JP2005074392A - 光触媒による炭化水素を含む気体の清浄方法と装置及び清浄空間 - Google Patents

光触媒による炭化水素を含む気体の清浄方法と装置及び清浄空間 Download PDF

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Abstract

【課題】 炭化水素を含む気体を効果的に分解・除去できる気体の清浄方法と装置及び清浄空間を提供する。
【解決手段】 処理空間内の炭化水素を含む気体の清浄方法において、該処理空間内の気体を発光ダイオードで光照射されている光触媒と温度変化させて生じる気流により接触させることとしたものであり、また、処理空間内1の炭化水素3を含む気体の清浄装置Aにおいて、該処理空間内の気体を接触させる光触媒4と、該光触媒表面に光照射する発光ダイオード5と、該処理空間内の気体を光触媒に接触させるための気流を生じさせる加熱源6とを備えたものであり、前記加熱源は、前記処理空間1リットル当り0.02〜2Wとすることがよく、さらに、該清浄空間には、該空間内の気体を冷却する冷却手段7を備えることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、空間の清浄方法及び装置に係り、特に炭化水素を含む気体の清浄方法と装置及び清浄空間に関する。
本発明の適用分野は、例えば、(1)半導体製造工程におけるウエハの汚染防止、(2)液晶製造工程におけるガラス基板の汚染防止、(3)精密機械製造工程における基材の汚染防止、である。
本発明の清浄方法及び装置、清浄空間の適用箇所の例としては、半導体製造工場、液晶製造工場、精密機械製造工場などにおけるクリーンルーム内の空間、例えば、安全キャビネット、クリーンボックス、貴重品の保管庫、ウエハ保管庫がある。また、別の適用分野としたは、民生における高級カメラ、レンズ、宝石等の高級品の保管庫、また、車、車両等の閉鎖空間がある。
本発明は、空気の他に、N、Ar等周知の気体の清浄化に好適に適用できる。
従来の技術を、半導体製造工場におけるクリーンルームの空気清浄を例にとり、以下説明する。
クリーンルームにおいては、微粒子(粒子状物質)や、自動車の排気ガスなどに起因する空気中のメタン以外の極低濃度の炭化水素(H.C)などのガス状物質が、汚染物質として問題となる。特に、H.Cは、ガス状有害成分として通常の空気(室内空気及び外気)中の極低濃度のものが汚染をもたらすので、除去する必要がある。
また、最近では、クリーンルームの構成材の高分子樹脂類からの脱ガスが、H.C発生源として問題となっている。すなわち、H.Cの起因として通常のクリーンルームでは、外気から導入されたH.C(クリーンルームでのフィルタでは、H.Cは除去できないので、外気中のH.Cは導入されてしまう)に、前記のクリーンルーム内で発生したH.Cが加わるので、外気に比べてクリーンルーム中のH.Cは高濃度となり、基材や基板を汚染する。
H.Cは、クリーンルームにおける作業で生じる各種の溶剤(アルコール、ケトン類など)も、濃度が高くなると汚染物質として問題となる。すなわち、上述の汚染物質(微粒子及びH.C)が、ウエハ、半製品、製品の基板表面へ付着すれば、微粒子では、基板表面回路(パターン)の断線や短絡を引き起こし欠陥を生じさせる。一方、H.Cは、基板とレジストとの親和性(なじみ)に影響を与える。そして、親和性が悪くなると、レジストの膜厚に悪影響を与えたり、基板とレジストとの密着性に悪影響を与える。このような原因により、これらの汚染物質は、半導体製品の生産性(歩留り)を低下させる。特に、ガス状有害成分としてのH.Cは、上述の発生起因により、また最近では省エネの観点で、クリーンルーム空気の循環を多くして用いるので、クリーンルーム中のH.C濃度は濃縮され、外気に比べかなりの高濃度となっており、基材や基板に付着し、該表面を汚染する。この汚染の程度は、基材や基板の接触角で表わすことができ、汚染が激しいと接触角が大きい。接触角が大きい基材や基板は、その表面に成膜しても膜の付着強度が弱く(なじみが悪い)、歩留まりの低下をまねく。
ここで、接触角とは、水によるぬれの接触角のことであり、基板表面の汚染の程度を示すものである。すなわち、基板表面に疎水性(油性)の汚染物質が付着すると、その表面は水をはじき返してぬれにくくなる。すると、基板表面と水滴との接触角は大きくなる。従って、接触角が大きいと汚染度が高く、逆に接触角が小さいと汚染度が低い。
従来のクリーンルームの空気を浄化する方法あるいはそのための装置には、大別して、
(1)機械的ろ過方法(HEPAフィルターなど)、
(2)静電的に微粒子の捕集を行う、高電圧による荷電あるいは導電性フィルターによるろ過方式(HESAフィルターなど)、がある。
これらの方法は、いずれも微粒子の除去を目的としており、メタン以外の炭化水素(H.C)のような、接触角を増大させるガス状の汚染物質の除去に対しては効果がない。
一方、ガス状の汚染物質であるH.Cの除去法としては、燃焼分解法、O分解法などが知られている。しかし、これらの方法は、クリーンルームヘの導入空気中に含有する極低濃度のH.Cの除去には効果がない。これらに対し、本発明者らは、基材又は基板表面の汚染を防止する方法及び装置として、上記接触角の増大を防止するために吸着材や吸収材などを用いる方法及び装置をすでに提案した(特許第2582706号、特許第3320730号各公報)。
これらの方法及び装置では、H.C除去に吸着材や吸収材を用いるいるので、次のような問題点があった。
