JP3823461B2 - γ−グルタミルトランスペプチダーゼ活性測定用試薬 - Google Patents

γ−グルタミルトランスペプチダーゼ活性測定用試薬 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、L−γ−グルタミル−3−カルボキシ−4−ニトロアニリド(以下、GluCANAと略記する。)又はその塩の安定化方法、及び、該安定化方法により安定化された、血清等体液中のγ−グルタミルトランスペプチダーゼ(以下、γ−GTPと略記する。)を測定するための試薬並びにキットに関する。
【0002】
【従来の技術】
γ−GTPはγ−グルタミルペプチドを加水分解し、γ−グルタミル基を他のペプチドやアミノ酸に転移させる作用をもつ酵素で、ヒトでは腎で最も活性が高いが、その他の臓器、例えば膵、肝、脾、小腸、脳等にも広く分布している。
γ−GTPは、例えばアルコール性肝障害(脂肪肝、肝炎、肝線維症、肝硬変等)、肝外・肝内胆汁うっ滞症、原発性及び転移性肝癌等の種々の肝疾患等で血清中の活性が上昇することが知られており、これらの診断に於いて必須の臨床検査対象項目となっている。
【0003】
γ−GTPの測定法として、これまで種々の合成基質を用いたγ−GTPの活性測定法が知られている。
近年、これら測定法のうち、従来から用いられてきた基質よりも中性緩衝液での溶解性や安定性が優れている、GluCANA又はその塩を基質とし、γ−GTPの酵素作用により生成する5−アミノ−2−ニトロ安息香酸(以下、5ANBと略記する。)の生成速度を分光光学的に測定する方法が広く用いられている。
【0004】
しかしながら、このGluCANA又はその塩は、溶解性は高いものの、溶液状態での安定性が未だ不十分で、保存中に非酵素的に分解するため、これを基質として用いるγ−GTP測定用試薬には、経時的に試薬ブランクが上昇するという欠点がある。
【0005】
一方、近年の臨床診断薬の動向として、従来の凍結乾燥状態で供給される臨床検査用試薬に於ける問題点、即ち、試薬調製の手間や試薬調製の際の煩雑さに起因する試薬調製ミスなどによる作業効率の低下やコストアップ等を改善することを目的として、また、緊急検査時に於ける迅速な対応を可能とするため等の理由により、試薬を調製する手間が不要で長期間の保存が可能な液状試薬が臨床診断薬の主流となってきており、γ−GTP活性測定用試薬についても長期間の保存が可能な液状試薬の開発が求められている現状にある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、GluCANA又はその塩を安定化する方法、及び長期間安定なγ−GTP活性測定用試薬並びにキットの提供をその課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、GluCANA又はその塩を含む溶液に、クラウンエーテル化合物、γ−シクロデキストリン(以下、γ−CDと略記する。)又はその誘導体を共存させることを特徴とする、溶液中でのGluCANA又はその塩の安定化方法の発明である。
【0008】
また、本発明は、GluCANA又はその塩と、クラウンエーテル化合物、γ−CD又はその誘導体とを含んでなる、γ−GTP活性測定用試薬の発明である。
【0009】
更に、本発明は、γ−GTPの受容体基質を含んでなる試薬と、GluCANA又はその塩と、クラウンエーテル化合物、γ−CD又はその誘導体とを含んでなる試薬、とを組み合わせてなるγ−GTP活性測定用キットの発明である。
【0010】
