JP3800456B2 - 車両用排気消音装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘルムホルツ共鳴によるレゾネータ効果にて特定の周波数の排気音もしくはシステム共鳴音を消音させるレゾネータ室をエンジン排気系に備えた車両用排気消音装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用排気消音装置としては、図19に示すように、マフラ内に第1拡張室及び第2拡張室と共にヘルムホルツ共鳴によるレゾネータ効果にて特定の周波数の排気音もしくはシステム共鳴音を消音させるレゾネータ室を設定したものが最も一般的に知られている(第1従来例)。
【0003】
図19の従来例に対し、レゾネータ室をマフラ内から分離させた従来の車両用排気消音装置としては、図20に示すように、排気管と同軸配置のリヤマフラによりレゾネータ室を確保したものが知られている(第2従来例)。
【0004】
また、レゾネータ室をマフラ内から分離させた従来の車両用排気消音装置としては、実開昭64−47922号公報や実公平1−30576号公報等に記載されているように、排気管の途中からレゾネータ首部を分岐させ、レゾネータ首部の端部にレゾネータマフラを設けたものが知られている(第3従来例)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の車両用排気消音装置にあつては、下記に述べる問題点がある。
【0006】
(1) 第1従来例
・マフラレイアウト上の制約からマフラ全体容量が限られ、消音に必要な十分な容量に設定できない。
【0007】
・マフラ内の位置に限られ、音響的に最適な位置である音圧モードのピーク位置に設定できない。
【0008】
・レゾネータ効果のみによる消音に限られる。
【0009】
(2) 第2従来例
・レイアウト上の制約から音響的に最適な位置である音圧モードのピーク位置に設定できない。
【0010】
・レゾネータ効果のみによる消音に限られる。
【0011】
(3) 第3従来例
・排気管とレゾネータマフラを接続するレゾネータ首部の長さが短いため、ブランチ効果を期待することができず、消音効果としてはレゾネータ効果のみによる消音に限られる。
【0012】
・レゾネータ首部の長さが短いため、レゾネータマフラを車両の床下に設定する場合に、排気管から遠く離れた空きスペースに設定することができず、レイアウト自由度が低い。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、レゾネータ効果とブランチ効果により多くの周波数帯域で消音効果が得られると共にレゾネータマフラのレイアウト自由度やマフラ素材選択自由度が高い車両用排気消音装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
(解決手段)
上記課題の解決手段(請求項1)は、ヘルムホルツ共鳴によるレゾネータ効果にて特定の周波数の排気音を消音させるレゾネータ室をエンジン排気系に備え、前記レゾネータ室を、排気管(7)の外部に配置される独立のレゾネータマフラ(9)に形成し、該レゾネータマフラ(9)と排気管(7)とを接続するレゾネータ首部を、特定の周波数の排気音もしくはシステム共鳴音を消音させるブランチ効果を発生するエンジン回転数の範囲を700rpm〜6400rpmに設定し、エンジン爆発3次成分までブランチ効果を出し得る長さに設定したブランチ管(8)とした車両用排気消音装置において、
前記ブランチ管(8)として、合成ゴムや合成樹脂等の振動吸収材を素材とする振動吸収ブランチ管(10)を用い、
前記振動吸収ブランチ管(10)と排気管(7)との接続部を、排気管(7)に接続される内管(20)と振動吸収ブランチ管(10)に接続される外管(21)による二重管構造とし、且つ、内管(20)と外管(21)との間には両端部の2点接合により空気層(22)を形成したことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1は、請求項1,2に記載の発明に対応する車両用排気消音装置である。
【0020】
図1は実施の形態1の車両用排気消音装置を示す全体図である。
【0021】
図1において、1はエンジン、2はエキゾーストマニホールド、3は第1排気管、4は触媒コンバータ、5は第2排気管、6はメインマフラ、7は第3排気管(排気管)、8はブランチ管、9はレゾネータマフラである。
【0022】
