JP2001240417A - マンガン酸リチウムの製造方法及び該マンガン酸リチウムを用いてなるリチウム電池 - Google Patents

マンガン酸リチウムの製造方法及び該マンガン酸リチウムを用いてなるリチウム電池

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JP2001240417A JP2000386560A JP2000386560A JP2001240417A JP 2001240417 A JP2001240417 A JP 2001240417A JP 2000386560 A JP2000386560 A JP 2000386560A JP 2000386560 A JP2000386560 A JP 2000386560A JP 2001240417 A JP2001240417 A JP 2001240417A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高エネルギー密度のリチウム電池に適した粒子
径が大きくて充填密度が高い、しかも粒子径や粒子径状
が均一で、さらには格子欠陥の少ない均一な組成のマン
ガン酸リチウムを工業的、経済的に有利に製造する方法
を提供する。 【解決手段】溶液中でマンガン化合物と塩基性化合物と
を反応させ、酸化してマンガン酸化物シードを得る。こ
のマンガン酸化物シードが存在する溶液中でマンガン化
合物と塩基性化合物とを反応させ、酸化して所望の大粒
子にまで成長させる。このマンガン酸化物とリチウム化
合物とを溶液中で反応させるか、または反応性を向上さ
せるためマンガン酸化物のマンガンの一部をプロトンで
置換してリチウム化合物と混合するかあるいは溶液中で
反応させた後加熱焼成し、結晶性が優れ粒子径が大きく
粒度分布や粒子径状が均一のマンガン酸リチウムを製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム電池の正
極材料などに有用な化合物であるマンガン酸リチウムの
製造方法、及びその製造方法で得られるマンガン酸リチ
ウムを用いてなるリチウム電池に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池は高電圧で、充放電サ
イクル特性に優れ、且つ軽量、小型であるため、近年急
速に普及してきており、特に4V級の高起電力のものが
求められている。このようなリチウム二次電池としてコ
バルトまたはニッケルとリチウムとの複合酸化物を正極
活物質として用いたものが知られているが、コバルトや
ニッケルは高価であり、また将来的な資源の枯渇が問題
とされている。
【0003】マンガンとリチウムとの複合酸化物である
化学式LiMn24などで表されるスピネル型の結晶構
造を有するマンガン酸リチウムは、4V級のリチウム二
次電池の正極活物質として有用であり、また原料となる
マンガンが安価で資源的に豊富であるので、コバルト酸
リチウムやニッケル酸リチウムに替わるものとして有望
である。
【0004】正極活物質は各種の添加剤とを混練、成形
するか、あるいはさらに溶剤を加えてペースト状にして
基板に塗布される。従来の湿式法によるマンガン酸リチ
ウムは粒子径の小さいものしか得られず、これを焼成し
て粒子成長させても所望の大粒子が得られないため、充
填密度が低く一定体積中に多量に充填できないので、高
いエネルギー密度が得られないという問題がある。一般
的に粉体の粒子径を大きく(比表面積を小さく)する
と、充填密度は高くななるといわれており、大粒子径の
マンガン酸リチウムが求められている。
【0005】特開平10−194745号公報には、マ
ンガン酸化物とリチウム塩とを混合し一次焼成した後、
機械的粉砕などによって結晶性を低下させる処理を行
い、さらに二次焼成してマンガン酸リチウムの粒子径を
大きくする方法が開示されている。しかし、この方法で
はマンガン化合物とリチウム化合物の反応性が悪いた
め、高温で焼成を行っても均質な組成が得られ難く、格
子欠陥の多いマンガン酸リチウムになり、またこれは粒
子を焼結させた不均一な焼結体であるので、粒子径や粒
子形状の制御が困難である。
【0006】特開平10−172567号公報には、二
酸化マンガンまたはマンガン化合物とリチウム化合物と
を水溶液中で混合し、スプレードライヤーで乾燥、造粒
した後、焼成する方法が、また特開平10−29792
4号公報には、マンガン酸リチウム粉末を合成し、これ
を圧密、塊成化し、さらには分級、顆粒化した後焼成す
る方法が開示されている。これらの方法では基体となる
マンガン酸リチウムは格子欠陥が少なく均一な組成のも
のになるが、粒子径、粒子径状の制御が困難であること
や、最終的に得られる粒子が不均一な焼結体であるとい
った問題は解決されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は以上に述べ
た従来技術の問題点を克服し、高エネルギー密度のリチ
ウム電池に適した粒子径が大きくて充填密度が高い、し
かも粒子径や粒子径状が均一で、さらには格子欠陥の少
ない均一な組成のマンガン酸リチウムを工業的、経済的
に有利に製造する方法を提供するものである。
【0008】本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、溶液
