JP3826982B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ、その他の画像形成装置に関する。特に、透明性に優れ画質が向上すると共に耐ブロッキング性に優れ、高速印字への対応を可能とする画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法を用いた画像形成装置は、像担持体上に形成されたトナー画像を受像シートに転写し、さらに受像シート上に転写されたトナー画像を定着するものである。これまで主流であったモノクロ画像を出力する画像形成装置やそれに適用される受像シートにおいては、トナーによる画像が受像シートから脱落しないように充分な強度で定着されることのみが必要とされていた。しかしながら、多色画像を出力する画像形成装置やそれに適用される受像シートにおいては、モノクロ画像を出力する画像形成装置とは異なり、高画質な多色画像を得るために、受像シート上に定着されたトナーによる画像が、発色性、透明性に優れていることが要求されている。
【0003】
発色性、透明性に優れた画像を得るためには、定着後のトナーによる画像が光の散乱を生じさせないことが重要であり、そのためには、定着後の画像においてその表面を充分に平滑にすることと、定着後の画像においてトナーとトナーとの問に、また、トナーと受像シートとの間に界面が生じないようにすることが重要である。近年においては、各色成分に対応したトナーによる画像を形成し、このトナーによる画像を重ね合わせることにより多色画像を出力することが可能な画像形成装置が求められており、多色画像を出力するのに適した画像形成装置が提案されている。
【0004】
例えば、特開平2−263642号公報にあっては、トナー定着温度における、受像シートにおける透明樹脂とトナーを構成する結着樹脂の相互の相溶性や貯蔵弾性率を規定することにより、色調再現性に優れ、高温オフセットを生じさせないものとできることが開示され、また、特開平5−88400号公報にあっては、受像シートにおける透明樹脂とトナーを構成する結着樹脂の相互の相溶性を規定すると共にトナー定着温度における、受像シートにおける透明樹脂の見掛けの溶融粘度をトナーを構成する結着樹脂のそれより低くすることにより、彩度が高く、明るい、色調再現性の良好な、疑似輪郭の発生しないカラー画像が得られると開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの従来技術における受像シートにあっては、いずれもトナー画像を定着する受像層はポリエステル樹脂を使用するが、単に、ポリエステル樹脂の溶融粘度を低下させても、画像の乱れや定着時のオフセットや定着器へのシートが巻付くといった問題があり、また、受像シートを重ね保管する際にブロッキングが生じやすいといった問題がある。また、近年においては、低温度で定着される高速印字に際して、画像表面が平滑でかつ透明性が高く、高光沢な高画質の画像を得ると共に定着器耐久性に優れることが求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、多色画像を出力する画像形成装置において、画像表面が平滑でかつ透明性が高く、高光沢な高画質の画像を得ると共に、画像の乱れや定着時のオフセット、さらに、定着器の表層の剥がれ等の表層の劣化に起因する受像シートの定着器への巻き付きといった問題のない画像形成装置の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像形成装置は、基材上にトナーによる画像を定着可能な受像層を有する受像シートと、熱および圧力を付与する圧接部を有し、前記受像層にトナー画像を定着させる定着手段からなる画像形成装置において、前記受像層が、透明な熱可塑性飽和ポリエステル樹脂からなると共に該受像層中に、画質向上剤として分子量170〜650で、かつ、2価脂肪酸のアルキルエステルを3重量%〜6重量%の割合で含有させると共に前記受像層面に接する前記定着手段における圧接部の表層に剥離剤が塗布され、該剥離剤の溶解度パラメータ値と前記画質向上剤の溶解度パラメータ値との差が2以下であることを特徴とする。
【0008】
上記の受像層における透明な熱可塑性樹脂が飽和ポリエステル樹脂であり、また、定着手段における剥離剤がシリコンオイルであることを特徴とする。
【0009】
上記の画質向上剤の沸点が200℃〜400℃、融点が−100℃〜0℃であることを特徴とする。
【0010】
上記の定着手段における圧接部の表層がシリコンゴムであり、また、剥離剤がアミノ変性シリコンオイルであることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の画像形成装置に使用する受像シートの一断面図であり、図中、41は基材、42はトナーによる画像を転写可能な受像層を示す。
【0012】