(1)被清浄気体の流動化にファンが必要なため、ファンから(二次)汚染物が発生する、(2)H.C種類によってはH.Cの吸着特性により吸着表面で置き換え現象があるので、後方へ放出(流出)する、(3)上記のような高清浄化(空間)には原理的に無理がある、(4)吸着、蓄積のため短ライフであり、このため廃棄物が発生(地球環境問題)する。
そこで、本発明者は、新規方式として、下記の光触媒による炭化水素除去手段を用いる清浄化方法及び装置を提案した。この方法での装置は、適用分野によっては有効であるが、実用性向上のために一層の改善を行う必要がある。また、適用先によっては、より効果的な方式に改善を行う必要があった。
上記光触媒の利用では、該触媒への光照射を紫外線ランプ、例えば、棒状ランプで行うため、次のような問題点があった。(1)光触媒への光照射が不均一(平面に対して照射光量が不均一)なため、除去性能にむらがあり、過剰設計が必要となる。(2)ランプからの光は、放射状に放出されるので、適正運転に対して設計に限界がある。(3)コンパクト化に限界がある。(4)ランプ寿命は、通常5,000〜8,000時間(1年以内)程度のため保守が煩雑で実用に難がある。(5)電源回路等、全体システムが大型化する。
特許第2863419号公報 特許第2991963号公報
そこで、本発明は、上記の先行技術の問題点を解消し、光触媒による光照射を発光ダイオード(Light−emiting diode、以下LED)を用いて行い、炭化水素を含む気体を効果的に除去(分解)する方法及び装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明では、処理空間内の炭化水素を含む気体の清浄方法において、該処理空間内の気体を、発光ダイオードで光照射されている光触媒と、該気体の一部を温度変化させて生じる気体が流れにより接触させることを特徴とする気体の清浄方法としたものである。
また、本発明では、処理空間内の炭化水素を含む気体の清浄装置において、該処理空間内の気体を接触させる光触媒と、該光触媒表面に光照射する発光ダイオードと、該処理空間内の気体を光触媒に接触させるための気流を生じさせる加熱源とを備えたことを特徴とする気体の清浄装置としたものである。
前記清浄方法において、加熱源は、出力が処理空間の容積1リットル当り0.02〜2Wとするのがよく、前記発光ダイオードは、有機物を発生しない材料で設置するのがよい。
さらに、本発明では、気体の清浄装置により、前記処理空間内の気体が清浄化されたことを特徴とする清浄空間としたものである。
前記清浄空間は、該空間内の気体を冷却する冷却手段を備えることができる。
本発明によれば、次のような効果を奏することができた。
(1)H.Cを含む気体の浄化において、処理空間内あるいは隣接した位置に、光触媒、光照射するLED、及び処理空間容積1L当り0.02〜2Wの加熱源の設置を行うことにより、
(a)処理空間内に、処理空間中のH.Cが光触媒により効果的に分解・除
去される気流が生じ、H.Cが高効率で分解・除去された。
(b)LEDは、光触媒に対向して配置できるので、放射光が対向する光触媒
に照射光量が大となり、光触媒が高効率に使用できた。
(2)加熱源からの熱量が、処理空間の天井及び壁面からの放熱量よりも多い場合、処理空間の天井及び/又は壁面の一部に冷却手段を設けることにより、処理空間上下間に、一定の温度差が保持できるので、処理空間内にH.C除去に効果的な気流ができ、H.Cが高効率に除去できた。
(3)LEDの設置を有機物を発生しない材料で行うことにより、LED設置材料からの発生ガスがなくなったので、高清浄気体が得られた。
(4)清浄化に気体流動化用ファンを必要とする吸着材や吸収材を用いないので、
(a)ファン(気体流動化部)からの二次汚染物の発生がない。
(b)H.Cが分解・除去される(吸着材や吸収材のように蓄積・捕集されな
い)ので、ライフが長く、廃棄物発生の問題がない。
(c)上記により、信頼性の高い清浄方式となった。
(5)光源としてLEDを用いたので、従来のランプが5,000〜8,000時間(1年以内)のライフに比較し、5万時間(5年以上)に長持ちした。また、電源回路が小型化した。即ち、実用性が向上した。
(6)要求性能によっては、粒子除去を組合せ(併用)することにより、
(a)ガスと粒子の同時除去が可能となった。
(b)上記により、利用分解・用途が広がった。
(7)本発明の構成を一体化(ユニット化)することにより、清浄化装置が小型化されるので、清浄空間の任意の場所に設置できた。
(a) 保守性が簡易になるので実用性が向上した。
(b) 本発明の利用分野、用途が広がった。
本発明は、光触媒を用いる気体の清浄化研究において、次の5つの発見から発明に至った。
(1)H.Cを含む空間中の気体は、該空間に光触媒に対向してLEDをを設置し、空間の光触媒下方部に、処理空間容積L当り、0.02〜2Wの加熱源を設置するとファンレスで効果的に清浄化される。
(2)すなわち、前記加熱源設置により、処理空間の気体は、空間内を効果的に流動化する。これにより、該気体は、LEDからの光が照射された光触媒部を順次通過するので、H.Cを含む気体は、順次分解処理され清浄化される。この加熱による1ワット(W)当りの清浄化気体の流量は、1〜10L/minであるが、実用上は、加熱源位置、形状、流路における熱バランス等によるロスがあるので、1〜6L/minである。好適な加熱源大きさ(W数)は、処理空間の大きさ、要求除去速度等で決めることができる。
(3)処理空間への入熱に対して、該空間の天井や壁面からの放熱が少ない場合、すなわち、処理空間に熱が蓄積される場合は、処理空間の天井や壁面の1部にペルチェ素子、熱交換器等の冷却手段を設置すると、効果的な清浄化が実施される。例えば、材料がプラスチックである処理空間において、H.C除去速度を早くすべく、自然の放熱量に対して加熱源からの入熱量が多い場合は、上記のごとく、壁面に冷却手段を取付けると効果的な清浄化ができる。
