JP3822437B2 - マンガン酸リチウムの製造方法及び該マンガン酸リチウムを用いてなるリチウム電池 - Google Patents

マンガン酸リチウムの製造方法及び該マンガン酸リチウムを用いてなるリチウム電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム電池の正極材料などに有用な化合物であるマンガン酸リチウムの製造方法、及びその製造方法で得られるマンガン酸リチウムを用いてなるリチウム電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池は高電圧で、充放電サイクル特性に優れ、且つ軽量、小型であるため、近年急速に普及してきており、特に4V級の高起電力のものが求められている。このようなリチウム二次電池としてコバルトまたはニッケルとリチウムとの複合酸化物を正極活物質として用いたものが知られているが、コバルトやニッケルは高価であり、また将来的な資源の枯渇が問題とされている。
【0003】
マンガンとリチウムとの複合酸化物である化学式LiMn24などで表されるスピネル型の結晶構造を有するマンガン酸リチウムは、4V級のリチウム二次電池の正極活物質として有用であり、また原料となるマンガンが安価で資源的に豊富であるので、コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムに替わるものとして有望である。
【0004】
正極活物質は各種の添加剤とを混練、成形するか、あるいはさらに溶剤を加えてペースト状にして基板に塗布される。従来の湿式法によるマンガン酸リチウムは粒子径の小さいものしか得られず、これを焼成して粒子成長させても所望の大粒子が得られないため、充填密度が低く一定体積中に多量に充填できないので、高いエネルギー密度が得られないという問題がある。一般的に粉体の粒子径を大きく(比表面積を小さく)すると、充填密度は高くななるといわれており、大粒子径のマンガン酸リチウムが求められている。
【0005】
特開平10−194745号公報には、マンガン酸化物とリチウム塩とを混合し一次焼成した後、機械的粉砕などによって結晶性を低下させる処理を行い、さらに二次焼成してマンガン酸リチウムの粒子径を大きくする方法が開示されている。しかし、この方法ではマンガン化合物とリチウム化合物の反応性が悪いため、高温で焼成を行っても均質な組成が得られ難く、格子欠陥の多いマンガン酸リチウムになり、またこれは粒子を焼結させた不均一な焼結体であるので、粒子径や粒子形状の制御が困難である。
【0006】
特開平10−172567号公報には、二酸化マンガンまたはマンガン化合物とリチウム化合物とを水溶液中で混合し、スプレードライヤーで乾燥、造粒した後、焼成する方法が、また特開平10−297924号公報には、マンガン酸リチウム粉末を合成し、これを圧密、塊成化し、さらには分級、顆粒化した後焼成する方法が開示されている。これらの方法では基体となるマンガン酸リチウムは格子欠陥が少なく均一な組成のものになるが、粒子径、粒子径状の制御が困難であることや、最終的に得られる粒子が不均一な焼結体であるといった問題は解決されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】
本発明は以上に述べた従来技術の問題点を克服し、高エネルギー密度のリチウム電池に適した粒子径が大きくて充填密度が高い、しかも粒子径や粒子径状が均一で、さらには格子欠陥の少ない均一な組成のマンガン酸リチウムを工業的、経済的に有利に製造する方法を提供するものである。
【0008】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、溶液中でマンガン化合物と塩基性化合物とを反応させ、酸化してマンガン酸化物シードを得、このマンガン酸化物シードが存在する溶液中でマンガン化合物と塩基性化合物とを反応させ、酸化して所望の大粒子にまで成長させれば、これを用いて合成したマンガン酸リチウムは粒子径が大きく粒度分布や粒子径状が均一のものが製造できること、さらにはこのマンガン酸化物とリチウム化合物とを溶液中で反応させるか、または反応性を向上させるためマンガン酸化物のマンガンの一部をプロトンで置換してリチウム化合物と混合するかあるいは溶液中で反応させた後、加熱焼成すれば結晶性が優れた大粒子径のマンガン酸リチウムが得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は(1)マンガン化合物と塩基性化合物とを反応させてマンガン水酸化物を得る工程、(2)該マンガン水酸化物を酸化させてマンガン酸化物シードを得る工程、(3)該マンガン酸化物シードの存在下で、マンガン化合物と塩基性化合物とを反応させながら、酸化させてマンガン酸化物シードを粒子成長させる工程、(4)粒子成長させた該マンガン酸化物とリチウム化合物とを反応させる工程、または該マンガン酸化物を酸と反応させプロトン置換マンガン酸化物とした後、リチウム化合物と混合するかあるいはリチウム化合物と反応させる工程、(5)該反応物または該混合物を加熱焼成する工程からなることを特徴とするマンガン酸リチウムの製造方法及びその製造方法で得られたマンガン酸リチウムを正極活物質として用いることを特徴とするリチウム電池に関する。
