JP2001160408A - 固体高分子電解質型燃料電池 - Google Patents

固体高分子電解質型燃料電池

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JP2001160408A
JP2001160408A JP34232199A JP34232199A JP2001160408A JP 2001160408 A JP2001160408 A JP 2001160408A JP 34232199 A JP34232199 A JP 34232199A JP 34232199 A JP34232199 A JP 34232199A JP 2001160408 A JP2001160408 A JP 2001160408A
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ion
fuel cell
polymer electrolyte
exchange
solid polymer
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JP34232199A
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English (en)
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Ichiro Terada
一郎 寺田
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長期的に性能が安定した固体高分子電解質型燃
料電池の提供。 【解決手段】水素を含む燃料ガス及び酸素を含む酸化剤
ガスがそれぞれアノード及びカソードに供給されて電気
化学的に発電する固体高分子電解質型燃料電池におい
て、燃料ガス及び/又は酸化剤ガスを、イオン交換性物
質と接触させた後にそれぞれアノード及びカソードに供
給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料ガス又は酸化
剤ガスをイオン交換体で前処理して使用する固体高分子
電解質型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】水素・酸素燃料電池は、その反応生成物
が原理的に水のみであり地球環境への悪影響がほとんど
ない発電システムとして注目されている。固体高分子電
解質型燃料電池は、かつてジェミニ計画及びバイオサテ
ライト計画で宇宙船に搭載されたが、当時の電池出力密
度は低かった。その後、より高性能のアルカリ型燃料電
池が開発され、現在のスペースシャトルに至るまで宇宙
用にはアルカリ型燃料電池が採用されている。
【0003】ところが、近年技術の進歩により固体高分
子電解質型燃料電池が再び注目されている。その理由と
して次の2点が挙げられる。(1)固体高分子電解質と
して高導電性の膜が開発された。(2)ガス拡散電極層
に用いられる触媒をカーボンに担持し、さらにこれをイ
オン交換樹脂で被覆することにより、きわめて大きな活
性が得られるようになった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、現在使用され
ている固体高分子電解質型燃料電池は長期間使用すると
発電電圧が低下する等、電池性能安定性に問題があっ
た。この原因の1つが外部からの不純物の混入であり、
特にイオン性物質の混入は使用されている固体高分子電
解質膜の抵抗を増大させ、性能安定性を低下させてい
た。
【0005】そこで本発明は、燃料極及び酸化剤極に供
給されるガス中に含まれる不純物を除去することによ
り、固体高分子電解質型燃料電池セル内に外部から混入
する不純物を減少させ、長期的に性能が安定した固体高
分子電解質型燃料電池を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、アノードとカ
ソードとが固体高分子電解質膜を介して対向し、水素を
含む燃料ガス及び酸素を含む酸化剤ガスがそれぞれアノ
ード及びカソードに供給されて電気化学的に発電する固
体高分子電解質型燃料電池において、燃料ガス及び/又
は酸化剤ガスはイオン交換性物質と接触させた後に供給
されることを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池を
提供する。
【0007】また、本発明は、アノードとカソードとが
固体高分子電解質膜を介して対向するセルに、水素を含
む燃料ガス及び酸素を含む酸化剤ガスをそれぞれアノー
ド及びカソードに供給して電気化学的に発電させる固体
高分子電解質型燃料電池の作動方法において、燃料ガス
