JP3770363B2 - 清浄機能付密閉空間とキャリアボックス - Google Patents

清浄機能付密閉空間とキャリアボックス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉空間の清浄化に係り、特に安全キャビネット、クリーンボックス、貴重品の保管庫、ウェハ保管庫、キャリアボックス、搬送ボックス、貴重品の密閉搬送空間、インターフェイス、装置への受け渡し装置、パスボックス等の密閉空間の清浄化に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術を、半導体製造工場におけるクリーンルームの空気清浄を例にとり、以下説明する。
クリーンルームにおける空間の清浄化は従来HEPAやULPAフィルタを用いる方式により行われてきた。この方式はこれまでのクリーンルームやクリーングース、クリーンベンチなどの清浄には効果的であり、広く実用化されている。ところが、この方式による微粒子除去は、原理的にフィルタに微粒子を含む気体を送気させる必要があるため、次のような問題点があった。
(1)強制通気するので微粒子が発生する場合があり、この場合到達クリーン度(超清浄空間の創出)には限界があった。
(2)圧力損失が高くなるので、運転コストが高くなった。
(3)また、最近ではフィルタは使い方によってボロンなどのガス状物質が発生してしまい、2次汚染源となることや、超微粒子の捕集性能に限界があるといわれている。
【0003】
このような背景に対して、本発明者らは、光電子放出材に紫外線を照射することにより光電子を発生させて空間を清浄化する方法や装置について、すでに提案している(例えば、特公平3−5859号、特公平6−34941号、特公平7−110342号、特公平6−74909号、特公平6−74910号、特公平8−211号、特開平6−277558号各公報)。
これらの方法や装置は、利用分野、装置種類、構造、形状、要求性能によっては十分な効果で実施し得るが、今だ改良の余地があった。
次に、改良点について、従来技術を例に説明する。
従来の技術を半導体工場における光電子を用いる微粒子除去によるウェハ保管庫(ストッカ)中の空気清浄を例(特開平6−277558号公報)に説明する。
【0004】
半導体工場のウェハ保管庫(ウェハ収納ストッカ)における空気清浄を、図8に示した構成図を用いて説明する。ウェハ保管庫1の空気清浄は、ウェハ保管庫1の片側に設置された紫外線ランプ2、紫外線の反射面12、光電子放出材3、光電子放出用の電場と荷電微粒子捕集のための電極4より成る微粒子の荷電・捕集部(A)及び該荷電・捕集部(A)で捕集されずにリーク(通り抜けた)した荷電微粒子を確実に捕集するための電極13より成る荷電微粒子の捕集部(B)より実施される。
すなわち、ウェハ保管庫1中の微粒子(粒子状物質)6は、紫外線ランプ2からの紫外線が照射された光電子放出材3から放出される光電子5により荷電され、荷電微粒子7となり、該荷電微粒子7は荷電微粒子の捕集材(電極)4により捕集8され(微粒子の荷電・捕集部、A)、ウェハの存在する被処理空間部(清浄化空間部、C)は高清浄化される。一方、長時間運転時や非定常状態時などにおいて、該微粒子の荷電・捕集部(A)にて捕集されずパスした荷電微粒子は、該荷電・捕集部(A)の後方の電極13により確実に捕集される。
【0005】
9a、9b、9cは、保管庫内の空気の流れを示す。すなわち微粒子の荷電・捕集部(A)に移動した空気は、紫外線ランプの照射により加温されるため、上昇気流が生じ保管庫1内や矢印、9a、9b、9cの様に動く。この空気の動きにより、保管庫内の微粒子6は、微粒子の荷電・捕集部Aに効果的に移動するため、保管庫1内は効果的に清浄化される。
このようにして、ウェハ保管庫1中の微粒子(粒子状物質)6は捕集・除去され、ウェハ保管庫は超清浄空気となり、ウェハ11への汚染防止が実施される。このような微粒子の荷電・捕集部(A、B)が、ウェハの片側に設置される構造の場合、清浄化空間部(C)、即ち、収納面積(作業有効面積C)が狭くなる問題があった。
【0006】
一方、最近先端産業の発展により、微粒子に共有するガス状物質の制御が重要になってきた。
これは、今後半導体産業では製品の高品質化、精密化が増々進み、これに伴いガス状物質が汚染物として関与する。即ち、従来は微粒子除去のみで十分であったのが、今後は、ガス状物質(ガス状有害成分)の制御が重要となってくるためである。そして、前記の従来のクリーンルームのフィルタでは、微粒子のみしか除去されず、外気からのガス状有害成分は、除去されずにクリーンルームに導入されてしまうので問題になる。
即ち、クリーンルームにおいては、微粒子(粒子状物質)や、今までの除塵フィルタ(例、HEPA、ULPAフィルタ)では捕集、除去されず、クリーンルーム内に導入されてしまう自動車の排気ガス、民生品として広く使用されている高分子樹脂製品からの脱ガスなどに起因する炭化水素(H.C)、NOx、SOx、KCl、HFのような酸性ガス、NH3 、アミンのような塩基性(アルカリ性)ガスなどのガス状物質が、ガス状有害成分として問題となる。
【0007】
この内、H.Cはガス状有害成分として通常の空気(室内空気及び外気)中の極低濃度のものが汚染をもたらすので、除去する必要がある。
また、最近ではクリーンルームの構成材や使用器具(例、ウェハキャリアボックス)の高分子樹脂類からの脱ガスがH.C発生源として問題となっている((社)日本機械工業連合会、平成6年度報告書、平成7年3月、p.41〜49、1995)。
これらのガス状物質は、クリーンルーム内における作業で発生したものも問題となる。即ち、該ガス状物質の起因として通常のクリーンルームでは、外気から導入されたガス状物質(クリーンルームでのフィルタでは、ガス状物質は除去できないので、外気中のガス状物質は導入されてしまう)に、前記のクリーンルーム内で発生したガス状物質が加わるので、外気に比べてクリーンルーム中のガス状物質は高濃度となり、ウェハ基材や基板を汚染する。
【0008】
即ち、上記の汚染物質(微粒子、ガス状有害成分)がウェハ、半製品、製品の基板表面に付着すれば、微粒子は、基板表面の回路(パターン)の断線や短絡を引き起こし欠陥を生じさせる。また、ガス状物質として、▲1▼ H.Cは、ウェハ(基板)表面に付着すると、接触角の増加をもたらし、H.Cは基板とレジストとの親和性(なじみ)に影響を与える。そして、親和性が悪くなるとレジストの膜厚に悪影響を与えたり、基板とレジストとの密着性に悪影響を与える(空気清浄、第33巻、第1号、p.16〜21、1995)。▲2▼ SOxは、酸化膜絶縁不良を引き起こす。▲3▼ NH3 は、アンモニウム塩の生成などをもたらし、ウェハにくもり(解像不良)を引き起こす(リアライス社、最新技術講座、資料集、半導体プロセスセミナー、1996年10月29日、p.15〜25、1996)。
このような原因により、これらのガス状汚染物質は、半導体製品の生産性(歩留り)を低下させる。
【0009】
特に、ガス状有害成分としての上記のガス状物質は上述の発生起因により、また最近では省エネの観点でクリーンルーム空気の循環を多くして用いるので、クリーンルーム中のガス状物質の濃度は濃縮され、外気に比べかなりの高濃度となっており、基材や基板に付着し、該表面を汚染する。この汚染の程度は、基材や基板の接触角で表わすことができ、汚染が激しいと接触角が大きい。接触角が大きい基材や基板は、その表面に成膜しても膜の付着強度が弱く(なじみが悪い)、歩留まりの低下をまねく。
ここで、接触角とは水によるぬれの接触角のことであり、基板表面の汚染の程度を示すものである。即ち、基板表面に疎水性(油性)の汚染物質が付着すると、その表面は水をはじき返してぬれにくくなる。すると基板表面と水滴との接触角は大きくなる。従って接触角が大きいと汚染度が高く、逆に接触角が小さいと汚染度が低い。
【0010】
