JP3824825B2 - 積層バスバー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばハイブリット電気自動車や電気自動車に搭載された電気機器類の給配電手段として用いられ、特に、曲げ部を有した積層バスバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
積層バスバーは、複数枚の板状導体間に1枚以上の絶縁材を接着層を介して接着し積層してなるものであり、電気自動車の電気機器類例えばインバータ等のモータコントローラ内でIPM(Intelligent Power Module)やIGBT(Insulated Gated Bipolar Transistor)等のパワーモジュールや平滑用コンデンンサを電気的に接続する場合において、ケーブル配線の工数低減や誤配線を防止するため、又、回路上の誘導リアクタンスを低減すること等を目的として使用されている。
【0003】
このような積層バスバーは、接続する電気機器間にある他の部品を回避するように設計されるため、曲げ部(バスバー曲げ部という)を有する場合がある。この曲げ部を図6に示す。この図6中1は導体、2は絶縁材、3は接着層、4はバスバー曲げ部である。バスバー曲げ部4は、導体曲げ部1aと、絶縁材曲げ部2aとを有してなり、この曲げ部4においても接着層3を介して絶縁材2は接着されている。
【0004】
このバスバー曲げ部4の曲げの内側に位置される一方の導体曲げ部1aに対して前記曲げの外側に位置される他方の導体曲げ部1aの曲げ半径は、前記一方の導体曲げ部1aの曲げ半径に、両導体曲げ部1a間に配置される一対の絶縁材曲げ部2a及び接着層3の厚みを加えた大きさに設定され、そのため、図6に示されるように導体1の相互間隔はバスバー曲げ部4においてもそれ以外の導体間隔と変わることなく同じとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記のようなバスバー曲げ部4を有した従来の積層バスバーは、各導体1及び絶縁材2をそれらの外形又は導体1に設けられる孔を利用して治具により位置決めして、前記各材料間を両面接着テープや接着剤等の接着層3により接着して積層されるものであり、絶縁材2が図6のように複数使用される場合でも、これらには同一の抜き型で型抜きしたものを使用するケースが多い。
【0006】
このような積層バスバーにおいて絶縁材曲げ部2aには、その曲げの内面側において圧縮する力が働き、曲げの外面側において引張り力が作用する。この影響は、図6のように絶縁材2が複数枚の場合に、バスバー曲げ部4の曲げの内側に位置された曲げ半径が小さな方の絶縁材2の絶縁材曲げ部2a程大きい。このような圧縮と引張りの影響は絶縁材曲げ部2aに集約される結果、この曲げ部2aに細かなしわを発生させることがある。
【0007】
すなわち、絶縁材曲げ部2aがバスバー曲げ部4の曲げの内側に位置されるか外側に位置されるかで導体1間における複数の絶縁材2の径路長、言い換えれば、各絶縁材2の長手方向の端の位置が異なるため、治具により絶縁材2の外形を規制し位置決めした条件で組立てようとすると、絶縁材曲げ部2aにおいて前記曲げに伴う圧縮と引張りの影響が集約される結果、特に、注意を払わないとバスバー曲げ部4の曲げの内側に位置される絶縁材曲げ部2aに多数の連続する細かなしわ(図6参照)が発生することがある。
【0008】
また、絶縁材2が1枚のみの場合でも、バスバー曲げ部4内に正しく歪みなく絶縁材2を配置しないと、2枚の導体曲げ部1aで押圧されたとき、絶縁材曲げ部2aに細かなしわが発生することがある。
【0009】
そして、以上のように絶縁材曲げ部2aに生じた細かなしわは、その曲がりが急激になるケースがあり、絶縁材曲げ部2aに微小なクラックや絶縁材曲げ部2aを厚み方向に貫通する割れを発生させて、絶縁材曲げ部2aでの絶縁性能の低下をもたらす不安がある。このため、絶縁材2の外周を治具で規制して、この種の積層バスバーを製造することが難しく、その製造に手間を要していた。