【0010】
【発明実施の形態】
本発明では第1の工程として、先ずマンガン化合物と塩基性化合物とを水などの媒液中で反応させてマンガン水酸化物を生成させる。次の第2の工程において酸化レベルを制御し易くするため、このマンガン水酸化物を生成させる反応は不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましい。不活性ガスとして窒素ガスを用いるのが工業的、経済的に有利である。第1の工程、及び後述の第3の工程ではマンガン化合物として水溶性マンガン化合物を用いても、難水溶性マンガン化合物を酸溶液として用いても良いが、水溶性のものが好ましい。水溶性マンガン化合物としては硫酸マンガン、塩化マンガン、硝酸マンガンなどの無機マンガン化合物や、酢酸マンガンなどの有機マンガン化合物などを用いることができ、無機マンガン化合物が好ましい。また、塩基性化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ金属化合物や、アンモニアガス、アンモニア水などのアンモニウム化合物を用いることができる。
【0011】
第1工程において、マンガン化合物を当モル以上の塩基性化合物により、全量を中和反応させても良く、あるいは当モルより少ない量の塩基性化合物により、部分中和しても良い。マンガン化合物の部分中和により生成させた水酸化マンガンは粒子径が大きくなるので部分中和が好ましい。部分中和後に媒液中に残存するマンガンイオンの濃度を5〜60g/l、好ましくは10〜40g/lになるように部分中和すると、特に粒子径の大きいものが得られる。
【0012】
次の第2の工程では、第1の工程で得られたマンガン水酸化物を酸化させてマンガン酸化物シードを生成させる。先に記載の通り、このマンガン酸化物シードの粒子径は、第1の工程で部分中和後の溶液中に残存するマンガンイオン濃度を適宜設定することで調整することができ、残存するマンガンイオンの濃度を前述の5〜60g/lの範囲にするとシードの平均粒子径は0.1〜0.4μmとなり、特に残存マンガンイオンの濃度を10〜40g/lの範囲にするとシードの粒子径は最大になり、平均粒子径で0.3〜0.4μmとなる。酸化反応は生成したマンガン水酸化物を濾過、洗浄後、気相中で行うこともできるが、液相中で空気、酸素、オゾンなどの酸化性の気体を吹き込んだり、過酸化水素水、ぺルオキソ二硫酸塩などの酸化剤を添加して行えば、第1の工程から連続的に行えるので有利である。なかでも、酸化性の気体を用いることが望ましく、酸化性の気体として空気を用いることがさらに望ましい。
【0013】
第3の工程では第2の工程で得られたマンガン酸化物シードが存在する水などの溶液中で新たに添加したマンガン化合物又は残存するマンガン化合物と新たに添加した塩基性化合物とを反応させながら、前記のように酸化性の気体を吹き込むか、または酸化剤を添加して酸化させシード粒子を成長させる。なかでも、酸化性の気体を用いることが望ましく、酸化性の気体として空気を用いることがさらに望ましい。粒子の成長はマンガン化合物、塩基性化合物の添加量や添加方法などの反応条件を適宜設定することで制御できるので、粒度分布や形状が均一なマンガン酸化物が得られる。マンガン酸化物の酸化程度は適宜設定できるが、一般式Mn34、あるいは2MnO・MnO2で表される状態まで酸化するのが好ましい。
【0014】
第3の工程においてもマンガン化合物と塩基性化合物との反応は、全量中和、部分中和のいずれを用いても良い。全量中和は未反応のマンガン化合物がほとんど残らないので、工業的に有利な方法である。部分中和は微細な粒子径のマンガン酸化物の生成し難く、形状や粒度分布の整った均一なものを得るには有利な方法である。例えば部分中和を行う場合、部分中和後に媒液中に残存するマンガンイオンの濃度を5〜60g/l、好ましくは10〜40g/lになるようにするのが望ましく、マンガン化合物の溶液と塩基性化合物の溶液とを並行して添加すると、更に均一な粒子が生成するので好ましい。
【0015】
第4の工程では、粒子成長させたマンガン酸化物とリチウム化合物とを水などの媒液中で反応させるか、あるいは、粒子成長させたマンガン酸化物を酸と反応させプロトン置換マンガン酸化物とした後、水などの媒液中でリチウム化合物との反応させ、マンガン酸リチウム前駆体とする。あるいはプロトン置換マンガン化合物とリチウム化合物とを固相で混合し、混合物とする。リチウム化合物と反応させるのに先立って、該マンガン酸化物を予め酸と反応させ、プロトン置換マンガン酸化物とするとリチウム化合物との反応性が向上するので好ましい。プロトン置換マンガン酸化物はリチウム化合物と液相で混合するか、または濾別して固相でリチウム化合物と混合することができるが、水などの媒液中で両者を反応させマンガン酸リチウム前駆体とするのがより好ましい。ここでいうマンガン酸リチウム前駆体とは単なるマンガン酸化物とリチウム化合物の混合物ではなく、後記するようにマンガン酸化物の結晶構造中にリチウムイオンが取り込まれたものである。
