JPWO2004070865A1 - 燃料電池システム - Google Patents

燃料電池システム Download PDF

Info

Publication number
JPWO2004070865A1
JPWO2004070865A1 JP2005504903A JP2005504903A JPWO2004070865A1 JP WO2004070865 A1 JPWO2004070865 A1 JP WO2004070865A1 JP 2005504903 A JP2005504903 A JP 2005504903A JP 2005504903 A JP2005504903 A JP 2005504903A JP WO2004070865 A1 JPWO2004070865 A1 JP WO2004070865A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
fuel cell
product
reducing agent
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005504903A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3795912B2 (ja
Inventor
北條 伸彦
伸彦 北條
稲富 友
友 稲富
行広 岡田
行広 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Publication of JPWO2004070865A1 publication Critical patent/JPWO2004070865A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3795912B2 publication Critical patent/JP3795912B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/18Regenerative fuel cells, e.g. redox flow batteries or secondary fuel cells
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/04Auxiliary arrangements, e.g. for control of pressure or for circulation of fluids
    • H01M8/04082Arrangements for control of reactant parameters, e.g. pressure or concentration
    • H01M8/04186Arrangements for control of reactant parameters, e.g. pressure or concentration of liquid-charged or electrolyte-charged reactants
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/06Combination of fuel cells with means for production of reactants or for treatment of residues
    • H01M8/0606Combination of fuel cells with means for production of reactants or for treatment of residues with means for production of gaseous reactants
    • H01M8/065Combination of fuel cells with means for production of reactants or for treatment of residues with means for production of gaseous reactants by dissolution of metals or alloys; by dehydriding metallic substances
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Sustainable Energy (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

本発明の燃料電池システムは、燃料極、酸化剤極およびこれらに挟持された電解質からなる起電部を含む燃料電池と、燃料極へ燃料を供給する燃料供給部と、酸化剤極に酸化剤を供給する酸化剤供給部とを有し、燃料電池の発電に伴って燃料極で生成する燃料酸化生成物を還元する生成物還元機構部を設ける。 これにより、燃料、酸化生成物および副生成物などを燃料電池外へ排出する機構を有さなくても、これらに起因するエネルギー密度の低下を防止することができる。