【0010】
又、こうした事情からバスバー曲げ部4の曲げ角度(内角)はある大きさ(例えば90°)以上にしなければならないという制約があって、前記曲げ角度を任意に設定して部品回避を行なうための積層バスバーの曲げ設計の自由度が小さいという問題もある。
【0011】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、組立が容易であるとともに、前記曲げ部の曲げ設計の自由度を高めることができる積層バスバーを得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の板状導体とこれら導体間に配置される一枚以上のシート状絶縁材とを接着層で接着して積層されるとともに、1個所以上のバスバー曲げ部を有する積層バスバーを前提とする。
【0013】
そして、前記課題を解決するために請求項1の発明は、前記バスバー曲げ部に位置される前記導体の導体曲げ部間にこの曲げ部から外れた位置の導体間隔よりも広い導体間空隙を形成し、この導体間空隙に収容される前記シート状絶縁材の絶縁材曲げ部は、前記接着層が存在せず、前記導体曲げ部に対する非接着領域をなしていることを特徴とするものである。
【0014】
この発明において、バスバー曲げ部の導体曲げ部間に形成された導体間空隙は、積層バスバーの積層工程等において絶縁材曲げ部に加わる力によって、例えばこの曲げ部が大きく緩やかに撓むことを許容する逃げ部として用いられる。この場合、非接着領域である絶縁材曲げ部は、これに臨んだ導体曲げ部に接着して動きを拘束されることがないから、導体間空隙内で絶縁材曲げ部を自由に撓ませることができる。こうして絶縁材曲げ部を大きく撓み変形させて絶縁材曲げ部に大きなストレスが生じないようにできる。また、絶縁材曲げ部が波打つように撓まない状態であっても、導体曲げ部間に導体間空隙が形成されていることにより、絶縁材曲げ部の曲げを、導体曲げ部の前記導体間空隙に臨む面で規制して、正しく歪みなく導体間空隙に配置できる。従って、絶縁材曲げ部に多数の連続する細かなしわが発生することが防止され、このしわに基づく不具合を解消できる。又、バスバー曲げ部の曲げ角度を小さくしても、導体間空隙を有したバスバー曲げ部において絶縁材曲げ部には従来のような大きなストレスが生じないので、バスバー曲げ部の曲げ設計の自由度を向上できる。
【0015】
前記請求項1の発明を実施するにあたり、この発明に従属する請求項2の発明のように、内側の導体の曲げ部の外面側の曲げ半径を、外側の導体の曲げ部の内面の曲げ半径の値から絶縁材と接着層の合計厚みの値を差し引いた値を超える値にすることによって、前記導体間空隙を形成するとよい。この場合には、単純な曲げ加工によって導体間空隙を形成できる。
【0016】
又、本発明では、請求項4のように、前記絶縁材曲げ部を、前記バスバー曲げ部の内側の導体曲げ部の前記導体間空隙に臨む面に接近ないしは当接するように配置することができる。
更に、本発明では、請求項5のように、前記バスバー曲げ部において、内側の導体曲げ部と外側の導体曲げ部との間に前記一枚以上のシート状絶縁材の絶縁材曲げ部を配置し、この絶縁材曲げ部で前記導体間空隙を仕切って、前記絶縁材曲げ部と前記内側の導体曲げ部との間に空隙を設けるとともに、前記絶縁材曲げ部と前記外側の導体曲げ部との間に空隙を設けることができる。
しかも、本発明では、請求項6のように、前記導体間空隙を前記導体曲げ部の夫々の曲げ半径を異ならせて形成することもできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図1を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0018】