基材41としては、耐熱温度が100℃以上の樹脂フィルム、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネイトフィルム、トリアセテートフィルム、ポリエーテルサルフォン(PES)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリメチルメタアクリレート等のアクリルフィルム等の樹脂フィルムが例示される。樹脂フィルムとしては、PETフイルムが機械的、熱的強度、コスト等で好ましい。また、これらの樹脂中に酸化チタン等の白色の顔料を分散させた加工フィルム、また、セロファンフィルム、セルロース紙等が挙げられる。受像シートを透明性が要求されるOHP用とする場合には、上記の樹脂フィルムにおいて透明性の高いものが使用される。また、受像シートを光沢フィルムとする場合には、光沢性に優れる反射性基材が使用される。
基材の厚さは、定着手段や適用される画像形成装置により要求される強度等が異なるため適宜に決定されるものではあるが、通常は50μm〜300μm、好ましくは80μm〜120μmである。
【0013】
受像層42は、トナー画像を受容する層であり、塗膜形成が可能な透明樹脂を使用して形成される。例えばポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、スチレンーメタクリル酸エステル系共重合樹脂、ポリアミド系樹脂、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合樹脂、アイオノマー、エチルセルロース等を用いることができる。なお、熱硬化前の熱硬化性樹脂(例えぱ熱可塑性樹脂に架橋剤を配合した混合物)であっても使用することができるが、熱可塑性樹脂よりも定着後の画像表面の耐摩耗性に優れるものの、未定着時の保存安定性(環境温度による自然硬化や架橋剤の不活化)等の点で問題があり、そのため、上述した熱可塑性樹脂を用いるほうが好ましい。
【0014】
また、トナー定着時にあっては、トナー粒子が受像層に界面や受像層表面に凹凸を形成することなく定着されることが画質(透明性)向上の観点から重要であり、そのためにはトナー樹脂と受像層形成樹脂の相溶性、親和性が必要である。トナー樹脂としては、熱可塑性飽和ポリエステル樹脂が使用されることが多く、そのため、受像層形成用樹脂としては、トナー樹脂と同系統の樹脂を使用するのが好ましい。そのため、上述した熱可塑性樹脂のなかでも、シャープメルト性、透明性の観点から熱可塑性飽和ポリエステル樹脂が好ましく、また、後述するように画質向上剤を受像層表面に滲出する現象を生じさせることができる。
【0015】
熱可塑性飽和ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと多価カルボン酸とを蒸留塔を備えた反応容器に投入し、全酸成分に対して0.05重量%の三酸化アンチモン触媒の存在下、窒素気流中で加熱攪拌し、所望の分子量が得られるよう重縮合反応せしめて得られる樹脂である。多価アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、4,4−イソプロピリデンジフェノール等が挙げられる。
【0016】
多価カルボン酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のベンゼンジカルボン酸、また、それらの無水物である無水フタル酸、また、こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類、またはこれらの酸無水物、また、これらのアルキルジカルボン酸類におけるアルキル基がさらに炭素数6〜18のアルキル基、またはアルケニル基で置換されたもの等、さらにトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸類、またはこれらの酸無水物が挙げられる。
熱可塑性飽和ポリエステル樹脂における多価アルコール成分量は、45モル%〜55モル%、多価カルボン酸成分量は55モル%〜45モル%である。
【0017】
中でも、その構造式中に芳香族環を有する熱可塑性飽和ポリエステル樹脂が、シャープメルト性の観点から特に好ましい。芳香族環は、4,4−イソプロピリデンジフェノール等の多価アルコール由来のものでも、また、テレフタル酸等の多価カルボン酸由来のものでもあってもよく、また、その両者に由来するものであってもよい。構造式中に芳香族環を含有する熱可塑性飽和ポリエステル樹脂においては、芳香族環の配列により結晶化が促進され、これによりシャープメルト性に優れるものと考えられる。
【0018】
通常、トナー樹脂としては、重量平均分子量が10,000程度の熱可塑性飽和ポリエステル樹脂からなるものが使用されているが、熱可塑性樹脂のGPC換算の重量平均分子量としては、トナー樹脂の分子量に相応するものとするとよい。熱可塑性飽和ポリエステル樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置に、カラムを装着して装置を用いて温度20℃において1ml/min.の流速で測定して得られるもので、測定に使用されるカラムとしては、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせ使用するのが好ましく、例えば、Waters製のμ-styragel 500,103,104,105 の組み合わせや、昭和電工製の shodex KF-801,803,804,805の組み合わせ、KA-802,803,804,805のちみあわせ、或いは東ソー社製の TSKgel G1000H,G2000H,G2500H,G3000H,G4000H,G5000H,G6000H,G7000H,GMH の組み合わせが好ましい。また、測定試料は、テトラヒドロフラン(THF)に0.2重量%の濃度で溶解され、0.45μmのフィルターでろ過したものが使用される。なお、試料の分子量分布の測定に際しては、試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件が選択される。このGPC測定による分子量曲線から得られるピーク値が分子量とされるものである。
