JP3830367B2 - シリコーンオイル含有離型剤を用いて加熱加圧成型した成型品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、離型性に優れ、最終製品の美観を損なうことなく、かつ製品不良を惹き起すことのないシリコーンオイル含有離型剤を用いて加熱加圧成型した成型品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴム製品や熱可塑性樹脂製品、またはゴムと熱可塑性樹脂の複合製品等を加熱加圧(加硫)成型する際には金型との離型性を良くするために、各種の離型剤をあらかじめ塗布している。例えばタイヤの内面離型剤としては、ジメチルシキロサンの水中油滴型エマルジョン(シリコーンエマルジョン)に、マイカ、タルクなどのような滑性の大きい無機化合物の微粉末と界面活性剤を配合して用いている。また黒色製品の外観改良の目的で、離型剤の黒色化を必要とする場合には上記配合物にカーボンブラック等の黒色染料を加えることも行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、鮮やかな色彩や模様を施してあるゴムや樹脂製品の製造過程において、前述のような離型剤を用いると、加熱加圧(加硫)成型完了後の製品の表面が離型剤のために、白色もしくは黒色に染まって、製品の価値が低下してしまうという問題があった。
【0004】
また、離型剤を透明にするために、シリコーンエマルジョンのみを使用して、ゴムと熱可塑性樹脂の薄膜の積層体や、ゴムと熱可塑性樹脂中に少なくともその一部が架橋されたエラストマー成分が分散している熱可塑性エラストマー組成物の薄膜の積層体を加熱加圧(加硫)成型すると、シリコーンエマルジョンと熱可塑性樹脂、シリコーンエマルジョンと熱可塑性エラストマー組成物とが非相溶系であるために、加熱加圧成型時の温度上昇によって、例えばナイロン11などのフィルムの融解が起きた際にシリコーンオイルが流動し、偏存化した場合、ナイロン11とシリコーンオイルが非相溶成分であるために、両者の間で相分離現象が起きて、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物の層に穴が開くことがあり、製品不良となることがあった。
【0005】
シリコーンオイルを含む乳濁液として特開昭60−36563号公報に分子量50.000以上のヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンの水性乳濁液に、シリコーン樹脂、触媒化合物、チキソトロープ充填剤、非チキソトロープ充填剤を含む、安定なシリコーン乳濁液が開示されている。しかしながら、この公報は、塗料やシーラント用のコーティング組成物を得ることを目的としており、このシリコーン乳濁液を離型剤に用いるという記載はなく本発明とは全く異なるものである。
【0006】
従って、本発明は、加熱・加圧成型時に、型との離型性が良く、かつ製品のもつ本来の色彩を損なうことなく、かつ製品不良の発生を防ぐ離型剤を用いてゴム、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂中に少なくともその一部が架橋されたエラストマー成分が分散してなる熱可塑性エラストマー組成物、ゴムと熱可塑性樹脂の積層体又はゴムと前記熱可塑性エラストマー組成物の積層体の加熱加圧成型してなる成型品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、(i)ゴム、(ii)熱可塑性樹脂、(iii)熱可塑性樹脂中に少なくともその一部が架橋されたエラストマー成分が分散してなる熱可塑性エラストマー組成物、(iv)ゴムと熱可塑性樹脂の積層体又は(v)ゴムと熱可塑性樹脂中に少なくともその一部が架橋されたエラストマー成分が分散してなる熱可塑性エラストマー組成物との積層体を、
【化2】