図1に示される第1の実施の形態に係る積層バスバー11は、例えばハイブリット電気自動車や電気自動車のインバータ内でパワーモジュールやコンデンサ等の大電流用電気機器間の直流の給配電に使用されるものであって、2枚の導体12、13と、1枚のシート状絶縁材14と、これらの部材12〜14を接着する接着層16とを備えている。
【0019】
この積層バスバー11は、前記電気機器間に配置されるとともに、このバスバー11とは接続されない他の部品との干渉を回避するためのバスバー曲げ部11aを有している。この曲げ部11aは一つ以上設けられるものであるとともに、その曲げ角度は図1(B)に示されるような約90°に限らず、前記回避の必要に応じて鋭角又は鈍角に曲げて設けることもできる。
【0020】
電気的にプラス側として用いられる一方の導体12と、電気的にマイナス側として用いられる他方の導体13とは、夫々板状であって、その周端の一部例えば下端に一対の取付け用のL形状脚部18が一体に突設されている。これら導体12、13は互いの脚部18を背向させた姿勢で配置され、その脚部18の折れ曲がった水平状の先端部に穿った孔19に通される図示しないねじの締付けにより、電気機器の端子部に積層バスバー11が連結されるようになっている。
【0021】
これら導体12、13は、原料板から必要な形状に型で打抜かれた後、打抜いたブランクに対して脚部18の曲げやそこへの孔開け加工等必要な加工を施し、更に、絶縁材14と接触する可能性がある外周端に対しては、絶縁材14の破損のおそれを少なくするために面取りやR付け等の縁加工が施される。
【0022】
両導体12、13は、導電率(電気伝導率)が高いタフピッチ銅、無酸素銅、低りん酸銅により通常形成されるが、必要とする導電率が確保されればアルミニューム等の他の電気導体を使用することも可能である。そして、導体12の表面には、使用環境等に応じて電気的接触部の腐食による接触抵抗の増加を抑制するための防食処理、例えば錫めっき或いはニッケルメッキ等の電気めっきが施される。
【0023】
2枚の導体12、13間に印加される電圧による導体12、13同士の絶縁破壊を防止するために使用される前記絶縁材14は、導体12、13間に空間絶縁距離及び沿面絶縁距離(沿面距離)を確保する。この絶縁材14は、ビク型等を使用し型抜きして得たものであって、両導体12、13間に必要な沿面距離を確保するため脚部18を除いた部分からなる導体主部よりも外側にはみ出す大形なシート状をなしている。そして、絶縁材14は、両導体12、13間に夫々所定の間隔を空けて重ね合わされるように配置されているとともに、この間に前記接着層16が設けられている。
【0024】
絶縁材14の材質は要求される絶縁特性と使用環境温度等により選択される。例えば、100℃程度以下での使用環境温度ではPET(ポリエチレンテレフタレート)が使用されることが多く、より高温使用環境ではアラミドシート又はPPS(ポリフェニレンサルファイド)シートが使用されることが多く、又、コロナ放電を考慮するような高電圧で使用する環境では集成マイカシートを使用する場合が多い。また、より高い信頼性が要求される場合には、複合フィルム、例えばアラミド製の層をPETフィルムの表裏面に積層したもの等を用いることもある。選択された材料からなる絶縁材14の厚さは、要求絶縁特性に応じて夫々の絶縁材14に固有の絶縁特性から決定される。
【0025】
各絶縁材14と導体12、13は、接着層16により接着されて積層される。これらの接着層16には両面接着テープ又はエポキシ樹脂接着剤等が使用される。なお、接着作業に際しては、各導体12、13の外形又は孔19、及び絶縁材14の外形を利用して、これらとの位置関係を治具により定める。接着層16が両面接着テープの場合には、厚み方向から一定の圧力を掛けて接着作業を行なう。又、接着層16がエポキシ樹脂等の接着剤の場合には、その接着剤の硬化条件(温度、時間)を満たすように高温槽内で保持して接着作業を行なう。
【0026】
