JP2003054952A - リチウム・マンガン複合酸化物の製造方法及び該リチウム・マンガン複合酸化物を用いてなるリチウム電池 - Google Patents

リチウム・マンガン複合酸化物の製造方法及び該リチウム・マンガン複合酸化物を用いてなるリチウム電池

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JP2003054952A
JP2003054952A JP2001239623A JP2001239623A JP2003054952A JP 2003054952 A JP2003054952 A JP 2003054952A JP 2001239623 A JP2001239623 A JP 2001239623A JP 2001239623 A JP2001239623 A JP 2001239623A JP 2003054952 A JP2003054952 A JP 2003054952A
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manganese
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composite oxide
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JP2001239623A
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Mitsuo Suzuki
光郎 鈴木
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Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】正極活物質としてリチウム電池に組込んだ際
に、高エネルギー密度を有し、しかも常温下ばかりでな
く高温下でもサイクル特性や保存特性に優れたリチウム
電池となるリチウム・マンガン複合酸化物の製造方法を
提供することを課題とする。 【解決手段】予めマンガン酸化物一次粒子を造粒してマ
ンガン酸化物二次粒子とし、次いでこのものを用いて特
定の方法でリチウム化合物を処理してリチウム・マンガ
ン複合酸化物二次粒子とし、さらにその表面にCo、F
e、Ni、Cr、Mg、Zn及びAlから選ばれる少な
くとも1種の第三金属元素を含む化合物を被着した後加
熱焼成してリチウム・マンガン複合酸化物を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム電池の正
極材料などに有用な化合物であるリチウム・マンガン複
合酸化物の製造方法及びその製造方法で得られたリチウ
ム・マンガン複合酸化物を用いてなるリチウム電池に関
する。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池は高電圧で、充放電サ
イクル特性に優れ、且つ軽量、小型であるため、近年急
速に普及してきており、特に4V級の高起電力のものが
求められている。このようなリチウム二次電池としてコ
バルトまたはニッケルとリチウムとの複合酸化物を正極
活物質として用いたものが知られているが、コバルトや
ニッケルは高価であり、また将来的な資源の枯渇が問題
とされている。
【0003】マンガンとリチウムとの複合酸化物である
化学式LiMnなどで表されるスピネル型の結晶
構造を有するリチウム・マンガン複合酸化物は、4V級
のリチウム二次電池の正極活物質として有用であり、ま
た原料となるマンガンが安価で資源的に豊富であるの
で、リチウム・コバルト複合酸化物やリチウム・ニッケ
ル複合酸化物に替わるものとして有望である。
【0004】正極活物質を電池用電極に用いる際には、
このものを各種の添加剤と混練、成形し、あるいはさら
に溶剤を加えてペースト状にして電極基板に塗布し、使
用されるので、一定体積中に正極活物質を高密度に充填
できれば、高いエネルギー密度を有する電池が得られ
る。一般的に、粒子径が大きい(比表面積が小さい)粒
子からなる粉体の充填密度は高く、このため大粒子径の
リチウム・マンガン複合酸化物が求められている。例え
ば特開平10−194745号公報には、マンガン化合
物とリチウム化合物とを高温で加熱焼成を繰り返して焼
結させ方法が、特開平10−172567号公報にはマ
ンガン化合物とリチウム化合物とを含む溶液を、噴霧乾
燥で造粒した後加熱焼成する方法が開示されている。
【0005】また、リチウム・マンガン複合酸化物を正
極活物質として用いた電池には、サイクル特性及び保存
特性が十分ではないという問題もあり、特に高温下では
充放電を繰り返すと電池容量が減少し、また保存中の経
時的な電池容量の低下も著しい。上記問題を解決するた
め、例えば、特開平10−116615号公報にはリチ
ウム・マンガン複合酸化物の粒子表面に、ある種の元素
を含む被覆層を被着する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は正極活物質と
してリチウム電池に組込んだ際に、高エネルギー密度を
有し、しかも常温下ばかりでなく高温下でもサイクル特
性や保存特性に優れたリチウム電池となるリチウム・マ
ンガン複合酸化物の製造方法を提供することを課題とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、予めマンガン酸化物一次粒子を造粒してマ
ンガン酸化物二次粒子とし、次いでこのものを用いて特
定の方法でリチウム化合物を処理してリチウム・マンガ
ン複合酸化物二次粒子とし、さらにその表面に特定の第
三金属元素を含む化合物を被着した後加熱焼成して得ら
れるリチウム・マンガン複合酸化物は、このものを正極
活物質としてリチウム電池に組込むと、高いエネルギー
密度を有するばかりでなく、サイクル特性や保存特性が
優れたものになり、更には初期充放電容量が高い電池が
得られることを見出した。
【0008】すなわち、本発明は(1)マンガン酸化物
一次粒子を造粒してマンガン酸化物二次粒子を得る工
