JP4498683B2 - 車両用燃料電池の空気供給装置。 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用燃料電池の空気供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池自動車等に搭載される燃料電池としては、例えば固体高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)などが知られている。この燃料電池は、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで挟み込んで形成されたセルを複数積層して構成されたスタックからなり、アノード電極に燃料ガス(例えば、水素ガス)を供給し、カソード電極に酸化剤ガスを供給することによって発電する。この発電電力を燃料電池自動車の駆動モータや、燃料電池を稼働させるのに必要な補機類(例えば燃料電池へ空気を供給するエアコンプレッサや冷却水を循環させるウォータポンプなど)に供給する。
この燃料電池では、酸化剤ガスとして空気中の酸素を用いるのが一般的であり、大気から空気を取り込んで燃料電池に圧送している。ところで、大気中には塵埃が含まれているので、燃料電池のカソード電極に供給する前に空気中の塵埃を除去する必要があり、このような技術としては例えば特許文献1などが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−94200号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃料電池の構造上、カソード電極に沿って設けられた空気流路のコーナー部などに淀みが生じ、この淀みが生じる部分(以下、淀み部という)で空気の流速が遅くなるため、微細な塵埃を含む空気が供給されると、この微細な塵埃が前記淀み部でカソード電極に付着して目詰まりを起こし、酸素の供給量が減少するとともに反応面積が減って燃料電池の出力が低下する場合がある。特に、空気中に存在する粒子状のシリカは微細であり、カソード電極に付着し易いことが実験的に確認されている。
このような事態を回避するには、フィルタの目を細かくして微細な塵埃も除去できるようにすればよいが、フィルタの目を細かくすると圧力損失が大きくなるため、コンプレッサにも大きな出力が要求されるようになり、その結果、燃料電池を稼働させるために必要なエネルギ(寄生電力)が大きくなって、エネルギ効率が低下してしまう。
【0005】
また、フィルタの圧力損失を低減するためにフィルタの肉厚を薄くする方法もあるが、大量の空気供給が必要とされ、且つ、供給流量に変化がある燃料電池では、フィルタの耐久性が不足する懸念がある。
さらに、大気中には塗料、接着剤からの揮発成分として有機珪素化合物が存在するが、このような有機珪素化合物は前記フィルタで除去するのは困難である。この有機珪素化合物が空気とともに燃料電池に供給されると、カソード電極の触媒上で酸化してシリカとなり、触媒表面を被覆したり、拡散層に付着するなどして、燃料電池の出力を低下させる場合もある。
そこで、この発明は、圧力損失が小さく、微細な塵埃や有機珪素化合物も除去可能で、エネルギ効率がよい車両用燃料電池の空気供給装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に搭載され、カソード電極(例えば、後述する実施の形態におけるカソード電極2c)に酸化剤としての空気が供給されアノード電極(例えば、後述する実施の形態におけるアノード電極2b)に燃料ガスが供給されて発電をする燃料電池(例えば、後述する実施の形態における燃料電池2)と、大気からプレフィルタ(例えば、後述する実施の形態におけるプレフィルタ9)を介して取り込んだ空気を加圧するコンプレッサ(例えば、後述する実施の形態におけるコンプレッサ5)と、前記コンプレッサによって加圧された空気を前記燃料電池のカソード電極に供給する空気供給路(例えば、後述する実施の形態における空気供給路6)と、前記空気供給路に設けられ、捕集対象である塵埃の持つ電荷に対して逆の極性に帯電させることで該塵埃を捕集する静電捕集手段(例えば、後述する実施の形態における静電捕集装置20)と、前記静電捕集手段の上流の前記空気供給路に設けられ該空気供給路を流通する空気に乱流を発生させる乱流発生部(例えば、後述する実施の形態における乱流発生部40)と、前記静電捕集手段の下流の前記空気供給路に設けられた濾過式のフィルタ(例えば、後述する実施の形態における濾過フィルタ50)と、を備え、前記静電捕集手段は、ナイロン製の摩擦体(例えば、後述する実