【0016】
第4の工程で用いることのできるリチウム化合物としては水酸化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウムなどが挙げられるが、中でも水酸化リチウムのような塩基性化合物が反応性が優れているので好ましい。目的とするマンガン酸リチウム中のマンガンとリチウムの組成比は、それらに相当する上記の化合物の反応量から調整することができる。例えばプロトン置換マンガン化合物とリチウム化合物とを水系媒液中で反応させる場合、少量分取した反応液のアルカリ濃度を測定すれば両者の反応量を求めることができる。
【0017】
本発明におけるプロトン置換マンガン酸化物とは、マンガン酸化物を酸と反応させることにより生成され、マンガン酸化物中のマンガンイオンの一部が水素イオンと置換されているものと推測されるものである。置換された水素イオンは活性を有し、他の陽イオンと交換され易いと推測され、該プロトン置換マンガン酸化物とリチウム化合物とを反応させると、水素イオンとの交換反応によりリチウムイオンがマンガン酸化物中に容易に取り込まれる。酸処理には塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸などの無機酸、酢酸、ギ酸などの有機酸が使用できて特に制限は無いが、無機酸がその効果が大きいので好ましく、硫酸、または塩酸であれば工業的に有利に実施できるのでさらに好ましい。添加する酸の濃度は0.05〜10Nとするのが好ましく、酸の濃度が前記の範囲より低いと必要添加量が多くなり、スラリー濃度も低下してしまうので工業的ではない。また酸濃度が高いとマンガン酸化物が分解し易くなるので好ましくない。
【0018】
マンガン酸化物とリチウム化合物、またはプロトン置換マンガン酸化物とリチウム化合物とを水などの媒液中で反応させる場合、通常、70〜250℃で行うことができる。この場合、例えば温度が100℃以下では大気圧下で反応を行うので、耐圧容器を使用する必要がないので実用的であり、一方、100℃以上では反応が進み易いので好ましい。望ましい温度範囲は80〜230℃であり、さらに望ましくは85〜180℃である。100℃以上での反応にはオートクレーブなどの耐圧容器を用い、飽和水蒸気圧下、または加圧下で水熱処理しても良い。また、酸化性の気体として空気、酸素、オゾンなど、又は酸化剤として過酸化水素水、ぺルオキソ二硫酸塩などを供給してやれば反応がさらに進む。なかでも、酸化性の気体を用いることが望ましく、酸化性の気体として空気を用いることがさらに望ましい。
【0019】
第5の工程では、マンガン酸リチウム前駆体、またはプロトン置換マンガン酸化物とリチウム化合物の混合物を加熱焼成してマンガン酸リチウムを製造する。本発明では第3工程の段階でマンガン酸化物粒子を所望とする大粒子のマンガン酸リチウムの粒子径にまで、ほぼ成長させているので、焼成温度としてはこれらがマンガン酸リチウムに相変化する温度以上であればよく、上記の前駆体または混合物の組成、粒度、焼成雰囲気などにより異なるが、概ね250℃以上であり、焼結を防ぐために850℃以下とするのが好ましく、280℃以上、800℃以下とするのがさらに好ましい。焼成雰囲気は大気中など酸素含有雰囲気であれば特に制限は無く、酸素分圧は適宜設定できる。
【0020】
加熱焼成により得られたマンガン酸リチウムは適宜必要に応じて粉砕または解砕や、圧密処理を行っても良い。圧密処理はフレットミル、スクリーン成形機、押出し成形機、加圧ローラーやライカイ機などを用いて圧縮成形しても、ミキサーなどを用いて攪拌・造粒しても良く、特に制限は無い。
【0021】
本発明の方法で得られるマンガン酸リチウムは、一般式LiXMnY4で表される化合物であって、式中のX、Yの値がX/Yで表して0.3〜1.5の範囲が好ましい。特に一般式LiMn24や、Li4/3Mn5/34などで表されるスピネル型の結晶構造を有するものが好ましく、マンガン酸リチウムの単一相であっても、マンガン酸リチウムとマンガン酸化物の混合物であってもよい。
【0022】
また、このマンガン酸リチウムは粒度分布や粒子形状が均一であり、0.4〜50μm好ましくは0.8〜30μm、さらに好ましくは1〜20μmと平均粒子径が大きいので充填密度が高く、例えばタッピングによる嵩密度を測定すると1.5〜2.2g/ccとなる。従って、正極活物質として成形体やペーストに多量に充填できるので、これを正極として用いるとエネルギー密度の高いリチウム電池が得られる。粒子径が前記の範囲より小さいと所望とする充填密度が得られず、大きいとこれを用いたリチウム電池に所望とする特性が得られない。
尚、ここでいう平均粒子径はレーザー散乱法により測定したもので、比表面積はBET法により測定したものである。
【0023】