即ち、本発明者等は、長期間安定なγ−GTP活性測定用試薬を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、GluCANA又はその塩を含む溶液に、クラウンエーテル化合物、γ−CD又はその誘導体を共存させれば、意外にもGluCANA又はその塩の溶液状態に於ける非酵素的分解を抑制し得、GluCANAを長期間安定化させることができることを見出し、更に該安定化方法を用いれば、長期間安定なγ−GTP活性測定用試薬、並びにキットが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明で用いられるクラウンエーテル化合物としては、基本骨格として(−CH2CH2O−)の繰り返し単位をもつ大環状ポリエーテルであって、本発明に係るGluCANA又はその塩を安定化し得る作用を有するものであれば特に限定されない。また、このようなクラウンエーテル化合物としては、上記した如き性質を有するものであって、ある程度の水に対する溶解性(目的の安定化作用を呈し得る程度の溶解性)を有するものであれば特に限定されず、適当な置換基を有するものでもよい。このようなものとしては、例えば18-クラウン−6,2-(アミノメチル)-18-クラウン-6,1-アザ-18-クラウン-6,(+)-(18-クラウン-6)-2,3,11,12-テトラカルボン酸,2-(ヒドロキシメチル)-18-クラウン-6等の繰り返し単位を6以上有するクラウンエーテル化合物が好ましく挙げられる。
尚、これらクラウンエーテル化合物は、市販のものを用いても良いし、例えばChem. Commun., 670(1971)、Acta Chem. Scand., 26, 1471(1972)、Tetrahedron Lett., 1793(1972)、J. Org. Chem., 39, 2445(1974)等に記載された自体公知の方法に準じて合成したものを用いても良い。
クラウンエーテル化合物の使用濃度は、本発明に係るGluCANA又はその塩を安定化し得る濃度であれば良く、特に限定されないが、GluCANA1mMに対して、通常0.6mM以上、好ましくは1.3mM以上であって、GluCANA含有溶液中の濃度が、通常20mM〜2M、好ましくは40mM〜1.2Mとなるように適宜選択される。
尚、上記のクラウンエーテル化合物は、夫々単独で用いても良いし、適宜組み合わせて用いても良い。
【0012】
本発明で用いられるγ−CD又はその誘導体としては、本発明に係るGluCANA又はその塩を安定化し得る作用を有するものであれば特に限定されない。
このようなCD誘導体としては、例えば2,6−ジ−O−メチル−γ−シクロデキストリン、2,3,6−トリ−O−メチル−γ−シクロデキストリン、2,6−ジ−O−エチル−γ−シクロデキストリン、2,3,6−トリ−O−エチル−γ−シクロデキストリン等のアルキル化γ−CD、例えば2−ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン(以下、HE−γ−CDと略記する。)、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、3−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、2,3−ジヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン等のヒドロキシアルキル化γ−CD、例えば2,3,6−トリ−O−アセチル−γ−シクロデキストリン等のアシル化γ−CD、例えば6−O−α−D−グルコシル−γ−シクロデキストリン、6−O−α−マルトシル−γ−シクロデキストリン等の糖修飾γ−CD、例えばO−カルボキシメチル−γ−シクロデキストリン等のカルボキシアルキル化γ−CD、例えばポリ−γ−シクロデキストリン等のポリマー体等が挙げられる。
尚、これらγ−CD及びその誘導体は、市販のものを用いても良いし、例えば米国特許第3453258号明細書、米国特許第3453259号明細書、Polymer Journal, Vol.13, No.8, p.777-781(1981)、特開昭61-266401号公報、特開昭63-122701号公報、特開昭62-243602号公報等に記載された自体公知の方法に準じて合成したものを用いても良い。