特に、最近省エネの点でクリーンルームの空気を循環使用するため、クリーンルーム内のガス状有害成分は徐々に高まってしまい、基材や基板を汚染することになる。
このように、今後の清浄化技術は微粒子のみならず、適用先によっては微粒子とガスの同時制御が必要になる(第14回エアロゾル科学・技術研究討論会、p.157−159、1997)。
このような背景に対し、本発明者らは微粒子(粒子状物質)汚染に対し、前記の光電子を用いる清浄化方式を提案し、一方ガス状汚染物質による汚染に対しては、光触媒やイオン交換繊維を用いる清浄方式を下記に例示するように提案している。
【0011】
1)光触媒を用いる清浄化方式;特開平9−168722号、特開平9−205046号各公報。
2)イオン交換繊維を用いる清浄化方式;特公平5−67325号、特公平6−24626号各公報。
3)前記方式の組み合せによる微粒子とガスの同時制御による清浄化方式;特公平1−166864号、特公平6−87997号、特開平7−57981号公報、特願平7−352183号。
これらの方法や装置は、適用先の種類や装置の形状、構造、基材や基板の空間への収納方法などによっては効果的であるが、装置の種類や基材や基板の空間への収納方法によっては、改良の余地があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記既知事実に鑑み、自由に作業できる有効面積を広げることができ、しかも適用先(要求性能)によっては、微粒子とそれに共有するガス状汚染物質を迅速に効果的に捕集・除去できる浄機能付密閉空間とキャリアボックスを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、紫外線源と光触媒を用いる清浄機能を有する密閉空間において、該密閉空間の切り板を介して床面の下方部に、中心部に紫外線源を配し、該紫外線源を中心に光触媒を配備し、非メタン炭化水素を0.2ppm以下及びアンモニアを1ppb以下まで清浄化すると共に、床面の両側面と紫外線源を配した中心部の上部に開口部を有し、該中心部の開口部に上昇気流を導くガイド板を設け、密閉空間の気体が前記両側面の開口部から流入し、清浄化された気体が中心部に設けられた紫外線源による上昇気流により中心部の開口部から流出するように構成された清浄化装置を設置したことを特徴とする清浄機能付密閉空間としたものである
前記清浄化においては、さらにイオン交換繊維による清浄化を組み合せても良いし、また、前記清浄化装置は、その外周が断熱材で覆われ、外部及び外周路から断熱された構成としても良い。
【0014】
本発明において、前記の清浄機能付密閉空間をウェハを収納するキャリアボックスに用い、上部にウェハの収納部を有し、下部に清浄化装置を有する清浄機能付キャリアボックスとすることができる
前記キャリアボックスにおいて、清浄化装置は、荷電部と捕集部とを一体化して取り外し可能なユニットとすることができ、また、前記外周路は、キャリアボックスを二重壁構造として、該側壁面の全面に設けることができる。
さらに、前記キャリアボックスは、清浄化装置に供給する電源を、該ボックス内に備えたバッテリーと商用電源との二系列有することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、次の5つの知見に基づいて発明されたものである。
1)空間の清浄化は、これまでフィルタを用いる方式により行われてきた。この方式は、フィルタに被清浄空気をファンにより強制通気するため、原理的には次のような課題がある。
(a)強制通気による粒子状物質やガス状物質の発生。
(b)清浄化空気が空間的で強制通気(循環)されるので、空間に収納された品物(例、ウェハ)は、該空気流に順次暴露されるので、汚染が加速される。
(c)強制通気するので清浄度を高くするにつれて、圧力損失が増加し、運転コストが高くなる。
(d)通常の空気(外気)中には、ガス状有害成分としてNOx、SOx、HClのような酸性ガス、アンモニア、アミンのようなアルカリ性ガス及び炭化水素(H.C.)と呼ばれる有機性ガスが存在し、現状のフィルタでは、これらのガス状有害成分の捕集はできないので、これらの有害ガスは空間中に導入されてしまい、空間における新たな汚染源(汚染原因)になる。
【0016】
2)上記に対して、本発明者らが提案した紫外線を用いる清浄化方式(前記の光電子を用いる方式、光触媒を用いる方式)は、紫外線照射により生ずるわずかな温度差により、密閉空間内の気体が流動化し、それにより、該空間中の汚染物質が順次汚染物質の処理空間部に送られ、効果的に処理されるものである((1)エアロゾル研究、第8巻、第4号、p315〜324、1993、(2)Proceedings of 12th ISCC in Yokohama、p.117〜122、1994、(3)特開平9−168722号公報、(4)特開平9−205046号公報)。
3)半導体、液晶などの先端産業分野では、従来粒子状物質の除去で十分であったものが、製品の高品質化、精密化により(より高価な製品は、集積度が密、すなわちより微細化、高精密化になり)、今後ガス状物質の影響を強く受けるようになる。
【0017】
そこで、従来問題にならなかったクリーンルーム空気濃度(ppbレベルのような極低濃度)レベルのH.CやSO2 、HCl、HF、NH3 などのガス状汚染物質の制御、除去が必要になってきた(「第39回、応用物理学会予稿集」、p86、1992春季、「空気清浄」第33巻、第1号、p16〜21、1995、「ウルトラクリーンテクノロジー」Vol.6、p29〜35、1994)。
これは、これらのガス状汚染物質の存在は、歩留まり(生産性)を著しく低下させることが明らかになったためである。
(a)今後の先端産業におけるクリーンルームは、粒子状物質(微粒子)とガス状有害成分の同時除去が必要となる。
(b)上記のガス状有害成分はクリーンルーム内での作業やクリーンルーム構成材や器具類から発生し、これらの発生ガスはたとえ極低濃度であっても、クリーンルームは閉鎖系であり、閉じ込められるので(最近クリーンルームは省エネの点で空気の循環使用の比率が高い)、該濃度は徐々に高くなり、クリーンルーム内におけるウェハやガラス基板、基材に付着し、悪影響を与えてしまう。
【0018】
上記のクリーンルーム内における有害ガスの発生をH.Cを例に次に説明する。
少なくとも一部が有機物(高分子樹脂)で構成されるクリーンルーム環境では、該有機物から、極微量の有機性ガス(H.C)が発生し、クリーンルーム空間中の収容物(ウェハやガラス基板などの原料、半製品)を汚染する。
すなわち、クリーンルーム空間では、少なくともその一部に有機物(例、プラスチック容器、パッキン材、シール材、接着材、壁面の材料等)を使用しており、該有機物から極く微量の有機性ガスが発生する。
例えば、シール材からはシロキサン、収納容器の材料であるプラスチック材からはフタル酸エステルなどが発生する。
【0019】
H.Cがウェハなどの基板に付着(吸着)した場合の基板表面の汚染の度合いは、接触角(下記)で表示できる。H.Cで汚染された基板の問題点を具体例で説明すると、H.Cによるウェハ基板(貴重品)の汚染は、基板とレジストとの親和性(なじみ)に影響を与える。そして、親和性が悪くなると、レジストと膜厚に影響を与えたり、基板とレジストとの密着性に影響を与え、品質の低下や歩留まりの低下をもたらす。
接触角とは水によるぬれの接触角のことであり、基板表面の汚染の程度を示すものである。すなわち、基板表面に疎水性(油性)の物質を付着すると、その表面は水をはじき返してぬれにくくなる。すると基板表面と水滴との接触角は大きくなる。従って接触角が大きいと汚染度が高く、逆に接触角が小さいと汚染度が低い。
(c)また、民生の分野でも、シックビルディングシンジロードにみられるように、これらの有機性ガス(例えば、アルデヒド、塩素含有H.C)、酸性ガス、塩基性ガスの同時除去が必要になっている。