次に本発明は上記のマンガン酸リチウムを正極活物質として用いてなるリチウム電池である。本発明でいうリチウム電池とは、負極にリチウム金属を用いた一次電池、及び負極にリチウム金属を用いた充電可能な二次電池、負極に炭素材料、スズ化合物、チタン酸リチウムなどを用いた充電可能なリチウムイオン二次電池のことをいう。本発明のマンガン酸リチウムは格子欠陥が少なく結晶性に優れるため、これを特にリチウムニ次電池の正極活物質として用ると、充放電時に結晶の崩壊が起こり難く、電池特性にも優れたものになる。さらに、スピネル型を主体とする結晶構造を有するものを用いると、2〜3.5V程度の電位領域で充放電が可能な3V級や、それが3.5〜4.5V程度である4V級のリチウム二次電池が得られ、中でも4V級のものに有用である。
【0024】
リチウム電池用正極は、コイン型電池用とする場合には、本発明のマンガン酸リチウム粉体に、アセチレンブラックや、カーボン、グラファイト粉末などの炭素系導電剤や、ポリ四フッ化エチレン樹脂や、ポリビニリデンフルオライドなどの結着剤を添加、混練し、成型して得ることができる。さらに、円筒型、あるいは角型電池用とする場合には、本発明のマンガン酸リチウム粉体に、これらの添加物以外にN―メチルピロリドンなどの有機溶剤も添加し、混練してペースト状とし、アルミニウム箔のような金属集電体上に塗布し、乾燥して得ることができる。
【0025】
リチウム電池の電解液には、電気化学的に安定な、すなわちリチウムイオン電池として作動する電位範囲より広い範囲で、酸化、還元されることのない極性有機溶媒に、リチウムイオンを溶解させたものを使用することができる。極性有機溶媒としては、プロピレンカーボネートやエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、γ−ブチルラクトンなどや、それらの混合液を用いることができる。リチウムイオン源となる溶質には、過塩素酸リチウムや六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ素酸リチウムなどを用いることができる。また電極間には多孔性のポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムが、セパレータとして配置される。
【0026】
電池の種類としては、ペレット状の正極と負極の間にセパレータを置き、ポリプロピレン製のガスケットのついた封口缶に圧着し、電解液を注入し、密閉したコイン型のものや、正極材料や負極材料を金属集電体上に塗布し、セパレータをはさんで巻き取り、ガスケットのついた電池缶に挿入し、電解液を注入し、封入した円筒型のものなどが挙げられる。また特に電気化学特性を測定することを目的とした三極式の電池もある。この電池は正極と負極以外に参照極も配置し、参照極に対して他の電極の電位をコントロールすることにより、各電極の電気化学的な特性を評価するものである。
【0027】
マンガン酸リチウムの正極材料としての性能については、負極に金属リチウム等を用いてニ次電池を構成し、適当な電圧範囲を定電流で充放電することにより、その容量を測定することができる。また充放電を繰り返すことにより、容量の変化からそのサイクル特性の良否を判断することができる。
【0028】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
実施例1
1.マンガン水酸化物の合成
8.5(モル/l)の水酸化ナトリウム溶液2.57(l)と、水1.805(l)をステンレス製の反応容器に仕込んだ。この中に窒素ガスを5(l/分)で吹き込みながら、硫酸マンガン(MnSO4として88.06%含有)3.744kgを15kgの水に溶解した溶液を急速に添加し攪拌しながら70℃で中和した。その後、70℃に保ち3時間熟成してマンガン水酸化物を得た。中和後の溶液に残存するマンガンイオンの濃度は30(g/l)であった。
【0030】
2.マンガン酸化物シードの合成
得られたマンガンの水酸化物を含む溶液を攪拌しながら、空気/窒素=1/1の混合ガスを5(l/分)で吹き込み70℃の温度で酸化し、pHが6.4になった時点で酸化を終了させ、マンガン酸化物シードを調製した。
【0031】
3.マンガン酸化物シードの成長
得られたマンガン酸化物を含む溶液を70℃に保ち、攪拌しながら空気/窒素=1/1の混合ガスを5(l/分)で吹き込み、硫酸マンガン(MnSO4で88.06%含有)3.744kgを水16.843kgに溶解した水溶液と8.5(モル/l)の水酸化ナトリウム溶液2.57(l)とを16時間かけて同時に添加し、中和、酸化させ、マンガン酸化物シードを成長させた。pHが6.4になった時点でスラリーを20(l)分取し、引き続き空気/窒素=1/1の混合ガスを5(l/分)で吹き込みながら、硫酸マンガン水溶液と水酸化ナトリウム溶液とを、前記と同じ要領で同時に添加し、マンガン酸化物シードをさらに成長させた。pHが6.4になった時点で成長反応を終了し、濾過、水洗してマンガン酸化物を得た。反応終了時の溶液中に残存するマンガンイオンの濃度は30(g/l)であった。(試料a)