(4)半導体のクリーンルームのごとく、極低濃度H.Cが問題になる場合は、LEDの設置を有機物を含有しない材料で行うことが清浄空間創出に重要である。
(5)気体の清浄化では、NHのような塩基性ガス、NOx、SOx、HCl、HFのような酸性ガスは、フィルタ上に中和反応等で固定化されるので効果的に捕集できる。一方、H.Cはフィルタで捕集されると、炭化水素の種類により吸着特性によってフィルタから流出するので(置き換え現象)、長時間の効果的捕集は困難である。これに対し、光触媒は、H.CをCO、HOのような低分子量ガスに分解するので長時間高効率で除去できる。従って、光触媒と塩基、酸性ガス捕集フィルタを組合せると、多種類の有害成分の効果的除去が可能となり、用途によっては実用効果が大きい。
次に、本発明の構成部を詳細に説明する。
LED(発光ダイオード)は、後述する光触媒を照射し、光触媒が光触媒作用を発揮するものであれば何れでもよい。
LEDの出力は、0.1mW/cm以上のものが実用上の効果から好ましい。通常0.1〜20mW/cm、好ましくは0.5〜5mW/cmであるが、用途、要求性能、装置形状、規模等で適宜予備試験を行い決めることができる。
光触媒は、前記LEDからの光照射により、光触媒作用を発揮するもので、H.Cを低分子量ガス(例、CO、HO)に分解できるものであれば何れでもよく、LEDに対向した位置(LEDからの光が効果的に照射される位置)に設置される。
通常光触媒は、半導体材料が効果的であり、容易に入手でき、加工性も良いことから好ましい。効果や経済性の面から、Se,Ge,Si,Ti,Zn,Cu,Al,Sn,Ga,In,P,As,Sb,C,Cd,S,Te,Ni,Fe,Co,Ag,Mo,Sr,W,Cr,Ba,Pbのいずれか、又はこれらの化合物、又は合金、又は酸化物が好ましく、これらは単独で、また2種類以上を複合して用いる。
例えば、元素としては、Si,Ge,Se、化合物としては、AlP,AlAs,GaP,AlSb,GaAs,InP,GaSb,InAs,InSb,CdS,CdSe,ZnS,MoS2 ,WTe2 ,Cr2 Te3 ,MoTe,Cu2 S,WS2 、酸化物としては、TiO2 ,Bi23 ,CuO,Cu2 O,ZnO,MoO3 ,InO3 ,Ag2 O,PbO,SrTiO3 ,BaTiO3 ,Co34 ,Fe23 ,NiOなどがある。
また、光触媒作用の向上のために、上記光触媒材に、Pt,Ag,Pd,KOH,RuO2 ,Co34 の様な物質を加えて使用することもできる。該物質の添加は、光触媒によるH.C分解作用が促進されるので好ましい。これらは、一種類又は複数組合せて用いることができる。通常、添加量は、光触媒に対して0.01重量%〜1.0重量%であり、適宜添加物質の種類や要求性能などにより予備実験を行い、適正濃度を選択することができる。添加の方法は、含浸法、光還元法、スパッタ蒸着法、混練法など周知手段を適宜用いることができる。
光触媒の固定は、光触媒を板状、綿状、線状、網状、ハニカム状、膜、シート状あるいは繊維状などの適宜の材料にコーティングすることで使用できる。例えば、上記形状のセラミック、フッ素樹脂、ガラス材に、ゾルーゲル法、焼結法、蒸着法、スパッタリング法などの周知の付加手段を適宜に用いて行うことができる。例として、ガラス材やアルミナ板へのTiOのゾルーゲル法による付加がある。
また、LED表面への光触媒の付加(被覆)がある。LED表面への光触媒の付加は、一体化によりコンパクトされるので、適用先、要求仕様によっては好ましく、適宜使用できる。
LED表面への光触媒の固定法は、ゾルーゲル法、焼結法、蒸着法、スパッタリング法などの周知の付加手段を適宜に用いて行うことができる。この場合の付加の厚さは、光触媒が光源からの光を吸収し、表面の光触媒か、活性化すれば良いので、薄膜状でLEDの光が光触媒表面に到達する程度の厚さで良い。そして、好適な薄膜の厚さは、用いる光触媒の種類(光の透過性)、LED種類(波長)、出力などにより、適宜予備実験を行い決めることができる。
通常、薄膜の厚さは10〜500nm、好ましくは20〜100nmである。光触媒の設置面積は、本発明の利用先が、ボックスのような実質的に密閉空間である場合は、処理空間の容積1m当り、10cm以上の表面積の光触媒を設置することで、該空間中の炭化水素は、順次光触媒に接触し、効果的に分解される。特に、該空間への光触媒の設置は、密閉空間の容積1m当り、50cm以上の表面積で効果的であり、面積が広い程、効果的であるが、コスト、維持、管理、効果などを考慮すると、面積の広さには限界があり、実用上の面積は、通常50〜50000cm、好ましくは100〜10000cmの範囲である。
光触媒の設置場所は、密閉空間の壁面部や天井部にLEDに対向して1又は数個所設置すればよい。光触媒の設置場所やその設置面積は、用途、設置形状、規模、要求性能、光触媒やその固定化方法、LEDの種類や光の照射方法などにより、適宜予備試験を行い決めることができる。
本発明の半導体、液晶工場のような先端分野への応用では、本発明により、H.Cのうち、非メタン炭化水素を0.2ppm以下、好ましくは0.1ppm以下まで除去すると、ウエハ等の基板へ悪影響を及ぼすH.Cが除去されるので、実用上効果的である。即ち、H.C(メタンと非メタン炭化水素)のうち、非メタン炭化水素が活性が大きいので、これを指標とすることができる。これは、空気中のH.C成分は、数百種あるいは数千種以上の成分の混合物と言われていて、このような多種数のH.C成分のうち、接触角の増大にどの成分がどの程度関与するのか不明なためである。また、基板は種類によって表面状態が異なるので、影響を受けるH.Cは、基板の種類により異なると考えられるが、それらの対応関係は不明である。そのため、光触媒による接触角の増大を防止する機構についての詳細は、不明な点が多いが、次のように考えられる。接触角の増大は、H.C成分のうち特に分子量の大きい物質や活性の高い物質の影響が大きいと推定され、これらが光触媒の作用によって効果的に分解されるものと考えられる。