Description

本発明は、燃料として有機物を溶解させた水溶液を直接用い、酸化剤に酸素や空気を用いる燃料電池を含む燃料電池システム(燃料電池発電装置)に関する。
燃料電池の燃料としては、水素ガスならびに炭化水素系の液体および気体の燃料が用いられている。炭化水素系燃料を用いた燃料電池は、燃料を改質器で水素ガスに改質し、水素ガスを燃料として発電するタイプと、炭化水素系燃料を直接燃料電池に供給するタイプとに分類される。後者の燃料電池においては、燃料を燃料極で直接酸化するため、改質器を用いる必要がなく、燃料電池システム全体を小型化することができる。
炭化水素系燃料として、例えばエネルギー密度の高いメタノールを直接酸化して用いる燃料電池の反応は、式(1):
燃料極:CHOH+HO→CO+6H+6e
酸化剤極:3/2O+6H+6e→3H
全電池反応:CHOH+3/2O→CO+2H
で表される。
式(1)からわかるように、メタノール分子1モルから電子6モルが生成するため、体積エネルギー密度は4800Wh/Lと非常に高い。また、この燃料電池では、燃料極における燃料酸化生成物として、二酸化炭素1モルが生成することがわかる。このように、発電によって二酸化炭素が生成するにつれて、徐々に燃料電池の内圧が上昇し、燃料の液漏れや電池性能の低下などを招いてしまう傾向にあるという問題がある。
このような問題に対して、例えば、特開平10−507572号公報(第17〜24頁、第1〜2図)や特開2001−102070号公報(第1〜5頁、第1図)では、フッ素樹脂の多孔質体を用いて二酸化炭素と燃料を分離し、二酸化炭素のみを選択的に燃料電池外に排出する、二酸化炭素排出機構を備えた燃料電池システムが提案されている。
図6は、二酸化炭素排出機構を備えた燃料電池システムを示す図である。図6において、このタイプの燃料電池システムは、燃料電池の起電部54、前記起電部に燃料を供給する燃料供給部57、および前記起電部に酸化剤を供給する酸化剤供給部56を具備する。また、燃料供給部57は、燃料収納容器51、ポンプ52、燃料供給管53および二酸化炭素排出機構55で構成されている。
燃料は、燃料収納容器51から、ポンプ52により、燃料供給管53を通って、矢印Lの向きにしたがって起電部54に供給され、酸化剤は矢印Lの向きにしたがって酸化剤供給部56により起電部54へ供給され、発電が起こる。発電により生成した二酸化炭素は、矢印Lの向きにしたがって流れる。例えば、フッ素系多孔膜などの気液分離膜で構成される二酸化炭素排出機構55により、矢印Lの向きにしたがって燃料電池システム外へ排出される。
しかし、この二酸化炭素排出機構として用いられている気液分離膜は、二酸化炭素と燃料を完全に選択的に分離することはできず、液体と分離膜との表面張力の差を利用した気体と液体の分離膜である。そのため、二酸化炭素だけではなく、蒸発した燃料ならびに燃料が酸化する際に生成される二酸化炭素以外の酸化生成物および副生成物(例えばアルデヒドなど)も、ガス状態で分離膜を通して燃料電池外に排出されてしまう。すなわち、このようなガス状の燃料および副生成物が燃料電池外へ蒸気として漏洩してしまうという問題がある。
このような問題を解決する手段としては、燃料として、メタノールではなく、電気化学的に完全に燃焼することが難しい燃料を用いることが有効である。例えば、エタノール、プロパノールおよびブタノールなどのアルコール燃料は、電気化学的に酸化しても、完全燃焼させて二酸化炭素にまで酸化することは困難である。
この場合、燃料の酸化反応に伴って、燃料極で液体から気体への大きな体積膨張を伴う二酸化炭素の生成が起こらないことから、燃料電池の燃料極を密閉化することが可能となる。そして、蒸発した燃料、酸化生成物および副生成物が燃料電池外へ漏洩することを抑制することができる。
一方、メタノール以外の燃料を用いると、燃料、酸化生成物および副生成物などを燃料電池外へ排出することのない非常に安全な燃料電池システムを作ることが可能である。しかし、燃料の酸化反応自体が不完全であるため、燃料のエネルギー密度は非常に低くなってしまう。この点をプロパノールおよびエチレングリコールを例に挙げて簡単に説明する。
プロパノールを直接酸化して用いる燃料電池の反応式(完全燃焼時)は、式(2):
燃料極:COH+5HO→3CO+18H+18e
酸化剤極:9/2O+18H+18e→9H
全電池反応:COH+9/2O→3CO+4H
で示される。また、エチレングリコールを直接酸化して用いる燃料電池の反応式(完全燃焼時)は、式(3):
燃料極:(CHOH)+2HO→2CO+10H+10e
酸化剤極:5/2O+10H+10e→5H
全電池反応:(CHOH)+5/2O→2CO+3H
で示される。プロパノールおよびエチレングリコールともに、完全燃焼すれば生成物が二酸化炭素になり、体積エネルギー密度はそれぞれ、7100Wh/Lおよび5800Wh/Lと非常に高い。
しかし、実際にこれら燃料を用いた場合、燃料極での反応は不完全燃焼となり、プロパノールを用いた場合はアセトン(例えば、A.J.Arvia.et al,J.Electroanal.Chem.,350(1993)97.および杉井 裕政、外4名、“電気化学会第69回大会講演要旨集”(79頁)、平成14年4月1日、社団法人 電気化学会)が生成し、エチレングリコールを用いた場合はグリコール酸およびギ酸(例えば、松岡 孝司、外7名、“電気化学会第69回大会講演要旨集”(80頁)、平成14年4月1日、社団法人 電気化学会)などが生成することが報告されている。
これらの場合、生成物が液体であり、大きな体積膨張を伴うガス発生がないため、燃料極の密閉化が可能である。しかし、燃料酸化反応が不完全燃焼のため、燃料のエネルギー密度は先ほど示した値より大きく低下してしまう。例えば、2−プロパノールを燃料に用いた場合、完全燃焼時は式(2)で示したように燃料1モルから電子18モルが生成する。しかし、実際には生成物が不完全燃焼のため、アセトンにまでしか酸化せず、燃料1モルからは電子2モルしか生成されない。
したがって、この場合のエネルギー密度は、完全燃焼時のおよそ2/18(=790Wh/L)と非常に低くなってしまう。すなわち、燃料、酸化生成物および副生成物などを燃料電池外へ排出することのない燃料電池システムにおいては、燃料のエネルギー密度が非常に低いという問題があった。
上述のような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、燃料、酸化生成物および副生成物などが燃料電池外へ漏洩することを抑制することが可能なメタノール以外の燃料を使用した場合は、上述の内容に起因するエネルギー密度の低下を防止し得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明は、燃料極、酸化剤極およびこれらに挟持された電解質から構成される起電部を含む燃料電池と、前記燃料極へ燃料を供給する燃料供給部と、前記酸化剤極に酸化剤を供給する酸化剤供給部とを有する燃料電池システムであって、前記燃料電池の発電に伴って前記燃料極で生成する燃料酸化生成物を還元する生成物還元機構部を具備することを特徴とする燃料電池システムに関する。
前記生成物還元機構部が、前記燃料酸化生成物を化学的に還元する還元剤を含むのが好ましい。
また、前記生成物還元機構部が、還元剤収納容器と、生成物還元部と、燃料溶液供給部とを有するのが好ましい。
また、前記燃料電池システムは、前記燃料電池システムまたは前記生成物還元機構部から、前記還元剤収納容器のみを装着および脱着する装脱着部を具備するのが好ましい。
図1は、本発明の一実施の形態である燃料電池本体の概要を表す断面図である。
図2は、本発明の一実施の形態である燃料電池起電部の概要を表す断面図である。
図3は、本発明の一実施の形態である生成物還元部機構の概要を表す断面図である。
図4は、本発明の一実施の形態である他の生成物還元部機構の概要を表す断面図である。
図5は、本発明の一実施の形態であるさらに他の生成物還元部機構の概要を表す断面図である。
図6は、従来の技術である燃料電池の概要を表す断面図である。
本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池の燃料極のおける酸化反応により生成する燃料酸化生成物を還元する生成物還元機構部を具備することを特徴とする。かかる本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る燃料電池システムの一実施の形態の構成を示す図である。なお、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
図1に示す燃料電池システムは、起電部を含む燃料電池14、前記起電部に燃料を供給する燃料供給部17、および前記起電部に酸化剤である空気または酸素を供給する酸化剤供給部16を具備する。燃料供給部17は、燃料収納容器11、燃料収納容器11から前記起電部へ燃料を矢印Xの向きに供給する燃料供給管13a、ポンプ12、および前記起電部で生成した燃料酸化生成物を還元する生成物還元機構部15を有する。なお、燃料電池14から生成物還元機構部15へは排出管13bが接続されている。
図1では、燃料を供給するためのポンプ12を示したが、本発明においてはポンプ12が無くても燃料電池システムを構成することができる。その際には、燃料供給管13aおよび排出管13bは、毛管現象が働く程度の細管で構成することができる。あるいは、燃料の供給を補助するために、管の内部に、ポリウレタン、ポリエステル、セルロース、フェノール系樹脂、ポリプロピレンもしくはガラス繊維などの不織布または多孔質体を充填しておくこともできる。
また、酸化剤を供給するための酸化剤供給部16は、例えばポンプもしくはファンなどの強制的に空気もしくは酸素を送り込む機構を有していてもよい。また、このような機構を有しない場合でも、本発明に係る燃料電池システムを構成することができる。その際には、空気が自然供給され易いように、燃料電池14の起電部の空気極側に多数の開口部を設ければよい。
図1において、燃料は矢印Xの向きにしたがって燃料電池14の起電部に送られ、その一部が燃料極における酸化反応により酸化される。未消費燃料および燃料酸化生成物の混合体が、矢印Xの向きにしたがって生成物還元機構部15に送られる。生成物還元機構部15においては、燃料酸化生成物の少なくとも一部が還元されて燃料に再生され、再び矢印Xの向きにしたがって燃料供給管13aを循環するように構成されている。
燃料電池14の起電部は、触媒層を含む燃料極、触媒層を含む酸化剤極およびこれらに狭持された電解質膜を有する単電池で構成すればよい。また、前記単電池複数個を積層して得られるスタックで構成してもよく、または、前記単電池複数個を複数の平面内で直列または並列に接続して得られる構造を採ることもできる。
図2に、この単電池の構成の一例を示す。図2に示すように、燃料の拡散層24a、燃料極触媒層24b、電解質膜24c、酸化剤極触媒層24d、酸化剤である空気の拡散層24eとから単電池は構成されている。拡散層24aと燃料極触媒層24bとが燃料極を構成し、酸化剤極触媒層24dと拡散層24eとが酸化剤極を構成する。
本発明に係る燃料酸化生成物を還元することのできる生成物還元機構部15を具備する燃料電池システムにおいて使用し得る燃料としては、電気化学的な酸化反応でプロトンを放出し、電気化学的、化学的または光により燃料酸化反応生成物を還元し、燃料へと再生することができるものであればよい。したがって、種々の有機物を利用することが可能であるが、なかでも炭素数が2以上の有機燃料を好適に用いることができる。もっとも、炭素数が1であっても、電気化学的酸化反応により、完全燃焼し二酸化炭素にまで酸化されることのない燃料であれば、使用可能である。なかでも、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびエチレングリコールなどのアルコール、ジエチルエーテルなどのエーテル、ならびにシクロヘキサン、デカリンなどの有機ハイドライドを好適に用いることができる。
以下において、種々の燃料のうち、アルコールを例に用いて、生成物還元機構部15の作用について説明する。アルコールの酸化反応は、式(4)および(5)で示される。
−C(−OH)−R→R−C(=O)−R+2H+2e (4)
−C−OH→R−C(=O)−OH+4H+4e (5)
(式中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、脂肪族基(例えばアルキル基)、芳香族基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルデヒド基またはカルボキシル基である。前記脂肪族基または前記芳香族基は、1個以上の酸素原子、チッ素原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子またはハロゲン原子を含むこれらの誘導体であってもよい。)。
式(4)および(5)からわかるように、これらのアルコールを酸化した場合、酸化生成物としてケトンおよびカルボン酸が生成する。このことは一般に広く知られており、またケトンやカルボン酸のアルコールへの還元反応も知られている(例えば、R.F.Nystrom.et al,J.Am.Chem.Soc.,1198(1947)69、およびS.W.Chaikin.et al,J.Am.Chem.Soc.,122(1949)71)。式(4)および(5)で示される反応のように、燃料電池14の起電部の燃料極における燃料酸化反応により、アルコールが酸化され、ケトンまたはカルボン酸などの燃料酸化生成物が生成する。
