JP4379242B2 - 車両用空気浄化装置および当該装置を備える車両用空気浄化システム - Google Patents

車両用空気浄化装置および当該装置を備える車両用空気浄化システム Download PDF

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Description

本発明は、自動車等の車両における車室内の空気を浄化する車両用空気浄化装置および当該装置を備える車両用空気浄化システムに関するものである。
車両用空気浄化装置として、光触媒により活性酸素を生成し、生成した活性酸素を用いて、車室内の空気を浄化する装置がある(例えば、特許文献1、2参照)。この装置は、太陽光の光を利用して、活性酸素を生成することで、バッテリ等の外部からの給電を受けることなく、車室内の空気の浄化を行うことを図ったものである。
特開2000−308676号公報 特開2004−105828号公報
ところで、従来の空気浄化装置は、通常、乗員が車両に搭乗後、エンジンスタートと同時か、またはそれ以降に作動させるものであった。そのため、乗員が車両に乗車後、室内の空気が清浄化されるまでの間、乗員は好ましくない環境に置かれることになる。そこで、この対策としては、乗員が車両に搭乗する前、すなわち、エンジンの始動前から空気浄化装置を作動させることが好ましい。
しかし、上記背景技術に記載した空気浄化装置は、悪天候時では、太陽光が得られないため、空気の浄化を行うことができない。このため、ランプ等の光源を用いたり、特許文献2に記載されているように、悪天候時では、電気を使用する空気浄化手段に切り替えたりする必要がある。
したがって、上記した空気浄化装置をエンジンの始動前から作動させようとする場合では、悪天候時において、バッテリからの給電が必要となり、バッテリ上がりの観点から、乗員が車両に搭乗する前から空気浄化装置を作動させることができないという問題が生じる。
なお、バッテリ上がりの抑制方法としては、単純にバッテリの容量を大きくする方法が考えられる。しかしながら、その場合、バッテリの重量が大きくなり、車両全体の重量も大きくなって、車両の燃費が低下するという問題が生じてしまうため、好ましくない。
以上のことから、乗員が車両に搭乗する前から空気浄化装置を作動させるためには、バッテリ等の外部からの給電を受けることなく、空気の浄化を行うことができる空気浄化装置の実現が望まれる。
本発明は、上記点に鑑み、外部からの給電を受けることなく、空気の浄化を行うことができる車両用空気浄化装置および当該装置を備える車両用空気浄化システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、アノード(16)と、カソード(17)と、アノード(16)およびカソード(17)との間に配置された電解質(21)とを備え、アノード(16)側に水素供与体が供給され、カソード(17)側に車室内の空気が供給されることで、カソード(17)側に活性酸素を発生させ、活性酸素により、空気中の臭気を浄化するようになっている
本発明の浄化装置は、いわゆる燃料電池型反応により、活性酸素を発生させるものである。活性酸素としては、例えば、過酸化水素やヒドロキシラジカルを発生させることができる。
具体的には、アノード側で水素供与体から水素イオンが生成し、アノードからカソードに向かって、電解質中を水素イオンが移動する。そして、カソードでは、電解質中を移動してきた水素イオンと空気中の酸素とが反応することで、過酸化水素が生成する。
また、請求項に示すように、カソード(17)が低原子価の遷移金属(52)を有する場合、いわゆるHaber-Weiss機構による過酸化水素の分解により、ヒドロキシラジカルが生成する
このいわゆる燃料電池型反応自体や、過酸化水素の分解では、外部からの給電を必要としない。
また、本発明では、活性酸素の生成と同時に、発電を行うこともできる。このため、空気浄化装置自身の維持電力を賄うこともできる。例えば、アノード側への水素供与体の供給にポンプを用いたり、カソード側への車室内の空気の供給にファンを用いたりする場合では、浄化装置自身の発電により、ポンプやファンの稼働に必要な電力を賄うことができる。
以上のことから、本発明によれば、一度、装置に水素供与体を供給すれば、その後は、外部からの給電を受けることなく、空気の浄化を行うことができる車両用空気浄化装置を提供することができる。