半導体、液晶工場クリーンルームにおいて、ウエハや液晶基板に悪影響を与える(接触角増加をもたらす)成分は、極低濃度しか存在しないフタル酸エステル(例、DOP、DBP)のような分子量の大きいH.Cであるが、上記のごとく、非メタン炭化水素濃度を指標として、0.2ppm以下、好ましくは0.1ppm以下まで除去すると、上記基板に悪影響を与えるH.Cは効果的に除去される。
すなわち、通常のクリーンルームにおける基板表面の接触角を増加させるH.Cで共通して言えることは、高分子量のH.Cが主であり、その構造として−CO、−COO結合(親水性を有する)を持つことである。このH.Cは、親水部(−CO、−COO結合部)を有する疎水性物質(H.Cの基本構造のC−C−の部分)と考えることができる。具体例で説明すると、通常のクリーンルームにおけるガラス基板などの基板の表面の接触角を増加させるH.Cは、C16〜C20の高分子量H.C、例えばフタル酸エステル、高級脂肪酸フェノール誘導体であり、これらの成分に共通することは化学的構造として、−CO、−COO結合(親水性を有する)を持つ。これらの汚染をもたらすH.Cの起因は、高分子製品の可塑剤、離型剤、酸化防止剤などであり、高分子製品の存在する個所が発生源である(「空気清浄」第33巻、第1号、p16〜21、1995)。
光触媒によるこれらH.Cの処理メカニズムの詳細は不明であるが、次のように推定できる。すなわち、これらのH.Cは、−CO、−COO結合の部分がウエハやガラス表面のOH基と水素結合し、その上部は疎水面となり、結果としてウエハやガラス表面は疎水性になり、接触角が大きくなり、その表面に、成膜すると膜の付着力は弱い。H.Cが存在する雰囲気に光触媒を設置すると、先ず、光触媒に、ウエハやガラス表面と同様にH.Cがその表面に吸着し、次いで、その活性部である−CO、−COO結合部及びH.Cの基本構造部が、光照射された光触媒の作用で低分子量の別の安定な形態に変換される。その結果として、H.Cは安定な形態となり、ウエハやガラス基板上には付着しないか、又は付着しても疎水性を示さない(基板に悪影響を及ぼさない)。
次に、加熱源について説明する。
加熱源は、設置により処理空間の気体をファンレスで流動化させるので、これにより、処理空間のH.Cを含む気体は、順次LEDからの光が照射された光触媒設置部に供給され、処理される。
加熱源は、上記流動化を引き起こすものであればよく、周知の加熱源を上記光触媒取付部下方に取付けることで効果的な流動化が得られる。
このような、加熱源として、例えば、電熱ヒーター、ランプ、熱交換器、ヒートパイプがある。これらは、設置の規模によって選択できる。例えば、小型装置は電熱ヒーター、ランプが好適である。発生流量は、加熱源種類、設置方法や位置、装置構造(圧損の程度等)により決まるが、本発明者の検討では、実用上、熱源1W当り、1〜6L/min(L:循環流量、W:加熱源の熱としての電力)である。
即ち、加熱源出力の大きさは、要求仕様(用途における処理空間容積L、H.C除去速度等)が決まれば、1W当りの発生清浄気体の流量:1〜6L/minから決めることができ、本発明の特徴である。加熱源(W)が小さいと、H.C除去速度が遅くなる。一方、大きすぎると冷却器が大型化し、実用的ではない。適正な加熱源の大きさは、実用上の効果から、被処理空間容積L当り、0.02〜2W、好ましくは0.1〜0.5Wである。この様な熱源は、被処理空間の大きさ、要求仕様(除去速度)、装置形状により1台あるいは複数台を異なる場所に設置し使用できる。熱源の設置台数、位置は、予備試験を行い決めることができる。
次に、冷却手段について説明する。冷却手段は、上記加熱源により加熱された気体を冷却し、H.C除去を効果的に行うもので、冷却が効果的に行える位置であれば何れでもよく、処理空間の適宜な位置、例えば、天井部、側面壁部に取り付けることができる。
冷却手段は、上記のごとくして加えられた入熱(W)を冷却することにより、処理空間における清浄化を、効果的に行う場合に付設して用いる。例えば、要求仕様において、除去速度を早くすべく(処理空間の天井や壁面からの放熱量に比較して)入熱量を多くする場合は、処理空間の温度が上昇してしまう。この様な場合に冷却手段の設置を行う。これにより、処理空間において適切な温度差(例、室温に対して、5〜10℃高い温度差)ができるので、気体の循環が安定に維持され、効果的なH.C除去が長時間安定して行える。
冷却手段における冷却は、処理空間材質や環境条件(例気流の程度)等により影響される放熱量を試算し、入熱量(加熱源大きさ)と差し引きすることにより、必要冷却量を決めることができる。
また、処理空間に高温物品が収納される場合は、適正な温度(例、空間の上下に5〜10℃の温度差)に冷却、維持することにより、高温物品が汚染防止される処理空間が得られる。
この様な冷却手段の設置は、一般に、処理空間の材質が金属材(例、SUS,Al)の様に熱伝導率(放熱作用)が大の場合は、冷却は小容量で良いが、プラスチック(例、ポリカーボネイト、フッ素樹脂)の様に熱伝導率が小の場合は、天井や壁面に、冷却手段として予め熱伝導率大の材料、例えば、金属材を設置し、その面を介して冷却すると効果的である。