程、(2)マンガン酸化物二次粒子とリチウム化合物と
を反応させる工程、または該マンガン酸化物二次粒子を
酸処理した後リチウム化合物と混合するかあるいは反応
させる工程、(3)該反応物または該混合物を加熱焼成
してリチウム・マンガン複合酸化物二次粒子を得る工
程、(4)リチウム・マンガン複合酸化物二次粒子の表
面に、Co、Fe、Ni、Cr、Mg、Zn及びAlか
ら選ばれる少なくとも1種の第三金属元素を含む化合物
を被着させた後、加熱焼成する工程を含むことを特徴と
するリチウム・マンガン複合酸化物の製造方法に関す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は上記(1)〜(4)の工
程を含むリチウム・マンガン複合酸化物の製造方法であ
って、その第1の工程はマンガン酸化物一次粒子を造粒
してマンガン酸化物二次粒子を得る工程である。
【0010】マンガン酸化物一次粒子としては、Mn
O、MnOOH、Mn、Mn、Mn
・nHO、MnO、MnO・nHO等やこれら
の混合物を用いることができる。マンガン酸化物一次粒
子は、その粒子形状や粒度分布の均一なものが好まし
い。そのようなマンガン酸化物一次粒子は、マンガン化
合物を媒液中で中和・酸化することで得られる。
【0011】媒液としては、水系媒液、有機溶媒等が挙
げられるが水系媒液が好ましい。また、マンガン化合物
としては水溶性マンガン化合物を用いても、難水溶性マ
ンガン化合物を酸で溶解した酸溶液として用いても良い
が、水溶性のものが好ましい。マンガン化合物に含まれ
るマンガンの価数は2価であって、そのような価数を有
するマンガン化合物としては、例えば水溶性マンガン化
合物としては硫酸マンガン(II)、塩化マンガン(I
I)、硝酸マンガン(II)などの無機マンガン化合物
や、酢酸マンガン(II)などの有機マンガン化合物な
どが挙げられる。
【0012】マンガン化合物を媒液中で中和・酸化する
には、マンガン化合物を媒液中で中和した後酸化する方
法、中和と酸化を同時に行う方法が好ましく、これによ
りマンガン酸化物一次粒子が得られる。中和は、マンガ
ン化合物溶液に塩基性化合物を添加したり、塩基性化合
物溶液中にマンガン化合物溶液を添加したりして行うこ
とができ、水酸化マンガンが生成される。塩基性化合物
としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リ
チウムなどの水酸化アルカリ金属化合物や、アンモニア
ガス、アンモニア水などのアンモニウム化合物を用いる
ことができる。水酸化リチウムはリチウム成分が最終的
にリチウム・マンガン複合酸化物に残留しても、不純物
とはならないので好ましく、工業的には水酸化ナトリウ
ムや水酸化カリウムが好ましい。中和に用いる塩基性化
合物は、媒液中に存在するマンガンイオンを全量中和す
るのに必要な量を添加してもよいが、中和後の媒液中に
マンガンイオンが残存するように当モルより少ない量を
添加して部分中和させると、粒子径の大きい一次粒子が
得られるため好ましい。部分中和後に媒液中に残存する
マンガンイオンの濃度は好ましくは5〜60g/リット
ルより好ましくは10〜40g/リットルである。
【0013】媒液中で中和反応によって生じた水酸化マ
ンガンと酸化剤とを接触させて酸化反応させることによ
り、マンガン酸化物一次粒子が生成される。酸化剤との
接触は過酸化水素水やペルオキソ二硫酸塩等の液体の酸
化剤を媒液中に添加したり、媒液中に酸化性気体を吹き
込む方法が挙げられる。本発明においては、後者の方法
が好ましく、更には酸化性気体として空気を用いるのが
より好ましい。マンガン化合物を媒液中で酸化剤と接触
させながら中和することにより中和と酸化を同時に行う
ことができる。マンガン酸化物の酸化程度は適宜設定で
きるが、一般式Mnで表される状態まで酸化する
のが好ましい。
【0014】上記の方法で得られるマンガン酸化物一次
粒子を造粒してマンガン酸化物二次粒子とする。造粒す
るには、媒液中でマンガン酸化物一次粒子の存在下で
マンガン化合物を中和・酸化する方法、マンガン酸化
物一次粒子を含む媒液を噴霧乾燥する方法、マンガン
酸化物一次粒子を造粒機を用いて機械的に造粒する方法
などにより行うことができる。なかでも、上記の方法
は、粒子径や粒子形状の制御が容易であり、粒度分布が
均一で形状の整った二次粒子が得られやすいので好まし
い方法である。
【0015】媒液中でマンガン酸化物一次粒子の存在下
でマンガン化合物を中和・酸化すると、マンガン化合物
の中和・酸化により新たに生成されるマンガン酸化物一
次粒子と先に媒液中に存在するマンガン酸化物一次粒子
とが造粒され、粒子径の大きいマンガン酸化物二次粒子
が生成する。この際、新たに添加するマンガン化合物は
中和・酸化により、一部は先に添加したマンガン酸化物
一次粒子の成長並びに一次粒子間の結着剤としても利用
されるため、より大きな一次粒子が強固に造粒したマン
ガン酸化物二次粒子が得られる。媒液、中和に用いる塩
基性化合物、さらには酸化に用いる酸化剤は、先に例示
したマンガン酸化物一次粒子の生成時に用いられるもの
を同様に使用することができる。なかでも、マンガン酸
化物一次粒子の生成に使用した塩基性化合物、酸化剤と
同じものを用いると、造粒時に新たに生成するマンガン
酸化物一次粒子の構造が先に添加するマンガン酸化物一
次粒子の構造と同じとなるため、好ましい。マンガン酸
化物二次粒子の酸化程度は適宜設定できるが、先に添加
するマンガン酸化物一次粒子と同じ酸化程度まで酸化す
るのが好ましい。
【0016】マンガン酸化物二次粒子の粒度分布や粒子
形状は、マンガン化合物、塩基性化合物の添加量や添加
方法などの反応条件を適宜設定することで、容易に制御
できる。第1の工程で得られるマンガン酸化物二次粒子
の粒度分布や粒子形状が、最終的に得られるリチウム・
マンガン複合酸化物の粒度分布や粒子形状にほぼ継承さ
れる。
【0017】先に媒液中に存在するマンガン酸化物一次
粒子に対するマンガン化合物の添加量は、0.5〜10
0倍、好ましくは1〜60倍、さらに好ましくは2〜2
