JP3520825B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録装置

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JP3520825B2
JP3520825B2 JP2000003937A JP2000003937A JP3520825B2 JP 3520825 B2 JP3520825 B2 JP 3520825B2 JP 2000003937 A JP2000003937 A JP 2000003937A JP 2000003937 A JP2000003937 A JP 2000003937A JP 3520825 B2 JP3520825 B2 JP 3520825B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノズル開口からイ
ンク滴を吐出して記録用紙に画像を形成するインクジェ
ット式記録ヘッドを備え、この記録ヘッドにフラッシン
グ駆動信号を供給した時に吐出されるインク滴を受ける
フラッシング領域を、記録ヘッドの移動経路上に配置し
たインクジェット式記録装置に関し、特にフラッシング
動作時において生ずる微小なインク滴による不要なミス
ト(霧状インク)を効果的に回収できるようにしたイン
クジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット式記録装置は、印刷時の
騒音が比較的小さく、しかも小さなドットを高い密度で
形成できるため、昨今においてはカラー印刷を含めた多
くの印刷に使用されている。このようなインクジェット
式記録装置は、一般にキャリッジ上に搭載されて記録用
紙の幅方向に走査するインクジェット式記録ヘッドと、
記録用紙を記録ヘッドの走査方向と直交する方向に移動
させる紙送り手段が備えられ、印刷データに対応して記
録ヘッドより記録用紙に対してインク滴を吐出させるこ
とで記録が行われる。
【0003】そして、記録ヘッドに対して例えばブラッ
クインク、およびイエロー、シアン、マゼンタの各カラ
ーインクを連続的に供給できるように構成することで、
ブラックインクによるテキスト印刷ばかりでなく、各カ
ラーインクの吐出割合を変えることにより、フルカラー
印刷を可能としている。
【0004】このようなインクジェット式記録ヘッド
は、圧力発生室で加圧したインクをノズル開口からイン
ク滴として記録用紙に吐出させて印刷を行う関係上、ノ
ズル開口からのインク溶媒の蒸発に起因するインク粘度
の上昇や、インクの固化により、また塵埃の付着、さら
には気泡の混入などにより、印刷不良を起こすという問
題を抱えている。このために、インクジェット式記録装
置には、非印刷時に記録ヘッドのノズル開口を封止する
ためのキャッピング手段と、必要に応じてノズル形成面
を払拭して清掃するワイピング部材が備えられている。
【0005】前記キャッピング手段は、印刷の休止時に
おいて記録ヘッドにおけるノズル開口のインクの乾燥を
防止する蓋体として機能するだけでなく、ノズル開口に
目詰まりが生じた場合には、吸引ポンプからの負圧を受
けて、ノズル開口からインクを吸引排出してノズル開口
のインクの固化による目詰まりや、インク流路内への気
泡混入によるインク吐出不良を解消する機能をも備えて
いる。
【0006】記録ヘッドの目詰まりや、インク流路内へ
の気泡の混入状態を解消させるために行うインクの強制
的な吸引排出処理は、クリーニング操作と呼ばれ、例え
ば記録装置の長時間の休止後に印刷を再開する場合や、
ユーザが印刷画像の品質が悪化したのを認識して例えば
クリーニングスイッチを操作した場合などに実行され
る。そして、記録ヘッドからインクを吸引排出させた後
に、ゴムなどの弾性板からなるワイピング部材により記
録ヘッドのノズル形成面を払拭する操作が伴われる。
【0007】また、記録ヘッドに印刷とは関係のない駆
動信号を印加してインク滴を吐出させる機能も備えてお
り、これはフラッシング操作と呼ばれ、前記ワイピング
部材による払拭操作により、ヘッドのノズル開口近傍に
生じた不揃いのメニスカスを回復させたり、また印刷中
にインク滴の吐出が少ないノズル開口において、インク
の増粘による目詰まりを防止する目的で一定周期ごとに
実行させる操作である。