【0020】
4)病院、食品工業、医薬などにおける各種菌類や、微生物類などが問題となる分野では、フィルタを用いる清浄方式の場合、フィルタ上あるいは循環系(フィルタとファン、その経路、その周辺)での各種菌類や微生物類の増殖による二次汚染などの問題がある。
5)紫外線源と光電子放出材及び/又は光触媒を用いる密閉空間の清浄化は、該紫外線源、光電子放出材及び/又は光触媒を、密閉空間における清浄化空間部の床面上及び/又は仕切り板を介して床面の下方部に設置することにより、効果的に空間は超清浄化される。
これは紫外線照射により生ずる上昇気流が効果的に作用するためである。即ち、該上昇気流を上手に(合理的に)使うことが、紫外線を用いる該清浄化方式を効果的に行うための重要な点である。
【0021】
また、NH3 、SOx、NOx、HCl、HFのようなイオン状物質が問題になる分野では、前記光電子及び/又は光触媒を用いる方式にイオン交換繊維を加えて用いると、該イオン性物質も同時に除去され、効果的に超清浄空間が得られる。
特に、光触媒を用いる場合、該イオン性物質の共存が多いと、該光触媒表面へのイオン性物質やその生成物の付着などによる問題発生の可能性があることから、予めイオン性物質の除去を行うことが好ましい。例えば、イオン性物質の生成物(硫酸塩)が光触媒表面へ付着し、長時間運転で性能低下をもたらす。
【0022】
次に、本発明の清浄化における各構成について説明する。
先ず、本発明の構成に必須である紫外線源について述べる。
紫外線源は、本発明の清浄化における光電子による方式の光電子放出材への照射及び/又は光触媒による方式の光触媒への照射を行うものであり、夫々の作用は後述するとおりである。
紫外線源は、通常、水銀灯、水素放電管、キセノン放電管、ライマン放電管などを適宜使用出来る。光源の例としては、殺菌ランプ、ブラックライト、蛍光ケミカルランプ、UV−B紫外線ランプ、キセノンランプがある。
この内、殺菌ランプ(波長:254nm)は、粒子状物質に共存する浮遊菌類、微生物類などに殺菌(滅菌)作用があることから好ましい。即ち、紫外線源として殺菌ランプを用いることにより、粒子状物質及び/又はガス状汚染物質の捕集・除去と同時に、殺菌作用を付加できるので、利用先(装置種類)によっては好ましい。
【0023】
次に、清浄化手段の構成について説明する。
1)光電子による方式
光電子による方式は、粒子状物質(微粒子)の除去に効果的である((1)エアロゾル研究、第8巻、第4号、p.315〜324、1993、(2)Proceedings of the 12th ISCC in Yokohama p.117〜122、1994)。光電子による方法は、本発明者らがすでに提案したものを適宜に用いることができる(例、特公平6−74909号、特公平8−211号、特公平7−121369号、特公平8−22393号各公報)。
光電子放出材は、紫外線の照射により光電子を放出するものであれば何れでも良く、光電的な仕事関数が小さなもの程好ましい。効果や経済性の面から、Ba,Sr,Ca,Y,Gd,La,Ce,Nd,Th,Pr,Be,Zr,Fe,Ni,Zn,Cu,Ag,Pt,Cd,Pb,Al,C,Mg,Au,In,Bi,Nb,Si,Ti,Ta,U,B,Eu,Sn,P,Wのいずれか又はこれらの化合物又は合金又は混合物が好ましく、これらは単独で又は2種以上を複合して用いられる。複合材としては、アマルガムの如く物理的な複合材も用い得る。
【0024】
例えば、化合物としては酸化物、ほう化物、炭化物があり、酸化物にはBaO,SrO,CaO,Y2 5 ,Gd2 3 ,Nd2 3 ,ThO2 ,ZrO2 ,Fe2 3 ,ZnO,CuO,Ag2 O,La2 3 ,PtO,PbO,Al2 3 ,MgO,In2 3 ,BiO,NbO,BeOなどがあり、またほう化物には、YB6 ,GdB6 ,LaB5 ,NdB6 ,CeB6 ,EuB6 ,PrB6 ,ZrB2 などがあり、さらに炭化物としてはUC,ZrC,TaC,TiC,NbC,WCなどがある。
また、合金としては黄銅、青銅、リン青銅、AgとMgとの合金(Mgが2〜20wt%)、CuとBeとの合金(Beが1〜10wt%)及びBaとAlとの合金を用いることができ、上記AgとMgとの合金、CuとBeとの合金及びBaとAlとの合金が好ましい。酸化物は金属表面のみを空気中で加熱したり、或いは薬品で酸化することによっても得ることができる。
【0025】
さらに他の方法としては使用前に加熱し、表面に酸化層を形成して長期にわたって安定な酸化層を得ることもできる。この例としてはMgとAgとの合金を水蒸気中で300〜400℃の温度の条件下で、その表面に酸化膜を形成させることができ、この酸化薄膜は長期間にわたって安定なものである。
これらの物質は、バルク状(固体状、板状)で、また適宜の母材(支持体)へ付加して使用できる(特開平3−108698号公報)。例えば、紫外線透過性物質の表面又は該表面近傍に付加する(特公平7−93098号公報)こともできる。
付加の方法は、紫外線の照射により光電子が放出されれば何れでも良い。
例えば、ガラス板上へコーティングして使用する方法、他の例として板状物質表面近傍へ埋込んで使用する方法や板状物質上に付加し更にその上に別の材料をコーティングして使用する方法、紫外線透過性物質と光電子を放出する物質を混合して用いる方法等がある。また、付加は、薄膜状に付加する方法、網状、線状、粒状、島状、帯状に付加する方法等適宜用いることが出来る。
【0026】
光電子を放出する材料の付加の方法は、適宜の材料の表面に周知の方法でコーティング、あるいは付着させて作ることができる。例えば、イオンプレーティング法、スパッタリング法、蒸着法、CVD法、メッキによる方法、塗布による方法、スタンプ印刷による方法、スクリーン印刷による方法を適宜用いることができる。
薄膜の厚さは、紫外線又は放射線照射により光電子が放出される厚さであれば良く、5Å〜5,000Å、通常20Å〜500Åが一般的である。母材の使用形状は、板状、プリーツ状、円筒状、棒状、線状、網状、繊維状、ハニカム状等があり、表面の形状を適宜凹凸状とし使用することが出来る。また、凸部の先端を先鋭状あるいは球面状とすることも出来る(特公平6−74908号公報)。
【0027】
母材への薄膜の付加は、本発明者が既に提案したように、1種類又は2種類以上の材料を1層又は多層重ねて用いることができる。即ち、薄膜を適宜複数(複合)で使用し、2重構造あるいはそれ以上の多重構造とすることができる(特開平4−152296号公報)。
これらの最適な形状や紫外線の照射により光電子を放出する材料の種類や付加法、薄膜厚は、装置の種類、規模、形状、光電子放出材の種類、母材の種類、後述電場の強さ、かけ方、効果、経済性等で適宜予備試験を行い決めることが出来る。
前記光電子放出材を母材に付加して使用する場合の母材は、前記した紫外線透過性物質の他にセラミック、粘土、周知の金属材がある。また、後述の光源の表面に上記光電子放出材を被覆(光源と光電子放出材を一体化)して行うこともできる(特開平4−243540号公報)。
【0028】
後述の光触媒との一体化を行うこともできる(特願平8−132563号)。この形態は、光触媒により光電子放出材の長期間安定化(光電子放出材への影響物質があっても除去できる)、や共存するガス状汚染物質の除去ができるので、利用先(装置の種類、要求性能)によっては好ましい。
光電子放出材への紫外線の照射による光電子の発生は、光電子放出材(負極)と、後述の電極(正極)間に電場(電界)を形成して行うと、光電子放出材からの光電子が効果的に起こる。
電場の形成方法(構造)としては、荷電部の形状、構造、適用分野、装置の種類或いは期待する効果(精度)等によって適宜選択することが出来る。電場の強さは、光電子放出材や母材への付加の種類等で適宜決めることが出来、このことについては本発明者の別の発明がある。電場の強さは、一般に0.1V/cm〜2kV/cmである。
