JP3829762B2 - ケーブル保持具及び、これを用いたフラットケーブルの連続折り返し方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状のフラットケーブルを保持する保持具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にフラットケーブルは、所定の回路網を構成する導電線を絶縁樹脂で被覆した可撓性を有するシート状の配線体である。かかるフラットケーブルは、例えば車両のルーフに配索されるルーフハーネスとして利用されている。ルーフハーネスは、図板上に展開したときの寸法が、例えば、長さ3000mm、幅1500mm程度の大掛かりなものである。そのため、ルーフハーネスを製造する際には、通常、幹線部分と分岐線部分とを別々に製造し、最終的にグロスアッセンブルして完成させる方法が採用されている。
【0003】
上記分岐線部分の製造工程としては、帯状に形成されたフラットケーブルの端末部分にコネクタを接続し、屈曲した経路を有する最終的な配索形態に対応させてフラットケーブルの適所を折り返し、クランプなどの外装部品を取り付けた後、当該分岐線部分のフラットケーブルと幹線部分を構成するフラットケーブルとを電気的に接続する手順が含まれている。
【0004】
ここで、分岐線部分を構成するフラットケーブルを折り返す工程では、予め設定された配索形態に沿ってフラットケーブルを図板上へ配索するとともに、この配索の過程において予め設定された折り返し位置でフラットケーブルを折り返していくようにしていた。この種の折り返しには、具体的に特願2002−138912号公報に示されるフラットケーブルの折り返し加工装置10のような装置が用いられている。
【0005】
図1は、フラットケーブルの折り返し加工装置10の構成を示す一部拡大斜視図であり、(A)は折り返し加工装置10の操作前の状態、(B)は折り返し加工装置10の操作後の状態をそれぞれ示している。
【0006】
図1の(A)を参照して、折り返し加工装置10は、ベースブロック11を備えている。このベースブロック11は、フラットケーブルFの配索経路PH1に沿って図板上に立設された支持部2aによって、図板本体2上に固定されている。また、ベースブロック11には、配索経路PH1に沿ってフラットケーブルFを保持するための位置決めブロック12が一対のボルト12aによって固定されている。位置決めブロック12には、切り欠き部12bが設けられ、この切り欠き部12bと上記ベースブロック11の上面とでスリット12cを区画している。フラットケーブルFは、このスリット12cへそのシート幅方向へ収容され、位置決めブロック12の方向規定部としてのガイド面12dに沿うように前方へ折り返される。
【0007】
図1の(B)に示すように、折り返されたフラットケーブルFは、ベースブロック11へ揺動可能に設けられた駆動ブロック14を揺動することによって、その折り返し部位がベースブロック11と駆動ブロック14との間で挟圧され、塑性変形する。
【0008】
上述のようなフラットケーブルFの折り返し加工装置10を用いることによって、従来フラットケーブルFを図板上へ保持するとともに、予め定められた折り返し位置で折り返すといった作業を行っていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フラットケーブルFは、折り返し加工装置10のスリット12cによって保持されるため、当該スリット12cの一方向(すなわち、フラットケーブルFの挿入方向)へ抜け出てしまうことがあった。特に製造対象となるフラットケーブルFが複数箇所で折り返されると、その配索経路は複数方向へ向かうこととなるため、当該フラットケーブルFをスリット12cへ安定して保持するのが困難であった。
【0010】
また、上記配索経路PH1には、近接した2箇所で連続してフラットケーブルFを折り返す、いわゆる連続折り返し作業を必要とする場合がある。このような場合には、図2に示すように上記折り返し加工装置10を各折り返し箇所へ配置して、フラットケーブルFを連続して折り返していた。
【0011】
図2は、連続折り返し作業を行うために配置された折り返し加工装置10を示す一部拡大斜視図である。
【0012】