0倍である。マンガン化合物は当モルの塩基性化合物に
より全量を中和反応させても良く、あるいは当モルより
少ない量の塩基性化合物により部分中和しても良い。全
量中和は未反応のマンガン化合物がほとんど残らないの
で、工業的に有利な方法であり、部分中和は粒度分布の
均一なマンガン酸化物二次粒子を得るのに有利な方法で
ある。特にマンガン酸化物二次粒子径を大きく成長させ
るには、部分中和後に媒液中に残存するマンガンイオン
の濃度を5〜60g/リットル、好ましくは10〜40
g/リットルになるように部分中和するのが好ましい。
媒液中にマンガン化合物、塩基性化合物及び酸化剤を並
行して添加しても、塩基性化合物を含む媒液にマンガン
化合物を添加しながら酸化剤を添加してもよいが、マン
ガン化合物を含む媒液に塩基性化合物を添加しながら酸
化剤を添加すると、粒度分布が均一な二次粒子が得られ
やすいので好ましい。
【0018】第2の工程は、(a)第1の工程で得られ
たマンガン酸化物二次粒子とリチウム化合物とを反応さ
せる工程、または(b)該マンガン酸化物二次粒子を酸
処理した後リチウム化合物と混合するかあるいは反応さ
せる工程である。(a)の工程は、媒液中で行うのが好
ましい。媒液としては、水系媒液、有機溶媒等が挙げら
れるが水系媒液が好ましい。第1の工程で得られるマン
ガン酸化物二次粒子を媒液中に分散させ、この中にリチ
ウム化合物、好ましくはリチウム化合物の水溶液を添加
することにより反応させることができる。反応により生
成される反応物は、マンガン酸化物二次粒子を構成する
個々のマンガン酸化物一次粒子中にリチウムイオンが取
り込まれたものである。
【0019】前記(a)の工程において用いられるリチ
ウム化合物としては、水酸化リチウム、硝酸リチウム、
炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、塩化リチウム、硫酸
リチウムなどが挙げられるが、中でも水酸化リチウムの
ような塩基性化合物が反応性に優れているので好まし
い。マンガン酸化物とリチウム化合物との反応量を調整
することにより、目的とするリチウム・マンガン複合酸
化物中のマンガンとリチウムの組成比を調整することが
できる。
【0020】また、(b)の工程は、第1の工程で得ら
れるマンガン酸化物二次粒子を予め酸処理した後リチウ
ム化合物と混合するかあるいは反応させる工程である。
マンガン酸化物二次粒子は、酸処理によりリチウム化合
物との反応性が向上するので好ましい。酸処理により、
マンガン酸化物二次粒子を構成する個々のマンガン酸化
物一次粒子中のマンガンイオンの一部が水素イオンと置
換され、このものとリチウム化合物とを反応させると、
水素イオンとリチウムイオンとの交換反応により、リチ
ウムイオンがマンガン酸化物中に容易に取り込まれやす
くなると考えられる。酸処理はマンガン酸化物二次粒子
を水系媒液中に分散し、これに酸を添加する方法等によ
り行え、用いる酸としては塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸な
どの無機酸、酢酸、ギ酸などの有機酸など特に制限は無
いが、無機酸がその効果が大きいので好ましく、硫酸ま
たは塩酸であれば工業的に有利に実施できるので更に好
ましい。酸処理量は、水素イオン/マンガンイオン比で
2〜50とするのが好ましく、また、添加する酸の濃度
は0.05〜10規定とするのが好ましい。
【0021】次いで、酸処理したマンガン酸化物二次粒
子とリチウム化合物とを混合するかあるいは反応させ
る。酸処理したマンガン酸化物二次粒子は、リチウム化
合物との反応性に富むため、単にこのものとリチウム化
合物とを固相で混合しても、引き続く第3の工程(加熱
焼成工程)で容易にリチウムイオンが粒子中に取込まれ
るので、結晶性に優れたリチウム・マンガン複合酸化物
となる。酸処理したマンガン酸化物二次粒子とリチウム
化合物とを反応させるには、前記(a)の工程と同様に
行うことができる。反応により生成される反応物は、前
記(a)工程と同様、マンガン酸化物二次粒子を構成す
る個々のマンガン酸化物一次粒子中にリチウムイオンが
取り込まれたものである。反応物は第3の工程で加熱処
理すると、混合物よりリチウム・マンガン複合酸化物に
相変化し易く、さらに結晶性の優れたものが得られやす
いので、この方法を適用するのが最も好ましい。
【0022】(b)の工程において用いるリチウム化合
物としては、いずれの方法でも前記(a)の工程で用い
られる化合物同様、水酸化リチウム、硝酸リチウム、炭
酸リチウム、炭酸水素リチウム、塩化リチウム、硫酸リ
チウムなどが挙げられるが、中でも水酸化リチウムのよ
うな塩基性化合物が反応性が優れているので好ましい。
目的とするリチウム・マンガン複合酸化物中のマンガン
とリチウムの組成比は、それらに相当するマンガン酸化
物とリチウム化合物との反応量から調整することができ
る。例えば、媒液中で反応させる場合、少量分取した反
応液のアルカリ濃度を測定すれば、両者の反応量を求め
ることができる。
【0023】第3の工程は、第2の工程で得られる反応
物または混合物を加熱焼成して、リチウム・マンガン複
合酸化物二次粒子を得る工程である。加熱焼成温度とし
ては該反応物が少なくともリチウム・マンガン複合酸化
物に相変化する温度、若しくは少なくとも該混合物が固
相反応してリチウム・マンガン複合酸化物となる温度で
あれば良い。該反応物または混合物の組成、粒度、焼成
雰囲気などにより異なるが、加熱焼成温度は概ね250
℃以上、好ましくは280℃以上であり、二次粒子間の
焼結を防ぐために850℃以下とするのが好ましく、8
00℃以下とするのが更に好ましい。焼成雰囲気は大気
中など酸素含有雰囲気であれば特に制限は無く、酸素分
圧は適宜設定できる。加熱焼成後は凝集の状態に応じ
て、公知の方法により適宜粉砕・解砕を行っても良い。
【0024】第3の工程で得られるリチウム・マンガン
複合酸化物二次粒子を構成する一次粒子は一般式Li
Mnで表される化合物であって、式中のX、Yの
値が(1+X)/(2−X−Y)で表して0.3〜1.
