JP3830533B2 - 汚染物質を含む気体を清浄化する方法及び装置 - Google Patents
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Description
発明の背景
平成8年8月20日に日本国特許庁に出願された特願平8−235832号及び平成9年1月31日に日本国特許庁に出願された特願平9−31441号の開示は、本願に援用される。
発明の分野
本発明は、汚染物質を含む気体を清浄化する方法及び装置に関する。本発明では、特に、気体中の汚染物質を微粒子化して、次いで、微粒子化した汚染物質を光触媒により分解することにより、汚染物質を除去して、気体を清浄化する方法及び装置に関する。
従来技術
従来、半導体工業のクリーンルームでは、空気等の気体からチリ等の固体粒子を除去すれば十分であった。固体粒子を除去する方法は、(1)機械的ろ過方法(例えばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air))、又は、(2)静電的に微粒子を捕集する方法(例えばMESAフィルタ)に大別される。後者では、高電圧により微粒子を荷電し、次いで、荷電した微粒子を導電性フィルタでろ過する。何れの方法でも、ガス状汚染物質は除去することができない。
しかし、半導体の高品質化、高精密化により、チリ等の固体粒子に限られず、ガス状汚染物質をも除去する必要が生じた。ガス状汚染物質としては、例えば、フタル酸エステル等の有機化合物;シロキサン等の有機ケイ素化合物;硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)のような酸性ガス;及び、NH3、アミン類のような塩基性ガスが挙げられる。なお、アミン類は、有機化合物にも分類できる。また、NO3 -、NO2 -、SO4 2-等の陰イオンも酸性ガスと同様の挙動を示し、同様の悪影響を及ぼすので、便宜上、酸性ガスに含める。同様に、NH4 +等の陽イオンも塩基性ガスと同様の挙動を示し、同様に悪影響を及ぼすので、便宜上、塩基性ガスに含める。
有機化合物又は有機ケイ素化合物がウェハ(基板)表面に付着すると、基板としジストとの親和性(なじみ)に影響を与える。そして、親和性が悪くなるとしジストの膜厚に悪影響を与えたり、基板としレジストとの密着性に悪影響を与える(空気清浄、第33巻、第1号、p.16〜21、1995)。例えば、SOxは、酸化膜絶縁不良を引き起こす。NH3は、アンモニウム塩の生成などをもたらし、ウェハにくもり(解像不良)を引き起こす(リアライズ社、最新技術講座、資料集、半導体ブロセスセミナー、1996年10月29日、p.15〜25、1996)。このような原因により、これらのガス状汚染物質は、半導体製品の生産性(歩留り)を低下させる。
そして、従来は、ppmレベルまでガス状汚染物質を除去すれば十分であった。次第に、ppbレベルまでガス状汚染物質を除去することが求められるようになった。なお、有機化合物のうち、メタン等のアルカンは、反応性が低く、半導体に悪影響を及ばさないので、ppbレベルまで除去する必要はない。
次に、有機化合物、特にガス状有機化合物が汚染物質の場合を更に詳細に説明する。
有機化合物の除去方法としては、燃焼分解法、触媒分解法、吸着除去法、O3分解法などが知られている。しかし、これらの方法はクリーンルームへの導入空気に含有する低濃度の有機化合物の除去には効果がない。
また、クリーンルームでは、極低濃度の有機化合物の汚染が問題となる。有機化合物は、クリーンルームの外部から導入される場合がある。例えば、自動車の排気ガス、高分子製品からの脱ガスにより有機化合物が空気中に存在する。また、クリーンルームの内部で有機化合物が発生する。例えば、クリーンルームを構成する高分子材料(例えば、高分子製品の可塑材、離型材、酸化防止剤等)から有機ガスが発生する(「空気清浄」、第333巻、第1号、p16〜21、1995年)。クリーンルームでは、パッキン材、シール材、接着材、壁面の材料に合成ポリマーを使用している。また、クリーンルーム内でもプラスチック製の収納容器等を使用している。そして、これらの合成ポリマーから極微量の有機性ガスが発生する。例えば、シール材や製造装置からはシロキサン、プラスチック製の収納容器からはフタル酸エステルなどが発生する。最近では、製造装置中に用いられている高分子材料からも脱ガスがある。また、プロセス装置の一部又は全部をプラスチック板等で囲うので、これらのプラスチックから有機性ガスが発生する。更に、クリーンルームにおける作業で用いる各種の溶剤(例えば、アルコール、ケトン類等)も、汚染源となる。
このように、クリーンルーム中では、外気からの導入される有機化合物に更にクリーンルーの内部から発生する有機化合物及び有機ケイ素化合物が加わるので、多成分、かつ高濃度になっている
そして、最近省エネルギーの観点より、クリーンルームの空気を循環使用する場合が多く、クリーンルーム内の有機性ガスの濃度が徐々に上昇し、ウェハなどの基材や基板を汚染することになる。これらの有機化合物はクリーンルーム内の収容物(例えば、半導体ウエハ、ガラス基板などの原料、半製品)に付着し悪影響を与える。
有機化合物及び有機ケイ素化合物によるウェハ基板の表面の汚染の度合いは、接触角で示される。接触角とは、基板表面が水でぬれた場合の水との接触角をいう。基板表面に疎水性(油性)の物質が付着すると、その表面は水をはじき返しぬれにくくなり、基板表面と水滴との接触角は大きくなる。従って接触角が大きい場合には、汚染度が高く、逆に接触角が小さい場合には、汚染度が低い。
有機化合物及び有機ケイ素化合物で汚染された基板は、基板とレジストとの親和性(なじみ)を悪化させ、レジストと膜厚に影響を与えたり、基板とレジストとの密着性に影響を与え、品質の低下や歩留まりの低下をもたらす。
先端分野では、半導体の高精密化、微細化が進展し、従来問題とならなかったクリーンルーム空気濃度(ppbレベルのような極低濃度)レベルの有機化合物〔第39回応用物理学会予稿集、p86(1992、春季)、空気清浄、第33巻、第1号、p16〜21、(1995)〕や、SO2、有機化合物、HF、NH3などガス状汚染物質の除去が必要になってきた〔ウルトラクリーンテクノロジー、Vol.6、p29〜35(1994)〕。即ち、これらのガス状汚染物質の存在は、歩留り(生産性)を著しく低下させることが明らかになったためである。本発明では、これらのガス状汚染物質を効果的に除去することを目的とする。
本発明者らは、気体に含有する炭化水素を除去する方法であって、紫外線及び/又は放射線を前記気体に照射して炭化水素を微粒子化し、微粒子化した炭化水素をフィルタ、又は、光電子により荷電させた後、荷電した微粒子を捕集することで除去することを提案した(特開平5−96125号公報)。また、気体に含有する有害成分についても、同様な方法を適用できる(特開平4−243517号公報)。
しかし、この方法では、除去された微粒子が、フィルタ又は荷電粒子の捕集部に堆積していき、フィルタ又は捕集部の交換が必要になった。また、堆積した微粒子が極少量でもフィルタ又は捕集部から落下した場合には、清浄化しようとする気体を逆に汚染してしまう。そこで、汚染物質を除去するよりは、分解することが所望される。
なお、図16及び17で、従来の除去方法を念のため説明する。図16において、クリーンルーム1内には、配管2から導入される外気の粗粒子をプレフィルター3でろ過した後、クリーンルーム1の空気取り出し口4から取り出された空気と共にファン5を介して空気調和装置6にて温度及び湿度を調節しかつHEPAフィルター7により微粒子を除去した空気が循環供給されており、清浄度(クラス)10,000程度に保持されている。本明細書において、クラスとは、粒径が0.1μm以上の粒子が1立方フィート中に存在する個数をいう。
クリーンルーム1内には、クリーンベンチ51が設置され、クリーンルーム1内の微量炭化水系(H.C)や微粒子(粒子状物質)の捕集除去が行われている。
クリーンルーム1内の有機化合物の原因は、配管2から導入される外気中有機化合物(主に自動車や合成樹脂によるものと推定)と、クリーンルームにおける作業で生じた有機化合物からと推定される。
クリーンベンチ51は主に微粒子化部48、微粒子荷電部49、荷電微粒子捕集部50を有する。作業台53には、有機化合物が除去され、また共存する微粒子も除去された高清浄(クラス10)の空気が供給され、作業台53上で作業が実施されている。
すなわち、クリーンベンチ51においては、クリーンルーム1内の微量の有機化合物を含む清浄度(クラス)10,000程度の空気がファン(図示せず)により吸引され、微粒子化部48で短波長紫外線を導入空気に照射することにより空気中有機化合物が微粒子化される。次いで、微粒子荷電部49で該微粒子が後述光電子放出材から発生する光電子により効率よく荷電され、荷電微粒子となり、該荷電微粒子を後方の荷電微粒子捕集部50にて捕集・除去することにより、作業台53上は有機化合物フリーの高清浄な空気に保持される。
クリーンベンチ51内の作業台53への器具、製品等の出し入れは、クリーンベンチ51に設けた可動シャッターにより行う。
次に、クリーンベンチ51における空気中の有機化合物除去のための微粒子化部48、微粒子荷電部49、荷電微粒子捕集部50は、図17にその概要が示されており、図17を用いて説明する。
すなわち、ファン(図示せず)により吸引された微量有機化合物を含む空気54は、プレフィルター(図示せず)によりろ過された後、主に紫外線ランプ55より成る有機化合物の微粒子化部48にて低波長の紫外線が照射される。空気54中の有機化合物が紫外線照射により微粒子56に変換される。かかる微粒子56は導入空気54にすでに存在している通常の微粒子57とともに微粒子荷電部49にて、荷電され荷電微粒子58となる。
微粒子荷電部49は、主に紫外線ランプ59、光電子放出材(ここでは、ガラス材表面にAuの薄膜、例えば、5〜50nmの薄膜が設けられた材料)60、電場設定のための電極材61より成る。電場下で光電子放出材60に紫外線ランプ59より紫外線を照射することにより光電子62が発生し、該光電子により微粒子56、57は効果的に荷電され、荷電微粒子58となり、後方の荷電微粒子捕集材で構成される荷電微粒子捕集部50で捕集される。なお、63は、紫外線透過材である。64は、有機化合物が除去された無塵の高清浄空気である。
しかし、上記構成では、下記の課題があった。
(1)紫外線及び/又は放射線照射により微粒子化された有機化合物(有機化合物)は、その照射条件や含まれている有機化合物の種類等によってはフィルターによる捕集や、光電子による荷電、捕集が十分でない場合があった。有機化合物の種類によっては、粒子径が微細になる場合があり、また、化学組成が有機化合物であることに起因すると考えられる。そして、捕集効率が低い場合には、捕集部の容積を大きく設計する必要があり、装置全体が大型化した。
(2)発生粒子状物質は、該捕集部50にて捕集されるので、長時間連続運転する場合には、粒子状物質が堆積するので、該捕集部50の捕集容量を大きく設計する必要があり、装置が大型化することがあった。
一方、本発明者は、有機化合物の除去の方式として、光触媒の使用(特開平8−31230号、特開平8−31231号)を提案している。しかし、有機化合物の濃度が低い場合には、光触媒による分解速度が遅く、分解に時間がかかるという間題点があった。例えば、通常の空気、クリーンルーム内の空気では、ジエチルヘキシルフタレート(DOP)、シロキサンのそれぞれの濃度は、たかだか1ppbに過ぎない。
また、光触媒では、SO2、NO、HCl、HFのような酸性ガスを効果的に除去できない。特に、硫黄酸化物、硫化水素、チオフェン、チオールのような硫黄含有化合物は、高濃度のときに、光触媒の触媒毒として作用する場合があった。また、触媒毒とまではならない場合であっても、長期間、運転した場合には、光触媒に悪影響を与える場合があった。
発明の概要
本発明は、上記問題点を解消することを目的とする。
本発明の第1の側面では、汚染物質を含む気体を清浄化する方法であって、汚染物質を微粒子化するために、前記気体に紫外線及び/又は放射線を照射する微粒子化工程と、微粒子化した汚染物質を光触媒と接触させる接触工程と、光触媒に接触している汚染物質を分解するために、光触媒に光を照射する第1分解工程と、を有する方法が提供される。例えば、有機化合物(ただし、アルカンは除く。)、有機ケイ素化合物、塩基性ガスが、光触媒で酸化分解される。汚染物質が低濃度の場合であっても、微粒子化により局所的に高濃度になるので、光触媒により効率的に酸化分解することができる。
微粒子化工程において、260nm以下の波長を有する紫外線及び/又は放射線を照射することが好ましい。汚染物質がラジカル反応等により凝集して、微粒子が生成する。
また、前記気体が、1ppb以上の水又は1ppb以上の酸素ガスを含むことが好ましい。前記気体が、100ppb以上の水又は100ppb以上の酸素ガスを含むことが更に好ましい。水又は酸素ガスが光触媒の表面に作用し、OHラジカルを供給して光触媒を活性化すると思われる。そして、OHラジカルが、光触媒の存在の下、酸化剤として作用すると思われる。
前記気体が1ppm以上の酸素ガスを含み、前記微粒子化工程で、前記気体中の酸素ガスがオゾンに変換され、このオゾンを分解する第2分解工程を更に有することが好ましい。
前記汚染物質を除去する除去工程を更に有することが好ましい。前記汚染物質が、酸性化合物又は塩基性化合物を含むことが好ましく、前記汚染物質が、窒素酸化物(NOx)、窒素酸化物イオン、硫黄酸化物(SOx)、硫黄酸化物イオン、塩化水素、フッ化水素、アンモニア及びアミン類からなる群の少なくとも一種を含むことが更に好ましい。
微粒子化工程の前に、除去工程を行ってもよい。あるいは、微粒子化工程の後であって第1分解工程の前に、除去工程を行ってもよい。例えば、光触媒の触媒毒となるような汚染物質が存在する場合である。具体的には、硫黄酸化物、硫化水素、チオフェン、チオールのような硫黄含有化合物を含む場合には、予め硫黄含有化合物を除去してから、光触媒で処理することが好ましい。あるいは、第1分解工程の後に、除去工程を行ってもよい。
除去工程が、フィルタ、吸着剤、光電子による荷電及び荷電した汚染物質の捕集、並びに、イオン交換物質の何れか1種以上で行われることが好ましい。
光触媒が、母材と、母材に担持された触媒活性成分を有し、触媒活性成分が粒子形状を有することが好ましい。母材が、2以上の貫通孔を形成する隔壁を有するハニカム構造体、棒体又は壁部材であり、触媒活性成分が、半導体であることが更に好ましい。
本発明の第2の側面では、汚染物質を含む気体を清浄化する装置であって、紫外線及び/又は放射線を照射する源を有する微粒子化部と、光触媒及び前記光触媒に光を照射する光源とを有する分解部であって微粒子化部に接続しているものと、を有する装置が提供される。
本発明において、ガス入口と、ガス出口とを有する装置であって、前記ガス入口、前記粒子化部、前記分解部、前記出口の順序に上流から下流に配置されていることが好ましい。
また、微粒子化部の下流にオゾン分解材を有することが更に好ましい。
更に、酸性化合物又は塩基性化合物を除去するための除去部を有することが好ましい。前記除去部が、フィルタ、吸着剤、イオン交換物質、並びに、光電子発生手段及び荷電した汚染物質の捕集手段の何れか1種以上を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の清浄化装置を設置したクリーンルームの全体図を示す。
図2は、本発明の設置化装置を設置したウェハ保管庫の全体図を示す。
図3は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図4は、実施例4の結果の収納日数(日)と接触角(度)の関係を示すグラフである。
図5は、本発明の清浄化装置を設置したクリーンルームの全体図を示す。
図6は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図7は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図8は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図9は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図10は、本発明の清浄化装置を設置したウェハ保管庫の全体図を示す。
図11は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図12は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図13は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図14は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図15は、実施例14の結果の収納日数(日)と接触角(度)の関係を示すグラフ。
図16は、従来のクリーンルームの全体図を示す。
図17は、図16の空気清浄化部の部分拡大図。
図18は、本発明の清浄化方法を用いたウェハ保管庫の全体図を示す。
図19は、本発明の他の清浄化方法を用いたウェハ保管庫の全体図を示す。
図20は、本発明の他の清浄化方法を用いたウェハ保管庫の全体図を示す。
図21は、本発明の他の清浄化方法を用いたウェハ保管庫の全体図を示す。
図22は、本発明の別の清浄化方法を用いたエアーナイフ用空気の浄化の概略構成図。
図23は、ウェハ上の接触角の経時変化を示すグラフ。
図24は、SOx濃度による接触角が5度増加する日数を示すグラフである。
図25は、空気中の炭化水素についてのガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)法によるトータルイオンクロマトグラムである。
発明の詳細な説明
本発明では、汚染物質を含む気体を清浄化する。本発明で除去することができる汚染物質は、主にガス状の汚染物質であり、例えば、有機化合物(ただし、メタン等のアルカンを除く。);シロキサン等の有機ケイ素化合物;硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)のような酸性ガス;及び、NH3、アミン類のような塩基性ガスである。
有機化合物としては、アルケン、アルキン等の脂肪族炭化水素、特に、1〜40個の炭素数を有する低級脂肪族炭化水素;ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素、特に、特に、1〜40個の炭素数を有する低級芳香族族炭化水素;アルコール類、特に1〜40個の炭素数を有する低級アルコール;フェノール類;高級脂肪酸等のカルボン酸;エステル、アミド、酸無水物等のカルボン酸誘導体;エーテル類;アミン類;スルホキサイド、メルカプトン、チオール等の含硫黄有機化合物;等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等が、本発明で除去できる。
カルボン酸誘導体としては、ブチルフタレート等のフタル酸エステルが合成ポリマーから発生するが、本発明ではフタル酸エステルを除去できる。
また、ピロール、ピリジン等の含窒素複素環、フラン、テトラヒドロフラン、等の含酸素複素環、チオフェン等の含硫黄複素環等も除去できる。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、クロロホルム等のトリハロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン原子を有する脂肪族化合物;並びに、クロロフェノール等のハロゲン原子を有する芳香族化合物が挙げられる。
なお、メタン等のアルカンは、反応性が低く、半導体等の基板にも付着し難く、汚染物質とはいえない。従って、本発明により除去する必要がない。炭素数が4個以下のアルカンは、半導体の基板に更に付着し難く、炭素数が3個以下のアルカンは、半導体の基板に更になお付着し難い。
次に、本発明を構成毎に詳細に説明する。
本発明の方法では、汚染物質、主にガス状の汚染物質を含む気体に紫外線及び/又は放射線を照射する。本発明の装置では、紫外線及び/又は放射線を照射する源を有する微粒子化部を有する。
気体中の有機化合物等のガス状汚染物質を微粒子(凝縮性物質又は粒子状物質)に変換する微粒子化部は、気体中への照射源を有している。その照射線源は、有機化合物及びSO2、NH3など有機化合物に共存するガス状汚染物質が微粒子又は粒子状物質に変換できるものであればいずれでも良い。紫外線照射の他に電磁波、レーザ、放射線が使用でき、適用分野、除去されるガス状汚染物質の成分、濃度、装置規模、形状、経済性等で適宜予備試験を行い選択できる。通常、紫外線照射又は放射線照射が望ましい。
照射により気体中の汚染物質は、それらの成分の種類や共存物質により粒子状物質(凝縮性物質)又は粒子状物質と活性な物質(凝縮性物質)に変換される。例えば、有機化合物として、トルエン、イソペンタン、及びプロピレンを含むガス混合物に紫外線を照射すると、カルボン酸、カルボニル化合物(凝縮性物質あるいは活性な物質)が生成する。
最近、クリーンルームにおいて、ウェハ等の基板へ付着し接触角の増加をもたらす有機化合物として、高分子量の高級脂肪酸、フェノール誘導体、フタル酸エステル(例、DBP、DOP)、シロキサンなどが問題になっている(「空気清浄」、第33巻、第1号、p16〜21,1995年)。DBPは、ジブチルフタレートの略称である。DOPは、ジオクチルフタレートの略称であり、より正確には、ジ(2−エチルヘキシル)フタレートをいう。DBP、DOP等のフタル酸エステルは、樹脂、特にビニル樹脂の可塑剤として使用されている。
これらの有機化合物及びシロキサン等の有機ケイ素化合物は、紫外線等の照射により、粒子状物質に変換される。この粒子状物質は、例えば、粒径が数十nm〜数百nmの粒径を有する。紫外線又は放射線の照射により、汚染物質が気体中に微量、例えば、1ppb以上含まれている酸素ガス、水等とラジカル反応をし、汚染物質が会合状態になっていると思われる。
本発明では、このように汚染物質を微粒子化し、即ち、微視的に濃縮し、この微粒子化した汚染物質を光触媒で分解するものである。
また、別の例として、SO2について反応の例を示す。
H2O++e-→・OH+H・
H2O++H2O→H3O++・OH
SO2+・OH→SO3 -
SO3+H2O→H2SO4
H2SO4→微粒子(粒子状物質)
H2Oは、気体中に微量含まれている水を示す。最終反応では、硫酸から微粒子が生成している。この反応でも、硫酸のような粘度が高い液体が気体中に少量でも生成すると、他の汚染物質が会合して、微粒子になると思われる。例えば、アンモニア等の塩基性ガスが存在する場合には、酸性ガスが反応する。
また、次に別の反応の例を示す。
O2 +(UV)→O+O
O2+O→O3
O3→O+O2
O+H2O→2OH
OH+SO2+O2→SO3+HO2
SO3+H2O→H2SO4
H2SO4+H2O→微粒子(粒子状物質)
上記の反応は、共存ガスの種類、照射条件などによって異なる。上記のごとく、水分は共有するガス状汚染物質(ここではSO2)と反応し、上記SO3 -のような生成物を生ずる。そこで、微粒子化して、該微粒子を捕集除去すると、気体は共存するSO2のようなガス状汚染物質も除去され高清浄気体となる。この作用はSO2のみに限定されるものではなく、NH3その他種々のガス状汚染物質に共通である。
微粒子への変換(微粒子化)においては、260nm以下、好ましくは254nm以下の波長を有する照射源が効果的であり、紫外線及び/又は放射線照射が効果、操作性の点で通常好適に用いられる。
紫外線源は、その照射により有機化合物やSO2、NH3など有機化合物に共存するガス状汚染物質が微粒子化(粒子状物質又は凝縮性物質へ変換あるいは微粒子と活性な物質へ変換)できるものであれば何れでも良く、有機化合物や共存する他のガス状汚染物質の種類や共存物質により適宜予備試験を行い決めることができる。この内、利用分野によっては、活性酸素やOHラジカル等の酸素活性種(活性ラジカル)が生成するものが好ましい。
通常、紫外線の光源としては、水銀灯、水素放電管(重水素ランプ)を用いることができる。紫外線の光源は、有機化合物の種類やSO2、NH3など有機化合物に共存するガス状汚染物質の種類、あるいは共存物質によっては異なる作用をもたらす複数の波長を有するものが好ましい。例えば、水銀灯は、▲1▼オゾンの生成(酸素活性種生成のスタート物質の一つ)波長と、▲2▼該オゾンを分解し酸素活性種の生成を助長する波長を併用することができる。このような紫外線波長の例として、184nmと254nmの紫外線がある。これにより、主に、184nmで有機化合物やSO2、NH3など有機化合物に共存するガス状汚染物質の粒子化、254nmで発生オゾンの分解が行われる。該オゾンは、上記反応式に示したようにガス状汚染物質の粒子化を促進させる作用があるので好ましい。
また、放射線としてはα線、β線、γ線などが用いられ、照射手段としてコバルト60、セシウム137、ストロンチウム90などの放射性同位元素、又は原子炉内で作られる放射性廃棄物及びこれに適当な処理加工した放射性物質を線源として用いる方法、原子炉を直接線源として用いる方法、電子線加速器などの粒子加速器を用いる方法などを利用する。加速器で電子線照射を行う場合は、低出力で行うことで、高密度な照射が出来、効果的となる。加速電圧は、500kV以下、好ましくは、50kV〜300kVである。
本発明の方法では、微粒子化した汚染物質を光触媒と接触させる。接触には、付着、吸着が含まれる。本発明は、ウェハ等の基板の表面の接触角を増加させる汚染物質を除去することを目的とする。そして、かかる汚染物質は、ウェハ表面に限られず、光触媒にも付着し易い。また、微粒子化された汚染物質はブラウン運動等により光触媒に付着する。
本発明の方法では、光触媒に光を照射する。また、本発明の装置では、光触媒と、前記光触媒に光を照射する光源とを有する分解部を有する。
次に、光触媒について説明する。光触媒についての米国特許出願08/733,146号の開示は、本明細書に援用される。