こうした位置決め下での接着により積層されて作られる積層バスバー11においては、図1に示されるように導体12より大形な絶縁材14の四周の縁部が、導体12、13の端から外側に突出してはみ出る。積層バスバー11の使用時には、通電される2枚の導体12、13間の電気絶縁は、これらの間に挟み込まれるように配置された絶縁材14により主として行われる。
【0027】
この積層バスバー11のバスバー曲げ部11aは、図1(B)に示されるように一方の導体12に設けられた導体曲げ部12aと、他方の導体13に設けられた導体曲げ部13aと、これら曲げ部12a、13a間に配置される絶縁材曲げ部14aと、この絶縁材曲げ部14aを収容する導体間空隙20とを有して形成されている。絶縁材曲げ部14aにおいて、絶縁材14と導体12、13とは接着されておらず、この部分は非接着領域となっている。
【0028】
詳しくは、導体曲げ部12aはバスバー曲げ部11aの曲げの内側(言い換えればバスバー曲げ部11aの曲げの中心側)に位置され、導体曲げ部13aはバスバー曲げ部11aの曲げの外側に位置されている。そして、導体曲げ部12a、13aは互いに異なる形状に曲げられており、この実施形態では導体曲げ部12a、13aの曲げ半径を異ならせて互いに異なる形状としてある。
【0029】
すなわち、内側の導体曲げ部12aはバスバー曲げ部11aの中で最大の曲げ半径で大きな円弧状をなして曲げられており、外側の導体曲げ部13aはバスバー曲げ部11aの中で最小の曲げ半径で小さな円弧状をなして曲げられている。このとき、内側の導体曲げ部12aの積層面(導体間空隙20に臨む面;つまり外面)の曲げ半径は、外側の導体曲げ部13aの積層面(導体間空隙20に臨む面;つまり内面)の曲げ半径の値から絶縁材14及び接着層16の合計厚みの値を差し引いた値を超える値になるように設定すればよい。
【0030】
このような内外一対の導体曲げ部12a、13aを向かい合うように組合わせることにより、これら曲げ部12a、13a間に導体間空隙20が形成されている。この空隙20は、バスバー曲げ部11以外の部分における内外一対の導体12、13の平行部分間の導体間隔Aよりも広く形成されている。この導体間空隙20において絶縁材曲げ部14aの変形が許容されるようになっている。この導体間空隙20に臨む前記両積層面及び導体間空隙20内に配置される絶縁材曲げ部14aにはいずれも接着層16は設けられていない。それにより、絶縁材曲げ部14aは、非接着領域となっていて、前記両積層面に接着して拘束されることなく導体間空隙20内で大きく緩やかに撓むことができるように設けられている。この例では、絶縁材曲げ部14aは、部分的には山部aと谷部bとを有する波形で、全体的には弓形に撓んだ形状になっている。
【0031】
前記構成のバスバー曲げ部11aを有した積層バスバー11を既述のように治具で位置決めしつつ積層する際において、そのバスバー曲げ部11aの導体曲げ部12a、13a間に形成された導体間空隙20は、絶縁材曲げ部14aに加わる力によって、この曲げ部14aが緩やかに撓むことを許容する逃げとして用いられる。例えば、各部品の寸法のばらつきや導体12、13の曲げのばらつき等が原因して絶縁材14が相対的に長くなっていて、余長を生じた状態で積層される場合等においては、絶縁材曲げ部14aは導体間空隙20内で前記余長に応じて撓むことができる。
【0032】
この場合、絶縁材曲げ部14aはこれが臨んだ導体曲げ部12a、13aに対する非接着領域となっているから、この絶縁材曲げ部14aが導体曲げ部12a、13aに接着して動きを拘束されることがない。そのため、導体間空隙20内で絶縁材曲げ部14aを自由にかつ容易に撓ませることができる。
【0033】
このようにバスバー曲げ部11aにおける絶縁材曲げ部14aをその余長に応じて大きく撓ませるから、この曲げ部14aに大きなストレスが生じることがなくなり、それに伴い絶縁材曲げ部14aに多数の連続する細かなしわが発生することを防止できる。
【0034】