γ−CD又はその誘導体の使用濃度は、本発明に係るGluCANA又はその塩を安定化し得る濃度であれば良く、特に限定されないが、GluCANA1mMに対して、通常0.1mM以上、好ましくは0.25mM以上であって、GluCANA含有溶液中の濃度が、通常4〜200mM、好ましくは8〜120mMとなるように適宜選択される。
尚、上記のγ−CD又はその誘導体は、夫々単独で用いても良いし、適宜組み合わせて用いても良い。
また、クラウンエーテル化合物とγ−CD(又はその誘導体)は、夫々単独で用いても良いし、適宜組み合わせて用いても良い。
【0013】
本発明の方法により安定化されるGluCANAの塩としては、通常この分野で使用されているものであれば良く、特に限定されないが、例えばアンモニウム塩等が挙げられる。
また、これらGluCANA又はその塩の使用濃度は、通常1mM〜1M、好ましくは1〜100mMの範囲から適宜選択される。
【0014】
本発明の安定化方法に於いて、GluCANA又はその塩を含む溶液に、クラウンエーテル化合物又はγ−CD(又はその誘導体)を共存させる方法としては、最終的に、溶液中にGluCANA又はその塩と、クラウンエーテル化合物又はγ−CD(又はその誘導体)とを共存させることができる方法であれば良く、特に限定されないが、最も一般的な方法としては、GluCANA又はその塩を含む溶液に、クラウンエーテル化合物又はγ−CD(又はその誘導体)を添加、溶解させて共存させる方法、クラウンエーテル化合物又はγ−CD(又はその誘導体)を含む溶液に、GluCANA又はその塩を添加、溶解させて共存させる方法、GluCANA又はその塩を含む溶液と、クラウンエーテル化合物又はγ−CD(又はその誘導体)を含む溶液とを混合する方法等が挙げられる。
【0015】
本発明の安定化方法に於いて、GluCANA又はその塩と、クラウンエーテル化合物又はγ−CD(又はその誘導体)とを共存させるために用いられる溶液としては、例えば蒸留水、緩衝液等が挙げられ、緩衝液を構成する緩衝剤としては、通常この分野で用いられるものは全て使用可能であるが、具体的には、例えばグリシルグリシン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、リン酸、ホウ酸ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、マレイン酸、フタル酸、コハク酸、クエン酸、酢酸、酒石酸、グッドの緩衝剤等が挙げられる。また、該緩衝液のpHは、通常pH3〜9程度、好ましくはpH4〜8程度である。
【0016】
供与体基質としてGluCANAを用いてγ−GTP活性を測定する自体公知のγ−GTP活性測定法に用いられる試薬中に、本発明に係るクラウンエーテル化合物又はγ−CD(又はその誘導体)を上記した如き濃度範囲となるように含有させることにより、長期間安定なγ−GTP活性測定用試薬を容易に調製し得る。
【0017】
自体公知のγ−GTP活性測定用試薬としては、GluCANAを供与体基質として使用するγ−GTP活性測定用として自体公知のものであれば如何なるものでもよく、例えばγ−GTPの受容体基質と、供与体基質であるGluCANAの存在下、γ−GTPを作用させ、生成する5ANBの405〜410nmに於ける単位時間当たりの吸光度の増加を測定し、γ−GTPの活性値を算出する方法(Clin. Chem. Clin. BioChem., 21, 633-646(1983))等に用いられるγ−GTP活性測定用試薬等が挙げられる。
【0018】