図2を参照して、例えば上記配索経路PH1が前方へ折り返した後、その近接位置で連続して左方へ折り返す場合、上記折り返し加工装置10が配索経路PH1上の各折り返し位置に対応して配置されている。上述したように、一方の折り返し加工装置10のスリット12cへ保持されたフラットケーブルFは、当該位置決めブロック12のガイド面12dに沿うように前方へ折り返される。折り返されたフラットケーブルFは、その下流側が他方の折り返し加工装置10のスリット12cへ収容され、当該位置決めブロック12のガイド面12dに沿うように左方へ折り返される。このように各折り返し位置で折り返されたフラットケーブルFは、各折り返し加工装置10の駆動ブロック14が揺動されることによって、その折目が塑性変形する。
【0013】
以上のように折り返されたフラットケーブルFは、上記配索経路PH1に沿って折り返され、形状付けされた状態で各折り返し加工装置10のスリット12cによって保持されている。加工後のフラットケーブルFを各折り返し加工装置10から取り外す際には、各折り返し加工装置10の駆動ブロック14を揺動して上記ベースブロック11の上方へ退避させるとともに、一方の折り返し位置を支点として、他方の折り返し位置を右方(矢印Y1で示す方向)へ回転させることによって、当該他方の折り返し位置をスリット12cから抜き出し、その後、一方の折り返し位置をスリット12cから後方(矢印Y2で示す方向)へ抜き出すといった作業を行っていた。
【0014】
しかしながら、各折り返し位置が近接しているため、上記矢印Y1へ回転させる回転半径(すなわち、各位置決めブロック12間の距離)が短く、そのため他方の折り返し位置をスリット12cから抜き出すためには、大きな回転角度で回転させなければならない。大きな回転角度で他方の折り返し位置を回転させると、その支点としての一方の折り返し位置は、当該折り返し位置を保持するスリット12cの保持する方向(すなわち前方)へ引張られ、当該スリット12cによってフラットケーブルFが破損してしまうおそれがあった。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、図板上の予め定められた配索経路へ安定してフラットケーブルを保持するとともに、折り返し、連続折り返し位置に配置される場合には、連続折り返し後のフラットケーブルを破損することなく、当該フラットケーブルを着脱可能とするケーブル保持具及び、これを用いたフラットケーブルの連続折り返し方法である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、加工対象となるシート状のフラットケーブルの配索経路に沿って当該フラットケーブルを保持するとともに、上記配策経路上の予め定められた2又は複数箇所の近接した折り返し位置のうちの少なくとも1箇所で当該フラットケーブルを折り返すためのケーブル保持具であって、
フラットケーブルの一方のシート面と当接した状態で当該フラットケーブルを載置可能な載置台と、
この載置台に設けられ、載置されたフラットケーブルが折り返し方向へ移動するのを規制する規制部と、
上記載置台に設けられ、フラットケーブルの他方のシート面側を覆うとともに、当該フラットケーブルがその折り返しと逆方向へ移動するのを規制する保持片と、
上記規制部に設けられ、上記保持片と協働してフラットケーブルの折り返し角度を規定する方向規定部とを有し、
上記保持片は、フラットケーブルの他方のシート面から退避してフラットケーブルを載置台へ着脱可能とする着脱ポジションと、フラットケーブルの他方のシート面を覆うことにより上記方向規定部によって規定された折り返し角度で折り返し可能となるように上記フラットケーブルを上記載置台へ保持する保持ポジションとの間で載置台に対して変位可能に設けられていることを特徴とするケーブル保持具である。
【0017】
この発明によれば、フラットケーブルの配索経路には、折り返し位置に対応してケーブル保持具が設けられている。フラットケーブルは、その一方のシート面が当接した状態でケーブル保持具の載置台へ載置され、保持片を保持ポジションとすることで載置台へ保持される。この状態で、フラットケーブルは、載置台、規制部及び、保持片によって、その移動を規制されているため、上述したスリットとは異なり、抜け出ることなく安定した状態で配索経路に沿って保持される。そして、フラットケーブルは、方向規定部に沿うように折り返されることで予め定められた折り返し方向へ折り返される。
【0018】
このようにして折り返されたフラットケーブルは、折り返し位置に折目が形成されるとともに、ケーブル保持具へ保持されている。この状態で、ケーブル保持具の保持片を着脱ポジションとすることによって、その保持状態が解除され、作業者は、フラットケーブルの他方のシート面側へ当該フラットケーブルを容易に取り外すことができる。
【0019】