【0019】
また、本発明においては、特に、受像層における熱可塑性飽和ポリエステル樹脂として、重量平均分子量が10,000未満、好ましくは3,000〜8、000の樹脂と重量平均分子量が10,000を越え、好ましくは50,000〜90,000の樹脂との混合樹脂とするとよい。
【0020】
熱可塑性飽和ポリエステル樹脂の重量平均分子量が10,000未満の樹脂としては、例えば、三菱レーヨン(株)製「ダイヤクロンFC−051、重量平均分子量8,000」、三井東圧化学(株)製「アルマテックスXPEタイプ4、重量平均分子量9,000」を例示することができる。
【0021】
重量平均分子量が10,000を越える樹脂としては、例えば、三菱レーヨン(株)製「ダイヤクロンFC−611、重量平均分子量20,000」、三井東圧化学(株)製「アルマテックスXPEタイプ1、重量平均分子量78,000」を例示することができる。
【0022】
トナー樹脂より重量平均分子量が小の樹脂は、受像層中40重量%〜60重量%、大の樹脂は60重量%〜40重量%の割合で含有させるとよい。受像層を形成する樹脂として混合樹脂を使用することにより、トナー定着温度において、重量平均分子量が小の樹脂によりトナー樹脂に対する親和性を向上させ、透明性等の画質を向上させると共に大の樹脂により耐オフセット性や定着器への巻きつき防止性、さらに受像シートを積み重ねた際の耐ブロッキング性を向上させることができるものと考えられる。
【0023】
次に、受像層中に含有させる画質向上剤は、分子量170〜650の脂肪酸アルキルエステルである。脂肪酸アルキルエステルにおける脂肪酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等が例示される二価の脂肪酸である。また、アルコール成分としては、メチルアルコール、エチルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、イソノニルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソデシルアルコール等が例示される。
【0024】
分子量としては170〜650とするとよいが、好ましくは200〜450であり、分子量が低すぎると蒸発性が高く、また、高すぎると受像層表面への滲出が少なくなるので好ましくない。本発明においては、分子量を170〜650のものとすることにより、画像定着時の加熱によりその殆どを蒸発除去することができる。
また、画質向上剤の融点としては−100℃〜0℃、好ましくは−70℃〜−20℃であるとよく、更に、沸点としては200℃〜400℃、好ましくは200℃〜350℃のものとするとよい。
【0025】
このような画質向上剤としては、具体的にはアジピン酸ジエチル(融点−22℃、沸点245℃)、アジピン酸−ジ−n−オクチル(融点−70℃、沸点335℃)、アジピン酸−ジ−イソデシル(融点−64℃、沸点246℃/4mmHg)、アジピン酸オクチルデシル(融点−60℃、沸点232℃/4mmHg)、アゼライン酸−ジ−2−エチルヘキシル(融点−60℃、沸点245℃/4mmHg)、セバシン酸−ジ−ブチル(融点−97℃、沸点345℃)、セバシン酸−ジ−n−オクチル(融点−62℃、沸点377℃)等が例示される。
【0026】
本発明における画質向上剤は、それ自体粘性が低く、粘着性を有しないものであり、受像層中に添加されると構成樹脂の溶融粘度を低下させる機能を有するものと考えられる。特に、受像層がその構造式中に芳香族環を有する熱可塑性飽和ポリエステル樹脂から構成される場合、受像層表面に滲出し、トナー定着(加熱)時には圧接部表面との間で剥離剤として機能してオフセット(樹脂が圧接部に付着する)現象や定着器への受像シートの巻きつき等のないものとできるものと考えられる。また、受像シートは、保管時に多数枚重ねた状態で保管されるが、夏期等の高温時には、画質向上剤が滲出することによるブロッキングが生じることがあるが、基材としてPETフイルムを使用する場合、画質向上剤は、PETフイルムに対して移行しにくく、耐ブロッキング剤として機能するものと考えられる。
【0027】
画質向上剤の含有量が3重量%未満であると、溶融粘度の低下が不充分であり、トナー樹脂粒子が受像層中に十分に埋め込まれなく、透明性が不充分となり、画質を向上させることができなく、また、10重量%を越えると、溶融粘度が下がりすぎ、オフセット(樹脂が圧接部に付着する)現象や定着器への受像シートの巻きつきが生じ、また、耐ブロッキング性が不充分となる。