【0032】
4.プロトン置換マンガン酸化物の合成
マンガン酸化物(Mn換算700g)を水に分散させたスラリーをステンレス製反応容器に仕込み60℃に昇温した。このスラリー中に1モル/lの硫酸2.039(l)を1時間かけて攪拌しながら添加し、その後2時間反応させてから濾過水洗して、プロトン置換マンガン酸化物を得た。
【0033】
5.マンガン酸リチウムの前駆体の合成
プロトン置換マンガン酸化物(Mn換算500g)を水に分散させたスラリーに水酸化リチウム1水塩5.448モルを添加して溶解させた後、水を加えて1.667(l)にしガラス製反応容器に仕込んだ。空気を2(l/分)でこのスラリーに吹き込み、攪拌下しながら90℃に昇温して5時間反応させた後、オートクレーブに移し130℃で1時間水熱処理をした。水熱処理後のスラリーを再度ガラス製反応容器に仕込み、空気を2(l/分)で吹き込んで攪拌しながら90℃で3時間反応を続けた。反応後、温度を60℃まで冷却してから濾過し、0.1(モル/l)の水酸化リチウム溶液2(l)で洗浄してマンガン酸リチウム前駆体を得た。
【0034】
6.マンガン酸リチウム前駆体の焼成
マンガン酸リチウム前駆体を110℃で12時間乾燥させた後、空気中で750℃で3時間焼成してマンガン酸リチウムを得た。
【0035】
7.マンガン酸リチウムの圧密処理
焼成後のマンガン酸リチウム200gを小型フレットミル(吉田製作所製)で30分間圧密粉砕した。(試料A)
【0036】
実施例2
1.マンガン水酸化物の合成
実施例1と同様の方法でマンガン水酸化物を得た。
【0037】
2.マンガン酸化物シードの合成
実施例1と同様の方法でマンガン酸化物シードを得た。
【0038】
3.マンガン酸化物シードの成長
得られたマンガン酸化物シードを含む溶液を70℃に昇温し、攪拌しながら空気/窒素=1/1の混合ガスを5(l/分)で吹き込み、硫酸マンガン(MnSO4として88.06%含有)3.744kgを水16.843kgに溶解した水溶液と、8.5(モル/l)の水酸化ナトリウム溶液2.570(l)とを16時間かけてpHを6.5〜7.5に保って同時に添加し、中和、酸化させ、マンガン酸化物シードを成長させた。pHが6.4になった時点でスラリーを20(l)分取し、空気/窒素=1/1の混合ガスを5(l/分)で吹き込みながら、硫酸マンガン水溶液と水酸化ナトリウム溶液とを、前記と同じ要領で同時に添加し、マンガン酸化物シードの成長を続けた。pHが6.4になった時点で再度スラリーを20(l)を分取し、引き続き空気/窒素=1/1混合ガスを5(l/分)で吹き込みながら、硫酸マンガン(MnSO4として88.06%含有)1.872kgを水8.422kgに溶解した水溶液と、8.5(モル/l)の水酸化ナトリウム1.285(l)とを8時間かけてpHを6.5〜7.5に保って同時に添加し、マンガン酸化物シードをさらに成長させた。pHが6.4になった時点で成長反応を終了し、濾過、水洗してマンガン酸化物を得た。反応終了時の溶液中に残存するマンガンイオンの濃度は30(g/l)であった。(試料b)
【0039】
4.プロトン置換マンガン酸化物の合成
マンガン酸化物(Mn換算700g)を水に分散させたスラリーをステンレス製反応容器に仕込み60℃に昇温した。このスラリー中に1モル/lの硫酸2.039(l)を1時間かけて攪拌しながら添加し、その後2時間反応させてから濾過水洗して、プロトン置換マンガン酸化物を得た。
【0040】
5.マンガン酸リチウム前駆体の合成
プロトン置換マンガン酸化物(Mn換算500g)を水に分散させたスラリーに水酸化リチウム1水塩を5.429モル添加して溶解させた後、水を加えて1.25(l)にしガラス製反応容器に仕込んだ。空気を2(l/分)で吹き込み、攪拌しながら90℃に昇温して5時間反応させた後、オートクレーブに移し130℃で3時間水熱処理をした。水熱処理後のスラリーを再度ガラス製反応容器に仕込み、空気を2(l/分)で吹き込んで攪拌しながら90℃で1時間反応を続けた。反応後、温度を60℃まで冷却してから濾過し、0.1(モル/l)の水酸化リチウム溶液2(l)で洗浄してマンガン酸リチウム前駆体を得た。
【0041】
6.マンガン酸リチウム前駆体の焼成
実施例1と同様の方法でマンガン酸リチウムを得た。
【0042】
7.マンガン酸リチウムの圧密処理
実施例1と同様の方法で圧密処理を行った。(試料B)
【0043】
実施例3
マンガン水酸化物の合成
硫酸マンガン(MnSO4として88.06%含有)3.744kgを水16.84kgに溶解した溶液をステンレス製反応容器に仕込んだ。この中に窒素ガスを5(l/分)で吹き込み70℃に昇温し、8.5(モル/l)の水酸化ナトリウム溶液2.57(l)を1時間かけて攪拌しながら添加し中和した。その後、2時間熟成してマンガン水酸化物を含む溶液を得た。中和後の溶液に残存するマンガンイオンの濃度は30(g/l)であった。
【0044】
2.マンガン酸化物シードの合成
実施例1と同様の方法でマンガン酸化物シードを得た。
【0045】