さらに、保持片を着脱ポジションへ変位させることによって、折り返されたフラットケーブルをその他方のシート面側へ容易に取り外すことができる。そのため、上述したように、折り返し位置を回転させてフラットケーブルを破損させることなく、当該フラットケーブルをケーブル保持具から取り外すことができる。
【0020】
したがって、本発明のケーブル保持具は、図板上の予め定められた配索経路へ安定してフラットケーブルを保持するとともに、折り返し、連続折り返し位置に配置される場合には、連続折り返し後のフラットケーブルを破損することなく、当該フラットケーブルを着脱することができる。
【0021】
本発明の別の態様は、上記ケーブル保持具において、方向規定部に沿うように折り返されたフラットケーブルの折り返し部位を押圧するための押圧手段が設けられ、この押圧手段が上記載置台との間でフラットケーブルの折り返し部位を塑性変形する押圧ポジションと、フラットケーブルの折り返し部位から離間して載置台へフラットケーブルを着脱可能にする離間ポジションとの間で載置台に対して変位可能に設けられていることを特徴とするケーブル保持具である。
【0022】
この態様によれば、ケーブル保持具に押圧手段が設けられているため、方向規定部に沿うように折り返されたフラットケーブルの折り返し部位を容易に塑性変形することができる。また、押圧手段を離間ポジションへ変位するとともに、上記保持片を着脱ポジションへ変位させることによって、フラットケーブルを破損することなく、容易にケーブル保持具から取り外すことができる。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、加工対象となるシート状のフラットケーブルの配索経路に沿って当該フラットケーブルを保持するとともに、上記配索経路上の予め定められた少なくとも2箇所を、近接した位置で連続して折り返すためのフラットケーブルの連続折り返し方法であって、
上記配索経路上で第一の折り返し位置に対応して配置されたスリットへフラットケーブルをそのシート幅方向へ挿入して、第一の折り返し方向への移動を規制した状態で当該フラットケーブルが保持されるスリット挿入工程と、
上記スリットに設けられた方向規定部に沿うようにフラットケーブルを折り返して、折目を形成する第一折り返し工程と、
形成された折目を押圧して、塑性変形させる第一押圧工程と、
上記配策経路上で第二の折り返し位置に対応して配置されたケーブル保持具に設けられ、加工対象となるフラットケーブルを載置するための載置台に対して上記第一押圧工程の終了したフラットケーブルの一方のシート面を当接した状態で当該フラットケーブルを載置して、当該載置台に設けられた規制部によって、フラットケーブルが第二の折り返し方向への移動を規制される載置工程と、
上記載置台に設けられた保持片によって、載置されたフラットケーブルの他方のシート面を覆うとともに、当該フラットケーブルが第二の折り返しと逆方向へ移動するのを規制する保持工程と、
上記規制部に設けられた方向規定部に沿うようにフラットケーブルを折り返して、折目を形成する第二折り返し工程と、
上記保持片によるフラットケーブルの保持状態を保ったまま、上記第二折り返し工程において形成された折目を押圧して、塑性変形させる第二押圧工程と、
上記保持片によるフラットケーブルの保持状態を解除する解除工程とを含んでいることを特徴とするフラットケーブルの連続折り返し方法である。
【0024】
この方法によれば、スリット挿入工程で加工対象となるフラットケーブルをスリットへ保持させ、第一折り返し工程でフラットケーブルを第一方向規定部に沿うように折り返すことで折目を形成し、この折目が第一押圧工程で押圧され、塑性変形させられる。第一押圧工程の終了したフラットケーブルは、載置工程で、その一方のシート面が載置台と当接するとともに、規制部によって第二の折り返し方向への移動が規制された状態で、ケーブル保持具の載置台へ載置される。保持工程でフラットケーブルの他方のシート面が保持片によって被覆されるとともに、当該フラットケーブルが第二の折り返しと逆方向へ移動するのを規制され、第二折り返し工程で当該フラットケーブルが方向規定部に沿うように折り返され、折目が形成される。形成された折目は、第二押圧工程で塑性変形させられる。
【0025】
このように、各工程によって、フラットケーブルは、各折り返し位置で塑性変形させられる。そして、解除工程で保持片によるフラットケーブルの他方のシート面に対する保持状態を解除することによって、ケーブル保持具から当該フラットケーブルの取り外しが可能となる。その結果、スリットから当該フラットケーブルの取り外しが可能となる。
【0026】
