JP3829564B2 - 車両の排気系構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の排気系構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の排気系は、図4に示すように、排ガスの流れる方向に沿ってエキゾーストマニホルド51、触媒コンバータ52、サブマフラ54、メインマフラ55、テールパイプ56がこの順で配置されると共に各々が排気管61〜63によって接続され、予め定められた複数の位置にてサポート部材71,72により車体に支持された構造を有している。この車両の排気系では、エキゾーストマニホルド51と触媒コンバータ52との間の排気管61に振動吸収用のフレキシブルパイプ65が取り付けられている。もしフレキシブルパイプ65がないとすれば、エンジンのローリング、ピッチング等による振動あるいは悪路走行時における振動を受けてサポート部材71,72が共振して耳障りな車内音が発生することがあるため、フレキシブルパイプ65を設けることにより上記振動を吸収してサポート部材71,72の共振を抑制し、車内音を低減させているのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図4の構成では、フレキシブルパイプ65を取り付けるためのスペースを確保する必要があるため、そのようなスペースが確保できない場合には採用できないという問題があった。また、フレキシブルパイプ65を使用するため、その分コストが嵩むという問題もあった。
【0004】
本発明は上記問題点を解決することを課題とするものであり、別部品を使用することなく簡単な構成により車内音を低減可能な車両の排気系構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するため、本発明は、排気系を構成する排気管を予め定められた位置にてサポート部材によって車体に支持する車両の排気系構造であって、
車内音に影響を与える位置のサポート部材の振動レベルが車両上下方向の振動レベルである場合には前記排気管の断面は上下方向に潰されて扁平化され、車内音に影響を与える位置のサポート部材の振動レベルが車両左右方向の振動レベルである場合には前記排気管の断面は左右方向に潰されて扁平化されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の車両の排気系構造では、排気管の断面を扁平化することにより、扁平化する前に比べて排気系構造の振動の位相をずらして車内音に影響を与える位置に取り付けられたサポート部材の振動レベルを小さくすることが可能となり、その結果車内音を低減させることができる。
また、車内音に影響を与える位置のサポート部材の振動レベルが車両上下方向の振動レベルである場合には排気管の断面は上下方向に潰されて扁平化され、車内音に影響を与える位置のサポート部材の振動レベルが車両左右方向の振動レベルである場合には排気管の断面は左右方向に潰されて扁平化されているので、サポート部材の振動レベルが車両上下方向の振動レベルの場合には、排気管の断面を上下方向に潰して扁平化すると振動の位相がずれて効果的に振動レベルの低減化を図ることができる。
また、サポート部材の振動レベルが車両左右方向の振動レベルの場合には、排気管の断面を左右方向に潰して扁平化すると振動の位相がずれて効果的に振動レベルの低減化を図ることができる。
【0007】
このように本発明の車両の排気系構造によれば、従来のようにフレキシブルパイプを別部品として使用することなく、排気管の断面を扁平化させるという簡単な構成によって車内音の低減を実現できるという効果が得られる。
本発明の車両の排気系構造では、車内音に影響を与える位置のサポート部材のうち所定のエンジン回転数に対応した振動レベルが低減するように、排気管の断面が扁平化されていることが好ましい。即ち、車内音に影響を与える位置のサポート部材は、エンジン回転数に対する振動レベルをみたとき複数のピークが存在するが、車内音に大きな影響を与えるエンジン回転数に対応した振動レベルを低減させることが、車内音を効果的に低減させるうえで好ましい。なお、車内音に大きな影響を与えるエンジン回転数は、各車種によって異なることがある。
【0008】
本発明の車両の排気系構造では、エキゾーストマニホルドと触媒コンバータとの間の排気管の断面が扁平化されていることが好ましい。この場合、エキゾーストマニホルドと触媒コンバータとの間の排気管がエンジンに近いため、エンジンのローリング、ピッチング等による振動の位相を効果的にずらすことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の車両の排気系の概略説明図、図2は図1のA−A断面図である。
本実施形態の車両の排気系は、排ガスの流れる方向に沿ってエキゾーストマニホルド1、触媒コンバータ2、触媒コンバータ3、サブマフラ4、メインマフラ5、テールパイプ6がこの順で配置されると共に各々が排気管(第1〜第4排気管11〜14)によって接続され、予め定められた複数の位置に設けられたサポート部材(第1及び第2サポート部材21,22)により車体(図示略)に支持されている。
【0011】
排気管は、エキゾーストマニホルド1と触媒コンバータ2とを連結する第1排気管11、触媒コンバータ2と触媒コンバータ3とを連結する第2排気管12、触媒コンバータ3とサブマフラ4とを連結する第3排気管13、サブマフラ4とメインマフラ5とを連結する第4排気管14から構成されている。このうち、第1排気管及11び第4排気管14は、その途中に継ぎ手としてのフランジ11a,14aが介在している。また、第1排気管11は、エキゾーストマニホルド1との接続部分から車両上下方向に延び出したあと屈曲されて(屈曲部分11bという)、車両後方に延び出すように形成されている。この屈曲部分11bは、図2に示すようにその断面が上下方向に潰されて扁平化されている。