本発明のγ−GTP活性測定用試薬は、例えば血液、血清、血漿、膵液等の生体由来試料中のγ−GTPの活性を測定するために使用されるもので、GluCANA又はその塩とクラウンエーテル化合物又はγ−CD(又はその誘導体)とを含んでなるものであり、構成要件の好ましい態様や使用濃度等は、上で述べたとおりである。また、本発明の測定試薬は、上記した如き自体公知のGluCANAを供与体基質とするγ−GTP活性測定法に通常使用される試薬類、例えばγ−GTPの受容体基質、緩衝剤、キレート剤又はその塩、防腐剤、界面活性剤、濁り防止剤、安定化剤、賦活剤等を、この分野で使用される濃度範囲で含有していてもよい。
【0019】
本発明のγ−GTP活性測定用試薬を用いてγ−GTP活性測定を行う場合には、当然γ−GTPの受容体基質が用いられるが、その際の試薬形態としては、1試薬形態でも2試薬形態でも或いはそれ以上の試薬形態でも良く、特に限定されないが、保存安定性や測定精度等を考慮すると、γ−GTPの受容体基質を含んでなる試薬と、GluCANA又はその塩と、クラウンエーテル化合物、γ−CD又はその誘導体とを含んでなる試薬の2種類の試薬とからなる2試薬形態に構成されたものが望ましい。
【0020】
本発明に於いて使用されるγ−GTPの受容体基質としては、γ−GTPの作用により、供与体基質であるGluCANAより生成するγ−グルタミル基が転移され得るアミノ酸又はペプチドであればよく、通常この分野で使用されている受容体基質であれば特に限定されないが、例えばグリシルグリシン、グリシルグリシルグリシン等が好ましく挙げられる。これらγ−GTPの受容体基質の使用濃度は、γ−GTP活性測定時の濃度が自体公知の測定法で用いられる濃度範囲となるようにγ−GTP活性測定用試薬中に添加されればよく、γ−GTP活性測定時の濃度として、通常10mM〜1M、好ましくは50〜400mMの範囲となるように適宜添加される。
【0021】
本発明のγ−GTP活性測定用試薬を用いたγ−GTP活性の測定は、自体公知の操作法に準じて行われる。
即ち、例えば2試薬形態の試薬を用いてγ−GTP活性を測定する場合、先ず、例えば血液、血清、血漿等の生体由来試料と、例えばγ−GTPの受容体基質、要すれば緩衝剤、キレート剤、防腐剤、界面活性剤、濁り防止剤、安定化剤、賦活剤等を含む第1試薬(pH3〜9)とを混合し、通常10〜50℃、好ましくは20〜40℃で、通常2〜60分間、好ましくは3〜30分間反応させる。次いで、該反応液と、例えばGluCANA又はその塩、及びクラウンエーテル化合物又はγ−CD(又はその誘導体)、要すれば緩衝剤、キレート剤、防腐剤、界面活性剤、濁り防止剤、安定化剤、賦活剤等を含む第2試薬(pH3〜9)とを混合し、通常10〜50℃、好ましくは20〜40℃で反応させ、γ−GTPの作用により生成する5ANBの増加速度を405〜410nmに於ける単位時間当たりの吸光度の増加量(ΔA1/min)として測定する。得られたΔA1/minと、例えば予め生理食塩水等を試料として上記と同様にして求めたΔA2/minとを、下記式(式中、εは5ANBのモル吸光係数を表す。)に代入することにより、試料中のγ−GTPの活性値が得られる。
【0022】
【式1】
Figure 0003823461
【0023】
また、例えば1試薬形態の試薬を用いてγ−GTP活性を測定する場合、例えば血液、血清、血漿等の生体由来試料と、例えばγ−GTPの受容体基質、GluCANA又はその塩、及びクラウンエーテル又はγ−CD(又はその誘導体)、要すれば緩衝剤、キレート剤、防腐剤、界面活性剤、濁り防止剤、安定化剤、賦活剤等を含む試薬(pH3〜9)とを混合し、通常10〜50℃、好ましくは20〜40℃で反応させ、γ−GTPの作用により生成する5ANBの増加速度を405〜410nmに於ける単位時間当たりの吸光度の増加量(ΔE/min)として測定する。得られたΔE/minを、下記式(式中、εは5ANBのモル吸光係数を表す。)に代入することにより、試料中のγ−GTPの活性値が得られる。
【0024】
【式2】
Figure 0003823461
【0025】
本発明のγ−GTP活性測定用キットは、例えば血液、血清、血漿等の生体由来試料中のγ−GTP活性の測定を実施するために使用されるものであり、以下の如き構成を有するものである。
