JP3826795B2 - 記録装置におけるインク供給路内の洗浄装置 - Google Patents

記録装置におけるインク供給路内の洗浄装置 Download PDF

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  • Ink Jet (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カートリッジホルダに装着されたインクカートリッジから、記録ヘッドに対してインクが供給され、印刷データに対応して記録ヘッドからインク滴が吐出されるように構成されたインクジェット式記録装置に好適に利用することができ、特にインクカートリッジから記録ヘッドに至るインク供給路内における洗浄操作を能率的になし得るインク供給路内の洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、オフィス向けまたは業務用に提供されるインクジェット式記録装置においては、比較的大量の印刷に対応させるために、大容量のインクカートリッジを配備する必要が生じ、このためにインクカートリッジは、記録装置の本体側に配置されたカートリッジホルダに装着させる形態が採用される。
【0003】
そして、記録ヘッドが搭載されたキャリッジ上には所定量のインクを貯留することができるダンパーユニットが備えられ、前記インクカートリッジから可撓性のインク供給チューブを介してダンパーユニットにインクを供給し、このダンパーユニットを介して、記録ヘッドに対してインクを供給するように構成されている。
【0004】
そして、昨今においては大きな紙面に対して印刷を行うことが可能な、キャリッジの走査距離の長い大型の記録装置の需要が増大しており、このような記録装置においては、インクカートリッジからキャリッジ上のダンパーユニットに接続されるインク供給チューブの引き回し距離が増大し、これに伴いインク流路の長さも増大する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の記録装置においては、製品出荷時において印字テストが実行される。この印字テストを実行するに際しては、記録装置の実際の稼働状態と同様に、カートリッジホルダにインクカートリッジが装着され、当該インクカートリッジから記録ヘッドに至るインク供給路にインクが充填される。そして、印字テストの実行後に、インク供給路にインクを充填した状態のままで製品を出荷した場合においては、保存環境の如何によっては、例えば記録ヘッドにインクの目詰まりを発生させるなどの問題が発生し得る。
【0006】
そこで、印字テスト等が終了した時点で、インクカートリッジが装着されるカートリッジホルダ部分から記録ヘッドに至るインク供給路を洗浄する操作が行われ、洗浄後に製品として出荷される。一般にインク供給路内を洗浄する場合においては、洗浄液が封入された洗浄液カートリッジをカートリッジホルダに装着するか、または洗浄液が供給されるチューブをカートリッジホルダ部分に接続し、洗浄液を前記インク供給路内に導入するようになされる。
【0007】
一方、前記した構成の記録装置によると、カートリッジホルダ部分から記録ヘッドに至るインク供給路が比較的長大であり、したがって、カートリッジホルダ側から記録ヘッドに向かうインク供給路に、順次洗浄液を流すような洗浄方法を用いた場合には、インク供給路内の洗浄に多くの時間を費やすことになる。また、充填されていたインクと洗浄液とがインク供給路内で混合されるために、インクの濃度はすぐには低下せず、したがって多くの洗浄液が必要となり、洗浄効率を向上させることは困難となる。
【0008】
この発明は、前記したような技術的課題を解決するためになされたものであり、例えば製品の出荷時においてインク供給路を洗浄するにあたり、その洗浄作業に要する時間を短縮することができると共に、より少ない洗浄液により効率的に洗浄操作がなし得る記録装置におけるインク供給路内の洗浄装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するためになされたこの発明にかかるインク供給路内の洗浄装置は、カートリッジホルダに装着されたインクカートリッジから記録ヘッドに対してインクが供給され、印刷データに対応して記録ヘッドからインク滴が吐出されるように構成されたインクジェット式記録装置におけるインク供給路内の洗浄装置であって、洗浄液が貯留された容器内に配置した場合に、前記洗浄液に対して空気が混入された混入体を連続して生成することができる混入体生成ユニットと、前記混入体生成ユニットより生成された洗浄液に対する空気の混入体を、前記記録装置のインク供給路に導入することができる接続手段とを具備した点に特徴を有する。