5の範囲にあるものが好ましい組成である。特に、一般
式LiMnや、Li4/3Mn5/3などで
表されるスピネル型の結晶構造を有するものが好まし
く、リチウム・マンガン複合酸化物の単一相であって
も、リチウム・マンガン複合酸化物とマンガン酸化物の
混合物であってもよい。
【0025】加熱焼成する前に、予め該反応物の表面
に、リチウム及びマンガン以外の異種元素を含む化合物
を被着させると、加熱焼成の際にリチウム・マンガン複
合酸化物二次粒子に相変化すると同時に、前記異種元素
をリチウム・マンガン複合酸化物一次粒子中に固溶させ
ることができる。あるいは、該混合物に、更に異種元素
の化合物を混合して加熱焼成することでも、異種元素を
リチウムマンガン複合酸化物一次粒子中に固溶させるこ
とができる。該反応物は異種のイオンを取り込み易く、
また、該混合物は反応性が高いので、これらの方法によ
り異種元素はリチウム・マンガン複合酸化物一次粒子中
に均一に固溶される。異種元素を固溶させると、さらに
サイクル特性が向上する。そのような異種元素として
は、例えばFe、Cr、Co、Ni、Al、Mg、C
a、Zn、V、Nb、Mo、Ti、Zr、Ga、In等
の少なくとも一種が挙げられる。
【0026】第4の工程は、前記第3の工程で得られる
リチウム・マンガン複合酸化物二次粒子の表面に、C
o、Fe、Ni、Cr、Mg、Zn及びAlから選ばれ
る少なくとも1種の第三金属元素を含む化合物を被着さ
せた後、加熱焼成して本発明のリチウム・マンガン複合
酸化物を得る工程である。第三金属元素を含む化合物の
被着量は、Mnに対し0.1〜20原子%の範囲で被着
するのが好ましく、0.3〜15原子%の範囲が更に好
ましく、0.5〜10原子%の範囲が特に好ましい。二
次粒子の表面に被着させる化合物としては、第三金属元
素の酸化物、水和酸化物、水酸化物等が挙げられる。第
三金属元素を含む化合物の被着は、公知の方法によって
行える。例えば、リチウム・マンガン複合酸化物二次粒
子を媒液中に、好ましくは水中に均一に分散させてスラ
リーとし、適宜湿式粉砕や整粒を行い、次いでこのスラ
リーに第三金属元素を含む化合物の溶液と塩基性化合物
とを添加して、リチウム・マンガン複合酸化物二次粒子
表面に第三金属元素の酸化物、水和酸化物、水酸化物等
の化合物を被着することができる。添加する第三金属元
素の化合物としては、第三金属元素の塩化物、硫酸塩、
硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩等の塩類、あるいは水酸化物、
オキシ水酸化物、酸化物等が、塩基性化合物にはアルカ
リ金属の水酸化物や炭酸塩またはアンモニア等を用いる
ことができる。これらの添加方法は特に制限されない
が、酸性下ではリチウム・マンガン複合酸化物からリチ
ウムイオンが脱離し易いので、中性から塩基性の領域で
被着を行えるようにするのが好ましい。リチウム・マン
ガン複合酸化物の二次粒子の表面は、前記化合物で均一
に被着されている必要は無く、本発明の効果を損なわな
い範囲で、一部に被覆の多い部分や、未被覆の部分があ
っても良い。
【0027】次いで、表面に第三金属元素を含む化合物
を被着したリチウム・マンガン複合酸化物二次粒子を、
適宜濾別、乾燥を行い、加熱焼成して本発明のリチウム
・マンガン複合酸化物を得る。加熱焼成の温度は、好ま
しくは200〜800℃、より好ましくは400〜80
0℃の範囲の温度である。800℃より高い温度で加熱
焼成すると、リチウム・マンガン複合酸化物一次粒子内
への第三金属元素の固溶が進み易く、本発明の効果が得
られ難い。焼成雰囲気は大気中など酸素含有雰囲気であ
れば特に制限は無く、酸素分圧は適宜設定できる。上記
加熱焼成により、表面に被着した第三金属元素の化合物
は一部が二次粒子の表面に残留し、一部が内部の一次粒
子間の界面に拡散すると推測される。このため、マンガ
ンの電解液への溶出が抑制されると同時に、一次粒子同
士の結合が増強されるので、サイクル特性が向上すると
考えられる。加熱焼成後は必要に応じてサンプルミル、
ライカイ機等の磨砕式、ハンマーミル等の衝撃式、ジェ
ットミル等の気流式等、公知の粉砕機・解砕機を用いて
粉砕・解砕を行う。
【0028】本発明で得られるリチウム・マンガン複合
酸化物は、リチウム・マンガン複合酸化物一次粒子を造
粒してなる二次粒子であって、少なくとも二次粒子の表
面には第三金属元素を含む化合物が被覆されている。二
次粒子は一次粒子同士が強固に結合した状態にあり、フ
ァンデルワールス力等の粒子間の相互作用で凝集した
り、機械的に圧密化されたものではなく、工業的に用い
られる通常の機械的粉砕では崩壊することなく、ほとん
どが二次粒子として残るものである。一次粒子の平均粒
子径は、電子顕微鏡法によると0.01〜10μmの範
囲にあり、二次粒子の平均粒子径はレーザー散乱法によ
り測定すると0.4〜50μm、好ましくは0.8〜3
0μm、更に好ましくは1〜20μmの範囲にある。粒
子形状を上記の範囲とすることで、充填密度が高く、例
えばタッピングによる嵩密度を測定すると、1.5〜
2.2g/ccとなる二次粒子が得られる。二次粒子の