また、ここでフラットケーブルの第一の折り返し位置でスリットを用いているが、これは、少なくとも2箇所の折り返し位置が近接しているため、一箇所を本発明のケーブル保持具としておけば、上記配索経路に沿って安定した状態でフラットケーブルを保持できるためである。そのため、少なくとも2箇所における全ての位置へ本発明のケーブル保持具を配置すれば、より安定してフラットケーブルを保持することができる。
【0027】
したがって、本発明のフラットケーブルの連続折り返し方法は、図板上の予め定められた配索経路へ安定してフラットケーブルを保持するとともに、連続折り返し後のフラットケーブルを破損することなく、当該フラットケーブルを着脱することができる。
【0028】
なお、「第一」及び、「第二」とは、「少なくとも2箇所」における「近接」するとともに「連続」した各1箇所を便宜上区別したものであり、作業順序等に基づくものではない。また、「少なくとも2箇所」とは、2箇所以上でもよい旨を規定したものであり、例えば複数の連続折り返し箇所がある場合には、その連続する折り返し位置に対応して交互に「スリット」、「ケーブル保持具」が配置されていればよく、少なくとも「スリット」が1箇所に配置されていれば上記と同様の効果を得ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について詳述する。
【0030】
図3は、本発明の実施形態に係るフラットケーブルFの製造図板1の概略構成を示す斜視図である。
【0031】
図3を参照して、製造図板1は、図板本体2を備えている。この図板本体2は、図示しない作業者側が下向きになるように傾斜した作業台であり、フラットケーブルFは、この図板本体2上で配索経路PH1に沿って配索される。なお、上記図板本体2上で作業者側を仮に前方と、図板本体2の長手方向で左右方向を仮に左右方向として以下説明する。
【0032】
図示の実施形態において、フラットケーブルFには、コネクタCが接続されており、上記図板本体2の配索経路PH1上で当該コネクタCに対応する位置には、コネクタホルダ3が設けられている。また、図板本体2上で配索経路PH1に対応する位置には、フラットケーブルFを保持する複数の中継保持具4が設けられている。
【0033】
図4は、図3の製造図板1におけるコネクタホルダ3と中継保持具4の概略構成を示す斜視図である。
【0034】
図3、図4を参照して、コネクタホルダ3は、ホルダブロック3aを含んでいる。このホルダブロック3aは、合成樹脂等で形成された略矩形の部材である。ホルダブロック3aは、上記図板本体2上に立設された支柱2aによって、図板本体2に固定されている。また、ホルダブロック3aには、コネクタCを収容可能な収容穴3bが設けられている。この収容穴3bは、右方及び、後方へ向けて開放しており、これら各方向からコネクタCを着脱可能に構成されている。さらに、ホルダブロック3aには、その左側面から上記収容穴3bへ貫通する収容溝3cが設けられている。この収容溝3cは、後方へ開いて左右方向へ向う溝である。収容溝3cの幅及び、深さ寸法は、それぞれフラットケーブルFの厚み、幅寸法に対応して、フラットケーブルFを収容可能に設定されている。このような収容穴3bへ後方からコネクタCを装着すると、当該コネクタCに接続されたフラットケーブルFが収容溝3cへ収容されるようになっている。なお、本実施形態において、フラットケーブルFは、コネクタC側から配索されるため、配索されるフラットケーブルFのコネクタC側を仮に上流側として以下説明する。
【0035】
上記中継保持具4は、上記コネクタホルダ3の下流側に設けられ、ベースブロック4aを含んでいる。このベースブロック4aは、合成樹脂等で形成された略矩形の部材である。ベースブロック4aは、上記図板本体2上に立設された支柱2aによって、図板本体2上に固定されている。また、ベースブロック4aの上面には、保持ブロック4bが一対のボルト4cによって固定されている。この保持ブロック4bは、光透過性の合成樹脂等で形成された板状部材である。また、保持ブロック4bの下面には、切り欠き部4dが設けられている。この切り欠き部4dと上記保持ブロック4bの上面によって、中継スリット4eが区画されている。この中継スリット4eは、前方へ開いて左右方向へ向う溝である。中継スリット4eの幅及び、深さ寸法は、それぞれフラットケーブルFの厚み、幅寸法に対応して、フラットケーブルFを収容可能に設定されている。このような中継保持具4は、上記図板本体2上の配索経路PH1に沿ってフラットケーブルFを前方から収容可能に構成されている。
【0036】