【0010】
この場合、前記混入体生成ユニットは、好ましくは洗浄液の液面に浮上することができるフロート部材と、前記フロート部材に形成され、洗浄液に対する空気の混入体を生成する混入体生成部とにより構成され、前記混入体生成部により生成された洗浄液に対する空気の混入体を、可撓性のチューブを介して前記接続手段に供給するように構成される。
【0011】
そして、前記フロート部材に形成された混入体生成部における第1の好ましい形態は、フロート部材の浮上状態において、洗浄液面と空気との境界部に開口された吸い込み孔により構成され、前記吸い込み孔に連通する他端部に前記可撓性のチューブが接続された構成とされる。
【0012】
また、前記フロート部材に形成された混入体生成部における第2の好ましい形態は、フロート部材の浮上状態において、洗浄液内に漬かっている洗浄液取り入れ口と、空気に露出している空気取り入れ口と、前記洗浄液取り入れ口と空気取り入れ口に連通すると共に、前記可撓性のチューブに至る三つ又管路とにより構成される。
【0013】
加えて、前記した第1または第2の形態の混入体生成部が形成されたフロート部材には、前記洗浄液の液面に浮上した状態で所定の姿勢を保つことができる重り部材が取り付けられていることが望ましい。また、前記録装置のインク供給路に前記混入体を注入することができる接続手段は、記録装置に形成されたカートリッジホルダに着脱可能に装着することができるダミーカートリッジにより構成されていることが望ましい。
【0014】
また、前記洗浄装置は混入体生成ユニットから分岐して、複数のダミーカートリッジに対して前記混入体をそれぞれ供給することができるように構成されていることが望ましい。この場合、さらに前記混入体生成ユニットから分岐して、複数のダミーカートリッジに至る前記混入体の供給路には、それぞれ開閉弁が配置されていることが望ましい。
【0015】
一方、この発明にかかるインク供給路内の洗浄方法は、カートリッジホルダに装着されたインクカートリッジから記録ヘッドに対してインクが供給され、印刷データに対応して記録ヘッドからインク滴が吐出されるように構成されたインクジェット式記録装置におけるインク供給路内の洗浄方法であって、前記記録装置におけるインク供給路内に、洗浄液に対する空気の混入体を連続して導入することで、前記インク供給路内を洗浄するようになされる。
【0016】
この場合、前記した洗浄方法を実行する好ましい態様においては、前記記録ヘッドのノズル形成面を封止するキャッピング手段に負圧を印加することで、前記混入体をインク供給路内に連続して導入するようになされる。
【0017】
前記した洗浄方法を採用したこの発明にかかる洗浄装置によると、混入体生成ユニットは、洗浄液が貯留された容器内に配置されて、洗浄液に対する空気の混入体を生成する。この洗浄液に対する空気の混入体は、例えば可撓性のチューブを介して記録装置のインク供給路に導入される。この場合、好ましい洗浄態様においては、記録装置に装備されたキャッピング手段によって記録ヘッドのノズル形成面に負圧を加えることで、カートリッジホルダから記録ヘッドに至るインク供給路に前記混入体が導入される。
【0018】
したがって、すでにインク供給路内に充填されているインクは、洗浄液に対する空気の混入体に交換されつつ洗浄動作が実行される。この場合、インク供給路内においては、洗浄液が空気によって断続的に途切れた状態で順次移動するので、インク供給路内に充填されていた高濃度のインクは、前記空気によって早急に押し出される。これにより、インク供給路内に存在するインクの濃度は早急に低下し、空気と共に断続的に供給される前記洗浄液によって、インク供給路内は効果的に洗浄される。
【0019】