中でマンガン化合物と塩基性化合物とを反応させ、酸化
してマンガン酸化物シードを得、このマンガン酸化物シ
ードが存在する溶液中でマンガン化合物と塩基性化合物
とを反応させ、酸化して所望の大粒子にまで成長させれ
ば、これを用いて合成したマンガン酸リチウムは粒子径
が大きく粒度分布や粒子径状が均一のものが製造できる
こと、さらにはこのマンガン酸化物とリチウム化合物と
を溶液中で反応させるか、または反応性を向上させるた
めマンガン酸化物のマンガンの一部をプロトンで置換し
てリチウム化合物と混合するかあるいは溶液中で反応さ
せた後、加熱焼成すれば結晶性が優れた大粒子径のマン
ガン酸リチウムが得られることを見出した。
【0009】すなわち、本発明は(1)マンガン化合物
と塩基性化合物とを反応させてマンガン水酸化物を得る
工程、(2)該マンガン水酸化物を酸化させてマンガン
酸化物シードを得る工程、(3)該マンガン酸化物シー
ドの存在下で、マンガン化合物と塩基性化合物とを反応
させながら、酸化させてマンガン酸化物シードを粒子成
長させる工程、(4)粒子成長させた該マンガン酸化物
とリチウム化合物とを反応させる工程、または該マンガ
ン酸化物を酸と反応させプロトン置換マンガン酸化物と
した後、リチウム化合物と混合するかあるいはリチウム
化合物と反応させる工程、(5)該反応物または該混合
物を加熱焼成する工程からなることを特徴とするマンガ
ン酸リチウムの製造方法及びその製造方法で得られたマ
ンガン酸リチウムを正極活物質として用いることを特徴
とするリチウム電池に関する。
【0010】
【発明実施の形態】本発明では第1の工程として、先ず
マンガン化合物と塩基性化合物とを水などの媒液中で反
応させてマンガン水酸化物を生成させる。次の第2の工
程において酸化レベルを制御し易くするため、このマン
ガン水酸化物を生成させる反応は不活性ガス雰囲気中で
行うのが好ましい。不活性ガスとして窒素ガスを用いる
のが工業的、経済的に有利である。第1の工程、及び後
述の第3の工程ではマンガン化合物として水溶性マンガ
ン化合物を用いても、難水溶性マンガン化合物を酸溶液
として用いても良いが、水溶性のものが好ましい。水溶
性マンガン化合物としては硫酸マンガン、塩化マンガ
ン、硝酸マンガンなどの無機マンガン化合物や、酢酸マ
ンガンなどの有機マンガン化合物などを用いることがで
き、無機マンガン化合物が好ましい。また、塩基性化合
物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
リチウムなどの水酸化アルカリ金属化合物や、アンモニ
アガス、アンモニア水などのアンモニウム化合物を用い
ることができる。
【0011】第1工程において、マンガン化合物を当モ
ル以上の塩基性化合物により、全量を中和反応させても
良く、あるいは当モルより少ない量の塩基性化合物によ
り、部分中和しても良い。マンガン化合物の部分中和に
より生成させた水酸化マンガンは粒子径が大きくなるの
で部分中和が好ましい。部分中和後に媒液中に残存する
マンガンイオンの濃度を5〜60g/l、好ましくは1
0〜40g/lになるように部分中和すると、特に粒子
径の大きいものが得られる。
【0012】次の第2の工程では、第1の工程で得られ
たマンガン水酸化物を酸化させてマンガン酸化物シード
を生成させる。先に記載の通り、このマンガン酸化物シ
ードの粒子径は、第1の工程で部分中和後の溶液中に残
存するマンガンイオン濃度を適宜設定することで調整す
ることができ、残存するマンガンイオンの濃度を前述の
5〜60g/lの範囲にするとシードの平均粒子径は
0.1〜0.4μmとなり、特に残存マンガンイオンの
濃度を10〜40g/lの範囲にするとシードの粒子径
は最大になり、平均粒子径で0.3〜0.4μmとな
る。酸化反応は生成したマンガン水酸化物を濾過、洗浄
後、気相中で行うこともできるが、液相中で空気、酸
素、オゾンなどの酸化性の気体を吹き込んだり、過酸化
水素水、ぺルオキソ二硫酸塩などの酸化剤を添加して行
えば、第1の工程から連続的に行えるので有利である。
なかでも、酸化性の気体を用いることが望ましく、酸化
性の気体として空気を用いることがさらに望ましい。
【0013】第3の工程では第2の工程で得られたマン
ガン酸化物シードが存在する水などの溶液中で新たに添
加したマンガン化合物又は残存するマンガン化合物と新
たに添加した塩基性化合物とを反応させながら、前記の
ように酸化性の気体を吹き込むか、または酸化剤を添加
して酸化させシード粒子を成長させる。なかでも、酸化
性の気体を用いることが望ましく、酸化性の気体として
空気を用いることがさらに望ましい。粒子の成長はマン
ガン化合物、塩基性化合物の添加量や添加方法などの反
応条件を適宜設定することで制御できるので、粒度分布
や形状が均一なマンガン酸化物が得られる。マンガン酸
化物の酸化程度は適宜設定できるが、一般式Mn34
あるいは2MnO・MnO2で表される状態まで酸化す
るのが好ましい。
【0014】第3の工程においてもマンガン化合物と塩
基性化合物との反応は、全量中和、部分中和のいずれを
用いても良い。全量中和は未反応のマンガン化合物がほ
とんど残らないので、工業的に有利な方法である。部分
中和は微細な粒子径のマンガン酸化物の生成し難く、形
状や粒度分布の整った均一なものを得るには有利な方法
である。例えば部分中和を行う場合、部分中和後に媒液
