効
電力導出回路45と同一となる。 fL=ea″iLa+eb″iLb+ec″iLc (37) したがって、負荷瞬時無効電力導出回路45において負
荷電流検出器42、θ遅れ回路64の出力から(22)
式に基づき上記fL を導出する。なお、(24)式に従
ってea 、eb 、ec およびea″ 、eb″ 、ec″ か
らΔ4″ を導出するΔ4″ 導出回路は、図4におけるΔ
4′ 導出回路48と同一である。したがって、系統電圧
検出器41、θ遅れ回路64の出力から(24)式に従
ってΔ4′導出回路48においてΔ4″ を導出する。 補
償電流指令iCa、iCb、iCcは、第1の交流成分抽出回
路26、第2の交流成分抽出回路27、系統電圧検出器
41、加算回路46、θ遅れ回路64の出力から(2
6)式に従って、補償電流導出回路49において導出さ
れる。これら補償電流指令に3相4線式インバータ4の
出力電流を追従させる。θだけ遅れた相電圧を導出する
回路は、θを90°未満にすれば、90°だけ遅れた相
電圧を導出する回路よりも、過渡応答特性がよくなり、
さらに負荷に応じてθを適当に選ぶことによってfL
交流成分fLAC が小さくなり、fL からfLAC を抽出す
る回路の過渡応答特性を向上させることができる。ま
た、上記実施例ではインバータの直流側にはコンデンサ
やリアクトルが存在する場合を考えているが、蓄電池や
超電導エネルギー貯蔵装置が存在する場合であってもよ
く、上記実施例と同様の効果を奏する。
【0069】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、系統
電圧に逆相分、零相分が存在する場合でも、その平均値
が正しい無効電力となるような従来の定義と異なる新し
い瞬時無効電力の定義を採用し、この量を用いる補償電
流導出回路を構成したので、系統電圧に逆相分、零相分
が存在する場合でも系統電流が正弦波となるような特性
の良好な無効電力補償装置を得ることができる。また、
従来用いられていたαβ変換を用いていないので出力電
流導出回路が簡単になる。また、回路が簡単になるの
で、精度の高い出力電流指令値が得られることになる。
【0070】出力電流指令値を導出するために必要な、
3相電源の各相電圧を90゜遅らせた瞬時電圧を位相遅
れ回路を用いて求める方式は、位相遅れ回路がオペアン
プとコンデンサと抵抗だけから作成できるので、装置が
安価にできる。
【0071】出力電流指令値を導出するために必要な、
3相電源の各相電圧を90゜遅らせた瞬時電圧をメモリ
を用いて求める方式では温度変化に起因する誤差が減少
する。
【0072】90°未満のθだけ遅れた電圧を導出する
回路は、90°遅れた電圧を導出する回路よりも過渡応
答特性がよくなり、さらに負荷に応じてθを適当に選ぶ
ことによってfL の交流成分fLAC が小さくなりfL
らfLAC を抽出する回路の過渡応答特性を向上させるこ
とができるので、電圧を任意の角度θだけ遅らせた瞬時
電圧を基にして出力電流指令値を導出する回路を備えた
装置は過渡応答特性がよくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施例2を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施例3を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施例4を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施例5を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施例6を示すブロック図である。
【図7】従来の瞬時電力・無効電力理論に基づく無効電
力補償装置のブロック図である。
【符号の説明】