以上のようなコネクタホルダ3及び、中継保持具4によって、フラットケーブルFは、上記配策経路PH1に沿って図板本体2上に配索される。本実施形態では、上記配索経路PH1は、上記コネクタホルダ3の下流側で前方へ方向転換し(以下ここで前方へフラットケーブルFが折り返される位置を第一折り返し位置と示す)、その近接位置で左方向へ方向転換する(以下ここで左方向へフラットケーブルFが折り返される位置を第二折り返し位置と示す)ように設定されている。すなわち、上記配索経路PH1には、連続折り返し位置が設定されており、この連続折り返し位置に対応する図板本体2上には、保持具ユニット5が設けられている。
【0037】
図5は、図3の製造図板1における保持具ユニット5の構成を示す一部拡大斜視図である。
【0038】
図3、図5を参照して、保持具ユニット5は、上記第一折り返し位置に対応して図板本体2へ配置された上記折り返し加工装置10含んでいる。上述したように、この折り返し加工装置10は、スリット12cを備えており、図板本体2上で配索経路PH1に沿ってフラットケーブルFを配索するとともに、第一の折り返し位置で当該フラットケーブルを折り返し可能に構成されている。
【0039】
また、上記保持ベース11上で駆動ブロック14と当接する位置には、第一スイッチ15が設けられている。この第一スイッチ15は、保持ベース11に固定される図略の固定スリーブを含んでいる。この固定スリーブの上端部には、当該固定スリーブと上下方向へ相対変位可能な変位端部15aが設けられている。この変位端部15aは、保持ベース11の上方へ突出した状態で設置され、駆動ブロック14の当接によって、保持ベース11の上面と面一の状態へ変位するようになっている。この状態で第一スイッチ15は、図略の接点が接続され(以下この状態をONの状態と示す)、所定の電気信号を発信するようになっている。この電気信号は、上記固定スリーブの下端部に一端部が接続された電線15b及び、この電線15bの他端部に接続されたコネクタ15cを介して、図示を省略した周知の検査装置へ接続されている。
【0040】
上述したように、フラットケーブルFは、上述の折り返し加工装置10によって、第一折り返し位置で前方へ向けて折り返され、折り返されたフラットケーブルFは、ケーブル保持具20へ配索される。
【0041】
上記ケーブル保持具20は、上記図板本体2上で配索経路PH1の第二折り返し位置に対応して配置されている。また、ケーブル保持具20は、載置台21を備えている。この載置台21は、平面視で略長方形の金属等で形成された板状部材である。載置台21は、フラットケーブルFの配索経路PH1に沿って、図板本体2上に立設される一対の支柱部2a(図では1つ)によって、図板本体2上に固定されている。
【0042】
上記載置台21上の左方後端には、規制部としての規制ブロック22が設けられている。この規制ブロック22は、金属等で形成された略直方体のブロックである。折り返し加工装置10によって折り返されたフラットケーブルFは、その左辺Faが上記規制ブロック22の右側面と当接した状態で、かつそのシートの下面が載置台21の上面と当接した状態で載置台21上へ載置されるようになっている。すなわち、当該フラットケーブルFは、第二の折り返し方向への移動が規制された状態で載置台21へ載置されるようになっている。また、上記規制ブロック22の前面は、本実施形態において、後述する保持片23と協働して、フラットケーブルFの第二折り返し方向を規定する方向規定部としての指示面22aとして機能するようになっている。
【0043】
上記載置台21には、規制ブロック22から右方向へ延びる保持片23が設けられている。この保持片23は、平面視で略長方形の金属板である。保持片23の左端の下面には、前方、左方、後方及び、下方へ開く切り欠き部23aが設けられている。この切り欠き部23aと載置台21の上面と規制ブロック22の右側面とで収容部23bが区画されている。この収容部23bは、折り返し加工装置10によって折り返されたフラットケーブルFを収容可能に構成されている。すなわち、保持片23は、載置台21へ載置されたフラットケーブルFの上面を覆うように載置台へ設けられ、当該フラットケーブルの左右及び、上下方向への移動を規制している。
【0044】
また、上記保持片23の前後方向の略中央位置には、摺動孔23cが左右方向へ向けて設けられている。この摺動孔23cには、上記載置台21へ固定されたボルト23dが挿通し、このボルト23dの頭部23eの下面が上記保持片23の上面と当接している。すなわち、保持片23は、上方への移動を規制されるとともに、上述のように載置台21へ載置されたフラットケーブルFの上面を覆うようにする位置(以下保持ポジションと示す)と、当該フラットケーブルFの上面から退避した右方向位置(以下着脱ポジションと示す)との間で載置台21に対する左右方向へ移動可能に設けられている。