通常、これらの燃料を使用した場合、二酸化炭素などの体積膨張を伴うガスの発生がなく、燃料の循環系統を密閉化することができる。このため、燃料および酸化生成物が燃料電池システム外へ漏洩する心配はない。しかし、不完全燃焼のため、燃料のエネルギー密度は完全燃焼の場合に比べて、1/2〜1/10程度となり、非常に小さな値となってしまう。この燃料電池システムに生成物還元機構部を設けることにより、エネルギー密度の向上が可能である。
以下、生成物還元機構部の化学的還元機構部の一例として、化学還元剤である水素化ホウ素ナトリウム水溶液を用いた場合を例に挙げてエネルギー密度向上の効果について説明する。燃料酸化生成物であるケトンを還元する還元反応は、式(6)で示される。
4RCO+NaBH→NaB(OCHR
NaB(OCHR+2NaOH+H
→NaBO+4R−CHOH (6)
式(6)で示されるように、還元剤である水素化ホウ素ナトリウム1モルによってケトン4モルが還元される。このような生成物還元機構部を具備することにより、発電により酸化されたアルコールは常に還元剤により再生され、燃料電池は、還元剤が消費し尽くされるまで、発電を続けることができる。また、還元剤が消費し尽くされたとき、新たに燃料であるアルコールを追加するのではなく、還元剤を追加すればよい。
したがって、この場合、燃料のエネルギー密度は、直接酸化反応をするアルコールにより決定されるのではなく、還元剤によって決定される。例えば、水素化ホウ素ナトリウムの場合、燃料にプロパノール、酸化剤に酸素を用いた場合の理論電圧(1.1V)で計算すると、体積エネルギー密度は、およそ6900Wh/Lとなり、還元剤を用いない場合(790Wh/L)に比べて大きく向上する。
また、生成物還元機構部に化学還元剤を用いることができる。この化学還元剤としては、上述の水素化ホウ素ナトリウム以外にも、例えば水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、水素化アルミニウムリチウムなどの金属水素錯化合物、LaNiに代表される水素吸蔵合金などの金属水素化物、水素ガス、マグネシウム金属などの還元力のある金属、グリニャール試薬に代表される一般式R−MgBr(式中、Rはアルキル基、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルデヒド基、カルボキシル基から選ばれる置換基である。アルキル基は鎖状または環状であり、1個以上の酸素原子、チッ素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子またはハロゲン原子を含む場合がある。)で表される還元剤などが挙げられる。
図3に、化学還元剤を用いた生成物還元機構部の一例を詳細に図示する。なお、図3で示す生成物還元機構部は、本発明に係る生成物還元機構部を具備する燃料電池システムの一例であり、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
図3における生成物還元機構部35は、還元剤収納容器35a、ポンプ35bおよび還元反応部35cから構成されている。燃料電池の起電部で生成された未消費燃料および燃料酸化生成物の混合体が、矢印Pの向きにしたがって、燃料供給管33aを通して還元反応部35cに導入される。一方、還元剤収納容器35a内に収納されている還元剤がポンプ35bにより矢印Pの向きにしたがって還元反応部35cに供給され、還元反応部35c中において燃料酸化生成物が還元される。再生された燃料は、矢印Pの向きにしたがって燃料供給管33bを通って、再び起電部へと送られる。
なお、還元反応部35c中においては、燃料酸化生成物を還元剤に接触させればよい。例えば、燃料酸化生成物は通常液体であるため、還元剤がガスであれば、燃料酸化生成物に還元剤を通気(バブリング)させればよい。
還元反応部35cには、還元剤による生成物の還元反応が進行しやすいように触媒などを加えてもよい。また、図3に示すような、還元剤を反応部へ送るためのポンプ35bを用いる構造は、還元剤が液体状態、または液体に溶解した状態の場合に特に有効であるが、このポンプ35bは無くてもよい。ポンプ35bが無い場合は、還元剤収納容器35aと還元反応部35cが共通となる構造にしておけばよい。このような場合は、還元剤が固体状態、または固体に吸着している状態の場合に特に有効である。還元剤がガスである場合は、ポンプ35bが無く、その代わりに減圧弁を設置することが有効である。
また、還元剤が反応後に反応生成物を生じる場合は、図4のように反応部35cで反応した後、燃料溶液と反応生成物を分離する分離部35dを設けることが有効である。図4は、図3の構成における反応部35cと燃料供給管33bとの間に分離部35dを設置した構成である。反応部35cにおいて燃料溶液および還元剤が反応する。還元再生された燃料および還元剤の反応生成物は、分離部35dにおいて分離され、燃料溶液は、矢印Pの向きにしたがって燃料供給管33bに送られ、還元剤の反応生成物は、矢印Pの向きにしたがって還元剤収納容器35aに戻される。分離部35dには、フィルターや吸着剤による分離、または蒸留分離などが用いられる。
また、還元剤を用いた生成物還元機構部を具備する燃料電池システムでは、還元剤および燃料供給部内の燃料の多くが消費され尽くした場合に、発電が停止する。この場合、さらに発電を続けるためには、燃料電池に新たに還元剤を追加する必要がある。還元剤を追加する方法としては、還元剤収納容器内に、還元剤を直接注入してもよいし、実用上の利便性を考えると、使用済みの還元剤収納容器と、新しい未使用の還元剤の充填された還元剤収納容器を交換することが望ましい。したがって、生成物還元機構部が、還元剤収納容器と、生成物還元部と、燃料溶液供給部とを有し、これらおよび燃料電池システム本体から還元剤収納容器のみを装着および脱着するための還元剤収納容器装脱着部を具備することが、実用上有効である。
生成物を還元する方法としては、上で述べた化学還元剤を用いた化学反応による方法以外にも、電気化学的に還元する機構もある。図5に、電気化学的に生成物を還元する生成物還元機構部の一例を詳細に図示する。なお、図5で示す生成物還元機構部は、本発明の生成物還元機構部を具備する燃料電池システムの一例であり、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
図5の生成物還元機構部45は、生成物を電気化学的に還元する第一の電極である還元極45dと、第二の電極である対極45bと、それに挟まれた電解質膜45cと、第一の電極と第二の電極間に電圧を印加し、第一の電極に還元電位を印加することのできる電圧印加機構45fと、燃料酸化生成物を含んだ燃料を拡散させる拡散層45eと、水、あるいは対極で酸化反応を起こすことが可能であるその他溶媒を拡散させる拡散層45aとからなる。燃料酸化生成物および未消費燃料の混合体は燃料供給管43aから拡散層45eへ供給され、第一電極で還元電位を受け、還元され燃料に再生され、排出管43bを通して、再び起電部へと送られる。
このとき、第二電極である対極45bでは、酸化反応が起こっており、例えば拡散層45a中の溶媒が水では、この場合、水が酸化され、酸素が発生する。したがって、この場合、発生した酸素を燃料電池システム外へ排出し、消費した水の補給が必要となる。このように、溶媒が水である場合は、水の補給をするだけで、外部電源からエネルギーを供給し、燃料を再生することができる。通常、燃料電池は、充電することはできず、燃料を常に補給しつづける必要がある。これに対して、図4に示す生成物還元機構部を具備する燃料電池システムでは、第二電極に、例えば水のような溶媒を補給するだけで、外部電源を用いて、燃料を再生し、いわば充電電池の如き扱いが可能となる。また、この外部電源としては、一次電池および二次電池などの直流電源、発電機および家庭用電源などにおける交流電源などを用いることができる。
さらには、生成物還元機構部として、酸化チタンまたは酸化亜鉛などの光触媒を用い、それらに光を当てることにより、生成物を還元する光還元反応を利用することも可能である。
以上のように、本発明に係る燃料電池システムは、発電に伴って燃料極で生成する燃料酸化生成物を、還元することができる生成物還元機構部を具備する。これにより、初めて、燃料系統を密閉化し、有害物質を電池外へ排出せず、極めて安全、かつエネルギー密度の高い燃料電池システムを提供することができる。
本発明に係る燃料電池システムによれば、例えば、ノートパソコンおよびカムコーダなどの電子機器用電源、自動車、自動二輪車および電動自転車などの輸送機器用電源、家庭用発電機などの分散型電源、ならびに、これまで一次電池および二次電池が用いられていた機器の代替の高エネルギー電源として、幅広い用途が期待できる。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
本実施例においては図1に示す燃料電池システムを作製した。
30nmの平均一次粒径を持つ導電性カーボン粒子であるケッチェンブラックEC(オランダ国、AKZO Chemie社)に、平均粒径約30Åの白金粒子を担持させて、酸化剤極側の触媒担持粒子(50重量%白金)を得た。また、ケッチェンブラックECに、平均粒径約30Åの白金粒子とルテニウム粒子とを、それぞれ担持させて、燃料極側の触媒担持粒子(25重量%白金、25重量%ルテニウム)を得た。
次に、これらの触媒担持粒子と水素イオン伝導性高分子電解質の溶液とをそれぞれ混合し、酸化剤極側の触媒ペーストおよび燃料極側の触媒ペーストを作成した。このとき、触媒担持粒子と水素イオン伝導性高分子電解質との重量混合比は1:1とした。また、水素イオン伝導性高分子電解質としてはパーフルオロカーボンスルホン酸(旭硝子(株)製のフレミオン)を用いた。
次に、水素イオン伝導性高分子電解質膜(米国デュポン社、ナフィオン117)の一方の面に燃料極側の触媒ペーストを印刷し、他方の面に酸化剤極側の触媒ペーストを印刷した。ついで、燃料極側の拡散層と酸化剤極側の拡散層とを、水素イオン伝導性高分子電解質膜を中心として重ね合わせ、ホットプレス法で接合することで、電解質膜電極接合体(MEA)を作製した。このとき、燃料極および空気極の触媒面積は5cm×5cmとなるようにした。燃料極側の拡散層および酸化剤極側の拡散層としては、カーボン不織布(膜厚190μm、気孔率78%)を用いた。このようにして、起電部を得た。
燃料水溶液として濃度1モル/リットルの2−プロパノール水溶液を用いた。図1に示した図中の燃料電池14の起電部の燃料極、燃料供給管13a、ポンプ12、燃料収納容器11に上記燃料水溶液を充填した。2−プロパノール水溶液の充填量は50ccとした。
生成物還元機構部としては、図4で示した還元剤を用いる生成物還元機構部を作成した。すなわち、生成物還元機構部は、還元剤収納容器、ポンプ、還元反応部で構成した。また、還元剤収納容器内に充填する還元剤としては、濃度30重量%の水素化ホウ素ナトリウム水溶液50gを用いた。水素化ホウ素ナトリウム水溶液には、保存時の還元剤溶液の安定性を高めるため、微量の水酸化ナトリウムを加えた。本実施例においては、還元反応部内に触媒は用いなかった。
また、還元剤または還元剤の反応生成物の燃料溶液への混入を防ぐため、反応部の後に分離部を設け、還元剤の反応生成物と燃料溶液とを分離した。分離部にエバポレータを用い、液体部と固体部(残渣)とに分離し、液体部のみを燃料供給管へ戻した。
起電部の酸化剤極には、酸化剤として空気をポンプで毎分200ccの速度で供給し、また、起電部の燃料極には、燃料水溶液をポンプで毎分10ccの速度で供給した。生成物還元部内の還元剤の供給速度は毎分0.5ccとした。
電池の温度制御は行わず、室温環境で、電流値2.5Aの定電流で発電実験を行ったところ、電圧はほぼ0.4V付近を安定して示した。発電開始から、130分までは安定して発電することができたが、130分を過ぎた辺りから、電圧が徐々に降下し、最終、約135分間発電することができた。これは、比較例1に示した従来例のおよそ1.7倍もの長時間発電を可能にしたことを意味している。
なお、発電後の燃料水溶液が、生成物還元機構部を通り抜けた直後の燃料供給管13cから、シリンジを用いて、発電開始後から、50分後および100分後と燃料溶液をそれぞれ1ccずつ取り出し、2−プロパノールの濃度をガスクロマトグラフィーにより調べたところ、それぞれ、0.96モル/リットル、0.94モル/リットルとなっていた。これにより、生成物還元機構部により、生成物が還元されていることが確認された。
また、発電停止後も、同様に燃料水溶液を、生成物還元機構部を通り抜けた直後の燃料供給管13cから、1cc取り出し、ガスクロマトグラフィーで濃度を測定したところ、0.43モル/リットルとなっていた。このことから、生成物還元機構部内の還元剤が消費し尽くされたため、燃料濃度が減少し、そのため発電が止まったものと推察される。