及び/又は酸化剤ガスをイオン交換性物質と接触させた
後にセルに供給することを特徴とする固体高分子電解質
型燃料電池の作動方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明では、燃料ガス及び/又は
酸化剤ガスをイオン交換性物質と接触させてから燃料電
池セルに供給する。燃料ガスと酸化剤ガスの一方が不純
物としてイオン性物質を含まない場合、イオン性物質を
含むガスのみをイオン交換性物質と接触させればよい
が、両方のガスともイオン性物質を含む場合は、両方の
ガスともイオン交換性物質と接触させてから燃料電池セ
ルに供給することが好ましい。本明細書では、以下、イ
オン交換性物質と接触させる燃料ガス及び/又は酸化剤
ガスを単にガスと記載して説明する。
【0009】本発明においてイオン交換性物質は、陽イ
オン交換体と陰イオン交換体の両方からなり、かつガス
は、陽イオン交換体と陰イオン交換体の両方と接触させ
ることが好ましい。陽イオン交換体か陰イオン交換体の
いずれか一方と接触させただけでは充分には不純物のイ
オン性物質を除去できない。燃料電池の固体高分子電解
質膜として陽イオン交換膜を使用する場合は、ガスは少
なくとも陽イオン交換体と接触させた後に供給すること
が好ましい。陽イオン交換膜は、特に陽イオン不純物の
影響により性能劣化しやすいためである。また、同様に
燃料電池の固体高分子電解質膜として陰イオン交換膜を
使用する場合は、ガスは少なくとも陰イオン交換体と接
触させた後に供給することが好ましい。
【0010】ガスは陽イオン交換体と陰イオン交換体の
混合物と接触させてもよいが、例えば陽イオン交換体か
らなる層及び陰イオン交換体からなる層の両方をガスを
通過させることが好ましい。また、陽イオン交換体及び
陰イオン交換体をそれぞれ異なる容器に充填し、ガスを
各容器を通過させてから燃料電池セルに供給する方法等
も採用できる。
【0011】ガスを接触させるイオン交換性物質は、陽
イオン交換体も陰イオン交換体も、イオン交換容量は
0.2〜5.0ミリ当量/g乾燥樹脂であることが好ま
しい。イオン交換容量が0.2ミリ当量/g乾燥樹脂よ
り小さい場合は、ガス中のイオン性物質の除去を十分に
行うために使用するイオン交換性物質が大量に必要とな
り、装置が大きくなるので好ましくない。また、イオン
交換容量が5.0ミリ当量/g乾燥樹脂より大きいとイ
オン交換性物質の強度が低いため処理中にイオン交換性
物質が破損するおそれがある。イオン交換容量が1.0
〜4.0ミリ当量/g乾燥樹脂である場合には、イオン
交換性物質の強度が高く、効率的にガスを処理できるの
で特に好ましい。
【0012】また、イオン交換性物質が陽イオン交換体
及び陰イオン交換体からなる場合、陽イオン交換体の総
イオン交換容量と陰イオン交換体の総イオン交換容量の
比は10/1〜1/10が好ましく、特に3/1〜1/
3が好ましい。10/1〜1/10の範囲を外れると、
ガス中のイオン性物質の除去が十分でなくなり、燃料電
池セルの性能が低下するおそれがある。
【0013】本発明におけるイオン交換性物質は、フィ
ルタ状、布状、又は多孔性板状に加工されていることが
好ましい。イオン交換性物質が陽イオン交換体及び陰イ
オン交換体からなるときは、陽イオン交換体と陰イオン
交換体がそれぞれフィルタ状、布状、又は多孔性板状に
加工されていることが好ましい。具体的には、フィルタ
状又は布状物質を基材とし、その基材にイオン交換性物
質の溶液を塗布して乾燥又は該溶液に基材を浸漬させて
乾燥することにより得られるイオン交換性フィルタを、
ガスを通過させることが好ましい。
【0014】フィルタ状又は布状物質の基材に、イオン
交換基又はイオン交換基を導入しうる基を有するモノマ
ーを放射線グラフト重合して得られるイオン交換性フィ
ルタを、ガスを通過させることも好ましい。また、乾燥
した球状のイオン交換樹脂を少量のバインダポリマーで
固めて多孔性板状にして使用することもできる。
【0015】基材を用いる場合には、厚さ10〜500
0μm、目付量5〜2500g/m 2の基材を使用する
ことが好ましい。厚さが10μm未満又は目付量が5g
/m2未満であると、基材の強度が弱く破損のおそれが
ある。また、厚さが5000μmより厚い又は目付量が
2500g/m2より大きいと、処理するガスの圧損が
大きくなり効率的に処理できなくなるので好ましくな
い。厚さが100〜1000μm、かつ目付量が50〜
500g/m2である場合には、強度が高くガスの圧損
も少ないので特に好ましい。また、上記基材は、ポリオ
レフィン製又はポリフルオロオレフィン製であると、化
学的安定性に優れ、かつ強度が高いので好ましい。
【0016】基材を用いてイオン交換性物質の溶液を塗
布し乾燥したものを使用する場合には、陽イオン交換体