【0029】
次に、電極について説明する。
電極は、前記の光電子放出材から光電子の発生を効果的に起こすために、光電子放出材(負極)の対向側に設置し、電極(正極)との間に電場を形成する。
電極材やその形状は、該電場を形成できるものであれば何れでも良い。材質は、不純物などの発生がなく、導電性の材料であれば何れでも用いることができ、例えば、SUS、Cu−Zn、Wがある。形状は、板状、プリーツ状、円筒状、棒状、線状、繊維状、網状、ハニカム状があり、装置や光電子放出材の種類や形状、規模により、適宜予備試験を行い決めることができる。
【0030】
次に、荷電粒子状物質を捕集する捕集材(集じん材)について説明する。
該捕集材は、その前方の粒子状物質の荷電部で荷電された、荷電粒子状物質の捕集・除去を行う目的で用いる。
該捕集材は、荷電粒子状物質を確実に捕集するものであれば良く、周知の荷電微粒子捕集材であれば何れでも使用できる。通常の荷電装置における集じん板、集じん電極各種電極材や静電フィルター方式が一般的であるが、スチールウール電極、タングステンウール電極のような捕集部自体が電極を構成するウール状構造のものも有効である。エレクトレック材も好適に使用できる。また、本発明者がすでに提案したイオン交換フィルタ(又は繊維)を用いて捕集する方法も有効である(特公平5−9123号、特公平6−87997号各公報)。
【0031】
2)光触媒による方式
光触媒は、ガス状汚染物質としてアンモニア、アミンのようなアルカリ性ガス、NOxのような酸性ガス、炭化水素(H.C)と呼ばれる有機性ガス、この内特に有機性ガスの除去に効果的である(第15回空気清浄とコンタミネーションコントロール研究大会予稿集、p.309〜314、1997)。
光触媒による方式は、本発明者がすでに提案したものを適宜に用いることができる(例、特開平9−168722号、特開平9−205046号各公報)。光触媒は、下記光触媒材料が紫外線照射により、光触媒作用を発揮するものである。
光触媒は、通常、半導体材料が効果的であり、容易に入手出来、加工性も良いことから好ましい。効果や経済性の面から、Se,Ge,Si,Ti,Zn,Cu,Al,Sn,Ga,In,P,As,Sb,C,Cd,S,Te,Ni,Fe,Co,Ag,Mo,Sr,W,Cr,Ba,Pbのいずれか、又はこれらの化合物、又は合金、又は酸化物が好ましく、これらは単独で、また2種類以上を複合して用いる。
【0032】
例えば、元素としてはSi,Ge,Se、化合物としてはAlP,AlAs,GaP,AlSb,GaAs,InP,GaSb,InAs,InSb,CdS,CdSe,ZnS,MoS2 ,WTe2 ,Cr2 Te3 ,MoTe,Cu2 S,WS2 、酸化物としてはTiO2 ,Bi2 3 ,CuO,Cu2 O,ZnO,MoO3 ,InO3 ,Ag2 O,PbO,SrTiO3 ,BaTiO3 ,Co3 4 ,Fe2 3 ,NiOなどがある。
光触媒の固定化は、適宜の材料(母材)に蒸着法、スパッタリング法、焼結法、ゾル−ゲル法、塗布による方法、焼付け塗装による方法など、周知の付加方法を適宜に用いることができる。付加の形状は、薄膜状、線状、網状、帯状、くし状、粒状、島状などを後述母材などにより適宜に選択し、用いることができる。
【0033】
上記TiやZnは、例えば板状Tiを酸化することにより、光触媒とすることができるので、装置の種類によっては好適に使用できる。
光触媒の固定化の例として、光触媒を母材として、公知の導電性材料、例えばSUS、Cu−Zn、Al、又はセラミック、フッ素樹脂、ガラスあるいはガラス状物質の表面へコーティングしたり、光触媒を板状、粒状、島状、線状、網状、膜あるいは繊維状などの適宜の材料にコーティングしたり、あるいは包み、又は挟み込んで固定して用いてもよい。例として、ゾルゲル法によるガラス板への二酸化チタンのコーティングがある。光触媒は、粉体状のままでも用いることが出来るが、焼結、蒸着、スパッタリングなどの周知の方法で適宜の形状にして用いることができる。
【0034】
また、光触媒作用の向上のために、上記光触媒にPt,Ag,Pd,RuO2 ,Co3 4 の様な物質を加えて使用することも出来る。該物質の添加は、光触媒作用が促進されるので好ましい。これらは、1種類又は複数組合せて用いることができる。通常、添加量は、光触媒に対して、0.01〜10重量%であり、適宜添加物質の種類や要求性能などにより、予備試験行い適正濃度を選択することができる。
添加の方法は、含浸法、光還元法、スパッタ蒸着法、混練法など周知手段を適宜用いることができる。
光触媒の清浄化装置への設置は、紫外線源からの紫外線が効果的に照射される位置、設置方法であれば何れでも良い。例えば、(1)前記光電子放出材との一体化(特願平8−132563号)があり、例を挙げると、前記母材上への光電子を放出する物質と光触媒とを付加する方法、光電子を放出する物質上へ光触媒を付加する方法、光触媒上へ光電子を放出する物質を付加する方法がある。
【0035】
他の例として、(2)前記電場用電極材との一体化(特願平8−231290号)があり、例を挙げると、SUS材へ網状あるいは島状に光触媒を付加(SUSが正極)する方法、セラミックへ膜状に光触媒を付加し、目のあらい網状のSUS材で挟み込む(SUSが正極)方法、(3)空気の流れる空間中への光触媒の設置方法、(4)紫外線ランプ上へ被覆する方法(特願平8−31231号)等があり、利用先、装置のタイプ、処理空気の条件(濃度)、要求性能等により、適宜予備試験を行い、決めることができる。
本発明者らがすでに提案したように、光電子による方式と光触媒による方式を一体化して行うと、簡易な構成により粒子状物質とガス状汚染物質の同時除去ができることから利用先(装置の種類)によっては好ましい((1)第14回空気清浄とコンタミネーションコントロール研究大会予稿集、p.201〜204、1996、(2)第15回空気清浄とコンタミネーションコントロール研究大会予稿集、p.309〜314、1997、(3)特開平1−266864号、特願平8−352382号)。
【0036】
3)イオン交換繊維による方式
イオン交換繊維は、ガス状汚染物質として、SO2 、NOxのような酸性ガス、NH3 、アミン類のようなアルカリ性ガスの除去に効果的である。このことから、適用先(要求性能)によっては、前記の光電子による方式及び/又は光触媒による方式に付加して用いると効果的である。
このようなイオン交換繊維について説明すると、これは天然繊維もしくは合成繊維又は、これらの混合体等の支持体表面に陽イオン交換体もしくは陰イオン交換体、又は陽イオン交換基と陰イオン交換基を併有するイオン交換体を支持させたものであり、その方法としては繊維状の支持体に直接支持させてもよく、織物状、編物状又は植毛状の形態にしたのち、これに支持させることもできる。いずれにしても最終的にイオン交換体を支持した繊維となっていればよい。
【0037】
本発明に用いる、イオン交換繊維の製法として、グラフト重合特に放射線グラフト重合法を利用して製造したイオン交換繊維が好適である。種々の材質及び形状の素材を利用することができるからである。さて、前記天然繊維としては羊毛、絹等が適当でき、合成繊維としては炭化水素系重合体を素材とするもの、含フッ素系重合体を素材とするもの、あるいはポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、セルロース、酢酸セルロースなどが適用できる。
前記炭化水素系重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン等の脂肪族系重合体、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等の芳香族系重合体、ポリビニルシクロヘキサン等の脂環式系重合体あるいはこれらの共重合体が用いられる。また、前記含フッ素系重合体としては、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体等が用いられる。