光触媒は、光照射により励起され、酸化反応を促進するものであれば特に制限がない。光触媒は、有機化合物、有機ケイ素化合物、アンモニア等の塩基性ガスを酸化分解する。例えば、光触媒は、有機化合物を二酸化炭素、水等の低分子量の無害な物質に分解する。有機ケイ素化合物は、二酸化炭素、水等に分解する。ケイ素原子がSiO2にまで酸化分解されるかは必ずしも明らかではない。アンモニアは、窒素ガスに酸化分解すると思われる。
また、光触媒は、有機化合物等を二酸化炭素にまで酸化分解する必要はない。例えば、半導体ウェハ表面の接触角の増加防止に用いる場合には、有機化合物等を接触角の増加に関与しない化合物、即ち、半導体ウェハ表面に付着しても影響を及ぼさない安定な化合物に変換できればよい。
一方、光触媒は、硫黄酸化物、窒素酸化物等の酸性ガスも酸化すると思われる。例えば、硫黄酸化物(SOx)は、SO2にまで酸化され、空気中の水と反応し、硫酸を生成する可能性がある。微粒子化された酸性ガスについては、フィルタ、吸着材、光電子により、除去されることが好ましい。
光触媒の触媒活性成分は、半導体が好ましく、例えば、元素としてはSi、Ge、Se、化合物としてはAlP、AlAs、GaP、AlSb、GaAs、InP、GaSb、InAs、InSb、CdS、CdSe、ZnS、MoS2、WTe2、Cr2Te3、MoTe、Cu2S、WS2、酸化物としてはTiO2、Bi2O3、CuO、Cu2O、ZnO、MoO3、lnO3、Ag2O、PbO、SrTiO3、BaTiO3、Co3O4、Fe2O3、NiO、WO3、SnO2などが用いられる。酸化チタン、三酸化チタンストロンチウム、硫化カドミウム、酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化錫が好ましく、酸化チタン、三酸化チタンストロンチウム、酸化亜鉛が更になお好ましい。酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型の何れも用いることができる。
光触媒の触媒作用を向上するために、触媒活性成分にPt,Ag,Pd,RuO2,Co3O4等の助触媒を添加してもよい。助触媒は、一種類又は複数組合せて用いることができる。助触媒を添加する方法は、含浸法、光還元法、スパッタ蒸着法、混練法など周知手段を適宜用いることができる。
触媒活性成分は、表面積を増大するために、粒子形状を有していることが好ましい。例えば、助触媒が用いられる場合には、個々の粒子が光触媒及び助触媒からなる。
光触媒は、母材と、母材に担持された触媒活性成分を有することが好ましい。触媒活性成分は、母材表面へコーティングされることにより、又は、母材に包み込まれて若しくは挟み込まれることにより、固定することができる。母材の材質は、例えば、セラミック、フッ素樹脂、ガラス、ガラス状物質、各種金属であってもよい。母材の形状は、例えば、ハニカム状、金網状、繊維状、ロッド状、フィルタ状であってもよい。本明細書において、ハニカムというときには、貫通孔の断面形状には制限がない。貫通孔の断面は、例えば、円、楕円、多角形等であってもよい。
例えば、母材は、2以上の貫通孔を形成するための隔壁を有するハニカム構造体であってもよい。そして、ハニカム構造体の隔壁に粒子形状を有する光触媒を担持してもよい。ハニカム構造体は、セラミック製であってもよい。また、金属製の網構造の母材の表面にTiO2を被覆してもよい。更に、繊維状のガラス母材の表面にTiO2を被覆してもよい。また、後述するように、光源上表面への担持を行い、光源と光触媒を一体化して用いることもできる(特願平8−31231号)。本明細書に、特願平8−31231号の開示が援用される。
光触媒の母材上への担持は、ゾルーゲル法、焼結法、蒸着法、スパッタリング法、塗布による方法、焼付け塗装による方法など周知の方法を用いることができる。これらの母材の材質、形状、触媒活性成分の担持法は、装置の規模や形状、種類、光源の種類や形状、触媒活性成分の種類、希望する効果、経済性などにより適宜選択することが出来る。触媒活性成分を繊維等の線状物品にゾルーゲル法により担持する方法は、特開平7−256089号公報に記載されている。特開平7−256089号公報の開示は本明細書に援用される。
光触媒は、処理される気体が流れる空間中に設置してもよい。また、触媒活性成分は、処理される気体が流れる空間を構成する壁、床、天井等の表面に塗布されていてもよい。
光照射のための光源としては、光触媒が吸収する波長を発するものであれば制限がない。可視及び/又は紫外領域の光が効果的であり、紫外線ランプや太陽光を適宜用いることができる。例えば、殺菌ランプ、ブラックライト、蛍光ケミカルランプ、UV−B紫外線ランプ、キセノンランブがある。前記の放射線も適宜使用できる。用いる光触媒の材質、母材の材質、形状、添加物の有無、照射源の種類、処理気体中への設置の方法は、利用分野、装置の規模、形状、要求仕様などにより適宜予備試験を行い選択できる。
本発明において、有機化合物の粒子化及び該粒子化した粒子状物質が光触媒により分解する機構は、例えば空気中の有機化合物が数百種又は数千種以上の成分の混合物と言われていることから詳細は不明な点が多いが一般に次のように考えられる。
空気中の有機化合物は、紫外線及び/又は放射線照射による有機化合物自体の活性化、及び水分が共存する場合は、その濃度がわずかであっても水分からのOHラジカルの生成や、水分によるイオン核生成反応が生じ、これらの多数の複雑な反応の結果として、それらが会合して、微粒子化する。また、極低濃度の有機化合物であっても効果的に反応が起こる。例えば、シロキサン、DOP、DBP等のフタル酸エステルは、容易に微粒子化される。
光触媒の表面は、光及び/又は放射線照射により活性化されている。そして、ウェハ等の基板に付着し易い汚染物質は、光触媒にも付着し易い。例えば、フタル酸エステルなどの有機化合物は、親水性を有するので、活性面があると付着しやすい。また、粒子化により濃縮されているので、光触媒表面に一層、付着し易い。そして、汚染物質は、光触媒表面で低分子量の安定な形態に分解される。
クリーンルームでは、得られる清浄気体は有機化合物が分解され、ウェハやガラス基板上には付着しないか、又は付着しても疎水性を示さない(接触角は増加しない)。すなわち、ウェハやガラス基板を、本発明で得られる清浄気体に暴露しておくと、該基板上の接触角は増加しない。
上記のように、有機化合物の種類は多成分に及ぶので、これらの成分を全て分析・評価することは、実用上困難である。また、基板への汚染は、それぞれの表面の活性度(例、成膜成分の種類)に依存する。即ち、基板表面の状態によって汚染物は変化し得る。敏感な基板は汚染物の影響の度合が大きい。通常本発明の手段により、非メタン有機化合物を指標として、これを0.2ppm以下、好ましくは0.1ppm以下まで除去することが好ましい。
これは、非メタン有機化合物の濃度測定は、ガスクロマトグラフィー(GC)法で容易にできるが、クリーンルームで問題となるシロキサン、DOPなどの基板に付着する成分(実際に問題になる物質)の測定・分析は、その濃度がたかだか1ppbのような極低濃度であるので、複雑で手間がかかり、モニターが困難であるためである。
本発明では、紫外線及び/又は放射線を照射するので、気体に酸素を含む場合には、オゾンを発生する。この場合には、利用分野によっては周知のオゾン分解材を用い、オゾンを除去することが好ましい。例えば、シリコン基板の製造において、オゾンが存在する場合には、シリコン基板の表面が二酸化シリコンに酸化される。
オゾン分解材としては、本発明者が先に提案した複合酸化物系触媒、例えば二酸化マンガン系触媒、MnO2/TiO2−C、MnO2/ZrO−C等を用いることができる(特開平6−190236号公報)。また、周知の活性炭も好適に用いることができる。ここで、オゾン分解材についての特開平6−190236号公報の開示は、本明細書に援用される。
本発明で用いる光触媒では、オゾンも同時に分解されるが、発生したオゾン濃度が高い場合、あるいはリークオゾン濃度の許容値が低い場合などでは、適宜前記のオソン分解材を用いるのが好ましい。
本発明の方法では、気体から微粒子化した汚染物質を除去する工程を更に有することが好ましい。本発明の装置では、微粒子化した汚染物質を除去するための除去部を有することが好ましい。具体的には、微粒子化した汚染物質をフィルタ、吸着材、光電子による荷電により、捕集、除去することが好ましい。この除去工程では、主として微粒子化された硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、アンモニア(NH3)など、有機化合物以外のガス状汚染物質の捕集・除去が行われる。また、
本発明では、酸性ガス、塩基性ガス及び微粒子が除去されることが好ましい。この除去は、例えば、フィルタ、吸着剤、光電子による荷電及び荷電した汚染物質の捕集、並びに、イオン交換物質の何れか1種以上で行うことができる。また、微粒子化された有機化合物、有機ケイ素化合物も、この除去手段で除去することができる。
フィルタによる方式においては、用いるフィルタはHEPAフィルタ、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタ、静電フィルタ、エレクトレット材、イオン交換フィルタ等がある。この内、イオン交換フィルタは、微粒子化しないで一部流出する有毒ガス、臭気性ガス等がある場合も捕集できるので適用分野によっては好ましい。
吸着材による方式においては、吸着剤は、活性炭、シリカゲル、合成ゼオライト、モレキュラシーブ、アルミナ、また本発明者らが非メタン有機化合物の捕集用にすでに提案したガラスとフッ素樹脂を用いた吸着材も好適に使用できる(特開平6−324号公報)。吸着剤についての特開平6−324号公報の開示は、本明細書に援用される。本発明では、汚染物質が紫外線等により粒子化されているので、ガス状のままでは除去し難いガス状汚染物質が本吸着材により効果的に除去される。
UV/光電子による方式においては、微粒子を光電子放出材から放出させた光電子により荷電し、荷電微粒子として捕集・除去するものである。UV/光電子による方式は、本発明者の提案を適宜用いることができる。荷電微粒子として除去する方法について、特公平3−5859号、特公平6−34941号、特公平6−74909号、特公平6−74910号、特公平8−211号、特公平7−121369号、特公平8−22393号が本明細書に援用される。
光電子放出材は、紫外線照射により光電子を放出するものであれば何れでも良く、光電的な仕事関数が小さなもの程好ましい。効果や経済性の面から、Ba,Sr,Ca,Y,Gd,La,Ce,Nd,Th,Pr,Be,Zr,Fe,Ni,Zn,Cu,Ag,Pt,Cd,Pb,Al,C,Mg,Au,In,Bi,Nb,Si,Ti,Ta,U,B,Bu,Sn,Pのいずれか又はこれらの化合物又は合金又は混合物が好ましく、これらは単独で又は二種以上を複合して用いられる。複合材としては、アマルガムの如く物理的な複合材も用いうる。
例えば、化合物としては酸化物、ほう化物、炭化物があり、酸化物にはBaO・SrO,CaO,Y2O5,Gd2O3,Nd2O3,ThO2,ZrO2,Fe2O3,ZnO,CuO,Ag2O,La2O3,PtO,PbO,Al2O3,MgO,ln2O3,BiO,NbO,BeOなどがあり、またほう化物には、YB6,GdB6,LaB6,NdB6,CeB6,BuB6,PrB6,ZrB2などがあり、さらに炭化物としてはUC,ZrC,TaC,TiC,NbC,WCなどがある。
また、合金としては黄銅、青銅、リン青銅、AgとMgとの合金(Mgが2〜2Owt%)、CuとBeとの合金(Beが1〜10wt%)及びBaとAlとの合金を用いることができ、上記AgとMgとの合金、CuとBeとの合金及びBaとAlとの合金が好ましい。酸化物は金属表面のみを空気中で加熱したり、或いは薬品で酸化することによっても得ることができる。
さらに他の方法としては使用前に加熱し、表面に酸化層を形成して長期にわたって安定な酸化層を得ることもできる。この例としてはMgとAgとの合金を水蒸気中で300〜400℃の温度の条件下でその表面に酸化膜を形成させることができ、この酸化薄膜は長期間にわたって安定なものである。
また、本発明者が、すでに提案したように光電子放出材を多重構造としたものも好適に使用できる。光電子放出材について、特開平1−155857号公報の開示が本明細書に援用される。また、適宜の母材上に、薄膜状に光電子放出し得る物質を担持し、使用することもできる。本例はガラス母材上にAuを薄膜状に担持して用いる例である。
これらの材料の使用形状は、板状、プリーツ状、曲面状、網状等何れの形状でもよいが、紫外線の照射面積及び空気との接触面積の大きな形状のものが好ましい。
光電子放出材からの光電子の放出は、本発明者がすでに提案したように、反射面、曲面状の反射面等を適宜用いることで効果的に実施することが出来る。本明細書に、光電子放出材についての特公平6−34941号の開示が援用される。また、後述する紫外線ランプの上に光電子放出材を被覆し、一体化した光電子放出装置を用いることもできる。光電子放出装置についての特開平4−24354O号の開示が本明細書に援用される。光電子放出材や反射面の形状は、装置の形状、構造あるいは希望する効率等により異なり、適宜決めることができる。
紫外線の種類は、その照射により光電子放出材が光電子を放出しうるものであれば何れでも良く、通常、水銀灯、水素放電管、キセノン放電管、ライマン放電管などを適宜使用出来る。適用分野によっては、殺菌(滅菌)作用を併せてもつものが好ましい。紫外線の種類は、適用分野、作業内容、用途、経済性などにより適宜決めることができる。例えば、バイオロジカル分野においては、殺菌作用、効率の面から遠紫外線を併用するのが好ましい。例えば、殺菌ランプ(254nmが主な波長)を用いると本発明の荷電に、殺菌(滅菌)作用が加わり好ましい。該紫外線源としては、紫外線を発するものであれば何れも使用でき、適宜分野、装置の形状、構造、効果、経済性等により適宜選択し用いることができる。
光電子による微粒子の荷電は、電場において光電子放出材に紫外線照射することにより効率良く実施される。電場における荷電については、特開昭61−178050号、特開昭62−244459号各公報及び特願平1−120563号の開示が本明細書に援用される。本発明の電場は、0.1V/cm〜5kV/cmであり、好適な電場の強さは、利用分野、条件、装置形状、規模、効果、経済性等で適宜予備試験や検討を行い決めることが出来る。
光電子による荷電は、微細な超微粒子(例、<0.1μm)でも高効率で荷電されるので、該微粒子の捕集・除去が効率良く実施できる。微粒子の該荷電は、荷電にあたり微粒子の粒径を大きく成長させて行うこともできる。微粒子の粒径を大きくし、荷電する方法については、本発明者がすでに提案しており(特願平1−120564号)、適用分野により適宜微細な微粒子の荷電に利用できる。
荷電微粒子の捕集材は、荷電微粒子が捕集できるものであればいずれでも使用できる。通常の荷電装置における集じん板(集じん電極)や静電フィルタ方式が一般的であるが、スチールウールあるいは、タングステンウールのようなウール状物質を電極(ウール状電極材)としたような捕集部自体が電極を構成する構造のものも有効である。エレクトレット材も好適に使用できる。また、本発明者がすでに提案したイオン交換フィルタ(繊維)も適用分野によっては有効である。イオン交換フィルタは、本方法で捕集困難な共存するガス状汚染物質、臭気性ガス等も捕集できるので、適用分野によっては好ましい。これらの捕集材は、適用分野、装置規模、形状、経済性等により、適宜1種類又は2種類以上組合せて用いることができる。
次に、イオン交換物質は、支持体の表面にイオン交換体又はイオン交換基が結合しているものをいう。イオン交換体としては、陽イオン交換体と陰イオン交換体とがあり、両者を併有することが好ましい。イオン交換基としては陽イオン交換基と陰イオン交換基とがあり、両者を併有することが好ましい。
イオン交換物質は、イオン交換繊維であることが好ましく、イオン交換繊維は、支持体が繊維からなる。繊維としては、天然繊維もしくは合成繊維又は、これらの混合体が用いられる。
以下、イオン交換繊維の場合を主に説明する。イオン交換体を支持体たる繊維に支持させる方法としては、繊維状の支持体に直接支持させてもよく、織物状、編物状又は植毛状の形態にしたのち、これに支持させることもできる。いずれにしても最終的にイオン交換体を支持した繊維となっていればよい。
本発明に用いる、イオン交換繊維の製法として、グラフト重合特に放射線グラフト重合法を利用して製造したイオン交換繊維が好適である。種々の材質及び形状の素材を利用することができるからである。
さて、前記天然繊維としては羊毛、絹等が通用でき、合成繊維として炭化水素系重合体を素材とするもの、筈フッ素系重合体を素材とするもの、あるいはポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、セルロース、酢酸セルロースなどが適用できる。
前記炭化水素系重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン等の脂肪族系重合体、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等の芳香族系重合体、ポリビニルシクロヘキサン等の脂環式系重合体あるいはこれらの共重合体が用いられる。また、前記含フッ素系重合体としては、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、四フッ化エチレンほ六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体等が用いられる。
いずれにしても、前記支持体としてはガス流との接触面積が大きく、抵抗が小さい形状で、容易にグラフト化が行え、機械的強度が大で、繊維くずの脱落、発生や熱の影響が少ない材料であれば良く、使用用途、経済性、効果等を考慮して適宜に選択出来るが通常、ポリエチレンが一般的でありポリエチレンやポリエチレンとポリプロピレンとの複合体が特に好ましい。
次に、前記イオン交換体としては、特に限定されることなく種々の陽イオン交換体又は陰イオン交換体が使用できる。例えば、カチオン交換の場合を例にとると、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基などの陽イオン交換基含有体、第一級〜第三級アミノ基、第四アンモニウム基などの陰イオン交換基含有体、あるいは上記陽及び陰両者のイオン交換基を併有するイオン交換体が挙げられる。
貝体的には、前記繊維上に例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニルベンゼンスルホン酸、スチレン、ハロメチルスチレン、アシルオキシスチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン等のスチレン化合物、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルイミダゾール、アクリロニトリルをグラフト重合させた後、必要に応じ硫酸、クロルスルホン酸、スルホン酸などを反応させることにより陽又は陰イオン交換基を有する繊維状イオン交換体が得られる。また、これらのモノマーはジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ブタジエン、エチレングリコール、ジビニルエーテル、エチレングリコールジメタクリレート、などの2個以上の2重結合を有するモノマーの共存下に繊維上にグラフト重合させてもよい。
この様にして、イオン交換繊維が製造される。イオン交換繊維の直径は、1〜1000μm、好ましくは5〜200μmであり、繊維の種類、用途等で適宜決めることが出来る。
これらのイオン交換繊維の内、陽イオン交換基と陰イオン交換基の用い方は、対象処理気体中の被除去成分の種類や濃度によって決めることができる。例えば被除去成分を予め測定・評価し、それに見合うイオン交換繊維の種類と量を用いれば良い。アルカリ性ガスを除去したい場合は、陽イオン交換基(カチオン交換体)を有するもの、また、酸性ガスを除去したい場合は陰イオン交換基(アニオン交換体)を有するもの、また両者の混合ガスでは陽と陰の両方の交換基を有する繊維を用いることができる。
イオン交換繊維への気体の流し方として、フィルタ状イオン交換繊維に直交して流すと効果的である。
イオン交換繊維への気体を流す流速は、予備試験を行い適宜に決めることができるが、該繊維は除去速度が早いので、通常SVとして、1000〜10万(h-1)程度で用いることができる。イオン交換繊維は本発明者らが先に提案したように、放射線グラフト重合で製造したものを用いると、特に効果が高いので好ましく、適宜用いることができる(特公平5−9123号、特公平5−67325号、特公平5−43422号、特公平6−24626号)。
イオン交換繊維はイオン性物質(成分)の捕集に効果的であり、本発明の対象とするイオン性物質を効率良く捕集・除去できる。
特に、放射線グラフト重合により製造されたイオン交換フィルタ(繊維)は、前記支持体への照射が奥部まで均一になされるため、イオン交換体(アニオン又/及びカチオン交換体)が広い面積(高密度に付加)に、しっかり(強固)と付加されるので、交換容量が大きくなり、かつ低濃度イオン性物質が、早い速度で高効率に除去できる効果があり、実用的に有効である。
また、放射線グラフト重合による製造は、製品に近い形状でできること、室温でできること、気相でできること、グヲフト率大にできること、不純物の少ない吸着フィルタができることなどの利点がある。
このため、次のような特徴を有する。
▲1▼ 放射線照射によるグラフト重合で製造したイオン交換繊維には、イオン交換体(吸着機能の部分)が均一に多く付加(付加密度が高い)するので吸着速度が早く、かつ吸着量が多い。
▲2▼ 圧力損失が少ない。
微粒子の捕集・除去方式は、発生する微粒子の性状によって、1種類あるいは2種類以上を、予備試験を行い適宜組合せて用いることができる。
上記した微粒子化(照射源、微粒子の発生のさせ方、条件など)、及び微粒子の捕集・除去(捕集方式、条件など)の構成は、適用分野、気体の種類、装置形状、規模、要求性能、経済性などにより適宜予備試験を行い決めることができる。
本発明において、微粒子化した汚染物質が除去される場合には、本発明の実施態様としては、例えば、次の6種類(1)〜(6)が挙げられる。
(1)A→B→C
(2)A→B→A→C
(3)A→C→A→B
(4)A→C→B
(5)A→B+C
(6)A+B→C
(上記実施態様において、
要素Aは、気体に紫外線及び/又は放射線を照射する工程、又は、紫外線及び/又は放射線を照射する源を有する微粒子化部を示し;
要素Bは、微粒子化した汚染物質を光触媒と接触させる工程及び微粒子化した汚染物質が接触している光触媒に光を照射する工程、又は、光触媒と、光触媒に光を照射する光源とを有する分解部を示し;そして
要素Cは、気体から微粒子化した汚染物質を除去する工程、又は、微粒子化した汚染物質を除去するための除去部を示す。もっとも、要素Cは、本発明の必須の構成要素ではない。
→は、各要素が行われる時系列又は各要素が上流から下流に配置される順序を示す。
+は、各要素が同時に行われること又は各要素が同時に二つの機能を有することを示す。)
これらの実施態様の選択は、適用分野、装置の種類、処理気体の条件、要求される除去性能、経済性などにより、適宜予備試験や検討を行い、決めることができる。
通常、(a)装置が大型の場合は、(2)、(3)>(1)、(4)>(5)の順で好ましい。
(b)有機化合物濃度が比較的他のガス状汚染物質に比べて高い場合は、(1)又は(2)が良い。
(c)硫黄含有化合物のような長時間の運転で光触媒に触媒毒となる成分が高濃度共存する場合は、(3)又は(4)が良い。
(d)要求除去性能が高い場合は、(2)又は(3)が良い。
(e)装置が小型の場合は、(5)又は(6)が良い。
また、要素Cが、要素A及びBより先に行われてもよい。この場合には、光触媒に悪影響を与えかねない酸性ガスを予め除去することができるので好ましい。かかる酸性ガスとしては、例えば、SO2、NO、HCl、HFが挙げられる。また、硫黄酸化物、硫化水素、チオフェン、チオールのような硫黄含有化合物も、高濃度のときに、光触媒の触媒毒として作用する場合があった。
実施例
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
図1は、本発明を半導体製造工場におけるエアーナイフ用の供給空気の浄化に適用した例である。図1では、本発明の清浄化装置12が、クラス1,000のクリーンルーム1の内部に配置されている。
まず、クリーンルーム1の内部に空気14を供給する装置について説明する。外気を導入するための配管2が、外気中の粗い固体粒子を濾過するプレフィルター3に接続されている。プレフィルター3及びクリーンルーム1からの空気取り出し口4が、空気をクリーンルーム1に送り込むためのファン5に接続されている。ファン5は、空気の温度及び湿度を調節するための空気調和装置6に接続している。空気調和装置6からの配管は枝分かれしており、その各々に微細な固体粒子を除去するためのHEPAフィルター7が接続している。HEPAフィルターは、例えば、クリーンルーム1の内部空間に接触する位置に設けられており、好ましくは、クリーンルームの天井に設けられている。クリーンルーム1の下部には、空気の取り出し口4が設けられている。
クリーンルーム1に導入される外気2は、まず粗フィルタ3と空気調和器6で処理される。次いで、空気はクリーンルーム1に入る際にHEPAフィルタ7によって除塵されて、極低濃度の有機化合物30が共存するクラス1000の濃度の空気14となる。すなわち、主に自動車やプラスチックなど有機物より成る材料(高分子材料)から発生した極低濃度の有機化合物は、粗フィルタ3、空気調和器6及びHEPAフィルタ7では除去されないため、クリーンルーム1内に導入されてしまう。また、クリーンルーム1内ではその構成材などから、有機化合物が発生している。このため、クリーンルーム1内の有機化合物濃度は外気中よりも高くクリーンルームの空気14中の有機化合物の濃度は非メタン炭化水素で、例えば、0.8〜1.2ppmである。
本発明の清浄化装置12は、横方向に配置されていることが好ましい。これにより、空気14がその内部を横方向に流れることができる。また、清浄化装置12の空気排出口より空気が排出される方向に、エアーナイフ装置29の空気導入口が設けられることが好ましく、エアーナイフ装置29の空気排出口から空気が排出される方向に、クリーンルーム1の空気取り出し口4が設けられていることが好ましい。