施の形態における摩擦体31)と、有機珪素化合物をシリカに分解する触媒(例えば、後述する実施の形態における酸化触媒33、光触媒層34)を担持したポリエチレン製の静電捕集体(例えば、後述する実施の形態における静電捕集体32)とを備え、前記摩擦体または静電捕集体のいずれか一方(例えば、後述する実施の形態における静電捕集体32)は前記空気供給路を流通する空気によってなびく糸状をなし、他方(例えば、後述する実施の形態における摩擦体31)は前記空気供給路内に設けられた突起で構成され、前記摩擦体および前記静電捕集体は互いに接触可能に設けられており、該摩擦体と静電捕集体は互いに接触したときの摩擦により帯電せしめられ、前記塵埃を前記摩擦体または前記静電捕集体のいずれかで捕集するように構成されていることを特徴とする車両用燃料電池の空気供給装置(例えば、後述する実施の形態における空気供給装置1)である。
このように構成することにより、シリカのように大気中に含まれる電荷を持つ微細な塵埃および有機珪素化合物を静電捕集手段で捕集することができ、さらに、捕集された有機珪素化合物を前記触媒によりシリカに分解し、シリカの状態で捕集することができる。また、静電捕集手段および濾過式のフィルタは圧力損失が小さいので、燃料電池へ空気を供給するために必要なエネルギ(寄生電力)が小さい。
【0008】
また、空気供給路を流れる空気によって前記摩擦体または静電捕集体のいずれか一方がなびいて他方を摺動し、その際の摩擦によって摩擦体および静電捕集体を帯電させることができる。また、乱流発生部は空気供給路を流れる空気に乱流を発生させ前記摩擦体または静電捕集体のいずれか一方を激しくなびかせる。したがって、空気流以外の動力なしに摩擦体および静電捕集体を帯電させることができ、しかも、その空気流は、コンプレッサが燃料電池に空気を供給するために発生させた空気流であるので、新たなエネルギ源が不要であり、装置構成を簡単化することができる。
また、静電捕集体がポリエチレン製であり、シリカとポリエチレンは互いに逆の極性に帯電し易いことから、空気中に存在する微細なシリカを静電捕集体によって効率よく捕集することができ、空気中のシリカを高効率で除去することができる。また、空気中に存在する微粒子状の有機珪素化合物も静電捕集体によって捕集することができる。
【0009】
また、電荷を持つ微細な塵埃および有機珪素化合物は上流の静電捕集手段で除去されるため、下流の濾過式のフィルタでは大きな塵埃を除去できればよく、該フィルタの目を粗くすることができ、該フィルタの圧力損失を小さくすることができる。また、静電捕集手段に捕集された電荷を持つ塵埃や有機珪素化合物の分解により生じたシリカが互いの分子間力によって引き付け合い凝集して大きな塊(凝集塊)になって静電捕集手段から離脱した場合にも、この凝集塊を下流の濾過式のフィルタで捕集することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記静電捕集体に担持された触媒は光触媒(例えば、後述する実施の形態における光触媒層34)であり、前記空気供給路における前記乱流発生部と前記静電捕集手段の間には光発生手段(例えば、後述する実施の形態における光発生装置60)が設けられ、該光発生手段は、前記空気供給路内に設置され該空気供給路内の空気流によって回転するプロペラ(例えば、後述する実施の形態におけるプロペラ63)によりロータが回転せしめられる発電機(例えば、後述する実施の形態における発電機62)と、前記静電捕集手段の直ぐ上流に配置され前記発電機で発電した電力で発光する発光部(例えば、後述する実施の形態における発光部64)と、を備えることを特徴とする。
このように構成することにより、燃料電池に空気を供給しているときには常に発電機で発電した電力を発光部に供給することができ、発光部から光触媒励起用の光を静電捕集手段の光触媒に向けて照射することができ、光触媒を励起状態にすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る燃料電池の空気供給装置の実施の形態を図1から図6の図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は、燃料電池自動車に搭載される燃料電池の空気供給装置の態様である。
〔第1の実施の形態〕
初めに、この発明に係る空気供給装置の第1の実施の形態を図1から図3の図面を参照して説明する。
図1は空気供給装置1を備えた燃料電池システムの概略構成図である。