【0028】
また、受像層には、必要に応じて、透明性を阻害しない範囲でマット剤や帯電防止剤、界面活性剤、分散剤、滑剤、可塑剤等を添加することができる。
【0029】
マット剤としては、受像層の透明性を阻害しない粒径のシリカ、澱粉、アルミナ、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレングリコールビスメタクリレート等の微粒子が例示され、樹脂に対して0.1重量%〜10重量%の添加量とされる。また、帯電防止剤としてはアルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、カルボン酸スルホンエステル、リン酸エステルの他、四塩化珪素部分加水分解物、ステアラミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムナイトレート等が挙げられる。
【0030】
受像層を基材上に形成するには、中間接着層を介するか、または介さないで直接基材上に層形成される。中間接着層は、基材と受像層の両者に親和性を有し、且つ耐熱性が高く、トナー定着時の加熱で溶融しない樹脂を使用して形成されるとよい。このような樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、乾燥膜厚0.05μm〜0.5μmとされる。
【0031】
受像層を基材上、または中間接着層上に形成するには、受像層形成材料をメタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素類の1種或いは2以上の混合溶媒に溶解、または分散させ、バーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法等により塗布形成するとよい。受像層の膜厚は、トナー粒子径の50%を上回る厚さとすることが好ましく、これを下回るとトナー定着時に画像表面の凹凸や、トナー相互間の間隙を十分に埋めることができなく、透明性に影響し、画像性が悪化する。現在使用されているトナー粒子径は6μm〜7μmであるので、受像層の乾燥後膜厚は2μm〜100μm、好ましくは5μm〜20μmとされる。受像層が厚すぎるとトナー定着時に画像のずれや歪みが生じ、画質に悪影響を与えるので好ましくない。
なお、本発明の受像シートにおいて、受像層自体が支持性を有するものである場合には基材は不要であり、受像層単層としてもよく、また、基材を複数層からなるものとし、受像層を複層基材上に積層した構造のものとしてもよい。
【0032】
次に、本発明の画像形成装置に使用されるトナーについて説明する。トナーとしては、定着時において溶融性、混色性に優れることが必要で、軟化点が低く、定着温度における溶融粘度が低く、シャープメルト性が要求される。トナーは、結着樹脂としてポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等の樹脂を使用することができるが、好ましくは、受像シートにおける受像層と同系の熱可塑性飽和ポリエステル樹脂であり、更に好ましくは芳香族環を有する熱可塑性飽和ポリエステル樹脂である。
【0033】
トナーは、結着樹脂、顔料、染料等の着色剤、荷電制御剤、剥離剤等のトナー形成材料を溶融混練、粉砕、分級した後、流動性付与剤が外添されて製造される。
【0034】
流動付与剤としては、着色剤含有樹脂粒子に外添されることにより流動性が外添前後で増加するものであれば使用できるが、例えば、フッ化ビニリデン微粒子、ポリテトラフルオロエチレン微粒子等のフッ素系樹脂微粒子、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等のシリカ微粒子、また、これらのシリカ微粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコンオイル等の処理剤で処理した処理シリカ等、また、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム等金属酸化物の微粉末、窒化珪素等窒化物の微粉末、炭化珪素等炭化物の微粉末、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等金属塩の微粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等脂肪酸金属塩の微粉末、PMMA、フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等樹脂の微粉末、カーポンブラック、フッ化カーボンの微粉末が挙げられる。
【0035】
これらの流動付与剤は、平均の一次粒径が0.001μm〜2μm、好ましくは0.005μm〜0.2μmのものが使用されるが、平均一次粒径が0.02μm〜0.06μmの大粒径のものと、平均一次粒径が0.005μm〜0.01μmの小粒径のものの混合物を使用するとよい。外添量としては、結着樹脂に対して、大粒径の流動付与剤の外添量を0.5重量%〜4重量%、小粒径の流動付与剤の外添量を1.5重量%〜4重量%の割合とよい。大粒径の外添剤は、主としてトナーの耐久安定性を向上させるが、4重量%を越えるとトナーの流動性を悪化させ、中抜け等が生じ好ましくない。また、小粒径の外添剤は、主として受像シートがセルロース紙等のラフ紙のような場合にトナーの転写性を向上させるが、4重量%を越えると浮遊シリカが発生し、感光体や中間転写ベルトがフィルミングしやすくなり、好ましくない。