図1で、空気14は、HEPAフィルター7を介して、クリーンルーム1の上部から下に向かって、クリーンルーム1に供給される。そして、空気14は、清浄化装置12の内部を横方向に通過し、除塵され、かつ、有機化合物が分解された清浄な空気28となる。そして、清浄な空気28がウェハを洗浄するためのエアナイフ29に供給される。エアナイフ29から排出された空気は、クリーンルームの下部の取り出し口4から排出される。
図1では、清浄化装置12は、塵を除去するための粗フィルタ25aと、微粒子化部8と、分解部26と、粗フィルタ25bと、オゾン分解部27とを有し、この順序に配置されている。
清浄化装置12は、粗フィルター25aを有することが好ましい。クリーンルーム内1で塵が発生した場合には、その塵により光触媒32が汚染され性能が劣化する。そこで、粗フィルタ−25aがかかる塵を除去する。
微粒子化部8は、ハウジングと、ハウジングの内部の紫外線ランプ15を有する。紫外線ランプとしては、例えば、低圧水銀灯15が用いられる。
紫外線ランプ15による紫外線の照射により、空気14中のウェハなど基板に付着すると接触角を増加させる有機化合物30は粒子状物質16に変換される。また、紫外線の照射により、空気中の酸素ガスがオゾンガスに変換する。
分解部26は、紫外線ランプ31と、空気が流れる方向に紫外線ランプを挟む一対の光触媒32を有する。図1では、光触媒32は、2以上の貫通孔を形成する隔壁を有するハニカム構造体と、粒子形状の触媒活性成分とを有する。触媒活性成分として、二酸化チタンが用いられ、粒子形状の二酸化チタンがハニカム構造体の隔壁に被覆されている。ハニカム構造体の貫通孔方向の長さは、系方向の長さより小さいことが好ましい。紫外線が隔壁で遮られ難くするためである。
有機化合物を含む空気は、ハニカム構造体の貫通孔を通過して、分解部26に導入される。空気14が、光触媒32のハニカム構造体の貫通孔を通過する際に、空気14中の粒子状物質16がハニカム構造体の隔壁の表面の粒子形状の触媒活性成分に接触する。一方、光触媒32は、紫外線ランプ31の照射を受けて、活性化されている。そして、粒子状物質は、触媒作用により分解される。ここで有機化合物が、非メタン有機化合物を指標として0.2ppm以下、好ましくは0.1ppm以下にまで分解される。これにより、ウェハの接触角を増加する分子量の大きい有機化合物及び活性な有機化合物は接触角が増加しない分子量の小さい有機化合物もしくは二酸化炭素や水に分解される。
除塵フィルタ25bとしては、例えば、ULPAフィルタが用いられる。ULPAフィルタにより、クリーンルーム内のクラス1,000の濃度の微粒子がクラス10以下まで除去される。また、除塵フィルタ25bは、緊急時に、有機化合物の粒子化部8もしくはその周辺からの流出微粒子を効率良く捕集する。
オゾン分解材27は、2以上の貫通孔を形成する隔壁を有するハニカム形状を有することが好ましい。紫外線ランプ15の照射により発生するオゾンは、光触媒32及びオゾン分解材27により、0.01ppm以下まで分解される。半導体工場では、オゾンの流出は問題となるので、2段のオゾン分解により、通常の空気中の濃度以下にまで分解される。
実施例2
実施例2について、図2を参照して説明する。
図2では、図1に示すクラス1,000のクリーンルーム1の内部にウェハ保管庫、即ち、ウェハ収納ストッカー36が配置され、保管庫36の内部に清浄化装置12が位置する。清浄化装置12は、紫外線照射による有機化合物の微粒子化部8、微粒子化された有機化合物I6の光触媒による分解部26、及びオゾン分解部27を有する。保管庫36内の有機化合物30を含む空気14は、本発明の清浄化装置12により処理され、清浄空気28となる。この空気28は有機化合物が0.01ppm以下まで分解され、ウェハ表面の接触角の増加をもたらさない。
以下、本例を詳細に説明する。
保管庫36内の有機化合物30を含む空気14は、先ず紫外線ランプ(低圧水銀灯)15の照射を受け、粒子状物質16に変換される。該粒子状物質16は、紫外線ランプ(殺菌ランプ)31の照射を受けた光触媒(周囲の壁面及びガラスロッド上に担持して固定)32の表面に付着し、光触媒作用により分解・除去され、清浄化空気28が得られる。
図2では、光触媒32は、2以上のガラスロッドと、各々のガラスロッドの表面に塗布された、粒子形状の酸化チタンとを有する。かかる光触媒が吊り下げられている。また、壁面にも光触媒が塗布されている。即ち、粒子形状の酸化チタンが適当な溶媒を分散して、壁面に塗布されている。
ウェハ保管庫36には、保管庫36の開閉により保管庫36が設置されたクラス1,000のクリーンルーム内空気が入る。この空気には、有機化合物が非メタン有機化合物として0.8〜1.5ppmを含有する。該有機化合物を含む空気は、空気の流れ33a、33b、33cにより光触媒32に接触し、粒子化された分子量の大きい有機化合物及び活性な有機化合物が効果的に二酸化炭素や水に分解される。有機化合物は、非メタン有機化合物を指標として、0.1ppm以下となるまで分解される。
紫外線ランプ15、31の照射により、温度が上昇し、対流が起こる。この対流により、装置12の下部から上部に向かって空気が流れ、更に、装置12の外側での空気の流れ33a、33b、33cが起こる。
また、装置12の内部の空気の流れも、分子レベルではブラウン運動が起こるので、汚染物質は、ガラス棒、又は、壁面に衝突して、微粒子化した有機化合物が光触媒に接触することになる。更に、汚染物質は、ウェハに付着し易いものなので、光触媒にも付着する。
このようにして、ウェハケース35にセットされたウェハ34が収納される部分は、効果的に清浄化される。
粒子化用の紫外線ランプ15の照射による発生オゾンは、前述光触媒32、及びハニカム状オゾン分解材27にて、0.01ppm以下まで分解・除去される。
図2の記号において、図1と同じものは、同じ意味を示す。
実施例1及び2では、気体が空気の場合について説明したが、窒素やアルゴンなど他の気体中に有機化合物等のガス状汚染物質が不純物として含まれる場合も、本発明を同様に実施できることは言うまでもない。本発明は、大気圧に限られず、加圧下、減圧下にも適用できる。
実施例3
実施例2における清浄化装置12の別のタイプのものを図3に示す。図3においては、図2のオゾン分解材27と、光触媒による分解部26の位置が逆に設置されており、粒子化部8の次にオゾン分解材27が設置されいる。このような配置でも、図2と同様の作用・効果を有する。
実施例4
図2に示した構成の保管庫に下記試料ガスを入れ、ウェハを収納し、ウェハ上の接触角、保管庫内の非メタン有機化合物濃度及びオゾン濃度を測定した。
試験条件
(l)試料ガス: クラスl0の半導体工場の空気であって、非メタン有機化合物濃度が0.8〜l.2ppmであるもの。
(2)保管庫大きさ: 30リットル
(3)粒子化用紫外線ランプ: 低圧水銀灯(184nm)
(4)光触媒: 二酸化チタンをガラス繊維状母材上にゾルーゲル法を用い担持した。
(5)光源: 殺菌灯(254nm)(光触媒照射用)
(6)オゾン分解材: ハニカム形状の複合酸化物系触媒、MnO2/ZrO−C
即ち、オゾン分解材は、2以上の貫通孔を形成する隔壁を有するハニカム構造体と、ハニカム構造体の隔壁の表面に被覆した酸化マンガンとを有する。ハニカム構造体は、実質的に酸化ジルコニウムと炭素原子とからなる。炭素原子の少なくとも一部は、炭化ジルコニウムとなっている可能性もある。酸化マンガンは、例えば、粒子形状を有している。かかる粒子が、ハニカム構造体の隔壁の表面全てに被覆する必要はない。
(7)ウェハ; 直径5インチの高純度シリコンウェハをlcm×8cmのサイズに切断して、保管庫内に設置した。
(8)ウェハの前処理: クリーンルームの内部のクリーンベンチで、洗剤とアルコールで洗浄後、UV/O3洗浄を行った。
(9)接触角の測定: 協和界面科学(株)製、CA−D型接触角針による測定
(10)非メタン有機化合物濃度: ガスクロマトグラフィー(GC)法による測定。
(11)オゾン濃度; 化学発光式オゾン濃度計による測定。
(12)保管庫の開閉: 保管庫を半導体工場のクリーンゾーン(クラス10)に設置し、1日6回保管庫を開閉した。
結果
(1)ウェハの保管庫内への収納日数に対するウェハ上の接触角を図4に示す。
図4中、○印は、本発明の値、●印は(比較用の)試験を行ったクラス10のクリーンルームの空気に暴露した値である。↓は検出限界以下を示す。
(2)保管庫内の非メタン有機化合物濃度及びオゾン濃度を表1に示す。
向、粒子化用紫外線の点灯により発生するオゾン濃度は15〜20ppmであった。
(3)保管庫内に本発明のユニットの設置がない時、2日後及び7日後に保管庫内のウェハを取り出し、加熱してウェハ上に付着した有機化合物を脱離させ、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)法で測定したところ、DOP等のフタル酸エステルを検出した。ユニットを設置した場合について、同様に調べたが、検出しなかった。
実施例5
図5は、本発明の方法を半導体製造工場におけるエアナイフ用の供給空気の浄化に適用した例である。図5の清浄化装置12は、図1の清浄化装置12と異なって、粒子状物質の除去部Cを更に有する。
図5において、1はクラス100のクリーンルームであり、クリーンルームにおける空気14が、紫外線照射による有機化合物、及び有機化合物に共存するSO2などのガス状汚染物質の微粒子化部8(A)、該微粒子化有機化合物の光触媒による分解部26(B)、オゾンの分解部27及び光電子を用いる該微粒子化粒子状物質の捕集部9、10(C)より成る本発明の清浄化装置12によって、クリーンルーム1内で処理される。空気14は本発明の装置12を通過した後には、除塵され、かつ有機化合物及び有機化合物に共存するガス状汚染物質が除去された清浄な空気28となっていて、ウェハ(基板)を洗浄するためのエアナイフ装置29へ供給される。
本例は上記のことく次の装置形態を有する。
紫外線照射による微粒子化部(A)→微粒子化した有機化合物の光触媒による分解部(B)→微粒子化した粒子状物質の捕集・除去(除塵)部(C)。
以下、本例を詳紬に説明する。クリーンルーム1内に入る前の外気2は、まず粗フィルタ3と空気調和器6で処理される。次いで空気はクリーンルーム1に入る際にHEPAフィルタ7によって除塵されて、クラス100の微粒子の濃度の空気14となる。空気14は、極低濃度の有機化合物30a、並びに、酸性ガスとしてのSOx、NOx、HCl、HF及び塩基性ガスとしてのNH3、アミン類などからなるガス状汚染物質30bが共存する。酸性ガス及び塩基性ガスは、外気2より導入される空気中に含まれるため、クリーンルーム1内に導入される。酸性ガス及び塩基性ガスは、クリーンルーム1内での発生は少ない。クリーンルームの空気14中の有機化合物の濃度は非メタン有機化合物で0.8〜1.2ppmである。
クリーンルーム1の空気14は、有機化合物30a、並びに、酸性ガス及び塩基性ガス30bが紫外線ランプ(低圧水銀灯)15の照射により粒子状物質16に変換される(A)。
該粒子状物質16の内、有機化合物30a及び塩基性ガスに起因するものは、光触媒(TiO2)の表面に付着されやすいので紫外線ランプ31の照射を受け、活性化された光触媒32の表面に付着し、光触媒作用により分解・除去される(B)。
一方、該粒子状物質16の内、酸性ガスに起因するものは、光触媒32では分解され難いので、光触媒による分解部Bを通過し、後方の紫外線ランプ19、光電子放出材20、電極21(粒子状物質の荷電部9)、荷電粒子状物質の捕集材10より成る光電子による捕集・除去部(C)にて捕集・除去される。
光電子による捕集・除去部(C)では、流入した粒子状物質16を、光電子放出材20から放出される光電子(図示せず)により荷電し、該荷電粒子状物質を荷電粒子状物質の捕集材10により捕集・除去が行われる。光電子放出材20は、紫外線ランプ19上に被覆され、電極21との間に50V/cmの電界を形成することにより、光電子が効率良く放出される。
ここでは、該有機化合物を含む空気は、光触媒(二酸化チタンをハニカム形状のセラミック製母材の隔壁にコーティングしたもの)32と紫外線ランプ(殺菌ランプ)31によって構成される有機化合物分解部26(B)に導入され、ここで有機化合物が非メタン有機化合物を指標として0.2ppm以下、好ましくは0.1ppm以下にまで分解される。
これにより、接触角増加に関与する分子量の大きい有機化合物及び活性な有機化合物は接触角が増加しない分子量の小さい有機化合物もしくは二酸化炭素や水に分解される。
また、上記酸性ガス、塩基性ガスは、クリーンルーム14空気中の濃度に対して、1/10以下まで低減される。これをSO2を指標で表わすと、クリーンルーム1内の平均濃度0.01ppm(10ppb)が1ppb以下となる。
ここで、クラス100のクリーンルーム空気14中の微粒子は、上記光電子による捕集・除去部(C)にて、上記のごとくガス状汚染物質からの粒子状物質16とともに、同様にして荷電・捕集される。これより、本発明の装置12で得られる空気28は、有機化合物成分や、有機化合物に共存するガス状汚染物質が除去されたクラス1よりも清浄な超清浄空気となる。
粒子化用の紫外線ランプ15の照射による発生オゾンは、前述光触媒32、及びハニカム状オゾン分解材27にて、0.01ppm以下まで分解される。
すなわち、半導体工場では、オゾンの流出は問題となるので、2段のオゾン分解により、通常の空気中濃度以下にまで、分解、処理される。
図5において、4はクリーンルーム1の空気取り出し口、5はファンである。
実施例6
実施例5のクラス100のクリーンルーム1におけるエアナイフ用の供給空気の浄化に適用した別の形態の例を図6に示す。
図6は、実施例5(図5)における本発明の装置12において、微粒子化した有機化合物の光触媒による分解部(8)の後方に、更に紫外線照射による微粒子化部(A)を設置した場合である。
即ち、本例の装置の形態はA→B→A→Cである。
この様な構成により、酸性ガスは、再度粒子化を受けるので、捕集部で除去され易くなる。クリーンルーム空気14中の該ガス状汚染物質が実施例1に比べて更に高効率に除去され、入口濃度が1/50以下まで低減される。
図6の引用番号で、図5と同一の引用番号は、同じ意味を示す。
実施例7
実施例5のクラス100のクリーンルーム1におけるエアナイフ用の供給空気の浄化に適用した別の形態の例を図7に示す。
図7では、装置の形態はA→C→A→Bである。かかる装置は、酸性ガス又は塩基性ガスが高濃度の場合に有効であり、例えば、クリーンルーム1内で酸清浄やアルカリを扱う作業を行う場合である。
図7では、ガス状汚染物質を微粒子化し(A)、次いで、微粒子化した粒子状物質を捕集、除去する(C)。これにより、酸性ガス及び塩基性ガスの濃度を低減させることができる。
そして、再度、有機化合物等のガス状汚染物質を微粒子化し(A)、そして、有機化合物及び塩基性ガスに起因する微粒子化物質を光触媒で分解する(B)。25bは、緊急時などにおいて、上流より流出する微粒子(粒子状物質)がある場合の捕集用のHEPAフィルタである。
高濃度の酸性ガス又は塩基性ガスは、光触媒の分解部(B)の前方で捕集・除去されるので、光触媒32への触媒毒になるような酸性ガス等が除去される。これにより、長時間安定した運転ができる。
本装置により有機化合物は、非メタン有機化合物を指標として0.1ppm以下まで分解される。またガス状汚染物質はSO2を指標として表わすと、上記作業により100〜500ppbのSO2が発生するが本装置により1ppb以下まで除去される。
図7の引用番号で、図5と同一の引用番号は、同じ意味を示す。
実施例8
実施例5のクラス100のクリーンルーム1におけるエアナイフ用の供給空気の浄化に適用した別の形態の例を図8に示す。
図8では、装置の形態はA→C→Bである。かかる装置は、酸性ガス又は塩基性ガスが高濃度の場合に有効である。
図8では、ガス状汚染物質を微粒子化し(A)、次いで、微粒子化した粒子状物質を捕集、除去する(C)。これにより、酸性ガス及び塩基性ガスの濃度を低減させることができる。そして、有機化合物及び塩基性ガスに起因する微粒子化物質を光触媒で分解する(C)。25bは、緊急時などにおいて、上流より流出する微粒子(粒子状物質)がある場合の捕集用のHEPAフィルタである。
高濃度の酸性ガス又は塩基性ガスは、光触媒の分解部(B)の前方で捕集・除去されるので、光触媒32への触媒毒になるような酸性ガス等が除去される。これにより、長時間安定した運転ができる。
本装置により有機化合物は、非メタン有機化合物を指標として0.1ppm以下まで分解される。またガス状汚染物質については、SO2を指標として表わすと、上記作業により100〜500ppbのSO2が発生するが、本装置により1ppb以下まで除去される。
図8の引用番号で、図5と同一の引用番号は、同じ意味を示す。
実施例9
実施例5のクラス100のクリーンルーム1におけるエアナイフ用の供給空気の浄化に適用した別の形態の例を図9に示す。
図9は、実施例5(図5)における本発明の装置12において、微粒子化した有機化合物及び塩基性ガスの光触媒による分解部(B)と、微粒子化した上記酸性ガスや塩基性ガスの光電子による捕集・除去部(C)を一体化(B+C)したものである。
即ち、本例の装置の形態はA→B+Cである。
クリーンルーム1の空気14は、有機化合物30a、並びに、酸性ガス及び塩基性ガス30bが紫外線ランプ(低圧水銀灯)15の照射により粒子状物質16に変換される(A)。
一体化した光触媒による分解部(B)と微粒子化粒子伏物質の捕集部(C)は、紫外線ランプ31(19)と、紫外線ランプ31(19)の表面に被覆された光電子放出材20と、電極21と、電極21の表面に被覆した光触媒32と、紫外線ランプ31の下流に位置する荷電粒子状物質の捕集材10を有する。紫外線ランプ31(19)は殺菌灯であり、光電子放出材20への照射(光電子放出のため)と、光触媒32への照射(光触媒作用のため)の2つの役目をはたす。光電子放出材20は、紫外線ランプ31(19)上に被覆されている。光電子放出材20と、電極21との間に50V/cmの電界を形成することにより、光電子が効率良く電極21の方向に放出される。該粒子状物質16の内、酸性ガス及び塩基性ガス30bに起因の粒子は、光電子放出材20から放出される光電子(図示せず)により荷電し、該荷電粒子状物質を荷電粒子状物質の捕集材10により捕集・除去が行われる。
該粒子状物質16の内、有機化合物30a及び塩基性ガスに起因する微粒子は、紫外線ランプ31の照射を受けて活性化された光触媒32の表面に付着し、光触媒作用により分解・除去される(B)。
なお、電場下で、光電子放出材に紫外線を照射して、光電子を放出させ、光電子が微粒子を荷電させ、荷電した微粒子を電場により移動させて捕集する微粒子を除去する方法では、電場を形成する電極に光触媒を含有させることにより、光触媒の作用が効果的となる(特願平8−231290号)。
実施例10
実施例5のクラス100のクリーンルーム半導体工場におけるウェハ保管庫(ウェハ収納ストッカー)36の空気清浄を、図10に示した本発明の基本構成図を用いて説明する。
保管庫36中の有機化合物30a及び有機化合物に共存するSO2やNH3などの酸性ガス及び塩基性ガス30bの除去は、紫外線照射による有機化合物及び有機化合物に共存するガス状汚染物質の微粒子化部8(A)、該粒子化有機化合物の光触媒による分解部26(B)、オゾン分解部27、及び光電子を用いる該粒子化粒子状物質の捕集部9、10(C)より成る本発明の清浄化ユニット12によってストッカ36内にて処理される。
保管庫36内の有機化合物30a、並びに、有機化合物に共存するSO2のような酸性ガス及びNH3のような塩基性ガス30bを含む空気14は、本発明のユニット12により処理され、清浄空気28となる。この空気28は有機化合物が0.01ppm以下まで分解・除去され、かつSO2、NH3などクリーンルーム空気14中に含まれる酸性ガス及び塩基性ガス30がいずれも1ppm以下まで除去されたクラス1より清浄な超清浄空気となる。
ウェハケース35に収納されたウェハ34を本ウェハ保管庫36に収納しこの超清浄空気に暴露しておくと、接触角の増加をもたらさない(保管庫36のD部へ収納したウェハ34の接触角が増加しない)、かつウェハの電気的特性の変化が防止される作用がある。
本例の装置は上記のごとく次の形態である。
紫外線照射による微粒子化部(A)→微粒子化した有機化合物の光触媒による分解部(B)→微粒子化した粒子状物質の捕集・除去(除塵)部(C)。
以下、本例を詳細に説明する。
ウェハ保管庫36には、保管庫36の開閉により保管庫36が設置されたクラス100のクリーンルーム1内の空気14が入る。この空気14には、有機化合物が非メタン炭化水系30aとして0.8〜1.5ppm、またSO2のような酸性ガス及びNH3のような塩基性ガス30bが存在する。SO2の濃度は10〜15ppb、NH9は30〜50ppbである。
ウェハ保管庫36内の空気14中のウェハなど基板に付着すると接触角を増加させる有機化合物30a、並びに、ウェハ上に付着するとウェハの電気的特性に悪影響を与える上述酸性ガス及び塩基性ガス30bが紫外線ランプ(低圧水銀灯)15の照射により粒子状物質16に変換される(A)。
該粒子状物質16の内、有機化合物30a及び塩基性ガスに起因する粒子は、光触媒材(TiO2)のような吸着性表面に吸着されやすいので紫外線ランプ31の照射を受け、活性化された光触媒32の表面に付着(吸着)し、光触媒作用により分解・除去される(B)。
一方、該粒子状物質16の内、酸性ガス起因の粒子は、光触媒32では分解されにくいので、光触媒による分解部Bを通過し、後方の紫外線ランプ19、光電子放出材20、電極21(粒子状物質の荷電部9)、荷電粒子状物質の捕集材10より成る光電子による捕集・除去部(C)にて捕集・除去される。
光電子による捕集・除去部(C)では、流入した粒子状物質16を、光電子放出材20から放出される光電子(図示せず)により荷電し、該荷電粒子状物質を荷電粒子状物質の捕集材10により捕集・除去が行われる。光電子放出材20は、紫外線ランプ19上に被覆され、光電子放出材20と電極21との間に50V/cmの電界を形成することにより、光電子が効率良く放出される。
上記において、有機化合物30a及び塩基性ガス起因の粒子16は、紫外線ランプ(殺菌ランプ)31の照射を受けた光触媒(周囲の壁面及びガラスロット上に担持して固定)32の表面に付着し、光触媒作用により効率良く分解・除去される。これにより、有機化合物が非メタン有機化合物を指標として0.2ppm以下、好ましくは0.1ppm以下にまで分解される。
これにより、接触角増加に関与する分子量の大きい有機化合物及び活性な有機化合物は有機化合物の種類によって接触角が増加しない分子量の小さい有機化合物もしくは二酸化炭素や水に分解される。
また、上記酸性ガス、塩基性ガスは、ウェハ保管庫36における空気中の濃度が、初期濃度に対して1/10以下まで低減される。SO2、NH3を指標とすると、本保管庫中のSO2とNH3の濃度は、いずれも1ppb以下となる。
ここで、クラス100のウェハ保管庫36の空気14中の微粒子は、上記光電子による捕集・除去部(C)にて、上記のごとくガス状汚染物質からの粒子状物質16とともに、同様にして荷電・捕集される。
これにより、本発明の清浄化ユニット12で得られる空気28は、有機化合物成分や、有機化合物に共存するガス状汚染物質が除去されたクラス1よりも清浄な超清浄空気となる。
ウェハ保管庫36内の空気14は、空気の流れ28、33a、33b、14により、微粒子化部(A)→微粒子化した有機化合物の光触媒による分解部(B)→微粒子化した粒子状物質の捕集・除去部(C)に効果的に順次移動し、処理される。この空気の流れ28、33a、33b、14は、上記紫外線ランプ15、31、19の照射により生ずる清浄化ユニット12の上下の温度差によっている。このようにして、ウェハケース35にセットされたウェハ34が収納される部分Dは、効果的に清浄化される。
これにより、該超清浄空気をウェハ34表面に暴露しておくことにより、ウェハ表面の汚染は防止される。この結果、ウェハ上の接触角の増加が防止される。この接触角増加の防止の効果は、そのウェハ基板上に薄膜を成膜すると、付着力が強く維持される効果をもたらす(空気清浄、第33巻、第1号、16〜21、1995)。
粒子化用の紫外線ランプ15の照射による発生オゾンは、前述光触媒32、及びハニカム状オゾン分解材27にて、0.01ppm以下まで分解・除去される。
本実施例では媒体が空気の場合について説明したが、窒素やアルゴンなど他の気体中に有機化合物、酸性ガス、塩基性ガス等のガス状汚染物質が不純物として含まれる場合も、本発明を同様に実施できることは言うまでもない。本発明は、大気圧に限られず、加圧下、減圧下でも適用できる。
図10の引用番号において、図5と同じものは、同じ意味を示す。
実施例11
実施例10の図10における清浄化ユニット12の別のタイプのものを図11に示す。
図11においては、図10のオゾン分解材27と、光触媒による分解部26との位置が逆に設置されており、粒子化部8(A)の次にオゾン分解材27が設置されている。図11の配置でも、図10と同様の作用・効果を有する。図11において、図10と同じ記号は、同じ意味を示す。
実施例12
実施例10の図10における清浄化ユニット12の別のタイプのものを図12に示す。
図12は図10における、微粒子化した有機化合物の光触媒による分解部(B)と、微粒子化した上記酸性ガスや塩基性ガスの光電子による捕集・除去部(C)を一体化したものである。
即ち、本例の装置の形態はA→B+Cである。
有機化合物30a、並びに、酸性ガス及び塩基性ガス30bが紫外線ランプ(低圧水銀灯)15の照射により粒子状物質16に交換される(A)。
一体化した光触媒による分解部(B)と微粒子化粒子状物質の捕集部(C)は、紫外線ランプ31(19)、光電子放出材20、光触媒32を担持した電極21、荷電粒子状物質の捕集材10より成る。
該粒子状物質16の内、有機化合物30a及び塩基性ガス起因の粒子は、紫外線ランプ31の照射を受け、活性化された光触媒32の表面に付着(吸着)し、光触媒作用により分解・除去される(B)。
電場下で、光電子放出材に紫外線照射することによる微粒子除去において、該電場用電極材に光触媒を含有させることにより、光触媒の作用が効果的となる(特願平8−231290号)。