の溶液と陰イオン交換体の溶液を準備し、それぞれ基材
フィルタに塗布して乾燥又は浸漬させて乾燥して陽イオ
ン交換性フィルタと陰イオン交換性フィルタとを得るこ
とが好ましい。そしてガスが燃料電池セルに供給される
前に陽イオン交換性フィルタと陰イオン交換性フィルタ
の両方を通過するようにセットされることが好ましい。
なお、陽イオン交換性フィルタと陰イオン交換性フィル
タとは必ずしも上記方法で得られたものを使用すること
を要せず、一方を上記方法で得られたものとし、もう一
方を後述するグラフト重合法等で得られるものとしても
よく、また両方とも後述するグラフト重合法等で得られ
るものとしてもよい。
【0017】陽イオン交換体としては、以下のものが挙
げられる。なお、本明細書において単量体Aの単独重合
体及び共重合体とは、単量体Aに基づく重合単位からな
る共重合体及び単量体Aに基づく重合単位を含む共重合
体を示す。スチレンスルホン酸の単独重合体及び共重合
体、ビニルスルホン酸の単独重合体及び共重合体、2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の単独
重合体及び共重合体等が挙げられる。
【0018】また、スルホン化ポリスルホン、スルホン
化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリアリールエー
テルスルホン、スルホン化ポリアリールエーテルスルホ
ン/ポリチオエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテ
ルケトン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ス
ルホン化ポリエーテルイミド、スルホン化ポリフェニレ
ンオキシド、及びこれらのポリマーの1種以上を他のポ
リマーとブレンドしたものも使用できる。その他、スル
ホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(エーテ
ル結合性の酸素原子等を含んでいてもよい。)等も好ま
しく使用できる。
【0019】また、陰イオン交換体としては、(ビニル
フェニル)トリメチルアンモニウムクロリドの単独重合
体及び共重合体、4−ビニルピリジン4級化物の単独重
合体及び共重合体、2−ビニルピリジン4級化物の単独
重合体及び共重合体、1−ビニルイミダゾール4級化物
の単独重合体及び共重合体、2−ビニルピラジン4級化
物の単独重合体及び共重合体、4−(3−ブテニル)ピ
リジン4級化物の単独重合体及び共重合体、N,N−ジ
メチルアクリルアミド4級化物の単独重合体及び共重合
体、N−(3−(N,N−ジメチル)アミノプロピル)
アクリルアミド4級化物の単独重合体及び共重合体、2
−(N,N−ジメチルアミノエチル)アクリレート4級
化物の単独重合体及び共重合体等が挙げられる。
【0020】また、4級アンモニウム化ポリスルホン、
4級アンモニウム化ポリエーテルスルホン、4級アンモ
ニウム化ポリアリールエーテルスルホン、4級アンモニ
ウム化ポリアリールエーテルスルホン/ポリチオエーテ
ルスルホン、4級アンモニウム化ポリエーテルイミド、
4級アンモニウム化ポリフェニレンオキシド、及びこれ
らのポリマーの1種以上を他のポリマーとブレンドした
ものも陰イオン交換体として使用できる。
【0021】上に挙げたようなポリマーを、溶媒に溶解
した溶液を基材上に塗布し乾燥して陽イオン交換性フィ
ルタ又は陰イオン交換性フィルタを得る場合には、基材
をあらかじめ表面処理しておくと、塗布するポリマーと
の接着性が向上し耐久性に優れるフィルタが得られるの
で好ましい。表面処理の方法としては、放射線処理、放
電処理、薬品処理又はグラフト重合法処理等が挙げられ
る。
【0022】また、基材にイオン交換基又はイオン交換
基を導入しうる基を有するモノマーを放射線グラフト重
合することによりイオン交換性フィルタを得る場合に
は、基材にイオン交換基又はイオン交換基を導入しうる
基を有するイオン交換基導入用モノマーを浸漬させなが
ら放射線照射しグラフト重合させる。また、基材に放射
線を照射した後にイオン交換基導入用モノマーを浸漬さ
せてグラフト重合させてもよい。しかし、基材にイオン
交換基導入用モノマーを浸漬させながら放射線照射する
方法は取り扱いが煩雑であるので、後者の方法が好まし
い。
【0023】放射線としては、γ線や電子線が用いられ
る。放射線の照射線量は1〜200kGy、特には10
〜100kGyが好ましい。照射線量が1kGyより小
さいと表面処理効果が小さく、また200kGyより大
きいと基材ポリマー分子鎖の切断が進行し、基材自体の
強度が低下する。照射線量が1〜200kGyの場合に
は基材の強度低下は著しくなく、活性種が基材に効率的