燃料電池2は、固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜2aをアノード電極2bとカソード電極2cとで両側から挟み込んで形成されたセルを複数積層して構成されたスタック(図1では単セルのみ示す)からなり、アノード電極2bに燃料ガスとして水素ガスを供給し、カソード電極2cに酸化剤としての酸素を含む空気を供給すると、アノード電極2bで触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜2aを通過してカソード電極2cまで移動して、カソード電極2cで酸素と電気化学反応を起こして発電し、水が生成される。
【0011】
水素タンクから供給される水素ガスは、水素ガス供給路3を通って燃料電池2のアノード電極2bに供給され、消費されなかった未反応の水素ガスは燃料電池2からアノード電極2bオフガスとして水素ガス循環路4に排出され、さらに水素ガス供給路3に戻されて循環利用される。
大気から取り込んだ空気はプレフィルタ9で粗大な塵埃を除去された後、コンプレッサ5によって加圧され、空気供給路6を介して燃料電池2のカソード電極2cに供給される。空気供給路6には空気中の微細な塵埃および有機珪素化合物を除去する空気浄化装置10が設けられており、空気浄化装置10によって清浄にされた空気が燃料電池2のカソード電極2cに供給される。燃料電池2に供給された空気は発電に供された後、燃料電池2からカソードオフガスとして空気排出路7に排出され、背圧弁8を介して大気に放出される。
【0012】
次に、図2および図3を参照して、空気浄化装置10について詳述する。
空気浄化装置10は、空気供給路6を構成する円筒状の管体11に設けられており、上流側(コンプレッサ5に近い側)に設置された乱流発生部40と、乱流発生部40の下流に設置された静電捕集装置(静電捕集手段)20と、下流側(燃料電池2に近い側)に設置された濾過式のフィルタ(以下、濾過フィルタという)50とから構成されている。
【0013】
乱流発生部40は、管体11の内周面に設置され先端を管体11の中央に向かって突出させた多数の突起体41で構成されている。
静電捕集装置20は、管体11の内周面に取り付けられた多数の摩擦体31と多数の静電捕集体32とから構成されている。摩擦体31は硬直なナイロン繊維で形成され、基端が管体11の内周面に固定され先端を管体11の中央に向かって延ばした突起で構成されている。静電捕集体32はしなやかなポリエチレン繊維で形成されて糸状をなし、基端が管体11の内周面に固定され先端が自由端にされている。また、図3に示すように、この静電捕集体32の表面には、酸化触媒33が担持されている。なお、この酸化触媒33は、硫黄化合物や一酸化炭素に被毒されにくい金属(例えば、白金−ルテニウム合金やルテニウム触媒等)で構成するのが好ましい。
摩擦体31と静電捕集体32は、乱流発生部40より下流の所定領域に混在して設けられており、静電捕集体32が風になびくと摩擦体31に接触するように静電捕集体32の長さが設定されている。
静電捕集装置20の下流に設置されている濾過フィルタ50は一般的な濾過式のフィルタであって、比較的に目の粗いものが使用されている。
【0014】
このように構成された空気浄化装置10によれば、管体11を流れてきた空気が乱流発生部40を通過すると乱流が発生し、この空気の乱れによって静電捕集体32が激しくなびいて、摩擦体31に接触し摺動する。このときの摩擦によって摩擦体31と静電捕集体32が互いに逆の極性に帯電するので、空気中に存在する電荷を持った微細な塵埃が摩擦体31および静電捕集体32のいずれかに引き付けられ、捕集される。特に、空気に乱流を起こしているので、空気中の粒子である塵埃が摩擦体31と静電捕集体32に衝突し易くなっており、捕集効果が大きい。
この実施の形態においては、摩擦体31がナイロン製で、静電捕集体32がポリエチレン製であり、また、シリカとポリエチレンは互いに逆の極性に帯電し易いことから、図3(A)に示すように、空気中に存在する微細なシリカを静電捕集体32によって効率よく捕集することができ、空気中のシリカを高効率で除去することができる。
【0015】
また、空気中に存在する微粒子状の有機珪素化合物は静電体に近づくと分子、粒子内で電気的な分極がおき、図3(A)に示すように、静電捕集体32に引き付けられ、捕集される。静電捕集体32に捕集された有機珪素化合物は、図3(B)に示すように酸化触媒上で、シリカと二酸化炭素(CO2)と水(H2O)に分解され、そのうちのシリカは静電捕集体32の上にそのまま留まり、帯電しているシリカの状態で静電捕集体32に捕集され、CO2とH2Oは静電捕集体32から離脱して空気とともに下流へと流れていく。
【0016】