3.マンガン酸化物シードの成長
得られたマンガン酸化物シードを含む溶液を70℃に昇温し、攪拌しながら空気/窒素=1/1の混合ガスを5(l/分)で吹き込み、硫酸マンガン(MnSO4として88.06%含有)3.744kgを水16.843kgに溶解した水溶液を添加し、続いて8.5(モル/l)の水酸化ナトリウム溶液2.57(l)を16時間かけて添加し、中和し酸化させマンガン酸化物シードを成長させた。pHが6.4になった時点でスラリーを20(l)分取し、空気/窒素=1/1の混合ガスを5(l/分)で吹き込みながら、硫酸マンガン水溶液と水酸化ナトリウム溶液とを、前記と同じ要領で添加し、マンガン酸化物シードの成長を続けた。pHが6.4になった時点で再度スラリーを20(l)分取し、引き続き空気/窒素=1/1混合ガスを5(l/分)で吹き込みながら、硫酸マンガンと水酸化ナトリウムとを、再び前記と同じ要領で添加してマンガン酸化物シードをさらに成長させた。pHが6.4になった時点で成長反応を終了し、濾過、水洗してマンガン酸化物を得た。反応終了時の溶液中に残存するマンガンイオンの濃度は30(g/l)であった。(試料c)
【0046】
4.プロトン置換マンガン酸化物の合成
実施例1と同様の方法でプロトン置換マンガン酸化物を得た。
【0047】
5.マンガン酸リチウム前駆体の合成
プロトン置換マンガン酸化物(Mn換算500g)を水に分散させ、この中に水酸化リチウム1水塩5.373モルを添加して溶解させた後、水を加えて1.111(l)にし、ガラス製反応容器に仕込んだ。空気を2(l/分)で吹き込み、攪拌しながら90℃に昇温して5時間反応させた後、オートクレーブに移し130℃で3時間水熱処理をした。水熱処理後のスラリーを再度ガラス製反応容器に仕込み、空気を2(l/モル)で吹き込み、攪拌しながら90℃で1時間反応を続けた。反応後、温度を60℃まで冷却してから濾過し、0.1(モル/l)の水酸化リチウム溶液2(l)で洗浄してマンガン酸リチウム前駆体を得た。
【0048】
6.マンガン酸リチウム前駆体の焼成
実施例1と同様の方法でマンガン酸リチウムを得た。
【0049】
7.マンガン酸リチウムの圧密処理
実施例1と同様の方法で圧密処理を行った。(試料C)
【0050】
実施例4
1.マンガン水酸化物の合成
実施例3と同様の方法でマンガンの水酸化物を得た。
【0051】
2.マンガン酸化物シードの合成
実施例1と同様の方法でマンガン酸化物シードを得た。
【0052】
3.マンガン酸化物シードの成長
得られたマンガン酸化物シードを含む溶液に窒素ガスを5(l/分)で吹き込みながら、水40.260kgと加え、更に硫酸マンガン(MnSO4として88.06%含有)11.231kgを添加し、攪拌して溶解した。溶液を70℃に昇温した後、攪拌しながら窒素ガスから空気/窒素=1/1の混合ガスに切り替え、5(l/分)で吹き込んだ。引き続いて8.5(モル/l)の水酸化ナトリウム溶液17.99(l)を64時間かけて添加、中和し酸化させマンガン酸化物シードを成長させた。pHが8.5になった時点で成長反応を終了し、濾過、水洗してマンガン酸化物を得た。反応終了時の溶液中に残存するマンガンイオンの濃度は0(g/l)であった。(試料d)
【0053】
4.プロトン置換マンガン酸化物の合成
実施例1と同様の方法でプロトン置換マンガン酸化物を得た。
【0054】
5.マンガン酸リチウム前駆体の合成
プロトン置換マンガン酸化物(Mn換算500g)を水に分散させ、この中に水酸化リチウム1水塩5.373モルを添加して溶解させた後、水を加えて1.111(l)にし、ガラス製反応容器に仕込んだ。空気を2(l/分)で吹き込み、攪拌しながら90℃に昇温して15時間反応させた。反応後、温度を60℃まで冷却してから濾過し、0.1(モル/l)の水酸化リチウム溶液2(l)で洗浄してマンガン酸リチウム前駆体を得た。
【0055】
6.マンガン酸リチウム前駆体の焼成
実施例1と同様にしてマンガン酸リチウムを得た。
【0056】
7.マンガン酸リチウムの解砕処理
焼成後のマンガン酸リチウム100gを瑪瑙乳鉢で解砕した。(試料D)
【0057】
比較例1
1.マンガン水酸化物の合成
硫酸マンガン(MnSO4として88.06%含有)2.397kgを水17.8kgに溶解した溶液をステンレス製反応容器に仕込んだ。この中に窒素ガスを5(l/分)で吹き込んで70℃に昇温し、4(モル/l)の水酸化ナトリウム溶液6.825(l)を1時間かけて攪拌しながら添加し中和して、マンガン水酸化物を得た。中和後の溶液に残存するマンガンイオンの濃度は0(g/l)であった。
【0058】
2.マンガン酸化物の合成
得られたマンガン水酸化物を含む溶液を攪拌しながら、空気を5(l/分)で吹き込み70℃の温度で酸化し、pHが7.0になったところで窒素に切り替え酸化反応を終了させた。その後、濾過水洗してマンガン酸化物を得た。(試料e)
【0059】
3.プロトン置換マンガン酸化物の酸処理
実施例1と同様の方法でプロトン置換マンガン酸化物を得た。
【0060】
4.マンガン酸リチウム前駆体の合成