したがって、前記細かなしわに基づく微小なクラックや絶縁材曲げ部14aを厚み方向に貫通する割れの発生が防止されるので、絶縁材曲げ部14aによるバスバー曲げ部11aでの絶縁性能の低下を確実に防止できる。加えて、この積層バスバー11を取扱っている最中に絶縁材曲げ部14aが何処かに当っても損傷を受け難い利点も期待できる。
【0035】
又、前記のように隣接する導体12、13の導体曲げ部12a、13a間に導体間空隙20を設けたことにより、絶縁材曲げ部14aの大きな撓みを伴って絶縁材14の余長を吸収する機能は、バスバー曲げ部11aの曲げ角度が小さくても維持できる。そのため、バスバー曲げ部11aの曲げ角度の大きさに拘らず、バスバー曲げ部11aにおいて絶縁材曲げ部14aに大きなストレスが生じないようにできるので、バスバー曲げ部11aの曲げ設計の自由度を高めることができる。
【0036】
なお、本実施形態のように導体間空隙20を形成するのに、導体曲げ部12a、13aの形状を異ならせる一つの手段として導体曲げ部12a、13aの夫々の曲げ半径を異ならせたから、隣接する導体12、13に対する単純な曲げ加工によって導体間空隙20を形成できる。
【0037】
(第2実施形態)
図2は本発明の第2の実施の形態を示している。この第2実施形態は基本的には前記第1の実施の形態と同様であるので、第1実施形態と同様な構成については第1実施形態と同一符号を付してその説明を省略し、以下第1実施形態とは異なる部分についてのみ説明する。
【0038】
第2実施形態が第1実施形態と異なる構成は、導体12、13間に配置される複数の絶縁材として例えば2枚の絶縁材14、15を使用した点と、それに伴い両絶縁材14、15相互を接着する接着層17が追加されている点である。絶縁材15の材質は絶縁材14と同じであり、又、接着層17の材質は接着層16と同じである。2枚の絶縁材14、15の厚さは、要求絶縁特性に応じて積層バスバー11全体に必要とされる絶縁厚さの半分に設定されている。そして、絶縁材14、15の余長を吸収する導体間空隙20には、この内部で大きく撓み得る非接着領域として接着層が無い絶縁材曲げ部14a、15aが夫々配置されている。なお、以上説明した点以外の構成は第1実施形態と同じである。
【0039】
この第2の実施の形態においても第1実施の形態と同様の作用を得て、絶縁材14、15の余長吸収機能により本発明の課題を解決できる。なお、この第2実施形態のように複数枚の絶縁材14、15を使用する構成は、絶縁材14、15の一枚一枚が薄くなることにより、その導体12、13からのはみ出し縁部に柔軟性を与えて曲げ特性を向上できる他、これら絶縁材14、15が集成マイカシートやアラミドシートである場合に以下の点で優れている。つまり、これらのシートは抄紙を作る場合のように原料を抄く工程を経て作られるので、ピンホールを生じる可能性が比較的高いが、2枚重ね合わせるように配置して使用することによって、例えばピンホールがあっても、それを通って絶縁破壊を起こす径路が導体12、13間の最短距離となることを防止して、必要な空間絶縁を確保できる点で優れている。
【0040】
なお、この第2実施形態に係る積層バスバー11の組立においては、予め2枚の絶縁材14、15の絶縁材曲げ部14a、15aにかかる箇所に接着層が存在しないように配慮しつつ接着層17を介して2枚の絶縁材14、15を2枚重ねに接着しておくことができ、この積層絶縁体を一対の導体12、13に対して接着層16を介して積層することにより、バスバー曲げ部11aを有した積層バスバーを組立てることができる。この場合、2枚の絶縁材14、15の経路長差により生じる撓みを導体間空隙20で吸収できる点で、この積層バスバー11の構造は好ましい。
【0041】
(第3実施形態)
図3は本発明の第3の実施の形態を示している。この第3実施形態は基本的には前記第1の実施の形態と同様であるので、第1実施形態と同様な構成については第1実施形態と同一符号を付してその説明を省略し、以下第1実施形態とは異なる部分についてのみ説明する。
【0042】