即ち、γ−GTPの受容体基質を含んでなる試薬と、GluCANA又はその塩と、クラウンエーテル化合物、γ−シクロデキストリン又はその誘導体とを含んでなる試薬、とを組み合わせてなる形態のものである。また、夫々の構成要素の好ましい態様、具体例等については先に述べた通りである。また、当該キットの各試薬は、この分野で通常用いられる、例えば緩衝剤、キレート剤、防腐剤、界面活性剤、濁り防止剤、安定化剤、賦活剤等を通常この分野で使用される範囲含有していてもよい。更に、当該キットには、必要に応じて、γ−GTP標準品が組み合わされていてもよい。
【0026】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。
【0027】
【実施例】
実施例1 クラウンエーテル化合物及びγ−CDのGluCANAに対する非酵素的分解抑制効果の検討−1
〔試料〕
生理食塩水を試料とした。
〔試薬〕
下記に示す試薬を調製し、20℃で所定期間保存したものを使用した。
R−1;191.3mM グリシルグリシン緩衝液(pH7.90、30℃)をR−1とした。
R−2;所定の安定化剤 所定濃度、及びGluCANA 30.6mMを含有する 10mM クエン酸−クエン酸Na緩衝液(pH5.20、30℃)をR−2とした。
(安定化剤)
安定化剤として、下記のものを使用した。
・18−クラウン−6
・γ−CD
〔測定条件〕
測定パラメータを以下のように設定して、試薬の初期吸光度を測定した。
測定方法;レートA[22]−[34]
試料量 ;5μl
R−1 ;200μl
R−2 ;50μl
測定波長;405/600nm
測定温度;37℃
〔結果〕
得られた測定結果を表1に示す。また、表1には、対照として安定化剤無添加の試薬について得られた結果も併せて示す。
尚、表1中、吸光度上昇量(ΔOD)は、各試薬に於ける、所定期間保存後の初期吸光度(ODT)と調製直後の初期吸光度(ODS)との差を表す。
【0028】
【表1】
Figure 0003823461
【0029】
また、表1中の各試薬の吸光度上昇量をプロットした結果を図1に示す。
尚、図1に於いて、縦軸は吸光度上昇量(ΔOD)を、横軸は試薬保存期間(週)を夫々示し、−◇−は安定化剤無添加試薬を用いた場合の結果を、−◆−は18−クラウン−6を含む試薬を用いた結果を、−●−はγ−CDを含む試薬を用いた結果を夫々示す。
【0030】
表1及び図1の結果から明らかな如く、安定化剤無添加の場合に比べ、18−クラウン−6又はγ−CDを添加した場合には、試薬保存後の吸光度の上昇が著しく抑制されていることが判る。即ち、GluCANAを含む溶液中に18−クラウン−6又はγ−CDを共存せしめることにより、溶液中に於けるGluCANAの非酵素的分解を著しく抑制し得ることが判る。
【0031】
実施例2 クラウンエーテル化合物及びγ−CDのGluCANAに対する非酵素的分解抑制効果の検討−2
〔試料〕
実施例1と同じ。
〔試薬〕
下記に示す試薬を調製し、11℃で所定期間保存したものを使用した。
R−1;実施例1と同じ。
R−2;所定の安定化剤 所定濃度、及びGluCANA 30.6mMを含有する 10mM クエン酸−クエン酸Na緩衝液(pH5.20、30℃)をR−2とした。
(安定化剤)
安定化剤として、下記のものを使用した。
・18−クラウン−6
・γ−CD
〔測定条件〕
実施例1と同じ。
〔結果〕
得られた測定結果を表2に夫々示す。また、表2には、対照として安定化剤無添加の試薬について得られた結果も併せて示す。
尚、表2中、吸光度上昇量(ΔOD)は、各試薬に於ける、所定期間保存後の初期吸光度(ODT)と調製直後の初期吸光度(ODS)との差を表す。
【0032】
【表2】
Figure 0003823461
【0033】
また、表2中の各試薬の吸光度上昇量をプロットした結果を図2に示す。