【0036】
トナー粒径としては、コールカウンター法で測定される体積平均粒径で、4μm〜20μm、好ましくは5μm〜15μmとされるとよい。
【0037】
図2は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す装置断面図であり、本実施の形態では、ベルト状の中間転写体を用いるカラー画像形成装置を示す。図2を用いて、本装置の全体構成と作用を説明する。
【0038】
図2において、ドラム状の感光体1は、図示しないモータ等の駆動源により矢印D方向に回転駆動される。感光体1の外周には帯電ローラ等の帯電手段2が配置され、感光体1に当接回転しながら感光体1の表面が一様に帯電される。表面が一様に帯電された感光体1は、レーザー走査光学系等の潜像形成手段3によって第1色目として例えぱイエローの画像情報に応じて選択的に走査露光され、イエロー用の静電潜像が形成される。
【0039】
静電潜像が記録された感光体1の回転方向下流側には、現像剤としてそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを貯蔵し、感光体1に対して離接自在な現像手段4,5,6,7が配置され、形成されたイエロー用の静電潜像はイエロー現像手段4のみが感光体1と当接して現像することでイエローのトナー像が形成される。
【0040】
トナー像が形成された感光体1の回転方向下流側には、感光体1に隣接して中間転写ベルト8が配置される。中間転写ベルト8は、駆動ローラ9、バックアップローラ10、テンションローラ11、皺取りローラ12に掛け回されており、感光体1の周速度と同一速度で駆動されている。また、感光体1の駆動力を駆動ローラ9に伝達することにより、感光体1と中間転写ベルト8とを同期駆動させている。
【0041】
また、一次転写ローラ13は中間転写ベルト8を介して感光体1側に付勢されており、中間転写ベルト8が感光体1と一次転写ローラ13によって挟持される一次転写位置において、図示しない高圧電源から一次転写ローラ13へ電圧が供給されることで前述の手順で形成されたイエローのトナー像が中間転写ベルト8の表面に転写される。
【0042】
中間転写ベルト8にイエローのトナー像を転写した感光体1は更に矢印D方向へ回転し、クリーナーブレード等で構成された感光体クリーナ14によって感光体1の表面に残留するトナーが掻き取られ、再び画像形成が可能となる。
【0043】
同様の手順を第2色目から第4色目の画像(マゼンタ、シアン、ブラヅク)に対して繰り返し行うことで中間転写ベルト8上に4色のトナー像が順次重ね合わせて記録される。
【0044】
中間転写ベルト8へ4色のトナー像の重ね合わせが終了すると、給紙ローラ20、紙搬送ローラ対15および16によって紙カセット80から記録材17(受像シート)が給送され、これと同期して図示しないクラッチ機構とカム機構によって二次転写ローラ18が二次転写支点軸19を中心として矢印E方向に回転して中間転写ベルト8を介してバックアッブローラ10と当接し、記録材(受像シート)17及び中間転写ベルト8がバックアップローラ10と二次転写ローラ18によって挟持される二次転写位置において、図示しない高圧電源から電圧が二次転写ローラ18へ印加されることで中間転写ベルト8上の4色のトナー像が記録材(受像シート)17へ一括して転写される。二次転写を終えた中間転写ベルト8にはクリーナーブレード等で構成された中間転写体クリーナ21が図示しないクラッチ機構とカム機構によって矢印F方向へ回動して当接し、中間転写ベルト8の表面に残留したトナーが掻き取られ、掻き取りが終了すると中間転写体クリーナ21は矢印Fとは逆方向に回動して退避する。
【0045】
4色のトナー像が転写された記録材(受像シート)17は、二次転写位置から記録材(受像シート)17を装置1本体と略平行に搬送する第一の記録材搬送路を経て定着手段22へ至り、定着手段22で加熱加圧しながら挟持搬送されてトナー像が定着される。トナー像が定着された記録材17は、定着手段22により装置本体の上面方向へとその搬送方向を変えられ、定着手段22から記録材17を装置本体と略垂直に搬送し装置上面へ至る第二の記録材搬送路に設置された排紙ローラ対23および24によって装置上面へと排出され、カラー画像記録が完了する。
【0046】
更に、図2における、本装置の幾つかの構成について補足して説明する。画像形成装置を制御するための指示や画像形成装置の状態を表示するための制御パネル31が装置本体の前面カバーに設置されている。現像手段4,5,6,7は、フレーム25に着脱可能に支持されており、さらに、フレーム25はフレーム支点軸26を中心に回転可能に支持される構成となっている。
【0047】