そして、請求項1に記載の発明では、電解質は、アノード(16)およびカソード(17)により形成された中間室(19)中の電解質溶液(21)であり、中間室(19)電解質溶液(21)をアノード(16)側とカソード(17)側に区画する区画部(51)を有し、区画部(51)水素イオン伝導性であって、過酸化水素の透過を抑制する材料により構成されていることを特徴としている
これにより、カソード側で発生した過酸化水素がアノード側に移動することを抑制することができる。この結果、過酸化水素がアノード側に移動することで、過酸化水素が反応して水になるのを抑制することができる。
また、請求項1に記載の発明に関して、カソード(17)が、触媒層(17a)とガス拡散層(17b)とにより構成されている場合、触媒層で過酸化水素が発生し、この過酸化水素がガス拡散層に拡散することで、ガス拡散層に吸着した空気中の臭気が分解される。このとき、通常、触媒層(17a)はアノード側に配置される。
そこで、請求項に示すように、カソード(17)をアノード(16)よりも重力方向の下側に配置することで、カソード(17)の触媒層(17a)で発生した過酸化水素を、重力により、満遍なくガス拡散層(17b)全体に拡散させることができる。
また、請求項1に記載の発明では、具体的には、車両に搭載された水素供与体を貯蔵する貯蔵手段から、輸送手段により、アノード側に水素供与体が供給される。そして、この貯蔵手段としては、空気浄化装置専用の水素供与体の貯蔵タンクを用いたり、請求項に示すように、車両に通常搭載されているウォッシャー液タンク(22)を用いたりすることができる。
ウォッシャー液タンク(22)を用いる場合では、ウォッシャー液中のメタノールを水素供与体として、アノード(16)側に供給することができる。
この場合、ウォッシャー液をそのままアノード側に供給したり、請求項に示すように、メタノールと水のみを透過する透過手段(32)により、ウォッシャー液からメタノールを抽出したものをアノード(16)側に供給したりすることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態における車両用空気浄化システムの構成を示す。このシステムは、空気浄化装置10、ウォッシャー液タンク22、ポンプ部30、バッテリ40から構成される。なお、バッテリ40は、通常、車両に搭載されているものである。
空気浄化部10は、車室内から取り入れた空気を活性酸素により浄化するものである。本実施形態では、空気浄化部10は車室内であって、後部座席の後方に設置されている。ここで、図2に、空気浄化装置10の構成を示す。
空気浄化部10は、浄化部11と送風部12とを有している。浄化部11が空気の浄化を行い、送風部12が車室内の空気を浄化部11に送り、浄化部11から空気を車室内に送る。送風部12は、例えば、ファンであり、バッテリ40からの給電により稼働する。送風部12には、車室内の空気が送風部12に向かって流れる第1の空気経路14が接続されている。
また、浄化部11は、空気入口11aと空気出口11bとを有している。空気入口11aは、送風路13を介して、送風部12と接続されている。一方、空気出口11bには、浄化部11から車室内に向かって空気が流れる第2の空気経路15が接続されている。
また、浄化部11は、燃料入口11cと燃料出口11dとを有している。後に説明するが、燃料入口11cからメタノールが供給され、燃料出口11dから反応物が排出される。
図3(a)に、浄化部11の内部構成を示す。浄化部11は、燃料電池機構を活用した構造となっている。すなわち、浄化部11は、1つの容器11とアノード16とカソード17とを有しており、この容器11が、アノード16およびカソード17によって、アノード室18、中間室19、カソード室20に区画された3層構造となっている。アノード室18、中間室19、カソード室20は、本実施形態では、水平方向に並んで配置されている。
そして、中間室19には、電解質溶液21が導入されている。アノード室18は、この容器11のアノード16側の部屋であり、カソード室20は、この容器11のカソード17側の部屋である。また、アノード室18は、燃料入口11cと燃料出口11dとを有しており、燃料入口11cからメタノールが供給される。カソード室20は、空気入口11aと、空気出口11bとを有しており、空気入口11aから車室内の空気(臭気と酸素)が供給される。