プロトン置換マンガン酸化物(Mn換算500g)を水に分散させたスラリーに水酸化リチウム1水塩を5.675モルを添加して溶解させた後、水を加えて3.846(l)にしガラス製反応容器に仕込んだ。空気を3(l/分)で吹き込み、攪拌しながら90℃に昇温して10時間反応させた。反応後、温度を60℃まで冷却してから濾過し、0.1(モル/l)の水酸化リチウム溶液2(l)で洗浄してマンガン酸リチウム前駆体を得た。
【0061】
5.マンガン酸リチウム前駆体の焼成
マンガン酸リチウム前駆体の焼成を800℃、3時間で行った以外は実施例1と同様の方法でマンガン酸リチウムを得た。
【0062】
6.マンガン酸リチウムの圧密処理
実施例1と同様の方法で圧密処理を行った。(試料E)
【0063】
比較例2
マンガン酸リチウム前駆体の焼成を850℃、3時間で行った以外は比較例1と同様の方法でマンガン酸リチウムを得た。(試料F)
【0064】
比較例3
マンガン酸リチウム前駆体の焼成を900℃、3時間で行った以外は比較例1と同様の方法でマンガン酸リチウムを得た。(試料G)
【0065】
評価1
実施例1〜4、比較例1〜3で得られたマンガン酸化物シード、またはマンガン酸化物(試料a〜e)、及びマンガン酸リチウム(試料A〜G)の比表面積を、比表面積測定装置(モノソーブ:ユアサアイオニクス製)を用い、BET法にて測定した。
【0066】
評価2
実施例1〜4、比較例1〜3で得られたマンガン酸化物シード、またはマンガン酸化物(試料a〜e)、及びマンガン酸リチウム(試料A〜G)の水性スラリーを十分に超音波分散し、レーザー光による透過率が85±1%になるように調製した後、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−90:堀場製作所製を用い体積基準で平均粒子径測定した。
【0067】
評価3
実施例1〜4、比較例1〜3で得られたマンガン酸リチウム(試料A〜G)それぞれ50gを100(ml)のメスシリンダーに入れ、100回タッピングしてタップ密度を測定した。
【0068】
評価4
実施例1〜4、比較例1〜3で得られたマンガン酸リチウム(試料A〜G)を正極活物質とした場合のリチウムニ次電池の充放電特性、及びサイクル特性を評価した。電池は三極式のセルとし、充放電を繰り返した。電池の形態や測定条件について説明する。
【0069】
上記各試料と、導電剤としてのグラファイト粉末、及び結着剤としてのポリ四フッ化エチレン樹脂を重量比で3:2:1で混合し、乳鉢で練り合わせ、直径14mmの円形に成型してペレット状とした。ペレットの重量は50mgであった。これを金属チタン製のメッシュに挟み込み、14.7Paでプレスして正極とした。
【0070】
一方、厚み0.5mm金属リチウムを直径14mmの円形に成型し、金属ニッケル製のメッシュに挟み込んで圧着し、これを負極とした。また厚み0.1mmの金属リチウム箔を金属ニッケルワイヤ上に、米粒大となる程度巻き付け、これを参照電極とした。非水電解液として、1モル/リットルとなる濃度で過塩素酸リチウムを溶解した1,2−ジメトキシエタンとプロピレンカーボネート混合溶液(体積比で1:1に混合)を用いた。尚、電極は正極、参照極、負極の順に配置し、その間にはセパレーターとして多孔性ポリプロピレンフィルムを置いた。
【0071】
充放電容量の測定は、電圧範囲を4.3Vから3.5Vに、充放電電流を0.26mA(約1サイクル/日)に設定して、定電流で行った。また、サイクル特性は2回目と11回目の充放電容量を測定し、それぞれの容量維持率%[{1−(2回目の充電または放電容量―11回目の充電または放電容量)/2回目の充電または放電容量}×100]で表した。
【0072】
試料a〜eの比表面積、平均粒子径を表1に、試料A〜Gの比表面積、平均粒子径、タップ密度を表2に、初期充放電特性、サイクル特性を表3に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0003822437
【0074】
【表2】
Figure 0003822437
【0075】
【表3】
Figure 0003822437
【0076】
【発明の効果】
本発明はマンガン酸リチウムを製造する前段階で、マンガン酸化物シードを調製し溶液中で成長させて粒子径の大きいマンガン酸化物とするもので、この工程で目的とする大粒子が得られるため、マンガン酸リチウムを焼結させて大粒子とする従来の方法より粒子径や粒子形状を均一なものとすることができるばかりでなく、シードの成長反応条件を適宜設定することでこれらを容易に制御できる。さらに、粒子成長させたマンガン酸化物とリチウム化合物を溶液中で反応させるか、またはこれを酸処理して得られるプロトン置換マンガン酸化物とリチウム化合物を反応させるので、結晶性が優れ組成が均一なマンガン酸リチウムを製造することができる。本発明により得られたマンガン酸リチウムは上記のように大粒子径で充填密度が高く、これを正極活物質として用いたリチウム電池はエネルギー密度が高い。