尚、図2に於いて、縦軸は吸光度上昇量(ΔOD)を、横軸は試薬保存期間(月)を夫々示し、−□−は安定化剤無添加試薬を用いた場合の結果を、−★−は18−クラウン−6を160mM含む試薬を用いた結果を、−◆−は18−クラウン−6を200mM含む試薬を用いた結果を、−●−は18−クラウン−6を400mM含む試薬を用いた結果を、−☆−はγ−CDを32mM含む試薬を用いた結果を、−◇−はγ−CDを40mM含む試薬を用いた結果を、また、−○−はγ−CDを80mM含む試薬を用いた結果を夫々示す。
【0034】
表2及び図2の結果から明らかな如く、安定化剤無添加の場合に比べ、18−クラウン−6又はγ−CDを添加した場合には、何れの濃度に於いても試薬保存後の吸光度の上昇が著しく抑制されることが判る。また、安定化剤の添加量を増加させるほど吸光度上昇抑制効果が向上することも判る。
【0035】
実施例3 ヒト血清中γ−GTPの測定
日立7170形自動分析装置〔(株)日立製作所製〕を使用して、本発明の方法により、ヒト血清中のγ−GTP活性を測定した。
〔試料〕
ヒト血清10検体を試料とした。
〔試薬〕
R−1;実施例1と同じ。
R−2;所定の安定化剤 所定濃度、及びGluCANA 30.6mM、を含有する10mM クエン酸−クエン酸Na緩衝液(pH5.20、30℃)をR−2とした。
(安定化剤)
安定化剤として、下記のものを使用した。
・18−クラウン−6
・γ−CD
〔測定条件〕
測定パラメータを以下のように設定して、ヒト血清中のγ−GTP活性を測定した。
測定方法;レートA[22]−[34]
試料量 ;5μl
R−1 ;200μl
R−2 ;50μl
測定波長;405/600nm
測定温度;37℃
〔結果〕
得られた測定結果を表3に示す。また、表3には、対照として安定化剤無添加の試薬について得られた測定結果も併せて示す。
【0036】
【表3】
Figure 0003823461
【0037】
表3の結果から明らかな如く、18−クラウン−6又はγ−CDを安定化剤として添加した試薬を用いて得られたγ−GTP活性測定値は、安定化剤の添加量に係わらず何れも安定化剤無添加試薬を用いて得られた測定値と良好な相関性を有していることが判る。即ち、これら安定化剤は、γ−GTP活性測定の主反応には何等影響を与えないことが判る。
【0038】
実施例4
血液、血清、血漿等の生体由来試料中のγ−GTP活性の測定を実施するために使用される測定用キットの代表的な例としては、以下のようなものが挙げられる。
(1)第一試薬(pH3〜pH9):以下の試薬類を含有。
受容体基質。
(2)第二試薬(pH3〜pH9):以下の試薬類を含有。
GluCANA又はその塩、
クラウンエーテル化合物、γ−シクロデキストリン又はその誘導体。
【0039】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明は、溶液中のGluCANA又はその塩を安定化する方法、及びγ−GTP活性測定用試薬並びにキットを提供するものであり、本発明を使用することにより、GluCANAを溶液中で長期間安定化させることができるので、長期間安定なγ−GTP活性測定用試薬が容易に得られるという顕著効果を奏するので斯業に貢献するところ大なる発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた、各試薬の吸光度上昇量(ΔOD)と、試薬保存期間(週)との関係を示したものである。
【図2】実施例2で得られた、各試薬の吸光度上昇量(ΔOD)と、試薬保存期間(月)との関係を示したものである。
【符号の説明】
図1に於いて、縦軸は吸光度上昇量(ΔOD)を、横軸は試薬保存期間(週)を夫々示し、−◇−は安定化剤無添加試薬を用いた場合の結果を、−◆−は18−クラウン−6を含む試薬を用いた結果を、−●−はγ−CDを含む試薬を用いた結果を夫々示す。