1 電源 2 負荷 3 3相3線式インバータ 4 3相4線式インバータ 5 αβ成分変換回路 6 αβ成分変換回路 7 負荷瞬時電力導出回路 8 負荷瞬時無効電力導出回路 9 Δ導出回路 10 iC<a>、iC<b>導出回路 11 各相成分変換回路 21 系統電圧検出器 22 負荷電流検出器 23 負荷瞬時電力導出回路 24 90°遅れ回路 25 負荷瞬時無効電力導出回路 26 交流成分抽出回路 27 交流成分抽出回路 28 Δ′導出回路 29 iCa、iCb導出回路 30 iCc導出回路 34 90°遅れ回路 41 系統電圧検出器 42 負荷電流検出器 43 負荷瞬時電力導出回路 44 位相角θ遅れ回路 45 負荷瞬時無効電力導出回路 46 加算回路 48 Δ4′ 導出回路 49 補償電流導出回路 54 θ遅れ回路 60 AD変換器 61 メモリ 62 DA変換器 64 θ遅れ回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 知宏 神戸市兵庫区和田崎町1丁目1番2号 三 菱電機株式会社神戸製作所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3相電力系統の負荷電流の高調波電流成
    分または無効電流成分または逆相電流成分を供給する電
    力用高調波または無効電力補償装置において、上記3相
    電力系統の各相瞬時電圧を90°遅らせた電圧を導出す
    る回路を設け、上記の90゜遅らせた電圧と各相瞬時電
    流の積から3相一括の瞬時無効電力を求める回路を設
    け、上記3相一括の瞬時無効電力から補償電流の指令値
    を算出する回路を備えたことを特徴とする電力用高調波
    ・無効電力補償装置。
  2. 【請求項2】 上記3相電力系統の各相瞬時電圧を90
    °遅らせた電圧を位相遅れ回路を用いて求めることを特
    徴とする請求項1記載の電力用高調波・無効電力補償装
    置。
  3. 【請求項3】 上記3相電力系統の各相瞬時電圧を90
    °遅らせた電圧を、各相瞬時電圧の値をメモリに書き込
    み、それを定められた時間の後に読み出して求めること
    を特徴とする請求項1記載の電力用高調波・無効電力補
    償装置。
  4. 【請求項4】 上記3相一括の瞬時無効電力から交流成
    分を抽出し、その交流成分に上記3相電力系統の各相瞬
    時電圧と上記の90°遅らせた電圧の関数を乗じて補償
    電流の指令値を算出する回路を備えたことを特徴とする
    請求項1から3に記載の電力用高調波・無効電力補償装
    置。
  5. 【請求項5】 3相3線式電力系統において、この3相
    中の2相の電流信号を用いて上記3相一括の瞬時無効電
    力を求める回路を備えたことを特徴とする請求項1から
    4に記載の電力用高調波・無効電力補償装置。
  6. 【請求項6】 3相電力系統の負荷電流の高調波電流成
    分または無効電流成分または逆相電流成分を供給する電
    力用アクティブフィルタまたは無効電力補償装置におい
    て、上記3相電力系統の各相瞬時電圧を任意の角度θ遅
    らせた電圧を導出する回路を設け、上記θ遅らせた電圧
    と各相瞬時電流の積から3相一括の瞬時無効電力qと瞬
    時電力pの関数 f=pcosθ+qsinθ を求め
    る回路を設け、上記関数fから補償電流の指令値を算出
    する回路を備えたことを特徴とする電力用高調波・無効
    電力補償装置。
  7. 【請求項7】 上記3相電力系統の各相瞬時電圧をθ遅
    らせた電圧を位相遅れ回路を用いて求めることを特徴と
    する請求項6記載の電力用高調波・無効電力補償装置。
  8. 【請求項8】 上記3相電力系統の各相瞬時電圧をθ遅
    らせた電圧を、各相瞬時電圧の値をメモリに書き込み、
    それを定められた時間の後に読み出して求めることを特
    徴とする請求項6記載の電力用高調波・無効電力補償装
    置。
  9. 【請求項9】 上記関数fから交流成分を抽出し、その
    交流成分に上記3相電力系統の各相瞬時電圧と上記のθ
    遅らせた電圧の関数を乗じて補償電流の指令値を算出す
    る回路を備えたことを特徴とする請求項6に記載の電力
    用高調波・無効電力補償装置。
  10. 【請求項10】 3相3線式の回路において、この3相
    中の2相の電流信号を用いて上記3相一括の瞬時無効電
    力を求める回路を備えたことを特徴とする請求項6から
    9に記載の電力用高調波・無効電力補償装置。
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