形状は特に制限されないが、電池特性上できるだけ異方
性の小さい形状が有利であり、粒塊状や球状が最も好ま
しい。また、その結晶構造は、電池特性上、スピネル型
を主体としているものが好ましい。
【0029】次に本発明は前記リチウム・マンガン複合
酸化物を、正極活物質として用いるリチウム電池であ
る。本発明でいうリチウム電池とは、負極にリチウム金
属を用いた一次電池、及び負極にリチウム金属を用いた
充電可能な二次電池、負極に炭素材料、スズ化合物、チ
タン酸リチウムなどを用いた充電可能なリチウムイオン
二次電池のことをいう。
【0030】リチウム電池用正極は、コイン型電池用と
する場合には、本発明のリチウム・マンガン複合酸化物
に、アセチレンブラックや、カーボン、グラファイト粉
末等の炭素系導電剤や、ポリ四フッ化エチレン樹脂や、
ポリビニリデンフルオライド樹脂等の結着剤を添加、混
練し、成型して得ることができる。更に、円筒型、ある
いは角型電池用とする場合には、本発明のリチウム・マ
ンガン複合酸化物に、これらの添加物以外にN―メチル
ピロリドン等の有機溶剤も添加し、混練してペースト状
とし、アルミニウム箔のような金属集電体上に塗布し、
乾燥して得ることができる。
【0031】リチウム電池の電解液には、電気化学的に
安定な、すなわちリチウムイオン電池として作動する電
位範囲より広い範囲で、酸化、還元されることのない極
性有機溶媒に、リチウムイオンを溶解させたものを使用
することができる。極性有機溶媒としては、プロピレン
カーボネートやエチレンカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、γ−
ブチルラクトン等や、それらの混合液を用いることがで
きる。リチウムイオン源となる溶質には、過塩素酸リチ
ウムや六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ素酸リチ
ウム等を用いることができる。また電極間には多孔性の
ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムが、セ
パレータとして配置される。
【0032】電池の種類としては、ペレット状の正極と
負極の間にセパレータを置き、ポリプロピレン製のガス
ケットのついた封口缶に圧着し、電解液を注入し、密閉
したコイン型のものや、正極材料や負極材料を金属集電
体上に塗布し、セパレータをはさんで巻き取り、ガスケ
ットのついた電池缶に挿入し、電解液を注入し、封入し
た円筒型のもの等が挙げられる。また、特に電気化学特
性を測定することを目的とした三極式の電池もある。こ
の電池は正極と負極以外に参照極も配置し、参照極に対
して他の電極の電位をコントロールすることにより、各
電極の電気化学的な特性を評価するものである。
【0033】リチウム・マンガン複合酸化物の正極材料
としての性能については、負極に金属リチウム等を用い
てニ次電池を構成し、適当な電圧範囲を定電流で充放電
することにより、その容量を測定することができる。ま
た充放電を繰り返すことにより、容量の変化からそのサ
イクル特性の良否を判断することができる。
【0034】本発明のリチウム・マンガン複合酸化物は
二次粒子径が大きく、充填性に優れているので、このも
のを正極活物質として用いるリチウム電池は、エネルギ
ー密度が高く、初期充放電容量の高いものである。また
本発明のリチウム・マンガン複合酸化物はそれを構成す
る一次粒子同士が強固に造粒された二次粒子となってい
るため、このものを正極活物質として用いるリチウム電
池は、充放電に伴うリチウムイオンの脱離・挿入による
結晶格子の膨張・収縮の際の二次粒子の崩壊が起こりに
くく、したがってサイクル特性にも優れたものである。
更には、スピネル型を主体とする結晶構造を有するもの
を用いると、2〜3.5V程度の電位領域で充放電が可
能な3V級や、それが3.5〜4.5V程度である4V
級のリチウム二次電池が得られ、中でも4V級のものに
有用である。
【0035】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0036】実施例1 1.第1の工程マンガン水酸化物の合成 8.37モル/リットルの水酸化ナトリウム溶液0.6
53リットルと、水0.419リットルをステンレス製
の反応容器に仕込んだ。この中に窒素ガスを2.5リッ
トル/分で吹き込みながら、硫酸マンガン(MnSO
として88.06%含有)0.937kgを3.75k
gの水に溶解した溶液を攪拌しながら急速に添加し70
℃で中和した。その後、70℃で3時間熟成してマンガ
ンの水酸化物を得た。中和後の溶液に残存するマンガン
イオンの濃度は30g/リットルであった。
【0037】マンガン酸化物一次粒子の合成 得られたマンガン水酸化物を含む溶液を攪拌しながら、
空気を2.5リットル/分で吹き込み70℃の温度で酸
化し、pHが6.4になった時点で酸化を終了させ、マ
ンガン酸化物一次粒子を得た。
【0038】マンガン酸化物二次粒子の合成 前記マンガン酸化物一次粒子を含む溶液を70℃に保
ち、攪拌しながら空気/窒素=1/1の混合ガスを2.