一方、該粒子状物質16の内、酸性ガス及び塩基性ガス30bの起因の粒子は、光電子放出材20から放出される光電子(図示せず)により荷電し、該荷電粒子状物質を荷電粒子状物質の捕集材10により捕集・除去が行われる。光電子放出材20は、紫外線ランプ19上に被覆され、電極35との間に50V/cmの電界を形成することにより、光電子が効率良く放出される。荷電した粒子状物質は、捕集材10で除去される。
このようにして、ウェハ保管庫36における空気14は、本発明のユニット12により処理され、清浄空気28となる。この空気28は有機化合物が0.0lppm以下まで分解・除去され、かつSO2、NH3などクリーンルーム空気14中に含まれる酸性ガス及び塩基性ガス30がいずれも1ppb以下まで除去されたクラス1より清浄な超清浄空気となる。
図12において、図10と同じ記号は、同じ意味を示す。
実施例13
実施例10の図10における清浄化ユニット12の別のタイプのものを図13、14に示す。
図13、14は図10における、微粒子化部8(A)と、該微粒子化有機化合物の光触媒による分解部26(B)を一体化したものである。
即ち、本例の装置の形態は、A+B→Cである。
光電子放出材20は、壁面の材料表面にAuメッキしたものである。
図13では、光触媒による分解部26(B)における光触媒32は、壁面に塗布したものであり、粒子化用の紫外線ランプ15の照射により、光触媒作用を発揮する。
図14では、光触媒32を、オゾン分解材27の表面及びその近傍に付加したものであり、粒子化用の紫外線ランプ15の照射により、光触媒作用を発揮する。
図13、14において、図10と同じ記号は、同じ意味を示す。
実施例14
図10に示した構成の保管庫に下記試料ガスを入れ、ウェハを収納し、ウェハ上の接触角、保管庫内の非メタン有機化合物濃度、SO2濃度、HCl濃度、NH3濃度及びオゾン濃度を測定した。
試験条件
(1)試料ガス: クラス10の半導体工場の空気である。
非メタン有機化合物濃度:0.8〜1.5ppm、
SO2濃度:10〜30ppb
HCI濃度:3〜5ppb、
NH3濃度:10〜20ppb
(2)保管庫大きさ: 80リットル
(3)粒子化用紫外線ランプ: 低圧水銀灯(184nm)
(4)光触媒: 二酸化チタンをガラス板及び壁面にゾルーゲル法を用い担持した。
(5)光源: 殺菌灯(254nm)(光触媒照射用及び光電子放出用)
(6)光電子放出材: 上記殺菌ランプの上に8nmの厚さのAuを被覆
(7)電極材と電界; 荷電用:Cu−Zn、50V/cm、粒子状物質捕集用:Cu−Zn、500V/cm
(8)オゾン分解材: ハニカム形状の複合酸化物系触媒、MnO2/ZrO−C
(9)ウェハ: 5インチの高純度シリコンウェハをlcm×8cmのサイズに切断して、保管庫内に設置した。
(10)ウェハの前処理: クリーンルーム1内のクリーンベンチで、洗剤とアルコールで洗浄後、UV/O3洗浄を行った
(11)接触角の測定: 協和界面科学(株)製、CA−D型接触角計による測定
(12)非メタン有機化合物濃度: ガスクロマトグラフィー(GC)法による測定。
(13)SO2濃度: 溶液導電率法による測定。
(14)HCl濃度: 吸収液法による測定。
(15)NH3濃度: 化学発光(LCD)法及び吸収液法による測定。
(16)オゾン濃度: 化学発光式オゾン濃度計による測定。
(17)保管庫の開閉: 保管庫を半導体工場のクリーンゾーン(クラス10)に設置し、1日6回保管庫を開閉した。
尚、本明細書において、クラスは、lft3中に含まれる0.1μm以上粒子の微粒子の個数を表わす。
結果
1)保管庫内にウェハを収納した場合における、収納時間に対するウェハ上の接触角の関係を図15に示す。
図15中、○印は、本発明の値、●印は(比較用の)試験を行ったクラス10のクリーンルームの空気に暴露した値を示す。↓は検出限界以下であることを示す。
2)保管庫内の非メタン有機化合物濃度、SO2濃度、HCl濃度、NH3濃度及びオゾン濃度を表2に示す。
なお、図10の清浄化ユニット11において、光電子による捕集・除去部(C)を外して同様に試験を行い、同様に有機化合物とSO2濃度を調べたところ(収納1日後)、それぞれ<0.1ppm、SO210〜25ppbであった。
また、バーティクルカウンタを用い、保管庫の微粒子濃度を調べたところ、不検出であり(測定:収納30分、1日、10日に実施)クラス1よりも清浄であった。
なお、粒子化用紫外線の点灯により発生するオゾン濃度は15〜20ppmであった。
3)保管庫内に本発明のユニットの設置がない時、2日後及び7日後に保管庫内のウェハを取り出し、加熱して、ウェハ上に付着した有機化合物を脱離させ、ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)法で測定したところ、DOP等のフタル酸エステルを検出した。ユニットを設置した場合について、同様に調べたが、検出しなかった。
以下、気体中の酸性ガス及び/又は塩基性ガスを除去した後に、光触媒で有機化合物及び残存する塩基性ガスを分解する実施態様について説明する。酸性ガスとしては、例えば、窒素酸化物(NOx)、窒素酸化物イオン、硫黄酸化物(SOx)、硫黄酸化物イオン、塩化水素、フッ化水素が挙げられる。また、塩基性ガスとしては、例えば、アンモニア及びアミン類が挙げられる。
実施例15
図18は、ウェハ保管庫71を示す。このウェハ保管庫は、クラス10,000の半導体工場のクリーンルームに設置されている。
クリーンルームには、例えば、非メタン炭化水素が1.0〜1.5ppm、SOxが30〜40ppb、NH3が60〜80ppbの濃度で存在する。そのため、ウェハがこれらのガス状汚染物質により汚染されることを防止するために、ウェハは保管庫71の内部に収納されている。
すなわち、ウェハ保管庫71には、ウェハ72が収納されたウェハキャリア3を、保管庫71に出し入れするために保管庫71の扉を開閉するたびに、クリーンルームから上記の汚染物質が保管庫71に侵入する。ここで、有機化合物74は、ウェハの接触角を増加させる。SOxは、酸化腰絶線不良を引き起こす。NH3は、ウェハの解像不良を引き起こす。
本発明の装置は、イオン交換繊維と76と、イオン交換繊維の上部に位置する分解部とを有する。イオン交換繊維76はフィルター形状に編まれていることが好ましい。
分解部は、分解部は、紫外線ランプ77と、紫外線ランプ77の表面に薄膜状に塗布された触媒活性成分と遮光材80とを有する。触媒活性成分としては、TiO2が用いられる。遮光材80は、紫外線ランプ77からわずかにリークする紫外線がウェハ72に照射することを防ぐものである。
紫外線ランプ77は、その表面に薄膜状に塗布されたTiO2に光線を照射し、これによりTiO2は光触媒作用を発揮し、有機化合物を効果的に分解する。
紫外線の照射により、光触媒78の上下にわずかな温度差が生じ、これにより、保管庫71内の空気が対流して、循環流、79a、79b、79cが生じる。これに伴って、空気は本発明の装置における入口側に設置されたイオン交換繊維76を通過し、次いで、その後方に設置された光触媒78に接触する。
まず、酸性ガス及び塩基性ガスは、イオン交換繊維76で除去される。酸性ガスは、陰イオン交換繊維で除去される。一方、塩基性ガスは、陽イオン交換繊維で除去される。そして、イオン交換繊維76を通過した空気中の有機化合物74は光触媒で分解される。
保管庫71の開閉により、クリーンルームにおける1.0〜1.5ppmの有機化合物、及び30〜40ppbのSOx、60〜80ppbのNH3が保管庫71に侵入する。そして、本発明の装置により、有機化合物は、非メタン炭化水素を指標として0.1ppm以下まで分解される。また、SOxとNH3は、イオン交換繊維76により1ppb以下まで捕集・除去される。従って、保管庫71の内部にウェハ72を収納した場合であっても、ウェハ表面の接触角は増加せず、酸化膜の絶縁不良、解像不良が起こらない。
本発明は、通常のクリーンルームにおける空気中に限られず、各種気体中、例えばN2、Ar中でも同様に使用できる。
図18で、イオン交換繊維76と、紫外線ランプ77との間に、更に、有機化合物、有機ケイ素化合物等を微粒子化するための紫外線ランプを有する微粒子化部を配置することが好ましい。あるいは、図18の紫外線ランプ77と光触媒78とを、図2の微粒子化部8及び分解部26に置換することができる。
実施例16
図19は、図18とは別個の実施態様のウェハ保管庫71を示す。このウェハ保管庫は、実施例15と同様に、クラス10,000の半導体工場のクリーンルームに設置されている。
実施例16では、保管庫71の開閉により、有機化合物74、SOx及びNH375、並びに、NO3 -、NO2 -、SO4 2-等のイオンを含有する粒子状物質(微粒子)81が、保管庫71内に侵入する。
そのため、実施例15の図18の装置と異なって、微粒子81の捕集・除去用に、光電子を用いる荷電・捕集部Cを設置している。すなわち、該部Cは、紫外線ランプ82、紫外線ランプ82の表面に塗布された光電子放出材83、紫外線ランプ82の周囲に位置する光電子放出用の電極84、紫外線ランプの下流に位置する荷電微粒子の捕集材15より成る。
本例の光電子放出材83は、紫外線ランプ82の表面に塗布されたもので、紫外線源と光電子放出材が一体化されている(特開平4−243540号)。電極84は、光電子放出材83からの光電子を効率良く放出されるために電場(光電子放出材(−)、電極(+))を設定するために用いている。
保管庫71中の微粒子11は、空気の流れ79a〜79cより本発明の装置に移動する。保管庫71中のSOx、NH3が先ずイオン交換繊維76で捕集・除去される。次いで、NO3 -、NO2 -、SO4 2-含有粒子物質が光電子による荷電・捕集(C部)により捕集・除去される。該装置中のC部において、紫外線ランプ82からの照射を受けた光電子放出材83から放出される光電子により荷電され、荷電微粒子となり、荷電微粒子は、下流の荷電微粒子捕集材15に捕集・除去される。そして、捕集材15を通過した空気に含まれている有機化合物74が光触媒78により分解される。
このようにして、図19の被清浄空間部Bは、酸性ガス及び塩基性ガス、イオン含有粒子状物質、ガス上有機化合物が除去される。例えば、SOx,NH3は、1ppb以下に、有機化合物は、0.1ppm以下に除去される。そして、クラス1よりも清浄な空間が得られる。
図19において、図18と同じ引用番号は同じ意味を示す。
図19で、捕集材85と紫外線ランプ77との間に、更に、有機化合物、有機ケイ素化合物等を微粒子化するための紫外線ランプを有する微粒子化部を配置することが好ましい。あるいは、図19の紫外線ランプ77と光触媒78とを、図2の微粒子化部8及び分解部26に置換することができる。
実施例17
図19と異なる実施態様を図20に示す。
図20は、図19の酸性ガス及び塩基性ガスの捕集・除去において、イオン交換繊維76と、捕集部85とを一体化したものである。図20において図19と同一の引用番号は同じ意味を示す。
図20では、紫外線ランプ82の下流にイオン交換繊維76が配置し、イオン交換繊維76の下流に捕集部76が配置する。イオン交換繊維76と捕集部85が一体化されている。光電子放出材83は、紫外線ランプ82の表面ではなく、紫外線ランプに対向する壁面に塗布されている。また、光触媒78も、紫外線ランプ77に対向する壁面に塗布されている。
本例では、保管庫71中のNO3 -、NO2 -、SO4 2-含有粒子状物質81が先ず光電子による荷電・捕集(C部)により捕集・除去され、次いでSOx、NH3などの酸性ガス及び塩基性ガス75がイオン交換繊維76により捕集・除去され、次いで、有機化合物74が光触媒78により分解・除去される。
このようにして、図20の被清浄空間部Bは、酸性ガス及び塩基性ガス、粒子状物質、ガス状汚染物質(有機化合物)が除去された(SOx・NH3:1ppb以下、有機化合物:0.1ppm以下)クラス1よりも清浄な超清浄な空間が創出される。本空間Bに、ウェハを収納すると、ウェハ表面の接触角は増加せず、酸化膜の絶縁不良、解像不良が起こらず、かつ回路の断線や短絡を生じない。
図20で、捕集材85と紫外線ランプ77との間に、更に、有機化合物、有機ケイ素化合物等を微粒子化するための紫外線ランプを有する微粒子化部を配置することが好ましい。あるいは、図20の紫外線ランプ77と光触媒78とを、図2の微粒子化部8及び分解部26に置換することができる。
実施例18
図19と別のタイプのものを図21に示す。
図21は、図19における酸性ガス及び塩基性ガスの除去を、光電子を用いる荷電・捕集部Cのみで行い、イオン交換繊維を用いないものである。
本例はSOx、NHxのようなガス状の酸性ガス及び塩基性ガスの濃度が比較的少なく、NO3 -、NO2 -、SO4 2-のようなイオン性物質含有微小粒子の濃度が多い場合に好適である。
紫外線ランプ82が光電子放出材83を照射して、光電子を発生させる。光電子で粒子を荷電し、捕集部85で、荷電粒子を除去する。そして、紫外線ランプ77の照射の下、光触媒78で有機化合物及び塩基性ガスを酸化分解する。
図21で、捕集材85と紫外線ランプ77との間に、更に、有機化合物、有機ケイ素化合物等を微粒子化するための紫外線ランプを有する微粒子化部を配置することが好ましい。あるいは、図21の紫外線ランプ77と光触媒78とを、図2の微粒子化部8及び分解部26に置換することができる。
図21で、図18〜20と同一の引用番号は、同じ意味を示す。
図21で、捕集材85と紫外線ランプ77との間に、更に、有機化合物、有機ケイ素化合物等を微粒子化するための紫外線ランプを有する微粒子化部を配置することが好ましい。あるいは、図21の紫外線ランプ77と光触媒78とを、図2の微粒子化部8及び分解部26に置換することができる。
実施例19
図22は、本発明の清浄化装置70をエアーナイフ装置89に供給する空気の浄化に適用した例である。清浄化装置70及びエアーナイフ装置89は、半導体製造工場におけるクラス10,000のクリーンルームに配置されているものとする。
本発明の清浄化装置は、フィルター状のイオン交換繊維76、除塵用フィルタ87aと、分解部と、除塵用フィルター87bとを有し、これらの構成要素は、上流から下流にこの順序に配置されている。分解部は、軸方向に伸びている紫外線ランプ77と、光触媒78を有する。光触媒78は、ハウジングの内面に塗布されている。また、ガラス棒が分解部の軸方向に紫外線ランプとほぼ平行に配置されており、そのガラス棒の表面にも触媒活性物質が塗布されている。
クラス10,000のクリーンルームには、非メタン炭化水素が1.1〜1.3ppm存在する。また、SOx、NOx、NH3が、夫々40ppb、30ppb、150ppb(平均濃度)存在する。
そのため、クリーンルームの空気16は、先ずイオン交換繊維76により酸性ガス及び塩基性ガスがSOxとNH3を指標に夫々1ppb以下まで捕集・除去される。次いで、除塵フィルタ87aにより、クリーンルーム空気中の微粒子が除去される。
次いで、有機化合物が、紫外線ランプ77からの紫外線が照射され光触媒作用を発揮した光触媒(TiO2)78にて、非メタン炭化水素を指標として0.1ppm以下まで分解される。
除塵用フィルタ87bは、緊急時にイオン交換繊維部、有機化合物分解部もしくはその周辺からの流出微粒子があった場合でも、該微粒子を効率良く捕集するものであり(除塵部)、ULPAフィルタを用いている。
このようにして、酸性ガス及び塩基性ガス、粒子状物質、ガス状汚染物質(有機化合物)が除去された(NOx,SOx,NH3:1ppb以下、有機化合物:0.1ppm以下)、クラス1よりも清浄な超清浄空気88が得られる。かかる清浄空気88がエアーナイフ装置89へ供給される。
図22で、フィルタ87aと紫外線ランプ77及び光触媒78を有する分解部との間に、更に、有機化合物、有機ケイ素化合物等を微粒子化するための紫外線ランプを有する微粒子化部を配置することが好ましい。あるいは、図22の紫外線ランプ77と光触媒78とを、図2の微粒子化部8及び分解部26に置換することができる。
実施例20
図18の保管庫に下記試料ガスを入れ、保管庫の開閉を1日10回行った。また、光触媒に紫外線照射を行い、長時間連続運転した状態で、保管庫に収納したウェハ上の接触角の測定を行った。また、保管庫の空気中の非メタン炭化水素濃度、SOx濃度、保管庫内のウェハに付着した炭化水素の同定を行った。
結果
1)ウェハ上の接触角
図23は、イオン交換繊維を用いた場合の経過日数による接触角(角度)を示す。図23は、イオン交換繊維と光触媒を用いる場合(本発明の方式)を−○−で示す。一方、比較として、光触媒を用いるが、イオン交換繊維が無い場合を−●−、イオン交換繊維を用いるが光触媒が無い場合を−▲−で示す。
なお、光触媒で無い場合は、20時間で20度、60時間で40度であり、接触角増加防止の効果が認められなかった。図23には350日までの測定値を示す。このように、入口部に、イオン交換繊維を設置すると、時間経過によっても変化がなく、高性能を維持した。
酸性ガス及び塩基性ガスの捕集・除去として、イオン交換繊維ではなく、繊維状活性炭を用いた場合は、図23と同様の捕集を示し、300日運転後の接触角の増加は2度以内であった。
2)保管庫中の有機化合物
表3に保管庫の空気中の非メタン炭化水素濃度、SOx濃度及びウェハ上の吸着炭化水素の同定(同定成分の有無)を示す。表3には、比較として、イオン交換繊維を用いるが光触媒が無い場合、光触媒を用いるがイオン交換繊維が無い場合も示す。
表3において、ウェハ上に付着した炭化水素は、DOP等のフタル酸エステルであった。
実施例21
実施例20の装置のうち、光触媒を用いて、イオン交換繊維を取り外した装置を用いた。1〜50ppbのSOx濃度に調整した試料ガスを用いて、SOx濃度に対する接触角が5度増加する日数を調べた。この他の実験条件は、実施例20と同様である。
なお、SOx濃度の調整は、実施例20の試料ガスをイオン交換繊維に通過速度を変えて通して、SOxの除去を行うことで、適宜の濃度に設定した。
結果
図24は、試料ガス中SOx濃度に対する接触角が5度増加した日数を示す。試料ガス中の硫黄酸化物濃度が小さいほど、接触角が増加する日数が増加する。即ち、空気が清浄を維持できることが分かる。
図25は、空気中の有機化合物についてのガスクロマトグラフィー/質量分析法によるトータルイオンクロマトグラムを示す。x軸は、イオンの質量を示し、y軸は、相対的な強度を示す。30リットルの試料空気を、0.5l/minで吸着剤(TENAX-GR)に流入させた。そして、濃縮導入装置(CHROMPACK製、CP4010型)で、吸着剤を加熱し、吸着したガスを脱離させ、液体窒素で冷却し、濃縮した。次いで、ガスクロマトグラフィー/質量分析装置((株)島津製作所製、QP-1100EX型)により、測定した。
(a)は、クラス10,000のクリーンルーム中の空気について測定した。非メタン炭化水素が1.1〜1.3ppm存在し、SOx、NOx、NH3が、夫々40ppb、30ppb、150ppb(平均濃度)存在するものである。個々のピークが有機化合物の存在を示す。
(b)は、クラス10,000のクリーンルーム中の空気を本発明の装置で処理した後に測定した。有機化合物が激減したことが分かる。
本発明では、汚染物質を微粒子化して局所的に濃縮するので、汚染物質が低濃度の場合であっても、光触媒により効果的に分解することができる。気体中の有機化合物等の汚染物質が低濃度の場合であっても、微粒子化により、濃縮された形態で光触媒上に接触するので、汚染物質を効率良く分解できる。これにより、有機化合物の分解速度が向上した。光触媒では、フタル酸エステル等の有機化合物ガス、シロキサン等の有機ケイ素化合物ガス、及び、アンモニア等の塩基性ガス等の酸化可能な化合物を分解できる。有機化合物ガス及び有機ケイ素化合物ガスは、光電子による荷電、フィルター、イオン交換繊維等では除去し難いので、得に有益である。
また、フィルタ、吸着剤、光電子、イオン交換繊維等の除去部を設置する場合には、有機化合物に共存する他のガス状汚染物質、例えば酸性ガスとしてのSO2、NOx、HCl、HF等の酸性ガス、及び、NH3、アミン類等の塩基性ガスも除去することができる。即ち、ガスから粒子まで、広い範囲にわたり汚染物質が除去できる。
更に、光触媒による処理の前に、該気体中より予め酸性ガス及び塩基性ガスを除去する場合には、酸性ガス及び塩基性ガスが光触媒に悪影響を与えることを防止することができる。これにより、光触媒の作用が長時間安定に維持され、長期運転ができるようになった。
本発明の適用分野として、半導体製造工場などのクリーンルームについて主に説明した。
しかし、本発明は、更に、下記の分野に適用することができる。
(1)民生の分野、すなわち、事務所、ビル、家庭、病院、ホテルなどにおける空気清浄化、
(2)下排水、廃棄物処理場などの各種工業における排気ガスの清浄化、工場内雰囲気の清浄化、地下駐車場やトンネル換気排気ガスの清浄化、
(3)先端産業の分野、すなわち、半導体、電子工業、薬品工業、食品工業、農林産業、医療、精密機械工業などにおけるクリーンルーム、クリーンブース、クリーントンネル、クリーンベンチ、安全キャビネット、バイオクリーンボックス、無菌室、パスボックス、貴重品の保管庫(ストッカ)、搬送空間、インターフェイス、エアカーテン、エアナイフ、乾燥工程、生産ラインへ供給する気体の製造装置などにおける空気、窒素、酸素などの気体の清浄化に利用できる。
また、民生の分野が挙げられているのは、シックビルディングシンドロームにみられるように、空気中のガス状汚染物質により、人体へ悪影響が及ぼす場合がある。
以下、本発明の好ましい態様を列挙する。
(1)汚染物質及び固体粒子を含む気体を清浄化する方法であって、気体中の固体粒子を除去する工程と、固体粒子が除去された気体中の汚染物質を微粒子化するために、気体に紫外線及び/又は放射線を照射する微粒子化工程と、微粒子化した汚染物質を光触媒と接触させる接触工程と、光触媒に接触している汚染物質を分解するために、光触媒に光を照射する第1分解工程と、を有する方法。
(2)汚染物質が、有機化合物(ただし、アルカンは除く)、有機ケイ素化合物、塩基性ガスからなる群の少なくとも1種を含む(1)に記載の方法。
(3)微粒子化工程において、260nm以下の波長を有する紫外線及び/又は放射線を照射する(1)に記載の方法。
(4)気体が、1ppb以下の水又は1ppb以上の酸素ガスを含む(1)に記載の方法。
(5)気体が、100ppb異常の見ず又は100ppb以上の酸素ガスを含む(1)に記載の方法。
(6)気体が1ppm以上の酸素ガスを含み、微粒子化工程で、気体中の酸素ガスがオゾンに変換され、このオゾンを分解する第2分解工程を更に有する(1)に記載の方法。
(7)汚染物質を除去する除去工程を更に有する(1)に記載の方法。
(8)汚染物質が、酸性化合物又は塩基性化合物を含む(7)に記載の方法。
(9)汚染物質が、窒素酸化物(NOx)、窒素酸化物イオン、硫黄酸化物(SOx)、硫黄酸化物イオン、塩化水素、フッ化水素、アンモニア及びアミン類からなる群の少なくとも1種を含む(7)に記載の方法。
(10) 微粒子化工程の前に、除去工程を行う(7)に記載の方法。
(11) 微粒子化工程の後であって第1分解工程の前に、除去工程を行う(7)に記載の方法。
(12) 第1分解工程の後に、除去工程を行う(7)に記載の方法。
(13) 除去工程が、フィルタ、吸着剤、光電子による荷電及び荷電した汚染物質の捕集、並びに、イオン効果物質のいずれか1種以上で行われる(7)に記載の方法。
(14) 光触媒が、母材と、母材に担持された触媒活性成分と、を有し、触媒活性成分が粒子形状を有する(1)に記載の方法。
(15) 母材が、2以上の貫通孔を形成する隔壁を有するハニカム構造体、棒体又は壁部材であり、触媒活性成分が半導体である(14)に記載の方法。
(16) 汚染物質を含む気体を清浄化する装置であって、紫外線及び/又は放射線を照射する源を有する微粒子化部と、光触媒及び光触媒に光を照射する光源を有する分解部であって微粒子化部に接続しているものと、酸性化合物又は塩基性化合物を除去するための除去部と、を有する装置。
(17) ガス入口と、ガス出口とを有する装置であって、ガス入口、粒子化部、分解部、ガス出口の順序に上流から下流に配置されている(16)に記載の装置。
(18) 微粒子化部の下流にオゾン分解材を有する(16)に記載の装置。
(19) 除去部が、フィルタ、吸着剤、イオン交換物質、並びに、光電子発生手段及び荷電した汚染物質の捕集手段のいずれか1種以上を有する(16)に記載の装置。
(20) 微粒子化工程、接触工程及び第1分解工程が、クリーンルーム内で行われる(1)に記載の方法。
(21) クリーンルームの内部で用いられるのに適した保管庫であって、保管庫の内部に配置され、且つ紫外線及び/又は放射線を照射する源を有する微粒子化部と、保管庫の内部に配置される光触媒及び光触媒に光を照射する光源を有する分解部であって微粒子化部に接続しているものと、を有する保管庫。
平成8年8月20日に日本国特許庁に出願された特願平8−235832号及び平成9年1月31日に日本国特許庁に出願された特願平9−31441号の開示は、本願に援用される。
発明の分野
本発明は、汚染物質を含む気体を清浄化する方法及び装置に関する。本発明では、特に、気体中の汚染物質を微粒子化して、次いで、微粒子化した汚染物質を光触媒により分解することにより、汚染物質を除去して、気体を清浄化する方法及び装置に関する。
従来技術
従来、半導体工業のクリーンルームでは、空気等の気体からチリ等の固体粒子を除去すれば十分であった。固体粒子を除去する方法は、(1)機械的ろ過方法(例えばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air))、又は、(2)静電的に微粒子を捕集する方法(例えばMESAフィルタ)に大別される。後者では、高電圧により微粒子を荷電し、次いで、荷電した微粒子を導電性フィルタでろ過する。何れの方法でも、ガス状汚染物質は除去することができない。