【0045】
さらに、上記保持片23の右端部には、操作部23fが立設されている。作業者がこの操作部23fを左右方向へ移動させることによって、保持片23は、上記保持ポジション及び、着脱ポジション間で移動するようになっている。
【0046】
上記載置台21の右端部には、前後方向で一対の支持部24が立設されている。前方の支持部24は、載置台21の前端部に位置する一方、後方の支持部24は、上記保持片23の前方に位置している。両支持部24は、前後方向へ延びる軸A2を支持している。この軸A2には、押圧手段としての押圧ブロック25の基端部が、両支持部24間で揺動可能に支持されている。この押圧ブロック25は、金属等で形成された略直方体のブロックである。一方、押圧ブロック25の先端部には、押圧凸部25aが後方へ向けて延設されている。また、押圧ブロック25は、上記軸A2を中心として回動されることによって、その底面及び、押圧凸部25aの底面が共に載置台21の上面と当接する押圧面25bとして機能するようになっている。
【0047】
上記押圧ブロック25の先端部には、面取り部25cが設けられている。この面取り部25cには、その法線方向へ向けて把持部25dが設けられている。
【0048】
また、上記載置台21上で押圧面25bと当接する位置には、第二スイッチ26が設けられている。この第二スイッチ26は、上記第一スイッチ15と同一の構成を有しているため、ここでは説明を省略する。
【0049】
図6〜図9は、それぞれ図5の保持具ユニット5の動作を示す平面図である。
【0050】
図6を参照して、作業者は、フラットケーブルFを折り返し加工装置10のスリット12c(図5参照)へ挿入する(スリット挿入工程)。次いで、作業者は、上記ガイド面12dに沿うようにフラットケーブルFを折り返して、第一折り返し部位Fbを形成する(第一折り返し工程)。次いで、作業者は、この第一折り返し部位Fbの折り返し状態を維持した状態で、駆動ブロック14を揺動させる。
【0051】
図7を参照して、駆動ブロック14を揺動させると、第一折り返し部位Fbは、駆動ブロック14と保持ベース11により挟圧され、塑性変形する(第一押圧工程)。次いで、作業者は、第一折り返し部位Fbより下流側のフラットケーブルFの左辺Faを規制ブロック22の右側面に当接させた状態でケーブル保持具20の載置台21へ当該フラットケーブルFを載置して(載置工程)、保持片23を保持ポジションへ移動させる(保持工程)ことにより、図8に示すように、フラットケーブルFは、当該保持片23によって、その上方が覆われるとともに、第二折り返しと逆方向への移動が規制された状態となる。この状態で、作業者は、指示面22aに沿うように当該フラットケーブルFを折り返して、第二折り返し部位Fcを形成する(第二折り返し工程)。次いで、作業者は、この第二折り返し部位Fcの折り返し状態を維持した状態で、把持部25dを掴んで、押圧ブロック25を揺動させる。
【0052】
図9を参照して、押圧ブロック25を揺動させると、第二折り返し部位Fcは、押圧ブロック25の押圧面25bと載置台21により挟圧され、塑性変形する(第二押圧工程)。すなわち、この状態で押圧ブロック25は、押圧ポジションに位置している。
【0053】
なお、図7の状態で第一スイッチ15が、図9の状態で第二スイッチ26が、駆動ブロック14及び、押圧ブロック25によって、それぞれONとされている。上記周知の検査装置は、これら第一・第二スイッチ15、26の電気信号に応じて、各作業が終了したか否かを検出し、所定の作業が終了すると作業者へ報知するようになっている。
【0054】
このように、折り返し加工装置10及び、ケーブル保持具20によって、第一・第二折り返し位置でフラットケーブルFを折り返すことができる。折り返されたフラットケーブルFは、上記押圧ブロック25を上記押圧ポジションから揺動させて、フラットケーブルFから離間させる(すなわち、図6〜8の状態、以下離間ポジションと示す)とともに、保持片23を着脱ポジションへ移動させる(解除工程)ことによって、ケーブル保持具20から取り外される。第二保持具から取り外されたフラットケーブルFは、折り返し加工装置10の駆動ブロック14を揺動させて図4の状態とすることによって、折り返し加工装置10のスリット12cから後方へ向けて取り外し可能となる。
【0055】