そして、静電捕集装置20では除去できなかった大きな塵埃および電荷を持たない塵埃は下流の濾過フィルタ50によって捕集される。また、摩擦体31と静電捕集体32に捕集された塵埃(空気中に粒子状で存在していたシリカを含む。以下同様)、および、有機珪素化合物の分解によって生じ静電捕集体32に捕集されたシリカは、摩擦体31と静電捕集体32の接触により掻き落とされるものもあるが、それらは互いの分子間力によって引き付け合い凝集して大きな塊(凝集塊)となって、下流の濾過フィルタ50に捕集される。
このように、この空気浄化装置10によれば、電荷を持つ微細な塵埃および有機珪素化合物の酸化分解によって生じたシリカは上流側の静電捕集装置20によって捕集することができ、大きな塵埃と電荷を持たない塵埃と静電捕集装置20から離脱した凝集塊は下流側の濾過フィルタ50によって捕集することができるので、塵埃を除去された清浄な空気を燃料電池2のカソード電極2cに供給することができる。
その結果、カソード電極2cが塵埃の付着によって目詰まりすることがなくなり、電極の目詰まりに起因する燃料電池2の出力低下を防止することができる。特に、静電捕集装置20に備えた触媒によって空気中の有機珪素化合物が高効率で分解され、シリカの状態で捕集されるので捕集性能が向上し、有機珪素化合物がカソード電極2cの触媒上で酸化してシリカになることもなく、シリカがカソード電極2cに付着して目詰まりを起こすのを防止することができる。
【0017】
また、微細な塵埃を捕集する上流側の静電捕集装置20はその構造上、圧力損失が小さく、大きな塵埃を捕集する下流側の濾過フィルタ50は目が粗いので圧力損失が小さい。したがって、空気浄化装置10全体としての圧力損失を小さくすることができ、且つ、微細な塵埃も除去することができる。
よって、燃料電池2の出力変動に伴う風量変化に起因する空気浄化装置10における圧力変化が小さく、空気浄化装置10の耐久性を高めることができる。
また、静電捕集装置20の帯電用駆動源は、コンプレッサ5が燃料電池2に空気を供給するために発生させた空気流であるので、新たなエネルギ源が不要であり、装置構成を簡単化することができる。
また、空気浄化装置10の圧力損失が小さいので、コンプレッサ5に必要とされる出力も小さくて済み、燃料電池2で発電した電力のうちコンプレッサ5で消費される割合を小さくすることができて効率が向上し、ひいては、燃料電池自動車の駆動出力の増大や航続距離の延伸が可能となる。
【0018】
なお、第1の実施の形態における空気浄化装置10の乱流発生部40は、図4に示すように、サイクロン42で構成することも可能である。サイクロン42は、空気に乱流を起こす機能だけでなく、旋回流を利用した遠心分離器としても機能するので、このサイクロン42で空気中の大きな塵埃を除去することができ、濾過フィルタ50の負荷を軽減することができる。
【0019】
〔第2の実施の形態〕
次に、この発明に係る空気供給装置の第2の実施の形態を図5および図6の図面を参照して説明する。第2の実施の形態における空気供給装置1は、空気浄化装置10の構成の一部が第1の実施の形態のものと相違する。
第2の実施の形態における空気浄化装置10が第1の実施の形態のものと相違する点を以下に説明する。
第2の実施の形態では、図6に示すように、酸化触媒33が担持される代わりに、静電捕集体32の表面に、例えばTiO2などからなる光触媒がコーティングされて光触媒層34が形成されている。
そして、図5に示すように、光触媒層34の光触媒を励起させるための光発生装置60が、乱流発生部40と静電捕集装置20との間の管体11の内部に設置されている。
【0020】
光発生装置60は、ブラケット61を介して管体11の内壁に支持された発電機62と、管体11内の空気流によって回転しその回転力を発電機62のロータ(図示せず)に伝達するプロペラ63と、静電捕集装置20の直ぐ上流に配置されて発電機62から供給される電力で発光する発光部64と、を備えて構成されている。発光部64は、紫外光または波長の短い可視光を照射するものであり、例えば、発光ダイオード、有機エレクトロルミネセンス、蛍光灯などで構成することができる。
その他の構成については、第1の実施の形態の空気浄化装置10と同じであるので、同一態様部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0021】
この第2の実施の形態の空気浄化装置10においては、燃料電池2に空気を供給しているときには常に発電機62で発電した電力が発光部64に供給されるようにされており、発光部64から光触媒励起用の光が静電捕集装置20に向けて照射される。これによって、静電捕集装置20の静電捕集体32にコーティングされた光触媒層34の光触媒が光エネルギーを吸収して励起状態になる。