また、燃料電池システムからの漏液はもちろん見られなかった。念のため、燃料電池の酸化剤極のみ空気が自由に出入りできる開放状態にして、燃料極から燃料供給部、燃料収納容器、ポンプ、生成物還元部までを全てテフロンバッグに入れ密封して運転し、運転終了後にテフロンバッグ内の空気をガスクロマトグフィーにて分析を行った。この場合、2−プロパノールおよびその他の燃料に由来する有機物は検出されなかった。したがって、燃料電池システムからの漏液はもちろん、燃料および燃料酸化生成物、副生成物の燃料電池システム外への漏洩もないことが確認された。
したがって、本発明の、発電に伴って燃料極で生成する燃料酸化生成物を、還元することが出来る生成物還元機構を具備した燃料電池によって、燃料系統を密閉化し、有害物質を電池外へ排出せず、極めて安全、かつエネルギー密度の高い燃料電池を提供することが出来た。
また、上記と以下の点を除き、すべて同じ条件で発電実験を行った。すなわち、生成物還元に用いる化学還元剤を、水素化ホウ素ナトリウムから、水素化ホウ素カリウムまたは水素化ホウ素リチウムなどの他の金属水素錯化合物に代え、発電実験を行った。これら還元剤は、全て濃度30重量%の水溶液とし、また、使用量は50gとした。結果を表1にまとめて示した。表1に示したように、いずれの場合も還元剤を使用しない場合よりも長時間の発電が可能であった。また、これら三種の還元剤の中では、もっとも分子量の小さな水素化ホウ素リチウムを用いた場合が、もっとも長時間の発電が可能であった。
Figure 2004070865
また、本実施例1では、燃料として、2−プロパノールを用いたが、これ以外にもエタノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテルも同様に、還元剤を含んだ生成物還元機構を具備することにより、還元剤のない場合に比べてそれぞれ、長時間の発電が可能であった。
比較例
比較例として、以下の点を除き実施例1と全く同じ構成の燃料電池システムを作製した。すなわち、図4に示した生成物還元機構部の還元剤収納容器内に、還元剤を入れず、その代わりに実施例1で使用した還元剤と同重量の燃料、すなわち2−プロパノール水溶液を50g還元剤収納容器内に充填した。
また、本比較例では、還元剤を用いていないため、分離部は必要ないが、比較のため、実施例と同様にエバポレータを用いた。
起電部の酸化剤極には、酸化剤として空気をポンプで毎分200ccの速度で、起電部の燃料極には、燃料水溶液をポンプで毎分10ccの速度で供給した。還元剤収納容器内に充填した2−プロパノールは毎分1.2ccの速度で燃料供給部へ供給した。
電池の温度制御は行わず、室温環境で、電流値2.5Aの定電流で発電実験を行ったところ、電圧は実施例1と同じくほぼ0.4V付近を安定して示した。発電開始から、75分までは安定して発電することができたが、75分を過ぎた辺りから、電圧が徐々に降下を起こし、最終83分間の発電で止まってしまった。この結果は、表1中の比較例の欄に並べて示したように、実施例1の生成物還元機構を具備した場合よりも、発電時間が短かった。
なお、発電後の燃料水溶液が、生成物還元機構を通り抜けた直後の燃料供給管13cから、シリンジを用いて、発電開始後から50分後と、発電停止後の燃料溶液を1ccずつ取り出し、2−プロパノールの濃度をガスクロマトグラフィーにより調べたところ、それぞれ、1.02モル/リットル、0.38モル/リットルとなっていることがわかった。このことから、生成物還元機構部内の還元剤が消費し尽くされたため、燃料濃度が減少し、そのため発電が止まったものと推察される。
産業上の利用の可能性
本発明により、燃料系統を密閉化し、燃料、燃料酸化副生成物等の電池外への漏洩が全くなく極めて安全、かつ、電池としての駆動時間が長くエネルギー密度の高い燃料電池を初めて提供することが出来る。
【0005】
なメタノール以外の燃料を使用した場合は、上述の内容に起因するエネルギー密度の低下を防止し得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【発明の開示】
本発明は、燃料極、酸化剤極およびこれらに挟持された電解質から構成される起電部を含む燃料電池と、前記燃料極へ燃料を供給する燃料供給部と、前記酸化剤極に酸化剤を供給する酸化剤供給部とを有する燃料電池システムであって、前記燃料は、電気化学的酸化反応によりプロトンを生成し、二酸化炭素を生成しない有機燃料であり、前記燃料電池の発電に伴って前記燃料極で生成する燃料酸化生成物を還元する生成物還元機構部を具備することを特徴とする燃料電池システムに関する。
前記生成物還元機構部が、前記燃料酸化生成物を化学的に還元する還元剤を含むのが好ましい。
また、前記生成物還元機構部が、還元剤収納容器と、生成物還元部と、燃料溶液供給部とを有するのが好ましい。
また、前記燃料電池システムは、前記燃料電池システムまたは前記生成物還元機構部から、前記還元剤収納容器のみを装着および脱着する装脱着部を具備するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施の形態である燃料電池本体の概要を表す断面図である。
図2は、本発明の一実施の形態である燃料電池起電部の概要を表す断面図である。
図3は、本発明の一実施の形態である生成物還元部機構の概要を表す断面図である。
【書類名】 明細書
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料として有機物を溶解させた水溶液を直接用い、酸化剤に酸素や空気を用いる燃料電池を含む燃料電池システム(燃料電池発電装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池の燃料としては、水素ガスならびに炭化水素系の液体および気体の燃料が用いられている。炭化水素系燃料を用いた燃料電池は、燃料を改質器で水素ガスに改質し、水素ガスを燃料として発電するタイプと、炭化水素系燃料を直接燃料電池に供給するタイプとに分類される。後者の燃料電池においては、燃料を燃料極で直接酸化するため、改質器を用いる必要がなく、燃料電池システム全体を小型化することができる。
【0003】
炭化水素系燃料として、例えばエネルギー密度の高いメタノールを直接酸化して用いる燃料電池の反応は、式(1):
燃料極:CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-
酸化剤極:3/2O2+6H++6e-→3H2
全電池反応:CH3OH+3/2O2→CO2+2H2
で表される。
【0004】
式(1)からわかるように、メタノール分子1モルから電子6モルが生成するため、体積エネルギー密度は4800Wh/Lと非常に高い。また、この燃料電池では、燃料極における燃料酸化生成物として、二酸化炭素1モルが生成することがわかる。このように、発電によって二酸化炭素が生成するにつれて、徐々に燃料電池の内圧が上昇し、燃料の液漏れや電池性能の低下などを招いてしまう傾向にあるという問題がある。
【0005】
このような問題に対して、例えば、特許文献1および2では、フッ素樹脂の多孔質体を用いて二酸化炭素と燃料を分離し、二酸化炭素のみを選択的に燃料電池外に排出する、二酸化炭素排出機構を備えた燃料電池システムが提案されている。
【0006】
図6は、二酸化炭素排出機構を備えた燃料電池システムを示す図である。図6において、このタイプの燃料電池システムは、燃料電池の起電部54、前記起電部に燃料を供給する燃料供給部57、および前記起電部に酸化剤を供給する酸化剤供給部56を具備する。また、燃料供給部57は、燃料収納容器51、ポンプ52、燃料供給管53および二酸化炭素排出機構55で構成されている。
【0007】
燃料は、燃料収納容器51から、ポンプ52により、燃料供給管53を通って、矢印L1の向きにしたがって起電部54に供給され、酸化剤は矢印L2の向きにしたがって酸化剤供給部56により起電部54へ供給され、発電が起こる。発電により生成した二酸化炭素は、矢印L3の向きにしたがって流れる。例えば、フッ素系多孔膜などの気液分離膜で構成される二酸化炭素排出機構55により、矢印L4の向きにしたがって燃料電池システム外へ排出される。
【0008】
しかし、この二酸化炭素排出機構として用いられている気液分離膜は、二酸化炭素と燃料を完全に選択的に分離することはできず、液体と分離膜との表面張力の差を利用した気体と液体の分離膜である。そのため、二酸化炭素だけではなく、蒸発した燃料ならびに燃料が酸化する際に生成される二酸化炭素以外の酸化生成物および副生成物(例えばアルデヒドなど)も、ガス状態で分離膜を通して燃料電池外に排出されてしまう。すなわち、このようなガス状の燃料および副生成物が燃料電池外へ蒸気として漏洩してしまうという問題がある。
【0009】
このような問題を解決する手段としては、燃料として、メタノールではなく、電気化学的に完全に燃焼することが難しい燃料を用いることが有効である。例えば、エタノール、プロパノールおよびブタノールなどのアルコール燃料は、電気化学的に酸化しても、完全燃焼させて二酸化炭素にまで酸化することは困難である。
この場合、燃料の酸化反応に伴って、燃料極で液体から気体への大きな体積膨張を伴う二酸化炭素の生成が起こらないことから、燃料電池の燃料極を密閉化することが可能となる。そして、蒸発した燃料、酸化生成物および副生成物が燃料電池外へ漏洩することを抑制することができる。
【0010】
一方、メタノール以外の燃料を用いると、燃料、酸化生成物および副生成物などを燃料電池外へ排出することのない非常に安全な燃料電池システムを作ることが可能である。しかし、燃料の酸化反応自体が不完全であるため、燃料のエネルギー密度は非常に低くなってしまう。この点をプロパノールおよびエチレングリコールを例に挙げて簡単に説明する。
【0011】
プロパノールを直接酸化して用いる燃料電池の反応式(完全燃焼時)は、式(2):
燃料極:C37OH+5H2O→3CO2+18H++18e-
酸化剤極:9/2O2+18H++18e-→9H2
全電池反応:C37OH+9/2O2→3CO2+4H2
で示される。また、エチレングリコールを直接酸化して用いる燃料電池の反応式(完全燃焼時)は、式(3):
燃料極:(CH2OH)2+2H2O→2CO2+10H++10e-
酸化剤極:5/2O2+10H++10e-→5H2
全電池反応:(CH2OH)2+5/2O2→2CO2+3H2
で示される。プロパノールおよびエチレングリコールともに、完全燃焼すれば生成物が二酸化炭素になり、体積エネルギー密度はそれぞれ、7100Wh/Lおよび5800Wh/Lと非常に高い。
【0012】
しかし、実際にこれら燃料を用いた場合、燃料極での反応は不完全燃焼となり、プロパノールを用いた場合はアセトン(例えば、非特許文献1および2)が生成し、エチレングリコールを用いた場合はグリコール酸およびギ酸(例えば、非特許文献3)などが生成することが報告されている。
【0013】
これらの場合、生成物が液体であり、大きな体積膨張を伴うガス発生がないため、燃料極の密閉化が可能である。しかし、燃料酸化反応が不完全燃焼のため、燃料のエネルギー密度は先ほど示した値より大きく低下してしまう。例えば、2−プロパノールを燃料に用いた場合、完全燃焼時は式(2)で示したように燃料1モルから電子18モルが生成する。しかし、実際には生成物が不完全燃焼のため、アセトンにまでしか酸化せず、燃料1モルからは電子2モルしか生成されない。
【0014】
したがって、この場合のエネルギー密度は、完全燃焼時のおよそ2/18(=790Wh/L)と非常に低くなってしまう。すなわち、燃料、酸化生成物および副生成物などを燃料電池外へ排出することのない燃料電池システムにおいては、燃料のエネルギー密度が非常に低いという問題があった。
【特許文献1】特開平10−507572号公報(第17〜24頁、第1〜2図)
【特許文献2】特開2001−102070号公報(第1〜5頁、第1図)
【非特許文献1】A.J.Arvia. et al,J.Electroanal.Chem., 350(1993)97.
【非特許文献2】杉井 裕政、外4名、“電気化学会第69回大会講演要旨集”(79頁)、平成14年4月1日、社団法人 電気化学会
【非特許文献3】松岡 孝司、外7名、“電気化学会第69回大会講演要旨集”(80頁)、平成14年4月1日、社団法人 電気化学会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述のような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、燃料、酸化生成物および副生成物などが燃料電池外へ漏洩することを抑制することが可能なメタノール以外の燃料を使用した
場合は、上述の内容に起因するエネルギー密度の低下を防止し得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、燃料極、酸化剤極およびこれらに挟持された電解質から構成される起電部を含む燃料電池と、前記燃料極へ燃料を供給する燃料供給部と、前記酸化剤極に酸化剤を供給する酸化剤供給部とを有する燃料電池システムであって、前記燃料は、電気化学的酸化反応によりプロトンを生成し、二酸化炭素を生成しない有機燃料であり、前記燃料電池の発電に伴って前記燃料極で生成する燃料酸化生成物を還元する生成物還元機構部を具備することを特徴とする燃料電池システムに関する。
【0017】
前記生成物還元機構部が、前記燃料酸化生成物を化学的に還元する還元剤を含むのが好ましい。
また、前記生成物還元機構部が、還元剤収納容器と、生成物還元部と、燃料溶液供給部とを有するのが好ましい。