それ故、洗浄作業に要する時間を短縮することができると共に、より少ない洗浄液により効率的に洗浄操作を行うことが可能となる。また、記録装置に装備された廃液回収ボックスに廃棄される廃液量を可及的に少なくさせることができるので、製品出荷時において、廃液回収ボックスの有効回収容量を低下させるという不都合も回避することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかるインク供給路内の洗浄装置および洗浄方法について説明するが、その前にこの発明にかかる洗浄装置および洗浄方法を好適に利用することができるインクジェット式記録装置の一形態について、図1ないし図3に基づいて説明する。まず図1は、この発明が適用され得るインクジェット式記録装置の基本構成を平面図で示している。図1において、図中符号1はキャリッジであり、このキャリッジ1はキャリッジモータ2によって駆動されるタイミングベルト3を介し、ガイド部材4に案内されて紙送り部材5の長手方向に沿って往復駆動されるように構成されている。
【0021】
前記キャリッジ1における紙送り部材5と対向する面、すなわちこの記録装置の形態においては、キャリッジ1の下側面に記録ヘッド6が搭載されており、またキャリッジ1の上面には前記記録ヘッド6に供給するインクを一時的に貯留するダンパー7が搭載されている。そして、記録装置の側端部(図1における右端部)には、カートリッジホルダ8が備えられており、このカートリッジホルダ8には、それぞれブラックインクを供給するブラックインクカートリッジ9B、シアン、マゼンタおよびイエローの各インクをそれぞれ供給するカラーインクカートリッジ9C,9M,9Yが着脱可能に装着されている。
【0022】
そして、これら各カートリッジが装着されたカートリッジホルダ8よりダンパー7に対して、可撓性素材により構成されたインク供給チューブ10がそれぞれ接続されており、各カートリッジからのインクがダンパー7に供給されるように構成されている。これにより、印刷指令を受けた前記記録ヘッド6より、紙送り部材上を搬送される図示せぬ記録用紙に対してインク滴が吐出され、印刷を行うことができるように構成されている。
【0023】
前記キャリッジ1の走査領域における非印字領域(図中、右側)には、キャリッジ1が当該箇所に移動した時に上昇して記録ヘッド6のノズル形成面を封止することができるキャッピング手段11が配置されている。このキャッピング手段11は、記録装置の休止期間中において記録ヘッド6のノズル形成面を封止する蓋体として機能し、記録ヘッド6のノズル開口よりインク溶媒が揮散するのを防止するように働く。
【0024】
また、前記キャッピング手段11は、記録ヘッド6のノズル形成面を封止した状態で、後述する吸引ポンプから負圧を印加することで、記録ヘッドからインクを吸引排出し、記録ヘッドのノズル開口の目詰まりを回復させるクリーニング動作の機能も果たす。
【0025】
また、前記したキャッピング手段11に隣接する印刷領域側には、ゴムなどの弾性素材を短冊状に成形したワイピング部材12が配置されていて、キャリッジ1がキャッピング手段11側に往復移動する際に、記録ヘッドの移動経路に水平方向に進入して、記録ヘッドのノズル形成面を払拭して清掃するワイピング動作がなされるように構成されている。
【0026】
図2は、前記した記録装置に装備されたカートリッジホルダ並びにこれに装着されるインクカートリッジの外観構成の例を示したものである。なお、この形態における記録装置においては前記したように4種類インクカートリッジを用いるようになされているが、図2においてはそのうちの1つのカートリッジおよびカートリッジホルダの構成を代表して示している。そして、図においては代表してインクカートリッジを符号9で示している。
【0027】
まず、カートリッジホルダ8は、それぞれL字状に形成され上下方向に互いに平行状態に配置された一対のフレーム22を主体とし、その入口部の対向する位置に、カートリッジの誤挿入防止面が22aが形成されている。また上部のフレーム22には、縮頸部を介してコ字状のロック部を形成したロックアーム22bが一体に形成されている。
【0028】