【0038】
いずれにしても、前記支持体としてはガス流との接触面積が大きく、抵抗が小さい形状で、容易にグラフト化が行え、機械的強度が大で、繊維くずの脱落、発生や熱の影響が少ない材料であれば良く、使用用途、経済性、効果等を考慮して適宜に選択出来るが通常、ポリエチレンが一般的でありポリエチレンやポリエチレンとポリプロピレンとの複合体が特に好ましい。
次に、前記イオン交換体としては、特に限定されることなく種々の陽イオン交換体又は陰イオン交換体が使用できる。例えば、カチオン交換の場合を例にとると、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基などの陽イオン交換基含有体、第一級〜第三級アミノ基、第四アンモニウム基などの陰イオン交換基含有体、あるいは上記陽及び陰両者のイオン交換基を併有するイオン交換体が挙げられる。
【0039】
具体的には、前記繊維上に例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニルベンゼンスルホン酸、スチレン、ハロメチルスチレン、アシルオキシスチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン等のスチレン化合物、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルイミダゾール、アクリロニトリルをグラフト重合させた後、必要に応じ硫酸、クロルスルホン酸、スルホン酸などを反応させることにより陽又は陰イオン交換基を有する繊維状陰イオン交換体が得られる。
また、これらのモノマーはジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ブタジエン、エチレングリコール、ジビニルエーテル、エチレングリコールジメタクリレート、などの2個以上の2重結合を有するモノマーの共存下に繊維上にグラフト重合させてもよい。この様にして、イオン交換繊維が製造される。イオン交換繊維の直径は、1〜1000μm、好ましくは5〜200μmであり、繊維の種類、用途等で適宜決めることが出来る。
【0040】
これらのイオン交換繊維の内、陽イオン交換基と陰イオン交換基の用い方は、対象処理気体中の被除去成分の種類や濃度によって決めることができる。例えば被除去成分を予め測定・評価し、それに見合うイオン交換繊維の種類と量を用いれば良い。アルカリ性ガスを除去したい場合は、陽イオン交換基(カチオン交換体)を有するもの、また、酸性ガスを除去したい場合は陰イオン交換基(アニオン交換体)を有するもの、また両者の混合ガスでは陽と陰の両方の交換基を有する繊維を用いることができる。
イオン交換繊維は本発明者らが先に提案したように、放射線グラフト重合で製造したものを用いると、特に効果が高いので好ましく、適宜用いることができる(特公平5−9123号、特公平5−67325号、特公平5−43422号、特公平6−24626号各公報)。
【0041】
イオン交換繊維は、イオン性物質(成分)の捕集に効果的であり、本発明の対象とする酸性ガスやアルカリ性ガスはイオン性物質と考えられることから、これらの物質を効率良く捕集・除去できる。
特に、放射線グラフト重合により製造されたイオン交換フィルタ(繊維)は、前記支持体への照射が奥部まで均一になされるため、イオン交換体(アニオン及び/又はカチオン交換体)が広い面積(高密度に付加)に、しっかり(強固)と付加されるので、交換容量が大きくなり、かつ低濃度のイオン性物質が早い速度で高効率に除去できる効果があり、実用的に有効である。また、放射線グラフト重合による製造は、製品に近い形状でできること、室温でできること、気相でできること、グラフト率大にできること、不純物の少ない吸着フィルタができることなどの利点がある。このため、次のような特徴を有する。
【0042】
▲1▼ 放射線照射によるグラフト重合で製造したイオン交換繊維には、イオン交換体(吸着機能の部分)が均一に多く付加(付加密度が高い)するので吸着速度が速く、かつ吸着量が多い。
▲2▼ 圧力損失が少ない。
前記の光電子による方式、光触媒による方式、イオン交換繊維による方式は、夫々単独で、あるいは2つ以上を組み合せて1個所で、あるいは複数個所で清浄化を行うことができる。
即ち、適用先、装置の種類、形状、要求性能により、適宜予備試験を行い、決めることができる。
例えば、微粒子とガス状汚染物質(特に、有機性ガス)の同時除去は、光電子による方式と光触媒による方式、微粒子とガス状汚染物質(特に、NH3 、NOx)の同時除去は光電子による方式とイオン交換繊維による方式、微粒子とガス状汚染物質(有機性ガス、NH3 、NOx)の同時除去は、光電子による方式と光触媒による方式とイオン交換繊維による方式の組合せがある。
【0043】
次に、清浄化装置を覆う断熱材について説明する。
本発明で用いることができる断熱材としては、周知の断熱材や保温材がいずれも使用できる。
例えば、断熱材としては、二重管によるマホービンの原理が使用でき、また、保温材としては、発泡スチロール等の有機系の保温材及びガラスウール等の無機系の保温材がいずれも使用できる。
これらの断熱材及び保温材は、装置の使用態様によって適宜に選択して用いることができ、また、断熱材や保温材自身からの微粒子や有害ガスの発生を防止するために、断熱材や保温材をこれらの有害物質の発生しない材料で覆って用いることができる。
【0044】
次に、清浄機能付キャリアボックスに使用した場合のウェハキャリア収納部について説明する。
ウェハキャリアの収納部は、一般に用いられているウェハキャリアが収納できる大きさの空間があれば良い。種々のウェハキャリアに合ったステーガイドを用いることで清浄機能付キャリアボックス内に収納できる構造にできる。
ウェハキャリアは、清浄機能部の上部に据付けられ、更にウェハは清浄空気の流れ、すなわち、下方から上方への流れに平行になるような配置が好ましい。
清浄空気がウェハキャリアの底部の全面から流入できるような構造とするためのステーガイドは、何れの材料を用いても良いが、材料からの発塵や発ガスが無い材料を用いることが好ましい。
【0045】
次に、清浄機能付キャリアボックスの清浄化装置の外周部について説明する。外周部は、ウェハ等基板表面の汚染物を清浄化装置で清浄化された気体や外部から混入した汚染気体を清浄化部底部に導く流路である。外周部は、四方の面(一周)使用することも可能であるが、1面、2面又は3面と装置の構造により適宜選択した構造とすることができる。
次に、清浄化装置に電気を供給する電気系について説明する。
清浄化装置に電気を供給する電源は、清浄機能付キャリアボックスの運用(使用条件)によっては、搬送中においても気体清浄化部が常時作動できるようにしたほうが好ましい場合がある。このような場合には、電源系としては、一般の商用電源とバッテリー電源の二系列による作動が可能な構造とすることができる。バッテリーは、周知のものを適宜用いることができる。例えば、アルカリ、マンガン、リチウム等の蓄電地を用途目的により適宜選択して用いることができる。
【0046】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されない。
実施例1
クラス1000のクリーンルームの液晶工場における液晶ガラス(基板)保管庫(ストッカ)1中の空気清浄を図1を用いて説明する。
図1において、密閉空間である基板保管庫1中の空気清浄は、床14の下部に設置された、紫外線ランプ2、光電子放出材3、光電子放出用の電極4、荷電微粒子捕集用の電極13より成る本発明の清浄化装置である空気清浄ユニット(A+B)により実施される(微粒子の荷電部:A、荷電微粒子の捕集部:B)。