また、前記燃料電池システムは、前記燃料電池システムまたは前記生成物還元機構部から、前記還元剤収納容器のみを装着および脱着する装脱着部を具備するのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池の燃料極のおける酸化反応により生成する燃料酸化生成物を還元する生成物還元機構部を具備することを特徴とする。かかる本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る燃料電池システムの一実施の形態の構成を示す図である。なお、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0019】
図1に示す燃料電池システムは、起電部を含む燃料電池14、前記起電部に燃料を供給する燃料供給部17、および前記起電部に酸化剤である空気または酸素を供給する酸化剤供給部16を具備する。燃料供給部17は、燃料収納容器11、燃料収納容器11から前記起電部へ燃料を矢印X1の向きに供給する燃料供給管13a、ポンプ12、および前記起電部で生成した燃料酸化生成物を還元する生成物還元機構部15を有する。なお、燃料電池14から生成物還元機構部15へは排出管13bが接続されている。
【0020】
図1では、燃料を供給するためのポンプ12を示したが、本発明においてはポンプ12が無くても燃料電池システムを構成することができる。その際には、燃料供給管13aおよび排出管13bは、毛管現象が働く程度の細管で構成することができる。あるいは、燃料の供給を補助するために、管の内部に、ポリウレタン、ポリエステル、セルロース、フェノール系樹脂、ポリプロピレンもしくはガラス繊維などの不織布または多孔質体を充填しておくこともできる。
【0021】
また、酸化剤を供給するための酸化剤供給部16は、例えばポンプもしくはファンなどの強制的に空気もしくは酸素を送り込む機構を有していてもよい。また、このような機構を有しない場合でも、本発明に係る燃料電池システムを構成することができる。その際には、空気が自然供給され易いように、燃料電池14の起電部の空気極側に多数の開口部を設ければよい。
【0022】
図1において、燃料は矢印X1の向きにしたがって燃料電池14の起電部に送られ、その一部が燃料極における酸化反応により酸化される。未消費燃料および燃料酸化生成物の混合体が、矢印X2の向きにしたがって生成物還元機構部15に送られる。生成物還元機構部15においては、燃料酸化生成物の少なくとも一部が還元されて燃料に再生され、再び矢印X1の向きにしたがって燃料供給管13aを循環するように構成されている。
【0023】
燃料電池14の起電部は、触媒層を含む燃料極、触媒層を含む酸化剤極およびこれらに狭持された電解質膜を有する単電池で構成すればよい。また、前記単電池複数個を積層して得られるスタックで構成してもよく、または、前記単電池複数個を複数の平面内で直列または並列に接続して得られる構造を採ることもできる。
【0024】
図2に、この単電池の構成の一例を示す。図2に示すように、燃料の拡散層24a、燃料極触媒層24b、電解質膜24c、酸化剤極触媒層24d、酸化剤である空気の拡散層24eとから単電池は構成されている。拡散層24aと燃料極触媒層24bとが燃料極を構成し、酸化剤極触媒層24dと拡散層24eとが酸化剤極を構成する。
【0025】
本発明に係る燃料酸化生成物を還元することのできる生成物還元機構部15を具備する燃料電池システムにおいて使用し得る燃料としては、電気化学的な酸化反応でプロトンを放出し、電気化学的、化学的または光により燃料酸化反応生成物を還元し、燃料へと再生することができるものであればよい。したがって、種々の有機物を利用することが可能であるが、なかでも炭素数が2以上の有機燃料を好適に用いることができる。もっとも、炭素数が1であっても、電気化学的酸化反応により、完全燃焼し二酸化炭素にまで酸化されることのない燃料であれば、使用可能である。なかでも、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびエチレングリコールなどのアルコール、ジエチルエーテルなどのエーテル、ならびにシクロヘキサン、デカリンなどの有機ハイドライドを好適に用いることができる。
【0026】
以下において、種々の燃料のうち、アルコールを例に用いて、生成物還元機構部15の作用について説明する。アルコールの酸化反応は、式(4)および(5)で示される。
1-C(-OH)-R2→R1-C(=O)-R2+2H++2e- (4)
3-C-OH→R3-C(=O)-OH+4H++4e- (5)
(式中、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、脂肪族基(例えばアルキル基)、芳香族基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルデヒド基またはカルボキシル基である。前記脂肪族基または前記芳香族基は、1個以上の酸素原子、チッ素原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子またはハロゲン原子を含むこれらの誘導体であってもよい。)。
【0027】
式(4)および(5)からわかるように、これらのアルコールを酸化した場合、酸化生成物としてケトンおよびカルボン酸が生成する。このことは一般に広く知られており、またケトンやカルボン酸のアルコールへの還元反応も知られている(例えば、R.F.Nystrom.et al,J.Am.Chem.Soc., 1198(1947)69、およびS.W.Chaikin. et al,J.Am.Chem.Soc., 122(1949)71)。式(4)および(5)で示される反応のように、燃料電池14の起電部の燃料極における燃料酸化反応により、アルコールが酸化され、ケトンまたはカルボン酸などの燃料酸化生成物が生成する。
【0028】
通常、これらの燃料を使用した場合、二酸化炭素などの体積膨張を伴うガスの発生がなく、燃料の循環系統を密閉化することができる。このため、燃料および酸化生成物が燃料電池システム外へ漏洩する心配はない。しかし、不完全燃焼のため、燃料のエネルギー密度は完全燃焼の場合に比べて、1/2〜1/10程度となり、非常に小さな値となってしまう。この燃料電池システムに生成物還元機構部を設けることにより、エネルギー密度の向上が可能である。
【0029】
以下、生成物還元機構部の化学的還元機構部の一例として、化学還元剤である水素化ホウ素ナトリウム水溶液を用いた場合を例に挙げてエネルギー密度向上の効果について説明する。燃料酸化生成物であるケトンを還元する還元反応は、式(6)で示される。
4R2CO+NaBH4→NaB(OCHR2)4
NaB(OCHR2)4+2NaOH+H2
→Na3BO3+4R2-CHOH (6)
【0030】
式(6)で示されるように、還元剤である水素化ホウ素ナトリウム1モルによってケトン4モルが還元される。このような生成物還元機構部を具備することにより、発電により酸化されたアルコールは常に還元剤により再生され、燃料電池は、還元剤が消費し尽くされるまで、発電を続けることができる。また、還元剤が消費し尽くされたとき、新たに燃料であるアルコールを追加するのではなく、還元剤を追加すればよい。
【0031】
したがって、この場合、燃料のエネルギー密度は、直接酸化反応をするアルコールにより決定されるのではなく、還元剤によって決定される。例えば、水素化ホウ素ナトリウムの場合、燃料にプロパノール、酸化剤に酸素を用いた場合の理論電圧(1.1V)で計算すると、体積エネルギー密度は、およそ6900Wh/Lとなり、還元剤を用いない場合(790Wh/L)に比べて大きく向上する。
【0032】
また、生成物還元機構部に化学還元剤を用いることができる。この化学還元剤としては、上述の水素化ホウ素ナトリウム以外にも、例えば水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、水素化アルミニウムリチウムなどの金属水素錯化合物、LaNi5に代表される水素吸蔵合金などの金属水素化物、水素ガス、マグネシウム金属などの還元力のある金属、グリニャール試薬に代表される一般式R−MgBr(式中、Rはアルキル基、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルデヒド基、カルボキシル基から選ばれる置換基である。アルキル基は鎖状または環状であり、1個以上の酸素原子、チッ素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子またはハロゲン原子を含む場合がある。)で表される還元剤などが挙げられる。
【0033】
図3に、化学還元剤を用いた生成物還元機構部の一例を詳細に図示する。なお、図3で示す生成物還元機構部は、本発明に係る生成物還元機構部を具備する燃料電池システムの一例であり、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
図3における生成物還元機構部35は、還元剤収納容器35a、ポンプ35bおよび還元反応部35cから構成されている。燃料電池の起電部で生成された未消費燃料および燃料酸化生成物の混合体が、矢印P1の向きにしたがって、燃料供給管33aを通して還元反応部35cに導入される。一方、還元剤収納容器35a内に収納されている還元剤がポンプ35bにより矢印P3の向きにしたがって還元反応部35cに供給され、還元反応部35c中において燃料酸化生成物が還元される。再生された燃料は、矢印P2の向きにしたがって燃料供給管33bを通って、再び起電部へと送られる。
【0034】
なお、還元反応部35c中においては、燃料酸化生成物を還元剤に接触させればよい。例えば、燃料酸化生成物は通常液体であるため、還元剤がガスであれば、燃料酸化生成物に還元剤を通気(バブリング)させればよい。
還元反応部35cには、還元剤による生成物の還元反応が進行しやすいように触媒などを加えてもよい。また、図3に示すような、還元剤を反応部へ送るためのポンプ35bを用いる構造は、還元剤が液体状態、または液体に溶解した状態の場合に特に有効であるが、このポンプ35bは無くてもよい。ポンプ35bが無い場合は、還元剤収納容器35aと還元反応部35cが共通となる構造にしておけばよい。このような場合は、還元剤が固体状態、または固体に吸着している状態の場合に特に有効である。還元剤がガスである場合は、ポンプ35bが無く、その代わりに減圧弁を設置することが有効である。
【0035】
また、還元剤が反応後に反応生成物を生じる場合は、図4のように反応部35cで反応した後、燃料溶液と反応生成物を分離する分離部35dを設けることが有効である。図4は、図3の構成における反応部35cと燃料供給管33bとの間に分離部35dを設置した構成である。反応部35cにおいて燃料溶液および還元剤が反応する。還元再生された燃料および還元剤の反応生成物は、分離部35dにおいて分離され、燃料溶液は、矢印P2の向きにしたがって燃料供給管33bに送られ、還元剤の反応生成物は、矢印P4の向きにしたがって還元剤収納容器35aに戻される。分離部35dには、フィルターや吸着剤による分離、または蒸留分離などが用いられる。
【0036】
また、還元剤を用いた生成物還元機構部を具備する燃料電池システムでは、還元剤および燃料供給部内の燃料の多くが消費され尽くした場合に、発電が停止する。この場合、さらに発電を続けるためには、燃料電池に新たに還元剤を追加する必要がある。還元剤を追加する方法としては、還元剤収納容器内に、還元剤を直接注入してもよいし、実用上の利便性を考えると、使用済みの還元剤収納容器と、新しい未使用の還元剤の充填された還元剤収納容器を交換することが望ましい。したがって、生成物還元機構部が、還元剤収納容器と、生成物還元部と、燃料溶液供給部とを有し、これらおよび燃料電池システム本体から還元剤収納容器のみを装着および脱着するための還元剤収納容器装脱着部を具備することが、実用上有効である。
【0037】
生成物を還元する方法としては、上で述べた化学還元剤を用いた化学反応による方法以外にも、電気化学的に還元する機構もある。図5に、電気化学的に生成物を還元する生成物還元機構部の一例を詳細に図示する。なお、図5で示す生成物還元機構部は、本発明の生成物還元機構部を具備する燃料電池システムの一例であり、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0038】
図5の生成物還元機構部45は、生成物を電気化学的に還元する第一の電極である還元極45dと、第二の電極である対極45bと、それに挟まれた電解質膜45cと、第一の電極と第二の電極間に電圧を印加し、第一の電極に還元電位を印加することのできる電圧印加機構45fと、燃料酸化生成物を含んだ燃料を拡散させる拡散層45eと、水、あるいは対極で酸化反応を起こすことが可能であるその他溶媒を拡散させる拡散層45aとからなる。燃料酸化生成物および未消費燃料の混合体は燃料供給管43aから拡散層45eへ供給され、第一電極で還元電位を受け、還元され燃料に再生され、排出管43bを通して、再び起電部へと送られる。
【0039】