前記エンジン1からの排気ガスは、エキゾーストマニホールド2→第1排気管→触媒コンバータ4→第2排気管5→メインマフラ6→第3排気管7という排気系を経過して外部に排出される。
【0023】
この排気系では、メインマフラ6での拡張や干渉や吸収や抵抗等の作用を伴って主たる消音が行なわれるが、メインマフラ6での消音を補足したり、排気消音系の共鳴特性を改善する目的で、第3排気管7に、ブランチ管8を介してレゾネータマフラ9が設けられている。
【0024】
前記レゾネータマフラ9は、内部が設定された容積を持つレゾネータ室であり、第3排気管7の外部に独立に配置される。
【0025】
前記ブランチ管8は、レゾネータマフラ9と第3排気管7とを接続する管であり、特定の周波数の排気音もしくはシステム共鳴音を消音させるブランチ効果を発生するエンジン回転数の範囲を700rpm〜6400rpmに設定し、エンジン爆発3次成分までブランチ効果を出し得る長さに設定される。そして、第3排気管7に対するブランチ管8の接続位置は、図1に示すように、音響的に最適な排気系の音圧モードのピーク位置に設定されている。
【0026】
尚、ブランチ管8は、図1に示すように、第3排気管7から分岐させた直管でも良いが、第3排気管7から遠く離れた空きスペースに設定することを考慮し、図2に示すように、第3排気管7から分岐させた曲管によるブランチ管8’としても良い。
【0027】
次に、作用を説明する。
【0028】
[ブランチ管8の長さ設定]
具体的なブランチ管8の長さの設定例について説明する。
【0029】
まず、ブランチ効果を発生するエンジン回転数の範囲を700rpm〜6400rpmに設定し、エンジン爆発3次成分までブランチ効果を出すという条件を与えると、4気筒エンジンと6気筒エンジンによるエンジン爆発1次,エンジン爆発2次,エンジン爆発3次の周波数範囲は、図3の表に示す値となる。
【0030】
一方、エンジン爆発の周波数F(以下、ブランチ周波数Fという)は、
F=C/(2L) …(1) C:音速、L:ブランチ長さ
の式で与えられるので、ブランチ長さLは(1) 式から、
L=C/(2F) …(2)
となる。
【0031】
一番ブランチ長さLが短くなる条件は、図3の表で○印で示される、6気筒,6400rpm,エンジン爆発3次のブランチ周波数F(=960Hz)となる。
【0032】
よって、6400rpmでの排気ガス温度を800℃とした場合、上記(2) 式のCを800℃での音速、Fを960Hzとすると、ブランチ長さLは、L=342.2mmとなる。
【0033】
この結果、ブランチ管8のブランチ長さLは、342.2mm以上であれば、本願でのブランチ効果発生条件を満足することになる。但し、4次成分以降を対策する場合、この限りでない。
【0034】
[レゾネータ効果とブランチ効果による消音作用]
実施の形態1の車両用排気消音装置では、メインマフラ6にて消音された後、レゾネータマフラ9によるレゾネータ効果とブランチ管8によるブランチ効果により、多数の特定周波数域の排気音が消音される作用を示す。
【0035】
ここで、本発明者が行なった実験データによりレゾネータ効果とブランチ効果による消音作用を説明する。
【0036】
まず、実験での供試品仕様は、図4に示すように、全長L0(=4160mm)の直管パイプによる排気管と、全長L0が同じで騒音入力側からL1(=3085mm)の位置にブランチ管を接続することができる排気管と、2120mmブランチ+レゾネータ(Δ1仕様)と、1450mmブランチ+レゾネータ(Δ2仕様)と、1450mmブランチのみ(Δ2−1仕様)と、900mmブランチ+レゾネータ(Δ3仕様)と、500mmブランチ+レゾネータ(Δ4仕様)を用意した。尚、レゾネータは全て2.3リットルの容積を持つものである。
【0037】
1450mmブランチのみであるΔ2−1仕様の場合は、図5に示すように、59.2Hzと177.6Hzの周波数域でブランチ効果がみられた。
【0038】
直管パイプによる排気管の場合、図6に示すように、20Hz付近と60Hz付近と100Hz付近と144.5Hzで共鳴ピークがあらわれた。
【0039】
2120mmブランチ+レゾネータのΔ1仕様の場合は、図6に示すように、21.0Hzの周波数域でレゾネータ効果がみられ、81.0Hzと162.0Hzの周波数域でブランチ効果がみられた。
【0040】
1450mmブランチ+レゾネータのΔ2仕様の場合は、図7に示すように、25.3Hzの周波数域でレゾネータ効果がみられ、118.4Hzの周波数域でブランチ効果がみられた。
【0041】