そして、一方が回転軸(鎖線23aで示す)に軸支されたシャッタ23に形成された舌片23bが、ロックアーム22bのコ字状のロック部に係合されて閉塞状態に保持されるように構成されている。また後で説明するインクカートリッジ9の矢印A方向への挿入時においては、カートリッジケース31に形成された機能リブ31fによりロックアーム22bが矢印B方向に押し上げられてロック解除されるように構成されている。そして、ロック解除と同時にシャッタ23はカートリッジ9により押し込まれ、前記回転軸23aに巻回して配置されたねじりバネ(図示せず)の付勢力に抗してシャッタ23が解放されるように構成されている。
【0029】
また、上方のフレーム22に臨むように可動レバー24が配置されており、このレバー24の基端部には図示せぬマイクロスイッチが配置され、カートリッジ9が装着された状態において、カートリッジの側面部によって押し出されるレバー24の可動によって、インクカートリッジが装着されたことを検出するインクカートリッジ着脱検出手段を構成している。
【0030】
また、図示せぬ側板には、インク残量検出手段25を構成する可動レバーが配置されている。この可動レバーの基端部には図示せぬマイクロスイッチが配置されていて、インクカートリッジ9に収納されているインクの容量が所定以下(インクローの状態)になった時に、前記マイクロスイッチがオン状態になされるように構成されている。
【0031】
さらに図示せぬ端板には、一対のガイド軸26がホルダ内に突出するように配置されており、前記ガイド軸26のほぼ中間点には、中空状になされたインク導出針27がホルダ内に突出するように配置されている。また、上方のフレーム22におけるホルダの入口部には、装着されるカートリッジの判別情報を検知する可動レバー28がホルダ内に突出するように配置されていて、このレバー28の基端部には図示せぬマイクロスイッチが配置されている。
【0032】
前記のように構成されたカートリッジホルダ8に対して、インクカートリッジ9が矢印A方向から装着される。このインクカートリッジ9は図3に分解状態で示したとおり、一面が開口されたケース本体31と、このケース本体31の開口部を覆う蓋体32より構成されており、全体が直方体状になされている。前記蓋体32の一端部には一対のL字状突起32aが形成されており、このL字状突起32aがケース本体31に形成された一対の穴部31aに係合し、また蓋体32の他端部側に形成された一対の爪部32bがケース本体31の内側面に形成された一対の凹部31bに係合することで、ケース本体31に対して蓋体32が結合されるように構成されている。
【0033】
そして、その内部には可撓性材料により形成されるとともに、インクが封入されたインクパック33が収納されており、このインクパック33の一部には、ゴム素材を嵌め込んだインク導出口34が取り付けられている。このインク導出口34には、インク導出口34の外形よりも一段小径の環状の溝部35が形成されており、この環状の溝部35はケース本体31に円弧状に形成された係合リブ31cに嵌まり込むことで、ケース本体31に対して位置決めされるように構成されている。
【0034】
また、インクが封入された前記インクパック33の下面、すなわちインクパック33のケース本体31側の面は、例えば両面粘着テープ等の粘着物質(図示せず)によりインクパック33がケース本体31に対して接着固定されている。またインクパック33の上面には、同じく両面粘着テープ等の粘着物質(図示せず)により平板状の検出板36が接着固定されている。この検出板36の一部には、検出板の板面に対して直交する方向に突出された検出突起37が一体に形成されており、この突起37の先端部はインクパック33内のインク量の低下と共に、ケース本体31に穿設された検出窓31dの方向へ移動しつつ突出できるように構成されている。
【0035】
また、図2に示すように前記ケース本体31の後端部には、インクの種類等を識別するための凹部31eが形成されている。このように、カートリッジに封入されたインクの種類等をカートリッジケースの一部の外形形状を変化させることで識別できるように構成されている。
【0036】
以上のように構成されたインクカートリッジ9のインク導出口34側の上下端部には図2に示すように一対の機能リブ31fが突設されており、カートリッジホルダ8への装着時において、機能リブ31fは前記ロックアーム22bの解除と共に、図示せぬ板バネに当接してクリック機能を果たすように作用する。