冷却手段は、上記目的が達成できるものであれば、何れでも良く、周知方式が利用できる。この様な冷却手段として、例えば、ペルチェ素子、熱交換器、冷凍器、冷却塔、ファンコイルユニットがある。
冷却手段(装置)は、装置の大きさ、仕様等で決めることができるが、ペルチェ素子は、小型のため、小規模装置の冷却に好適に使用できる。また、ペルチェ素子は、冷却用ファンの付設により、冷却能力が向上するため、用途によっては好ましい。
上記加熱源、冷却手段の種類、出力、位置、形状は、用途、要求仕様、処理空間の材質と大きさ、形状、経済性等から適宜予備試験を行うことで決めることができる。
上記の加熱と冷却は、通常、清浄空間の下部が室温程度に対し上部は、用途、要求性能等により5〜15℃、好ましくは10℃以下の差となる様に設定する。即ち、高すぎる温度の設定は、処理空間等の材料からの発生ガスが問題になるので好ましくない。温度は、用途、要求性能、材料等から適宜予備試験を行い、決めることができる。
次に、LEDの設置材料について説明する。
密閉空間での清浄化では、プラスチック(例、フェノール樹脂)上にLEDを固定すると、LED周辺からの発熱により、プラスチックから発生ガス(高分子量のH.C)が生じ、汚染を引き起こす。
そこで、要求性能、LED種類、用途等によっては、LEDの固定化基板を有機物を発生しない材料とする。この様な材料は、発生ガスがなく、LEDを固定できるものであれば何れでも良く、紙、ガラス、セラミックス、金属がある。この内、紙は軽量で加工が容易なことから好ましい。
上記は、光触媒によるガス汚染物質のH.C除去についてであるが、用途によっては、ガス汚染物質と粒子状物質(微粒子)の同時除去が必要である。この様な場合は、圧損の少ない周知の微粒子除去手段を組み合わせて用いることができる。
この様な微粒子除去手段として、イオン交換繊維(特公平5−9123号公報)、電極材、エレクトレット材、本発明者がすでに提案した光電子を用いる荷電、捕集方式(例、特公平6−74909号、特公平8−211号、特許第3139590号各公報)を適宜用いることができる。
次に、光電子を用いる方式を説明する。この方式は、光電子放出材に紫外線照射を行い、光電子を発生させ、該光電子により微粒子を荷電して、荷電微粒子を捕集材を用いて捕集することにより微粒子を除去するものである。
この方式の構成について夫々説明する。光電子放出材は、紫外線照射により光電子を放出するものであれば何れでも良く、光電的な仕事関数が小さなもの程好ましい。効果や経済性の面から、Ba,Sr,Ca,Y,Gd,La,Ce,Nd,Th,Pr,Be,Zr,Fe,Ni,Zn,Cu,Ag,Pt,Cd,Pb,Al,C,Mg,Au,In,Bi,Nb,Si,Ti,Ta,U,B,Eu,Sn,P,Wのいずれか又はこれらの化合物又は合金又は混合物が好ましく、これらは単独で又は2種以上を複合して用いることができる。複合材としては、アマルガムの如く物理的な複合材も用いうる。
例えば、化合物としては酸化物、ほう化物、炭化物があり、酸化物には、BaO,SrO,CaO,Y,Gd,Nd,ThO,ZrO,Fe,ZnO,CuO,AgO,La,PtO,PbO,Al,MgO,In,BiO,NbO,BeOなどがあり、またほう化物には、YB,GdB,LaB,NdB,CeB,EuB,PrB,ZrBなどがあり、さらに炭化物としては、UC,ZrC,TaC,TiC,NbC,WCなどがある。
また、合金としては、黄銅、青銅、リン青銅、AgとMgとの合金(Mgが2〜20wt%)、CuとBeとの合金(Beが1〜10wt%)及びBaとAlとの合金を用いることができ、上記AgとMgとの合金、CuとBeとの合金及びBaとAlとの合金が好ましい。酸化物は、金属表面のみを空気中で加熱したり、或いは薬品で酸化することによっても得ることができる。さらに、他の方法としては、使用前に加熱し、表面に酸化層を形成して長期にわたって安定な酸化層を得ることもできる。この例としては、MgとAgとの合金を、水蒸気中で300〜400℃の温度の条件下で、その表面に酸化膜を形成させることができ、この酸化薄膜は長期間にわたって安定なものである。
また、本発明者らが、すでに提案したように、光電子放出材を多重構造としたものも好適に使用できる(特許第2877449号公報)。また、適宜の母材上に薄膜状に、光電子を放出し得る物質を付加し、使用することもできる(特許第2877487号公報)。
この例として、紫外線透過性物質(母材)としての石英ガラス上に、光電子を放出し得る物質として、Auを薄膜状に付加したものがある(特公平7−93098号公報)。光電子放出材を母材に付加して使用する場合は、本発明者らがすでに提案しているように、導電性物質の付加を併せて行い用いることができる。(特許第2598730号公報)。
これらの材料の使用形状は、棒状、線状、格子状、板状、プリーツ状、曲面状、円筒状、金網状等の形状が、使用でき紫外線の照射面積の大きな形状のものが良い。
光電子放出材への光照射源は、該照射により光電子放出材から光電子放出されるものであれば何れでも良く、上記LEDも好適に利用できる。光触媒照射用LEDは、LEDからの光で、光触媒によるH.C分解用及び光電子放出材からの微粒子荷電のための光電子放出用として、すなわち設置LEDが複合的(ガス除去用と微粒子除去用)に利用できるので、用途によっては小型化されるので好ましい。
次に、光電子放出材及び電場用電極の位置や形状について述べる。光電子放出材及び/又は電極は、微粒子の存在する空間の適宜の位置の空間の1部分に、電極と光電子放出材の間に電場が形成できるように設置され、光電子放出材(−)と電極(+)間に電場(電界)を形成する。該電場により、光電子放出材から光電子が効率よく放出される。光電子放出材及び電極の位置や形状は、装置の規模や微粒子捕集装置のタイプなどにより適宜に選択でき、電場のための印加電圧が低くできて、光電子放出材からの光電子が空間中で微粒子に効果的に電荷を与え、荷電微粒子が効果的に捕集できれば何れでもよい。