しかし、半導体の高品質化、高精密化により、チリ等の固体粒子に限られず、ガス状汚染物質をも除去する必要が生じた。ガス状汚染物質としては、例えば、フタル酸エステル等の有機化合物;シロキサン等の有機ケイ素化合物;硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)のような酸性ガス;及び、NH3、アミン類のような塩基性ガスが挙げられる。なお、アミン類は、有機化合物にも分類できる。また、NO3 -、NO2 -、SO4 2-等の陰イオンも酸性ガスと同様の挙動を示し、同様の悪影響を及ぼすので、便宜上、酸性ガスに含める。同様に、NH4 +等の陽イオンも塩基性ガスと同様の挙動を示し、同様に悪影響を及ぼすので、便宜上、塩基性ガスに含める。
有機化合物又は有機ケイ素化合物がウェハ(基板)表面に付着すると、基板としジストとの親和性(なじみ)に影響を与える。そして、親和性が悪くなるとしジストの膜厚に悪影響を与えたり、基板としレジストとの密着性に悪影響を与える(空気清浄、第33巻、第1号、p.16〜21、1995)。例えば、SOxは、酸化膜絶縁不良を引き起こす。NH3は、アンモニウム塩の生成などをもたらし、ウェハにくもり(解像不良)を引き起こす(リアライズ社、最新技術講座、資料集、半導体ブロセスセミナー、1996年10月29日、p.15〜25、1996)。このような原因により、これらのガス状汚染物質は、半導体製品の生産性(歩留り)を低下させる。
そして、従来は、ppmレベルまでガス状汚染物質を除去すれば十分であった。次第に、ppbレベルまでガス状汚染物質を除去することが求められるようになった。なお、有機化合物のうち、メタン等のアルカンは、反応性が低く、半導体に悪影響を及ばさないので、ppbレベルまで除去する必要はない。
次に、有機化合物、特にガス状有機化合物が汚染物質の場合を更に詳細に説明する。
有機化合物の除去方法としては、燃焼分解法、触媒分解法、吸着除去法、O3分解法などが知られている。しかし、これらの方法はクリーンルームへの導入空気に含有する低濃度の有機化合物の除去には効果がない。
また、クリーンルームでは、極低濃度の有機化合物の汚染が問題となる。有機化合物は、クリーンルームの外部から導入される場合がある。例えば、自動車の排気ガス、高分子製品からの脱ガスにより有機化合物が空気中に存在する。また、クリーンルームの内部で有機化合物が発生する。例えば、クリーンルームを構成する高分子材料(例えば、高分子製品の可塑材、離型材、酸化防止剤等)から有機ガスが発生する(「空気清浄」、第333巻、第1号、p16〜21、1995年)。クリーンルームでは、パッキン材、シール材、接着材、壁面の材料に合成ポリマーを使用している。また、クリーンルーム内でもプラスチック製の収納容器等を使用している。そして、これらの合成ポリマーから極微量の有機性ガスが発生する。例えば、シール材や製造装置からはシロキサン、プラスチック製の収納容器からはフタル酸エステルなどが発生する。最近では、製造装置中に用いられている高分子材料からも脱ガスがある。また、プロセス装置の一部又は全部をプラスチック板等で囲うので、これらのプラスチックから有機性ガスが発生する。更に、クリーンルームにおける作業で用いる各種の溶剤(例えば、アルコール、ケトン類等)も、汚染源となる。
このように、クリーンルーム中では、外気からの導入される有機化合物に更にクリーンルーの内部から発生する有機化合物及び有機ケイ素化合物が加わるので、多成分、かつ高濃度になっている
そして、最近省エネルギーの観点より、クリーンルームの空気を循環使用する場合が多く、クリーンルーム内の有機性ガスの濃度が徐々に上昇し、ウェハなどの基材や基板を汚染することになる。これらの有機化合物はクリーンルーム内の収容物(例えば、半導体ウエハ、ガラス基板などの原料、半製品)に付着し悪影響を与える。
有機化合物及び有機ケイ素化合物によるウェハ基板の表面の汚染の度合いは、接触角で示される。接触角とは、基板表面が水でぬれた場合の水との接触角をいう。基板表面に疎水性(油性)の物質が付着すると、その表面は水をはじき返しぬれにくくなり、基板表面と水滴との接触角は大きくなる。従って接触角が大きい場合には、汚染度が高く、逆に接触角が小さい場合には、汚染度が低い。
有機化合物及び有機ケイ素化合物で汚染された基板は、基板とレジストとの親和性(なじみ)を悪化させ、レジストと膜厚に影響を与えたり、基板とレジストとの密着性に影響を与え、品質の低下や歩留まりの低下をもたらす。
先端分野では、半導体の高精密化、微細化が進展し、従来問題とならなかったクリーンルーム空気濃度(ppbレベルのような極低濃度)レベルの有機化合物〔第39回応用物理学会予稿集、p86(1992、春季)、空気清浄、第33巻、第1号、p16〜21、(1995)〕や、SO2、有機化合物、HF、NH3などガス状汚染物質の除去が必要になってきた〔ウルトラクリーンテクノロジー、Vol.6、p29〜35(1994)〕。即ち、これらのガス状汚染物質の存在は、歩留り(生産性)を著しく低下させることが明らかになったためである。本発明では、これらのガス状汚染物質を効果的に除去することを目的とする。
本発明者らは、気体に含有する炭化水素を除去する方法であって、紫外線及び/又は放射線を前記気体に照射して炭化水素を微粒子化し、微粒子化した炭化水素をフィルタ、又は、光電子により荷電させた後、荷電した微粒子を捕集することで除去することを提案した(特開平5−96125号公報)。また、気体に含有する有害成分についても、同様な方法を適用できる(特開平4−243517号公報)。
しかし、この方法では、除去された微粒子が、フィルタ又は荷電粒子の捕集部に堆積していき、フィルタ又は捕集部の交換が必要になった。また、堆積した微粒子が極少量でもフィルタ又は捕集部から落下した場合には、清浄化しようとする気体を逆に汚染してしまう。そこで、汚染物質を除去するよりは、分解することが所望される。
なお、図16及び17で、従来の除去方法を念のため説明する。図16において、クリーンルーム1内には、配管2から導入される外気の粗粒子をプレフィルター3でろ過した後、クリーンルーム1の空気取り出し口4から取り出された空気と共にファン5を介して空気調和装置6にて温度及び湿度を調節しかつHEPAフィルター7により微粒子を除去した空気が循環供給されており、清浄度(クラス)10,000程度に保持されている。本明細書において、クラスとは、粒径が0.1μm以上の粒子が1立方フィート中に存在する個数をいう。
クリーンルーム1内には、クリーンベンチ51が設置され、クリーンルーム1内の微量炭化水系(H.C)や微粒子(粒子状物質)の捕集除去が行われている。
クリーンルーム1内の有機化合物の原因は、配管2から導入される外気中有機化合物(主に自動車や合成樹脂によるものと推定)と、クリーンルームにおける作業で生じた有機化合物からと推定される。
クリーンベンチ51は主に微粒子化部48、微粒子荷電部49、荷電微粒子捕集部50を有する。作業台53には、有機化合物が除去され、また共存する微粒子も除去された高清浄(クラス10)の空気が供給され、作業台53上で作業が実施されている。
すなわち、クリーンベンチ51においては、クリーンルーム1内の微量の有機化合物を含む清浄度(クラス)10,000程度の空気がファン(図示せず)により吸引され、微粒子化部48で短波長紫外線を導入空気に照射することにより空気中有機化合物が微粒子化される。次いで、微粒子荷電部49で該微粒子が後述光電子放出材から発生する光電子により効率よく荷電され、荷電微粒子となり、該荷電微粒子を後方の荷電微粒子捕集部50にて捕集・除去することにより、作業台53上は有機化合物フリーの高清浄な空気に保持される。
クリーンベンチ51内の作業台53への器具、製品等の出し入れは、クリーンベンチ51に設けた可動シャッターにより行う。
次に、クリーンベンチ51における空気中の有機化合物除去のための微粒子化部48、微粒子荷電部49、荷電微粒子捕集部50は、図17にその概要が示されており、図17を用いて説明する。
すなわち、ファン(図示せず)により吸引された微量有機化合物を含む空気54は、プレフィルター(図示せず)によりろ過された後、主に紫外線ランプ55より成る有機化合物の微粒子化部48にて低波長の紫外線が照射される。空気54中の有機化合物が紫外線照射により微粒子56に変換される。かかる微粒子56は導入空気54にすでに存在している通常の微粒子57とともに微粒子荷電部49にて、荷電され荷電微粒子58となる。
微粒子荷電部49は、主に紫外線ランプ59、光電子放出材(ここでは、ガラス材表面にAuの薄膜、例えば、5〜50nmの薄膜が設けられた材料)60、電場設定のための電極材61より成る。電場下で光電子放出材60に紫外線ランプ59より紫外線を照射することにより光電子62が発生し、該光電子により微粒子56、57は効果的に荷電され、荷電微粒子58となり、後方の荷電微粒子捕集材で構成される荷電微粒子捕集部50で捕集される。なお、63は、紫外線透過材である。64は、有機化合物が除去された無塵の高清浄空気である。
しかし、上記構成では、下記の課題があった。
(1)紫外線及び/又は放射線照射により微粒子化された有機化合物(有機化合物)は、その照射条件や含まれている有機化合物の種類等によってはフィルターによる捕集や、光電子による荷電、捕集が十分でない場合があった。有機化合物の種類によっては、粒子径が微細になる場合があり、また、化学組成が有機化合物であることに起因すると考えられる。そして、捕集効率が低い場合には、捕集部の容積を大きく設計する必要があり、装置全体が大型化した。
(2)発生粒子状物質は、該捕集部50にて捕集されるので、長時間連続運転する場合には、粒子状物質が堆積するので、該捕集部50の捕集容量を大きく設計する必要があり、装置が大型化することがあった。
一方、本発明者は、有機化合物の除去の方式として、光触媒の使用(特開平8−31230号、特開平8−31231号)を提案している。しかし、有機化合物の濃度が低い場合には、光触媒による分解速度が遅く、分解に時間がかかるという間題点があった。例えば、通常の空気、クリーンルーム内の空気では、ジエチルヘキシルフタレート(DOP)、シロキサンのそれぞれの濃度は、たかだか1ppbに過ぎない。
また、光触媒では、SO2、NO、HCl、HFのような酸性ガスを効果的に除去できない。特に、硫黄酸化物、硫化水素、チオフェン、チオールのような硫黄含有化合物は、高濃度のときに、光触媒の触媒毒として作用する場合があった。また、触媒毒とまではならない場合であっても、長期間、運転した場合には、光触媒に悪影響を与える場合があった。
発明の概要
本発明は、上記問題点を解消することを目的とする。
本発明の第1の側面では、汚染物質を含む気体を清浄化する方法であって、汚染物質を微粒子化するために、前記気体に紫外線及び/又は放射線を照射する微粒子化工程と、微粒子化した汚染物質を光触媒と接触させる接触工程と、光触媒に接触している汚染物質を分解するために、光触媒に光を照射する第1分解工程と、を有する方法が提供される。例えば、有機化合物(ただし、アルカンは除く。)、有機ケイ素化合物、塩基性ガスが、光触媒で酸化分解される。汚染物質が低濃度の場合であっても、微粒子化により局所的に高濃度になるので、光触媒により効率的に酸化分解することができる。
微粒子化工程において、260nm以下の波長を有する紫外線及び/又は放射線を照射することが好ましい。汚染物質がラジカル反応等により凝集して、微粒子が生成する。
また、前記気体が、1ppb以上の水又は1ppb以上の酸素ガスを含むことが好ましい。前記気体が、100ppb以上の水又は100ppb以上の酸素ガスを含むことが更に好ましい。水又は酸素ガスが光触媒の表面に作用し、OHラジカルを供給して光触媒を活性化すると思われる。そして、OHラジカルが、光触媒の存在の下、酸化剤として作用すると思われる。
前記気体が1ppm以上の酸素ガスを含み、前記微粒子化工程で、前記気体中の酸素ガスがオゾンに変換され、このオゾンを分解する第2分解工程を更に有することが好ましい。
前記汚染物質を除去する除去工程を更に有することが好ましい。前記汚染物質が、酸性化合物又は塩基性化合物を含むことが好ましく、前記汚染物質が、窒素酸化物(NOx)、窒素酸化物イオン、硫黄酸化物(SOx)、硫黄酸化物イオン、塩化水素、フッ化水素、アンモニア及びアミン類からなる群の少なくとも一種を含むことが更に好ましい。
微粒子化工程の前に、除去工程を行ってもよい。あるいは、微粒子化工程の後であって第1分解工程の前に、除去工程を行ってもよい。例えば、光触媒の触媒毒となるような汚染物質が存在する場合である。具体的には、硫黄酸化物、硫化水素、チオフェン、チオールのような硫黄含有化合物を含む場合には、予め硫黄含有化合物を除去してから、光触媒で処理することが好ましい。あるいは、第1分解工程の後に、除去工程を行ってもよい。
除去工程が、フィルタ、吸着剤、光電子による荷電及び荷電した汚染物質の捕集、並びに、イオン交換物質の何れか1種以上で行われることが好ましい。
光触媒が、母材と、母材に担持された触媒活性成分を有し、触媒活性成分が粒子形状を有することが好ましい。母材が、2以上の貫通孔を形成する隔壁を有するハニカム構造体、棒体又は壁部材であり、触媒活性成分が、半導体であることが更に好ましい。
本発明の第2の側面では、汚染物質を含む気体を清浄化する装置であって、紫外線及び/又は放射線を照射する源を有する微粒子化部と、光触媒及び前記光触媒に光を照射する光源とを有する分解部であって微粒子化部に接続しているものと、を有する装置が提供される。
本発明において、ガス入口と、ガス出口とを有する装置であって、前記ガス入口、前記粒子化部、前記分解部、前記出口の順序に上流から下流に配置されていることが好ましい。
また、微粒子化部の下流にオゾン分解材を有することが更に好ましい。
更に、酸性化合物又は塩基性化合物を除去するための除去部を有することが好ましい。前記除去部が、フィルタ、吸着剤、イオン交換物質、並びに、光電子発生手段及び荷電した汚染物質の捕集手段の何れか1種以上を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の清浄化装置を設置したクリーンルームの全体図を示す。
図2は、本発明の設置化装置を設置したウェハ保管庫の全体図を示す。
図3は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図4は、実施例4の結果の収納日数(日)と接触角(度)の関係を示すグラフである。
図5は、本発明の清浄化装置を設置したクリーンルームの全体図を示す。
図6は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図7は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図8は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図9は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図10は、本発明の清浄化装置を設置したウェハ保管庫の全体図を示す。
図11は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図12は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図13は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図14は、本発明の清浄化装置の他の実施態様の断面図を示す。
図15は、実施例14の結果の収納日数(日)と接触角(度)の関係を示すグラフ。
図16は、従来のクリーンルームの全体図を示す。
図17は、図16の空気清浄化部の部分拡大図。
図18は、本発明の清浄化方法を用いたウェハ保管庫の全体図を示す。
図19は、本発明の他の清浄化方法を用いたウェハ保管庫の全体図を示す。
図20は、本発明の他の清浄化方法を用いたウェハ保管庫の全体図を示す。
図21は、本発明の他の清浄化方法を用いたウェハ保管庫の全体図を示す。
図22は、本発明の別の清浄化方法を用いたエアーナイフ用空気の浄化の概略構成図。
図23は、ウェハ上の接触角の経時変化を示すグラフ。
図24は、SOx濃度による接触角が5度増加する日数を示すグラフである。
図25は、空気中の炭化水素についてのガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)法によるトータルイオンクロマトグラムである。
発明の詳細な説明
本発明では、汚染物質を含む気体を清浄化する。本発明で除去することができる汚染物質は、主にガス状の汚染物質であり、例えば、有機化合物(ただし、メタン等のアルカンを除く。);シロキサン等の有機ケイ素化合物;硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)のような酸性ガス;及び、NH3、アミン類のような塩基性ガスである。
有機化合物としては、アルケン、アルキン等の脂肪族炭化水素、特に、1〜40個の炭素数を有する低級脂肪族炭化水素;ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素、特に、特に、1〜40個の炭素数を有する低級芳香族族炭化水素;アルコール類、特に1〜40個の炭素数を有する低級アルコール;フェノール類;高級脂肪酸等のカルボン酸;エステル、アミド、酸無水物等のカルボン酸誘導体;エーテル類;アミン類;スルホキサイド、メルカプトン、チオール等の含硫黄有機化合物;等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等が、本発明で除去できる。
カルボン酸誘導体としては、ブチルフタレート等のフタル酸エステルが合成ポリマーから発生するが、本発明ではフタル酸エステルを除去できる。
また、ピロール、ピリジン等の含窒素複素環、フラン、テトラヒドロフラン、等の含酸素複素環、チオフェン等の含硫黄複素環等も除去できる。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、クロロホルム等のトリハロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン原子を有する脂肪族化合物;並びに、クロロフェノール等のハロゲン原子を有する芳香族化合物が挙げられる。
なお、メタン等のアルカンは、反応性が低く、半導体等の基板にも付着し難く、汚染物質とはいえない。従って、本発明により除去する必要がない。炭素数が4個以下のアルカンは、半導体の基板に更に付着し難く、炭素数が3個以下のアルカンは、半導体の基板に更になお付着し難い。
次に、本発明を構成毎に詳細に説明する。
本発明の方法では、汚染物質、主にガス状の汚染物質を含む気体に紫外線及び/又は放射線を照射する。本発明の装置では、紫外線及び/又は放射線を照射する源を有する微粒子化部を有する。
気体中の有機化合物等のガス状汚染物質を微粒子(凝縮性物質又は粒子状物質)に変換する微粒子化部は、気体中への照射源を有している。その照射線源は、有機化合物及びSO2、NH3など有機化合物に共存するガス状汚染物質が微粒子又は粒子状物質に変換できるものであればいずれでも良い。紫外線照射の他に電磁波、レーザ、放射線が使用でき、適用分野、除去されるガス状汚染物質の成分、濃度、装置規模、形状、経済性等で適宜予備試験を行い選択できる。通常、紫外線照射又は放射線照射が望ましい。
照射により気体中の汚染物質は、それらの成分の種類や共存物質により粒子状物質(凝縮性物質)又は粒子状物質と活性な物質(凝縮性物質)に変換される。例えば、有機化合物として、トルエン、イソペンタン、及びプロピレンを含むガス混合物に紫外線を照射すると、カルボン酸、カルボニル化合物(凝縮性物質あるいは活性な物質)が生成する。
最近、クリーンルームにおいて、ウェハ等の基板へ付着し接触角の増加をもたらす有機化合物として、高分子量の高級脂肪酸、フェノール誘導体、フタル酸エステル(例、DBP、DOP)、シロキサンなどが問題になっている(「空気清浄」、第33巻、第1号、p16〜21,1995年)。DBPは、ジブチルフタレートの略称である。DOPは、ジオクチルフタレートの略称であり、より正確には、ジ(2−エチルヘキシル)フタレートをいう。DBP、DOP等のフタル酸エステルは、樹脂、特にビニル樹脂の可塑剤として使用されている。
これらの有機化合物及びシロキサン等の有機ケイ素化合物は、紫外線等の照射により、粒子状物質に変換される。この粒子状物質は、例えば、粒径が数十nm〜数百nmの粒径を有する。紫外線又は放射線の照射により、汚染物質が気体中に微量、例えば、1ppb以上含まれている酸素ガス、水等とラジカル反応をし、汚染物質が会合状態になっていると思われる。
本発明では、このように汚染物質を微粒子化し、即ち、微視的に濃縮し、この微粒子化した汚染物質を光触媒で分解するものである。
また、別の例として、SO2について反応の例を示す。
H2O++e-→・OH+H・
H2O++H2O→H3O++・OH
SO2+・OH→SO3 -
SO3+H2O→H2SO4
H2SO4→微粒子(粒子状物質)
H2Oは、気体中に微量含まれている水を示す。最終反応では、硫酸から微粒子が生成している。この反応でも、硫酸のような粘度が高い液体が気体中に少量でも生成すると、他の汚染物質が会合して、微粒子になると思われる。例えば、アンモニア等の塩基性ガスが存在する場合には、酸性ガスが反応する。
また、次に別の反応の例を示す。
O2 +(UV)→O+O
O2+O→O3
O3→O+O2
O+H2O→2OH
OH+SO2+O2→SO3+HO2
SO3+H2O→H2SO4
H2SO4+H2O→微粒子(粒子状物質)
上記の反応は、共存ガスの種類、照射条件などによって異なる。上記のごとく、水分は共有するガス状汚染物質(ここではSO2)と反応し、上記SO3 -のような生成物を生ずる。そこで、微粒子化して、該微粒子を捕集除去すると、気体は共存するSO2のようなガス状汚染物質も除去され高清浄気体となる。この作用はSO2のみに限定されるものではなく、NH3その他種々のガス状汚染物質に共通である。
微粒子への変換(微粒子化)においては、260nm以下、好ましくは254nm以下の波長を有する照射源が効果的であり、紫外線及び/又は放射線照射が効果、操作性の点で通常好適に用いられる。
紫外線源は、その照射により有機化合物やSO2、NH3など有機化合物に共存するガス状汚染物質が微粒子化(粒子状物質又は凝縮性物質へ変換あるいは微粒子と活性な物質へ変換)できるものであれば何れでも良く、有機化合物や共存する他のガス状汚染物質の種類や共存物質により適宜予備試験を行い決めることができる。この内、利用分野によっては、活性酸素やOHラジカル等の酸素活性種(活性ラジカル)が生成するものが好ましい。
通常、紫外線の光源としては、水銀灯、水素放電管(重水素ランプ)を用いることができる。紫外線の光源は、有機化合物の種類やSO2、NH3など有機化合物に共存するガス状汚染物質の種類、あるいは共存物質によっては異なる作用をもたらす複数の波長を有するものが好ましい。例えば、水銀灯は、▲1▼オゾンの生成(酸素活性種生成のスタート物質の一つ)波長と、▲2▼該オゾンを分解し酸素活性種の生成を助長する波長を併用することができる。このような紫外線波長の例として、184nmと254nmの紫外線がある。これにより、主に、184nmで有機化合物やSO2、NH3など有機化合物に共存するガス状汚染物質の粒子化、254nmで発生オゾンの分解が行われる。該オゾンは、上記反応式に示したようにガス状汚染物質の粒子化を促進させる作用があるので好ましい。
また、放射線としてはα線、β線、γ線などが用いられ、照射手段としてコバルト60、セシウム137、ストロンチウム90などの放射性同位元素、又は原子炉内で作られる放射性廃棄物及びこれに適当な処理加工した放射性物質を線源として用いる方法、原子炉を直接線源として用いる方法、電子線加速器などの粒子加速器を用いる方法などを利用する。加速器で電子線照射を行う場合は、低出力で行うことで、高密度な照射が出来、効果的となる。加速電圧は、500kV以下、好ましくは、50kV〜300kVである。
本発明の方法では、微粒子化した汚染物質を光触媒と接触させる。接触には、付着、吸着が含まれる。本発明は、ウェハ等の基板の表面の接触角を増加させる汚染物質を除去することを目的とする。そして、かかる汚染物質は、ウェハ表面に限られず、光触媒にも付着し易い。また、微粒子化された汚染物質はブラウン運動等により光触媒に付着する。
本発明の方法では、光触媒に光を照射する。また、本発明の装置では、光触媒と、前記光触媒に光を照射する光源とを有する分解部を有する。
次に、光触媒について説明する。光触媒についての米国特許出願08/733,146号の開示は、本明細書に援用される。
光触媒は、光照射により励起され、酸化反応を促進するものであれば特に制限がない。光触媒は、有機化合物、有機ケイ素化合物、アンモニア等の塩基性ガスを酸化分解する。例えば、光触媒は、有機化合物を二酸化炭素、水等の低分子量の無害な物質に分解する。有機ケイ素化合物は、二酸化炭素、水等に分解する。ケイ素原子がSiO2にまで酸化分解されるかは必ずしも明らかではない。アンモニアは、窒素ガスに酸化分解すると思われる。
また、光触媒は、有機化合物等を二酸化炭素にまで酸化分解する必要はない。例えば、半導体ウェハ表面の接触角の増加防止に用いる場合には、有機化合物等を接触角の増加に関与しない化合物、即ち、半導体ウェハ表面に付着しても影響を及ぼさない安定な化合物に変換できればよい。
一方、光触媒は、硫黄酸化物、窒素酸化物等の酸性ガスも酸化すると思われる。例えば、硫黄酸化物(SOx)は、SO2にまで酸化され、空気中の水と反応し、硫酸を生成する可能性がある。微粒子化された酸性ガスについては、フィルタ、吸着材、光電子により、除去されることが好ましい。
光触媒の触媒活性成分は、半導体が好ましく、例えば、元素としてはSi、Ge、Se、化合物としてはAlP、AlAs、GaP、AlSb、GaAs、InP、GaSb、InAs、InSb、CdS、CdSe、ZnS、MoS2、WTe2、Cr2Te3、MoTe、Cu2S、WS2、酸化物としてはTiO2、Bi2O3、CuO、Cu2O、ZnO、MoO3、lnO3、Ag2O、PbO、SrTiO3、BaTiO3、Co3O4、Fe2O3、NiO、WO3、SnO2などが用いられる。酸化チタン、三酸化チタンストロンチウム、硫化カドミウム、酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化錫が好ましく、酸化チタン、三酸化チタンストロンチウム、酸化亜鉛が更になお好ましい。酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型の何れも用いることができる。