(式中、nは任意の整数である。)のジメチルシロキサン構造を有するシリコーンオイルを乳化剤で乳化した水中油滴型エマルジョンに、該エマルジョン中のシリコーンオイル100重量部に対して、表面にシラノール(SiOH)基を有するシリカ粒子4〜40重量部を配合して増粘性及び透明性を付与してなる離型剤を用いて加熱加圧成型してなる成型品が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において使用する離型剤は、好ましくは粘度100〜100万cSt(25℃)のシリコーンオイルを乳化剤で乳化した水中油滴型エマルジョン、該シリコーンエマルジョン中のシリコーンオイル分100重量部に対し、チキソトロピック性を付与するために、表面にシラノール基(SiOH)を有するシリカ粒子を、離型剤の透明性を確保するために、4〜40重量部配合し、更に必要に応じて、水、分散剤、防腐剤を配合してなる。
【0009】
本発明において使用する離型剤の主成分であるシリコーンオイルの水中油滴型エマルジョンに配合されるシリコーンオイルは、前記式(I)の構造を有するものである。
【0010】
本発明において使用する離型剤のベースシリコーンオイルの粘度は100〜100万cSt(25℃) であるのが好ましく、更に好ましくは10万〜100万cSt(25℃) である。このようなシリコーンエマルジョンは、例えば東芝シリコーン(株)製TSF451、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SH490,SM8701,SH203などの市販品を用いることができる。また、上記式(1)のnは、上述した粘度のなるように設定すればよく、例えばn=2.1×103 〜1.3×103 である。
【0011】
本発明において使用する離型剤に配合される表面にシラノール基を有するシリカ粒子は、一次粒子径が5〜50nm、好ましくは7〜30nmで、BET(窒素)法で測定した比表面積が50〜380m2 /g、好ましくは200〜380m2 /gであるのが好ましい。一次粒子径が大き過ぎると水中での分散性が悪化するので好ましくない。一方、シリカ粒子の比表面積が低過ぎると増粘効果が低下するので好ましくない。
【0012】
本発明において使用する離型剤中のシリカ粒子の含有量が少ないと増粘効果が不十分であるため、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物に穴が開き、また以下に説明するように、製品仕上がり時にべたつきがでるおそれがある。逆に多過ぎると、製品仕上がり時に白くなる(透明性が無くなる)ので製品の美観上好ましくない場合がある。なお、表面にシラノール基が存在しない場合には水素架橋結合による相互作用が起こらず、三次元的な網の目構造ができないので増粘効果が得られないため好ましくない。
【0013】
本発明において使用する離型剤を用いて加熱加圧成型するのに使用される典型的な材料としては、エラストマー成分(ゴムも含む)(例えば特に制限はないが、ジエン系ゴム及びその水素添加物(例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴム、エポキシ化天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム(高シスBR、低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR)、各種エラストマー、例えばオレフィン系ゴム(例えばエチレンプロピレン共重合ゴム(EPDM,EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレン共重合ゴム(M−EPM)、IIR、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体)、含ハロゲン系ゴム(例えば臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)、熱可塑性エラストマー(例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー)等が挙げられ、カーボンブラック、プロセスオイル、加硫剤等の配合剤を添加した組成物としてもよい)、熱可塑性樹脂(例えば特に制限はないが、ポリアミド系樹脂(ナイロン)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ホリプロピレン等)、ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ビニール系樹脂(塩化ビニル、塩化ビニリデン等)が挙げられる)、熱可塑性エラストマー組成物(熱可塑性樹脂中に少なくともその一部が架橋された上記エラストマー成分が分散させたもの)などをあげることができる。