ところで、フラットケーブルFの折り返し位置は、上述のように第一・第二折り返し位置の2箇所に限定されることはなく、複数の折り返し位置がある場合には、その連続する折り返し位置に対して交互に折り返し加工装置10、ケーブル保持具20が配置されていればよく、さらには、少なくとも折り返し加工装置10が1箇所に配置され、その他の折り返し箇所にケーブル保持具20が配置されていればよい。
【0056】
また、上記実施形態は、上述のように折り返し加工装置10及び、ケーブル保持具20を第一・第二折り返し位置に対応して配置しているが、これに限定されることはない。例えば、上記第一・第二折り返し位置に対応して、それぞれケーブル保持具20を設ければ、フラットケーブルFは、各保持片23によって保持されるとともに、各指示面22aに沿うように折り返され、各押圧ブロック25を押圧ポジションとすることによって、第一・第二折り返し位置で折り返される。それとともに、折り返し後のフラットケーブルFは、各ケーブル保持具20の押圧ブロック25を離間ポジションへ揺動するとともに、保持片23を着脱ポジションとすることによって、各第二保持具から容易に取り外すことができる。
【0057】
さらに、上記実施形態において、ケーブル保持具20は、その保持片23が右方向へ移動することによって、着脱ポジションとされているが、これに限定されることはない。例えば、保持片23を上記押圧ブロック25と同様に載置台21に対して揺動可能として、この保持片23の揺動によって、フラットケーブルFの上面の保持状態を解除して、当該フラットケーブルFを抜き出し得るようにしてもよい。
【0058】
以上のように構成された保持具ユニット5は、フラットケーブルFの配索経路上の第一折り返し位置に対応して折り返し加工装置10を備えており、この折り返し加工装置10のスリット12c及び、ガイド面12dによって、フラットケーブルFが保持されるとともに、第一折り返し方向へ折り返される。折り返されたフラットケーブルFは、ケーブル保持具20の載置台21へ載置され、保持ポジションへ移動された保持片23によって保持される。この状態でフラットケーブルFは、左右及び上下方向への移動が規制された状態で保持されているため、安定した状態で保持されている。また、保持されたフラットケーブルFは、保持片23及び、指示面22aによって、第二折り返し方向へ折り返され、押圧ブロック25を押圧ポジションへ揺動することによって塑性変形させられる。
【0059】
第一・第二折り返し位置で折り返されたフラットケーブルFは、ケーブル保持具20の押圧ブロック25を離間ポジションへ揺動変化させるとともに、保持片23を着脱ポジションとすることによって、ケーブル保持具20から取り外される。ケーブル保持具20から取り外されたフラットケーブルFは、折り返し加工装置10のスリット12cから後方へ向けて取り外される。
【0060】
したがって、ケーブル保持具20は、上述のようなフラットケーブルFの連続折り返し方法で好適に使用され、図板上の予め定められた配索経路PH1へ安定してフラットケーブルFを保持するとともに、折り返し、フラットケーブルFを破損することなく当該フラットケーブルFを容易に着脱することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、スリット及び、ケーブル保持具によって予め定められた第一・第二の折り返し方向へフラットケーブルを折り返すことができるとともに、配索経路に沿ってフラットケーブルを保持することができる。また、ケーブル保持具には、載置台と相対変位可能な保持片が設けられているため、この保持片を保持ポジションへ変位されると、載置台、規制部及び、保持片によって、フラットケーブルは、その移動が規制され、安定した状態で配索経路に沿って保持される。
【0062】
一方、上記保持片を着脱ポジションへ変位させることによって、ケーブル保持具の保持状態を解除し、フラットケーブルを破損することなく、容易にケーブル保持具から取り外すことができる。その結果、当該フラットケーブルは、スリットからも容易に取り外すことができる。
【0063】
また、上記ケーブル保持部には、載置台と変位可能な押圧手段が設けられているため、方向規定部に沿うように折り返されたフラットケーブルを容易に塑性変形させることができる。
【0064】
したがって、本発明のケーブル保持具は、図板上の予め定められた配索経路へ安定してフラットケーブルを保持するとともに、折り返し、連続折り返し位置に配置される場合には、連続折り返し後のフラットケーブルを破損することなく、当該フラットケーブルを着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フラットケーブルの折り返し加工装置の構成を示す一部拡大斜視図であり、(A)は折り返し加工装置の操作前の状態、(B)は折り返し加工装置の操作後の状態をそれぞれ示している。