【0008】図5は、フラッシング操作時において、記
録ヘッドの移動経路上に形成したフラッシング領域に向
かってインク滴を吐出させるように構成した従来のイン
クジェット式記録装置の一例を示したものである。
【0009】図5において符号1はキャリッジであり、
このキャリッジ1は図示せぬキャリッジモータにより駆
動されるタイミングベルトを介し、左右のフレーム2,
3に支持されたガイド軸4に案内されて軸方向に往復移
動されるように構成されている。
【0010】前記キャリッジ1には、下方に向けてイン
クジェット式記録ヘッド5が搭載されており、またその
上部には前記記録ヘッド5にインクを供給するブラック
インクカートリッジ6、およびカラーインクカートリッ
ジ7が着脱可能に装着されている。前記記録ヘッド5の
下方には、その走査方向に対応して紙案内部材8が配置
されており、この紙案内部材8上に載置された記録用紙
9を、図示せぬ紙送り手段によって記録ヘッド5の走査
方向と直交する方向に順次移送させることができるよう
に構成されている。
【0011】図中符号10は、非印字領域(ホームポジ
ション)に配置されたキャッピング手段であって、前記
記録ヘッド5が直上に移動した時に、上方に移動し記録
ヘッド5のノズル形成面を封止することができるように
構成されている。そしてキャッピング手段10の下方に
は、キャッピング手段10の内部空間に負圧を与えるた
めの吸引ポンプ11が配置されている。
【0012】キャッピング手段10は、前記したように
記録装置の休止期間中における記録ヘッド5のノズル開
口の乾燥を防止する蓋体として機能する他、前記吸引ポ
ンプ11からの負圧を記録ヘッド5に作用させて、イン
クを吸引排出させるクリーニング手段としての機能も兼
ね備えている。
【0013】そして、キャッピング手段10の近傍に
は、ゴムなどの弾性板等より形成されたワイピング部材
12が配置されていて、キャリッジ1がキャッピング手
段10側に往復移動する際に、記録ヘッド5のノズル形
成面を払拭するワイピング動作がなされるように構成さ
れている。
【0014】一方、中央の印字領域を介した前記キャッ
ピング手段10と対向した他方端の近傍には、フラッシ
ング領域13が形成されている。このフラッシング領域
13は、紙案内部材8を貫通するようにして形成された
開口穴により構成されている。そして、フラッシング領
域13を形成する開口穴の内底部には、前記キャッピン
グ手段10よりポンプ11を介して排出されたインクを
吸収保持する廃液吸収材14の一部が配置されており、
この吸収材14は前記紙案内部材8に沿って配置された
吸収材収納ケース、すなわち廃液タンク15内に納めら
れている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
記録装置においては、前記したとおり印字中に不使用の
ノズルでのインク増粘による吐出不良を防止するため
に、定期的にフラッシングが実行されるように構成され
ている。特に最近の機種においては、平均的に数秒ごと
に数十ショット/1ノズル程度のフラッシングがなされ
る。このフラッシング動作はクリーニング操作後のタイ
ミングにおいて混色防止のために、または印刷開始時の
タイミングにおいて、さらにまた印刷中において定期的
に各ノズルから、数千から数万ショットの吐出が実行さ
れることもある。
【0016】フラッシング領域13として、図5に示し
たように紙案内部材8に開口穴を形成した場合において
は、記録ヘッド5のノズル形成面から廃液吸収材14ま
での距離は数十mm程度となり、インクの飛翔距離が増
大されることは免れない。このために記録ヘッドのノズ
ル開口から吐出されたインク滴の一部は、吸収材14に
到達する前に空気抵抗によってミスト(霧状インク)と
なって矢印で示したように浮遊し、記録用紙をはじめ装
置の内外を汚染させるという問題が発生する。
【0017】このような問題の発生を防止させるため
に、記録ヘッドと近い位置に廃液吸収材を配置する構成
も考えられるが、一般にキャリッジ走行範囲のヘッド対
向部分には紙送りローラ等の機構があり、十分な容積が
確保できないのが現実である。
【0018】しかも、ノズル開口から吐出したインク滴
は少なからず帯電しており、記録装置内の駆動部で発生
した静電気による影響、さらには装置内の温度上昇を抑