900mmブランチ+レゾネータのΔ3仕様の場合は、図8に示すように、32.0Hzの周波数域でレゾネータ効果がみられ、190.8Hzの周波数域でブランチ効果がみられた。
【0042】
500mmブランチ+レゾネータのΔ4仕様の場合は、図9に示すように、42.4Hzの周波数域でレゾネータ効果がみられ、200Hz以上の図外の周波数域でブランチ効果がみられた。
【0043】
すなわち、レゾネータ効果もブランチ効果もブランチの長さが短くなるにしたがって、高周波数側にシフトするもので、ブランチの長さを、例えば、300mm以下とすると、ブランチ効果が得られる周波数域が消音したい常用の周波数域から外れてしまう。
【0044】
次に、効果を説明する。
【0045】
(1) エンジン排気系のレゾネータ室を、第3排気管7の外部に配置される独立のレゾネータマフラ9に形成し、該レゾネータマフラ9と第3排気管7とを接続するレゾネータ首部を、特定の周波数の排気音もしくはシステム共鳴音を消音させるブランチ効果を発生するエンジン回転数の範囲を700rpm〜6400rpmに設定し、エンジン爆発3次成分までブランチ効果を出し得る長さに設定したブランチ管8としたため、レゾネータ効果とブランチ効果により多くの周波数帯域で消音効果が得られると共にレゾネータマフラ9のレイアウト自由度やマフラ素材選択自由度が高い車両用排気消音装置を提供することができる。
【0046】
すなわち、ブランチ管8が長くなるのを利用して、レゾネータマフラ9を第3排気管7から遠く離れた空きスペースに設定することができるし、排気系の熱影響を受けない離れた位置にレゾネータマフラ9を設定する場合、レゾネータマフラ9を成形性の高い樹脂マフラやアルミ合金を素材とする軽量のアルミマフラとすることができる。
【0047】
(2) 第3排気管7とブランチ管8との接続位置を、音響的に最適な排気系の音圧モードのピーク位置に設定したため、小さなマフラ容量でより大きな消音効果を得ることができる。
【0048】
ここで、排気系の音圧モードのピーク位置は、例えば、図10に示すように、排気系全体の音響シミュレーション解析により、センターマフラから後方のパイプ上に沿って、周波数範囲50〜60Hzと50〜130Hzの音圧モードを計算させ、計算による音圧モードがピークになるセンターマフラからLだけ離れた位置をピーク位置として決める。
【0049】
この排気系音響シミュレーション装置により、パイプの端部に近い位置にリヤマフラ(容積3.7リットル)を設定した現行システムと、最適位置にレゾネータマフラ9(容積2.3リットル)を設定した実施の形態1のシステムでの吐出音特性比較試験を行なった結果が図11に示す特性であり、この結果、エンジン回転数が2000〜2300rpm程度の常用回転数域で大きな吐出音低減効果がみられ、現行システムより小さなマフラ容量でより大きな消音効果を得ることが確認された。
【0050】
(実施の形態2)
実施の形態2は、請求項3記載の発明に対応する車両用排気消音装置である。
図12は実施の形態2の車両用排気消音装置の要部を示す斜視図である。
【0051】
この実施の形態2は、実施の形態1の車両用排気消音装置において、ブランチ管として、合成ゴムや合成樹脂等の振動吸収材を素材とする振動吸収ブランチ管10を用いた例である。
【0052】
前記振動吸収ブランチ管10は、第3排気管7の分岐短管7aに一端側が差し込まれ、レゾネータマフラ9の接続部9aに他端側が差し込まれ、それぞれの接続位置でバンド等により固定される。
【0053】
前記レゾネータマフラ9は、樹脂製マフラとされ、車体側へリジッドに固定するためのマフラ固定用フランジ9bが4か所に一体成形されている。
【0054】
図13(イ) と図13(ロ) はレゾネータマフラ9を車両床下に固定した状態を示す図である。
【0055】
図13(イ) の場合はストレートボルト11によりレゾネータマフラ9を車両床下に固定し、図13(ロ) の場合はU字ボルト12によりレゾネータマフラ9を車両床下に固定している。
【0056】
図14(イ) はボルトとフランジとの結合部を示す図で、ストレートボルト11とマフラ固定用フランジ9bとの間には、図14(ロ) に示すラバー13と、図14(ハ) に示すスリーブ14とが介装され、2つのナット15,16と2つのワッシャ17,18によりラバー13とスリーブ14とを挟みつけて固定される。
【0057】
次に、実施の形態2で振動吸収ブランチ管10を採用したことによるメリットを、金属ブランチ管を用いた場合と対比して述べる。
【0058】