【0014】
本発明において使用する離型剤には、前記したシリコーンオイルエマルジョン、及びシリカ粒子に加えて、水、分散剤(例えば各種界面活性剤)、防腐剤(例えば亜硝酸ナトリウム)を必要に応じて配合することができる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
従来例1、実施例1〜3及び比較例1〜3
離型剤の透明性を要求されない場合の例として、特に着色されていないナイロン11フィルムとテキスタイル補強ゴムとの積層体を、加熱加圧成型する際に使用した例(熱可塑性樹脂及びゴムの離型剤として有効であることを示す実施例)として以下の例を示す。なお、離型剤の配合(重量部)は表Iに示した通りであり、配合成分の詳細は以下の通りである。
シリコーンエマルジョン:東レ・ダウ・コーニングシリコーン製 SH490
シリカ粉:日本アエロジル製 AEROSIL200(一次粒子径約12nm、比表面積200±25m2 /g)
評価結果は表Iに示す。
【0016】
【表1】
【0017】
離型剤の作製
従来例1の離型剤
上表Iの配合に従いシリコーンエマルジョン、水、ノニオン系界面活性剤を撹拌下に添加して分散液とした後、これにマイカ微粉末、タルク微粉末を徐々に加えて離型剤を得た。
比較例1〜3及び実施例1〜3の離型剤
上表Iの配合に従いシリコーンエマルジョン、水、シリカ粉を撹拌下に添加して離型剤を得た。
【0018】
試験用積層体の作製
厚さ100μmのナイロン11フィルム(アトケム(株)製 リルサンBESN O TL)に厚さ30μmの粘接着剤フィルムを貼り合わせた積層フィルムを作製した。
一方、表IIに示す配合内容のゴム組成物を、引き揃えたポリエステルコード両面にコーティングして繊維補強ゴムを作製した。
次いで積層フィルムの粘接着剤側が繊維補強ゴムに接するようにして貼り合わせたものを用意し、さらにナイロンフィルム面と繊維補強ゴム面に刷毛を用いて離型剤を塗布し、室温で乾燥後に金型に入れて、190℃で10分間プレスすることにより試験用積層体を得た。
【0019】
ゴム組成物の調製
調製法
密閉型ミキサーにて加硫促進剤と硫黄以外の原料を混合したマスターバッチを作製した。標準の混合時間は3.5分で放出温度は150℃であった。オープンロールにて残りの配合剤をマスターバッチに添加し未加硫のゴムを調製した。
【0020】
表 II
──────────────────
成 分 重量部
天然ゴム 80
SBR1502 20
FEFカーボンブラック 50
ステアリン酸 2
酸化亜鉛 3
硫黄 3
加硫促進剤(NS) 1
アロマオイル 2
──────────────────
【0021】
天然ゴム :RSS#1
SBR1502 :ニポール1502 日本ゼオン(株)製
FEF カーボンブラック:HTC100 中部カーボン(株)製
ステアリン酸 :ルナックYA 花王(株)製
酸化亜鉛 :銀嶺亜鉛華 東邦亜鉛(株)製
硫黄 :粉末硫黄 軽井沢精錬所(株)製
加硫促進剤(NS) :ノクセラーNS−P 大内新興化学工業(株)製
アロマオイル :コウモレックス300 日本石油(株)製
【0022】
粘接着剤の調製
調製法
表III に示す配合成分を120℃にて2軸混練機で混練した後、Tダイ押出し機で30μmのフィルムを調製した。
【0023】
表 III
───────────────────
成 分 重量部
エポキシ変性SBS 80
ロジンエステル 20
過酸化物 50
───────────────────
エポキシ変性SBS :ESBS AT015 ダイセル化学(株)製
ロジンエステル :ペンセルAD 荒川化学(株)製
過酸化物 :パーカドックス14−40 化薬アクゾ(株)製
【0024】