なお、燃料電池機構とは、燃料を電解質で隔てて電気化学的に完全燃焼させ、その反応過程の自由エネルギ変化を直接電力エネルギに変換することを目的としたシステムである。すなわち、電子の放出反応と受容反応をそれぞれアノード、カソードで行わせ、両極を結ぶ外部回路を通る電子の移動を電力として利用するものである。
本実施形態では、アノード16とカソード17が、電子伝導体であるリード線41を通じて外部短絡されている。そして、図1に示すように、アノード16とカソード17は、リード線41を介して、バッテリ40と接続されており、バッテリ40に蓄電されるようになっている。
また、アノード16は、ダイレクトメタノール型燃料電池のアノード(燃料極)と同様の構成となっている。すなわち、アノード16としては、一般に燃料電池で使用されている入手しやすい触媒電極が用いられている。触媒としては、白金等を用いることができる。
なお、アノード16を構成する材料としては、種々の材料を用いることができる。具体的には、種々の金属またはその化合物の少なくとも1種以上を用いることができる。金属としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスニウム、イリジウム、白金等の白金族金属もしくはこれら金属の合金等が例示される。白金族以外にも、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の遷移金属も用いることができる。
また、導電性炭素材料を用いることもできる。このとき、金属の高分散化と良好な電子伝導性を与えるために、これら金属を導電性炭素材料に物理混合するかもしくは分散担持させてもよい。導電性炭素材料としては、活性炭、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、カーボンファイバー、カーボンウィスカーなどの入手しやすい炭素材料が挙げられる。例えば、白金黒およびカーボンファイバーを含む触媒電極をアノード16として用いることができる。
カソード17は、ダイレクトメタノール型燃料電池のカソード(空気極)に対して、用いる触媒を変更した構成となっている。ここで、図3(b)に、図3(a)中の破線領域Aの拡大図を示す。
図3(b)に示すように、カソード17は、触媒層17aと、ガス拡散層17bとを有する、いわゆるガス拡散電極構造となっている。触媒層17aは、触媒が担持されている層であり、ガス拡散層17bは、ガスを拡散させる層である。触媒層17aおよびガス拡散層17bは、例えば、ともに導電性炭素材料により構成されている。
導電性炭素材料としては、電気伝導性を有する種々の炭素材料が使用できるが、好ましくは活性炭、カーボンファイバー、グラファイト、カーボンウィスカー、カーボンブラックから選ばれた炭素材料を単独、もしくは2種以上の混合物として用いることができる。
触媒層17aで担持される触媒としては、パラジウム、金、炭素を用いることができる。これは、以下の式に示すように、活性酸素としての過酸化水素(H22)を生成させるためである。
2+2H++2e-→H22
なお、通常の燃料電池では、触媒として、白金(Pt)を用いている。この場合、以下の式に示すように、過酸化水素ではなく、水(H2O)が生成する。
2+4H++4e-→2H2
また、導電性炭素材料を用いる場合、炭素自体が触媒として機能するので、触媒を省略することもできる。また、触媒用としての炭素を、別途、カソード17を構成する導電性炭素材料に担持させることもできる。
また、一般的な燃料電池と同様に、カソード17の触媒層17aは親水性処理が施されており、ガス拡散層17bには疎水性処理が施されている。前者は、反応促進のためであり、後者は、反応により生成した水の排出を促進させるためである。
これにより、積極的に、臭気のうち、水溶性のものを触媒層17aに吸着させ、非水溶性のものをガス拡散層17bに吸着させることができる。
また、カソード17のガス拡散層17bにおいて、導電性炭素材料として用いるカーボンの表面に、酸性処理やアルカリ処理を施すこともできる。これにより、酸性処理にはアルカリ性のガスの、アルカリ処理では酸性のガスの吸着を促進させることができる。
また、アノード16およびカソード17の中間室19側に、撥水処理を施しておくことが好ましい。これは、アノード16およびカソード17により、電解質溶液21を保持するようになっているからである。すなわち、これにより、電解質溶液21がアノード16およびカソード17に浸透し、蒸発するのを抑制することができる。