【0022】
そして、この第2の実施の形態の空気浄化装置10においても、空気中に存在する電荷を持った微細な塵埃(空気中に粒子状で存在していたシリカを含む。以下同様)が摩擦体31および静電捕集体32のいずれかに引き付けられ、捕集される。また、図6(A)に示すように、空気中に存在する有機珪素化合物も静電捕集体32に引き付けられ捕集される。
静電捕集体32に捕集された有機珪素化合物は、図6(B)に示すように光触媒層34上で励起状態の光触媒によって酸化分解され、シリカとCO2とH2Oに分解し、そのうちのシリカは静電捕集体32の上にそのまま留まり、帯電しているシリカの状態で静電捕集体32に捕集され、CO2とH2Oは静電捕集体32から離脱して空気とともに下流へと流れていく。
【0023】
そして、静電捕集装置20では除去できなかった大きな塵埃および電荷を持たない塵埃は下流の濾過フィルタ50によって捕集される。また、摩擦体31と静電捕集体32に捕集された塵埃、および、有機珪素化合物の分解によって生じ静電捕集体32に捕集されたシリカは、摩擦体31と静電捕集体32の接触により掻き落とされるものもあるが、それらは互いの分子間力によって引き付け合い凝集して大きな塊(凝集塊)となって、下流の濾過フィルタ50に捕集される。
【0024】
したがって、この第2の実施の形態における空気浄化装置10によっても、第1の実施の形態の空気浄化装置10の場合と同様に、塵埃を除去された清浄な空気を燃料電池2のカソード電極2cに供給することができ、その結果、カソード電極2cが塵埃(シリカを含む)の付着によって目詰まりすることがなくなり、電極の目詰まりに起因する燃料電池2の出力低下を防止することができる。
また、静電捕集装置20に備えた触媒によって空気中の有機珪素化合物が高効率で分解され、シリカの状態で捕集されるので捕集性能が向上し、有機珪素化合物がカソード電極2cの触媒上で酸化してシリカになることもなく、シリカがカソード電極2cに付着して目詰まりを起こすのを防止することができる。
【0025】
また、第1の実施の形態の場合と同様に、以下の作用・効果を得ることができる。
微細な塵埃を捕集する上流側の静電捕集装置20はその構造上、圧力損失が小さく、大きな塵埃を捕集する下流側の濾過フィルタ50は目が粗いので圧力損失が小さい。したがって、空気浄化装置10全体としての圧力損失を小さくすることができ、且つ、微細な塵埃も除去することができる。
燃料電池2の出力変動に伴う風量変化に起因する空気浄化装置10における圧力変化が小さく、空気浄化装置10の耐久性を高めることができる。
静電捕集装置20の帯電用駆動源は、コンプレッサ5が燃料電池2に空気を供給するために発生させた空気流であるので、新たなエネルギ源が不要であり、装置構成を簡単化することができる。
空気浄化装置10の圧力損失が小さいので、コンプレッサ5に必要とされる出力も小さくて済み、燃料電池2で発電した電力のうちコンプレッサ5で消費される割合を小さくすることができて効率が向上し、ひいては、燃料電池自動車の駆動出力の増大や航続距離の延伸が可能となる。
【0026】
〔他の実施の形態〕
なお、この発明は前述した実施の形態に限られるものではない。
例えば、前述した各実施の形態においては摩擦体を硬直に形成し、静電捕集体が糸状で空気供給路を流通する空気によってなびくように構成しているが、これと逆に、静電捕集体を硬直に形成して空気供給路に固定し、摩擦体を糸状にして空気になびくように構成してもよい。
さらに、有機珪素化合物を分解する触媒は、前述した実施の形態の触媒に特に限定されず、例えば、光以外の電磁波や波動等外部のエネルギーを吸収して活性化し、有機珪素化合物を酸化分解する触媒(例えば、組成傾斜TiO2など)を用いてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明するように、請求項1に係る発明によれば、シリカのように大気中に含まれる電荷を持つ微細な塵埃および有機珪素化合物を静電捕集手段で除去することができ、さらに、捕集された有機珪素化合物を触媒によりシリカに分解し、シリカの状態で捕集することができるので、これら塵埃やシリカが燃料電池のカソード電極に供給されるのを防止することができ、塵埃やシリカの付着による燃料電池の出力低下を防止することができるという優れた効果が奏される。
また、静電捕集体がポリエチレン製であり、シリカとポリエチレンは互いに逆の極性に帯電し易いことから、空気中に存在する微細なシリカを静電捕集体によって効率よく捕集することができ、空気中のシリカを高効率で除去することができる。また、空気中に存在する微粒子状の有機珪素化合物も静電捕集体によって捕集することができる。