に導入される。
【0024】放射線照射は、照射中に発生するラジカル
を保護するため、減圧下又は窒素等の不活性ガス雰囲気
中で行うことが好ましい。また、放射線を照射してから
基材をイオン交換基導入用モノマーに浸漬するまでの間
は、ラジカル濃度の低下を防ぐために基材を低温で保持
することが好ましい。基材のイオン交換基導入用モノマ
ーへの浸漬も、減圧下又は不活性ガス雰囲気中で行うこ
とが好ましく、グラフト重合の温度は40〜90℃が好
ましい。
【0025】イオン交換基導入用モノマーとしては、ス
チレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、
スチレンスルホン酸又はその塩、2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸、パーフルオロアルケニ
ルスルホニルフルオリド、パーフルオロアルコキシアル
ケニルスルホニルフルオリド、(ビニルフェニル)トリ
メチルアンモニウムクロリド、アリルアミン又はその
塩、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、1−ビ
ニルイミダゾール、2−ビニルピラジン、4−(3−ブ
テニル)ピリジン、アクリルアミド、N,N−ジメチル
アクリルアミド、N−(3−(N,N−ジメチルアミ
ノ)プロピル)アクリルアミド、2−(N,N−ジメチ
ルアミノエチル)アクリレート、ビニル基とスルホン酸
基を有する化合物又はその塩等が挙げられる。
【0026】上記官能基導入モノマーは液体である場合
は基材を直接浸漬させてもよいし、溶媒を用いて希釈し
てから基材を浸漬させてもよい。また、基材をイオン交
換基導入用モノマーに浸漬させる方法以外に、減圧下で
モノマーを気体にして基材に導入する方法も採用でき、
この場合は窒素等の不活性ガスで気体を希釈することも
できる。イオン交換基導入用モノマーが固体である場合
は、モノマーが溶解する溶媒に溶解させて使用する。
【0027】イオン交換基導入用モノマーが、イオン交
換基を導入しうる基を有している場合は、グラフト重合
後イオン交換基をフィルタに導入する。また、イオン交
換性フィルタは、必要に応じて、陽イオン交換フィルタ
であれば酸型処理、陰イオン交換フィルタであれば対イ
オンを水酸基とする等の操作を行う。
【0028】
【実施例】[例1]アゾビスイソブチロニトリルを開始
剤として、2molのテトラフルオロエチレンと0.4
5molのCF2=CFOCF2CF(CF3)O(C
22SO2Fとを、70℃にて5時間共重合し、イオ
ン交換容量1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂の共重合体
を得た。これを20%KOH水溶液中で90℃にて16
時間かけて加水分解した後、1mol/Lの塩酸に室温
にて16時間浸漬して酸型に変換し、水洗乾燥後エタノ
ールに溶解することにより、スルホン酸基を含有するパ
ーフルオロカーボン重合体を溶液全質量の9%含む溶液
を得た。
【0029】厚さ500μm、目付量200g/m2
ポリエチレン繊維製フィルタを上記溶液に浸漬後、乾燥
して陽イオン交換性フィルタを作製した。塗布乾燥後の
厚さは510μmであり、目付量は290g/m2であ
った。
【0030】次に、特開昭61−168629の実施例
14に記載された合成法に準じて、以下のようにしてポ
リスルホン/ポリチオエーテルスルホン共重合体(以
下、共重合体aという)を得た。
【0031】まず、オートクレーブに3.6molの
4,4’−ジフェノールと、水酸化ナトリウム水溶液、
N−メチル−2−ピロリドン及びトルエンを仕込み、窒
素ガスを流しながら加熱して水及びトルエンを除去し冷
却した。これに3.96molの4,4’−ジクロロジ
フェニルスルホンを仕込み、窒素雰囲気中で160℃で
3時間反応させ、芳香族ポリスルホンの繰り返し単位か
らなる反応物を得た。冷却後、これに3.24molの
4,4’−ジクロロジフェニルスルホンと、3.78m
olの硫化ナトリウムと、無水酢酸リチウム及びN−メ
チル−2−ピロリドンを加えて窒素ガスで0.49MP
aに加圧し160℃にて3時間反応させ、2200gの
共重合体aを得た。共重合体aの固有粘度は0.50で
あった。
【0032】750gの上記共重合体aを、1,1,
2,2−テトラクロロエタン10Lに溶解した後、(ク
ロロメトキシ)メタン4000g及び無水塩化スズ45
gを添加し、110℃にて4時間クロロメチル化反応を
行った。次いで、メタノール50Lにて反応生成物を沈
殿させ、該反応生成物を洗浄し、クロロメチル化共重合
体850gを得た。クロロメチル化共重合体におけるク
ロロメチル基の導入率は、1繰り返し単位あたり約1.