光触媒の触媒作用を向上するために、触媒活性成分にPt,Ag,Pd,RuO2,Co3O4等の助触媒を添加してもよい。助触媒は、一種類又は複数組合せて用いることができる。助触媒を添加する方法は、含浸法、光還元法、スパッタ蒸着法、混練法など周知手段を適宜用いることができる。
触媒活性成分は、表面積を増大するために、粒子形状を有していることが好ましい。例えば、助触媒が用いられる場合には、個々の粒子が光触媒及び助触媒からなる。
光触媒は、母材と、母材に担持された触媒活性成分を有することが好ましい。触媒活性成分は、母材表面へコーティングされることにより、又は、母材に包み込まれて若しくは挟み込まれることにより、固定することができる。母材の材質は、例えば、セラミック、フッ素樹脂、ガラス、ガラス状物質、各種金属であってもよい。母材の形状は、例えば、ハニカム状、金網状、繊維状、ロッド状、フィルタ状であってもよい。本明細書において、ハニカムというときには、貫通孔の断面形状には制限がない。貫通孔の断面は、例えば、円、楕円、多角形等であってもよい。
例えば、母材は、2以上の貫通孔を形成するための隔壁を有するハニカム構造体であってもよい。そして、ハニカム構造体の隔壁に粒子形状を有する光触媒を担持してもよい。ハニカム構造体は、セラミック製であってもよい。また、金属製の網構造の母材の表面にTiO2を被覆してもよい。更に、繊維状のガラス母材の表面にTiO2を被覆してもよい。また、後述するように、光源上表面への担持を行い、光源と光触媒を一体化して用いることもできる(特願平8−31231号)。本明細書に、特願平8−31231号の開示が援用される。
光触媒の母材上への担持は、ゾルーゲル法、焼結法、蒸着法、スパッタリング法、塗布による方法、焼付け塗装による方法など周知の方法を用いることができる。これらの母材の材質、形状、触媒活性成分の担持法は、装置の規模や形状、種類、光源の種類や形状、触媒活性成分の種類、希望する効果、経済性などにより適宜選択することが出来る。触媒活性成分を繊維等の線状物品にゾルーゲル法により担持する方法は、特開平7−256089号公報に記載されている。特開平7−256089号公報の開示は本明細書に援用される。
光触媒は、処理される気体が流れる空間中に設置してもよい。また、触媒活性成分は、処理される気体が流れる空間を構成する壁、床、天井等の表面に塗布されていてもよい。
光照射のための光源としては、光触媒が吸収する波長を発するものであれば制限がない。可視及び/又は紫外領域の光が効果的であり、紫外線ランプや太陽光を適宜用いることができる。例えば、殺菌ランプ、ブラックライト、蛍光ケミカルランプ、UV−B紫外線ランプ、キセノンランブがある。前記の放射線も適宜使用できる。用いる光触媒の材質、母材の材質、形状、添加物の有無、照射源の種類、処理気体中への設置の方法は、利用分野、装置の規模、形状、要求仕様などにより適宜予備試験を行い選択できる。
本発明において、有機化合物の粒子化及び該粒子化した粒子状物質が光触媒により分解する機構は、例えば空気中の有機化合物が数百種又は数千種以上の成分の混合物と言われていることから詳細は不明な点が多いが一般に次のように考えられる。
空気中の有機化合物は、紫外線及び/又は放射線照射による有機化合物自体の活性化、及び水分が共存する場合は、その濃度がわずかであっても水分からのOHラジカルの生成や、水分によるイオン核生成反応が生じ、これらの多数の複雑な反応の結果として、それらが会合して、微粒子化する。また、極低濃度の有機化合物であっても効果的に反応が起こる。例えば、シロキサン、DOP、DBP等のフタル酸エステルは、容易に微粒子化される。
光触媒の表面は、光及び/又は放射線照射により活性化されている。そして、ウェハ等の基板に付着し易い汚染物質は、光触媒にも付着し易い。例えば、フタル酸エステルなどの有機化合物は、親水性を有するので、活性面があると付着しやすい。また、粒子化により濃縮されているので、光触媒表面に一層、付着し易い。そして、汚染物質は、光触媒表面で低分子量の安定な形態に分解される。
クリーンルームでは、得られる清浄気体は有機化合物が分解され、ウェハやガラス基板上には付着しないか、又は付着しても疎水性を示さない(接触角は増加しない)。すなわち、ウェハやガラス基板を、本発明で得られる清浄気体に暴露しておくと、該基板上の接触角は増加しない。
上記のように、有機化合物の種類は多成分に及ぶので、これらの成分を全て分析・評価することは、実用上困難である。また、基板への汚染は、それぞれの表面の活性度(例、成膜成分の種類)に依存する。即ち、基板表面の状態によって汚染物は変化し得る。敏感な基板は汚染物の影響の度合が大きい。通常本発明の手段により、非メタン有機化合物を指標として、これを0.2ppm以下、好ましくは0.1ppm以下まで除去することが好ましい。
これは、非メタン有機化合物の濃度測定は、ガスクロマトグラフィー(GC)法で容易にできるが、クリーンルームで問題となるシロキサン、DOPなどの基板に付着する成分(実際に問題になる物質)の測定・分析は、その濃度がたかだか1ppbのような極低濃度であるので、複雑で手間がかかり、モニターが困難であるためである。
本発明では、紫外線及び/又は放射線を照射するので、気体に酸素を含む場合には、オゾンを発生する。この場合には、利用分野によっては周知のオゾン分解材を用い、オゾンを除去することが好ましい。例えば、シリコン基板の製造において、オゾンが存在する場合には、シリコン基板の表面が二酸化シリコンに酸化される。
オゾン分解材としては、本発明者が先に提案した複合酸化物系触媒、例えば二酸化マンガン系触媒、MnO2/TiO2−C、MnO2/ZrO−C等を用いることができる(特開平6−190236号公報)。また、周知の活性炭も好適に用いることができる。ここで、オゾン分解材についての特開平6−190236号公報の開示は、本明細書に援用される。
本発明で用いる光触媒では、オゾンも同時に分解されるが、発生したオゾン濃度が高い場合、あるいはリークオゾン濃度の許容値が低い場合などでは、適宜前記のオソン分解材を用いるのが好ましい。
本発明の方法では、気体から微粒子化した汚染物質を除去する工程を更に有することが好ましい。本発明の装置では、微粒子化した汚染物質を除去するための除去部を有することが好ましい。具体的には、微粒子化した汚染物質をフィルタ、吸着材、光電子による荷電により、捕集、除去することが好ましい。この除去工程では、主として微粒子化された硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、アンモニア(NH3)など、有機化合物以外のガス状汚染物質の捕集・除去が行われる。また、
本発明では、酸性ガス、塩基性ガス及び微粒子が除去されることが好ましい。この除去は、例えば、フィルタ、吸着剤、光電子による荷電及び荷電した汚染物質の捕集、並びに、イオン交換物質の何れか1種以上で行うことができる。また、微粒子化された有機化合物、有機ケイ素化合物も、この除去手段で除去することができる。
フィルタによる方式においては、用いるフィルタはHEPAフィルタ、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタ、静電フィルタ、エレクトレット材、イオン交換フィルタ等がある。この内、イオン交換フィルタは、微粒子化しないで一部流出する有毒ガス、臭気性ガス等がある場合も捕集できるので適用分野によっては好ましい。
吸着材による方式においては、吸着剤は、活性炭、シリカゲル、合成ゼオライト、モレキュラシーブ、アルミナ、また本発明者らが非メタン有機化合物の捕集用にすでに提案したガラスとフッ素樹脂を用いた吸着材も好適に使用できる(特開平6−324号公報)。吸着剤についての特開平6−324号公報の開示は、本明細書に援用される。本発明では、汚染物質が紫外線等により粒子化されているので、ガス状のままでは除去し難いガス状汚染物質が本吸着材により効果的に除去される。
UV/光電子による方式においては、微粒子を光電子放出材から放出させた光電子により荷電し、荷電微粒子として捕集・除去するものである。UV/光電子による方式は、本発明者の提案を適宜用いることができる。荷電微粒子として除去する方法について、特公平3−5859号、特公平6−34941号、特公平6−74909号、特公平6−74910号、特公平8−211号、特公平7−121369号、特公平8−22393号が本明細書に援用される。
光電子放出材は、紫外線照射により光電子を放出するものであれば何れでも良く、光電的な仕事関数が小さなもの程好ましい。効果や経済性の面から、Ba,Sr,Ca,Y,Gd,La,Ce,Nd,Th,Pr,Be,Zr,Fe,Ni,Zn,Cu,Ag,Pt,Cd,Pb,Al,C,Mg,Au,In,Bi,Nb,Si,Ti,Ta,U,B,Bu,Sn,Pのいずれか又はこれらの化合物又は合金又は混合物が好ましく、これらは単独で又は二種以上を複合して用いられる。複合材としては、アマルガムの如く物理的な複合材も用いうる。
例えば、化合物としては酸化物、ほう化物、炭化物があり、酸化物にはBaO・SrO,CaO,Y2O5,Gd2O3,Nd2O3,ThO2,ZrO2,Fe2O3,ZnO,CuO,Ag2O,La2O3,PtO,PbO,Al2O3,MgO,ln2O3,BiO,NbO,BeOなどがあり、またほう化物には、YB6,GdB6,LaB6,NdB6,CeB6,BuB6,PrB6,ZrB2などがあり、さらに炭化物としてはUC,ZrC,TaC,TiC,NbC,WCなどがある。
また、合金としては黄銅、青銅、リン青銅、AgとMgとの合金(Mgが2〜2Owt%)、CuとBeとの合金(Beが1〜10wt%)及びBaとAlとの合金を用いることができ、上記AgとMgとの合金、CuとBeとの合金及びBaとAlとの合金が好ましい。酸化物は金属表面のみを空気中で加熱したり、或いは薬品で酸化することによっても得ることができる。
さらに他の方法としては使用前に加熱し、表面に酸化層を形成して長期にわたって安定な酸化層を得ることもできる。この例としてはMgとAgとの合金を水蒸気中で300〜400℃の温度の条件下でその表面に酸化膜を形成させることができ、この酸化薄膜は長期間にわたって安定なものである。
また、本発明者が、すでに提案したように光電子放出材を多重構造としたものも好適に使用できる。光電子放出材について、特開平1−155857号公報の開示が本明細書に援用される。また、適宜の母材上に、薄膜状に光電子放出し得る物質を担持し、使用することもできる。本例はガラス母材上にAuを薄膜状に担持して用いる例である。
これらの材料の使用形状は、板状、プリーツ状、曲面状、網状等何れの形状でもよいが、紫外線の照射面積及び空気との接触面積の大きな形状のものが好ましい。
光電子放出材からの光電子の放出は、本発明者がすでに提案したように、反射面、曲面状の反射面等を適宜用いることで効果的に実施することが出来る。本明細書に、光電子放出材についての特公平6−34941号の開示が援用される。また、後述する紫外線ランプの上に光電子放出材を被覆し、一体化した光電子放出装置を用いることもできる。光電子放出装置についての特開平4−24354O号の開示が本明細書に援用される。光電子放出材や反射面の形状は、装置の形状、構造あるいは希望する効率等により異なり、適宜決めることができる。
紫外線の種類は、その照射により光電子放出材が光電子を放出しうるものであれば何れでも良く、通常、水銀灯、水素放電管、キセノン放電管、ライマン放電管などを適宜使用出来る。適用分野によっては、殺菌(滅菌)作用を併せてもつものが好ましい。紫外線の種類は、適用分野、作業内容、用途、経済性などにより適宜決めることができる。例えば、バイオロジカル分野においては、殺菌作用、効率の面から遠紫外線を併用するのが好ましい。例えば、殺菌ランプ(254nmが主な波長)を用いると本発明の荷電に、殺菌(滅菌)作用が加わり好ましい。該紫外線源としては、紫外線を発するものであれば何れも使用でき、適宜分野、装置の形状、構造、効果、経済性等により適宜選択し用いることができる。
光電子による微粒子の荷電は、電場において光電子放出材に紫外線照射することにより効率良く実施される。電場における荷電については、特開昭61−178050号、特開昭62−244459号各公報及び特願平1−120563号の開示が本明細書に援用される。本発明の電場は、0.1V/cm〜5kV/cmであり、好適な電場の強さは、利用分野、条件、装置形状、規模、効果、経済性等で適宜予備試験や検討を行い決めることが出来る。
光電子による荷電は、微細な超微粒子(例、<0.1μm)でも高効率で荷電されるので、該微粒子の捕集・除去が効率良く実施できる。微粒子の該荷電は、荷電にあたり微粒子の粒径を大きく成長させて行うこともできる。微粒子の粒径を大きくし、荷電する方法については、本発明者がすでに提案しており(特願平1−120564号)、適用分野により適宜微細な微粒子の荷電に利用できる。
荷電微粒子の捕集材は、荷電微粒子が捕集できるものであればいずれでも使用できる。通常の荷電装置における集じん板(集じん電極)や静電フィルタ方式が一般的であるが、スチールウールあるいは、タングステンウールのようなウール状物質を電極(ウール状電極材)としたような捕集部自体が電極を構成する構造のものも有効である。エレクトレット材も好適に使用できる。また、本発明者がすでに提案したイオン交換フィルタ(繊維)も適用分野によっては有効である。イオン交換フィルタは、本方法で捕集困難な共存するガス状汚染物質、臭気性ガス等も捕集できるので、適用分野によっては好ましい。これらの捕集材は、適用分野、装置規模、形状、経済性等により、適宜1種類又は2種類以上組合せて用いることができる。
次に、イオン交換物質は、支持体の表面にイオン交換体又はイオン交換基が結合しているものをいう。イオン交換体としては、陽イオン交換体と陰イオン交換体とがあり、両者を併有することが好ましい。イオン交換基としては陽イオン交換基と陰イオン交換基とがあり、両者を併有することが好ましい。
イオン交換物質は、イオン交換繊維であることが好ましく、イオン交換繊維は、支持体が繊維からなる。繊維としては、天然繊維もしくは合成繊維又は、これらの混合体が用いられる。
以下、イオン交換繊維の場合を主に説明する。イオン交換体を支持体たる繊維に支持させる方法としては、繊維状の支持体に直接支持させてもよく、織物状、編物状又は植毛状の形態にしたのち、これに支持させることもできる。いずれにしても最終的にイオン交換体を支持した繊維となっていればよい。
本発明に用いる、イオン交換繊維の製法として、グラフト重合特に放射線グラフト重合法を利用して製造したイオン交換繊維が好適である。種々の材質及び形状の素材を利用することができるからである。
さて、前記天然繊維としては羊毛、絹等が通用でき、合成繊維として炭化水素系重合体を素材とするもの、筈フッ素系重合体を素材とするもの、あるいはポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、セルロース、酢酸セルロースなどが適用できる。
前記炭化水素系重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン等の脂肪族系重合体、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等の芳香族系重合体、ポリビニルシクロヘキサン等の脂環式系重合体あるいはこれらの共重合体が用いられる。また、前記含フッ素系重合体としては、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、四フッ化エチレンほ六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体等が用いられる。
いずれにしても、前記支持体としてはガス流との接触面積が大きく、抵抗が小さい形状で、容易にグラフト化が行え、機械的強度が大で、繊維くずの脱落、発生や熱の影響が少ない材料であれば良く、使用用途、経済性、効果等を考慮して適宜に選択出来るが通常、ポリエチレンが一般的でありポリエチレンやポリエチレンとポリプロピレンとの複合体が特に好ましい。
次に、前記イオン交換体としては、特に限定されることなく種々の陽イオン交換体又は陰イオン交換体が使用できる。例えば、カチオン交換の場合を例にとると、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基などの陽イオン交換基含有体、第一級〜第三級アミノ基、第四アンモニウム基などの陰イオン交換基含有体、あるいは上記陽及び陰両者のイオン交換基を併有するイオン交換体が挙げられる。
貝体的には、前記繊維上に例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニルベンゼンスルホン酸、スチレン、ハロメチルスチレン、アシルオキシスチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン等のスチレン化合物、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルイミダゾール、アクリロニトリルをグラフト重合させた後、必要に応じ硫酸、クロルスルホン酸、スルホン酸などを反応させることにより陽又は陰イオン交換基を有する繊維状イオン交換体が得られる。また、これらのモノマーはジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ブタジエン、エチレングリコール、ジビニルエーテル、エチレングリコールジメタクリレート、などの2個以上の2重結合を有するモノマーの共存下に繊維上にグラフト重合させてもよい。
この様にして、イオン交換繊維が製造される。イオン交換繊維の直径は、1〜1000μm、好ましくは5〜200μmであり、繊維の種類、用途等で適宜決めることが出来る。
これらのイオン交換繊維の内、陽イオン交換基と陰イオン交換基の用い方は、対象処理気体中の被除去成分の種類や濃度によって決めることができる。例えば被除去成分を予め測定・評価し、それに見合うイオン交換繊維の種類と量を用いれば良い。アルカリ性ガスを除去したい場合は、陽イオン交換基(カチオン交換体)を有するもの、また、酸性ガスを除去したい場合は陰イオン交換基(アニオン交換体)を有するもの、また両者の混合ガスでは陽と陰の両方の交換基を有する繊維を用いることができる。
イオン交換繊維への気体の流し方として、フィルタ状イオン交換繊維に直交して流すと効果的である。
イオン交換繊維への気体を流す流速は、予備試験を行い適宜に決めることができるが、該繊維は除去速度が早いので、通常SVとして、1000〜10万(h-1)程度で用いることができる。イオン交換繊維は本発明者らが先に提案したように、放射線グラフト重合で製造したものを用いると、特に効果が高いので好ましく、適宜用いることができる(特公平5−9123号、特公平5−67325号、特公平5−43422号、特公平6−24626号)。
イオン交換繊維はイオン性物質(成分)の捕集に効果的であり、本発明の対象とするイオン性物質を効率良く捕集・除去できる。
特に、放射線グラフト重合により製造されたイオン交換フィルタ(繊維)は、前記支持体への照射が奥部まで均一になされるため、イオン交換体(アニオン又/及びカチオン交換体)が広い面積(高密度に付加)に、しっかり(強固)と付加されるので、交換容量が大きくなり、かつ低濃度イオン性物質が、早い速度で高効率に除去できる効果があり、実用的に有効である。
また、放射線グラフト重合による製造は、製品に近い形状でできること、室温でできること、気相でできること、グヲフト率大にできること、不純物の少ない吸着フィルタができることなどの利点がある。
このため、次のような特徴を有する。
▲1▼ 放射線照射によるグラフト重合で製造したイオン交換繊維には、イオン交換体(吸着機能の部分)が均一に多く付加(付加密度が高い)するので吸着速度が早く、かつ吸着量が多い。
▲2▼ 圧力損失が少ない。
微粒子の捕集・除去方式は、発生する微粒子の性状によって、1種類あるいは2種類以上を、予備試験を行い適宜組合せて用いることができる。
上記した微粒子化(照射源、微粒子の発生のさせ方、条件など)、及び微粒子の捕集・除去(捕集方式、条件など)の構成は、適用分野、気体の種類、装置形状、規模、要求性能、経済性などにより適宜予備試験を行い決めることができる。
本発明において、微粒子化した汚染物質が除去される場合には、本発明の実施態様としては、例えば、次の6種類(1)〜(6)が挙げられる。
(1)A→B→C
(2)A→B→A→C
(3)A→C→A→B
(4)A→C→B
(5)A→B+C
(6)A+B→C
(上記実施態様において、
要素Aは、気体に紫外線及び/又は放射線を照射する工程、又は、紫外線及び/又は放射線を照射する源を有する微粒子化部を示し;
要素Bは、微粒子化した汚染物質を光触媒と接触させる工程及び微粒子化した汚染物質が接触している光触媒に光を照射する工程、又は、光触媒と、光触媒に光を照射する光源とを有する分解部を示し;そして
要素Cは、気体から微粒子化した汚染物質を除去する工程、又は、微粒子化した汚染物質を除去するための除去部を示す。もっとも、要素Cは、本発明の必須の構成要素ではない。
→は、各要素が行われる時系列又は各要素が上流から下流に配置される順序を示す。
+は、各要素が同時に行われること又は各要素が同時に二つの機能を有することを示す。)
これらの実施態様の選択は、適用分野、装置の種類、処理気体の条件、要求される除去性能、経済性などにより、適宜予備試験や検討を行い、決めることができる。
通常、(a)装置が大型の場合は、(2)、(3)>(1)、(4)>(5)の順で好ましい。
(b)有機化合物濃度が比較的他のガス状汚染物質に比べて高い場合は、(1)又は(2)が良い。
(c)硫黄含有化合物のような長時間の運転で光触媒に触媒毒となる成分が高濃度共存する場合は、(3)又は(4)が良い。
(d)要求除去性能が高い場合は、(2)又は(3)が良い。
(e)装置が小型の場合は、(5)又は(6)が良い。
また、要素Cが、要素A及びBより先に行われてもよい。この場合には、光触媒に悪影響を与えかねない酸性ガスを予め除去することができるので好ましい。かかる酸性ガスとしては、例えば、SO2、NO、HCl、HFが挙げられる。また、硫黄酸化物、硫化水素、チオフェン、チオールのような硫黄含有化合物も、高濃度のときに、光触媒の触媒毒として作用する場合があった。
実施例
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
図1は、本発明を半導体製造工場におけるエアーナイフ用の供給空気の浄化に適用した例である。図1では、本発明の清浄化装置12が、クラス1,000のクリーンルーム1の内部に配置されている。
まず、クリーンルーム1の内部に空気14を供給する装置について説明する。外気を導入するための配管2が、外気中の粗い固体粒子を濾過するプレフィルター3に接続されている。プレフィルター3及びクリーンルーム1からの空気取り出し口4が、空気をクリーンルーム1に送り込むためのファン5に接続されている。ファン5は、空気の温度及び湿度を調節するための空気調和装置6に接続している。空気調和装置6からの配管は枝分かれしており、その各々に微細な固体粒子を除去するためのHEPAフィルター7が接続している。HEPAフィルターは、例えば、クリーンルーム1の内部空間に接触する位置に設けられており、好ましくは、クリーンルームの天井に設けられている。クリーンルーム1の下部には、空気の取り出し口4が設けられている。
クリーンルーム1に導入される外気2は、まず粗フィルタ3と空気調和器6で処理される。次いで、空気はクリーンルーム1に入る際にHEPAフィルタ7によって除塵されて、極低濃度の有機化合物30が共存するクラス1000の濃度の空気14となる。すなわち、主に自動車やプラスチックなど有機物より成る材料(高分子材料)から発生した極低濃度の有機化合物は、粗フィルタ3、空気調和器6及びHEPAフィルタ7では除去されないため、クリーンルーム1内に導入されてしまう。また、クリーンルーム1内ではその構成材などから、有機化合物が発生している。このため、クリーンルーム1内の有機化合物濃度は外気中よりも高くクリーンルームの空気14中の有機化合物の濃度は非メタン炭化水素で、例えば、0.8〜1.2ppmである。
本発明の清浄化装置12は、横方向に配置されていることが好ましい。これにより、空気14がその内部を横方向に流れることができる。また、清浄化装置12の空気排出口より空気が排出される方向に、エアーナイフ装置29の空気導入口が設けられることが好ましく、エアーナイフ装置29の空気排出口から空気が排出される方向に、クリーンルーム1の空気取り出し口4が設けられていることが好ましい。
図1で、空気14は、HEPAフィルター7を介して、クリーンルーム1の上部から下に向かって、クリーンルーム1に供給される。そして、空気14は、清浄化装置12の内部を横方向に通過し、除塵され、かつ、有機化合物が分解された清浄な空気28となる。そして、清浄な空気28がウェハを洗浄するためのエアナイフ29に供給される。エアナイフ29から排出された空気は、クリーンルームの下部の取り出し口4から排出される。
図1では、清浄化装置12は、塵を除去するための粗フィルタ25aと、微粒子化部8と、分解部26と、粗フィルタ25bと、オゾン分解部27とを有し、この順序に配置されている。
清浄化装置12は、粗フィルター25aを有することが好ましい。クリーンルーム内1で塵が発生した場合には、その塵により光触媒32が汚染され性能が劣化する。そこで、粗フィルタ−25aがかかる塵を除去する。
微粒子化部8は、ハウジングと、ハウジングの内部の紫外線ランプ15を有する。紫外線ランプとしては、例えば、低圧水銀灯15が用いられる。
紫外線ランプ15による紫外線の照射により、空気14中のウェハなど基板に付着すると接触角を増加させる有機化合物30は粒子状物質16に変換される。また、紫外線の照射により、空気中の酸素ガスがオゾンガスに変換する。
分解部26は、紫外線ランプ31と、空気が流れる方向に紫外線ランプを挟む一対の光触媒32を有する。図1では、光触媒32は、2以上の貫通孔を形成する隔壁を有するハニカム構造体と、粒子形状の触媒活性成分とを有する。触媒活性成分として、二酸化チタンが用いられ、粒子形状の二酸化チタンがハニカム構造体の隔壁に被覆されている。ハニカム構造体の貫通孔方向の長さは、系方向の長さより小さいことが好ましい。紫外線が隔壁で遮られ難くするためである。