荷電微粒子の捕集材(集じん材)は、荷電微粒子が捕集できるものであれば何れでも使用できる。通常の荷電装置における集じん板、集じん電極等各種電極材が好適に使用できる。
上記の汚染物除去のための各構成部は、処理空間の内部、片側、あるいは処理空間に隣接した位置に、一式、あるいは複数個数を、空間の大きさ、要求仕様により、適宜設置することで効果的な清浄化が達成できる。なお、ここで、処理空間に隣接した位置とは、本発明の特徴である熱源による加熱により、被処理気体が光触媒部に順次供給できる場所をさす。
例えば、後述のごとく本発明の構成を一体化(ユニット)して使用する場合は、処理空間に隣接して該ユニットを設置し、これらに開口部を設け、構成することにより本発明の清浄化が達成される。
次に、用途、要求性能によっては、H.C除去に、NHの様な塩基性ガス、NO,SO,HCl,HFの様な酸性ガス(有害ガス)の捕集・除去を組合せて行うことができる吸着材について説明する。この様な吸着材としては、活性炭(繊維状)、イオン交換繊維が好適である。活性炭としては、捕集成分(対象ガスの種類)、或いはイオン交換繊維を組み合わせる方法などにより、適宜、酸やアルカリの添着炭を用いることができる。上記吸着材の形状は、適宜の形状で用いることができるが、一般に繊維状、網状、ハニカム状が圧力損失が少ない形状であることから好ましい。イオン交換繊維は、ガス状有害成分として、気体中のNH、アミンのような塩基性物質や、SO、NO、HF、HClのような酸性物質などのイオン性汚染物質の捕集・除去に効果的である。
これは、天然繊維もしくは合成繊維、又はこれらの混合体等の支持体表面に、陽イオン交換体もしくは陰イオン交換体又は陽イオン交換基と陰イオン交換基を併有するイオン交換体を支持させたものであり、その方法としては、繊維状の支持体に直接支持させてもよく、織物状、編物状又は植毛状の形態にした後、これに支持させることもできる。また、ハニカム状母材に、イオン交換体を支持させてもよい。いずれにしても、最終的にイオン交換体を支持した繊維状のような圧損の少ない形状となっていればよい。
イオン交換繊維の製法として、グラフト重合、特に放射線グラフト重合法を利用して製造したイオン交換繊維が好適である。種々の材質及び形状の素材を利用することができるからである。さて、前記天然繊維としては、羊毛、絹等が適用でき、合成繊維としては、炭化水素系重合体を素材とするもの、含フツ素系重合体を素材とするもの、或いはポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、セルロース、酢酸セルロースなどが適用できる。
前記炭化水素系重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン等の脂肪族系重合体、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等の芳香族系重合体、ポリビニルシクロヘキサン等の脂環式重合体、或いはこれらの共重合体が用いられる。
また、前記含フッ素系重合体としては、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体等が用いられる。
いずれにしても、前記支持体としては、ガス流との接触面積が大きく、抵抗が小さい形状で、容易にグラフト化が行え、機械的強度が大で、繊維くずの脱落、発生や熱の影響が少ない材料であればよく、使用用途、経済性、効果等を考慮して適宜に選択できるが、通常、ポリエチレンが一般的であり、ポリエチレンやポリエチレンとポリプロピレンとの複合体が特に好ましい。
次に、前記イオン交換体としては、特に限定されることなく種々の陽イオン交換体又は陰イオン交換体が使用できる。例えば、カチオン交換の場合を例にとると、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基などの陽イオン交換基含有体、第一級〜第三級アミノ基、第四アンモニウム基などの陰イオン交換基含有体、或いは上記陽及び陰両者のイオン交換基を併有するイオン交換体が挙げられる。
具体的には、前記繊維上に、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニルベンゼンスルホン酸、スチレン、ハロメチルスチレン、アシルオキシスチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン等のスチレン化合物、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルイミダゾール、アクリロニトリルをグラフト重合させた後、必要に応じ硫酸、クロルスルホン酸、スルホン酸などを反応させることによリ、陽又は陰イオン交換基を有する繊維状イオン交換体が得られる。
また、これらのモノマーは、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ブタジエン、エチレングリコール、ジビニルエーテル、エチレングリコールジメタクリレート、などの2個以上の2重結合を有するモノマーの共存下に、繊維上にグラフト重合させてもよい。このようにして、イオン交換繊維が製造される。イオン交換繊維の直径は、1から1000μm好ましくは5〜200μmであり、繊維の種類、用途等で適宜決めることができる。