えるために配置した排気ファンによる空気流、またはキ
ャリッジの移動に伴う空気流によっても加速され、前記
したように記録用紙および記録装置の内外までも汚染さ
せるといった問題が残される。特に高画質化を実現させ
るために各インク滴の量を可及的に小さく制御する昨今
の記録装置においては、このような問題がより顕著に現
れる。
【0019】本発明は、前記したような問題点に鑑みて
なされたものであり、特にフラッシング動作時におい
て、微小滴となって浮遊するインクミストを効果的に回
収し得るインクジェット式記録装置を提供することを目
的とするものであり、これにより装置の内外を汚染させ
ることのない商品価値の高いインクジェット式記録装置
を提供しようとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記した目的を達成する
ためになされた本発明にかかるインクジェット式記録装
置は、記録用紙の幅方向に走査するキャリッジ上に搭載
され、ノズル開口からインク滴を吐出して記録用紙に画
像を形成するインクジェット式記録ヘッドを備え、前記
記録ヘッドからフラッシング駆動信号に基づき吐出され
たインク滴を受けるインク回収ユニットを、前記記録ヘ
ッドの移動経路上に配置したインクジェット式記録装置
であって、前記インク回収ユニットは、フラッシング動
作により記録ヘッドのノズル開口から吐出されたインク
滴が通過可能な受け入れ開口部と、前記受け入れ開口部
から重力方向および反重力方向に向かって上下に折り返
すように内部を区画して形成された空気流路とを備えた
筐体状のユニットボックスと、前記ユニットボックスの
空気流路中または空気流路の終端部に配置され、前記ユ
ニットボックスの受け入れ開口部から空気流路の終端部
に向かって空気流を生じさせるための排気ファンとを備
えている。
【0021】この場合、前記ユニットボックスには前記
受け入れ開口部よりも下方にインク滴回収空間部が形成
されていると共に、前記受け入れ開口部よりも上方に向
かって前記空気流路が形成されていることが望ましい。
さらに、好ましくは前記インク滴回収空間部には、その
下底部に廃液の排出口が形成される。
【0022】一方、好ましくは前記空気流路には、さら
に空気流路の表面積を増大させる板状体が配置される。
この場合、前記板状体が空気流路において互い違いとな
るようにそれぞれ配置され、各板状体によって前記空気
流路をさらに水平方向に蛇行するように形成されている
ことが望ましい。
【0023】そして、好ましい実施の形態においては、
前記空気流路において互い違いとなるようにそれぞれ配
置された各板状体が、それぞれの板状体の先端部が重力
方向に傾斜した状態に形成される。さらに、互い違いと
なるようにそれぞれ形成される各板状体は、反重力方向
に向かう空気流路に配置される。
【0024】また、上下に折り返すように形成された一
連の空気流路における下底部には、前記インク滴回収空
間部に連通する廃液誘導孔が形成されていることが望ま
しい。そして、好ましくは前記空気流路の一部には、エ
アーフィルタが配置される。この場合、好ましくは前記
エアーフィルタは、前記排気ファンの直前に配置された
構成とされる。
【0025】そして、好ましい実施の形態においては、
前記ユニットボックスは、一側壁とこれに連なる周側
壁、および周側壁に囲まれた内部に一連の空気流路を形
成する内壁体が一体に形成されて、前記一側壁に対向す
る他側面が開放された構成の箱状部材と、前記箱状部材
の開放端部を封止して筐体状に形成する封止部材とによ
り構成される。
【0026】この場合、好ましくは前記封止部材が熱溶
着フィルムにより構成され、前記熱溶着フィルムが箱状
部材の開放端部を封止した構成とされる。
【0027】前記のように構成されたインクジェット式
記録装置によると、フラッシング領域に位置した記録ヘ
ッドのノズル開口から吐出されたインク滴は、インク回
収ユニットに形成された受け入れ開口部より、即座にイ
ンク回収ユニット内に導入される。
【0028】そして、記録ヘッドのノズル開口から吐出
されたインク滴は、ユニットボックスにおける受け入れ
開口部の直後に重力方向に向かって形成されたインク滴
回収空間部において回収される。そして、インク滴回収
空間部において回収された廃液は、インク滴回収空間部