9個であり、このクロロメチル基をすべてトリメチルア
ミンでアミノ化したところ、イオン交換容量は2.2ミ
リ当量/g乾燥樹脂であった。
【0033】500gのクロロメチル化共重合体を28
30gのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解して調製
した溶液を、0℃にて撹拌しながら、1mol/Lのト
リメチルアミンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液1
140mlをゆっくり滴下した。さらに、2−メトキシ
エタノール500gを添加し、イオン交換容量2.0ミ
リ当量/g乾燥樹脂の溶液を得た。
【0034】上記した陽イオン交換性フィルタの作製と
同様に、厚さ500μm、目付量200g/m2のポリ
エチレン繊維製フィルタを上記溶液に浸漬後、乾燥して
陰イオン交換性フィルタを得た。塗布乾燥後のフィルタ
の厚さは510μmであり、目付量は285g/m2
あった。
【0035】得られた陽イオン交換性フィルタ及び陰イ
オン交換性フィルタをそれぞれ直径10cmの円盤状に
切り、2枚重ねてフィルタホルダに収容し、カソード側
空気コンプレッサと燃料電池セルの間に設置し、カソー
ド側空気はこのフィルタを通過したものが燃料電池セル
に供給されるようにした。
【0036】燃料電池セルは以下のようにして組み立て
た。テトラフルオロエチレンに基づく重合単位とCF2
=CFOCF2CF(CF3)O(CF22SO3Hに基
づく重合単位とからなる共重合体(イオン交換容量1.
1ミリ当量/グラム乾燥樹脂)と白金担持カーボンとを
1:3の質量比で含み、エタノールを溶媒とする塗工液
を、カーボン布上にダイコート法で塗工した。これを乾
燥して厚さ10μm、白金担持量0.5mg/cm2
ガス拡散電極層が形成されたガス拡散電極を作製した。
【0037】上記ガス拡散電極2枚の間に、テトラフル
オロエチレンに基づく重合単位とCF2=CFOCF2
F(CF3)O(CF22SO3Hに基づく重合単位とか
らなる共重合体(イオン交換容量1.1ミリ当量/グラ
ム乾燥樹脂)からなる陽イオン交換膜(厚さ50μm)
を挟み、平板プレス機を用いてプレスして膜電極接合体
を作製した。この膜電極接合体の外側にチタン製の集電
体、さらにその外側にポリテトラフルオロエチレン製の
ガス供給室、さらにその外側にヒーターを配置し、有効
膜面積9cm2の燃料電池を組み立てた。
【0038】燃料電池の温度を80℃に保ち、カソード
にフィルタを通過した空気、アノードに水素をそれぞれ
0.2MPaで供給した。電流密度1A/cm2のとき
の端子電圧を測定したところ、端子電圧は0.59Vで
あった。さらに、上記の燃料電池を80℃、電流密度1
A/cm2で連続運転を行った。1000時間後の端子
電圧は0.59Vであり初期と変化がなかった。
【0039】[例2]例1で基材として用いたポリエチ
レン繊維製フィルタに減圧下、25℃にて30kGyの
γ線を照射した後、スチレンモノマーに浸漬し、60℃
で24時間反応させてグラフト重合を行った。グラフト
率は40%であった。
【0040】得られたフィルタを15cm角に切ったも
のを複数枚作製し、一部は溶液全質量に対し溶質濃度が
20%のクロロスルホン酸の1,1,2,2−テトラク
ロロエタン溶液に25℃で1時間浸漬してクロロスルホ
ン化した。また、一部は1,1,2,2−テトラクロロ
エタン溶液に浸漬し、(クロロメトキシ)メタン及び無
水塩化スズを添加し、70℃にて2時間反応させてクロ
ロメチル化した。
【0041】クロロスルホン化したものは、水酸化カリ
ウムを全質量の10%含む水溶液で加水分解した後、塩
酸で酸型に変換して−SO2Clをスルホン酸基に変換
した。またクロロメチル化したものはトリメチルアミン
水溶液と反応させ、塩酸洗浄、水洗後、0.1mol/
L水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して、クロロメチル基
を対イオンがOHイオンの4級アンモニウム塩基とし
た。
【0042】上記のように得られた陽イオン交換性フィ
ルタ及び陰イオン交換性フィルタは、イオン交換容量が
それぞれ2.0ミリ当量/グラム乾燥樹脂及び1.9ミ