5リットル/分で吹き込み、硫酸マンガン(MnSO
として88.06%含有)5.618kgを水21.2
8kgに溶解した水溶液を添加した後、8.37モル/
リットルの水酸化ナトリウム4.567リットルを64
時間かけて添加し、中和、酸化させて造粒した。pHが
8.0になった時点で反応を終了し、濾過、水洗してマ
ンガン酸化物の二次粒子を得た。得られたマンガン酸化
物二次粒子は、化学式Mnで表される正方晶型の
構造を有する一次粒子が造粒されて5.7μmの平均粒
子径を有する球状の二次粒子となっていた。
【0039】2.第2の工程マンガン酸化物二次粒子の酸処理 第1の工程で得られたマンガン酸化物二次粒子(Mn換
算1200g)を水に分散させたスラリーをステンレス
製反応容器に仕込み60℃に昇温した。このスラリー中
に1モル/リットルの硫酸3.50リットルを1時間か
けて攪拌しながら添加し、その後2時間反応させてから
濾過水洗して、酸処理したマンガン酸化物二次粒子を得
た。
【0040】リチウム化合物との反応 酸処理したマンガン酸化物二次粒子(Mn換算450
g)を水に分散させたスラリーに、水酸化リチウム一水
塩4.794モルを添加して溶解させた後、水を加えて
1リットルとし、ガラス製反応容器に仕込んだ。空気を
1.5リットル/分でこのスラリーに吹き込み、攪拌し
ながら90℃に昇温して15時間反応させた。反応後、
温度を60℃まで冷却し、ろ過してから、0.05モル
/リットルの水酸化リチウム水溶液で洗浄し、反応物を
得た。
【0041】3.第3の工程 第2の工程で得られた反応物を110℃で12時間乾燥
させた後、空気中で750℃で3時間加熱焼成してリチ
ウム・マンガン複合酸化物二次粒子を得た。これは平均
粒子径0.2μmの一次粒子が、平均粒径が6.0μmの
球状二次粒子を形成していた。
【0042】4.第4の工程Cr化合物の被着処理 第3の工程で得られたリチウム・マンガン複合酸化物二
次粒子100gをミキサーで水中に分散させスラリー化
した後、反応器に仕込み、水を加えて液量が1リットル
になるように調整した。このスラリーに窒素ガスを吹き
込み、攪拌しながら60℃に昇温した後、5モル/リッ
トルの水酸化リチウム水溶液48.1ミリリットルを添
加し、更に1モル/リットルの塩化クロム水溶液11.
5ミリリットルを1時間で添加し、3時間反応させた後
冷却した。冷却した後、ろ過、水洗し、120℃で3時
間乾燥した。Cr化合物の被着量は、リチウム・マンガ
ン複合酸化物二次粒子に含まれるMnに対し、Crとし
て1.05原子%であった。
【0043】加熱焼成 Cr化合物を被着したリチウム・マンガン複合酸化物二
次粒子を、大気中550℃で3時間加熱焼成して、本発
明のリチウム・マンガン複合酸化物(試料A)を得た。
【0044】実施例2 Fe化合物の被着処理 実施例1の第4の工程において、水酸化リチウム水溶液
の添加量を47.6ミリリットルに、塩化クロム水溶液
に替えて1モル/リットルの硫酸第二鉄水溶液10.7
ミリリットルを添加し、さらに加熱焼成温度を500℃
としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のリチウ
ム・マンガン複合酸化物(試料B)を得た。試料BのF
e化合物の被着量は、リチウム・マンガン複合酸化物二
次粒子に含まれるMnに対し、Feとして0.98原子
%であった。
【0045】実施例3 Co化合物の被着処理 実施例1の第4の工程において、水酸化リチウム水溶液
の添加量を47.2ミリリットルに、塩化クロム水溶液
に替えて1モル/リットルの塩化コバルト水溶液10.
2ミリリットルを添加し、さらに加熱焼成温度を500
℃としたこと以外は実施例1と同様にして本発明のリチ
ウム・マンガン複合酸化物(試料C)を得た。試料Cの
Co化合物の被着量は、リチウム・マンガン複合酸化物
二次粒子に含まれるMnに対し、Coとして0.93原
子%であった。
【0046】実施例4 Mg化合物の被着処理 実施例1の第4の工程において、水酸化リチウム水溶液
の添加量を51.6ミリリットルに、塩化クロム水溶液
に替えて1モル/リットルの塩化マグネシウム水溶液2
4.7ミリリットルを添加し、さらに加熱焼成温度を6
00℃としたこと以外は実施例1と同様にして本発明の
リチウム・マンガン複合酸化物(試料D)を得た。試料
DのMg化合物の被着量は、リチウム・マンガン複合酸
化物二次粒子に含まれるMnに対し、Mgとして2.2
6原子%であった。
【0047】実施例5 Zn化合物の被着処理 実施例1の第4の工程において、水酸化リチウム水溶液
の添加量を44.8ミリリットルに、塩化クロム水溶液
に替えて1モル/リットルの硫酸亜鉛水溶液9.2ミリ
リットルを添加し、さらに加熱焼成温度を600℃とし
たこと以外は実施例1と同様にして本発明のリチウム・
マンガン複合酸化物(試料E)を得た。試料EのZn化
合物の被着量は、リチウム・マンガン複合酸化物の二次
粒子に含まれるMnに対し、Znとして0.84原子%
であった。
【0048】比較例1 第4の工程の被着処理を行わなかったこと以外は実施例
1と同様にして、比較試料のリチウム・マンガン複合酸
化物(試料F)を得た。
【0049】比較例2 1.第1の工程 実施例1の第1の工程と同様にして、マンガン酸化物二
次粒子を得た。
【0050】2.第2の工程 実施例1の第2の工程のにおいて、酸と反応させたマ
ンガン酸化物二次粒子(Mn換算200g)を水に分散
させたスラリーに、水酸化リチウム一水塩2.174モ
ルを添加して溶解させた後、水を加えて0.5リットル
とした以外は実施例1の第2の工程のと同様にして、
反応物を得た。
【0051】3.第3の工程 第3の工程を行わなかった。
【0052】4.第4の工程Fe化合物の被着処理 第2の工程で得られた反応物のスラリーに窒素ガスを1
リットル/分で吹き込み、60℃に昇温した。その後、
攪拌しながら4.5モル/リットルの水酸化リチウム水
溶液1.2ミリリットルと水24.7ミリリットルとを