まず、本発明ではブランチ効果を得ることを1つの目的としてることで、ブランチ管の長さは長くなり、この長いブランチ管を金属ブランチ管とすると、下記に列挙する問題点が生じる。
【0059】
・ブランチ管を製造する段階でパイプ形状が決まってしまい、例えば、車種等が異なる毎に形が異ならせた多種類のブランチ管を用意する必要があるし、レゾネータマフラのレイアウトもブランチ管の形状で決まってしまう。
【0060】
・ブランチ管がエンジンや路面からの振動をそのまま受けるため、排気管との接続部に亀裂等の不具合が発生し易い。
【0061】
・レゾネータマフラを車体に支持する際、ブランチ管を介して伝達される振動を吸収するため、車体側ブラケットとマフラ側ブラケットとの間にマウントラバーを介装した弾性支持構造が必要となる。
【0062】
これに対し、振動吸収ブランチ管10を用いた場合、上記問題点が下記のように解消される。
【0063】
・管素材である合成ゴムや合成樹脂等が持つ変形性により、振動吸収ブランチ管10を取り付ける段階で形状適合させることができ、車種等が異なっても1種類の振動吸収ブランチ管10を用意しておくだけで良いし、また、車両床下の空きスペースに振動吸収ブランチ管10を沿わせることができ、レゾネータマフラ9のレイアウト自由度も拡大する。
【0064】
・エンジンや路面からの振動は振動吸収ブランチ管10により吸収されるため、第3排気管7との接続部に亀裂等の不具合が発生することが抑えられる。
【0065】
・第3排気管7からレゾネータマフラ9へ伝達される振動は振動吸収ブランチ管10により吸収されるため、レゾネータマフラ9を車体に対してリジッドに固定することができ、図13(ハ) に示すような従来の車体側ブラケットやマフラ側ブラケットやマウントラバーが簡素化され、コストダウンとなる。
【0066】
(実施の形態3)
実施の形態3は、請求項4記載の発明に対応する車両用排気消音装置である。図15は実施の形態3の車両用排気消音装置の振動吸収ブランチ管の排気管接続部を示す断面図である。
【0067】
この実施の形態3は、実施の形態2の車両用排気消音装置において、振動吸収ブランチ管の排気管接続部を断熱継手構造とした例である。
【0068】
すなわち、振動吸収ブランチ管10と第3排気管7との接続部を、第3排気管7に接続される内管20と振動吸収ブランチ管10に接続される外管21による二重管構造とし、且つ、内管20と外管21との間には両端部の2点接合により空気層22を形成した構造としたものである。尚、第3排気管7と内管20の接続及び内管20と外管21の接続は溶接によってなされ、外管21に対する振動吸収ブランチ管10の接続は固定用バンド23によってなされる。また、空気層22を形成することで第3排気管7により熱が伝わる内管20の表面温度に対し外管21の表面温度は低くなる。
【0069】
次に、実施の形態3でブランチ管の排気管接続部に断熱継手構造を採用したことによるメリットを、実施の形態2に示すような継手構造を採用した場合と対比して述べる。
【0070】
まず、第3排気管7の分岐短管7aに振動吸収ブランチ管10を接続させる場合、下記に列挙する問題点が生じる。
【0071】
・耐熱性の低い材料(例えば、樹脂)でレゾネータマフラ9や振動吸収ブランチ管10を製造した場合、第3排気管7からの伝熱によりレゾネータマフラ9や振動吸収ブランチ管10が溶損してしまうおそれがある。
【0072】
・伝熱による溶損を考慮した場合、分岐短管7aの長さを長くする必要があるし、耐熱材のグレードを上げる必要がある。
【0073】
・分岐短管7aの長さを長くした場合、レイアウト自由度が阻害される。
【0074】
これに対し、振動吸収ブランチ管10の排気管接続部に断熱継手構造を採用した場合、上記問題点が下記のように解消される。
【0075】
・第3排気管7との接続部長さを短くできる(レイアウト性向上)。
【0076】
・レゾネータマフラ9や振動吸収ブランチ管10に低グレードの材質を用いることができる(コスト低減)。
【0077】
・排気系の上流部に振動吸収ブランチ管10を接続することができる(レイアウト性向上)。
【0078】
(実施の形態4)
実施の形態4は、請求項5記載の発明に対応する車両用排気消音装置である。図16は実施の形態4の車両用排気消音装置の排気管とブランチ管との接続部を示す図である。
【0079】
この実施の形態4は、実施の形態1〜3で述べたブランチ接続型レゾネータシステムにおいて、排気管とブランチ管との接続部を動圧導入分岐接続部とした例である。
【0080】