リ当量/グラム乾燥樹脂であった。また、厚さはそれぞ
れ520μm及び510μmであり、目付量は、それぞ
れ340g/m2及び340g/m2であった。
【0043】例1と同様にして上記の2種のフィルタを
重ねてホルダにセットし、燃料電池セルを組み立てて例
1と同様にして評価を行った。電流密度1A/cm2
とき初期の端子電圧は0.60Vであった。また100
0時間後の端子電圧は0.59Vであり、初期とほとん
ど変化がなかった。
【0044】[例3(比較例)]例1において、フィル
タホルダにポリエチレン繊維製フィルタを2枚重ねてセ
ットした以外は例1と同様にして燃料電池セルを組み立
て、評価した。電流密度1A/cm2のときの端子電圧
を測定したところ、端子電圧は0.60Vであった。し
かし、1000時間運転後の端子電圧は0.51Vに低
下した。
【0045】
【発明の効果】本発明は、イオン交換性物質によって処
理したガスを固体高分子電解質型燃料電池に供給する、
すなわちイオン成分が除去されたガスが供給されるた
め、固体高分子電解質膜内へのイオンの蓄積がなくな
る。そのため、燃料電池を長期間作動させても、抵抗の
上昇と発電電圧の低下を抑制できる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アノードとカソードとが固体高分子電解質
    膜を介して対向し、水素を含む燃料ガス及び酸素を含む
    酸化剤ガスがそれぞれアノード及びカソードに供給され
    て電気化学的に発電する固体高分子電解質型燃料電池に
    おいて、燃料ガス及び/又は酸化剤ガスはイオン交換性
    物質と接触させた後に供給されることを特徴とする固体
    高分子電解質型燃料電池。
  2. 【請求項2】イオン交換性物質のイオン交換容量が0.
    2〜5.0ミリ当量/g乾燥樹脂である請求項1に記載
    の固体高分子電解質型燃料電池。
  3. 【請求項3】イオン交換性物質は、陽イオン交換体及び
    陰イオン交換体からなり、燃料ガス及び/又は酸化剤ガ
    スは、陽イオン交換体と陰イオン交換体の両方に接触さ
    せた後、供給される請求項1又は2に記載の固体高分子
    電解質型燃料電池。
  4. 【請求項4】陽イオン交換体及び陰イオン交換体は、そ
    れぞれフィルタ状、布状又は多孔性板状に加工されてい
    る請求項3に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
  5. 【請求項5】燃料ガス及び/又は酸化剤ガスは、厚さ1
    0〜5000μmかつ目付量5〜2500g/m2の基
    材にイオン交換性物質の溶液を塗布して乾燥又は浸漬さ
    せて乾燥することにより得られるフィルタを、通過させ
    ることによりイオン交換性物質と接触させる請求項1、
    2又は3に記載の固体高分子電解質型燃料電池。
  6. 【請求項6】燃料ガス及び/又は酸化剤ガスは、厚さ1
    0〜5000μmかつ目付量5〜2500g/m2の基
    材にイオン交換基又はイオン交換基を導入しうる基を有
    するモノマーを放射線グラフト重合することにより得ら
    れるフィルタを、通過させることによりイオン交換性物
    質と接触させる請求項1、2又は3に記載の固体高分子
    電解質型燃料電池。
  7. 【請求項7】前記基材が、ポリオレフィン製又はポリフ
    ルオロオレフィン製である請求項5又は6に記載の固体
    高分子電解質型燃料電池。
  8. 【請求項8】アノードとカソードとが固体高分子電解質
    膜を介して対向するセルに、水素を含む燃料ガス及び酸
    素を含む酸化剤ガスをそれぞれアノード及びカソードに
    供給して電気化学的に発電させる固体高分子電解質型燃
    料電池の作動方法において、燃料ガス及び/又は酸化剤
    ガスをイオン交換性物質と接触させた後にセルに供給す
    ることを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池の作動
    方法。
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