表Iの結果から明らかなように、従来例1では、ナイロンフィルムの穴開きは発生しないが、完成品のナイロンフィルム側及びゴム側に触れると、表面の離型剤の粉が著しく脱落し、取扱者の手が白く汚れるという問題がある。これに対し、本発明に従った離型剤を用いた実施例1〜3では、ナイロンフィルムの穴開き、完成品表面のべたつきが共になく、良好な結果が得られた。
一方、比較例1は、シリカ粉が入っていないため、シリコーンエマルジョンが増粘されず、そのためにナイロンフィルムの穴開きが発生し、かつ完成品表面がシリコーンオイルによりべたつく。また、比較例2は、シリカ粉の配合量が少ないためシリコーンエマルジョンの増粘効果が不十分であり、そのためナイロンフィルムの穴開きが発生し、かつ完成品のナイロンフィルム側及びゴム側表面がシリコーンオイルによりべたつきがでる。
【0025】
従来例2、実施例4〜6及び比較例4〜6
表IVに示す配合(重量部)で非着色熱可塑性エラストマーフィルムをインナーライナーとしてタイヤを加硫する際に、タイヤの内面離型剤として使用する例(離型剤の透明性が要求されない場合の例)を以下に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
評価タイヤの作製と評価
熱可塑性ポリエステルエラストマーをTダイ押し出し成形で、幅360mm及び厚さ100μmの帯状フィルムとした。使用した熱可塑性ポリエステルエラストマーはハイトレル5577 東レ・デュポン(株)製で、この熱可塑性エラストマーフィルムと粘接着剤フィルムを積層して一体型フィルムとした後、これを、熱可塑性エラストマーフィルムがドラム側、粘接着剤がタイヤ部材側になるようにタイヤ成型ドラムに巻き付け、その上にタイヤ部材を積層し、インフレートさせてグリーンタイヤを成型後、タイヤ内面のインナーライナーに離型剤を塗布・乾燥してから加硫し(条件:180℃×10分)、タイヤサイズ165SR13のタイヤを作製した。評価結果は表IVに示す。
【0028】
表IVに示すように、従来例2は、インナーライナーの穴開きは発生しないが、加硫後タイヤ内面に触れると表面の離型剤の粉が取扱者の手に付着して黒く汚れる。これに対して、実施例4〜6は、シリカ粉による増粘が十分に行われているためインナーライナーの穴開きがなく、また加硫後タイヤ内面のべたつきもなく、良好な製品タイヤが得られた。
一方、比較例4は、シリカ粉が入っていないため、シリコーンエマルジョンが増粘されず、そのためにインナーライナーの穴開きが発生し、かつ完成品表面がシリコーンオイルによりべたつく。また比較例5は、シリカ粉の配合量が少量なためシリコーンエマルジョンの増粘効果が不十分となり、そのためインナーライナーの穴開きが発生し、かつ加硫後タイヤ内面がシリコーンオイルによりべたつきがでる。
【0029】
従来例3、実施例7〜9及び比較例7〜9
本例は、通常のブチルゴムをインナーライナーとしてタイヤを加硫する際に、タイヤの内面離型剤として使用した例(離型剤の透明性が要求されない場合の例)を示す。
【0030】
離型剤の作製
従来例の離型剤
表Vの配合(重量部)に従いシリコーンエマルジョン、水、界面活性剤を撹拌下に添加して分散液とした後、これにマイカ微粉末、タルク微粉末、カーボンブラックを徐々に加えて離型剤を得た。
比較例及び実施例の離型剤
表Vの配合(重量部)に従いシリコーンエマルジョン、水及びシリカ粉を撹拌下に添加して離型剤を得た。
【0031】
粘接着剤の調製
前記実施例1〜3と同じ。
【0032】
【表3】
【0033】
評価タイヤの作製と評価
グリーンタイヤの内面に約700μmのタイゴムを介して、表VIに示す配合の未加硫ブチルゴムからなるインナーライナー層(厚さ500μm)を設けた。タイヤ内面のインナーライナーに離型剤を塗布・乾燥してから加硫し(条件:180℃×10分)、タイヤサイズ165SR13のタイヤを作製した。
【0034】
調製法
密閉型ミキサーにて表VIに示す配合のうち酸化亜鉛と加硫促進剤と硫黄以外の原料を混合したマスターバッチを作製した。標準の混合時間は3.5分で放出温度は150℃であった。オープンロールにて残りの配合剤をマスターバッチに添加し未加硫のゴムを調製した。
【0035】
表 VI
───────────────────
成 分 重量部
臭素化ブチルゴム 100
FEFカーボンブラック 50
ステアリン酸 1