の下底部に形成された廃液排出口より外部に排出させる
ことができる。
【0029】一方、ユニットボックスにおける受け入れ
開口部に吐出されて飛翔する間に、インク滴の一部がた
とえミストに変化しても、このミストはユニットボック
スにおける空気流路中、またはその終端部に配置された
排気ファンによる空気流によって、確実にユニットボッ
クス内に取り込まれる。
【0030】そして、ユニットボックス内に取り込まれ
たインクミストは、排気ファンによる空気流に乗って、
重力方向および反重力方向に向かって上下に折り返すよ
うに形成された一連の空気流路を通過し、この間に空気
流路の壁面に接触して捕獲される。
【0031】この場合、空気流路中に板状体を配置する
ことによって、インクミストの接触面積を実質的に増大
させることができるので、インクミストの回収効率を上
げることができる。
【0032】さらに、前記板状体を空気流路において互
い違いとなるようにそれぞれ配置したことで、各板状体
によって前記空気流路がさらに水平方向に蛇行するよう
に形成される。これによって空気流の移動経路もより複
雑となり、インクミストの回収効率をさらに向上させる
ことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるインクジェ
ット式記録装置について、図に示す実施の形態に基づい
て説明する。図1乃至図4はいずれも本発明にかかるイ
ンクジェット式記録装置に装備されたインク回収ユニッ
トを示したものである。そして、図1には、インク回収
ユニットを構成するユニットボックスの全体が斜視図で
示されている。
【0034】また、図2はインク回収ユニットを正面か
ら視た状態を示し、図3はユニットボックスを垂直方向
の面で切断した状態の断面図で示している。さらに図4
(A),(B)はそれぞれインク回収ユニットを左およ
び右方向から視た状態の側面図で示している。
【0035】このインク回収ユニットは、例えば図2に
示されたようにキャリッジ21に搭載されたインクジェ
ット式記録ヘッド22のノズル形成面が、斜め下方を向
いて配置されたような記録装置に採用される。すなわ
ち、図2においてキャリッジ21およびこれに搭載され
た記録ヘッド22は、紙面の垂直方向に往復移動される
ように構成されており、これにより記録ヘッド22は斜
め方向に紙送りされる図示せぬ記録用紙の幅方向に走査
することができるように構成されている。
【0036】そして、インク回収ユニットは、記録ヘッ
ド22の移動経路の一部に配置され、フラッシング動作
に基づいて記録ヘッド22から空吐出されるインク滴を
回収するように作用する。
【0037】インク回収ユニットを構成するユニットボ
ックス31には、図2および図3に示されているよう
に、フラッシング動作により記録ヘッド22のノズル開
口から吐出されるインク滴が通過可能な受け入れ開口部
32が形成されている。なお、この実施の形態において
は、ユニットボックス31に形成された受け入れ開口部
32と、キャリッジ21の走査領域との間には、インク
回収ユニットとは関係のない他の構成部材25が、ユニ
ットボックス31に取り付けられた状態で配置されてい
る。
【0038】そして、この構成部材25に形成されたダ
クト状の開口25a(図3参照)を介して、フラッシン
グ動作に基づくインク滴が、ユニットボックス31に形
成された前記受け入れ開口部32に向かって吐出される
ようになされる。
【0039】前記ユニットボックス31内における受け
入れ開口部32の直後には、重力方向すなわち下方に向
かってインク滴回収空間部33が形成されている。した
がって、フラッシング動作に基づく記録ヘッド22より
吐出された大部分のインク滴は、重力方向に向かって形
成された前記インク滴回収空間部33内に落下し、その
下底部34に一時的に貯留される。そして、インク滴回
収空間部33の下底部34は、そのほぼ中央部に向かっ
てそれぞれ低下する傾斜面になされており、この2つの
傾斜面により形成された最も低位置には、廃液の排出口
35が形成されている。
【0040】したがって、フラッシング動作に基づいて
吐出された大部分のインク滴は、インク滴回収空間部3
3の下底部34に形成された傾斜面を下り、排出口35
に誘導されて排出口35から外部に突出されるように形