中に残存するマンガンイオンの濃度を5〜60g/l、
好ましくは10〜40g/lになるようにするのが望ま
しく、マンガン化合物の溶液と塩基性化合物の溶液とを
並行して添加すると、更に均一な粒子が生成するので好
ましい。
【0015】第4の工程では、粒子成長させたマンガン
酸化物とリチウム化合物とを水などの媒液中で反応させ
るか、あるいは、粒子成長させたマンガン酸化物を酸と
反応させプロトン置換マンガン酸化物とした後、水など
の媒液中でリチウム化合物との反応させ、マンガン酸リ
チウム前駆体とする。あるいはプロトン置換マンガン化
合物とリチウム化合物とを固相で混合し、混合物とす
る。リチウム化合物と反応させるのに先立って、該マン
ガン酸化物を予め酸と反応させ、プロトン置換マンガン
酸化物とするとリチウム化合物との反応性が向上するの
で好ましい。プロトン置換マンガン酸化物はリチウム化
合物と液相で混合するか、または濾別して固相でリチウ
ム化合物と混合することができるが、水などの媒液中で
両者を反応させマンガン酸リチウム前駆体とするのがよ
り好ましい。ここでいうマンガン酸リチウム前駆体とは
単なるマンガン酸化物とリチウム化合物の混合物ではな
く、後記するようにマンガン酸化物の結晶構造中にリチ
ウムイオンが取り込まれたものである。
【0016】第4の工程で用いることのできるリチウム
化合物としては水酸化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リ
チウム、炭酸水素リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウ
ムなどが挙げられるが、中でも水酸化リチウムのような
塩基性化合物が反応性が優れているので好ましい。目的
とするマンガン酸リチウム中のマンガンとリチウムの組
成比は、それらに相当する上記の化合物の反応量から調
整することができる。例えばプロトン置換マンガン化合
物とリチウム化合物とを水系媒液中で反応させる場合、
少量分取した反応液のアルカリ濃度を測定すれば両者の
反応量を求めることができる。
【0017】本発明におけるプロトン置換マンガン酸化
物とは、マンガン酸化物を酸と反応させることにより生
成され、マンガン酸化物中のマンガンイオンの一部が水
素イオンと置換されているものと推測されるものであ
る。置換された水素イオンは活性を有し、他の陽イオン
と交換され易いと推測され、該プロトン置換マンガン酸
化物とリチウム化合物とを反応させると、水素イオンと
の交換反応によりリチウムイオンがマンガン酸化物中に
容易に取り込まれる。酸処理には塩酸、硫酸、硝酸、フ
ッ酸などの無機酸、酢酸、ギ酸などの有機酸が使用でき
て特に制限は無いが、無機酸がその効果が大きいので好
ましく、硫酸、または塩酸であれば工業的に有利に実施
できるのでさらに好ましい。添加する酸の濃度は0.0
5〜10Nとするのが好ましく、酸の濃度が前記の範囲
より低いと必要添加量が多くなり、スラリー濃度も低下
してしまうので工業的ではない。また酸濃度が高いとマ
ンガン酸化物が分解し易くなるので好ましくない。
【0018】マンガン酸化物とリチウム化合物、または
プロトン置換マンガン酸化物とリチウム化合物とを水な
どの媒液中で反応させる場合、通常、70〜250℃で
行うことができる。この場合、例えば温度が100℃以
下では大気圧下で反応を行うので、耐圧容器を使用する
必要がないので実用的であり、一方、100℃以上では
反応が進み易いので好ましい。望ましい温度範囲は80
〜230℃であり、さらに望ましくは85〜180℃で
ある。100℃以上での反応にはオートクレーブなどの
耐圧容器を用い、飽和水蒸気圧下、または加圧下で水熱
処理しても良い。また、酸化性の気体として空気、酸
素、オゾンなど、又は酸化剤として過酸化水素水、ぺル
オキソ二硫酸塩などを供給してやれば反応がさらに進
む。なかでも、酸化性の気体を用いることが望ましく、
酸化性の気体として空気を用いることがさらに望まし
い。
【0019】第5の工程では、マンガン酸リチウム前駆
体、またはプロトン置換マンガン酸化物とリチウム化合
物の混合物を加熱焼成してマンガン酸リチウムを製造す
る。本発明では第3工程の段階でマンガン酸化物粒子を
所望とする大粒子のマンガン酸リチウムの粒子径にま
で、ほぼ成長させているので、焼成温度としてはこれら
がマンガン酸リチウムに相変化する温度以上であればよ
く、上記の前駆体または混合物の組成、粒度、焼成雰囲
気などにより異なるが、概ね250℃以上であり、焼結
を防ぐために850℃以下とするのが好ましく、280
℃以上、800℃以下とするのがさらに好ましい。焼成
雰囲気は大気中など酸素含有雰囲気であれば特に制限は
無く、酸素分圧は適宜設定できる。
【0020】加熱焼成により得られたマンガン酸リチウ
ムは適宜必要に応じて粉砕または解砕や、圧密処理を行
っても良い。圧密処理はフレットミル、スクリーン成形
機、押出し成形機、加圧ローラーやライカイ機などを用
いて圧縮成形しても、ミキサーなどを用いて攪拌・造粒
しても良く、特に制限は無い。
【0021】本発明の方法で得られるマンガン酸リチウ
ムは、一般式LiXMnY4で表される化合物であっ
て、式中のX、Yの値がX/Yで表して0.3〜1.5の
範囲が好ましい。特に一般式LiMn24や、Li4/3
Mn5/34などで表されるスピネル型の結晶構造を有す