撥水処理としては、例えば、アノード16およびカソード17を製造する際、アノード16およびカソード17を構成する材料に、撥水剤を混合する。撥水剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンオリゴマー(TFEO)、フッ化黒鉛((CF)n )、フッ化ピッチ(FP)などを用いることができる。
また、これら撥水剤は、触媒粒子の結着剤としても機能するので、上記したアノード16、カソード17を構成する成分と物理混合することで、ホットプレスによりシート状に成形して電極として用いることが可能となる。
電解質溶液21は、プロトン(水素イオン)伝導性を有する水溶液である。例えば、燃料電池の電解質として、一般的に用いられるリン酸(H3PO4)や、アルカリ水溶液を電解質溶液21として用いることができる。
ウォッシャー液タンク22は、車両にウィンドウの洗浄用として、一般的に搭載されているものである。ウォッシャー液タンク22中のウォッシャー液は、販売されている地域により、メタノールの含有率が異なるが、ウォッシャー液中には、通常、20〜50%のメタノールと、1〜2%の界面活性剤が含まれており、その残りが水である。このメタノールが本発明の水素供与体に相当する。
図1に示すように、ウォッシャー液タンク22には、ウォッシャー液の供給路23を介して、ポンプ部30が接続されている。ポンプ部30は、ポンプ31とメタノール透過部32とにより構成されている。ポンプ31は、バッテリ40からの給電により稼働する。メタノール透過部32は、メタノールの供給路33を介して、アノード室18の燃料入口11cと接続されている。
メタノール透過部32は、メタノールと水のみを透過するものである。メタノール透過部32としては、スルホン基を持つフッ素樹脂系イオン交換膜、例えば、ナフィオン(Du Pont社の登録商標)や、Dow膜(Dow Chemical社製)を用いることができる。また、その他に、多孔質系ゼオライト膜や多孔質系シリカ膜を用いることもできる。
なお、メタノール透過部32としては、これらに限らず、ウォッシャー液中の界面活性剤とメタノールとを分離できるものであれば、他のものを用いることもできる。
また、ウォッシャー液中に硫黄成分がなければ、メタノール透過部32を用いずに、ウォッシャー液をそのままアノード室18に供給することもできる。一般的には、空気浄化部10から高出力の電力を得る目的であればウォッシャー液から抽出したメタノールを用いることが望ましく、システムの構成要素の増設や付帯設備のエネルギを小さくする目的であれば、ウォッシャー液を直接水素源として利用することが望ましい。
次に、以上のように構成された車両用空気浄化システムによる空気浄化方法について説明する。車室内の空気浄化メカニズムは、(1)活性酸素の生成、(2)悪臭成分の吸着、(3)生成した活性酸素の排出、(4)活性酸素が排出される途中で吸着臭気物質と接触、(5)臭気の分解の5工程からなる。なお、(1)、(2)は、同じもしくは異なる時期に行われる。以下では、これらの工程に分けて説明する。
(1)まず、図1に示すように、ポンプ31によりウォッシャー液タンク22中のウォッシャー液がメタノール透過部32に送られる。そして、メタノール透過部32において、ウォッシャー液中のメタノールが抽出される。続いて、図3(a)に示すように、メタノールが燃料入口11cからアノード室18に供給される。
アノード室18にメタノールが供給されると、下記の反応式に示すように、メタノールがアノード16上で触媒反応することで、プロトンと、電子とが生成する。生成したプロトンは中間室19の電解質内を通り、また電子は外部回路を通って対極のカソード17に送られる。
また、カソード室20には、送風部12により、第1の空気経路14を通って、車室内の空気(臭気と酸素)が供給される。カソード室20に供給された空気中の酸素は、図3(b)に示すように、拡散により、カソード17のガス拡散層17bから触媒層17aに移動する。そして、下記の反応式に示すように、触媒層17a中の触媒上で、酸素が、アノード16で生成されたプロトンと電子と反応することで、活性酸素としての過酸化水素(H22)が生成する。
アノード:CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-
カソード:O2+2H++2e-→H22