定着手段22は、ハロゲンランプ等の加熱手段を内蔵した加熱部材27、加圧部材28と、加熱部材27にシリコンオイル等の剥離剤を塗布するための、或いは加熱部材27の表面を清掃するためのパッド状のあるいはローラ状の剥離剤塗布手段30と、からなる。図2においては2ローラ定着器を図示するが、その他、ベルト定着器、3ローラ定着器としてもよい。すなわち、図2における定着手段22は、加圧部材として複数の加圧ローラを設置してもよく、加圧部材を増やす事で容易に複数の圧接部が得られるので、より高速な定着が可能になり、また高い発色性、高い透明性を有する高画質な画像の形成が可能となる。また、さらに、複数の圧接部問に記録材17の搬送路として板状あるいはコロ状のガイド部材を設けてもよい。
【0048】
加熱部材、加圧部材の一方あるいは両方には、適当な硬度の弾性を付与してもよく、そのためには、シリコンゴム、フッ素ゴム等からなる弾性ゴム層を表面に設けると良い。また、加熱部材、加圧部材の表面へのトナーの付着あるいは受像シートにおける受像層の付着(いわゆるオフセット)を防止することを目的として、加熱部材、加圧部材の一方あるいは両方の表面に剥離性を付与するとよい。剥離剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等の表面エネルギーの低く、かつ、耐熱性に優れた樹脂による被覆層が例示される。
【0049】
また、定着手段22において、受像シートにおける受像層面が接する加熱部材としては、JIS−A硬度で15°〜80°、好ましくは30°〜50°とするとよい。15°未満であると加熱部材の変形量が過大となり、トナーを押圧する場合に十分な圧力が伝わらず、受像シートへのトナー定着に際して受像層表面の平滑性に問題が生じる。また、80°を越えると加熱部材の表面の変形が不充分となるために、トナーへの均一な加熱が困難であり、定着が不充分となり、受像層表面の平滑性に問題が生じ、光沢ムラ等の問題が生じる。
【0050】
本発明の画像装置における定着手段においては、受像シートにおける受像層面が接する、定着器ロールにおける弾性ゴム層の表面に剥離層として、シリコンオイル、特に、アミノ変性シリコンオイル、フルオロ変性シリコンオイル、フッ素オイル等の耐熱性に優れ、定着ロール表面への濡れ性に優れる剥離剤を塗布するとよい。塗布量は、0.0001g/m2 〜0.008g/m2 であり、0.008g/m2 を越えると、受像シート表面に剥離剤が付着し、加筆性が悪化するので好ましくない。
【0051】
本発明における受像シートにおいては、定着時の熱および圧力より受像層の表面に滲出する画質向上剤がその低粘性によりトナー粒子間に侵入し、粒子間界面の溶融を促進させることにより、トナー粒子界面の影響による曇化の少ないシャープな画像が得られる。しかしながら、受像シートにおける受像層面が接する、定着器ロール表面には、トナーのオフセットや受像シートの巻き付き防止を目的として、トナー粒子を構成するバインダーとの相溶性の悪いものを選択されると、トナー溶融時のトナー粒子界面の融着を阻害し、曇化の原因となることを見出した。
【0052】
そのため、本発明の画像形成装置にあっては、剥離剤の溶解度パラメータ値と受像層を構成する画質向上剤の溶解度パラメータ値との差が2以下であるよう選択して層形成することにより、定着時に低粘度である画質向上剤がトナー粒子間に浸透すると共に、ロール表面の剥離剤との相溶性により、該剥離剤と接触するトナー画像表面のトナー粒子間にも画質向上剤が浸透し、曇化を抑制できるものである。
【0053】
溶解度パラメータ値は、相溶性を示すパラメータ値である。本発明で使用した剥離剤の溶解度パラメータ値としては、東芝シリコーン(株)発行「シリコーンとその応用」に記載され、また、画質向上剤の溶解度パラメータ値としては技報堂出版(株)発行「プラスチックフィルム」に記載されているが、他の方法による溶解度パラメータ値でも、剥離剤と画質向上剤を同一の方法で得られる溶解度パラメータ値であれば、本発明で適用できる。
【0054】
剥離剤の溶解度パラメータ値と画質向上剤の溶解度パラメータ値は、その絶対値の差が2以下、好ましくは1.5以下とするとよく、これにより、トナーのオフセットや受像シートの巻き付きを防止できると共に、トナー粒子界面の影響による曇化の少ないシャープな画像が得られる。
【0055】
また、画像向上剤である脂肪酸エステル類は、トナー定着時の高温下で脂肪酸に分解しやすく、定着ロール圧接部を構成するシリコンゴムを劣化させる原因となる。そのため、シリコンゴムを保護する観点からも、剥離剤としてシリコンオイルが好ましく、また、画像向上剤である脂肪酸エステル類の沸点よりも沸点の高いものが好ましい。
【0056】
また、トナー定着時に受像層中から滲出した画質向上剤は、相溶性観点から、剥離剤であるシリコンオイル中に吸収されるが、脂肪酸エステル類を含有したシリコンオイルが圧接部表層のシリコンゴム層の劣化の原因ともなるが、シリコンオイルとして、特に、アミノ変性シリコンオイルは、圧接部表層のシリコンゴムへの浸透性か遅く、特に、好ましい。このような、アミノ変性シリコンオイルとしては東芝シリコーン(株)製「TSF4702」、「TSF4720」、東レダウコーニング(株)製「BY16−828」、「BY16−850」等が例示される。
【0057】