添加し、次いでFe換算で50g/リットルの硫酸第二
鉄水溶液41ミリリットルを1時間で添加し、3時間反
応させた後冷却した。冷却した後、ろ過、水洗し、12
0℃で3時間乾燥し、Fe化合物を被着した。Fe化合
物の被着量は、反応物に含まれるMnに対し、Feとし
て1.0原子%であった。
【0053】加熱焼成 上記のFe化合物を被着した反応物を、大気中750℃
で3時間加熱焼成を行い、Feを固溶させた比較試料の
リチウム・マンガン複合酸化物(試料G)を得た。
【0054】比較例3 1.リチウム・マンガン複合酸化物の合成 電解二酸化マンガン110gと炭酸リチウム24.1g
を自動乳鉢で充分に混合し、大気中450℃で15時間
焼成し、冷却した。更に自動乳鉢で混合し、大気中75
0℃で20時間焼成した後、1℃/分の速度で冷却し
て、リチウム・マンガン複合酸化物を得た。
【0055】2.Cr化合物の被着処理 実施例1の第4の工程のと同様にして、Cr化合物を
被着した比較試料のリチウム・マンガン複合酸化物(試
料H)を得た。
【0056】比較例4 1.二酸化マンガンへのFe化合物の被覆処理 電解二酸化マンガン50gをミキサーで水中に分散させ
スラリー化した後、反応器に仕込んだ。このスラリーに
4.5モル/リットルの水酸化リチウム水溶液28.6
ミリリットルを添加し、更に水を加えて液量が0.5リ
ットルになるように調整した。攪拌しながらスラリーを
60℃に昇温した後、Fe換算で50g/リットルの硫
酸第二鉄水溶液30.5ミリリットルを1時間で添加
し、1時間反応させた後冷却した。Fe化合物の被着量
は、電解二酸化マンガンに含まれるMnに対し、Feと
して4.7原子%であった。
【0057】2.リチウム・マンガン複合酸化物の合成 比較例3の第1の工程において、電解二酸化マンガンを
Fe化合物を被着した電解二酸化マンガンに替え、その
使用量を50gとし、炭酸リチウムの使用量を7.5g
とした以外は比較例3の第1の工程と同様にして、比較
試料のFe化合物を固溶したリチウム・マンガン複合酸
化物(試料I)を得た。
【0058】評価1 実施例1〜5、比較例1〜4で得られたリチウム・マン
ガン複合酸化物(試料A〜I)の比表面積を、比表面積
測定装置(モノソーブ:ユアサアイオニクス製)を用
い、BET法にて測定した。
【0059】評価2 実施例1〜5、比較例1〜4で得られたリチウム・マン
ガン複合酸化物(試料A〜I)の水性スラリーを十分に
超音波分散し、レーザー光による透過率が85±1%に
なるように調製した後、レーザー回折/散乱式粒度分布
測定装置(LA−90:堀場製作所製)を用い体積基準
で平均粒子径測定した。
【0060】評価3 実施例1〜5、比較例1〜4で得られたリチウム・マン
ガン複合酸化物(試料A〜I)を、それぞれ50gを1
00ミリリットルのメスシリンダーに入れ、100回タ
ッピングしてタップ密度を測定した。
【0061】試料A〜Iの比表面積、平均粒子径、タッ
プ密度を表1に示す。本発明で得られたリチウム・マン
ガン複合酸化物は、未処理のものと同等の粉体物性を有
していることがわかる。
【0062】
【表1】
【0063】評価4 実施例1〜5、比較例1〜4で得られたリチウム・マン
ガン複合酸化物(試料A〜I)を正極活物質とした場合
のリチウムニ次電池の充放電特性、及びサイクル特性を
評価した。電池の形態や測定条件について説明する。
【0064】上記各試料と、導電剤としてのグラファイ
ト粉末、及び結着剤としてのポリ四フッ化エチレン樹脂
を重量比で70:24:6で混合し、乳鉢で練り合わ
せ、直径10mmの円形に成型してペレット状とした。
ペレットの重量は40mgであった。このペレットに直
径10mmの円形に切り出した金属チタン製のメッシュ
を重ね合わせ、14.7MPaでプレスして正極とし
た。
【0065】この正極を120℃4時間真空乾燥した
後、露点−70℃以下のグローブボックス中で、密閉化
可能なコイン型評価用セルに組み込んだ。評価用セルに
は、材質がステンレス(SUS316)製で、外径20
mm、高さ1.6mmのものを用いた。負極には厚み
0.5mmの金属リチウムを直径14mmの円形に成形
したものを用いた。非水電解液として、1モル/リット
ルとなる濃度でLiPFを溶解したエチレンカーボネ
ートとジメチルカーボネートの混合溶液(体積比で1:
2に混合)を用いた。
【0066】正極は評価用セルの下部缶に置き、その上
にセパレーターとして多孔性ポリプロピレンフィルムを
置いて、その上から非水電解液をスポイドで7滴滴下し
た。さらにその上に負極をのせ、ポリプロピレン製のガ
スケットのついた上部缶を被せて外周縁部をかしめて密
封した。尚、厚みを調整するため、必要に応じてセパレ
ーターの上下に親水化処理したポリプロピレン製不織布
を置いた。
【0067】作製したコイン型評価用セルを、専用の電
池ホルダーにセットし、5kgの荷重をかけた状態で電
池特性を測定した。充放電容量の測定は、電圧範囲を
4.3Vから3.5Vに、充放電電流を0.84mA
(約3サイクル/日)に設定して、定電流で行った。2
5℃で2回目のサイクルに測定した数値を初期充放電特
性とた。サイクル特性の測定は25℃と50℃で行い、
それぞれの容量維持率%(11回から40回のサイクル
における1回当たりの放電容量維持率の平均値)で表し
た。
【0068】試料A〜Iの初期充放電特性、サイクル特
性を表2に示す。本発明により得られたリチウム・マン
ガン複合酸化物は、初期充放電特性が従来のものと同等
で、特に高温下でのサイクル特性が優れていることがわ
かる。
【0069】
【表2】
【0070】評価5 試料1、4及び比較例1で得られた試料A、E、Fを3
gづつ計量し、それぞれを容積50ミリリットルの蓋付
きの耐熱性テフロン(R)容器に入れた。これらを内部
がアルゴン置換され、露点が−70℃以下に保持された
グローブボックス内に設置された真空検体乾燥器中に移
し、120℃で4時間加熱乾燥した。