成された廃棄管36を介して排出することができる。
【0041】一方、前記ユニットボックス31内におけ
る受け入れ開口部32の直後より、反重力方向すなわち
上方に向かう空気流路41が形成されている。この空気
流路41は、図1乃至図3に示されたように、上下に折
り返すように蛇行して形成されており、空気流路41の
終端部を構成するユニットボックスの上方端部には、図
2に示されたように排気ファン42が配置されている。
【0042】この構成において、排気ファン42が駆動
されることによって、ユニットボックスの受け入れ開口
部32から空気流路41を通して空気流路の終端部、す
なわち排気ファン42に向かって空気流が形成される。
この場合、望ましくは前記受け入れ開口部32における
空気の流速、すなわち吸い込み流速は1m/sec程
度、またはそれ以上となるように調整される。
【0043】この構成により、フラッシング動作により
記録ヘッドより吐出されたインク滴の一部が、その飛翔
中にインクミストに変化した場合、このインクミストは
空気流に伴って上下に蛇行する前記一連の空気流路41
内に誘導される。
【0044】この実施の形態においては、前記一連の空
気流路41において、反重力方向(上方)に向かう空気
流路は、その幅が大きく形成されており、この幅広の空
気流路内には、互い違いとなるよう各板状体43が形成
されている。
【0045】この各板状体43は、空気流路の表面積を
実質的に増大させるように機能し、さらに、前記したよ
うに各板状体43が互い違いとなるように配置したこと
により、各板状体によって前記空気流路41がさらに水
平方向に蛇行するように形成される。
【0046】したがって、空気流に乗った前記インクミ
ストは上下に蛇行し、且つ各板状体によって左右に蛇行
する空気流路41を通過することによって、空気流路4
1の壁面、または前記各板状体43に接触して捕獲され
る。
【0047】そして、図1乃至図3に示されたように、
前記各板状体43は、それぞれの板状体の先端部が重力
方向に若干傾斜した状態に形成されている。この構成に
より、それぞれの板状体によって捕獲されたインクミス
トによる廃液は、各板状体43の表面を流れて下方に落
下し、したがって廃液の回収が促進される。
【0048】この実施の形態においては、図1および図
2に示されたように、受け入れ開口部32から終端部に
向かう空気流路中において、最初に板状体43が配置さ
れた空気流路における下底部44には、前記したインク
滴回収空間部33に連通する廃液誘導孔45が形成され
ている。
【0049】前記した空気流路における下底部44は、
一方向に向かって低下する傾斜面になされており、この
傾斜面により形成された最も低位置に前記廃液誘導孔4
5が形成されている。
【0050】したがって、各板状体43に接触して捕獲
され、空気流路における前記下底部44に滴下した廃液
は、下底部44に形成された傾斜面を下り、廃液誘導孔
45を介してインク滴回収空間部33に導入される。こ
のようにしてインク滴回収空間部33に導入された廃液
は、前記したように排出口35に誘導されて排出口35
から廃棄管36を介して排出される。
【0051】なお、この実施の形態においては、空気流
路の終端部に近い位置における板状体43が配置された
空気流路の下底部には、前記したような廃液誘導孔45
は形成されていない。これは、空気流路の終端部に近い
ために、インクミストの濃度は極端に低下し、当該部分
においては廃液が蓄積されるに至らない理由による。し
かしながら、空気流路等の設計によっては、空気流路の
終端部に近い位置においても廃液が蓄積される場合もあ
り、この場合においては同様に下底部に廃液誘導孔45
を形成し、廃液が排出できるように構成することが望ま
しい。
【0052】一方、前記空気流路の終端部に配置された
排気ファン42の直前には、図2に示されたようにエア
ーフィルタ51が配置されている。このエアーフィルタ
51は、矩形状にして偏平状に形成されており、この外
形形状に沿ってリブ52によって形成された空間部に嵌
め込まれている。したがって、前記した一連の空気流路
によって捕獲されない微小なインクミストを、このエア
ーフィルタ51によって捕獲することができる。
【0053】図1に示された全体構成から理解できるよ
うに、インク回収ユニットを構成するユニットボックス