すなわち、第3排気管7とブランチ管8との接続部を、第3排気管7の端部に排気管接続端7bとブランチ管接続端7cを有するY字分岐接続部70(y字分岐接続部でも良い)を形成し、排気管接続端7bに第3排気管7’を連結し、ブランチ管接続端7cにブランチ管8を連結し、第3排気管7,7’の排気ガスの流れ方向とレゾネータマフラ9への排気ガスの流れの方向とがほぼ一致する動圧導入分岐接続部とした。
【0081】
次に、実施の形態4で動圧導入分岐接続部を採用したことによるメリットを、図2に示す分岐接続部を採用した場合と対比して述べる。
【0082】
まず、図2に示すように、第3排気管7とブランチ管8’が直交して接続される静圧導入分岐接続部を採用し、且つ、途中に曲げを入れたブランチ管8’を用いるとレゾネータ効果が低くなる。
【0083】
すなわち、図17はレゾネータ首管(ブランチ管)の曲げによる消音効果への影響を確認するため、曲げのない直管タイプAと、一か所を直角に曲げたシングル曲げ管タイプBと、二か所を直角曲げたダブル曲げ管タイプCとの3タイプを用意し、騒音特性を測定した騒音特性比較図である。この特性比較の結果、排気管とブランチ管が直交して接続される静圧導入分岐接続部の場合、曲げが入るほどレゾネータ効果が低くなるのが確認された。
【0084】
これに対し、図18は動圧を効率的に取り込む接続構造による曲げ影響を確認するため、曲げのない直管タイプ▲1▼と、一か所を直角に曲げたシングル曲げ管タイプ▲2▼と、二か所を直角曲げたダブル曲げ管タイプ▲3▼との3タイプを用意し、騒音特性を測定した騒音特性比較図である。この特性比較の結果、排気管とブランチ管が鋭角にて接続される動圧導入分岐接続部の場合、曲げが入ってもレゾネータ効果に及ぼす影響は小さく、しかも、動圧導入により高いレゾネータ効果が得られることが確認された。
【0085】
よって、動圧導入分岐接続部を採用することにより、曲げによる消音効果の低下が防止でき、しかも、曲げの制約がなくなることで、車両床下へのレイアウト性が高まる。
【0086】
【発明の効果】
請求項1記載の発明にあっては、ヘルムホルツ共鳴によるレゾネータ効果にて特定の周波数の排気音を消音させるレゾネータ室をエンジン排気系に備えた車両用排気消音装置において、レゾネータ室を、排気管の外部に配置される独立のレゾネータマフラに形成し、該レゾネータマフラと排気管とを接続するレゾネータ首部を、特定の周波数の排気音もしくはシステム共鳴音を消音させるブランチ効果を発生するエンジン回転数の範囲を700rpm〜6400rpmに設定し、エンジン爆発3次成分までブランチ効果を出し得る長さに設定したブランチ管としたため、レゾネータ効果とブランチ効果により多くの周波数帯域で消音効果が得られると共にレゾネータマフラのレイアウト自由度やマフラ素材選択自由度が高い車両用排気消音装置を提供することができる。
【0088】
また、ブランチ管として、合成ゴムや合成樹脂等の振動吸収材を素材とする振動吸収ブランチ管を用いたため、形状適合性が高くレゾネータマフラのレイアウト自由度が拡大するし、排気管接続部に亀裂等が発生する不具合が抑えられるし、レゾネータマフラを車体に対してリジッドに固定することでコストダウンを図ることができる。
【0089】
また、振動吸収ブランチ管と排気管との接続部を、排気管に接続される内管と振動吸収ブランチ管に接続される外管による二重管構造とし、且つ、内管と外管との間には両端部の2点接合により空気層を形成したため、排気管との接続部長さを短くできることでのレイアウト性向上と、レゾネータマフラや振動吸収ブランチ管に低グレードの材質を用いることができることでのコスト低減と、排気系の上流部に振動吸収ブランチ管を接続することができることでのレイアウト性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の車両用排気消音装置を示す全体図である。
【図2】実施の形態1の車両用排気消音装置で曲げを有するブランチ管を用いた例を示す要部概略図である。
【図3】実施の形態1の車両用排気消音装置でブランチ管の長さを設定する際に用いられるブランチ周波数を示す表である。
【図4】実施の形態1の車両用排気消音装置による消音効果を確認するために試験に供される供試品仕様を示す図である。
【図5】実施の形態1の車両用排気消音装置による消音効果確認試験でΔ2仕様とΔ2−1仕様での音圧レベル比較特性図である。
【図6】実施の形態1の車両用排気消音装置による消音効果確認試験で直管パイプとΔ1仕様での音圧レベル比較特性図である。