定着温度は、定着器圧接部において、受像シートの受像層側が接する部材の表面温度であり、80℃〜250℃、好ましくは100℃〜200℃とされる。250℃を越えると定着器の耐久性が悪化し、また、80℃より低いとトナーのオフセット現象が生じる。
【0058】
また、像担持体は、受像シートである記録材17に転写すべきトナーによる画像を担持するものであって、図2に示される画像形成装置においては中間転写ベルト8である。転写手段とは、像担持体から受像シートである記録材17にトナーによる画像を転写するものであって、図2に示される画像形成装置においては二次転写ローラ18である。
【0059】
本発明の画像形成装置は、図2に示される構成に限定されるものではないことはもちろんであって、感光体1から中間転写ベルト8を経由せずに直接的に記録材17にトナーによる画像を順次重ね合わせて多色画像を形成する画像形成装置であってもよく、このような構成の画像形成装置においては、像担持体とは、感光体1となり、同様に転写手段とは一次転写ローラ13である。ちなみにこのような構成の画像形成装置は、感光体上で多色画像を形成し、記録材17に一括して転写する方法と、中間転写ベルト8上に記録材17を担持せしめ、感光体上のトナーによる画像を順次記録材上に転写し、多色画像を形成する方法に大別されるが、いずれの方法も図2に示される画像形成装置とは異なり、通常、二次転写ローラ18は不要である。また、本実施の形態においては、多色画像を形成する画像形成装置を示したが、モノクロ画像を形成する画像形成装置において適用できる。
【0060】
受像シートがOHPシートである場合には、従来は、定着時の紙搬送速度は、通常のセルロース紙とする場合に比してトナーを十分に溶融して表面を平滑にする必要から、定着速度を遅くする必要があるが、近年は、電子写真装置の高速化から100mm/sec以上、好ましくは180mm/sec以上の定着時の紙搬送速度への対応が望まれており、本発明の受像シート及び画像形成装置にあっては、受像層中に、溶融粘度を低下させると共に受像層表面に滲出し、表面剥離性を示す画質向上剤を含有させたので、高速化への対応が可能と考えられる。
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明する。
【0061】
【実施例】
(実施例1)
(受像シートの作成)
透明なPETフイルム(パナック社製、ルミラー#100Tタイプ、縦横2軸延伸フィルム、厚さ100μm)上に、
・熱可塑性飽和ポリエステル樹脂(4,4′−イソプロピリデンジフェノール50重量%とテレフタル酸50重量%とからなる重縮合樹脂、重量平均分子量10,000) … 95重量部
・画質向上剤(A):アジピン酸−ジ−n−オクチル(協和発酵(株)製「DODA」、融点−70℃、沸点335℃、180℃での粘度2cSt、Sp値8.5) … 5重量部
からなる組成を、メチルエチルケトン:トルエン(1:1容量比)混合溶媒に溶解した後、乾燥後の受像層の膜厚が7μmとなるようにバーコーター塗布し、受像シートを作製した。
【0062】
(プリンターにおける定着器)
上記で得られた受像シートを、図2で示すプリンターでベタ画像をトナー付着量が0.5mg/cm2 となるように調整して印字し、ベタ画像定着後の透明性(ヘーズ値)を測定した。
図2で示すプリンターで使用したトナー、及び印字条件、ヘーズ値の測定方法を下記に示し、測定結果を表1に示す。
【0063】
また、受像層における画質向上剤(A)を、下記の画質向上剤(B)〜(D)にそれぞれ代え、同様に受像シートを作製し、同様に印字すると共にヘーズ値の測定を行ない、その結果を同様に表1に示す。
【0064】
画質向上剤(B):フタル酸−ジ−n−オクチル(花王(株)製「ビニサイザー85」、Sp値9.2)
画質向上剤(C):フタル酸−ジ−n−メチル(大八化学(株)製「DMP」、Sp値10.4)
画質向上剤(D):エポキシ化大豆油(花王(株)製「カボックスS−6」、Sp値10.8)
(トナー)
の組成を溶融、混練、分級した粒子に、流動性付与剤として、平均一次粒径が0.04μmの大粒径のシリカ微粒子、及び平均一次粒径が0.008μmの小粒径のシリカ微粒子をそれぞれ外添したものであり、分級粒子97.3重量%、大粒径のシリカ微粒子0.7重量%、小粒径のシリカ微粒子2.0重量%からなり、コールカウンター法で測定した体積平均粒径が7μmの微粒子をトナーとした。
【0065】
(印字条件)
・定着器 ・・・・・ 2ローラ定着器
・定着ローラ ・・・・・ 定着手段22として、JISA硬度(JISK6301に準拠)で40°のシリコンゴム層を有する加熱ローラ(φ50mm、長さ35cm)を加熱部材27として使用し、JISA硬度で45°のシリコンゴム層を有する加圧ローラ(φ50mm、長さ35cm)を加圧部材28として使用し、さらに加圧ローラにバネにより2.2kgf/cm2 の圧力を加え、加熱部材と加圧部材の圧接部の幅(ニップ長)を10mmとした。また、加熱ローラ表面に下記の剥離剤を0.0032g/m2 で塗布した。
【0066】
剥離剤:アミノ変性シリコン(東芝シリコーン(株)製「TSF4720」、Sp値8.5)
・定着温度 ・・・・・ 受像シートの受像層面が接する加熱ローラの表面温度(定着温度)を180℃とした。
【0067】
・定着紙搬送速度 ・・・・・ 45mm/sec