るものが好ましく、マンガン酸リチウムの単一相であっ
ても、マンガン酸リチウムとマンガン酸化物の混合物で
あってもよい。
【0022】また、このマンガン酸リチウムは粒度分布
や粒子形状が均一であり、0.4〜50μm好ましくは
0.8〜30μm、さらに好ましくは1〜20μmと平
均粒子径が大きいので充填密度が高く、例えばタッピン
グによる嵩密度を測定すると1.5〜2.2g/ccと
なる。従って、正極活物質として成形体やペーストに多
量に充填できるので、これを正極として用いるとエネル
ギー密度の高いリチウム電池が得られる。粒子径が前記
の範囲より小さいと所望とする充填密度が得られず、大
きいとこれを用いたリチウム電池に所望とする特性が得
られない。尚、ここでいう平均粒子径はレーザー散乱法
により測定したもので、比表面積はBET法により測定
したものである。
【0023】次に本発明は上記のマンガン酸リチウムを
正極活物質として用いてなるリチウム電池である。本発
明でいうリチウム電池とは、負極にリチウム金属を用い
た一次電池、及び負極にリチウム金属を用いた充電可能
な二次電池、負極に炭素材料、スズ化合物、チタン酸リ
チウムなどを用いた充電可能なリチウムイオン二次電池
のことをいう。本発明のマンガン酸リチウムは格子欠陥
が少なく結晶性に優れるため、これを特にリチウムニ次
電池の正極活物質として用ると、充放電時に結晶の崩壊
が起こり難く、電池特性にも優れたものになる。さら
に、スピネル型を主体とする結晶構造を有するものを用
いると、2〜3.5V程度の電位領域で充放電が可能な
3V級や、それが3.5〜4.5V程度である4V級の
リチウム二次電池が得られ、中でも4V級のものに有用
である。
【0024】リチウム電池用正極は、コイン型電池用と
する場合には、本発明のマンガン酸リチウム粉体に、ア
セチレンブラックや、カーボン、グラファイト粉末など
の炭素系導電剤や、ポリ四フッ化エチレン樹脂や、ポリ
ビニリデンフルオライドなどの結着剤を添加、混練し、
成型して得ることができる。さらに、円筒型、あるいは
角型電池用とする場合には、本発明のマンガン酸リチウ
ム粉体に、これらの添加物以外にN―メチルピロリドン
などの有機溶剤も添加し、混練してペースト状とし、ア
ルミニウム箔のような金属集電体上に塗布し、乾燥して
得ることができる。
【0025】リチウム電池の電解液には、電気化学的に
安定な、すなわちリチウムイオン電池として作動する電
位範囲より広い範囲で、酸化、還元されることのない極
性有機溶媒に、リチウムイオンを溶解させたものを使用
することができる。極性有機溶媒としては、プロピレン
カーボネートやエチレンカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、γ−
ブチルラクトンなどや、それらの混合液を用いることが
できる。リチウムイオン源となる溶質には、過塩素酸リ
チウムや六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ素酸リ
チウムなどを用いることができる。また電極間には多孔
性のポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルム
が、セパレータとして配置される。
【0026】電池の種類としては、ペレット状の正極と
負極の間にセパレータを置き、ポリプロピレン製のガス
ケットのついた封口缶に圧着し、電解液を注入し、密閉
したコイン型のものや、正極材料や負極材料を金属集電
体上に塗布し、セパレータをはさんで巻き取り、ガスケ
ットのついた電池缶に挿入し、電解液を注入し、封入し
た円筒型のものなどが挙げられる。また特に電気化学特
性を測定することを目的とした三極式の電池もある。こ
の電池は正極と負極以外に参照極も配置し、参照極に対
して他の電極の電位をコントロールすることにより、各
電極の電気化学的な特性を評価するものである。
【0027】マンガン酸リチウムの正極材料としての性
能については、負極に金属リチウム等を用いてニ次電池
を構成し、適当な電圧範囲を定電流で充放電することに
より、その容量を測定することができる。また充放電を
繰り返すことにより、容量の変化からそのサイクル特性
の良否を判断することができる。
【0028】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0029】実施例1 1.マンガン水酸化物の合成 8.5(モル/l)の水酸化ナトリウム溶液2.57
(l)と、水1.805(l)をステンレス製の反応容
器に仕込んだ。この中に窒素ガスを5(l/分)で吹き
込みながら、硫酸マンガン(MnSO4として88.0
6%含有)3.744kgを15kgの水に溶解した溶
液を急速に添加し攪拌しながら70℃で中和した。その
後、70℃に保ち3時間熟成してマンガン水酸化物を得
た。中和後の溶液に残存するマンガンイオンの濃度は3
0(g/l)であった。
【0030】2.マンガン酸化物シードの合成 得られたマンガンの水酸化物を含む溶液を攪拌しなが
ら、空気/窒素=1/1の混合ガスを5(l/分)で吹
き込み70℃の温度で酸化し、pHが6.4になった時
点で酸化を終了させ、マンガン酸化物シードを調製し
た。
【0031】3.マンガン酸化物シードの成長 得られたマンガン酸化物を含む溶液を70℃に保ち、攪
拌しながら空気/窒素=1/1の混合ガスを5(l/