このとき、第二電極である対極45bでは、酸化反応が起こっており、例えば拡散層45a中の溶媒が水では、この場合、水が酸化され、酸素が発生する。したがって、この場合、発生した酸素を燃料電池システム外へ排出し、消費した水の補給が必要となる。このように、溶媒が水である場合は、水の補給をするだけで、外部電源からエネルギーを供給し、燃料を再生することができる。通常、燃料電池は、充電することはできず、燃料を常に補給しつづける必要がある。これに対して、図4に示す生成物還元機構部を具備する燃料電池システムでは、第二電極に、例えば水のような溶媒を補給するだけで、外部電源を用いて、燃料を再生し、いわば充電電池の如き扱いが可能となる。また、この外部電源としては、一次電池および二次電池などの直流電源、発電機および家庭用電源などにおける交流電源などを用いることができる。
【0040】
さらには、生成物還元機構部として、酸化チタンまたは酸化亜鉛などの光触媒を用い、それらに光を当てることにより、生成物を還元する光還元反応を利用することも可能である。
【0041】
以上のように、本発明に係る燃料電池システムは、発電に伴って燃料極で生成する燃料酸化生成物を、還元することができる生成物還元機構部を具備する。これにより、初めて、燃料系統を密閉化し、有害物質を電池外へ排出せず、極めて安全、かつエネルギー密度の高い燃料電池システムを提供することができる。
【0042】
本発明に係る燃料電池システムによれば、例えば、ノートパソコンおよびカムコーダなどの電子機器用電源、自動車、自動二輪車および電動自転車などの輸送機器用電源、家庭用発電機などの分散型電源、ならびに、これまで一次電池および二次電池が用いられていた機器の代替の高エネルギー電源として、幅広い用途が期待できる。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
《実施例
本実施例においては図1に示す燃料電池システムを作製した。
30nmの平均一次粒径を持つ導電性カ−ボン粒子であるケッチェンブラックEC(オランダ国、AKZO Chemie社)に、平均粒径約30Åの白金粒子を担持させて、酸化剤極側の触媒担持粒子(50重量%白金)を得た。また、ケッチェンブラックECに、平均粒径約30Åの白金粒子とルテニウム粒子とを、それぞれ担持させて、燃料極側の触媒担持粒子(25重量%白金、25重量%ルテニウム)を得た。
【0044】
次に、これらの触媒担持粒子と水素イオン伝導性高分子電解質の溶液とをそれぞれ混合し、酸化剤極側の触媒ペーストおよび燃料極側の触媒ペーストを作成した。このとき、触媒担持粒子と水素イオン伝導性高分子電解質との重量混合比は1:1とした。また、水素イオン伝導性高分子電解質としてはパーフルオロカーボンスルホン酸(旭硝子(株)製のフレミオン)を用いた。
【0045】
次に、水素イオン伝導性高分子電解質膜(米国デュポン社、ナフィオン117)の一方の面に燃料極側の触媒ペーストを印刷し、他方の面に酸化剤極側の触媒ペーストを印刷した。ついで、燃料極側の拡散層と酸化剤極側の拡散層とを、水素イオン伝導性高分子電解質膜を中心として重ね合わせ、ホットプレス法で接合することで、電解質膜電極接合体(MEA)を作製した。このとき、燃料極および空気極の触媒面積は5cm×5cmとなるようにした。燃料極側の拡散層および酸化剤極側の拡散層としては、カーボン不織布(膜厚190μm、気孔率78%)を用いた。このようにして、起電部を得た。
【0046】
燃料水溶液として濃度1モル/リットルの2−プロパノール水溶液を用いた。図1に示した図中の燃料電池14の起電部の燃料極、燃料供給管13a、ポンプ12、燃料収納容器11に上記燃料水溶液を充填した。2−プロパノール水溶液の充填量は50ccとした。
【0047】
生成物還元機構部としては、図4で示した還元剤を用いる生成物還元機構部を作成した。すなわち、生成物還元機構部は、還元剤収納容器、ポンプ、還元反応部で構成した。また、還元剤収納容器内に充填する還元剤としては、濃度30重量%の水素化ホウ素ナトリウム水溶液50gを用いた。水素化ホウ素ナトリウム水溶液には、保存時の還元剤溶液の安定性を高めるため、微量の水酸化ナトリウムを加えた。本実施例においては、還元反応部内に触媒は用いなかった。
【0048】
また、還元剤または還元剤の反応生成物の燃料溶液への混入を防ぐため、反応部の後に分離部を設け、還元剤の反応生成物と燃料溶液とを分離した。分離部にエバポレータを用い、液体部と固体部(残渣)とに分離し、液体部のみを燃料供給管へ戻した。
起電部の酸化剤極には、酸化剤として空気をポンプで毎分200ccの速度で供給し、また、起電部の燃料極には、燃料水溶液をポンプで毎分10ccの速度で供給した。生成物還元部内の還元剤の供給速度は毎分0.5ccとした。
【0049】
電池の温度制御は行わず、室温環境で、電流値2.5Aの定電流で発電実験を行ったところ、電圧はほぼ0.4V付近を安定して示した。発電開始から、130分までは安定して発電することができたが、130分を過ぎた辺りから、電圧が徐々に降下し、最終、約135分間発電することができた。これは、比較例1に示した従来例のおよそ1.7倍もの長時間発電を可能にしたことを意味している。
【0050】
なお、発電後の燃料水溶液が、生成物還元機構部を通り抜けた直後の燃料供給管13cから、シリンジを用いて、発電開始後から、50分後および100分後と燃料溶液をそれぞれ1ccずつ取り出し、2−プロパノールの濃度をガスクロマトグラフィーにより調べたところ、それぞれ、0.96モル/リットル、0.94モル/リットルとなっていた。これにより、生成物還元機構部により、生成物が還元されていることが確認された。
【0051】
また、発電停止後も、同様に燃料水溶液を、生成物還元機構部を通り抜けた直後の燃料供給管13cから、1cc取り出し、ガスクロマトグラフィーで濃度を測定したところ、0.43モル/リットルとなっていた。このことから、生成物還元機構部内の還元剤が消費し尽くされたため、燃料濃度が減少し、そのため発電が止まったものと推察される。
【0052】
また、燃料電池システムからの漏液はもちろん見られなかった。念のため、燃料電池の酸化剤極のみ空気が自由に出入りできる開放状態にして、燃料極から燃料供給部、燃料収納容器、ポンプ、生成物還元部までを全てテフロンバッグに入れ密封して運転し、運転終了後にテフロンバッグ内の空気をガスクロマトグフィーにて分析を行った。この場合、2−プロパノールおよびその他の燃料に由来する有機物は検出されなかった。したがって、燃料電池システムからの漏液はもちろん、燃料および燃料酸化生成物、副生成物の燃料電池システム外への漏洩もないことが確認された。
【0053】
したがって、本発明の、発電に伴って燃料極で生成する燃料酸化生成物を、還元することが出来る生成物還元機構を具備した燃料電池によって、燃料系統を密閉化し、有害物質を電池外へ排出せず、極めて安全、かつエネルギー密度の高い燃料電池を提供することが出来た。
【0054】
また、上記と以下の点を除き、すべて同じ条件で発電実験を行った。すなわち、生成物還元に用いる化学還元剤を、水素化ホウ素ナトリウムから、水素化ホウ素カリウムまたは水素化ホウ素リチウムなどの他の金属水素錯化合物に代え、発電実験を行った。これら還元剤は、全て濃度30重量%の水溶液とし、また、使用量は50gとした。結果を表1にまとめて示した。表1に示したように、いずれの場合も還元剤を使用しない場合よりも長時間の発電が可能であった。また、これら三種の還元剤の中では、もっとも分子量の小さな水素化ホウ素リチウムを用いた場合が、もっとも長時間の発電が可能であった。
【0055】
【表1】
Figure 2004070865
【0056】
また、本実施例1では、燃料として、2−プロパノールを用いたが、これ以外にもエタノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテルも同様に、還元剤を含んだ生成物還元機構を具備することにより、還元剤のない場合に比べてそれぞれ、長時間の発電が可能であった。
【0057】
《比較例
比較例として、以下の点を除き実施例1と全く同じ構成の燃料電池システムを作製した。すなわち、図4に示した生成物還元機構部の還元剤収納容器内に、還元剤を入れず、その代わりに実施例1で使用した還元剤と同重量の燃料、すなわち2−プロパノール水溶液を50g還元剤収納容器内に充填した。
【0058】
また、本比較例では、還元剤を用いていないため、分離部は必要ないが、比較のため、実施例と同様にエバポレータを用いた。
起電部の酸化剤極には、酸化剤として空気をポンプで毎分200ccの速度で、起電部の燃料極には、燃料水溶液をポンプで毎分10ccの速度で供給した。還元剤収納容器内に充填した2−プロパノールは毎分1.2ccの速度で燃料供給部へ供給した。
【0059】
電池の温度制御は行わず、室温環境で、電流値2.5Aの定電流で発電実験を行ったところ、電圧は実施例1と同じくほぼ0.4V付近を安定して示した。発電開始から、75分までは安定して発電することができたが、75分を過ぎた辺りから、電圧が徐々に降下を起こし、最終83分間の発電で止まってしまった。この結果は、表1中の比較例の欄に並べて示したように、実施例1の生成物還元機構を具備した場合よりも、発電時間が短かった。
【0060】
なお、発電後の燃料水溶液が、生成物還元機構を通り抜けた直後の燃料供給管13cから、シリンジを用いて、発電開始後から50分後と、発電停止後の燃料溶液を1ccずつ取り出し、2−プロパノールの濃度をガスクロマトグラフィーにより調べたところ、それぞれ、1.02モル/リットル、0.38モル/リットルとなっていることがわかった。このことから、生成物還元機構部内の還元剤が消費し尽くされたため、燃料濃度が減少し、そのため発電が止まったものと推察される。
【産業上の利用の可能性】
【0061】
本発明により、燃料系統を密閉化し、燃料、燃料酸化副生成物等の電池外への漏洩が全くなく極めて安全、かつ、電池としての駆動時間が長くエネルギー密度の高い燃料電池を初めて提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施の形態である燃料電池本体の概要を表す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態である燃料電池起電部の概要を表す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態である生成物還元部機構の概要を表す断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態である他の生成物還元部機構の概要を表す断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態であるさらに他の生成物還元部機構の概要を表す断面図である。
【図6】従来の技術である燃料電池の概要を表す断面図である。
【符号の説明】
【0063】
11 燃料収納容器
12、35b ポンプ
13a、33a、33b、43a 燃料供給管
13b、43b 排出管
14 燃料電池
15、35、45 生成物還元機構部
16 酸化剤供給部
17 燃料供給部
24a、24e、45a、45e 拡散層
24b 燃料極触媒層
24c、45c 電解質膜
24d 酸化剤極触媒層
35a 還元剤収納容器
35c 還元反応部
35d 分離部
45b 対極
45d 還元極
45f 電圧印加機構
【図1】
Figure 2004070865
【図2】
Figure 2004070865
【図3】
Figure 2004070865
【図4】
Figure 2004070865
【図5】
Figure 2004070865
【図6】
Figure 2004070865
本発明は、燃料極、酸化剤極およびこれらに挟持された電解質から構成される起電部を含む燃料電池と、前記燃料極へ燃料を供給する燃料供給部と、前記酸化剤極に酸化剤を供給する酸化剤供給部とを有する燃料電池システムであって、前記燃料は、電気化学的酸化反応によりプロトンを生成する有機燃料であり、前記燃料電池の発電に伴って前記燃料極で生成する燃料酸化生成物を還元する生成物還元機構部を具備し、前記生成物還元機構部が、前記燃料酸化生成物を化学的に還元する還元剤を含むことを特徴とする燃料電池システムに関する。
記生成物還元機構部が、還元剤収納容器と、生成物還元部と、燃料溶液供給部とを有するのが好ましい。
また、前記燃料電池システムは、前記燃料電池システムまたは前記生成物還元機構部から、前記還元剤収納容器のみを装着および脱着する装脱着部を具備するのが好ましい。
さらに本発明は、燃料極、酸化剤極およびこれらに挟持された電解質から構成される起電部を含む燃料電池と、前記燃料極へ燃料を供給する燃料供給部と、前記酸化剤極に酸化剤を供給する酸化剤供給部とを有する燃料電池システムであって、前記燃料は、電気化学的酸化反応によりプロトンを生成する有機燃料であり、前記燃料電池の発電に伴って前記燃料極で生成する燃料酸化生成物を還元する生成物還元機構部を具備し、前記生成物還元機構部が、光を当てることにより前記燃料酸化生成物を還元する光触媒を含む燃料電池システムに関する。
生成物を還元する方法としては、上で述べた化学還元剤を用いた化学反応による方法以外にも、例えば電気化学的に還元する機構もある。図5に、電気化学的に生成物を還元する生成物還元機構部の一例を詳細に図示する。なお、図5で示す生成物還元機構部は、本発明の参考となる生成物還元機構部を具備する燃料電池システムの一例であ