液晶ガラス保管庫1には、液晶ガラス基板11が収納された基板収納キャリア10の該保管庫1への出し入れなど、該保管庫1の開閉によりクリーンルームより粒子状物質(微粒子)6が侵入するが、該粒子状物質6は、本発明の空気清浄ユニット(A+B)にて荷電・捕集され、該基板11が収納された被清浄空間Cは、クラス1よりも清浄な超清浄空間となる。
【0047】
即ち、光電子放出材3と電極4の間に電場を形成した状態で光電子放出材3に紫外線ランプ2からの紫外線を照射すると光電子放出材3から光電子が放出される。ここで液晶ガラス保管庫1中の微粒子6は、紫外線ランプ2、光電子放出材3、電極4、13よりなる微粒子の荷電・捕集部(A+B)において前述の光電子により荷電され、荷電微粒子となり、該荷電微粒子は電極13に捕集され、保管庫1中はクラス1よりも清浄に超清浄化される。
9a〜9cは、紫外線ランプにより生ずる空気の流れを示し、空気清浄ユニット(A+B)内部の紫外線照射により生ずる温度上昇に伴い発生する。9aは、空気清浄ユニット(A+B)により清浄化された清浄化空気である。この流れ(9a〜9c)により、保管庫1中の微粒子6は、順次荷電・捕集部(A+B)に移動し、荷電・捕集される。14は、ガラス基板が収納された基板収納キャリア10が保管される床面を示す。
【0048】
空気清浄ユニット(A+B)の設置が水平でなく、少し斜傾を有するのは、これにより該ユニットからの上昇気流による空気の流れ9a〜9cを効果的にするためである。
本保管庫1内に、液晶ガラス基板11を収納しておくと、粒子状物質6による汚染が防止されるので、基板上の回路(パターン)の断線や短絡が起こらず製品製造における歩留まりが向上する。
本例の紫外線ランプ2は、殺菌ランプ、光電子放出材3はCu−ZnにAuメッキしたもの、光電子放出用電極材4及び荷電粒子捕集材13は、SUS材である。
空気清浄ユニット(A+B)は、保守点検等で適宜取り外しができ、本発明の特徴の1つである。
【0049】
実施例2
クラス1000のクリーンルームの半導体工場におけるウェハ保管庫(ストッカ)1中の空気清浄を図2を用い説明する。
図2において、密閉空間であるウェハ保管庫1中の空気清浄は、床14の下部に設置された、紫外線ランプ2-1、光触媒15、紫外線ランプ2-2、光電子放出材3、光電子放出用電極4、荷電微粒子捕集材13よりなる本発明の空気清浄ユニット(A+B)により実施される。クリーンルーム中のガス状有害成分として、有機性ガスが非メタン炭化水素として、1.3ppm、NH3 が50ppb存在する。
【0050】
ウェハ保管庫1には、ウェハ11が収納されたウェハキャリア10の該保管庫1への出し入れなど、該保管庫1の開閉によりクリーンルームより粒子状物質(微粒子)6及びガス状有害成分16(ここでは、ウェハに付着するとウェハ表面の接触角を増加させる炭化水素(例、フタル酸エステル)や解像不良(くもり)を生じさせるNH3 )が侵入するが、該粒子状物質6は、本発明の空気清浄ユニット(A+B)にて荷電・捕集され、またガス状有害成分16は紫外線ランプ2-1からの紫外線照射により光触媒作用を発揮している光触媒15に接触し、分解、無害化処理され、ウェハ11が収納された被清浄空間はCは、ガス状有害成分が無害化処理(ウェハ11に対して不活性ガス化)されたクラス1よりも清浄な超清浄空間となる。
【0051】
即ち、光電子放出材3と電極4の間に電場を形成した状態で光電子放出材3に紫外線ランプ2-2からの紫外線を照射すると光電子放出材3から光電子が放出される。ここでウェハ保管庫1中の微粒子6は、紫外線ランプ2-2、光電子放出材3、電極4、13よりなる微粒子の荷電・捕集部において、上述の光電子により荷電され、荷電微粒子となり、該荷電微粒子は電極13に捕集され、ウェハ保管庫1中は超清浄化される。
一方、ガス状有害成分16は、空気の流れ9a〜9cにより、光触媒15に接触し、無害化処理される。
9a〜9cは、紫外線ランプ2-1、2-2による本発明の空気清浄ユニット内部の温度上昇に伴い生じる保管庫1中の空気の流れを示し、この流れにより保管庫1中の微粒子6及びガス状有害成分16は、効果的に該ユニット(A+B)に順次移動し、処理される。9aは、空気清浄ユニット(A+B)により、清浄化された清浄化空気である。
【0052】
このような処理により、非メタン炭化水素として0.1ppm以下、NH3 1ppb以下で、クラス1よりも清浄な超清浄空間が得られる。
光触媒によるガス状有害成分の処理については、ガス状有害成分の濃度が極低濃度であることなどから詳細は不明であるが、炭化水素を例に次に示す。
炭化水素(非メタン炭化水素、H.C)は、基板によっては通常の空気中の濃度(例、一般外気)でも汚染をもたらす。
種々のH.Cのうち、接触角を増大させる成分は基板の種類(ウエハ、ガラス材など)や基板上の薄膜の種類・性状によって異なると考えられる。本発明者らは鋭意検討した結果、非メタン炭化水素を指標として、これを光触媒による分解処理により0.2ppm以下、好ましくは0.1ppm以下まで除去すれば効果的であることがわかった。
【0053】
すなわち、通常のクリーンルームにおける基板表面の接触角を増加させる有機性ガス(H.C)で共通して言えることは、高分子量のH.Cが主であり、その構造として−CO、−COO結合(親水性を有する)を持つことである。このH.Cは親水部(−CO、−COO結合部)を有する疎水性物質(H.Cの基本構造の−C−C−の部分)と考えることができる。
具体例で説明すると、通常のクリーンルームにおけるウェハ基板などの基板の表面の接触角を増加させる有機性ガスは、C16〜C20の高分子量H.C、例えばフタル酸エステル、高級脂肪酸フェノール誘導体であり、これらの成分に共通することは化学的構造として、−CO、−COO結合(親水性を有する)を持つ。これらの汚染有機性ガスの起因は、高分子製品の可塑剤、離型剤、酸化防止剤などであり、高分子製品の存在する個所が発生源である(「空気清浄」第33巻、第1号、p16〜21、1995)。
【0054】
光触媒によるこれらの有機性ガスの処理メカニズムの詳細は不明であるが、次のように推定できる。すなわち、これらの有機性ガスは−CO、−COO結合の部分がウエハやガラス表面のOH基と水素結合し、その上部は疎水面となり、結果としてウエハやガラス表面は疎水性になり、接触角が大きくなり、その表面に成膜すると膜の付着力は弱い。
有機性ガスが存在する雰囲気に光触媒を設置すると、先ず、光触媒にウェハやガラス表面と同様に有機性ガスがその表面に吸着し、次いで、その活性部である−CO、−COO結合部が、光触媒の作用を受け(光触媒への光の照射)別の安定な形態に変換される。その結果として、有機性ガスは安定な形態となり、ウエハやガラス基板上には付着しないか、又は付着しても疎水性を示さない。
【0055】
本保管庫1内に、ウェハ11を収納しておくと、粒子状物質6及びガス状有害物質16による汚染が防止されるので、ウェハ上の回路(パターン)の断線や短絡が起こらず、ウェハ表面の接触角が増加さず(ウェハ上に成膜した膜の付着力が強い)、解像不良が起こらないので、製品製造における歩留まりが向上する。本例の紫外線ランプ2-1、2-2は、殺菌ランプ、光電子放出材3はCu−ZnにAuメッキしたもの、電極材4、荷電粒子捕集材13は、SUS材、光触媒はTiO2 である。
空気清浄ユニット(A+B)は、保守点検等で適宜取り外しができ、本発明の特徴の1つである。
図2において、図1と同一符号は同じ意味を示す。
【0056】
実施例3
実施例2の図2において、イオン交換繊維17を組み合せて行うウェハ保管庫1中の空気清浄を図3に示す。
クラス1,000のクリーンルームにはガス状有害成分として有機性ガスが非メタン炭化水素として1.3ppm、NH3 が580ppb、SOxが80ppbが存在する。