分)で吹き込み、硫酸マンガン(MnSO4で88.0
6%含有)3.744kgを水16.843kgに溶解
した水溶液と8.5(モル/l)の水酸化ナトリウム溶
液2.57(l)とを16時間かけて同時に添加し、中
和、酸化させ、マンガン酸化物シードを成長させた。p
Hが6.4になった時点でスラリーを20(l)分取
し、引き続き空気/窒素=1/1の混合ガスを5(l/
分)で吹き込みながら、硫酸マンガン水溶液と水酸化ナ
トリウム溶液とを、前記と同じ要領で同時に添加し、マ
ンガン酸化物シードをさらに成長させた。pHが6.4
になった時点で成長反応を終了し、濾過、水洗してマン
ガン酸化物を得た。反応終了時の溶液中に残存するマン
ガンイオンの濃度は30(g/l)であった。(試料
a)
【0032】4.プロトン置換マンガン酸化物の合成 マンガン酸化物(Mn換算700g)を水に分散させた
スラリーをステンレス製反応容器に仕込み60℃に昇温
した。このスラリー中に1モル/lの硫酸2.039
(l)を1時間かけて攪拌しながら添加し、その後2時
間反応させてから濾過水洗して、プロトン置換マンガン
酸化物を得た。
【0033】5.マンガン酸リチウムの前駆体の合成 プロトン置換マンガン酸化物(Mn換算500g)を水
に分散させたスラリーに水酸化リチウム1水塩5.44
8モルを添加して溶解させた後、水を加えて1.667
(l)にしガラス製反応容器に仕込んだ。空気を2(l
/分)でこのスラリーに吹き込み、攪拌下しながら90
℃に昇温して5時間反応させた後、オートクレーブに移
し130℃で1時間水熱処理をした。水熱処理後のスラ
リーを再度ガラス製反応容器に仕込み、空気を2(l/
分)で吹き込んで攪拌しながら90℃で3時間反応を続
けた。反応後、温度を60℃まで冷却してから濾過し、
0.1(モル/l)の水酸化リチウム溶液2(l)で洗
浄してマンガン酸リチウム前駆体を得た。
【0034】6.マンガン酸リチウム前駆体の焼成 マンガン酸リチウム前駆体を110℃で12時間乾燥さ
せた後、空気中で750℃で3時間焼成してマンガン酸
リチウムを得た。
【0035】7.マンガン酸リチウムの圧密処理 焼成後のマンガン酸リチウム200gを小型フレットミ
ル(吉田製作所製)で30分間圧密粉砕した。(試料
A)
【0036】実施例2 1.マンガン水酸化物の合成 実施例1と同様の方法でマンガン水酸化物を得た。
【0037】2.マンガン酸化物シードの合成 実施例1と同様の方法でマンガン酸化物シードを得た。
【0038】3.マンガン酸化物シードの成長 得られたマンガン酸化物シードを含む溶液を70℃に昇
温し、攪拌しながら空気/窒素=1/1の混合ガスを5
(l/分)で吹き込み、硫酸マンガン(MnSO4とし
て88.06%含有)3.744kgを水16.843
kgに溶解した水溶液と、8.5(モル/l)の水酸化
ナトリウム溶液2.570(l)とを16時間かけてp
Hを6.5〜7.5に保って同時に添加し、中和、酸化
させ、マンガン酸化物シードを成長させた。pHが6.
4になった時点でスラリーを20(l)分取し、空気/
窒素=1/1の混合ガスを5(l/分)で吹き込みなが
ら、硫酸マンガン水溶液と水酸化ナトリウム溶液とを、
前記と同じ要領で同時に添加し、マンガン酸化物シード
の成長を続けた。pHが6.4になった時点で再度スラ
リーを20(l)を分取し、引き続き空気/窒素=1/
1混合ガスを5(l/分)で吹き込みながら、硫酸マン
ガン(MnSO4として88.06%含有)1.872
kgを水8.422kgに溶解した水溶液と、8.5
(モル/l)の水酸化ナトリウム1.285(l)とを
8時間かけてpHを6.5〜7.5に保って同時に添加
し、マンガン酸化物シードをさらに成長させた。pHが
6.4になった時点で成長反応を終了し、濾過、水洗し
てマンガン酸化物を得た。反応終了時の溶液中に残存す
るマンガンイオンの濃度は30(g/l)であった。
(試料b)
【0039】4.プロトン置換マンガン酸化物の合成 マンガン酸化物(Mn換算700g)を水に分散させた
スラリーをステンレス製反応容器に仕込み60℃に昇温
した。このスラリー中に1モル/lの硫酸2.039
(l)を1時間かけて攪拌しながら添加し、その後2時
間反応させてから濾過水洗して、プロトン置換マンガン
酸化物を得た。
【0040】5.マンガン酸リチウム前駆体の合成 プロトン置換マンガン酸化物(Mn換算500g)を水
に分散させたスラリーに水酸化リチウム1水塩を5.4
29モル添加して溶解させた後、水を加えて1.25
(l)にしガラス製反応容器に仕込んだ。空気を2(l
/分)で吹き込み、攪拌しながら90℃に昇温して5時
間反応させた後、オートクレーブに移し130℃で3時
間水熱処理をした。水熱処理後のスラリーを再度ガラス
製反応容器に仕込み、空気を2(l/分)で吹き込んで
攪拌しながら90℃で1時間反応を続けた。反応後、温
度を60℃まで冷却してから濾過し、0.1(モル/
l)の水酸化リチウム溶液2(l)で洗浄してマンガン
酸リチウム前駆体を得た。
【0041】6.マンガン酸リチウム前駆体の焼成 実施例1と同様の方法でマンガン酸リチウムを得た。
【0042】7.マンガン酸リチウムの圧密処理 実施例1と同様の方法で圧密処理を行った。(試料B)
【0043】実施例3 マンガン水酸化物の合成 硫酸マンガン(MnSO4として88.06%含有)
3.744kgを水16.84kgに溶解した溶液をス