第3実施形態が第1実施形態と異なる構成は、導体12、13間に導体間空隙20を形成するために、導体曲げ部12a、13aの形状を異ならせる手段である。すなわち、バスバー曲げ部11aの曲げの外側に位置される導体曲げ部13aは円弧状をなして曲げられているが、前記曲げの内側に位置される導体曲げ部12aは円弧ではなく平面状の積層側面12afを有するように曲げられており、これら導体曲げ部12a、13aによって相互間に導体間空隙20を形成している。なお、以上説明した点以外の構成は図3に図示されない部分を含めて第1実施形態と同じである。
【0043】
したがって、この第3の実施の形態においても第1実施の形態と同様の作用を得て、絶縁材14の余長吸収機能により本発明の課題を解決できる。なお、この実施形態のように作られる導体間空隙20はその容積が大きく、したがって、余長吸収機能を大きくできる点で優れている。
【0044】
(第4実施形態)
図4は本発明の第4の実施の形態を示している。この第4実施形態は基本的には前記第1の実施の形態と同様であるので、第1実施形態と同様な構成については第1実施形態と同一符号を付してその説明を省略し、以下第1実施形態とは異なる部分についてのみ説明する。
【0045】
第4実施形態が第1実施形態と異なる構成は、導体12、13間の導体間空隙20での余長吸収状態であり、絶縁材曲げ部14aは波打つことなく1箇所で湾曲するように撓んでおり、この曲げ部14aがバスバー曲げ部11aの外側の導体曲げ部13aの内面に接近ないしは当接して配置されている。なお、以上説明した点以外の構成は第1実施形態と同じである。また、前記導体曲げ部13a内面への当接下において、この当接部と接着層16の導体間空隙20側の端とにわたる絶縁材曲げ部14の部分は、余長の程度によっては例えば導体曲げ部12a側等に大きく撓むこともある。
【0046】
この第4の実施の形態においても第1実施の形態と同様の作用を得て、絶縁材14の余長吸収機能により本発明の課題を解決できる。
【0047】
(第5実施形態)
図5は本発明の第5の実施の形態を示している。この第5実施形態は基本的には前記第1の実施の形態と同様であるので、第1実施形態と同様な構成については第1実施形態と同一符号を付してその説明を省略し、以下第1実施形態とは異なる部分についてのみ説明する。
【0048】
第5実施形態が第1実施形態と異なる構成は、導体12、13間の導体間空隙20での余長吸収状態であり、絶縁材曲げ部14aは、導体間空隙20に臨む面の中でも最大の曲率をもって形成されている内側の導体曲げ部12bの外周面に沿って接近ないしは当接するように、波打つことなく全体で大きく湾曲した撓み状態で導体間空隙20に配置されている。なお、以上説明した点以外の構成は第1実施形態と同じである。
【0049】
この第5の実施の形態においては、導体曲げ部12a、13a間に導体間空隙20を形成したことにより、バスバー曲げ部11aの導体間空隙20に臨む内側の導体曲げ部12aの大曲率の面で絶縁材曲げ部14aの曲げを規制して、絶縁材曲げ部14aを正しく歪みなく導体間空隙20に配置できる。従って、絶縁材曲げ部14aに大きなストレスが生じないようにできるので、この曲げ部14aに多数の連続する細かなしわが発生することが防止され、このしわに基づく不具合を解消できるとともに、以上のように絶縁材曲げ部14aに大きなストレスが生じないようにする内側の導体曲げ部12aの導体間空隙20に臨む面の曲率は、バスバー曲げ部11aの曲げ角度を小さくしても、その中では最大であるから、バスバー曲げ部11aの設計の自由度を向上できる。以上のようにこの第5実施形態においても第1実施の形態と同様の作用を得て、本発明の課題を解決できる。なお、絶縁材14の余長が予測されたよりも大きい場合には、導体間空隙20での既述の余長吸収機能を得ることができることは勿論である。
【0050】