【0037】
そして、カートリッジ9をホルダ8に装着しようとする状態で、ホルダ8側に配置された一対のガイド軸26が、インクカートリッジ9の前端面に形成された位置決め穴31gに嵌まり込むようになされる。これと同時に、ホルダ8側の前記インク導出針27が、インク導出口34に嵌め込まれたゴム素材を貫通し、これによりインクパックに封入されたインクは記録装置側に供給できるようにされる。
【0038】
このようなカートリッジ9の装着状態において、カートリッジ内のインクの消費が進行すると、カートリッジ9内に装着された前記検出板36の突起37がインク残量検出手段25を構成する可動レバーの端部を押し出すように作用する。したがって、可動レバーの基端部に配置されたマイクロスイッチはオン状態になされ、装着されているカートリッジがインクローの状態に達したことが検知される。
【0039】
図4は、前記した構成の記録装置におけるインク供給路の構成を模式的に示したものである。なお図4においては、すでに説明した各部に相当する部分は同一符号で示したおり、したがって、その詳細な説明は適宜省略する。図4に示したように、記録装置に具備されたカートリッジホルダ8に対してインクカートリッジ9を装着した場合には、インクカートリッジ9に備えられたゴム素材を嵌め込んだインク導出口34が、カートリッジホルダ8側に配置されたインク導出針27に貫通されてインクパック33よりインクが導出されるようになされる。
【0040】
前記インクパック33より導出されたインクは、前記したインク供給チューブ10を介してキャリッジ1上に搭載された各ダンパー7B〜7Yに供給される。なお、図4に示した状態はインクカートリッジから各ダンパーに至るインク供給路は、図示の都合上一系統のみが示されており、図4においては例えばブラックインクカートリッジより、インク供給チューブ10を介してブラックインクを扱うダンパー7Bに対してインクが供給される構成が示されている。
【0041】
前記各ダンパー7B〜7Yに供給されたインクは、それぞれダンパーを介して記録ヘッド6に供給され、印刷動作の実行時においては、記録ヘッド6に印加されるビットマップデータに基づいて各インク滴が吐出されるようになされる。
【0042】
なお、図4に示した状態は記録ヘッド6のノズル形成面が、前記したキャッピング手段11によって封止された状態を示している。これにより、キャッピング手段11に接続された吸引ポンプ15の駆動に伴って、キャッピング手段11の内部空間には負圧が印加され、記録ヘッド6よりインクを吸引排出するクリーニング動作が実行される。そして、キャッピング手段11内に排出されたインク廃液は、吸引ポンプ15を介して廃液回収ボックス16に排出され、ボックス16内に収容された廃液吸収材17によって吸収保持されるように構成されている。
【0043】
次に前記した構成の記録装置におけるインク流路を洗浄するために好適に利用することができるこの発明にかかる洗浄装置の構成を、図5以降に基づいて説明する。まず図5は、この発明にかかる洗浄装置を構成する混入体生成ユニット41の第1の実施の形態を断面図で示したものである。この混入体生成ユニット41は、洗浄液70の液面70aに浮上することができる直方体状のフロート部材42を主体として構成されており、このフロート部材42の一側面(下側面)には重り部材43が取り付けられている。
【0044】
この重り部材43の存在によって、フロート部材42のほぼ上半部が洗浄液の液面70aより露出するようにして洗浄液に浮上すると共に、洗浄液に浮上した状態における前記フロート部材42の姿勢は、図5に示すように重り部材43が液面下に鉛直方向に垂下した所定の状態を保つようになされる。
【0045】
前記したフロート部材42には、洗浄液に浮上した状態において、洗浄液面と空気との境界部に位置するように、吸い込み孔44が形成されている。そして、前記吸い込み孔44に連通する他端部が、フロート部材42の下面側に屈曲されて、その端部において可撓性のチューブ52の一端部が接続されている。
【0046】