テンレス製反応容器に仕込んだ。この中に窒素ガスを5
(l/分)で吹き込み70℃に昇温し、8.5(モル/
l)の水酸化ナトリウム溶液2.57(l)を1時間か
けて攪拌しながら添加し中和した。その後、2時間熟成
してマンガン水酸化物を含む溶液を得た。中和後の溶液
に残存するマンガンイオンの濃度は30(g/l)であ
った。
【0044】2.マンガン酸化物シードの合成 実施例1と同様の方法でマンガン酸化物シードを得た。
【0045】3.マンガン酸化物シードの成長 得られたマンガン酸化物シードを含む溶液を70℃に昇
温し、攪拌しながら空気/窒素=1/1の混合ガスを5
(l/分)で吹き込み、硫酸マンガン(MnSO4とし
て88.06%含有)3.744kgを水16.843
kgに溶解した水溶液を添加し、続いて8.5(モル/
l)の水酸化ナトリウム溶液2.57(l)を16時間
かけて添加し、中和し酸化させマンガン酸化物シードを
成長させた。pHが6.4になった時点でスラリーを2
0(l)分取し、空気/窒素=1/1の混合ガスを5
(l/分)で吹き込みながら、硫酸マンガン水溶液と水
酸化ナトリウム溶液とを、前記と同じ要領で添加し、マ
ンガン酸化物シードの成長を続けた。pHが6.4にな
った時点で再度スラリーを20(l)分取し、引き続き
空気/窒素=1/1混合ガスを5(l/分)で吹き込み
ながら、硫酸マンガンと水酸化ナトリウムとを、再び前
記と同じ要領で添加してマンガン酸化物シードをさらに
成長させた。pHが6.4になった時点で成長反応を終
了し、濾過、水洗してマンガン酸化物を得た。反応終了
時の溶液中に残存するマンガンイオンの濃度は30(g
/l)であった。(試料c)
【0046】4.プロトン置換マンガン酸化物の合成 実施例1と同様の方法でプロトン置換マンガン酸化物を
得た。
【0047】5.マンガン酸リチウム前駆体の合成 プロトン置換マンガン酸化物(Mn換算500g)を水
に分散させ、この中に水酸化リチウム1水塩5.373
モルを添加して溶解させた後、水を加えて1.111
(l)にし、ガラス製反応容器に仕込んだ。空気を2
(l/分)で吹き込み、攪拌しながら90℃に昇温して
5時間反応させた後、オートクレーブに移し130℃で
3時間水熱処理をした。水熱処理後のスラリーを再度ガ
ラス製反応容器に仕込み、空気を2(l/モル)で吹き
込み、攪拌しながら90℃で1時間反応を続けた。反応
後、温度を60℃まで冷却してから濾過し、0.1(モ
ル/l)の水酸化リチウム溶液2(l)で洗浄してマン
ガン酸リチウム前駆体を得た。
【0048】6.マンガン酸リチウム前駆体の焼成 実施例1と同様の方法でマンガン酸リチウムを得た。
【0049】7.マンガン酸リチウムの圧密処理 実施例1と同様の方法で圧密処理を行った。(試料C)
【0050】実施例4 1.マンガン水酸化物の合成 実施例3と同様の方法でマンガンの水酸化物を得た。
【0051】2.マンガン酸化物シードの合成 実施例1と同様の方法でマンガン酸化物シードを得た。
【0052】3.マンガン酸化物シードの成長 得られたマンガン酸化物シードを含む溶液に窒素ガスを
5(l/分)で吹き込みながら、水40.260kgと
加え、更に硫酸マンガン(MnSO4として88.06
%含有)11.231kgを添加し、攪拌して溶解し
た。溶液を70℃に昇温した後、攪拌しながら窒素ガス
から空気/窒素=1/1の混合ガスに切り替え、5(l
/分)で吹き込んだ。引き続いて8.5(モル/l)の
水酸化ナトリウム溶液17.99(l)を64時間かけ
て添加、中和し酸化させマンガン酸化物シードを成長さ
せた。pHが8.5になった時点で成長反応を終了し、
濾過、水洗してマンガン酸化物を得た。反応終了時の溶
液中に残存するマンガンイオンの濃度は0(g/l)で
あった。(試料d)
【0053】4.プロトン置換マンガン酸化物の合成 実施例1と同様の方法でプロトン置換マンガン酸化物を
得た。
【0054】5.マンガン酸リチウム前駆体の合成 プロトン置換マンガン酸化物(Mn換算500g)を水
に分散させ、この中に水酸化リチウム1水塩5.373
モルを添加して溶解させた後、水を加えて1.111
(l)にし、ガラス製反応容器に仕込んだ。空気を2
(l/分)で吹き込み、攪拌しながら90℃に昇温して
15時間反応させた。反応後、温度を60℃まで冷却し
てから濾過し、0.1(モル/l)の水酸化リチウム溶
液2(l)で洗浄してマンガン酸リチウム前駆体を得
た。
【0055】6.マンガン酸リチウム前駆体の焼成 実施例1と同様にしてマンガン酸リチウムを得た。
【0056】7.マンガン酸リチウムの解砕処理 焼成後のマンガン酸リチウム100gを瑪瑙乳鉢で解砕
した。(試料D)
【0057】比較例1 1.マンガン水酸化物の合成 硫酸マンガン(MnSO4として88.06%含有)
2.397kgを水17.8kgに溶解した溶液をステ
ンレス製反応容器に仕込んだ。この中に窒素ガスを5
(l/分)で吹き込んで70℃に昇温し、4(モル/
l)の水酸化ナトリウム溶液6.825(l)を1時間
かけて攪拌しながら添加し中和して、マンガン水酸化物
を得た。中和後の溶液に残存するマンガンイオンの濃度
は0(g/l)であった。
【0058】2.マンガン酸化物の合成 得られたマンガン水酸化物を含む溶液を攪拌しながら、
空気を5(l/分)で吹き込み70℃の温度で酸化し、