有機化合物を含む空気は、ハニカム構造体の貫通孔を通過して、分解部26に導入される。空気14が、光触媒32のハニカム構造体の貫通孔を通過する際に、空気14中の粒子状物質16がハニカム構造体の隔壁の表面の粒子形状の触媒活性成分に接触する。一方、光触媒32は、紫外線ランプ31の照射を受けて、活性化されている。そして、粒子状物質は、触媒作用により分解される。ここで有機化合物が、非メタン有機化合物を指標として0.2ppm以下、好ましくは0.1ppm以下にまで分解される。これにより、ウェハの接触角を増加する分子量の大きい有機化合物及び活性な有機化合物は接触角が増加しない分子量の小さい有機化合物もしくは二酸化炭素や水に分解される。
除塵フィルタ25bとしては、例えば、ULPAフィルタが用いられる。ULPAフィルタにより、クリーンルーム内のクラス1,000の濃度の微粒子がクラス10以下まで除去される。また、除塵フィルタ25bは、緊急時に、有機化合物の粒子化部8もしくはその周辺からの流出微粒子を効率良く捕集する。
オゾン分解材27は、2以上の貫通孔を形成する隔壁を有するハニカム形状を有することが好ましい。紫外線ランプ15の照射により発生するオゾンは、光触媒32及びオゾン分解材27により、0.01ppm以下まで分解される。半導体工場では、オゾンの流出は問題となるので、2段のオゾン分解により、通常の空気中の濃度以下にまで分解される。
実施例2
実施例2について、図2を参照して説明する。
図2では、図1に示すクラス1,000のクリーンルーム1の内部にウェハ保管庫、即ち、ウェハ収納ストッカー36が配置され、保管庫36の内部に清浄化装置12が位置する。清浄化装置12は、紫外線照射による有機化合物の微粒子化部8、微粒子化された有機化合物I6の光触媒による分解部26、及びオゾン分解部27を有する。保管庫36内の有機化合物30を含む空気14は、本発明の清浄化装置12により処理され、清浄空気28となる。この空気28は有機化合物が0.01ppm以下まで分解され、ウェハ表面の接触角の増加をもたらさない。
以下、本例を詳細に説明する。
保管庫36内の有機化合物30を含む空気14は、先ず紫外線ランプ(低圧水銀灯)15の照射を受け、粒子状物質16に変換される。該粒子状物質16は、紫外線ランプ(殺菌ランプ)31の照射を受けた光触媒(周囲の壁面及びガラスロッド上に担持して固定)32の表面に付着し、光触媒作用により分解・除去され、清浄化空気28が得られる。
図2では、光触媒32は、2以上のガラスロッドと、各々のガラスロッドの表面に塗布された、粒子形状の酸化チタンとを有する。かかる光触媒が吊り下げられている。また、壁面にも光触媒が塗布されている。即ち、粒子形状の酸化チタンが適当な溶媒を分散して、壁面に塗布されている。
ウェハ保管庫36には、保管庫36の開閉により保管庫36が設置されたクラス1,000のクリーンルーム内空気が入る。この空気には、有機化合物が非メタン有機化合物として0.8〜1.5ppmを含有する。該有機化合物を含む空気は、空気の流れ33a、33b、33cにより光触媒32に接触し、粒子化された分子量の大きい有機化合物及び活性な有機化合物が効果的に二酸化炭素や水に分解される。有機化合物は、非メタン有機化合物を指標として、0.1ppm以下となるまで分解される。
紫外線ランプ15、31の照射により、温度が上昇し、対流が起こる。この対流により、装置12の下部から上部に向かって空気が流れ、更に、装置12の外側での空気の流れ33a、33b、33cが起こる。
また、装置12の内部の空気の流れも、分子レベルではブラウン運動が起こるので、汚染物質は、ガラス棒、又は、壁面に衝突して、微粒子化した有機化合物が光触媒に接触することになる。更に、汚染物質は、ウェハに付着し易いものなので、光触媒にも付着する。
このようにして、ウェハケース35にセットされたウェハ34が収納される部分は、効果的に清浄化される。
粒子化用の紫外線ランプ15の照射による発生オゾンは、前述光触媒32、及びハニカム状オゾン分解材27にて、0.01ppm以下まで分解・除去される。
図2の記号において、図1と同じものは、同じ意味を示す。
実施例1及び2では、気体が空気の場合について説明したが、窒素やアルゴンなど他の気体中に有機化合物等のガス状汚染物質が不純物として含まれる場合も、本発明を同様に実施できることは言うまでもない。本発明は、大気圧に限られず、加圧下、減圧下にも適用できる。
実施例3
実施例2における清浄化装置12の別のタイプのものを図3に示す。図3においては、図2のオゾン分解材27と、光触媒による分解部26の位置が逆に設置されており、粒子化部8の次にオゾン分解材27が設置されいる。このような配置でも、図2と同様の作用・効果を有する。
実施例4
図2に示した構成の保管庫に下記試料ガスを入れ、ウェハを収納し、ウェハ上の接触角、保管庫内の非メタン有機化合物濃度及びオゾン濃度を測定した。
試験条件
(l)試料ガス: クラスl0の半導体工場の空気であって、非メタン有機化合物濃度が0.8〜l.2ppmであるもの。
(2)保管庫大きさ: 30リットル
(3)粒子化用紫外線ランプ: 低圧水銀灯(184nm)
(4)光触媒: 二酸化チタンをガラス繊維状母材上にゾルーゲル法を用い担持した。
(5)光源: 殺菌灯(254nm)(光触媒照射用)
(6)オゾン分解材: ハニカム形状の複合酸化物系触媒、MnO2/ZrO−C
即ち、オゾン分解材は、2以上の貫通孔を形成する隔壁を有するハニカム構造体と、ハニカム構造体の隔壁の表面に被覆した酸化マンガンとを有する。ハニカム構造体は、実質的に酸化ジルコニウムと炭素原子とからなる。炭素原子の少なくとも一部は、炭化ジルコニウムとなっている可能性もある。酸化マンガンは、例えば、粒子形状を有している。かかる粒子が、ハニカム構造体の隔壁の表面全てに被覆する必要はない。
(7)ウェハ; 直径5インチの高純度シリコンウェハをlcm×8cmのサイズに切断して、保管庫内に設置した。
(8)ウェハの前処理: クリーンルームの内部のクリーンベンチで、洗剤とアルコールで洗浄後、UV/O3洗浄を行った。
(9)接触角の測定: 協和界面科学(株)製、CA−D型接触角針による測定
(10)非メタン有機化合物濃度: ガスクロマトグラフィー(GC)法による測定。
(11)オゾン濃度; 化学発光式オゾン濃度計による測定。
(12)保管庫の開閉: 保管庫を半導体工場のクリーンゾーン(クラス10)に設置し、1日6回保管庫を開閉した。
結果
(1)ウェハの保管庫内への収納日数に対するウェハ上の接触角を図4に示す。
図4中、○印は、本発明の値、●印は(比較用の)試験を行ったクラス10のクリーンルームの空気に暴露した値である。↓は検出限界以下を示す。
(2)保管庫内の非メタン有機化合物濃度及びオゾン濃度を表1に示す。
向、粒子化用紫外線の点灯により発生するオゾン濃度は15〜20ppmであった。
(3)保管庫内に本発明のユニットの設置がない時、2日後及び7日後に保管庫内のウェハを取り出し、加熱してウェハ上に付着した有機化合物を脱離させ、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)法で測定したところ、DOP等のフタル酸エステルを検出した。ユニットを設置した場合について、同様に調べたが、検出しなかった。
実施例5
図5は、本発明の方法を半導体製造工場におけるエアナイフ用の供給空気の浄化に適用した例である。図5の清浄化装置12は、図1の清浄化装置12と異なって、粒子状物質の除去部Cを更に有する。
図5において、1はクラス100のクリーンルームであり、クリーンルームにおける空気14が、紫外線照射による有機化合物、及び有機化合物に共存するSO2などのガス状汚染物質の微粒子化部8(A)、該微粒子化有機化合物の光触媒による分解部26(B)、オゾンの分解部27及び光電子を用いる該微粒子化粒子状物質の捕集部9、10(C)より成る本発明の清浄化装置12によって、クリーンルーム1内で処理される。空気14は本発明の装置12を通過した後には、除塵され、かつ有機化合物及び有機化合物に共存するガス状汚染物質が除去された清浄な空気28となっていて、ウェハ(基板)を洗浄するためのエアナイフ装置29へ供給される。
本例は上記のことく次の装置形態を有する。
紫外線照射による微粒子化部(A)→微粒子化した有機化合物の光触媒による分解部(B)→微粒子化した粒子状物質の捕集・除去(除塵)部(C)。
以下、本例を詳紬に説明する。クリーンルーム1内に入る前の外気2は、まず粗フィルタ3と空気調和器6で処理される。次いで空気はクリーンルーム1に入る際にHEPAフィルタ7によって除塵されて、クラス100の微粒子の濃度の空気14となる。空気14は、極低濃度の有機化合物30a、並びに、酸性ガスとしてのSOx、NOx、HCl、HF及び塩基性ガスとしてのNH3、アミン類などからなるガス状汚染物質30bが共存する。酸性ガス及び塩基性ガスは、外気2より導入される空気中に含まれるため、クリーンルーム1内に導入される。酸性ガス及び塩基性ガスは、クリーンルーム1内での発生は少ない。クリーンルームの空気14中の有機化合物の濃度は非メタン有機化合物で0.8〜1.2ppmである。
クリーンルーム1の空気14は、有機化合物30a、並びに、酸性ガス及び塩基性ガス30bが紫外線ランプ(低圧水銀灯)15の照射により粒子状物質16に変換される(A)。
該粒子状物質16の内、有機化合物30a及び塩基性ガスに起因するものは、光触媒(TiO2)の表面に付着されやすいので紫外線ランプ31の照射を受け、活性化された光触媒32の表面に付着し、光触媒作用により分解・除去される(B)。
一方、該粒子状物質16の内、酸性ガスに起因するものは、光触媒32では分解され難いので、光触媒による分解部Bを通過し、後方の紫外線ランプ19、光電子放出材20、電極21(粒子状物質の荷電部9)、荷電粒子状物質の捕集材10より成る光電子による捕集・除去部(C)にて捕集・除去される。
光電子による捕集・除去部(C)では、流入した粒子状物質16を、光電子放出材20から放出される光電子(図示せず)により荷電し、該荷電粒子状物質を荷電粒子状物質の捕集材10により捕集・除去が行われる。光電子放出材20は、紫外線ランプ19上に被覆され、電極21との間に50V/cmの電界を形成することにより、光電子が効率良く放出される。
ここでは、該有機化合物を含む空気は、光触媒(二酸化チタンをハニカム形状のセラミック製母材の隔壁にコーティングしたもの)32と紫外線ランプ(殺菌ランプ)31によって構成される有機化合物分解部26(B)に導入され、ここで有機化合物が非メタン有機化合物を指標として0.2ppm以下、好ましくは0.1ppm以下にまで分解される。
これにより、接触角増加に関与する分子量の大きい有機化合物及び活性な有機化合物は接触角が増加しない分子量の小さい有機化合物もしくは二酸化炭素や水に分解される。
また、上記酸性ガス、塩基性ガスは、クリーンルーム14空気中の濃度に対して、1/10以下まで低減される。これをSO2を指標で表わすと、クリーンルーム1内の平均濃度0.01ppm(10ppb)が1ppb以下となる。
ここで、クラス100のクリーンルーム空気14中の微粒子は、上記光電子による捕集・除去部(C)にて、上記のごとくガス状汚染物質からの粒子状物質16とともに、同様にして荷電・捕集される。これより、本発明の装置12で得られる空気28は、有機化合物成分や、有機化合物に共存するガス状汚染物質が除去されたクラス1よりも清浄な超清浄空気となる。
粒子化用の紫外線ランプ15の照射による発生オゾンは、前述光触媒32、及びハニカム状オゾン分解材27にて、0.01ppm以下まで分解される。
すなわち、半導体工場では、オゾンの流出は問題となるので、2段のオゾン分解により、通常の空気中濃度以下にまで、分解、処理される。
図5において、4はクリーンルーム1の空気取り出し口、5はファンである。
実施例6
実施例5のクラス100のクリーンルーム1におけるエアナイフ用の供給空気の浄化に適用した別の形態の例を図6に示す。
図6は、実施例5(図5)における本発明の装置12において、微粒子化した有機化合物の光触媒による分解部(8)の後方に、更に紫外線照射による微粒子化部(A)を設置した場合である。
即ち、本例の装置の形態はA→B→A→Cである。
この様な構成により、酸性ガスは、再度粒子化を受けるので、捕集部で除去され易くなる。クリーンルーム空気14中の該ガス状汚染物質が実施例1に比べて更に高効率に除去され、入口濃度が1/50以下まで低減される。
図6の引用番号で、図5と同一の引用番号は、同じ意味を示す。
実施例7
実施例5のクラス100のクリーンルーム1におけるエアナイフ用の供給空気の浄化に適用した別の形態の例を図7に示す。
図7では、装置の形態はA→C→A→Bである。かかる装置は、酸性ガス又は塩基性ガスが高濃度の場合に有効であり、例えば、クリーンルーム1内で酸清浄やアルカリを扱う作業を行う場合である。
図7では、ガス状汚染物質を微粒子化し(A)、次いで、微粒子化した粒子状物質を捕集、除去する(C)。これにより、酸性ガス及び塩基性ガスの濃度を低減させることができる。
そして、再度、有機化合物等のガス状汚染物質を微粒子化し(A)、そして、有機化合物及び塩基性ガスに起因する微粒子化物質を光触媒で分解する(B)。25bは、緊急時などにおいて、上流より流出する微粒子(粒子状物質)がある場合の捕集用のHEPAフィルタである。
高濃度の酸性ガス又は塩基性ガスは、光触媒の分解部(B)の前方で捕集・除去されるので、光触媒32への触媒毒になるような酸性ガス等が除去される。これにより、長時間安定した運転ができる。
本装置により有機化合物は、非メタン有機化合物を指標として0.1ppm以下まで分解される。またガス状汚染物質はSO2を指標として表わすと、上記作業により100〜500ppbのSO2が発生するが本装置により1ppb以下まで除去される。
図7の引用番号で、図5と同一の引用番号は、同じ意味を示す。
実施例8
実施例5のクラス100のクリーンルーム1におけるエアナイフ用の供給空気の浄化に適用した別の形態の例を図8に示す。
図8では、装置の形態はA→C→Bである。かかる装置は、酸性ガス又は塩基性ガスが高濃度の場合に有効である。
図8では、ガス状汚染物質を微粒子化し(A)、次いで、微粒子化した粒子状物質を捕集、除去する(C)。これにより、酸性ガス及び塩基性ガスの濃度を低減させることができる。そして、有機化合物及び塩基性ガスに起因する微粒子化物質を光触媒で分解する(C)。25bは、緊急時などにおいて、上流より流出する微粒子(粒子状物質)がある場合の捕集用のHEPAフィルタである。
高濃度の酸性ガス又は塩基性ガスは、光触媒の分解部(B)の前方で捕集・除去されるので、光触媒32への触媒毒になるような酸性ガス等が除去される。これにより、長時間安定した運転ができる。
本装置により有機化合物は、非メタン有機化合物を指標として0.1ppm以下まで分解される。またガス状汚染物質については、SO2を指標として表わすと、上記作業により100〜500ppbのSO2が発生するが、本装置により1ppb以下まで除去される。
図8の引用番号で、図5と同一の引用番号は、同じ意味を示す。
実施例9
実施例5のクラス100のクリーンルーム1におけるエアナイフ用の供給空気の浄化に適用した別の形態の例を図9に示す。
図9は、実施例5(図5)における本発明の装置12において、微粒子化した有機化合物及び塩基性ガスの光触媒による分解部(B)と、微粒子化した上記酸性ガスや塩基性ガスの光電子による捕集・除去部(C)を一体化(B+C)したものである。
即ち、本例の装置の形態はA→B+Cである。
クリーンルーム1の空気14は、有機化合物30a、並びに、酸性ガス及び塩基性ガス30bが紫外線ランプ(低圧水銀灯)15の照射により粒子状物質16に変換される(A)。
一体化した光触媒による分解部(B)と微粒子化粒子伏物質の捕集部(C)は、紫外線ランプ31(19)と、紫外線ランプ31(19)の表面に被覆された光電子放出材20と、電極21と、電極21の表面に被覆した光触媒32と、紫外線ランプ31の下流に位置する荷電粒子状物質の捕集材10を有する。紫外線ランプ31(19)は殺菌灯であり、光電子放出材20への照射(光電子放出のため)と、光触媒32への照射(光触媒作用のため)の2つの役目をはたす。光電子放出材20は、紫外線ランプ31(19)上に被覆されている。光電子放出材20と、電極21との間に50V/cmの電界を形成することにより、光電子が効率良く電極21の方向に放出される。該粒子状物質16の内、酸性ガス及び塩基性ガス30bに起因の粒子は、光電子放出材20から放出される光電子(図示せず)により荷電し、該荷電粒子状物質を荷電粒子状物質の捕集材10により捕集・除去が行われる。
該粒子状物質16の内、有機化合物30a及び塩基性ガスに起因する微粒子は、紫外線ランプ31の照射を受けて活性化された光触媒32の表面に付着し、光触媒作用により分解・除去される(B)。
なお、電場下で、光電子放出材に紫外線を照射して、光電子を放出させ、光電子が微粒子を荷電させ、荷電した微粒子を電場により移動させて捕集する微粒子を除去する方法では、電場を形成する電極に光触媒を含有させることにより、光触媒の作用が効果的となる(特願平8−231290号)。
実施例10
実施例5のクラス100のクリーンルーム半導体工場におけるウェハ保管庫(ウェハ収納ストッカー)36の空気清浄を、図10に示した本発明の基本構成図を用いて説明する。
保管庫36中の有機化合物30a及び有機化合物に共存するSO2やNH3などの酸性ガス及び塩基性ガス30bの除去は、紫外線照射による有機化合物及び有機化合物に共存するガス状汚染物質の微粒子化部8(A)、該粒子化有機化合物の光触媒による分解部26(B)、オゾン分解部27、及び光電子を用いる該粒子化粒子状物質の捕集部9、10(C)より成る本発明の清浄化ユニット12によってストッカ36内にて処理される。
保管庫36内の有機化合物30a、並びに、有機化合物に共存するSO2のような酸性ガス及びNH3のような塩基性ガス30bを含む空気14は、本発明のユニット12により処理され、清浄空気28となる。この空気28は有機化合物が0.01ppm以下まで分解・除去され、かつSO2、NH3などクリーンルーム空気14中に含まれる酸性ガス及び塩基性ガス30がいずれも1ppm以下まで除去されたクラス1より清浄な超清浄空気となる。
ウェハケース35に収納されたウェハ34を本ウェハ保管庫36に収納しこの超清浄空気に暴露しておくと、接触角の増加をもたらさない(保管庫36のD部へ収納したウェハ34の接触角が増加しない)、かつウェハの電気的特性の変化が防止される作用がある。
本例の装置は上記のごとく次の形態である。
紫外線照射による微粒子化部(A)→微粒子化した有機化合物の光触媒による分解部(B)→微粒子化した粒子状物質の捕集・除去(除塵)部(C)。
以下、本例を詳細に説明する。
ウェハ保管庫36には、保管庫36の開閉により保管庫36が設置されたクラス100のクリーンルーム1内の空気14が入る。この空気14には、有機化合物が非メタン炭化水系30aとして0.8〜1.5ppm、またSO2のような酸性ガス及びNH3のような塩基性ガス30bが存在する。SO2の濃度は10〜15ppb、NH9は30〜50ppbである。
ウェハ保管庫36内の空気14中のウェハなど基板に付着すると接触角を増加させる有機化合物30a、並びに、ウェハ上に付着するとウェハの電気的特性に悪影響を与える上述酸性ガス及び塩基性ガス30bが紫外線ランプ(低圧水銀灯)15の照射により粒子状物質16に変換される(A)。
該粒子状物質16の内、有機化合物30a及び塩基性ガスに起因する粒子は、光触媒材(TiO2)のような吸着性表面に吸着されやすいので紫外線ランプ31の照射を受け、活性化された光触媒32の表面に付着(吸着)し、光触媒作用により分解・除去される(B)。
一方、該粒子状物質16の内、酸性ガス起因の粒子は、光触媒32では分解されにくいので、光触媒による分解部Bを通過し、後方の紫外線ランプ19、光電子放出材20、電極21(粒子状物質の荷電部9)、荷電粒子状物質の捕集材10より成る光電子による捕集・除去部(C)にて捕集・除去される。
光電子による捕集・除去部(C)では、流入した粒子状物質16を、光電子放出材20から放出される光電子(図示せず)により荷電し、該荷電粒子状物質を荷電粒子状物質の捕集材10により捕集・除去が行われる。光電子放出材20は、紫外線ランプ19上に被覆され、光電子放出材20と電極21との間に50V/cmの電界を形成することにより、光電子が効率良く放出される。
上記において、有機化合物30a及び塩基性ガス起因の粒子16は、紫外線ランプ(殺菌ランプ)31の照射を受けた光触媒(周囲の壁面及びガラスロット上に担持して固定)32の表面に付着し、光触媒作用により効率良く分解・除去される。これにより、有機化合物が非メタン有機化合物を指標として0.2ppm以下、好ましくは0.1ppm以下にまで分解される。
これにより、接触角増加に関与する分子量の大きい有機化合物及び活性な有機化合物は有機化合物の種類によって接触角が増加しない分子量の小さい有機化合物もしくは二酸化炭素や水に分解される。
また、上記酸性ガス、塩基性ガスは、ウェハ保管庫36における空気中の濃度が、初期濃度に対して1/10以下まで低減される。SO2、NH3を指標とすると、本保管庫中のSO2とNH3の濃度は、いずれも1ppb以下となる。
ここで、クラス100のウェハ保管庫36の空気14中の微粒子は、上記光電子による捕集・除去部(C)にて、上記のごとくガス状汚染物質からの粒子状物質16とともに、同様にして荷電・捕集される。
これにより、本発明の清浄化ユニット12で得られる空気28は、有機化合物成分や、有機化合物に共存するガス状汚染物質が除去されたクラス1よりも清浄な超清浄空気となる。
ウェハ保管庫36内の空気14は、空気の流れ28、33a、33b、14により、微粒子化部(A)→微粒子化した有機化合物の光触媒による分解部(B)→微粒子化した粒子状物質の捕集・除去部(C)に効果的に順次移動し、処理される。この空気の流れ28、33a、33b、14は、上記紫外線ランプ15、31、19の照射により生ずる清浄化ユニット12の上下の温度差によっている。このようにして、ウェハケース35にセットされたウェハ34が収納される部分Dは、効果的に清浄化される。
これにより、該超清浄空気をウェハ34表面に暴露しておくことにより、ウェハ表面の汚染は防止される。この結果、ウェハ上の接触角の増加が防止される。この接触角増加の防止の効果は、そのウェハ基板上に薄膜を成膜すると、付着力が強く維持される効果をもたらす(空気清浄、第33巻、第1号、16〜21、1995)。
粒子化用の紫外線ランプ15の照射による発生オゾンは、前述光触媒32、及びハニカム状オゾン分解材27にて、0.01ppm以下まで分解・除去される。
本実施例では媒体が空気の場合について説明したが、窒素やアルゴンなど他の気体中に有機化合物、酸性ガス、塩基性ガス等のガス状汚染物質が不純物として含まれる場合も、本発明を同様に実施できることは言うまでもない。本発明は、大気圧に限られず、加圧下、減圧下でも適用できる。
図10の引用番号において、図5と同じものは、同じ意味を示す。
実施例11
実施例10の図10における清浄化ユニット12の別のタイプのものを図11に示す。
図11においては、図10のオゾン分解材27と、光触媒による分解部26との位置が逆に設置されており、粒子化部8(A)の次にオゾン分解材27が設置されている。図11の配置でも、図10と同様の作用・効果を有する。図11において、図10と同じ記号は、同じ意味を示す。
実施例12
実施例10の図10における清浄化ユニット12の別のタイプのものを図12に示す。
図12は図10における、微粒子化した有機化合物の光触媒による分解部(B)と、微粒子化した上記酸性ガスや塩基性ガスの光電子による捕集・除去部(C)を一体化したものである。
即ち、本例の装置の形態はA→B+Cである。
有機化合物30a、並びに、酸性ガス及び塩基性ガス30bが紫外線ランプ(低圧水銀灯)15の照射により粒子状物質16に交換される(A)。
一体化した光触媒による分解部(B)と微粒子化粒子状物質の捕集部(C)は、紫外線ランプ31(19)、光電子放出材20、光触媒32を担持した電極21、荷電粒子状物質の捕集材10より成る。
該粒子状物質16の内、有機化合物30a及び塩基性ガス起因の粒子は、紫外線ランプ31の照射を受け、活性化された光触媒32の表面に付着(吸着)し、光触媒作用により分解・除去される(B)。
電場下で、光電子放出材に紫外線照射することによる微粒子除去において、該電場用電極材に光触媒を含有させることにより、光触媒の作用が効果的となる(特願平8−231290号)。
一方、該粒子状物質16の内、酸性ガス及び塩基性ガス30bの起因の粒子は、光電子放出材20から放出される光電子(図示せず)により荷電し、該荷電粒子状物質を荷電粒子状物質の捕集材10により捕集・除去が行われる。光電子放出材20は、紫外線ランプ19上に被覆され、電極35との間に50V/cmの電界を形成することにより、光電子が効率良く放出される。荷電した粒子状物質は、捕集材10で除去される。
このようにして、ウェハ保管庫36における空気14は、本発明のユニット12により処理され、清浄空気28となる。この空気28は有機化合物が0.0lppm以下まで分解・除去され、かつSO2、NH3などクリーンルーム空気14中に含まれる酸性ガス及び塩基性ガス30がいずれも1ppb以下まで除去されたクラス1より清浄な超清浄空気となる。
図12において、図10と同じ記号は、同じ意味を示す。
実施例13
実施例10の図10における清浄化ユニット12の別のタイプのものを図13、14に示す。
図13、14は図10における、微粒子化部8(A)と、該微粒子化有機化合物の光触媒による分解部26(B)を一体化したものである。
即ち、本例の装置の形態は、A+B→Cである。
光電子放出材20は、壁面の材料表面にAuメッキしたものである。
図13では、光触媒による分解部26(B)における光触媒32は、壁面に塗布したものであり、粒子化用の紫外線ランプ15の照射により、光触媒作用を発揮する。
図14では、光触媒32を、オゾン分解材27の表面及びその近傍に付加したものであり、粒子化用の紫外線ランプ15の照射により、光触媒作用を発揮する。
図13、14において、図10と同じ記号は、同じ意味を示す。
実施例14