この構成によって、前記可撓性のチューブ52に負圧が印加された場合には、前記吸い込み孔44より洗浄液70および空気が吸い込まれ、結果としてチューブ52には、図5に示すように洗浄液70が空気によって断続的に途切れたようにして吸い込まれる。すなわち、図5に示した吸い込み孔43は、洗浄液に対して空気が混入された混入体を連続して生成する混入体生成部を形成している。
【0047】
次に図6は、この発明にかかる洗浄装置を構成する混入体生成ユニット41の第2の実施の形態を示したものである。この図6に示す混入体生成ユニット41は、前記した第1の実施の形態と同様に、洗浄液70の液面70aに浮上することができる直方体状のフロート部材42を主体として構成されており、このフロート部材42の一側面(下側面)には同様に重り部材43が取り付けられている。
【0048】
この重り部材43の存在によって、同様にフロート部材42のほぼ上半部が洗浄液の液面70aより露出するようにして洗浄液に浮上すると共に、洗浄液に浮上した状態における前記フロート部材42の姿勢は、図6に示すように重り部材43が液面下に鉛直方向に垂下した所定の状態を保つようになされる。
【0049】
この第2の実施の形態にかかるフロート部材42には、フロート部材が洗浄液に浮上した状態において、洗浄液内に漬かっている洗浄液取り入れ口46と、空気に露出している空気取り入れ口47とが具備されている。すなわち、前記洗浄液取り入れ口46と空気取り入れ口47とは、フロート部材42が洗浄液に浮上した状態において、フロート部材42を上下に貫通する貫通孔48によって形成されている。
【0050】
そして、洗浄液取り入れ口46と空気取り入れ口47とを形成する貫通孔48に、水平方向から直交するようにして連通する連通孔49がフロート部材42内に形成されており、これにより三つ又管路50を形成している。そして、前記連通孔49の他端部は、フロート部材42の下面側に屈曲されて、その端部において可撓性のチューブ52の一端部が接続されている。
【0051】
前記した構成において、三つ又管路50の位置は、フロート部材42が洗浄液に浮上した状態において、洗浄液の液面とほぼ同一位置となるように構成されている。この構成によって、前記可撓性のチューブ52に負圧が印加された場合には、前記三つ又管路50において、洗浄液70および空気が連通孔49側に吸い込まれ、結果としてチューブ52には、図6に示すように洗浄液70が空気によって断続的に途切れたようにして吸い込まれる。すなわち、図6に示した三つ又管路50は、洗浄液に対して空気が混入された混入体を連続して生成する混入体生成部を形成している。
【0052】
図7は、図5または図6に示した混入体生成ユニット41に一端部が接続された可撓性チューブ52の他端部に配置されたインク供給路への接続手段の構成を示したものである。なお、図7においては、記録装置のインク供給路は図4に示した構成と同様に同一符号で示しており、したがってその説明は割愛する。前記接続手段は、前記したカートリッジホルダ8に着脱可能に装着することができるインクカートリッジと同様の外形形状を備えたダミーカートリッジ55により構成されている。
【0053】
このダミーカートリッジ55内には、これをカートリッジホルダ8に装着した場合において、カートリッジホルダに備えられた中空状のインク導出針27を包囲するようにして接続される円環状の接続部材56が備えられており、前記混入体生成ユニット41より導出されたチューブ52の他端部は、前記接続部材56に結合されている。
【0054】
ここで、記録装置のインク供給路を洗浄する場合においては、図7に示すようにダミーカートリッジ55をカートリッジホルダ8に装着する。この状態において、図7に示すようにキャッピング手段11によって記録ヘッド6のノズル形成面を封止し、吸引ポンプ15を駆動することによって、キャッピング手段11を介してインク供給路に負圧が印加される。したがって、インク供給路内に充填されていたインクは、キャッピング手段11を介して吸引され、廃液回収ボックス16内に順次排出される。
【0055】