(2)一方、カソード室20に供給された空気中の臭気は、図3(b)に示すように、酸素と同じように、ガス拡散層17b内を拡散によって移動し、ガス拡散層17bに吸着する。このとき、臭気の分子はガス拡散層17bの孔に物理的に吸着するが、ガス拡散層17bに酸性処理、アルカリ性処理等が施されていれば、臭気の分子はガス拡散層17bに化学的に吸着するため、吸着が促進される。
(3)(1)で生成した過酸化水素(液体)は、触媒層17aからガス拡散層17bへ排出される。
(4)、(5)この臭気に対して、過酸化水素が接触する。そして、ガス拡散層17bに吸着した臭気が、過酸化水素により、分解される。
このようにして、浄化された空気は、再度。送風部12により、第2の空気経路15を通って、車室内に戻される。したがって、本空気浄化システムにより、悪臭成分のないクリーンな空気が車室内に提供される。
以上説明したように、本実施形態の空気浄化装置では、浄化部11は、アノード16およびカソード17によって、アノード室18、中間室19、カソード室20に区画された3層構造となっており、中間室19に、電解質溶液21が導入されている。すなわち、浄化部11は、アノード16と17との間に電解質溶液21が配置された構造となっている。
そして、アノード室18にメタノールが供給され、カソード室20に車室内の空気が供給されることで、カソード17で過酸化水素が発生し、この過酸化水素により、カソード17に吸着した空気中の臭気が浄化されるようになっている。
この過酸化水素の生成反応では、外部からの給電が不要である。
また、本実施形態の空気浄化システムでは、過酸化水素の生成と同時に、発電をし、バッテリ40に蓄電している。このため、ポンプ31および送風部12が消費した電力を、浄化部11の自己発電によりバッテリ40に蓄電することができる。すなわち、空気浄化装置自身の維持電力を賄うこともできる。なお、本実施形態の空気浄化システムでは、初期動作(ポンプ部30および送風部12の稼働)のための給電のみ必要となる。
以上のことから、本実施形態の空気浄化装置によれば、一度、浄化部11にメタノールを供給すれば、その後は、外部からの給電を受けることなく、空気の浄化を行うことができる。
この結果、乗員が車両に搭乗する前に、あらかじめ車室内の空気浄化を行うことができる車両用空気清浄装置の実現が可能となる。
また、本実施形態では、貯蔵手段として、ウォッシャー液タンク22を利用し、さらに、メタノール透過部32を用いて、ウォッシャー液タンク22中のウォッシャー液からメタノールを抽出し、抽出したメタノールをアノード室18に供給するようにしている。
これにより、別途、専用のタンクを車両に搭載することを不要とすることができる。
(第2実施形態)
図4に、本実施形態における浄化部11の構成を示す。なお、図4では、図3(a)に示す浄化部11と同様の構成部に、図3(a)と同一の符号を付している。
図4に示すように、第1実施形態における浄化部(容器)11に対して、隔膜51を設けることもできる。隔膜51は、中間室19に配置されており、中間室19を、アノード16側の電解質溶液室19aとカソード17側の電解質溶液室19bとに区画するものである。
また、隔膜51は、プロトン伝導性を有し、かつ、過酸化水素の透過を抑制する材料により構成されている。例えば、リン酸、塩酸、硫酸、塩酸等の酸性電解質を支持体に含浸させたプロトン酸膜や、シリカ、アルミナ、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、ヘテロポリ酸等の固体電解質膜や、SrCeO3 、BaCeO3 系等のペロブスカイト型焼結体や、ポリスチレン・スルホン酸系あるいはフッ化炭素系重合体・スルホン酸系等のイオン交換高分子膜や、フッ素樹脂系のナフィオン(デュポン社の登録商票)膜などのイオン交換高分子膜等を、隔膜51として用いることができる。
このように、隔膜51により、中間室19を2つの電解質溶液室19a、19bに区画することで、カソード17側で発生した過酸化水素がアノード側に移動することを抑制することができる。
なお、過酸化水素がアノード16に異動した場合、アノード16の触媒によって、過酸化水素が分解反応して水になってしまう。これに対して、本実施形態によれば、過酸化水素のアノード16での分解反応を抑制することができる。この結果、隔膜51を有していない第1実施形態と比較して、過酸化水素の選択率および収率を向上させることができる。
(第3実施形態)