【0071】真空乾燥後、常圧に戻して室温まで自然放
冷し、次いで1モル/リットルとなる濃度でLiPF
を溶解したエチレンカーボネートとジメチルカーボネー
トの混合溶液(体積比で1:1に混合)15ミリリット
ルをそれぞれの容器に添加した。
【0072】それぞれの容器の蓋を閉め、真空検体乾燥
器中で、常圧下60℃で166時間保持した。冷却後、
溶液を取り出しPTFEフィルター(孔径0.2μm)
を用いて自然ろ過した。ろ液はポリプロピレン製の容器
に入れてグローブボックス外に持ち出し、ICP分析で
ろ液中のマンガンイオンの濃度を測定し、マンガンイオ
ンの溶出量(重量%)を求めた。
【0073】マンガン溶出量の結果を表3に示す。一般
に、サイクル特性の低下は、マンガンイオンがリチウム
・マンガン複合酸化物から電解液へ溶出するためである
と言われており、実施例1及び4にはマンガンイオンの
溶出を抑える効果が認められる。
【0074】
【表3】
【0075】評価6 実施例1、2、5及び比較例1で得られたリチウム・マ
ンガン複合酸化物(試料A、B、E、F)について粉末
X線回折分析を行った。尚、X線源としてはCuKα線
を用い、面指数(hkl)=(311)、(222)、
(400)、(331)、(511)、(440)、
(531)面の面間隔dを回折ピーク角度より求め、そ
れぞれ次式を用いて格子定数aを、平均値として算出し
た。結果を表4に示す。本発明によりCr処理した試料
A、Fe処理した試料B、Zn処理した試料Eは、処理
を行わなかった試料Fと同等の格子定数を示した。結晶
中に異種の元素が固溶すると、通常格子定数は小さくな
るので、試料A、B、Eには処理したそれぞれの元素が
一次粒子中に固溶されていないことが解った。 a=d・(h+k+11/2
【0076】
【表4】
【0077】
【発明の効果】本発明は、リチウム・マンガン複合酸化
物の製造方法であって、リチウム・マンガン複合酸化物
一次粒子同士が強固に造粒された二次粒子の表面に第三
金属元素の化合物が存在する構造を有するリチウム・マ
ンガン複合酸化物が得られる。このため、本発明で得ら
れるリチウム・マンガン複合酸化物は、二次粒子径が大
きく、充填性に優れたものである。したがって、このも
のを正極活物質に用いたリチウム電池は、エネルギー密
度が高く、初期充放電容量の高いものである。また、こ
のものを正極活物質として用いるリチウム電池は、充放
電に伴うリチウムイオンの脱離・挿入による結晶格子の
膨張・収縮の際の二次粒子の崩壊が起こりにくく、した
がってサイクル特性、特に高温下でのサイクル特性にも
優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G048 AA04 AB01 AB02 AB04 AB05 AC06 AD03 AE05 5H029 AJ03 AJ05 AK03 AL02 AL03 AL06 AL12 AM03 AM04 AM05 AM07 CJ02 CJ08 CJ14 CJ22 DJ16 HJ01 HJ14 5H050 AA07 AA08 AA10 BA16 BA17 CA09 CB02 CB03 CB07 CB12 FA17 GA02 GA10 GA14 GA15 GA22 HA02 HA14

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)マンガン酸化物一次粒子を造粒して
    マンガン酸化物二次粒子を得る工程、(2)マンガン酸
    化物二次粒子とリチウム化合物とを反応させる工程、ま
    たは該マンガン酸化物二次粒子を酸処理した後リチウム
    化合物と混合するかあるいは反応させる工程、(3)該
    反応物または該混合物を加熱焼成してリチウム・マンガ
    ン複合酸化物二次粒子を得る工程、(4)リチウム・マ
    ンガン複合酸化物二次粒子の表面に、Co、Fe、N
    i、Cr、Mg、Zn及びAlから選ばれる少なくとも
    1種の第三金属元素を含む化合物を被着させた後、加熱
    焼成する工程を含むことを特徴とするリチウム・マンガ
    ン複合酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】第1の工程において、マンガン化合物を媒
    液中で中和・酸化してマンガン酸化物一次粒子を得るこ
    とを特徴とする請求項1記載のリチウム・マンガン複合
    酸化物の製造方法。
  3. 【請求項3】マンガン化合物を媒液中で中和した後酸化
    するか、又は中和と酸化を同時に行ってマンガン酸化物
    一次粒子を得ることを特徴とする請求項2記載のリチウ
    ム・マンガン複合酸化物の製造方法。
  4. 【請求項4】第1の工程において、媒液中でマンガン酸
    化物一次粒子の存在下でマンガン化合物を中和・酸化す
    ることにより造粒することを特徴とする請求項1記載の
    リチウム・マンガン複合酸化物の製造方法。
  5. 【請求項5】第3の工程において、加熱焼成を400〜
    850℃の範囲の温度で行うことを特徴とする請求項1
    記載のリチウム・マンガン複合酸化物の製造方法。
  6. 【請求項6】第4の工程において、第三金属元素(M)
    を含む化合物をM/Mn比で0.1〜20原子%被着す
    ることを特徴とする請求項1記載のリチウム・マンガン
    複合酸化物の製造方法。
  7. 【請求項7】第4の工程において、加熱焼成を200〜
    800℃の範囲の温度で行うことを特徴とする請求項1
    記載のリチウム・マンガン複合酸化物の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1記載の製造方法で得られたリチウ
    ム・マンガン複合酸化物を正極活物質として用いるリチ
    ウム電池。
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