酸化亜鉛 3
硫黄 1
加硫促進剤(DM) 1
アロマオイル 10
───────────────────
【0036】
臭素化ブチルゴム :エクソンブロモブチル2244 エクソン化学(株)製
FEF カーボンブラック:HTC100 中部カーボン(株)製
ステアリン酸 :ルナックYA 花王(株)製
酸化亜鉛 :銀嶺亜鉛華 東邦亜鉛(株)製
硫黄 :粉末硫黄 軽井沢精錬所(株)製
加硫促進剤(NS) :ノクセラーNS−P 大内新興化学工業(株)製
アロマオイル :コウモレックス300 日本石油(株)製
【0037】
表Vの結果から従来例2では、加硫後タイヤ内面に触れると表面の離型剤の粉が取扱者の手に付着して黒く汚れる。これに対し、実施例7〜9では、シリカ粉が十分に配合されているため加硫後タイヤ内面のべたつきがなく、きれいな内面の製品タイヤが得られた。
一方、比較例7では、加硫後タイヤ内面に触れるとシリコーンオイルによりべたつき、比較例8では、シリカ粉が少ないため、加硫後タイヤ内面に触れるとシリコーンオイルによりべたついた。
【0038】
離型剤の作製
従来例2、実施例4〜6及び比較例4〜6と同じ。
【0039】
粘接着剤の調製
従来例2、実施例4〜6及び比較例4〜6と同じ。
【0040】
従来例4、実施例10〜12及び比較例10〜12
本例は、青色に着色した熱可塑性エラストマーフィルムをインナーライナーとしてタイヤを加硫する際に、タイヤの内面離型剤として表VII に示す離型剤を使用した例(離型剤の透明性が要求される場合の例)を示す。
【0041】
【表4】
【0042】
評価タイヤの作製と評価
Br−IPMS(Exxpro90−10 エクソンケミカル製)100重量部、パラフィン系プロセス油20重量部を密閉型ミキサー中で混合してゴムマスターバッチを作製し、ゴム用ペレタイザーでペレット化した。その後、表VIIIに示す配合を2軸混合機で混練し、樹脂用ペレタイザーでペレット化した後、Tダイ押し出し成形で、幅360mm及び厚さ100μmの帯状熱可塑性エラストマーフィルム(青色に着色)を作製した。
【0043】
表 VIII
───────────────────
成 分 重量部
ナイロン11 30
色マスターバッチ 10
ゴムマスターバッチ 60
酸化亜鉛 0.3
ステアリン酸 1.2
ステアリン酸亜鉛 0.6
───────────────────
【0044】
ナイロン11 :リルサンBESN O TL アトケム(株)製
色マスターバッチ:PAM(F)10989 BLUE (ナイロン12ベース)大日精化(株)製
酸化亜鉛 :銀嶺亜鉛華 東邦亜鉛(株)製
ステアリン酸 :ルナックYA 花王(株)製
ステアリン酸亜鉛:ステアリン酸亜鉛 正同化学工業(株)製
【0045】
この熱可塑性エラストマーフィルムと粘接着剤フィルムを積層して一体型フィルムとした後、これを、熱可塑性エラストマーフィルムがドラム側、粘接着剤がタイヤ部材側になるようにタイヤ成型ドラムに巻き付け、その上にタイヤ部材を積層し、インフレートさせてグリーンタイヤを成型後、タイヤ内面のインナーライナーに離型剤を塗布・乾燥してから加硫し(条件:180℃×10分)、タイヤサイズ165SR13のタイヤを作製した。
【0046】
表VII に示すように、従来例4では、インナーライナーの穴開きは発生しないが、インナーライナーの色が離型剤のために全く見えず、また、加硫後タイヤ内面に触れると表面の離型剤の粉が取扱者の手に付着して黒く汚れる。これに対し、実施例10〜12では、離型剤が透明なため、インナーライナーの色が見え、またインナーライナーの穴開き、加硫後タイヤ内面のべたつきが共になく、良好な製品タイヤが得られた。
一方、比較例10は、シリカ粉が入っていないため、シリコーンエマルジョンが増粘されず、そのためにインナーライナーの穴開きが発生し、かつ完成品表面がシリコーンオイルによりべたつき、また比較例11では、シリカ粉によるシリコーンエマルジョンの増粘効果が不十分なためインナーライナーの穴開きが発生し、かつ完成品表面がシリコーンオイルによりべたつきがでる。更に、比較例12では、インナーライナーの穴開きは発生しないが、シリカ粉の配合量が40重量部を超えるためシリカ粉の色(白)が目立ち、インナーライナーの色が見えない。なお、離型剤及び粘接着剤は、前記従来例2、実施例7〜9及び比較例7〜9と同じものを用いた。