なお、本発明は前記各実施の形態には制約されない。例えば、導体間に配置されるシート状絶縁材の数は1枚以上であればよい。又、3相交流用に適する積層バスバーとして実施する場合には、使用する導体の数は3枚であり、これら導体のうち隣接する導体間の夫々にシート状絶縁材を第1実施形態と同様に設けて3相交流用の積層バスバーを構成できる。又、本発明の積層バスバーの曲げ部11aの導体間空隙20に、後から接着剤を注入して接着層を形成してもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0052】
請求項1〜6に記載の発明によれば、バスバー曲げ部に形成した導体間空隙内で絶縁材曲げ部を緩やかに撓ませる等により、この曲げ部にクラックや割れを生じさせる多数の連続する細かなしわが発生することを防止したから、製造し易くバスバー曲げ部での絶縁性能をより確実に維持にできる。又、バスバー曲げ部の曲げ角度を小さくしても、絶縁材曲げ部に大きなストレスが生じないので、バスバー曲げ部の曲げ設計の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1の実施の形態に係る積層バスバーの構成を示す斜視図。
(B)は図1中Z部の断面図。
【図2】(A)は本発明の第2の実施の形態に係る積層バスバーの構成を示す斜視図。
(B)は図1中Y部の断面図。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る積層バスバーの構成を示す前記図1(B)相当の断面図。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る積層バスバーの構成を示す前記図1(B)相当の断面図。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る積層バスバーの構成を示す前記図1(B)相当の断面図。
【図6】従来例に係る積層バスバーのバスバー曲げ部を示す断面図。
【符号の説明】
11…積層バスバー
11a…バスバー曲げ部
12…導体
12a…導体曲げ部(非接着領域)
13…導体
13a…導体曲げ部(非接着領域)
14…絶縁材
14a…絶縁材曲げ部
15…絶縁材
15a…絶縁材曲げ部
16…接着層
17…接着層
20…導体間空隙
A…導体間隔
Claims (6)
- 複数の板状導体とこれら導体間に配置される一枚以上のシート状絶縁材とを接着層で接着して積層されるとともに、1個所以上のバスバー曲げ部を有する積層バスバーにおいて、前記バスバー曲げ部に位置される前記導体の導体曲げ部間にこの曲げ部から外れた位置の導体間隔よりも広い導体間空隙を形成し、この導体間空隙に収容される前記シート状絶縁材の絶縁材曲げ部は、前記接着層が存在せず、前記導体曲げ部に対する非接着領域をなしていることを特徴とする積層バスバー。
- 内側の導体の曲げ部の外面側の曲げ半径を、外側の導体の曲げ部の内面の曲げ半径の値から絶縁材と接着層の合計厚みの値を差し引いた値を超える値にすることによって、前記導体間空隙を形成したことを特徴とする請求項1に記載の積層バスバー。
- 前記絶縁材曲げ部を、前記バスバー曲げ部の外側の導体曲げ部の内面に接近ないしは当接させて配置したことを特徴とする請求項1に記載の積層バスバー。
- 前記絶縁材曲げ部を、前記バスバー曲げ部の内側の導体曲げ部の前記導体間空隙に臨む面に接近ないしは当接するように配置したことを特徴とする請求項1に記載の積層バスバー。
- 前記バスバー曲げ部において、内側の導体曲げ部と外側の導体曲げ部との間に前記一枚以上のシート状絶縁材の絶縁材曲げ部を配置し、この絶縁材曲げ部で前記導体間空隙を仕切って、前記絶縁材曲げ部と前記内側の導体曲げ部との間に空隙を設けるとともに、前記絶縁材曲げ部と前記外側の導体曲げ部との間に空隙を設けたことを特徴とする請求項1に記載の積層バスバー。
- 前記導体間空隙を前記導体曲げ部の夫々の曲げ半径を異ならせて形成したことを特徴とする請求項1に記載の積層バスバー。
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