図10に示した構成の保管庫に下記試料ガスを入れ、ウェハを収納し、ウェハ上の接触角、保管庫内の非メタン有機化合物濃度、SO2濃度、HCl濃度、NH3濃度及びオゾン濃度を測定した。
試験条件
(1)試料ガス: クラス10の半導体工場の空気である。
非メタン有機化合物濃度:0.8〜1.5ppm、
SO2濃度:10〜30ppb
HCI濃度:3〜5ppb、
NH3濃度:10〜20ppb
(2)保管庫大きさ: 80リットル
(3)粒子化用紫外線ランプ: 低圧水銀灯(184nm)
(4)光触媒: 二酸化チタンをガラス板及び壁面にゾルーゲル法を用い担持した。
(5)光源: 殺菌灯(254nm)(光触媒照射用及び光電子放出用)
(6)光電子放出材: 上記殺菌ランプの上に8nmの厚さのAuを被覆
(7)電極材と電界; 荷電用:Cu−Zn、50V/cm、粒子状物質捕集用:Cu−Zn、500V/cm
(8)オゾン分解材: ハニカム形状の複合酸化物系触媒、MnO2/ZrO−C
(9)ウェハ: 5インチの高純度シリコンウェハをlcm×8cmのサイズに切断して、保管庫内に設置した。
(10)ウェハの前処理: クリーンルーム1内のクリーンベンチで、洗剤とアルコールで洗浄後、UV/O3洗浄を行った
(11)接触角の測定: 協和界面科学(株)製、CA−D型接触角計による測定
(12)非メタン有機化合物濃度: ガスクロマトグラフィー(GC)法による測定。
(13)SO2濃度: 溶液導電率法による測定。
(14)HCl濃度: 吸収液法による測定。
(15)NH3濃度: 化学発光(LCD)法及び吸収液法による測定。
(16)オゾン濃度: 化学発光式オゾン濃度計による測定。
(17)保管庫の開閉: 保管庫を半導体工場のクリーンゾーン(クラス10)に設置し、1日6回保管庫を開閉した。
尚、本明細書において、クラスは、lft3中に含まれる0.1μm以上粒子の微粒子の個数を表わす。
結果
1)保管庫内にウェハを収納した場合における、収納時間に対するウェハ上の接触角の関係を図15に示す。
図15中、○印は、本発明の値、●印は(比較用の)試験を行ったクラス10のクリーンルームの空気に暴露した値を示す。↓は検出限界以下であることを示す。
2)保管庫内の非メタン有機化合物濃度、SO2濃度、HCl濃度、NH3濃度及びオゾン濃度を表2に示す。
なお、図10の清浄化ユニット11において、光電子による捕集・除去部(C)を外して同様に試験を行い、同様に有機化合物とSO2濃度を調べたところ(収納1日後)、それぞれ<0.1ppm、SO210〜25ppbであった。
また、バーティクルカウンタを用い、保管庫の微粒子濃度を調べたところ、不検出であり(測定:収納30分、1日、10日に実施)クラス1よりも清浄であった。
なお、粒子化用紫外線の点灯により発生するオゾン濃度は15〜20ppmであった。
3)保管庫内に本発明のユニットの設置がない時、2日後及び7日後に保管庫内のウェハを取り出し、加熱して、ウェハ上に付着した有機化合物を脱離させ、ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)法で測定したところ、DOP等のフタル酸エステルを検出した。ユニットを設置した場合について、同様に調べたが、検出しなかった。
以下、気体中の酸性ガス及び/又は塩基性ガスを除去した後に、光触媒で有機化合物及び残存する塩基性ガスを分解する実施態様について説明する。酸性ガスとしては、例えば、窒素酸化物(NOx)、窒素酸化物イオン、硫黄酸化物(SOx)、硫黄酸化物イオン、塩化水素、フッ化水素が挙げられる。また、塩基性ガスとしては、例えば、アンモニア及びアミン類が挙げられる。
実施例15
図18は、ウェハ保管庫71を示す。このウェハ保管庫は、クラス10,000の半導体工場のクリーンルームに設置されている。
クリーンルームには、例えば、非メタン炭化水素が1.0〜1.5ppm、SOxが30〜40ppb、NH3が60〜80ppbの濃度で存在する。そのため、ウェハがこれらのガス状汚染物質により汚染されることを防止するために、ウェハは保管庫71の内部に収納されている。
すなわち、ウェハ保管庫71には、ウェハ72が収納されたウェハキャリア3を、保管庫71に出し入れするために保管庫71の扉を開閉するたびに、クリーンルームから上記の汚染物質が保管庫71に侵入する。ここで、有機化合物74は、ウェハの接触角を増加させる。SOxは、酸化腰絶線不良を引き起こす。NH3は、ウェハの解像不良を引き起こす。
本発明の装置は、イオン交換繊維と76と、イオン交換繊維の上部に位置する分解部とを有する。イオン交換繊維76はフィルター形状に編まれていることが好ましい。
分解部は、分解部は、紫外線ランプ77と、紫外線ランプ77の表面に薄膜状に塗布された触媒活性成分と遮光材80とを有する。触媒活性成分としては、TiO2が用いられる。遮光材80は、紫外線ランプ77からわずかにリークする紫外線がウェハ72に照射することを防ぐものである。
紫外線ランプ77は、その表面に薄膜状に塗布されたTiO2に光線を照射し、これによりTiO2は光触媒作用を発揮し、有機化合物を効果的に分解する。
紫外線の照射により、光触媒78の上下にわずかな温度差が生じ、これにより、保管庫71内の空気が対流して、循環流、79a、79b、79cが生じる。これに伴って、空気は本発明の装置における入口側に設置されたイオン交換繊維76を通過し、次いで、その後方に設置された光触媒78に接触する。
まず、酸性ガス及び塩基性ガスは、イオン交換繊維76で除去される。酸性ガスは、陰イオン交換繊維で除去される。一方、塩基性ガスは、陽イオン交換繊維で除去される。そして、イオン交換繊維76を通過した空気中の有機化合物74は光触媒で分解される。
保管庫71の開閉により、クリーンルームにおける1.0〜1.5ppmの有機化合物、及び30〜40ppbのSOx、60〜80ppbのNH3が保管庫71に侵入する。そして、本発明の装置により、有機化合物は、非メタン炭化水素を指標として0.1ppm以下まで分解される。また、SOxとNH3は、イオン交換繊維76により1ppb以下まで捕集・除去される。従って、保管庫71の内部にウェハ72を収納した場合であっても、ウェハ表面の接触角は増加せず、酸化膜の絶縁不良、解像不良が起こらない。
本発明は、通常のクリーンルームにおける空気中に限られず、各種気体中、例えばN2、Ar中でも同様に使用できる。
図18で、イオン交換繊維76と、紫外線ランプ77との間に、更に、有機化合物、有機ケイ素化合物等を微粒子化するための紫外線ランプを有する微粒子化部を配置することが好ましい。あるいは、図18の紫外線ランプ77と光触媒78とを、図2の微粒子化部8及び分解部26に置換することができる。
実施例16
図19は、図18とは別個の実施態様のウェハ保管庫71を示す。このウェハ保管庫は、実施例15と同様に、クラス10,000の半導体工場のクリーンルームに設置されている。
実施例16では、保管庫71の開閉により、有機化合物74、SOx及びNH375、並びに、NO3 -、NO2 -、SO4 2-等のイオンを含有する粒子状物質(微粒子)81が、保管庫71内に侵入する。
そのため、実施例15の図18の装置と異なって、微粒子81の捕集・除去用に、光電子を用いる荷電・捕集部Cを設置している。すなわち、該部Cは、紫外線ランプ82、紫外線ランプ82の表面に塗布された光電子放出材83、紫外線ランプ82の周囲に位置する光電子放出用の電極84、紫外線ランプの下流に位置する荷電微粒子の捕集材15より成る。
本例の光電子放出材83は、紫外線ランプ82の表面に塗布されたもので、紫外線源と光電子放出材が一体化されている(特開平4−243540号)。電極84は、光電子放出材83からの光電子を効率良く放出されるために電場(光電子放出材(−)、電極(+))を設定するために用いている。
保管庫71中の微粒子11は、空気の流れ79a〜79cより本発明の装置に移動する。保管庫71中のSOx、NH3が先ずイオン交換繊維76で捕集・除去される。次いで、NO3 -、NO2 -、SO4 2-含有粒子物質が光電子による荷電・捕集(C部)により捕集・除去される。該装置中のC部において、紫外線ランプ82からの照射を受けた光電子放出材83から放出される光電子により荷電され、荷電微粒子となり、荷電微粒子は、下流の荷電微粒子捕集材15に捕集・除去される。そして、捕集材15を通過した空気に含まれている有機化合物74が光触媒78により分解される。
このようにして、図19の被清浄空間部Bは、酸性ガス及び塩基性ガス、イオン含有粒子状物質、ガス上有機化合物が除去される。例えば、SOx,NH3は、1ppb以下に、有機化合物は、0.1ppm以下に除去される。そして、クラス1よりも清浄な空間が得られる。
図19において、図18と同じ引用番号は同じ意味を示す。
図19で、捕集材85と紫外線ランプ77との間に、更に、有機化合物、有機ケイ素化合物等を微粒子化するための紫外線ランプを有する微粒子化部を配置することが好ましい。あるいは、図19の紫外線ランプ77と光触媒78とを、図2の微粒子化部8及び分解部26に置換することができる。
実施例17
図19と異なる実施態様を図20に示す。
図20は、図19の酸性ガス及び塩基性ガスの捕集・除去において、イオン交換繊維76と、捕集部85とを一体化したものである。図20において図19と同一の引用番号は同じ意味を示す。
図20では、紫外線ランプ82の下流にイオン交換繊維76が配置し、イオン交換繊維76の下流に捕集部76が配置する。イオン交換繊維76と捕集部85が一体化されている。光電子放出材83は、紫外線ランプ82の表面ではなく、紫外線ランプに対向する壁面に塗布されている。また、光触媒78も、紫外線ランプ77に対向する壁面に塗布されている。
本例では、保管庫71中のNO3 -、NO2 -、SO4 2-含有粒子状物質81が先ず光電子による荷電・捕集(C部)により捕集・除去され、次いでSOx、NH3などの酸性ガス及び塩基性ガス75がイオン交換繊維76により捕集・除去され、次いで、有機化合物74が光触媒78により分解・除去される。
このようにして、図20の被清浄空間部Bは、酸性ガス及び塩基性ガス、粒子状物質、ガス状汚染物質(有機化合物)が除去された(SOx・NH3:1ppb以下、有機化合物:0.1ppm以下)クラス1よりも清浄な超清浄な空間が創出される。本空間Bに、ウェハを収納すると、ウェハ表面の接触角は増加せず、酸化膜の絶縁不良、解像不良が起こらず、かつ回路の断線や短絡を生じない。
図20で、捕集材85と紫外線ランプ77との間に、更に、有機化合物、有機ケイ素化合物等を微粒子化するための紫外線ランプを有する微粒子化部を配置することが好ましい。あるいは、図20の紫外線ランプ77と光触媒78とを、図2の微粒子化部8及び分解部26に置換することができる。
実施例18
図19と別のタイプのものを図21に示す。
図21は、図19における酸性ガス及び塩基性ガスの除去を、光電子を用いる荷電・捕集部Cのみで行い、イオン交換繊維を用いないものである。
本例はSOx、NHxのようなガス状の酸性ガス及び塩基性ガスの濃度が比較的少なく、NO3 -、NO2 -、SO4 2-のようなイオン性物質含有微小粒子の濃度が多い場合に好適である。
紫外線ランプ82が光電子放出材83を照射して、光電子を発生させる。光電子で粒子を荷電し、捕集部85で、荷電粒子を除去する。そして、紫外線ランプ77の照射の下、光触媒78で有機化合物及び塩基性ガスを酸化分解する。
図21で、捕集材85と紫外線ランプ77との間に、更に、有機化合物、有機ケイ素化合物等を微粒子化するための紫外線ランプを有する微粒子化部を配置することが好ましい。あるいは、図21の紫外線ランプ77と光触媒78とを、図2の微粒子化部8及び分解部26に置換することができる。
図21で、図18〜20と同一の引用番号は、同じ意味を示す。
図21で、捕集材85と紫外線ランプ77との間に、更に、有機化合物、有機ケイ素化合物等を微粒子化するための紫外線ランプを有する微粒子化部を配置することが好ましい。あるいは、図21の紫外線ランプ77と光触媒78とを、図2の微粒子化部8及び分解部26に置換することができる。
実施例19
図22は、本発明の清浄化装置70をエアーナイフ装置89に供給する空気の浄化に適用した例である。清浄化装置70及びエアーナイフ装置89は、半導体製造工場におけるクラス10,000のクリーンルームに配置されているものとする。
本発明の清浄化装置は、フィルター状のイオン交換繊維76、除塵用フィルタ87aと、分解部と、除塵用フィルター87bとを有し、これらの構成要素は、上流から下流にこの順序に配置されている。分解部は、軸方向に伸びている紫外線ランプ77と、光触媒78を有する。光触媒78は、ハウジングの内面に塗布されている。また、ガラス棒が分解部の軸方向に紫外線ランプとほぼ平行に配置されており、そのガラス棒の表面にも触媒活性物質が塗布されている。
クラス10,000のクリーンルームには、非メタン炭化水素が1.1〜1.3ppm存在する。また、SOx、NOx、NH3が、夫々40ppb、30ppb、150ppb(平均濃度)存在する。
そのため、クリーンルームの空気16は、先ずイオン交換繊維76により酸性ガス及び塩基性ガスがSOxとNH3を指標に夫々1ppb以下まで捕集・除去される。次いで、除塵フィルタ87aにより、クリーンルーム空気中の微粒子が除去される。
次いで、有機化合物が、紫外線ランプ77からの紫外線が照射され光触媒作用を発揮した光触媒(TiO2)78にて、非メタン炭化水素を指標として0.1ppm以下まで分解される。
除塵用フィルタ87bは、緊急時にイオン交換繊維部、有機化合物分解部もしくはその周辺からの流出微粒子があった場合でも、該微粒子を効率良く捕集するものであり(除塵部)、ULPAフィルタを用いている。
このようにして、酸性ガス及び塩基性ガス、粒子状物質、ガス状汚染物質(有機化合物)が除去された(NOx,SOx,NH3:1ppb以下、有機化合物:0.1ppm以下)、クラス1よりも清浄な超清浄空気88が得られる。かかる清浄空気88がエアーナイフ装置89へ供給される。
図22で、フィルタ87aと紫外線ランプ77及び光触媒78を有する分解部との間に、更に、有機化合物、有機ケイ素化合物等を微粒子化するための紫外線ランプを有する微粒子化部を配置することが好ましい。あるいは、図22の紫外線ランプ77と光触媒78とを、図2の微粒子化部8及び分解部26に置換することができる。
実施例20
図18の保管庫に下記試料ガスを入れ、保管庫の開閉を1日10回行った。また、光触媒に紫外線照射を行い、長時間連続運転した状態で、保管庫に収納したウェハ上の接触角の測定を行った。また、保管庫の空気中の非メタン炭化水素濃度、SOx濃度、保管庫内のウェハに付着した炭化水素の同定を行った。
結果
1)ウェハ上の接触角
図23は、イオン交換繊維を用いた場合の経過日数による接触角(角度)を示す。図23は、イオン交換繊維と光触媒を用いる場合(本発明の方式)を−○−で示す。一方、比較として、光触媒を用いるが、イオン交換繊維が無い場合を−●−、イオン交換繊維を用いるが光触媒が無い場合を−▲−で示す。
なお、光触媒で無い場合は、20時間で20度、60時間で40度であり、接触角増加防止の効果が認められなかった。図23には350日までの測定値を示す。このように、入口部に、イオン交換繊維を設置すると、時間経過によっても変化がなく、高性能を維持した。
酸性ガス及び塩基性ガスの捕集・除去として、イオン交換繊維ではなく、繊維状活性炭を用いた場合は、図23と同様の捕集を示し、300日運転後の接触角の増加は2度以内であった。
2)保管庫中の有機化合物
表3に保管庫の空気中の非メタン炭化水素濃度、SOx濃度及びウェハ上の吸着炭化水素の同定(同定成分の有無)を示す。表3には、比較として、イオン交換繊維を用いるが光触媒が無い場合、光触媒を用いるがイオン交換繊維が無い場合も示す。
表3において、ウェハ上に付着した炭化水素は、DOP等のフタル酸エステルであった。
実施例21
実施例20の装置のうち、光触媒を用いて、イオン交換繊維を取り外した装置を用いた。1〜50ppbのSOx濃度に調整した試料ガスを用いて、SOx濃度に対する接触角が5度増加する日数を調べた。この他の実験条件は、実施例20と同様である。
なお、SOx濃度の調整は、実施例20の試料ガスをイオン交換繊維に通過速度を変えて通して、SOxの除去を行うことで、適宜の濃度に設定した。
結果
図24は、試料ガス中SOx濃度に対する接触角が5度増加した日数を示す。試料ガス中の硫黄酸化物濃度が小さいほど、接触角が増加する日数が増加する。即ち、空気が清浄を維持できることが分かる。
図25は、空気中の有機化合物についてのガスクロマトグラフィー/質量分析法によるトータルイオンクロマトグラムを示す。x軸は、イオンの質量を示し、y軸は、相対的な強度を示す。30リットルの試料空気を、0.5l/minで吸着剤(TENAX-GR)に流入させた。そして、濃縮導入装置(CHROMPACK製、CP4010型)で、吸着剤を加熱し、吸着したガスを脱離させ、液体窒素で冷却し、濃縮した。次いで、ガスクロマトグラフィー/質量分析装置((株)島津製作所製、QP-1100EX型)により、測定した。
(a)は、クラス10,000のクリーンルーム中の空気について測定した。非メタン炭化水素が1.1〜1.3ppm存在し、SOx、NOx、NH3が、夫々40ppb、30ppb、150ppb(平均濃度)存在するものである。個々のピークが有機化合物の存在を示す。
(b)は、クラス10,000のクリーンルーム中の空気を本発明の装置で処理した後に測定した。有機化合物が激減したことが分かる。
本発明では、汚染物質を微粒子化して局所的に濃縮するので、汚染物質が低濃度の場合であっても、光触媒により効果的に分解することができる。気体中の有機化合物等の汚染物質が低濃度の場合であっても、微粒子化により、濃縮された形態で光触媒上に接触するので、汚染物質を効率良く分解できる。これにより、有機化合物の分解速度が向上した。光触媒では、フタル酸エステル等の有機化合物ガス、シロキサン等の有機ケイ素化合物ガス、及び、アンモニア等の塩基性ガス等の酸化可能な化合物を分解できる。有機化合物ガス及び有機ケイ素化合物ガスは、光電子による荷電、フィルター、イオン交換繊維等では除去し難いので、得に有益である。
また、フィルタ、吸着剤、光電子、イオン交換繊維等の除去部を設置する場合には、有機化合物に共存する他のガス状汚染物質、例えば酸性ガスとしてのSO2、NOx、HCl、HF等の酸性ガス、及び、NH3、アミン類等の塩基性ガスも除去することができる。即ち、ガスから粒子まで、広い範囲にわたり汚染物質が除去できる。
更に、光触媒による処理の前に、該気体中より予め酸性ガス及び塩基性ガスを除去する場合には、酸性ガス及び塩基性ガスが光触媒に悪影響を与えることを防止することができる。これにより、光触媒の作用が長時間安定に維持され、長期運転ができるようになった。
本発明の適用分野として、半導体製造工場などのクリーンルームについて主に説明した。
しかし、本発明は、更に、下記の分野に適用することができる。
(1)民生の分野、すなわち、事務所、ビル、家庭、病院、ホテルなどにおける空気清浄化、
(2)下排水、廃棄物処理場などの各種工業における排気ガスの清浄化、工場内雰囲気の清浄化、地下駐車場やトンネル換気排気ガスの清浄化、
(3)先端産業の分野、すなわち、半導体、電子工業、薬品工業、食品工業、農林産業、医療、精密機械工業などにおけるクリーンルーム、クリーンブース、クリーントンネル、クリーンベンチ、安全キャビネット、バイオクリーンボックス、無菌室、パスボックス、貴重品の保管庫(ストッカ)、搬送空間、インターフェイス、エアカーテン、エアナイフ、乾燥工程、生産ラインへ供給する気体の製造装置などにおける空気、窒素、酸素などの気体の清浄化に利用できる。
また、民生の分野が挙げられているのは、シックビルディングシンドロームにみられるように、空気中のガス状汚染物質により、人体へ悪影響が及ぼす場合がある。
以下、本発明の好ましい態様を列挙する。
(1)汚染物質及び固体粒子を含む気体を清浄化する方法であって、気体中の固体粒子を除去する工程と、固体粒子が除去された気体中の汚染物質を微粒子化するために、気体に紫外線及び/又は放射線を照射する微粒子化工程と、微粒子化した汚染物質を光触媒と接触させる接触工程と、光触媒に接触している汚染物質を分解するために、光触媒に光を照射する第1分解工程と、を有する方法。
(2)汚染物質が、有機化合物(ただし、アルカンは除く)、有機ケイ素化合物、塩基性ガスからなる群の少なくとも1種を含む(1)に記載の方法。
(3)微粒子化工程において、260nm以下の波長を有する紫外線及び/又は放射線を照射する(1)に記載の方法。
(4)気体が、1ppb以下の水又は1ppb以上の酸素ガスを含む(1)に記載の方法。
(5)気体が、100ppb異常の見ず又は100ppb以上の酸素ガスを含む(1)に記載の方法。
(6)気体が1ppm以上の酸素ガスを含み、微粒子化工程で、気体中の酸素ガスがオゾンに変換され、このオゾンを分解する第2分解工程を更に有する(1)に記載の方法。
(7)汚染物質を除去する除去工程を更に有する(1)に記載の方法。
(8)汚染物質が、酸性化合物又は塩基性化合物を含む(7)に記載の方法。
(9)汚染物質が、窒素酸化物(NOx)、窒素酸化物イオン、硫黄酸化物(SOx)、硫黄酸化物イオン、塩化水素、フッ化水素、アンモニア及びアミン類からなる群の少なくとも1種を含む(7)に記載の方法。
(10) 微粒子化工程の前に、除去工程を行う(7)に記載の方法。
(11) 微粒子化工程の後であって第1分解工程の前に、除去工程を行う(7)に記載の方法。
(12) 第1分解工程の後に、除去工程を行う(7)に記載の方法。
(13) 除去工程が、フィルタ、吸着剤、光電子による荷電及び荷電した汚染物質の捕集、並びに、イオン効果物質のいずれか1種以上で行われる(7)に記載の方法。
(14) 光触媒が、母材と、母材に担持された触媒活性成分と、を有し、触媒活性成分が粒子形状を有する(1)に記載の方法。
(15) 母材が、2以上の貫通孔を形成する隔壁を有するハニカム構造体、棒体又は壁部材であり、触媒活性成分が半導体である(14)に記載の方法。
(16) 汚染物質を含む気体を清浄化する装置であって、紫外線及び/又は放射線を照射する源を有する微粒子化部と、光触媒及び光触媒に光を照射する光源を有する分解部であって微粒子化部に接続しているものと、酸性化合物又は塩基性化合物を除去するための除去部と、を有する装置。
(17) ガス入口と、ガス出口とを有する装置であって、ガス入口、粒子化部、分解部、ガス出口の順序に上流から下流に配置されている(16)に記載の装置。
(18) 微粒子化部の下流にオゾン分解材を有する(16)に記載の装置。
(19) 除去部が、フィルタ、吸着剤、イオン交換物質、並びに、光電子発生手段及び荷電した汚染物質の捕集手段のいずれか1種以上を有する(16)に記載の装置。
(20) 微粒子化工程、接触工程及び第1分解工程が、クリーンルーム内で行われる(1)に記載の方法。
(21) クリーンルームの内部で用いられるのに適した保管庫であって、保管庫の内部に配置され、且つ紫外線及び/又は放射線を照射する源を有する微粒子化部と、保管庫の内部に配置される光触媒及び光触媒に光を照射する光源を有する分解部であって微粒子化部に接続しているものと、を有する保管庫。
Claims (8)
- 有機化合物(ただし、アルカンは除く)、有機ケイ素化合物、塩基性ガスの少なくとも1種を含む汚染物質及び酸性ガス及び/又は塩基性ガスを含む気体を清浄化する方法であって、
前記気体に紫外線及び/又は放射線を照射して、気体中の汚染物質を微粒子化して濃縮する微粒子化工程と、
前記微粒子化した汚染物質並びに酸性ガス及び/又は塩基性ガスを含む気体から、前記酸性ガス及び/又は塩基性ガスを捕集材に捕集して除去する酸性ガス及び/又は塩基性ガスの捕集・除去工程と、
前記酸性ガス及び/又は塩基性ガスが除去され、微粒子化した汚染物質を含む気体を、汚染物質の流れ方向に直交する隔壁として設けられている通気性の母材に担持された触媒活性成分を有する光触媒と接触させる光触媒接触工程と、
光触媒に光を照射して、光触媒に接触している微粒子化した汚染物質を分解する第1分解工程と、
を有する方法。 - 前記微粒子化工程において、前記気体に260nm以下の波長を有する紫外線及び/又は放射線を照射する請求項1に記載の方法。
- 前記気体が1ppm以上の酸素ガスを含み、前記微粒子化工程において前記気体中の酸素ガスがオゾンに変換され、このオゾンを分解する第2分解工程を更に有する請求項1又は2に記載の方法。
- 前記酸性ガス及び/又は塩基性ガスの捕集・除去工程と前記接触工程との間に、さらに前記微粒子化工程を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記酸性ガス及び/又は塩基性ガスの捕集・除去工程は、酸性ガス及び/又は塩基性ガスをフィルタ、吸着剤又はイオン交換物質に捕集させるか、又は酸性ガス及び/又は塩基性ガスに光電子を放出して荷電粒子状物質として荷電粒子状物質捕集材に捕集させることを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記微粒子化工程、前記酸性ガス及び/又は塩基性ガスの捕集・除去工程、前記接触工程及び前記第1分解工程が、クリーンルーム内で行われる請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 有機化合物(ただし、アルカンは除く)、有機ケイ素化合物、塩基性ガスの少なくとも1種を含む汚染物質及び酸性ガス及び/又は塩基性ガスを含む気体を清浄化する装置であって、
ガス入口と、ガス出口と、を有するガス流路内に、微粒子化部と、酸性化合物又は塩基性化合物を除去するための除去部と、分解部と、がこの順序で設けられており、
前記微粒子化部は、紫外線及び/又は放射線を照射する線源を有し、
前記除去部は、フィルタ、吸着剤、イオン交換物質又は紫外線源と光電子放出材と荷電粒子状物質捕集材とを有し、
前記分解部は、前記ガス流路断面全体にわたり直交する隔壁として設けられている通気性母材に担持された触媒活性成分を有する光触媒及び前記光触媒に光を照射する光源とを有する、
ことを特徴とする装置。 - 前記酸性化合物又は塩基性化合物を除去するための除去部と前記分解部の間に、さらに前記微粒子化部を有することを特徴とする請求項7に記載の装置。
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