そして、インク供給路内に充填されていたインクの排出と共に、図5または図6に示した混入体生成ユニット41により生成される洗浄液に対する空気の混入体は、前記可撓性のチューブ52およびダミーカートリッジ55を介して、記録装置のインク供給路内に導入される。この時、記録装置のインク供給路内には、断続的に空気が混入された状態で洗浄液が導入されるために、インク供給路内に充填されていた高濃度のインクは、前記空気によって早急に押し出される。これにより、インク供給路内に存在するインクの濃度は洗浄液によって早急に低下し、空気と共に断続的に供給される前記洗浄液によって、インク供給路内は効果的に洗浄される。
【0056】
それ故、洗浄作業に要する時間を短縮することができると共に、より少ない洗浄液により効率的に洗浄操作を行うことが可能となる。また、記録装置に装備された廃液回収ボックスに廃棄される廃液量を可及的に少なくさせることができるので、製品出荷時において、すでに廃液回収ボックスの有効回収容量を低下させるという不都合も回避することができる。さらに、前記した洗浄操作を行う場合には、前記吸引ポンプ15を連続的に駆動させることになるが、短時間において洗浄操作を終了させることができるので、吸引ポンプ15を駆動する駆動モータが過度に発熱してダメージを受ける問題も回避することができる。
【0057】
図8は、前記した洗浄装置の他の好ましい例を模式図によって示したものである。この図8に示す例は、前記した混入体生成ユニットから分岐して、複数のダミーカートリッジに対して洗浄液に対する空気の混入体をそれぞれ供給することができるように構成されている。そして、混入体生成ユニットから分岐して、複数のダミーカートリッジに至る前記混入体の供給路、すなわち可撓性のチューブの途中には、それぞれ開閉弁が配置された構成にされている。
【0058】
すなわち、図8において符号60は洗浄液を貯留した容器を示しており、この容器内60には、洗浄液70が貯留されている。前記容器60の開口部を閉塞する蓋体61が備えられており、この蓋体61には大気連通孔61aが穿設されて、洗浄液70の消費に伴い容器60内に空気が導入できるように構成されている。前記容器60内には、図5または図6に示したいずれかの混入体生成ユニット41が投入され、この混入体生成ユニット41より導出された前記した可撓性のチューブ52は、前記蓋体61に形成された開口を介して容器外に導出されている。
【0059】
前記容器外に導出されたチューブ52は、複数の各チューブ52a,52b,……に分岐され、各チューブ52a,52b,……の途中にそれぞれ開閉弁62a,62b……が接続されている。そして、各開閉弁62a,62b……を介したそれぞれのチューブ52a,52b,……は、各ダミーカートリッジ55a,55b,……に接続されている。なお、図8に示す各ダミーカートリッジ55a,55b,……は、図7に示したダミーカートリッジ55と同様のものである。
【0060】
また、図8に示した構成においては、容器外に導出されたチューブ52より、それぞれのチューブ52a,52b,……が直接的に分岐されているように描かれているが、現実的には三方に分岐する分岐管を適宜介して、各チューブ52a,52b,……を分岐するようになされる。
【0061】
この図8に示した構成によると、1つの容器に貯留された洗浄液を複数のダミーカートリッジ55a,55b,……に対して送ることができる。そして、ダミーカートリッジ55a,55b,……の数を、この種の記録装置において使用されるインクカートリッジの数が最も大きい機種(例えば6色分)に合わせることで、必要な数のダミーカートリッジをそれぞれカートリッジホルダ8に装着することができ、洗浄操作を能率的に実行することができる。この場合、使用されないダミーカートリッジに付帯される前記開閉弁62a,62b……は閉じた状態とすることで、洗浄液が流出するのを避けることができる。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、この発明にかかるインク供給路内の洗浄装置によると、洗浄液に対する空気の混入体を記録装置のインク供給路に導入するようになされるので、より少ない洗浄液により効率的に洗浄操作を行うことができ、洗浄作業に要する時間を短縮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用され得るインクジェット式記録装置の基本構成を示した平面図である。