図5に、本実施形態における浄化部11の構成を示す。なお、図5では、図3(a)に示す浄化部11と同様の構成部に、図3(a)と同一の符号を付している。
第1実施形態では、浄化部11のアノード室18、中間室19、カソード室20が、水平方向に並んで配置されている場合を例として説明したが、本実施形態のように、重力方向において、上側から、アノード室18、中間室19、カソード室20の順となるように、これらを配置することもできる。すなわち、浄化部11を、カソード17がアノード16よりも重力方向の下側に位置するように、設置することもできる。
浄化部11をこのように設置することで、カソード17の触媒層17aで生成した過酸化水素を、重力により、満遍なくガス拡散層17b全体に行き渡らせることができる。すなわち、触媒層17aで生成した活性酸素を、重力を使って、偏ることなくガス拡散層17bを通過させることにより、ガス拡散層17bに吸着したすべての臭気を完全に分解することができる。
なお、カソード17の形状については、生成した過酸化水素が偏ることなく、ガス拡散層17bを通過する構造であれば、種々の形状とすることができる。
(第4実施形態)
図6に、本実施形態における浄化部11の構成を示す。図6は、カソード17を拡大した図であり、図3(b)に対応している。なお、図6では、図3(b)に示すカソード17と同様の構成部に、図3(b)と同一の符号を付している。
本実施形態のように、第1実施形態におけるカソード17(触媒層17a、ガス拡散層17b)に対して、低原子価の遷移金属52を担持させることもできる。このような遷移金属52としては、例えば、Fe(2価)、Ti(3価)、Cr(2価)、Cu(1価)がある。
このように、カソード17に上記した遷移金属52を持たせることで、図6に示すように、いわゆるHaber-Weiss機構による過酸化水素の分解により、ヒドロキシラジカル(OH・)を生成させることができる。ヒドロキシラジカルは、過酸化水素よりも高酸化力であるため、過酸化水素よりも、臭気を分解する能力が高い。
したがって、本実施形態によれば、上記した遷移金属52を有していない第1実施形態における空気浄化装置と比較して、臭気の分解能力(浄化能力)を向上させることができる。
なお、この過酸化水素の分解反応においても、バッテリからの給電は不要である。
(他の実施形態)
(1)上記した各実施形態において、アノード16とカソード17との間に電圧を印加することにより、過酸化水素の生成反応を加速させることもできる。これにより、電圧を印加しない場合と比較して、浄化能力を向上させることができる。
このとき、印加電圧としては、通常では、0.1〜10Vとし、特に0.2〜1Vとすることが好ましい。 また、温度条件としては、通常では、0〜100℃とし、特に10〜50℃とすることが好ましい。また、反応形式としては、回分的または連続的に行うことができる。
(2)上記した各実施形態では、貯蔵手段として、車両に通常搭載されているウォッシャー液タンクを用い、水素供与体として、ウォッシャー液中のメタノールを用いる場合を説明したが、貯蔵手段として、空気浄化装置専用の貯蔵タンクを用い、その貯蔵タンクにメタノールを貯蔵して、水素供与体として、直接メタノールを用いることもできる。
(3)上記した各実施形態では、水素供与体として、メタノールを用いる場合を例として説明したが、アノード16の触媒上でプロトンと電子を放出することが可能な化合物であれば、他の化合物を用いることができる。例えば、アルコール類、ハイドロキノン類、飽和炭化水素等を水素供与体として用いることができ、特に、アルコール類を用いることが好ましい。なお、水素を直接用いることもできる。
(4)上記した各実施形態では、電解質として電解質溶液(液体)を用いる場合を例として説明したが、電解質としては、液体に限らず、固体の電解質を用いることもできる。また、浄化部11は、燃料電池機構を活用した構造である。したがって、浄化部11の構造としては、一般的な燃料電池の構造と同様の構造とすることができる。
なお、駐車時での浄化を可能とするためには、常温域(例えば100℃以下)での駆動が望ましいため、浄化部11の構造を、リン酸型燃料電池や固体高分子型燃料電池、ダイレクトメタノール燃料電池と同様の構造とすることが望ましい。
また、電解質として固体高分子膜を用いた場合、カソード17で生成した過酸化水素により、腐食してしまい、耐久性に問題が生じる。したがって、過酸化水素に対する耐久性の観点から、電解質としては、液体の電解質を用いることが好ましい。