これらのイオン交換繊維の内、陽イオン交換基と陰イオン交換基の用い方は、対象処理気体中の被除去成分の種類や濃度によって決めることができる。例えば、被除去成分を予め測定・評価し、それに見合うイオン交換繊維の種類と量を用いればよい。アルカリ性ガスを除去したい場合は、陽イオン交換基(カチオン交換体)を有するもの、また、両者の混合ガスでは、陽と陰の両者の交換基を有する繊維を用いることができる。
放射線グラフト重合による製造は、製品に近い形状でできること、室温でできること、気相でできること、グラフト率大にできること、また、薬品を使用しないで気相でグラフトを行うので、不純物を含まず純粋吸着フィルタができることなどから効果的である。このため、次のような特徴を有する。
(1) 放射線照射によるグラフト重合で製造したイオン交換繊維には、イオン交換体(吸着機能の部分)が均一に付加密度が高く付加するので、吸着速度が早く、かつ吸着量が多い。
(2) 特に、アンモニア、アミン、有機酸(脂肪酸)系の成分の捕集に優れている。これらの成分は人や家畜(ペット)から発生し、極低濃度でも臭気があるが、本フィルタはこれらのガスを臭気が感じなくなるまで捕集できるので実用上有効である。
(3) 乾燥しても、微粒子等のそれ自身からの発生物質が少なく劣化しない。
(4) 流動抵抗が少ない。
また、光触媒によるH.C除去において、気体中にNOやSOを含む場合、光触媒による酸化作用によりNOはNOや硝酸、SOは硫酸に変化し、長時間運転では光触媒への付着による性能低下を迎く。この様な場合、光触媒の近傍に、上記有害ガス吸着体を設置すると、長時間安定運転ができるので、用途、仕様、装置規模等によっては使用すると効果的である。
例えば、H.Cに共存する気体中に、NOやSO濃度が高い場合に使用すると効果的である。
上記発明の構成を一体化(ユニット)すると、保守性が簡易になることから、用途によっては好ましい。
実施例1
図1は、本発明の清浄装置を半導体製造工場におけるウエハ保管庫に適用した断面構成図である。
ウエハ保管庫1は、クラス10000のクリーンルームに設置され、ウエハ2は、保管庫1に収納することにより、ガスと粒子汚染から保護(汚染防止)される。
ウエハ保管庫1は、保管庫1中のH.C3の分解除去のための光触媒4と、該光触媒4に光照射を行うLED5、保管庫1内にファンレスで気流発生させるための加熱源(ヒータ)6、保管庫1の温度を一定以下に冷却維持するための冷却器(ペルチェ素子)7、保管庫1中粒子状物質(粒子)8を捕集除去のための電極材9より構成される。
保管庫1は、ヒータ6による入熱により、保管庫内上下に温度差、特に、汚染物質除去部A上下に顕著な温度差が生じ、それにより気流10−1、10−2が発生し、保管庫1中の汚染物としてのH.C3及び粒子8は、順次、ヒータ6、光触媒4、LED5、電極9から成る汚染物質除去部Aに移動し、汚染物除去(清浄化)が行われる。11は、ウエハキャリアである。
すなわち、H.Cは、気流10−1、10−2により汚染物質除去部AのLED5からの光照射により光触媒作用を有する光触媒4により、ウエハ2に無害なCO、HOのような低分子量の無害ガスに処理される。また、粒子8は、電極9で捕集除去される。この様に、清浄空間Bに隣接して汚染物質除去部Aを設置することで、保管庫1内は超清浄空間Bが創出される。
この様にして、保管庫中のH.C(初期濃度;非メタン炭化水素;0.8〜1.0ppm)は、0.1ppm以下に、また、粒子(初期濃度;クラス1000)はクラス100以下まで捕集・除去され、保管庫1内は、高清浄空間が保持され、ウエハ2を収納しておくと、ウエハ表面は汚染防止される。
なお、ここでの初期濃度は、クリーンルームにおける濃度、クラスは、粒径0.1μm粒子の1ft中の粒子個数を示す。
実施例2
図1に示した保管庫を用い、クリーンルームの空気からH.C除去と粒子除去を行い、保管庫におけるH.C及び粒子除去について調べた。
上記保管庫による汚染物(H.C,粒子)除去にあたっては、保管庫のおける加熱源の熱量及び放熱に必要な冷却量等について調べた。
また、長時間運転を行い、性能の安定性を調べた。
試験条件
(1)ウエハ保管庫の大きさ(容積);100L
(2)同上の材質;SUS,ポリカーボネート(PC)
(3)加熱源;ヒータ
(4)冷却器;ペルチェ素子
(5)光触媒;SUSにTiOを被覆
(6)LED;波長380nmを有する強度0.9mW/cmのダイオード
(7)クリーンルーム空気;(a)非メタン炭化水素濃度(H.C):0.8pp

(b)粒子濃度:クラス1000
(8)汚染物測定方法;非メタン炭化水素:GC法、接触角法
粒子:パーティクルカウンタ
なお、汚染物除去の測定は、保管庫作動30分後に行った。
結果
(1)H.Cを80%以上除去に必要な加熱源の熱量
(a) ヒータにより1W,2W,5W,10W,50W,100W,200W,の熱量を加え、30分間運転後の保管庫内のH.Cを測定した。
表1に結果を除去率で示す。
Figure 2005074392
保管庫はSUS製を用いた。
表1から、2W(容積L当り0.02W)以上で、80%以上の除去率が得られることがわかる。
通常、保管庫における清浄化は、被清浄空間容積の2倍以上の清浄空気による置換が必要である。実施例では、保管庫の容積が100Lに対して、2W以上の熱量で200L以上の清浄空気が得られるため、被清浄空間を清浄空気で2回以上置換できるため80%以上の除去率が得られると考えられる。例えば、2Wの熱量では、清浄空気の生成速度は10L/minであり、30分間では300Lの清浄空気が得られる。
なお、上記において、SUS製保管庫の放熱は後述検討のごとく、40W(程度)であることから、50W以上の加熱源を使用の場合は、入熱量を冷却するペルチェ素子を用いて行った。