【0012】
第1サポート部材21は、触媒コンバータ3とサブマフラ4とを連結する第3排気管13を車体に支持するものであり、第2サポート部材22は、メインマフラ5を車体に支持するものである。
ところで、この車両の排気系はエンジンのローリング、ピッチング等による振動あるいは悪路走行時における振動を受けるため、これにより第1及び第2サポート部材21,22が振動する。この車両では、第1サポート部材21の取付位置が車内音に大きな影響を与える位置に相当し、エンジン回転数4500rpm付近における第1サポート部材21の振動レベルが最も車内音に影響を与える。ここで、図3はエンジン回転数と第1サポート部材21の振動レベルとの関係を表すグラフであり、実線は本実施形態に関するものであり、破線は比較形態に関するものである。なお、比較形態は第1排気管11の屈曲部分11bが扁平化されていない点を除き本実施形態と同じ構成である。
【0013】
この図3において、最も車内音に影響を与えるエンジン回転数4500rpmにおける振動レベルに注目すると、比較形態では振動レベルが80dBを超えているのに対し、第1排気管11が扁平された本実施形態では振動レベルが65dBまで低減されている。その結果、本実施形態では比較形態に比べて車内音が低減される。
【0014】
また、グラフの全体形状をみると、本実施形態のグラフパターンは比較形態のグラフパターンをエンジン回転数の低い側にシフトしたものとなっている。なお、第1排気管11をどの程度扁平するかについては振動レベルの低減具合を見ながら決定する。その際、大きく扁平させるほどグラフパターンがエンジン回転数の低い側に大きくシフトするが、あまりにも大きく扁平させると、グラフパターンがシフトし過ぎてエンジン回転数4500rpmにおける振動レベルが再び増加してしまったり、排気管の不具合(割れ等)が発生したりするおそれがあるため、これらを考慮して適宜定めることになる。
【0015】
このように、本実施形態の車両の排気系によれば、第1排気管11の屈曲部分11bの断面を扁平化することにより、扁平化する前に比べて排気系全体の振動の位相をずらし、車内音に影響を与える位置に取り付けられた第1サポート部材21の振動レベルを小さくすることが可能となり、その結果車内音を低減させることができる。したがって、従来のようにフレキシブルパイプを別部品として使用することなく、第1排気管11の断面を扁平化させるという簡単な構成によって車内音の低減を実現できるという効果が得られる。
【0016】
尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では第1排気管11の屈曲部分11bを扁平化したが、第1サポート部材21の振動レベルを小さくすることができるのであれば、第1排気管11の他の部分あるいは他の排気管12〜14を扁平化しても構わない。但し、第1排気管11は他の排気管に比べてエンジンに近いため、エンジンのローリング、ピッチング等による振動の位相を効果的にずらすことができ、この点で好ましい。
【0017】
また、上記実施形態では第1サポート部材21の振動レベルが車両上下方向の場合について説明したが、第1サポート部材21の振動レベルが車両左右方向の場合には第1排気管11の断面を左右方向に潰して扁平化すればよい。これにより、振動の位相がずれて効果的に振動レベルの低減化を図ることができる。
【0018】
更に、上記実施形態では触媒コンバータ2と触媒コンバータ3の二つを用いたが、図4のように触媒コンバータが一つの場合(三元触媒)であっても本発明を同様に適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の車両の排気系の概略説明図である。
【図2】 図1のA−A断面図である。
【図3】 エンジン回転数と第1サポート部材の振動レベルとの関係を表すグラフである。
【図4】 従来の車両の排気系の概略説明図である。
【符号の説明】
1・・・エキゾーストマニホルド、2・・・触媒コンバータ、3・・・触媒コンバータ、4・・・サブマフラ、5・・・メインマフラ、6・・・テールパイプ、11〜14・・・第1〜第4排気管、11b・・・屈曲部分、21,22・・・第1及び第2サポート部材。

Claims (3)

  1. 排気系を構成する排気管を予め定められた位置にてサポート部材によって車体に支持する車両の排気系構造であって、
    車内音に影響を与える位置のサポート部材の振動レベルが車両上下方向の振動レベルである場合には前記排気管の断面は上下方向に潰されて扁平化され、車内音に影響を与える位置のサポート部材の振動レベルが車両左右方向の振動レベルである場合には前記排気管の断面は左右方向に潰されて扁平化されていることを特徴とする車両の排気系構造。
  2. 請求項1記載の車両の排気系構造であって、
    前記車内音に影響を与える位置のサポート部材のうち所定のエンジン回転数に対応した振動レベルが低減するように、前記排気管の断面が扁平化されている車両の排気系構造。
  3. 請求項1又は2記載の車両の排気系構造であって、
    車内音に影響を与える位置のサポート部材の振動レベルが低減するように、前記エキゾーストマニホルドと前記触媒コンバータとの間の排気管の断面が扁平化されている車両の排気系構造。
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