pHが7.0になったところで窒素に切り替え酸化反応
を終了させた。その後、濾過水洗してマンガン酸化物を
得た。(試料e)
【0059】3.プロトン置換マンガン酸化物の酸処理 実施例1と同様の方法でプロトン置換マンガン酸化物を
得た。
【0060】4.マンガン酸リチウム前駆体の合成 プロトン置換マンガン酸化物(Mn換算500g)を水
に分散させたスラリーに水酸化リチウム1水塩を5.6
75モルを添加して溶解させた後、水を加えて3.84
6(l)にしガラス製反応容器に仕込んだ。空気を3
(l/分)で吹き込み、攪拌しながら90℃に昇温して
10時間反応させた。反応後、温度を60℃まで冷却し
てから濾過し、0.1(モル/l)の水酸化リチウム溶
液2(l)で洗浄してマンガン酸リチウム前駆体を得
た。
【0061】5.マンガン酸リチウム前駆体の焼成 マンガン酸リチウム前駆体の焼成を800℃、3時間で
行った以外は実施例1と同様の方法でマンガン酸リチウ
ムを得た。
【0062】6.マンガン酸リチウムの圧密処理 実施例1と同様の方法で圧密処理を行った。(試料E)
【0063】比較例2 マンガン酸リチウム前駆体の焼成を850℃、3時間で
行った以外は比較例1と同様の方法でマンガン酸リチウ
ムを得た。(試料F)
【0064】比較例3 マンガン酸リチウム前駆体の焼成を900℃、3時間で
行った以外は比較例1と同様の方法でマンガン酸リチウ
ムを得た。(試料G)
【0065】評価1 実施例1〜4、比較例1〜3で得られたマンガン酸化物
シード、またはマンガン酸化物(試料a〜e)、及びマ
ンガン酸リチウム(試料A〜G)の比表面積を、比表面
積測定装置(モノソーブ:ユアサアイオニクス製)を用
い、BET法にて測定した。
【0066】評価2 実施例1〜4、比較例1〜3で得られたマンガン酸化物
シード、またはマンガン酸化物(試料a〜e)、及びマ
ンガン酸リチウム(試料A〜G)の水性スラリーを十分
に超音波分散し、レーザー光による透過率が85±1%
になるように調製した後、レーザー回折/散乱式粒度分
布測定装置(LA−90:堀場製作所製を用い体積基準
で平均粒子径測定した。
【0067】評価3 実施例1〜4、比較例1〜3で得られたマンガン酸リチ
ウム(試料A〜G)それぞれ50gを100(ml)の
メスシリンダーに入れ、100回タッピングしてタップ
密度を測定した。
【0068】評価4 実施例1〜4、比較例1〜3で得られたマンガン酸リチ
ウム(試料A〜G)を正極活物質とした場合のリチウム
ニ次電池の充放電特性、及びサイクル特性を評価した。
電池は三極式のセルとし、充放電を繰り返した。電池の
形態や測定条件について説明する。
【0069】上記各試料と、導電剤としてのグラファイ
ト粉末、及び結着剤としてのポリ四フッ化エチレン樹脂
を重量比で3:2:1で混合し、乳鉢で練り合わせ、直
径14mmの円形に成型してペレット状とした。ペレッ
トの重量は50mgであった。これを金属チタン製のメ
ッシュに挟み込み、14.7Paでプレスして正極とし
た。
【0070】一方、厚み0.5mm金属リチウムを直径
14mmの円形に成型し、金属ニッケル製のメッシュに
挟み込んで圧着し、これを負極とした。また厚み0.1
mmの金属リチウム箔を金属ニッケルワイヤ上に、米粒
大となる程度巻き付け、これを参照電極とした。非水電
解液として、1モル/リットルとなる濃度で過塩素酸リ
チウムを溶解した1,2−ジメトキシエタンとプロピレ
ンカーボネート混合溶液(体積比で1:1に混合)を用
いた。尚、電極は正極、参照極、負極の順に配置し、そ
の間にはセパレーターとして多孔性ポリプロピレンフィ
ルムを置いた。
【0071】充放電容量の測定は、電圧範囲を4.3V
から3.5Vに、充放電電流を0.26mA(約1サイ
クル/日)に設定して、定電流で行った。また、サイク
ル特性は2回目と11回目の充放電容量を測定し、それ
ぞれの容量維持率%[{1−(2回目の充電または放電
容量―11回目の充電または放電容量)/2回目の充電
または放電容量}×100]で表した。
【0072】試料a〜eの比表面積、平均粒子径を表1
に、試料A〜Gの比表面積、平均粒子径、タップ密度を
表2に、初期充放電特性、サイクル特性を表3に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【発明の効果】本発明はマンガン酸リチウムを製造する
前段階で、マンガン酸化物シードを調製し溶液中で成長
させて粒子径の大きいマンガン酸化物とするもので、こ
の工程で目的とする大粒子が得られるため、マンガン酸
リチウムを焼結させて大粒子とする従来の方法より粒子
径や粒子形状を均一なものとすることができるばかりで
なく、シードの成長反応条件を適宜設定することでこれ
らを容易に制御できる。さらに、粒子成長させたマンガ
ン酸化物とリチウム化合物を溶液中で反応させるか、ま
たはこれを酸処理して得られるプロトン置換マンガン酸
化物とリチウム化合物を反応させるので、結晶性が優れ
組成が均一なマンガン酸リチウムを製造することができ
る。本発明により得られたマンガン酸リチウムは上記の
ように大粒子径で充填密度が高く、これを正極活物質と
して用いたリチウム電池はエネルギー密度が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)マンガン化合物と塩基性化合物とを
    反応させてマンガン水酸化物を得る工程、(2)該マン