(ヘーズ)
トナー定着後の画像の透明性(へーズ)は、日本電色工業(株)製へーズメーターNDH−1001DPを使用し、定着後のベタ画像について測定した。
【0068】
【表1】
【0069】
表からわかるように、画質向上剤と剥離剤との溶解度パラメータ値により、ヘーズ値が大きく影響され、ΔSp値が2以下とすると、ヘーズ値を低くできることがわかる。
【0070】
(実施例2)
{受像シートの作成(a)〜(d)}
透明なPETフイルム(パナック社製、ルミラー#100Tタイプ、縦横2軸延伸フィルム、厚さ100μm)上に、
からなる組成を、メチルエチルケトン:トルエン(1:1容量比)混合溶媒に溶解した後、乾燥後の受像層の膜厚が7μmとなるようにバーコーター塗布し、受像シート(a)を作製した。
【0071】
受像シート(a)における画質向上剤に代えて、酢酸ブチル(沸点120℃、Sp値8.5)を使用した以外は同様にして受像シート(b)を作製した。
【0072】
受像シート(a)における画質向上剤に代えて、オクタン酸−ジ−エチル(沸点208℃、Sp値8.6)を使用した以外は同様にして受像シート(c)を作製した。
【0073】
受像シート(a)における画質向上剤に代えて、アジピン酸−ジ−エチル(沸点245℃、Sp値8.8)を使用した以外は同様にして受像シート(d)を作製した。
【0074】
(プリンターにおける定着器)
実施例1で使用したプリンタにおいて、その加熱ローラ表面に下記の剥離剤をそれぞれ0.0032g/m2 で塗布したものを使用し、これらの各プリンタに、受像シート(a)〜(d)を未印字の状態で加速試験として定着温度を200℃として連続で通紙した以外は同様に操作した。定着器耐久性を下記の方法で評価し、その評価結果を表2に示す。
【0075】
剥離剤(A):アミノ変性シリコン(東芝シリコーン(株)製「TSF4720」、沸点308℃、Sp値8.5)
剥離剤(B):アミノ変性シリコン(信越化学工業(株)製「X22−9346」、沸点190℃、Sp値8.2)
(定着器耐久性)
定着器の圧接部の表層の剥がれや、表層の劣化に起因する受像シートの圧接部への巻き付きが何枚通紙した時点で発生したかで評価。
【0076】
【表2】
【0077】
表からわかるように、剥離剤の沸点が、受像シートにおける画質向上剤の沸点より低いと、定着器の圧接部の表層の剥がれや、表層の劣化に起因する受像シートの圧接部への巻き付きが発生することがわかる。
【0078】
(実施例3)
実施例1で作製した受像シートを使用する共に、実施例1で使用したプリンタにおいて、その加熱ローラ表面に下記の剥離剤を0.0032g/m2 で塗布したものを使用し、また、受像シートを未印字の状態で連続で通紙した以外は同様に、定着温度180℃で操作した。定着器耐久性を実施例2同様に評価し、その評価結果を表2に示す。
【0079】
剥離剤(C):ジメチルシリコン(信越化学工業(株)製「KF96L−2」、沸点230℃、Sp値8.9)
剥離剤(D):アミノ変性シリコン(東芝シリコーン(株)製「TSF4720」、沸点308℃、Sp値8.5)
【0080】
【表3】
【0081】
剥離剤として、アミノ変性シリコンが優れることかわかる。
【0082】
【発明の効果】
本発明の画像形成装置は、画像表面が平滑でかつ透明性が高く、高光沢な高画質の画像の形成を可能とすると共に、画像の乱れや定着時のオフセットや定着器へのシートが巻付くといった問題のないものとできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の受像シートの断面説明図である。
【図2】 本発明の画像形成装置の全体構成を示す装置断面図である。
【符号の説明】
1…感光体、8…中間転写ベルト、18…二次転写ローラ、22…定着手段、41…基材、42…受像層
Claims (4)
- 基材上にトナーによる画像を定着可能な受像層を有する受像シートと、熱および圧力を付与する圧接部を有し、前記受像層にトナー画像を定着させる定着手段からなる画像形成装置において、前記受像層が、透明な熱可塑性飽和ポリエステル樹脂からなると共に該受像層中に、画質向上剤として分子量170〜650で、かつ、2価脂肪酸のアルキルエステルを3重量%〜6重量%の割合で含有させると共に前記受像層面に接する前記定着手段における圧接部の表層に剥離剤が塗布され、該剥離剤の溶解度パラメータ値と前記画質向上剤の溶解度パラメータ値との差が2以下であることを特徴とする画像形成装置。
- 定着手段における剥離剤がシリコンオイルであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 画質向上剤の沸点が200℃〜400℃、融点が−100℃〜0℃であることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載の画像形成装置。
- 定着手段における圧接部の表層がシリコンゴムであり、また、剥離剤がアミノ変性シリコンオイルであることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
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