また、静電捕集手段および濾過式のフィルタは圧力損失が小さいので、燃料電池へ空気を供給するために必要なエネルギが小さくて済み、その結果、コンプレッサに必要とされる出力も小さくて済み、燃料電池で発電した電力のうちコンプレッサで消費される割合を小さくすることができるので燃料電池のエネルギ効率が向上し、燃料電池自動車の駆動出力の増大や航続距離の延伸が可能となるという効果もある。
【0028】
また、空気流以外の動力なしに摩擦体および静電捕集体を帯電させることができ、しかも、その空気流は、コンプレッサが燃料電池に空気を供給するために発生させた空気流であるので、新たなエネルギ源が不要であり、装置構成が簡単になるという効果がある。
【0029】
また、電荷を持つ微細な塵埃および有機珪素化合物は上流の静電捕集手段で除去され、また、静電捕集手段に捕集された電荷を持つ塵埃や有機珪素化合物の分解により生じたシリカが互いの分子間力によって引き付け合い凝集して大きな塊(凝集塊)になって静電捕集手段から離脱すると、この凝集塊も下流の濾過式のフィルタに捕集されるため、下流の濾過式のフィルタでは大きな塵埃を除去できればよく、該フィルタの目を粗くすることができ、該フィルタの圧力損失を小さくすることができるという効果がある。
また、請求項2に係る発明によれば、燃料電池に空気を供給しているときには常に発電機で発電した電力を発光部に供給することができ、発光部から光触媒励起用の光を静電捕集手段の光触媒に向けて照射することができ、光触媒を励起状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る空気供給装置を備えた燃料電池システムの第1の実施の形態における構成図である。
【図2】 前記第1の実施の形態における空気供給装置の要部断面図である。
【図3】 前記第1の実施の形態における空気供給装置において、シリカおよび有機珪素化合物の捕集メカニズムを説明する模式図である。
【図4】 前記第1の実施の形態における空気供給装置の変形例の要部断面図である。
【図5】 第2の実施の形態における空気供給装置の要部断面図である。
【図6】 前記第2の実施の形態における空気供給装置において、シリカおよび有機珪素化合物の捕集メカニズムを説明する模式図である。
【符号の説明】
1 空気供給装置
2 燃料電池
2b アノード電極
2c カソード電極
6 空気供給路
20 静電捕集装置(静電捕集手段)
31 摩擦体
32 静電捕集体
50 濾過フィルタ(濾過式のフィルタ)
33 酸化触媒(触媒)
34 光触媒層(触媒)
Claims (2)
- 車両に搭載され、カソード電極に酸化剤としての空気が供給されアノード電極に燃料ガスが供給されて発電をする燃料電池と、
大気からプレフィルタを介して取り込んだ空気を加圧するコンプレッサと、
前記コンプレッサによって加圧された空気を前記燃料電池のカソード電極に供給する空気供給路と、
前記空気供給路に設けられ、捕集対象である塵埃の持つ電荷に対して逆の極性に帯電させることで該塵埃を捕集する静電捕集手段と、
前記静電捕集手段の上流の前記空気供給路に設けられ該空気供給路を流通する空気に乱流を発生させる乱流発生部と、
前記静電捕集手段の下流の前記空気供給路に設けられた濾過式のフィルタと、
を備え、
前記静電捕集手段は、ナイロン製の摩擦体と、有機珪素化合物をシリカに分解する触媒を担持したポリエチレン製の静電捕集体とを備え、前記摩擦体または静電捕集体のいずれか一方は前記空気供給路を流通する空気によってなびく糸状をなし、他方は前記空気供給路内に設けられた突起で構成され、前記摩擦体および前記静電捕集体は互いに接触可能に設けられており、該摩擦体と静電捕集体は互いに接触したときの摩擦により帯電せしめられ、前記塵埃を前記摩擦体または前記静電捕集体のいずれかで捕集するように構成されていることを特徴とする車両用燃料電池の空気供給装置。 - 前記静電捕集体に担持された触媒は光触媒であり、
前記空気供給路における前記乱流発生部と前記静電捕集手段の間には光発生手段が設けられ、該光発生手段は、前記空気供給路内に設置され該空気供給路内の空気流によって回転するプロペラによりロータが回転せしめられる発電機と、前記静電捕集手段の直ぐ上流に配置され前記発電機で発電した電力で発光する発光部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用燃料電池の空気供給装置。
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