    ガン水酸化物を酸化させてマンガン酸化物シードを得る
    工程、(3)該マンガン酸化物シードの存在下で、マン
    ガン化合物と塩基性化合物とを反応させながら、酸化さ
    せてマンガン酸化物シードを粒子成長させる工程、
    (4)粒子成長させた該マンガン酸化物とリチウム化合
    物とを反応させる工程、または該マンガン酸化物を酸と
    反応させプロトン置換マンガン酸化物とした後、リチウ
    ム化合物と混合するかあるいはリチウム化合物と反応さ
    せる工程、(5)該反応物または該混合物を加熱焼成す
    る工程からなることを特徴とするマンガン酸リチウムの
    製造方法。
  2. 【請求項2】0.4〜50μmの平均粒子径を有するこ
    とを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製
    造方法。
  3. 【請求項3】第1の工程において、マンガン化合物と塩
    基性化合物とを反応させる時に、部分中和することを特
    徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方
    法。
  4. 【請求項4】前記部分中和後に溶液中に残存するマンガ
    ンイオンの濃度が5〜60g/lになるように部分中和
    することを特徴とする請求項3記載のマンガン酸リチウ
    ムの製造方法。
  5. 【請求項5】第2の工程において、酸化性の気体又は酸
    化剤により酸化させることを特徴とする請求項1記載の
    マンガン酸リチウムの製造方法。
  6. 【請求項6】酸化性の気体が空気、酸素もしくはオゾン
    であり、又は酸化剤が過酸化水素水もしくはぺルオキソ
    二硫酸塩であることを特徴とする請求項5記載のマンガ
    ン酸リチウムの製造方法。
  7. 【請求項7】第3の工程において、マンガン化合物と塩
    基性化合物とを反応させる時に、部分中和することを特
    徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方
    法。
  8. 【請求項8】前記部分中和後に溶液中に残存するマンガ
    ンイオンの濃度が5〜60g/lになるように部分中和
    することを特徴とする請求項7記載のマンガン酸リチウ
    ムの製造方法。
  9. 【請求項9】第3の工程において、マンガン化合物の溶
    液と塩基性化合物の溶液とを同時に前記マンガン酸化物
    シードを含む溶液中に添加することを特徴とする請求項
    1記載の製造方法。
  10. 【請求項10】第3の工程において、酸化性の気体又は
    酸化剤により酸化させることを特徴とする請求項1記載
    のマンガン酸リチウムの製造方法。
  11. 【請求項11】酸化性の気体が空気、酸素もしくはオゾ
    ンであり、又は酸化剤が過酸化水素水もしくはぺルオキ
    ソ二硫酸塩であることを特徴とする請求項10記載のマ
    ンガン酸リチウムの製造方法。
  12. 【請求項12】第4の工程において、マンガン酸化物と
    反応させる酸が塩酸、硫酸、硝酸及びフッ酸から選ばれ
    る1種以上であることを特徴とする請求項1記載のマン
    ガン酸リチウムの製造方法。
  13. 【請求項13】第4の工程において、マンガン酸化物ま
    たはプロトン置換マンガン酸化物とリチウム化合物との
    反応を水熱処理により行うことを特徴とする請求項1記
    載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  14. 【請求項14】第4の工程において、マンガン酸化物ま
    たはプロトン置換マンガン酸化物とリチウム化合物との
    反応を酸化性の気体又は酸化剤を供給しながら行うこと
    を特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製造
    方法。
  15. 【請求項15】酸化性の気体が空気、酸素もしくはオゾ
    ンであり、又は酸化剤が過酸化水素水もしくはぺルオキ
    ソ二硫酸塩であることを特徴とする請求項14記載のマ
    ンガン酸リチウムの製造方法。
  16. 【請求項16】第5の工程において加熱焼成した後、圧
    密処理することを特徴とする請求項1記載のマンガン酸
    リチウムの製造方法。
  17. 【請求項17】マンガン化合物が硫酸マンガン、塩化マ
    ンガン及び硝酸マンガンから選ばれる1種以上であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のマンガン酸リチウムの製
    造方法。
  18. 【請求項18】リチウム化合物が水酸化リチウム、炭酸
    リチウム、炭酸水素リチウム、塩化リチウム及び硫酸リ
    チウムから選ばれる1種以上であることを特徴とする請
    求項1記載のマンガン酸リチウムの製造方法。
  19. 【請求項19】請求項1または2記載の製造方法で得ら
    れるマンガン酸リチウムを正極活物質として用いること
    を特徴とするリチウム電池。
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