【図2】図1に示す記録装置に装備されたカートリッジホルダ並びにこれに装着されるインクカートリッジの外観構成の例を示した斜視図である。
【図3】図2に示すインクカートリッジの分解斜視図である。
【図4】図1に示す記録装置におけるインク供給路の構成を示した模式図である。
【図5】この発明にかかる洗浄装置を構成する混入体生成ユニットの第1の実施の形態を示した断面図である。
【図6】同じく第2の実施の形態を示した断面図である。
【図7】図4に示すインク供給路を構成するカートリッジホルダにダミーカートリッジを装着した状態を示す模式図である。
【図8】この発明にかかる洗浄装置の他の好ましい例を示した模式図である。
【符号の説明】
1 キャリッジ
6 記録ヘッド
7(7B〜7Y) ダンパー
8 カートリッジホルダ
9(9B〜9Y) インクカートリッジ
10 インク供給チューブ
11 キャッピング手段
15 吸引ポンプ
16 廃液回収ボックス
27 インク導出針
33 インクパック
41 混入体生成ユニット
42 フロート部材
43 重り部材
44 吸い込み孔(混入体生成部)
46 洗浄液取り入れ口
47 空気取り入れ口
50 三つ又管路(混入体生成部)
52(52a,52b) 可撓性チューブ
55(55a,55b) ダミーカートリッジ(接続手段)
56(56a,56b) 接続部材
60 容器
61 蓋体
62a,62b 開閉弁
70 洗浄液
70a 洗浄液面

Claims (7)

  1. カートリッジホルダに装着されたインクカートリッジから記録ヘッドに対してインクが供給され、印刷データに対応して記録ヘッドからインク滴が吐出されるように構成されたインクジェット式記録装置におけるインク供給路内の洗浄装置であって、
    洗浄液が貯留された容器内に配置した場合に、前記洗浄液に対して空気が混入された混入体を連続して生成することができる混入体生成ユニットと、前記混入体生成ユニットより生成された洗浄液に対する空気の混入体を、前記記録装置のインク供給路に導入することができる接続手段とが具備され、
    前記混入体生成ユニットは、洗浄液の液面に浮上することができるフロート部材と、前記フロート部材に形成され、洗浄液に対する空気の混入体を生成する混入体生成部とにより構成され、前記混入体生成部により生成された洗浄液に対する空気の混入体を、可撓性のチューブを介して前記接続手段に供給するように構成したインク供給路内の洗浄装置。
  2. 前記フロート部材に形成された混入体生成部は、フロート部材の浮上状態において、洗浄液面と空気との境界部に開口された吸い込み孔により構成され、前記吸い込み孔に連通する他端部に前記可撓性のチューブが接続された請求項1に記載のインク供給路内の洗浄装置。
  3. 前記フロート部材に形成された混入体生成部は、フロート部材の浮上状態において、洗浄液内に漬かっている洗浄液取り入れ口と、空気に露出している空気取り入れ口と、前記洗浄液取り入れ口と空気取り入れ口に連通すると共に、前記可撓性のチューブに至る三つ又管路とにより構成されてなる請求項1に記載のインク供給路内の洗浄装置。
  4. 前記フロート部材には、洗浄液の液面に浮上した状態で所定の姿勢を保つことができる重り部材が取り付けられてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインク供給路内の洗浄装置。
  5. 前記混入体を記録装置のインク供給路に導入することができる接続手段が、記録装置に形成されたカートリッジホルダに対して着脱可能に装着することができるダミーカートリッジである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のインク供給路内の洗浄装置。
  6. 前記混入体生成ユニットから分岐して、複数のダミーカートリッジに対して前記混入体をそれぞれ供給することができるように構成した請求項5に記載のインク供給路内の洗浄装置。
  7. 前記混入体生成ユニットから分岐して、複数のダミーカートリッジに至る前記混入体の供給路に、それぞれ開閉弁が配置されてなる請求項6に記載のインク供給路内の洗浄装置。
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