31は、一側壁31aとこれに連なる周側壁31bとが
一体に形成されて、前記一側壁31aに対向する他側面
が開放された箱状部材を構成している。さらに、前記一
側壁31aをベースとして周側壁に囲まれた内部に、前
記一連の空気流路等を形成する内壁体31cが一体に形
成されている。
【0054】この構成により、前記一側壁31a、周側
壁31bならびに内壁体31cは、例えばインジェクシ
ョン成型によって一体に成形することが可能となる。そ
して、一体に成形された箱状部材の開放端部を、平板状
の封止部材によって封止することにより、筐体状のユニ
ットボックス31を形成することができる。
【0055】この実施の形態においては、前記封止部材
として図2に示されたように透明な樹脂素材により形成
された熱溶着フィルム55が用いられている。すなわ
ち、熱溶着フィルム55は、前記一側壁31aに一体に
成形された周側壁31bの外形形状に、ほぼ一致するよ
うに予め裁断される。
【0056】そして、この熱溶着フィルム55を、周側
壁31bの開放端部に沿って載置した後、図示せぬヒー
タチップをその上部から当接させることにより、熱溶着
フィルム55は、周側壁31bおよび内壁体31cの各
開放端部に溶着され、筐体状に形成されたユニットボッ
クス31を得ることができる。
【0057】なお、前記熱溶着フィルム55に代えて、
平板状の封止部材を用いることも可能である。この場合
においては、例えば熱可塑性の合成樹脂によって平板状
の封止部材を形成し、振動溶着等の手段を利用して、周
側壁31bおよび内壁体31cの各開放端部に封止部材
を溶着させることができる。
【0058】以上説明した実施の形態においては、排気
ファンがユニットボックスに形成された空気流路の終端
部に配置されているが、これはユニットボックスに形成
された空気流路中に配置されていても、同様の作用効果
を得ることができる。また、実施の形態においては、エ
アーフィルタが排気ファンの直前に配置されているが、
このエアーフィルタについてもユニットボックスに形成
された空気流路中のいずれかの箇所に配置しても、同様
の作用効果を得ることができる。
【0059】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明にか
かるインクジェット式記録装置によると、インク回収ユ
ニットを構成するユニットボックスには、フラッシング
動作により記録ヘッドのノズル開口から吐出されるイン
ク滴が通過可能な受け入れ開口部が形成されると共に、
内部に重力方向および反重力方向に向かって上下に折り
返すように一連の空気流路が形成される。そして、排気
ファンによって受け入れ開口部から空気流路の終端部に
向かって空気流が形成されるので、ノズル開口から吐出
されるインク滴がたとえインクミストに変化しても、空
気流によってユニットボックス内に確実に取り込むこと
ができる。そして、インクミストは上下に折り返すよう
に形成された一連の空気流路において捕獲されるため、
インクミストにより装置の内外を汚染させるという問題
を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるインクジェット式記録装置に装
備されたインク回収ユニットにおけるユニットボックス
の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示すユニットボックスに排気ファンを装
着させたインク回収ユニットの正面図である。
【図3】図1に示すユニットボックスを垂直方向の面で
切断した状態の縦断面図である。
【図4】インク回収ユニットを左および右方向から視た
状態の側面図である。
【図5】従来のインクジェット式記録装置におけるフラ
ッシング領域の形成例を示した縦断面図である。
【符号の説明】
21 キャリッジ 22 記録ヘッド 25a ダクト状開口 31 ユニットボックス 31a 一側壁 31b 周側壁 31c 内壁体 32 受け入れ開口部 33 インク滴回収空間部 34 下底部 35 廃液排出口 36 廃棄管 41 空気流路 42 排気ファン 43 板状体 44 下底部 45 廃液誘導孔 51 エアーフィルタ 52 リブ 55 熱溶着フィルム(平板状封止部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/01 B41J 2/175 - 2/185 B41J 29/377