Claims (18)

  1. (1)マンガン化合物と塩基性化合物とを反応させてマンガン水酸化物を得る工程、(2)該マンガン水酸化物を酸化させてマンガン酸化物シードを得る工程、(3)該マンガン酸化物シードの存在下で、マンガン化合物と塩基性化合物とを反応させながら、酸化させてマンガン酸化物シードを粒子成長させる工程、(4)粒子成長させた該マンガン酸化物とリチウム化合物とを反応させる工程、または該マンガン酸化物を酸と反応させプロトン置換マンガン酸化物とした後、リチウム化合物と混合するかあるいはリチウム化合物と反応させる工程、(5)該反応物または該混合物を加熱焼成する工程からなることを特徴とするマンガン酸リチウムの製造方法。
  2. 0.4〜50μmの平均粒子径を有することを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  3. 第1の工程において、マンガン化合物と塩基性化合物とを反応させる時に、部分中和することを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  4. 前記部分中和後に溶液中に残存するマンガンイオンの濃度が5〜60g/lになるように部分中和することを特徴とする請求項3記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  5. 第2の工程において、酸化性の気体又は酸化剤により酸化させることを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  6. 酸化性の気体が空気、酸素もしくはオゾンであり、又は酸化剤が過酸化水素水もしくはぺルオキソ二硫酸塩であることを特徴とする請求項5記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  7. 第3の工程において、マンガン化合物と塩基性化合物とを反応させる時に、部分中和することを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  8. 前記部分中和後に溶液中に残存するマンガンイオンの濃度が5〜60g/lになるように部分中和することを特徴とする請求項7記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  9. 第3の工程において、マンガン化合物の溶液と塩基性化合物の溶液とを同時に前記マンガン酸化物シードを含む溶液中に添加することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  10. 第3の工程において、酸化性の気体又は酸化剤により酸化させることを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  11. 酸化性の気体が空気、酸素もしくはオゾンであり、又は酸化剤が過酸化水素水もしくはぺルオキソ二硫酸塩であることを特徴とする請求項10記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  12. 第4の工程において、マンガン酸化物と反応させる酸が塩酸、硫酸、硝酸及びフッ酸から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  13. 第4の工程において、マンガン酸化物またはプロトン置換マンガン酸化物とリチウム化合物との反応を水熱処理により行うことを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  14. 第4の工程において、マンガン酸化物またはプロトン置換マンガン酸化物とリチウム化合物との反応を酸化性の気体又は酸化剤を供給しながら行うことを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  15. 酸化性の気体が空気、酸素もしくはオゾンであり、又は酸化剤が過酸化水素水もしくはぺルオキソ二硫酸塩であることを特徴とする請求項14記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  16. 第5の工程において加熱焼成した後、圧密処理することを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  17. マンガン化合物が硫酸マンガン、塩化マンガン及び硝酸マンガンから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  18. リチウム化合物が水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、塩化リチウム及び硫酸リチウムから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
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