図2に於いて、縦軸は吸光度上昇量(ΔOD)を、横軸は試薬保存期間(月)を夫々示し、−□−は安定化剤無添加試薬を用いた場合の結果を、−★−は18−クラウン−6を160mM含む試薬を用いた結果を、−◆−は18−クラウン−6を200mM含む試薬を用いた結果を、−●−は18−クラウン−6を400mM含む試薬を用いた結果を、−☆−はγ−CDを32mM含む試薬を用いた結果を、−◇−はγ−CDを40mM含む試薬を用いた結果を、また、−○−はγ−CDを80mM含む試薬を用いた結果を夫々示す。

Claims (9)

  1. L−γ−グルタミル−3−カルボキシ−4−ニトロアニリド又はその塩を含む溶液に、18- クラウン− 6 2- (アミノメチル) -18- クラウン -6 1- アザ -18- クラウン -6 (+)- 18- クラウン -6 -2,3,11,12- テトラカルボン酸及び 2- (ヒドロキシメチル) -18- クラウン -6 から選ばれるクラウンエーテル化合物、並びにγ−シクロデキストリン、アルキル化γ−シクロデキストリン、アシル化γ−シクロデキストリン、糖修飾γ−シクロデキストリン及びカルボキシアルキル化γ−シクロデキストリンから選ばれるγ−シクロデキストリン又はその誘導体の少なくとも1種を共存させることを特徴とする、溶液中でのL−γ−グルタミル−3−カルボキシ−4−ニトロアニリド又はその塩の安定化方法。
  2. 前記クラウンエーテル化合物の溶液中の濃度が 20mM 2M である、請求項1記載の安定化方法。
  3. 前記γ−シクロデキストリン又はその誘導体の溶液中の濃度が 4 200mM である、請求項1記載の安定化方法。
  4. L−γ−グルタミル−3−カルボキシ−4−ニトロアニリド又はその塩と、18- クラウン− 6 2- (アミノメチル) -18- クラウン -6 1- アザ -18- クラウン -6 (+)- 18- クラウン -6 -2,3,11,12- テトラカルボン酸及び 2- (ヒドロキシメチル) -18- クラウン -6 から選ばれるクラウンエーテル化合物、並びにγ−シクロデキストリン、アルキル化γ−シクロデキストリン、アシル化γ−シクロデキストリン、糖修飾γ−シクロデキストリン及びカルボキシアルキル化γ−シクロデキストリンから選ばれるγ−シクロデキストリン又はその誘導体の少なくとも1種とを含んでなる、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ活性測定用試薬。
  5. 前記クラウンエーテル化合物の溶液中の濃度が 20mM 2M である、請求項4記載の試薬。
  6. 前記γ−シクロデキストリン又はその誘導体の溶液中の濃度が 4 200mM である、請求項4記載の試薬。
  7. γ−グルタミルトランスペプチダーゼの受容体基質を含んでなる試薬と、L−γ−グルタミル−3−カルボキシ−4−ニトロアニリド又はその塩と、18- クラウン− 6 2- (アミノメチル) -18- クラウン -6 1- アザ -18- クラウン -6 (+)- 18- クラウン -6 -2,3,11,12- テトラカルボン酸及び 2- (ヒドロキシメチル) -18- クラウン -6 から選ばれるクラウンエーテル化合物、並びにγ−シクロデキストリン、アルキル化γ−シクロデキストリン、アシル化γ−シクロデキストリン、糖修飾γ−シクロデキストリン及びカルボキシアルキル化γ−シクロデキストリンから選ばれるγ−シクロデキストリン又はその誘導体の少なくとも1種とを含んでなる試薬とを組み合わせてなるγ−グルタミルトランスペプチダーゼ活性測定用キット。
  8. 前記クラウンエーテル化合物の溶液中の濃度が 20mM 2M である、請求項7記載のキット。
  9. 前記γ−シクロデキストリン又はその誘導体の溶液中の濃度が 4 200mM である、請求項7記載のキット。
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