【図7】実施の形態1の車両用排気消音装置による消音効果確認試験で直管パイプとΔ2仕様での音圧レベル比較特性図である。
【図8】実施の形態1の車両用排気消音装置による消音効果確認試験で直管パイプとΔ3仕様での音圧レベル比較特性図である。
【図9】実施の形態1の車両用排気消音装置による消音効果確認試験で直管パイプとΔ4仕様での音圧レベル比較特性図である。
【図10】実施の形態1の車両用排気消音装置で音圧モードのピーク位置の設定手法を説明するためのシミュレーション装置と音圧モード特性図である。
【図11】実施の形態1の車両用排気消音装置で音圧モードのピーク位置の設定したシステムと現行のシステムでの吐出音比較特性図である。
【図12】実施の形態2の車両用排気消音装置を示す分解斜視図である。
【図13】図13の(イ),(ロ) は実施の形態2の車両用排気消音装置でレゾネータマフラを車両床下へリジッド固定する場合の固定例を示す図であり、図13の(ハ) は従来のマフラマウント装置を示すである。
【図14】実施の形態2の車両用排気消音装置でレゾネータマフラのリジッド固定構造の例を示す図である。
【図15】実施の形態3の車両用排気消音装置での振動吸収ブランチ管の排気管接続構造を示す断面図である。
【図16】実施の形態4の車両用排気消音装置でのブランチ管接続構造を示す図である。
【図17】実施の形態4の車両用排気消音装置においてレゾネータ首部の曲げによる消音効果への影響を確認する音圧レベル比較特性図である。
【図18】実施の形態4の車両用排気消音装置において動圧を効率的に取り込む接続構造による曲げの影響を確認する音圧レベル比較特性図である。
【図19】第1従来例の車両用排気消音装置を示す図である。
【図20】第2従来例の車両用排気消音装置を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 エキゾーストマニホールド
3 第1排気管
4 触媒コンバータ
5 第2排気管
6 メインマフラ
7 第3排気管(排気管)
8 ブランチ管
9 レゾネータマフラ
10 振動吸収ブランチ管
20 内管
21 外管
22 空気層
70 Y字分岐接続部(動圧導入分岐接続部)
Claims (1)
- ヘルムホルツ共鳴によるレゾネータ効果にて特定の周波数の排気音を消音させるレゾネータ室をエンジン排気系に備え、前記レゾネータ室を、排気管(7)の外部に配置される独立のレゾネータマフラ(9)に形成し、該レゾネータマフラ(9)と排気管(7)とを接続するレゾネータ首部を、特定の周波数の排気音もしくはシステム共鳴音を消音させるブランチ効果を発生するエンジン回転数の範囲を700rpm〜6400rpmに設定し、エンジン爆発3次成分までブランチ効果を出し得る長さに設定したブランチ管(8)とした車両用排気消音装置において、
前記ブランチ管(8)として、合成ゴムや合成樹脂等の振動吸収材を素材とする振動吸収ブランチ管(10)を用い、
前記振動吸収ブランチ管(10)と排気管(7)との接続部を、排気管(7)に接続される内管(20)と振動吸収ブランチ管(10)に接続される外管(21)による二重管構造とし、且つ、内管(20)と外管(21)との間には両端部の2点接合により空気層(22)を形成したことを特徴とする車両用排気消音装置。
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JP22969697A JP3800456B2 (ja) | 1997-08-26 | 1997-08-26 | 車両用排気消音装置 |
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JP22969697A JP3800456B2 (ja) | 1997-08-26 | 1997-08-26 | 車両用排気消音装置 |
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JPH1162547A JPH1162547A (ja) | 1999-03-05 |
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-
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- 1997-08-26 JP JP22969697A patent/JP3800456B2/ja not_active Expired - Fee Related
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