【0047】
従来例5、実施例13〜15及び比較例13〜15
青色に着色した熱可塑性エラストマーフィルムをタイヤ外面サイド部に貼り付けたタイヤを加硫する際に、タイヤの外面サイド部離型剤として表IXに示す離型剤を使用した例(離型剤の透明性が要求される場合の例)を示す。
【0048】
【表5】
【0049】
評価タイヤの作製と評価
Br−IPMS(Exxpro90−10 エクソンケミカル製)100重量部及びパラフィン系プロセス油20重量部を密閉型ミキサー中で混合してゴムマスターバッチを作製し、ゴム用ペレタイザーでペレット化した。その後、表Xに示す配合(重量部)の各成分を2軸混合機で混練し、樹脂用ペレタイザーでペレット化した後、Tダイ押し出し成形で、幅360mm及び厚さ100μmの帯状熱可塑性エラストマーフィルム(青色に着色)を作製した。
【0050】
表 X
───────────────────
成 分 重量部
ナイロン11 30
色マスターバッチ 10
ゴムマスターバッチ 60
酸化亜鉛 0.3
ステアリン酸 1.2
ステアリン酸亜鉛 0.6
───────────────────
【0051】
ナイロン11 :リルサンBESN O TL アトケム(株)製
色マスターバッチ:PAM(F)10989 BLUE (ナイロン12ベース)大日精化(株)製
酸化亜鉛 :銀嶺亜鉛華 東邦亜鉛(株)製
ステアリン酸 :ルナックYA 花王(株)製
ステアリン酸亜鉛:ステアリン酸亜鉛 正同化学工業(株)製
【0052】
この熱可塑性エラストマーフィルムと粘接着剤フィルムを積層して一体型フィルムとした。未加硫タイヤ用各部材ゴムを成型ドラムの上で常法に従って成型し、タイヤサイド用ゴムの上に上記の一体型フィルムの粘接着剤がサイド用ゴム側になるように貼り付けた。インフレートさせてグリーンタイヤを成型後、タイヤ外面のサイド部に離型剤を塗布、乾燥してから加硫(条件:180℃×10分)し、タイヤサイズ165SR13のタイヤを作製した。なお、使用した離型剤及び粘接着剤は前記従来例3、実施例7〜9及び比較例7〜9と同じものを用いた。
【0053】
表IXに示すように、従来例5では、加硫後タイヤのサイド部表面に触れると、離型剤の粉が取扱者の手に付着して黒く汚れた。これに対し、実施例13〜15では、離型剤が透明なためタイヤサイドに貼ったフィルムの色が見え、また加硫後タイヤサイド部のべたつきがなく、良好な製品タイヤが得られた。
一方、比較例10〜12は、シリカ粉が入っていないか、入っていても少量であるため、透明であり、そのため熱可塑性フィルムの色が見えるが、タイヤのサイド部の表面がシリコーンオイルによりべたついた。また比較例15では、シリカ粉の配合量が40重量部を超えるため、シリカ粉の色(白)が目立ち、インナーライナーの色が見えなかった。
【0054】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、加熱・加圧成型時に、型との離型性が良く、かつ透明で製品のもつ本来の色彩を損なうことなく、かつ製品不良の発生を防ぐシリコーンオイル含有離型剤を用いたゴム、熱可塑性樹脂、若しくは熱可塑性樹脂中に少なくともその一部が架橋されたエラストマー成分が分散してなる熱可塑性エラストマー組成物の積層体が得られる。
Claims (3)
- (i)ゴム、(ii)熱可塑性樹脂、(iii)熱可塑性樹脂中に少なくともその一部が架橋されたエラストマー成分が分散してなる熱可塑性エラストマー組成物、(iv)ゴムと熱可塑性樹脂の積層体又は(v)ゴムと熱可塑性樹脂中に少なくともその一部が架橋されたエラストマー成分が分散してなる熱可塑性エラストマー組成物との積層体を、
- 表面にシラノール基を有するシリカ粒子のBET窒素法による比表面積が50〜380m2 /gで、かつ1次粒子の平均粒子径が5〜50nmである請求項1に記載の成型品。
- 加熱加圧成型により成型した成型品が空気入りタイヤである請求項1又は2に記載の成型品。
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