図3では、図2のごとく作用する。ここではイオン交換繊維(アニオン型とカチオン型)により、先ずイオン性物質がNH3 10ppbまで、SOx5ppb以下まで除去される。次いで、図2のごとく光触媒15の作用により非メタン炭化水素が0.1ppm以下、NH3 0.1ppb以下まで除去され、次に光電子放出材3からの発生光電子により微粒子除去され、クラス1よりも清浄な超清浄空間が創出される。
図3において、図1、2と同一符号は同じ意味を示す。
【0057】
実施例4
実施例2におけるウェハ保管庫の図2に示した光電子と光触媒を用いる本発明の空気清浄ユニット(A+B)の別の形態を、図4に示す。
本ユニット(A+B)は、ウェハ保管庫1の床14の下部に設置され、中心部の紫外線ランプ2、該ランプの上に被覆した光電子放出材としてのAu3、その対向面に光電子放出のための金網状電場用電極材4、荷電微粒子捕集材13、光触媒15より構成される。
18は、清浄化空気である上昇気流9aを、被清浄空間Cに導く、ガイド板である。
ここでの基本的作用は、図2で示したごとくであるが、本形態の特徴を次に示す。
紫外線ランプ2を中心に設置しているため、該ランプにより上昇気流9aが効果的に利用でき、本形態の特徴である。
即ち、該ランプ2の保管庫1下部の中心部への設置により、保管庫1内の気流9a〜9cが効果的に起こるので、保管庫1中の微粒子6、ガス状有害成分16は効果的に気流9a〜9cにより順次空気清浄ユニット(A+B)に送り込まれ、効率良く除去される。
【0058】
前記作用により、被清浄空間Cは、非メタン炭化水素として0.1ppm以下、NH3 1ppb以下でクラス1よりも清浄な超清浄空間が得られる。
本保管庫1内に、ウェハ11を収納しておくと、粒子状物質6及びガス状有害物質16による汚染が防止されるので、ウェハ上の回路(パターン)の断線や短絡が起こらず、ウェハ表面の接触角が増加さず(ウェハ上に成膜した膜の付着力が強い)、解像不良が起こらないので、製品製造における歩留まりが向上する。ここでの紫外線ランプ2は、殺菌ランプ、電極材4、荷電微粒子捕集材13はSUS材、光触媒はTiO2 である。空気清浄ユニット(A+B)は、保守点検等で適宜取り外しができ本発明の特徴である。
図4において、図2と同一符号は、同じ意味を示す。
図4では、ウェハ保管庫1に複数個のウェハキャリア10が設置されているが、1台のウェハキャリア10が収納されるウェハボックスに上記空気清浄ユニット(A+B)を設置して同様に実施できた。
【0059】
実施例5
実施例4の図4の本発明の空気清浄ユニット(A+B)の別の形態を、図5に示す。
本ユニット(A+B)は、ウェハ保管庫1の床14の下部に設置され、中心部の紫外線ランプ2、その廻りに円周状に設置された光電子放出のための金網状の電場用電極材4、その対向側に設置された金網状光電子放出材3、荷電微粒子捕集材13、光触媒15より構成される。
本形態の特徴は、金網状光電子放出材3を用いることにより、電場(光電子放出用)の強さが弱くて良く、ここでは10V/cmである。
図5において、図4と同一符号は同じ意味を示し、その作用と効果は、実施例4と同一である。
【0060】
実施例6
クラス10000のバイオロジカルクリーンルームにおけるパスボックス(外部とクリーンルーム間に設置された器具類などの受け渡し装置)1中の空気清浄を、図6を用い説明する。
図6において、密閉空間であるパスボックス1中の空気清浄は、床14の下部に設置された紫外線ランプ(殺菌ランプ)2-1、光電子放出材3、光電子放出用電極材4、荷電粒子捕集材13より成る本発明の空気清浄ユニット(A+B)により実施される。
パスボックス1には、クリーンルームに搬入する器具類19のパスボックス1への導入のたびに、外部から菌類、微生物類を含む粒子状物質6が侵入するが、該菌類、微生物類を含む粒子状物質6は、本発明の空気清浄ユニット(A+B)にて荷電・捕集される。ここで、該菌類、微生物類は本発明の荷電粒子捕集材13に捕集されるので、極近傍の紫外線ランプ(殺菌ランプ)2-1の照射を受け、完全に殺菌(滅菌)され、本形態の特徴である。
【0061】
即ち、空中浮遊菌類や微生物類6は、先ずパスボックスの空間Cでその一部が殺菌ランプ2-2により殺菌されるが、生き残った菌類や微生物類、耐UV性のカビ類などは、本発明の荷電粒子捕集材13に捕集され、殺菌線(殺菌ランプからの254nm紫外線)の照射を受けるので、完全に殺菌(滅菌)される。このようにして、器具類19が置かれた被清浄空間Cは、空中浮遊菌類、微生物類、微粒子6が除去された超清浄空間となる。
即ち、光電子放出材3と電極4の間に電場を形成した状態で光電子放出材3に紫外線ランプ2からの紫外線を照射すると光電子放出材3から光電子が放出される。ここでパスボックス1中の菌類、微生物類を含む粒子状物質6は、紫外線ランプ2、光電子放出材3、電極4、荷電粒子捕集材13よりなる粒子状物質の荷電捕集部A+Bにおいて、上述の光電子により荷電され、荷電粒子状物質となり、該粒子状物質は、電極13に捕集され、パスボックス1中は除菌と除塵が行われ超清浄化される。
【0062】
9a〜9cは、紫外線ランプ2による本発明の空気清浄ユニット(A+B)内部の温度上昇に伴い生じるパスボックス1中の空気の流れを示し、この流れによりパスボックス1中の菌類、微生物類を含む粒子状物質6は、効果的に荷電・捕集部A+Bに移動し、荷電・捕集される。
本パスボックス1を用いて、器具類(例、手術用具)19をクリーンルームに導入すると、該器具類19の菌類や微生物類からの汚染が防止される。
空気清浄ユニット(A+B)は、保守点検等に適宜取り外しでき、本発明の特徴の1つである。
【0063】
実施例7
図2に示した構成の保管庫に下記試料空気を入れ、本発明の空気清浄ユニットの作動の有無において、微粒子測定器、ガス測定器を用いて、被清浄空間中の濃度、ウェハ上の粒子数や接触角などについて調べた。
1)保管庫 ; 80リットル
2)空気清浄ユニット ; 下記紫外線ランプ、光電子放出材、電極材、光触媒を図2のごとく構成し、保管庫の床下に図2のごとく設置。
(1)紫外線ランプ:殺菌ランプ 10W、
(2)光電子放出材:Cu−ZnにAuメッキ、
(3)光電子放出用電極:50V/cm、電極材SUS、
(4)荷電微粒子捕集材:800V/cm、電極材SUS、
(5)光触媒 :石英ガラスにTiO2 をゾル−ゲル法で被覆
【0064】
3)試料空気 ; 半導体工場(クラス1,000)のクリーンルーム空気。
H.C : 1.3ppm、
NH3 : 65ppb、
SOx : 10ppb、
4)ウエハ ; 8インチ、
5)測定器 ;(1)空間中微粒子濃度:光散乱式パーティクルカウンター(>0.1μm)、
(2)同H.C濃度 : GC法、
(3)同NH3 濃度 : ケミルミ法、
(4)ウェハ上微粒子数 : ウェハ・ゴミ検査器、
(5)ウェハ上接触角 : 水滴式接触角計
尚、クラスとは、1ft3 中に含まれる0.1μm以上の粒子数を示す。
【0065】
結果
(1)空間中微粒子濃度、ウェハ上粒子数を、表1に示す。
表1には比較(ブランク)としての紫外線照射なしのもの、また光触媒なし(光電子放出材有り)、光触媒有り(光電子放出材無し)のものを示す。
【表1】
Figure 0003770363
【0066】
(2)空間中H.C濃度、NH3 濃度を、表2に示す。
表2には、表1と同じ比較を夫々示す。
【表2】
Figure 0003770363
【0067】
(3)ウェハ上の接触角を表3に示す。
表3には、表1と同じ比較を示す。
【表3】
Figure 0003770363
【0068】
実施例8
実施例7において、図3のごとくイオン交換繊維の付加を行い、保管庫に下記試料空気の環境に設置し、長期間運転を行い、その性能をウェハの接触角を測定することにより調べた。保管庫の開閉は10回/日とした。
1)イオン交換繊維(アニオン型、カチオン型)
下記に、製造法を示す。