(b) 上記において、ヒータ1W,2W,5Wの場合、30分運転後の保管庫内の粒子濃度を測定した。
表2に結果を示す。
Figure 2005074392
表2から、2W以上で粒子除去が効果的であることが分かる。
(c)上記において、ヒータ1W,2W,5W,50Wの場合、1週間の連続運転を行い、保管庫内のウエハ表面の接触角を測定した。
図2に結果を示す。
図2中1W:×、2W:○,5W:△,50W:□、また●印は比較としてLEDを作動させない場合を示す。
(2)冷却器の適正化
(a)SUS製保管庫及びPC製保管庫について、放熱量を試算し、冷却器について検討した。
試算は、保管庫をクリーンルームに設置(気流による冷却作用がある)の場合、比較として気流が少ない一般事務室設置の場合について行った。試算は、保管庫材質の熱伝導率と空気の熱伝導率から行った。
表3に、放熱量の試算値(単位:W)の結果を示す。
Figure 2005074392
表3の結果は、表3中の放熱量以上のヒータ加熱を行う場合は、その差分に相当する放熱用の冷却器の設置が必要であることを示している。
(b) 上記において、ヒータ50Wを用い、冷却としてペルチェ素子作動の有無の場合の保管庫内のH.C濃度を測定した。
測定は、クリーンルームにおいて運転開始2時間で行った。
ペルチェ素子の作動では、SUS製保管庫の場合:10Wの冷却量、PC製保管庫の場合:25Wの冷却量を与えた。
表4に結果を除去率で示す。
Figure 2005074392
なお、ペルチェ素子無しの場合は、運転6時間には保管庫内空気が全体的に加熱されており(温度上昇)、実用上問題であった。
(3)LED設置材料の適正化
LED設置材料として、プラスチック(フェノール樹脂)、紙、Alを用い、1週間の連続運転を行い、保管庫内のウエハ表面の接触角を測定した。
保管庫材質:SUS材
ヒータ:50W
冷却:ペルチェ素子により10W
図3に結果を示す。図3中○:紙、△:Al、×:プラスチック、また●印は比較として紙の場合のLEDを作動させない場合を示す。
図3から、プラスチックは、高分子H.Cの発ガス性が高いので、ウエハ保管庫のように高分子量H.Cが問題となる用途では、使用困難であることが分かる。即ち、この結果は、プラスチックはウエハに有害なフタル酸エステルの様な高分子量H.Cを発生し、この低濃度発生を選択的に検出していると考えられる。
(4)長時間運転の性能の安定性
上記代表条件(ヒータ:5W)で40,000時間(5年以上)の連続運転を行い、同様にH.C除去率を調べたところ、除去率80%以上であった。
実施例3
図4に、大規模処理空間1に本発明の汚染物質除去部Aを複数台設置した液晶保管庫1の断面構成図を示す。
図4中の符号は、図1と同一符号は同じ意味を示す。
大規模処理空間の清浄化では、図4のごとく複数の汚染物質除去部Aをユニット化し、設置すると保守性が簡易となるので好ましい。
汚染物質除去部(ユニット)の複数台設置の目安は、汚染物質除去速度等の実用上の効果から、保管庫のたての長さ1に対して、横の長さが1.5倍以上、好ましくは1.1倍以上の場合に設置すると効果的である。
これは、ユニットAからの生成清浄空気の移動は、保管庫1の天井に沿って起こるが、横の長さが1.5倍以上の位置になると、小さくなるためである。
実施例4
図5に、図1において、汚染物質除去部Aにイオン交換繊維12を付加したものでの断面構成図を示す。保管庫1中のNHのような塩基性ガス、NOのような酸性ガスも同時除去される。
NOは、光触媒4により酸化されるので(NO→NO)イオン交換繊維に高効率で捕集される。
NOは、吸着材等周知の方式では効果的な捕集は困難であったが、本発明のごとく光触媒を用いると、NOは光触媒により酸化されるので(NO→NO)、高効率な捕集が可能となり、本例の特徴である。
図5中の符号は、図1と同一符号は同じ意味を示す。
本発明の清浄装置を設置したウエハ保管庫の概略構成図。 経過時間と接触角との関係を示すグラフ。 経過時間と接触角との関係を示すグラフ。 本発明の清浄装置を設置したウエハ保管庫の他の概略構成図。 本発明の清浄装置を設置したウエハ保管庫の他の概略構成図。
符号の説明
1:ウエハ保管庫、2:ウエハ、3:H.C、4:光触媒、5:LED、6:加熱源(ヒータ)、7:冷却器(ペルチェ素子)、8:粒子、9:電極材、10−1、10−2:気流、11:ウエハキャリヤ

Claims (6)

  1. 処理空間内の炭化水素を含む気体の清浄方法において、該処理空間内の気体を、発光ダイオードで光照射されている光触媒と、該気体の一部を温度変化させて生じる気体の流れにより接触させることを特徴とする気体の清浄方法。
  2. 処理空間内の炭化水素を含む気体の清浄装置において、該処理空間内の気体を接触させる光触媒と、該光触媒表面に光照射する発光ダイオードと、該処理空間内の気体を光触媒に接触させるための気流を生じさせる加熱源とを備えたことを特徴とする気体の清浄装置。
  3. 前記加熱源は、出力が前記処理空間の容積1リットル当り0.02〜2Wとすることを特徴とする請求項2記載の気体の清浄装置。
  4. 前記発光ダイオードは、有機物を発生しない材料で設置されることを特徴とする請求項2又は3記載の気体の清浄装置。
  5. 請求項2、3又は4記載の気体の清浄装置により、前記処理空間内の気体が清浄化されたことを特徴とする清浄空間。
  6. 前記清浄空間は、該空間内の気体を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする請求項5記載の清浄空間。
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