(5)上記した各実施形態では、空気浄化装置10を後部座席の後方に設置する場合を例として説明したが、その他に、トランク室、車室内のシートの下、エアコンのダクトの中などに、空気浄化装置10を設置することもできる。
(6)上記した各実施形態では、空気浄化装置10が発電した電力を、既存の車上電池(バッテリ40)に蓄電する場合を例として説明したが、別途専用の電池を車両に搭載し、その電池に蓄電することもできる。そして、その電池から送風部12やポンプ31に電力を供給することもできる。
また、電池に蓄電せずに、空気浄化装置10から直接、送風部12やポンプ31に電力を供給することもできる。また、空気浄化装置10から他の車載機器に電力を供給することもできる。
(7)上記した各実施形態では、アノード16、カソード17に直接、リード線41を接続する場合を例として説明したが、図示しないが、アノード16とカソード17の外側表面(例えば、電解質21側)に、集電用の金属メッシュを取り付け、金属メッシュにリード線41を接続させることもできる。
(8)上記した各実施形態では、アノード室18とカソード室20を設ける場合を例として説明したが、アノード室18とカソード室20を省略することもできる。この場合、一般的な燃料電池(例えば、ダイレクトメタノール型燃料電池)と同様に、アノード16にメタノール、カソード17に空気が供給される構造であれば良い。
本発明の第1実施形態における車両用空気浄化システムの構成を示す図である。 図1の空気浄化部10の構成を示す図である。 (a)は図2の浄化部11の内部構成を示す図であり、(b)は(a)中の破線で囲まれた領域Aの拡大図である。 本発明の第2実施形態における浄化部11の構成を示す図である。 本発明の第3実施形態における浄化部11の構成を示す図である。 本発明の第4実施形態における浄化部11のカソード17近傍の拡大図である。
符号の説明
10…空気浄化装置、11…浄化部、
12…送風部、13…送風路、
14…第1の空気経路、15…第2の空気経路、
16…アノード、17…カソード、
17a…触媒層、17b…ガス拡散層、
18…アノード室、19…中間室、
20…カソード室、21…電解質溶液、
22…ウォッシャー液タンク、30…ポンプ部、
31…ポンプ、32…メタノール透過部、
40…バッテリ、41…リード線、
51…隔膜、52…遷移金属。

Claims (5)

  1. アノード(16)と、カソード(17)と、前記アノード(16)および前記カソード(17)との間に配置された電解質(21)とを備え、
    前記アノード(16)側に水素供与体が供給され、前記カソード(17)側に車室内の空気が供給されることで、前記カソード(17)側に活性酸素を発生させ、前記活性酸素により、前記空気中の臭気を浄化するようになっており、
    前記電解質は、前記アノード(16)および前記カソード(17)により形成された中間室(19)中の電解質溶液(21)であり、
    前記中間室(19)は前記電解質溶液(21)を前記アノード(16)側と前記カソード(17)側に区画する区画部(51)を有し、前記区画部(51)は水素イオン伝導性であって、過酸化水素の透過を抑制する材料により構成されていることを特徴とする車両用空気浄化装置。
  2. 前記カソード(17)が前記アノード(16)よりも重力方向の下側に配置されていることを特徴とする請求項に記載の車両用空気浄化装置。
  3. 前記カソードは、低原子価の遷移金属(52)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空気浄化装置。
  4. 請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用空気浄化装置(10)と、ウォッシャー液タンク(22)とを備え、
    前記ウォッシャー液タンク(22)内におけるウォッシャー液中のメタノールを前記水素供与体として、前記アノード(16)側に供給するようになっていることを特徴とする車両用空気浄化システム。
  5. メタノールと水のみを透過する透過手段(32)を有し、前記透過手段(32)により、前記ウォッシャー液から抽出したメタノールを前記アノード(16)側に供給するようになっていることを特徴とする請求項に記載の車両用空気浄化システム。
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