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録用紙の幅方向に走査するキャリッジ
    上に搭載され、ノズル開口からインク滴を吐出して記録
    用紙に画像を形成するインクジェット式記録ヘッドを備
    え、前記記録ヘッドからフラッシング駆動信号に基づき
    吐出されたインク滴を受けるインク回収ユニットを、前
    記記録ヘッドの移動経路上に配置したインクジェット式
    記録装置であって、 前記インク回収ユニットは、フラッシング動作により記
    録ヘッドのノズル開口から吐出されたインク滴が通過可
    能な受け入れ開口部と、前記受け入れ開口部から重力方
    向および反重力方向に向かって上下に折り返すように内
    部を区画して形成された空気流路とを備えた筐体状のユ
    ニットボックスと、前記ユニットボックスの空気流路中
    または空気流路の終端部に配置され、前記ユニットボッ
    クスの受け入れ開口部から空気流路の終端部に向かって
    空気流を生じさせるための排気ファンとを備えたインク
    ジェット式記録装置。
  2. 【請求項2】 前記ユニットボックスには前記受け入れ
    開口部よりも下方にインク滴回収空間部が形成されてい
    ると共に、前記受け入れ開口部よりも上方に向かって前
    記空気流路が形成されてなる請求項1に記載のインクジ
    ェット式記録装置。
  3. 【請求項3】 前記インク滴回収空間部には、その下底
    部に廃液の排出口が形成されてなる請求項2に記載のイ
    ンクジェット式記録装置。
  4. 【請求項4】 前記空気流路には、さらに空気流路の表
    面積を増大させる板状体が配置されてなる請求項1乃至
    請求項3のいずれかに記載のインクジェット式記録装
    置。
  5. 【請求項5】 前記板状体が空気流路において互い違い
    となるようにそれぞれ配置され、各板状体によって前記
    空気流路をさらに水平方向に蛇行するように形成してな
    る請求項4に記載のインクジェット式記録装置。
  6. 【請求項6】 前記空気流路において互い違いとなるよ
    うにそれぞれ配置された各板状体が、それぞれの板状体
    の先端部が重力方向に傾斜した状態に形成されてなる請
    求項5に記載のインクジェット式記録装置。
  7. 【請求項7】 前記空気流路において互い違いとなるよ
    うにそれぞれ形成される各板状体は、反重力方向に向か
    う空気流路内に配置されてなる請求項4乃至請求項6の
    いずれかに記載のインクジェット式記録装置。
  8. 【請求項8】 上下に折り返すように形成された一連の
    空気流路における下底部には、前記インク滴回収空間部
    に連通する廃液誘導孔が形成されてなる請求項2乃至請
    求項7のいずれかに記載のインクジェット式記録装置。
  9. 【請求項9】 前記空気流路中に、エアーフィルタを配
    置してなる請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のイ
    ンクジェット式記録装置。
  10. 【請求項10】 前記エアーフィルタが、前記排気ファ
    ンの直前に配置されてなる請求項9に記載のインクジェ
    ット式記録装置。
  11. 【請求項11】 前記ユニットボックスは、一側壁とこ
    れに連なる周側壁、および周側壁に囲まれた内部に一連
    の空気流路を形成する内壁体が一体に形成されて、前記
    一側壁に対向する他側面が開放された構成の箱状部材
    と、前記箱状部材の開放端部を封止して筐体状に形成す
    る封止部材とにより構成されてなる請求項1乃至請求項
    10のいずれかに記載のインクジェット式記録装置。
  12. 【請求項12】 前記封止部材が熱溶着フィルムにより
    構成され、前記熱溶着フィルムが箱状部材の開放端部を
    封止してなる請求項11に記載のインクジェット式記録
    装置。
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