Claims (4)

  1. 燃料極、酸化剤極およびこれらに挟持された電解質から構成される起電部を含む燃料電池と、前記燃料極へ燃料を供給する燃料供給部と、前記酸化剤極に酸化剤を供給する酸化剤供給部とを有する燃料電池システムであって、
    前記燃料電池の発電に伴って前記燃料極で生成する燃料酸化生成物を還元する生成物還元機構部を具備することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記生成物還元機構部が、前記燃料酸化生成物を化学的に還元する還元剤を含む請求の範囲第1項記載の燃料電池システム。
  3. 前記生成物還元機構部が、還元剤収納容器と、生成物還元部と、燃料溶液供給部とを有する請求の範囲第2項記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料電池システムまたは前記生成物還元機構部から、前記還元剤収納容器のみを装着および脱着する装脱着部を具備する請求の範囲第3項記載の燃料電池システム。
JP2005504903A 2003-02-10 2004-02-06 燃料電池システム Expired - Fee Related JP3795912B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003032739 2003-02-10
JP2003032739 2003-02-10
PCT/JP2004/001306 WO2004070865A1 (ja) 2003-02-10 2004-02-06 燃料電池システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2004070865A1 true JPWO2004070865A1 (ja) 2006-06-01
JP3795912B2 JP3795912B2 (ja) 2006-07-12