▲1▼ アニオン交換繊維: 繊維状のポリプロピレンに窒素中で電子線20Mradを照射し、次いでヒドロキシスチレンモノマーとイソプレンを夫々60%及び40%含む溶液に浸漬し、35℃の温度に加熱してグラフト重合反応を行った。反応後、四級アミノ化を行い、アニオン交換繊維を得た。
▲2▼ カチオン交換繊維: 繊維状のポリプロピレンに窒素中で電子線20Mradを照射し、次いでアクリル酸45%を含む水溶液に浸漬し、35℃の温度に加熱してグラフト重合反応を行った。反応後、水酸化ナトリウム溶液で処理し、カチオン交換繊維を得た。
【0069】
2)試料空気 ; 半導体工場(クラス1000)のクリーンルーム空気、
H.C : 1.4ppm、
NH3 : 480ppb、
SOx : 250ppb、
NOx : 320ppb
結果
結果を図7に示す。図7において、本発明のものを−〇−、比較として紫外線照射しないもの(ブランク)を−●−、またイオン交換繊維を付加しないもの(光電子放出材と光触媒の作動のみ)を−△−で示す。
尚、イオン交換繊維によるイオン性物質の除去効果を調べるために、前記イオン交換繊維に試料空気を100ml/minで通過させ、出口濃度を調べたところ次のようであった。
NH3 : 10ppb以下(測定:ケミルミ法)
SOx : 5ppb以下(測定:溶液導電率法)
NOx : 5ppb以下(測定:ケミルミ法)
【0070】
実施例9
次に、本発明の清浄機能付密閉空間を清浄機能付キャリアボックスに用いた例を示し、図9はその全体構成図である。
図9において、20はウェハキャリアボックス本体であり、21はステーガイド、22はリターン流路、23は戻り汚染空気の流れ、24は清浄空気の流れ、25は汚染空気、27は電源部であり、前の図と同じ符号は同じ意味を有する。光電子放出材3は紫外線ランプ2の表面に被覆されている。
キャリアボックス20は、ウェハキャリア10の出し入れにより、外部から汚染物質が侵入する。侵入した汚染物質は、外周路22を通り荷電部Aに入り、電場下での光電子放出材3への紫外線ランプ2からの紫外線照射によって発生する光電子により荷電される。
【0071】
そして、紫外線ランプ2により加温された荷電微粒子を含む気体は、上昇して捕集部Bに到り、荷電微粒子は捕集部の電極板13a、bに捕集・除去され、清浄化された気体24が電極板13a、bの隙間から全面にわたって上昇し、ウェハ11が存在するウェハ収納部cを清浄にする。
収納部cを清浄化した気体は、収納部の頂部から外周路22を通り循環される。
収納部cでは、ウェハ11は気体の流れに沿って垂直方向に保持されるのが良い。それによって、気体の流れを妨げることなく流動し、迅速に収納部の清浄化を達成することができる。
図10に、前記キャリアボックス20で、ウェハキャリア10の出し入れ用の開閉扉26を天井部(a)又は側面部(b)に設けた場合の例を示す。
【0072】
実施例10
図9に示した構成のキャリアボックスに、下記試料空気を入れ、空気清浄化部(本装置)の作動の有無において、微粒子濃度の測定とウェハ表面の接触角測定などについて調べた。
Figure 0003770363
キャリアボックス内のウェハ表面の汚染状態の試験では、供試ウェハは全て事前に洗浄を行い、初期の接触角の値は7度以下のウェハを用いた。
尚、クラスとは、1ft3 中に含まれる0.1μm以上の粒子数を示す。
【0073】
図11に、キャリアボックス内における微粒子の除塵特性の測定結果を示す。縦軸は、初期微粒子濃度に対する微粒子の存在比を示し、横軸は空気清浄装置の運転時間を示している。図中のaは、本装置作動時の結果を、bは、比較として空気清浄部停止時(電源Off)の測定結果を示している。
図11の結果から、清浄装置が作動されていない場合は、微粒子濃度の減衰は起こらず、殆どボックス内に残存していることが分かる。一方、ボックス内微粒子濃度は、空気清浄装置作動によりクラス1000からクラス1以下に微粒子濃度が低減された。
図12に、キャリアボックス内のウェハ表面の接触角の結果を示す。
クリーンルーム空気に暴露された場合(図中b)は、時間とともに接触角は上昇し汚染されているが、一方、空気清浄装置の作動がある場合(図中a)は、10度以下で安定しており、接触角の増加は見られない。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
1)紫外線源と光電子放出材及び/又は光触媒を用いる密閉空間の清浄化において、該紫外線源と光電子放出材及び/又は光触媒を密閉空間における清浄化空間部の床面上又は仕切り板を介して床面の下方部に設置したことにより、
(1)床面の作業面が全面にわたり使用できるようになった(有効作業面積が広くなった)。
(2)紫外線ランプより生ずる上昇分流を合理的に利用できたので、密閉空間の清浄化が効果的にできた。
(3)光電子放出材と光触媒を同時に用いることにより、ガスと粒子の同時除去空間が効果的に得られた。
【0075】
2)前記1)にイオン交換繊維を組み合せて用いることにより、
(1)前記1)に加えて、NH3 、アミン、SOx、NOxのようなイオン性物質の同時除去ができた。
(2)即ち、多種類(多成分)の同時除去ができたので、本清浄方式の適用先(装置)が広がり、実用性が向上した。
3)清浄機能付キャリアボックスを用いることにより、収納したウェハやガラス基板を清浄空気の雰囲気下に保持することができるため汚染されない。従って、ウェハやガラス基板の歩留まりの向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の清浄装置を設置した保管庫の断面構成図。
【図2】本発明の他の清浄装置を設置した保管庫の断面構成図。
【図3】本発明の他の清浄装置を設置した保管庫の断面構成図。
【図4】本発明の他の清浄装置を設置した保管庫の断面構成図。
【図5】本発明の他の清浄装置を設置した保管庫の断面構成図。
【図6】本発明の清浄装置を設置したパスボックスの断面構成図。
【図7】運転時間(h)による接触角(度)の変化を示すグラフ。
【図8】従来の清浄装置を備えたウェハ保管庫の断面構成図。
【図9】本発明を清浄機能付キャリアボックスに用いた全体構成図。
【図10】キャリアボックスの開閉扉の取付位置を示す概略図で、a)天井部、b)側面部を示す。
【図11】経過時間による粒子残存比(n/no)を示すグラフ。
【図12】経過時間による接触角(度)の変化を示すグラフ。
【符号の説明】
1:保管庫、2:紫外線ランプ、3:光電子放出材、4:電極、5:光電子、6:粒子状物質、9a〜9c:空気の流れ、10:キャリア、11:基板、13:電極、14:床、15:光触媒、16:ガス状有害成分、17:イオン交換繊維、18:ガイド板、19:器具類、20:ウェハキャリアボックス本体、21:ステーガイド、22:外周路、23:戻り汚染空気の流れ、24:清浄空気の流れ、25:汚染空気、26:開閉扉、27:電源部、
A:荷電部、B:捕集部、C:清浄化空間部、

Claims (2)

  1. 紫外線源と光触媒を用いる清浄機能を有する密閉空間において、該密閉空間の切り板を介して床面の下方部に、中心部に紫外線源を配し、該紫外線源を中心に光触媒を配備し、非メタン炭化水素を0.2ppm以下及びアンモニアを1ppb以下まで清浄化すると共に、床面の両側面と紫外線源を配した中心部の上部に開口部を有し、該中心部の開口部に上昇気流を導くガイド板を設け、密閉空間の気体が前記両側面の開口部から流入し、清浄化された気体が中心部に設けられた紫外線源による上昇気流により中心部の開口部から流出するように構成された清浄化装置を設置したことを特徴とする清浄機能付密閉空間。
  2. 請求項1記載の清浄機能付密閉空間が、ウェハを収納するキャリアボックスであり、上部にウェハの収納部を有し、下部に清浄化装置を有することを特徴とする清浄機能付キャリアボックス。
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