【図2】 連続折り返し作業を行うために配置された折り返し加工装置を示す一部拡大斜視図である。
【図3】 本発明の実施形態に係るフラットケーブルの製造図板の概略構成を示す斜視図である。
【図4】 図3の製造図板におけるコネクタホルダと中継保持具の概略構成を示す斜視図である。
【図5】 図3の製造図板におけるケーブル保持具の構成を示す一部拡大斜視図である。
【図6】 図5のケーブル保持具の動作を示す平面図である。
【図7】 図5のケーブル保持具の動作を示す平面図である。
【図8】 図5のケーブル保持具の動作を示す平面図である。
【図9】 図5のケーブル保持具の動作を示す平面図である。
【符号の説明】
F フラットケーブル
Fc 第二折り返し部位
PH1 配索経路
5 保持具ユニット
10 折り返し加工装置
12c スリット
12d ガイド面
20 ケーブル保持具
21 載置台
22 規制ブロック
22a 指示面
23 保持片
25 押圧ブロック
Claims (3)
- 加工対象となるシート状のフラットケーブルの配索経路に沿って当該フラットケーブルを保持するとともに、上記配策経路上の予め定められた2又は複数箇所の近接した折り返し位置のうちの少なくとも1箇所で当該フラットケーブルを折り返すためのケーブル保持具であって、
フラットケーブルの一方のシート面と当接した状態で当該フラットケーブルを載置可能な載置台と、
この載置台に設けられ、載置されたフラットケーブルが折り返し方向へ移動するのを規制する規制部と、
上記載置台に設けられ、フラットケーブルの他方のシート面側を覆うとともに、当該フラットケーブルがその折り返しと逆方向へ移動するのを規制する保持片と、
上記規制部に設けられ、上記保持片と協働してフラットケーブルの折り返し角度を規定する方向規定部とを有し、
上記保持片は、フラットケーブルの他方のシート面から退避してフラットケーブルを載置台へ着脱可能とする着脱ポジションと、フラットケーブルの他方のシート面を覆うことにより上記方向規定部によって規定された折り返し角度で折り返し可能となるように上記フラットケーブルを上記載置台へ保持する保持ポジションとの間で載置台に対して変位可能に設けられていることを特徴とするケーブル保持具。 - 請求項1に記載のケーブル保持具において、方向規定部に沿うように折り返されたフラットケーブルの折り返し部位を押圧するための押圧手段が設けられ、この押圧手段が上記載置台との間でフラットケーブルの折り返し部位を塑性変形する押圧ポジションと、フラットケーブルの折り返し部位から離間して載置台へフラットケーブルを着脱可能にする離間ポジションとの間で載置台に対して変位可能に設けられていることを特徴とするケーブル保持具。
- 加工対象となるシート状のフラットケーブルの配索経路に沿って当該フラットケーブルを保持するとともに、上記配索経路上の予め定められた少なくとも2箇所を、近接した位置で連続して折り返すためのフラットケーブルの連続折り返し方法であって、
上記配索経路上で第一の折り返し位置に対応して配置されたスリットへフラットケーブルをそのシート幅方向へ挿入して、第一の折り返し方向への移動を規制した状態で当該フラットケーブルが保持されるスリット挿入工程と、
上記スリットに設けられた方向規定部に沿うようにフラットケーブルを折り返して、折目を形成する第一折り返し工程と、
形成された折目を押圧して、塑性変形させる第一押圧工程と、
上記配策経路上で第二の折り返し位置に対応して配置されたケーブル保持具に設けられ、加工対象となるフラットケーブルを載置するための載置台に対して上記第一押圧工程の終了したフラットケーブルの一方のシート面を当接した状態で当該フラットケーブルを載置して、当該載置台に設けられた規制部によって、フラットケーブルが第二の折り返し方向への移動を規制される載置工程と、
上記載置台に設けられた保持片によって、載置されたフラットケーブルの他方のシート面を覆うとともに、当該フラットケーブルが第二の折り返しと逆方向へ移動するのを規制する保持工程と、
上記規制部に設けられた方向規定部に沿うようにフラットケーブルを折り返して、折目を形成する第二折り返し工程と、
上記保持片によるフラットケーブルの保持状態を保ったまま、上記第二折り返し工程において形成された折目を押圧して、塑性変形させる第二押圧工程と、
上記保持片によるフラットケーブルの保持状態を解除する解除工程とを含んでいることを特徴とするフラットケーブルの連続折り返し方法。
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