Family

ID=32844346

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005504903A Expired - Fee Related JP3795912B2 (ja) 2003-02-10 2004-02-06 燃料電池システム

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8557456B2 (ja)
JP (1) JP3795912B2 (ja)
CN (1) CN1748332B (ja)
WO (1) WO2004070865A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7329470B2 (en) * 2004-05-26 2008-02-12 Societe Bic Apparatus and method for in situ production of fuel for a fuel cell
JP2008159492A (ja) * 2006-12-26 2008-07-10 Fujitsu Ltd 燃料電池
JP2008159493A (ja) * 2006-12-26 2008-07-10 Fujitsu Ltd 燃料電池及びその制御方法
US8871393B1 (en) * 2009-03-13 2014-10-28 Hrl Laboratories, Llc Regenerative fuel cell and hydrogen storage system
CN102468510A (zh) * 2010-11-18 2012-05-23 北京科技大学 一种基于杂多化合物储能的间接甲醇燃料电池装置
JP7456620B2 (ja) * 2018-03-05 2024-03-27 国立研究開発法人科学技術振興機構 電極触媒の合金の製造方法、ケトン類およびカルボン酸類の製造方法、燃料電池、エネルギー回収システム
CN115275293A (zh) * 2022-08-12 2022-11-01 北京九州恒盛电力科技有限公司 一种液流电池及其控制方法

Family Cites Families (30)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5834912B2 (ja) 1979-10-19 1983-07-29 工業技術院長 燃料電池
JPH0227668A (ja) * 1988-07-18 1990-01-30 Sumitomo Electric Ind Ltd レドックスフロー電池の電池容量維持方法
US5208112A (en) 1991-11-08 1993-05-04 Hughes Aircraft Company Thermally regenerated fuel cell
JPH05275197A (ja) * 1992-03-26 1993-10-22 Jeol Ltd 多段加速管のコンディショニングシステム
JPH06260204A (ja) * 1993-03-01 1994-09-16 Sumitomo Electric Ind Ltd 電解液再調整装置付電解液流通型電池
ES2133166T3 (es) 1994-03-14 1999-09-01 Studiengesellschaft Kohle Mbh Reduccion electroquimica de sales metalicas como metodo de preparar coloides metalicos altamente y agrupaciones de metales fijados a sustratos por reduccion electroquimica de sales metalicas.
JP3795920B2 (ja) 1994-10-18 2006-07-12 ユニバーシティ オブ サザン カリフォルニア 有機燃料電池
JPH10330979A (ja) 1997-06-05 1998-12-15 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk 電極膜接合体及びその製造方法
JP4517415B2 (ja) * 1999-03-15 2010-08-04 ソニー株式会社 発電デバイス
JP3623409B2 (ja) 1999-09-30 2005-02-23 株式会社東芝 燃料電池
JP2001198469A (ja) 1999-11-05 2001-07-24 Sekisui Chem Co Ltd 水素貯蔵・供給用金属担持触媒及びこれを利用した水素貯蔵・供給システム
US6686079B2 (en) * 2000-05-17 2004-02-03 Schlumberger Technology Corporation Fuel cell for downhole power systems
WO2002003489A1 (en) * 2000-07-03 2002-01-10 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Polyelectrolyte fuel cell
EP1175938A1 (en) * 2000-07-29 2002-01-30 The Hydrogen Solar Production Company Limited Photocatalytic film of iron oxide, electrode with such a photocatalytic film, method of producing such films, photoelectrochemical cell with the electrode and photoelectrochemical system with the cell, for the cleavage of water into hydrogen and oxygen
JP2002126458A (ja) 2000-10-30 2002-05-08 Sekisui Chem Co Ltd 金属水素化錯化合物とその酸化体の分離方法、及び膜分離装置
US6773470B2 (en) * 2001-01-03 2004-08-10 More Energy Ltd. Suspensions for use as fuel for electrochemical fuel cells
JP4773622B2 (ja) 2001-01-30 2011-09-14 田中貴金属工業株式会社 高分子固体電解質型燃料電池用触媒の製造方法
JP2002343403A (ja) * 2001-05-16 2002-11-29 Mitsubishi Chemicals Corp 燃料電池の運転方法
EP1266687A1 (de) 2001-05-23 2002-12-18 OMG AG & Co. KG Verfahren zur Herstellung eines Anodenkatalysators für PEM-Brennstoffzellen und damit hergestellter Anodenkatalysator
US6645651B2 (en) * 2001-06-01 2003-11-11 Robert G. Hockaday Fuel generator with diffusion ampoules for fuel cells
JP2003045449A (ja) 2001-08-01 2003-02-14 Masaru Ichikawa 化学発電/有機ハイドライド製造装置および化学発電/有機ハイドライド製造方法
JP2003077521A (ja) 2001-08-31 2003-03-14 Foundation For Advancement Of Science & Technology 燃料電池
US7045230B2 (en) * 2001-11-09 2006-05-16 Hydrogenics Corporation Chemical hydride hydrogen generation system and fuel cell stack incorporating a common heat transfer circuit
JP4202109B2 (ja) * 2001-12-28 2008-12-24 パナソニック株式会社 燃料電池システム
JP2003346862A (ja) * 2002-05-29 2003-12-05 Hitachi Maxell Ltd 燃料電池
US20040009379A1 (en) * 2002-07-11 2004-01-15 Amendola Steven C. Method and apparatus for processing discharged fuel solution from a hydrogen generator
JP4025615B2 (ja) 2002-10-08 2007-12-26 勇 内田 燃料再生可能な燃料電池、発電方法及び燃料の再生方法
JP4356966B2 (ja) 2002-12-06 2009-11-04 勝 市川 燃料電池
JP2004192879A (ja) 2002-12-10 2004-07-08 Matsushita Electric Ind Co Ltd 燃料電池
US7575822B2 (en) * 2003-04-09 2009-08-18 Bloom Energy Corporation Method of optimizing operating efficiency of fuel cells

Also Published As

Publication number Publication date
US20060199047A1 (en) 2006-09-07
US8557456B2 (en) 2013-10-15
CN1748332A (zh) 2006-03-15
JP3795912B2 (ja) 2006-07-12
WO2004070865A1 (ja) 2004-08-19
CN1748332B (zh) 2010-07-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2334784C2 (ru) Суспензии для применения в качестве топлива для электрохимических топливных элементов
JP3883509B2 (ja) 電気化学燃料電池用の液体燃料組成物
JP3748417B2 (ja) 直接型液体燃料燃料電池発電装置およびその制御方法
US6706431B2 (en) Fuel cell
US7781083B2 (en) Hydrogen/hydrogen peroxide fuel cell
US7553570B2 (en) Fuel cell
JP2005522846A (ja) 燃料電池におけるガス輸送の制御
JP4025615B2 (ja) 燃料再生可能な燃料電池、発電方法及び燃料の再生方法
JP3795912B2 (ja) 燃料電池システム
US8940459B2 (en) Alkaline fuel cell electrode catalyst, alkaline fuel cell, manufacture method for alkaline fuel cell electrode catalyst, and manufacture method for alkaline fuel cell
JP2008218397A (ja) 燃料電池
JP2002343403A (ja) 燃料電池の運転方法
WO2007034756A1 (ja) 燃料電池
JP2004127672A (ja) 燃料電池および燃料電池の駆動方法
JP2007165205A (ja) 燃料電池および燃料電池システム
US20060083959A1 (en) Polymer electrolyte fuel cell cartridge and polymer electrolyte fuel cell
US20040053085A1 (en) Hydrogen management system for a fuel cell
KR100673748B1 (ko) 연료 전지용 연료 조성물 및 이를 이용한 연료 전지
JP2002313401A (ja) 燃料電池及び燃料電池に水素と酸素を供給する方法
US7037622B2 (en) Carbonaceous material for hydrogen storage and method for preparation thereof, carbonaceous material having hydrogen absorbed therein and method for preparation thereof, cell and fuel cell using carbonaceous material having hydrogen absorbed therein
JP2008041291A (ja) 燃料極触媒、膜電極接合体及び燃料電池
JP2006179446A (ja) 電気自動車
CN1311583C (zh) 用作电化学燃料电池的燃料的悬浮液
CN101953003B (zh) 用于限制具有质子交换膜的燃料电池的老化的方法和装置
JP2005267885A (ja) 燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060316

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060413

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3795912

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100421

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110421

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120421

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130421

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130421

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140421

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees