JP3822131B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、燃料電池に好適な電極層および電解質層からなる積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
燃料電池は、通常電極層上に電解質層が形成されてなるものである。
従来、電極と電解質層とを一体形成するには、予め水素還元触媒を担持したカーボンを調製し、その触媒ペーストをカーボンペーパーに塗布、熱処理した電極層を形成し、フィルム状の電解質を2枚の電極層で挟みホットプレスで成形して、アノード/電解質層/カソードの三層接合を行っていた。
【0003】
しかし、このような三層接合方法では、各層の密着性に劣る、三層の一体化に時間がかかる、1層ごと個別に形成するため量産化には適していないなどの技術上の問題があった。
また、近年需要が高まっている高耐熱性の電解質層は、電解質層の熱可塑性が不十分であり、接合加工に制限が生じるという問題もあった。
【0004】
そこで、電極層を形成した後、電解質を形成するための化合物を溶剤に溶解したワニスを電極層上に塗布し、乾燥することによる方法が提案されている。
しかしながら、前述した高耐熱性の電解質を溶解したワニスは、電極層上に塗布した際に電極層にしみ込んでしまい、発電性能が十分に発現しないという不具合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電極層上にしみ込みなく電解質層を形成することができ、電極構造体として良好な発電特性を有する積層体を得ることを目的とする。
【0006】
【発明を解決するための手段】
本発明によれば下記燃料電池用積層体の製造方法が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
(1)電極層上に、水分含量が25〜50重量%の下記スルホン化ポリアリーレン溶液または分散液を塗布し、乾燥して前記スルホン化ポリアリーレンからなる薄膜を形成し、次いで該薄膜上に水分含量が25重量%未満の下記スルホン化ポリアリーレン溶液または分散液を塗布し、乾燥することを特徴とする電極層と電解質層とからなる燃料電池用積層体の製造方法
スルホン化ポリアリーレン:
下記式(B−1)で表されるモノマーから得られる重合構造を少なくとも有し、スルホン酸基量が0.5〜3ミリグラム当量/gであるスルホン化ポリアリーレン
【化4】
Figure 0003822131
(式中、RおよびR ' は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除くハロゲン
原子または−OSO 2 Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリー
ル基を示す。)で表される基を示し、
9 〜R 15 は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子およびアルキ
ル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、
Xは−CO−、−CONH−、− ( CF 2 ) p −(ここで、pは1〜10の整数である)、−C ( CF 3 ) 2 −、−COO−、−SO−、−SO 2 −から選ばれた2価の電子吸引性基を
示し、
Yは−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
【化5】
Figure 0003822131
で表される基から選ばれた2価の電子供与性基を示し、
Wはフェニル基、ナフチル基および下記式(C−1)〜(C−3)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を示し、
【化6】
Figure 0003822131
(式中、Aは上記Yと同様の2価の電子供与性基または単結合を示し、R 16 およびR 17 は水素原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選ばれる原子または基を示し、R 18 〜R 26 は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子およびアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示し、qは0または1を示す。)、
mは0、1または2を示す。)。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る燃料電池用積層体の製造方法について具体的に説明する。
本発明では、電極層の上に水分含量が異なる2種類のプロトン伝導性ポリマー溶液または分散液を塗布し乾燥することにより積層体を製造している。
(電極層)
本発明において電極層は、通常、導電性多孔性粒子に担持された水素還元能の触媒微粒子およびプロトン伝導性の高分子電解質成分からなるペーストをガス拡散電極基材に塗布することにより調製される。
【0008】
導電性多孔性粒子はケッチェンブラックやアセチレンブラックなどの高ストラクチャーの表面積の大きなものが用いられる。水素還元能の触媒としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウムなどの貴金属やこれらの金属とクロム、モリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、コバルトなどの金属との合金が挙げられる。触媒金属の担持量は、導電性多孔性粒子に対し、通常10〜60重量%である。電極は該ペーストをカーボンペーパーやカーボンクロスなどの多孔性ガス拡散電極基材に、ドクターブレードやスプレーなどの塗布法によって塗布される。
【0009】
電極層の膜厚は、通常5〜100μm、好ましくは5〜50μmの膜厚である。
(プロトン伝導性ポリマー)
本発明において、電解質層を形成するためのプロトン伝導性ポリマーとしては、スルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリアリーレンエーテル、スルホン化ポリアリーレンケトン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、スルホン化ポリベンゾミンダゾール、パーフルオロ炭化水素系のテトラフルオロエチレン共重合体のスルホン化物などを挙げることができるが、良好な電気特性の電極構造体を得るために、スルホン化ポリアリーレンを用いることが好ましい。
【0010】
スルホン化ポリアリーレンは、下記一般式(A)で表されるモノマー(A)と、下記一般式(B−1)〜(B−4)から選ばれる少なくとも1種のモノマー(B)とを反応させて得られる重合体をスルホン化したものが用いられる。
【0011】
【化1】
Figure 0003822131
【0012】
式(A)中、R〜R'は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除くハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)で表される基を示す。
Zが示すアルキル基としてはメチル基、エチル基などが挙げられ、フッ素置換アルキル基としてはトリフルオロメチル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。
【0013】
1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基およびアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基などが好ましい。
【0014】
フッ素置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが好ましい。
アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
【0015】
Xは2価の電子吸引性基を示し、電子吸引性基としては、例えば−CO−、−CONH−、−(CF2p−(ここで、pは1〜10の整数である)、−C(CF32−、−COO−、−SO−、−SO2−などが挙げられる。
なお、電子吸引性基とは、ハメット(Hammett)置換基常数がフェニル基のm位の場合、0.06以上、p位の場合、0.01以上の値となる基をいう。
【0016】
Yは2価の電子供与性基を示し、電子供与性基としては、例えば−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
【0017】
【化2】
Figure 0003822131
【0018】
で表される基などが挙げられる。
nは0または正の整数であり、上限は通常100、好ましくは80である。
上記一般式(A)で表されるモノマーとして具体的には、例えば4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、ビス(クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子が3位に置換した化合物などが挙げられる。
【0019】
また上記一般式(A)で表されるモノマーとして具体的には、例えば4,4'−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子が3位に置換した化合物、さらにこれらの化合物においてジフェニルエーテルの4位に置換した基の少なくとも1つが3位に置換した化合物などが挙げられる。
【0020】
さらに上記一般式(A)で表されるモノマーとしては、2,2−ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]スルホン、および下記式で表される化合物が挙げられる。
【0021】
【化3】
Figure 0003822131
【0022】
上記一般式(A)で表されるモノマーは、例えば以下に示す方法で合成することができる。
まず電子吸引性基で連結されたビスフェノールを対応するビスフェノールのアルカリ金属塩とするために、N−メチル−2−ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイドなどの誘電率の高い極性溶媒中でリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などのアルカリ金属化合物を反応させる。
【0023】
通常、アルカリ金属等はフェノールの水酸基に対し、過剰気味で反応させ、通常、1.1〜2倍当量を使用する。好ましくは、1.2〜1.5倍当量の使用である。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどの水と共沸する溶媒を共存させて、電子吸引性基で活性化されたフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された芳香族ジハライド化合物、例えば、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−クロロフルオロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、4−フルオロフェニル−4'−クロロフェニルスルホン、ビス(3−ニトロ−4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、2,5−ジフルオロベンゾフェノン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼンなどを反応させる。反応性から言えば、フッ素化合物が好ましいが、次の芳香族カップリング反応を考慮した場合、末端が塩素原子となるように芳香族求核置換反応を組み立てる必要がある。活性芳香族ジハライドはビスフェノールに対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜2.8倍モルの使用である。芳香族求核置換反応の前に予め、ビスフェノールのアルカリ金属塩としていてもよい。反応温度は60℃〜300℃で、好ましくは80℃〜250℃の範囲である。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。最も好ましい方法としては、下記式
【0024】
【化4】
Figure 0003822131
【0025】
(式中、Xは一般式(A)に関して定義した通りである。)
で示される活性芳香族ジハライドとして反応性の異なるハロゲン原子を一個づつ有するクロロフルオロ体を用いることであり、フッ素原子が優先してフェノキシドと求核置換反応が起きるので、目的の活性化された末端クロロ体を得るのに好都合である。
【0026】
上記一般式(A)で表されるモノマーを合成する他の方法としては、特開平2−159号公報に記載のように求核置換反応と親電子置換反応を組み合わせ、目的の電子吸引性基、電子供与性基からなる屈曲性化合物を合成する方法がある。具体的には電子吸引性基で活性化された芳香族ジハライド、例えば、ビス(4−クロロフェニル)スルホンをフェノール化合物で求核置換反応させてビスフェノキシ化合物とする。次いで、この置換体を例えば、4−クロロ安息香酸クロリドとのフリーデルクラフト反応により目的の化合物を得る。
【0027】
ここで用いる電子吸引性基で活性化された芳香族ジハライドは上記で例示した化合物が適用できる。またフェノール化合物は置換されていてもよいが、耐熱性や屈曲性の観点から、無置換化合物が好ましい。なお、フェノール化合物が置換されている場合はアルカリ金属塩であることが好ましく、フェノール化合物を置換する際に使用可能なアルカリ金属化合物としては上記に例示した化合物を使用できる。アルカリ金属化合物の使用量はフェノール1モルに対し、1.2〜2倍モルである。反応に際し、上述した極性溶媒や水との共沸溶媒を用いることができる。
【0028】
目的の化合物を得るには、ビスフェノキシ化合物を塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのルイス酸のフリーデルクラフト反応の活性化剤存在下に、アシル化剤としてのクロロ安息香酸クロライドと反応させる。クロロ安息香酸クロライドはビスフェノキシ化合物に対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜3倍モルの使用である。フリーデルクラフト活性化剤は、アシル化剤のクロロ安息香酸などの活性ハライド化合物1モルに対し、1.1〜2倍当量使用する。反応時間は15分〜10時間の範囲で、反応温度は−20℃から80℃の範囲である。使用溶媒は、フリーデルクラフト反応に不活性な、クロロベンゼンやニトロベンゼンなどを用いることができる。
【0029】
また、一般式(A)において、nが2以上であるモノマー(A)は、例えば、一般式(A)において電子供与性基Yであるエーテル性酸素の供給源となるビスフェノールと、電子吸引性基Xである、>C=O、−SO2−、および/または>C(CF32とを組み合わした、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビスフェノールのアルカリ金属塩と過剰の4,4−ジクロロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホンなどの活性芳香族ハロゲン化合物との置換反応をN−メチル−2−ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホランなどの極性溶媒存在下で前記単量体の合成手法に順次重合して得られる。
【0030】
このようなモノマー(A)の例示としては、下記式で表される化合物などを挙げることができる。
【0031】
【化5】
Figure 0003822131
【0032】
【化6】
Figure 0003822131
【0033】
【化7】
Figure 0003822131
【0034】
上記において、nは2以上、好ましくは2〜100である。
次に一般式(B−1)〜(B−4)で表されるモノマーについて説明する。
【0035】
【化8】
Figure 0003822131
【0036】
式中、RおよびR'は互いに同一でも異なっていてもよく、上記一般式(A)中のRおよびR'と同様の基を示す。
9〜R15は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子およびアルキル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
9〜R15が示すアルキル基としては、上記一般式(A)中のR1〜R8が示すアルキル基と同様のものが挙げられる。
【0037】
mは0、1または2を示す。
Xは上記一般式(A)でXとして示したものと同様の群から選ばれた2価の電子吸引性基を示す。
Yは上記一般式(A)でYとして示したものと同様の群から選ばれた2価の電子供与性基を示す。
【0038】
Wはフェニル基、ナフチル基および下記式(C−1)〜(C−3)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を示す。
【0039】
【化9】
Figure 0003822131
【0040】
式中、Aは電子供与性基または単結合を示す。電子供与性基としては、上記一般式(A)でYとして示したものと同様の群から選ばれた2価の電子供与性基が挙げられる。
16およびR17は水素原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選ばれる原子または基を示す。R16およびR17が示す、アルキル基およびアリール基としては、上記一般式(A)中のR1〜R8が示すアルキル基およびアリール基と同様のものが挙げられる。
【0041】
18〜R26は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子およびアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示す。
qは0または1を示す。
上記一般式(B−1)で表されるモノマーとしては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0042】
【化10】
Figure 0003822131
【0043】
より具体的には、一般式(B−1)で表される化合物としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0044】
【化11】
Figure 0003822131
【0045】
【化12】
Figure 0003822131
【0046】
また、上記のような化合物において、塩素原子を臭素原子またはヨウ素原子に置き換えた化合物も例示することができる。
上から(B−2)、(B−3)、(B−4)
【0047】
【化13】
Figure 0003822131
【0048】
式(B−2)〜(B−4)中、RおよびR'は互いに同一でも異なっていてもよく、上記一般式(A)中のRおよびR'と同様の基を示す。
27〜R34は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基または下記一般式(D)で表される基を示す。
【0049】
【化14】
Figure 0003822131
【0050】
式(D)中、R35〜R43は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基を示す。
27〜R34、R35〜R43が示すアルキル基、フッ素置換アルキル基としては、R1〜R8が示すアルキル基、フッ素置換アルキル基と同様の基が挙げられる。またR27〜R34が示すアリール基としては、R1〜R8が示すアリール基と同様の基が挙げられる。
【0051】
Xは上記一般式(A)でXとして示したものと同様の群から選ばれた2価の電子吸引性基を示す。
Yは上記一般式(A)でYとして示したものと同様の群から選ばれた2価の電子供与性基を示す。
上記一般式(B−2)で表されるモノマーとして具体的には、例えばp−ジクロロベンゼン、p−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、2,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、1,4−ジクロロ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、およびこれらの化合物において塩素原子を臭素原子またはヨウ素原子に置き換えた化合物などが挙げられる。
【0052】
上記一般式(B−3)で表されるモノマーとして具体的には、例えば4,4'−ジメチルスルフォニロキシビフェニル、4,4'−ジメチルスルフォニロキシ−3,3'−ジプロペニルビフェニル、4,4'−ジブロモビフェニル、4,4'−ジヨードビフェニル、4,4'−ジメチルスルフォニロキシ−3,3'−ジメチルビフェニル、4,4'−ジメチルスルフォニロキシ−3,3'−ジフルオロビフェニル、4,4'−ジメチルスルフォニロキシ−3,3',5,5'−テトラフルオロビフェニル、4,4'−ジブロモオクタフルオロビフェニル、4,4'−ジメチルスルフォニロキシオクタフルオロビフェニルなどが挙げられる。
【0053】
上記一般式(B−4)で表されるモノマーとして具体的には、例えばm−ジクロロベンゼン、m−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、3,5−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,6−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、3,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、1,3−ジブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、およびこれらの化合物において塩素原子を臭素原子またはヨウ素原子に置き換えた化合物などが挙げられる。
【0054】
ポリアリーレンは上記モノマーを触媒の存在下に反応させるが、使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、▲1▼遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに▲2▼還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
【0055】
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物;塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物;塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物;塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
【0056】
また、配位子成分としては、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられる。これらのうち、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジンが好ましい。上記配位子成分である化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0057】
さらに、配位子が配位された遷移金属錯体としては、例えば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。これらのうち、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)が好ましい。
【0058】
上記触媒系に使用することができる還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
【0059】
また、上記触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物;フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられる。これらのうち、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
【0060】
各成分の使用割合は、遷移金属塩または遷移金属錯体が、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。
触媒系において、遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不十分となることがあり、一方、100モルを超えると、分子量が低下することがある。
【0061】
また、還元剤の使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が十分進行しないことがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
さらに、「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不十分であることがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
【0062】
使用することのできる重合溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ-ブチロラクトン、γ-ブチロラクタムなどが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
【0063】
重合溶媒中における上記モノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。
また、重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
【0064】
このようにして上記一般式(A)で表されるモノマー(A)と、上記一般式(B−1)〜(B−4)で表されるモノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマー(B)を重合させることにより、ポリアリーレンを含む重合溶液が得られる。次に、本発明の伝導膜に好適に用いられる、スルホン化ポリアリーレンは、スルホン酸基を有しない上記ポリアリーレンに、スルホン化剤を用い、常法によりスルホン酸基導入することにより得ることができる。
【0065】
スルホン酸基を導入する方法としては、例えば、上記スルホン酸基を有しない共重合体を、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの公知のスルホン化剤を用いて、公知の条件でスルホン化することができる〔Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p.730(1993);Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p.736(1994);Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.7,p.2490〜2492(1993)〕。
【0066】
すなわち、このスルホン化の反応条件としては、上記スルホン酸基を有しない共重合体を、無溶剤下、あるいは溶剤存在下で、上記スルホン化剤と反応させる。溶剤としては、例えばn−ヘキサンなどの炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような非プロトン系極性溶剤のほか、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。反応温度は特に制限はないが、通常、−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。
【0067】
このようにして得られる、スルホン化ポリアリーレン中の、スルホン酸基量は、0.5〜3ミリグラム当量/g、好ましくは0.8〜2.8ミリグラム当量/gである。0.5ミリグラム当量/g未満では、プロトン伝導性が上がらず、一方3ミリグラム当量/gを超えると、親水性が向上し、水溶性ポリマーとなってしまうか、また水溶性に至らずとも耐久性が低下する。
【0068】
また、このようにして得られるスルホン酸基含有共重合体のスルホン化前の前駆体のポリマーの分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。1万未満では、成形フィルムにクラックが発生するなど、塗膜性が不十分であり、また強度的性質にも問題がある。一方、100万を超えると、溶解性が不十分となり、また溶液粘度が高く、加工性が不良になるなどの問題がある。
【0069】
(積層体の製造方法)
本発明では、電極層上に、水分含量が25〜50重量%のプロトン伝導性ポリマー溶液または分散液(以下「第1ワニス」ともいう。)を塗布し、乾燥して前記プロトン伝導性ポリマーからなる薄膜を形成し、次いで該薄膜上に水分含量が25重量%未満のプロトン伝導性ポリマー溶液または分散液(以下「第2ワニス」ともいう。)を塗布し、乾燥して電極層と電解質層とからなる積層体を製造している。
【0070】
電極層の上に塗布する第1ワニスは、水分含量が25〜45重量%、好ましくは25〜40重量%であり、プロトン伝導性ポリマーの含有量は1〜10重量%、好ましくは1〜8重量%であり、有機溶媒の含有量は50〜70重量%である。
有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ-ブチロラクトン、γ-ブチロラクタムなど、好ましくはテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどを挙げることができる。
【0071】
ここで第1ワニスにおける水含有量が25重量%未満であると、後から塗布する第2ワニスが電極層へしみ込む現象を抑制する効果が低く、一方50重量%を超えるとスルホン化ポリアリーレンの溶解または分散が均一ではなくなり、均一な塗膜を形成することが困難になる。
第1ワニスを電極層上に塗布する方法としては、バーコート法やスプレー法が挙げられるが、スプレー法が好ましい。
【0072】
第1ワニスを電極層上に塗布した後、50〜150℃、好ましくは60〜130℃で乾燥する。
第1ワニスから得られる薄膜の厚さは、通常0.1〜10μm、好ましくは0.2〜8μmである。
次に、上記第1ワニスから得られる薄膜上に第2ワニスを塗布する。
【0073】
第2ワニスは、水含有量が25重量%未満、好ましくは10〜20重量%、プロトン伝導性ポリマーの含有量が3〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、有機溶媒の含有量が60〜85重量%、好ましくは65〜80重量%である。
また、第1ワニスの水分含量(重量%)と、第2ワニスの水分含量(重量%)との差は、5重量%以上であることが好ましい。
【0074】
ここで、有機溶媒としては第1ワニスで用いられるものと同様のものを挙げることができる。
第2ワニスにおいて、水含有量が25重量%以上であると、ワニス中のスルホン化ポリアリーレンの濃度を十分に上げることができず、良好な電解質層を形成することができなくなる。
【0075】
第2ワニスは、バーコーターやドクターブレード法などで塗布できる。塗布後は通常50〜180℃、好ましくは80〜150℃で乾燥する。
第2ワニスから得られる薄膜の厚さは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μmである。
本発明において、前記第2ワニス組成物を塗布した塗膜を形成後、第3のワニス組成物をさらに塗布してもよい。
【0076】
第3のワニス組成物は、スルホン化ポリマーを沸点100℃以下のアルコールおよび沸点が100℃を超える有機溶媒Cからなる混合溶媒に溶解したものである。
ここで、スルホン化ポリマーは前記ワニス組成物の製造において用いられるスルホン化ポリマーと同様のものを挙げることができる。
【0077】
沸点100℃以下のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなどを挙げることができる。
また沸点100℃を超える有機溶媒Cとしては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホランなどが挙げられる。
【0078】
本発明において、沸点100℃以下のアルコールおよび沸点100℃を超える有機溶媒Cの使用割合は重量比で5〜75:95〜25(ただし、合計100とする)である。
この第3のワニス組成物におけるスルホン化ポリマーの濃度は1〜50重量%、好ましくは3〜30重量%である。
【0079】
第3のワニス組成物を前記ワニス組成物が塗布された電極層上へ塗布する方法としては、バーコート法やスプレー法等を挙げることができ、第3のワニス組成物から得られる塗膜の厚さは1〜100μmである。
第3のワニス組成物の塗膜も塗膜は50〜200℃、好ましくは50〜150℃で15分〜3時間、好ましくは30分〜2時間加熱することにより乾燥することができる。
【0080】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[ワニスの調製]
(1)ワニスAの調製
2,5−ジクロロ−4’−(4−フェノキシ)フェノキシベンゾフェノン(以下「2,5−DCPPB」ともいう。):下記式(a)で表されるモノマー(以下「oligo−BCPAF」ともいう。)(Mn=11200、Mw=27500)=97:3(mol比)の組成比の共重合体(Mn=50000、Mw=150000)のスルホン化物(スルホン酸濃度(以下「IEC」ともいう。)=2.10meq/g)2gを、250mlポリ瓶にとった。
【0081】
【化15】
Figure 0003822131
【0082】
これに、蒸留水30g、テトラヒドロフラン(以下「THF」ともいう。)63g、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」ともいう。)5gを加え、ウエーブローターで20時間攪拌し、粘度58mPa・s(25℃)のワニスAを得た。
(2)ワニスBの調製
2,5−DCPPB:oligo−BCPAF(Mn=11200、Mw=27500)=97:3(mol比)の組成比の共重合体(Mn=50000、Mw=150000)のスルホン化物(IEC=2.10meq/g)2gを、250mlポリ瓶にとった。これに、蒸留水40g、メチルエチルケトン(以下「MEK」ともいう。)53g、NMP 5gを加え、ウエーブローターで20時間攪拌し、粘度100mPa・s(25℃)のワニスBを得た。
(3)ワニスCの調製
2,5−DCPPB:oligo−BCPAF(Mn=11200、Mw=27500)=97:3(mol比)の組成比の共重合体(Mn=50000、Mw=150000)のスルホン化物(IEC=2.10meq/g)2gを、250mlポリ瓶にとった。これに、蒸留水10g、THF 63g、NMP 25gを加え、ウエーブローターで20時間攪拌し、粘度70mPa・s(25℃)のワニスCを得た。
(4)ワニスDの調製
テトラフルオロエチレン共重合体のスルホン化物(商品名:Nafion117、DuPont社製)4gを250mlポリ瓶にとった。これに蒸留水 15g、メタノール 20g、イソプロピルアルコール 40g、ノルマルプロピルアルコール 21gを加え、ウエーブローターで20時間攪拌し、粘度90mPa・s(25℃)のワニスDを得た。
(5)ワニス(a)
2,5−DCPPB:oligo−BCPAF(Mn=11200、Mw=27500)=97:3(mol比)の組成比の共重合体(Mn=50000、Mw=150000)のスルホン化物(IEC=2.10meq/g)10gを、250mlポリ瓶にとった。これに、蒸留水 20g、THF 50g、NMP 20gを加え、ウエーブローターで20時間攪拌し、粘度5290mPa・s(25℃)のワニス(a)を得た。
(6)ワニス(b)
2,5−DCPPB:oligo−BCPAF(Mn=11200、Mw=27500)=97:3(mol比)の組成比の共重合体(Mn=50000、Mw=150000)のスルホン化物(IEC=2.10meq/g)10gを、250mlポリ瓶にとった。これに、蒸留水 10g、THF 40g、NMP 40gを加え、ウエーブローターで20時間攪拌し、粘度5400mPa・s(25℃)のワニス(b)を得た。
(7)ワニス(c)
2,5−DCPPB:oligo−BCPAF(Mn=11200、Mw=27500)=97:3(mol比)の組成比の共重合体(Mn=50000、Mw=150000)のスルホン化物(IEC=2.10meq/g)10gを、250mlポリ瓶にとった。これに、NMP 90gを加え、ウエーブローターで20時間攪拌し、粘度2230mPa・s(25℃)のワニス(c)を得た。
【0083】
【実施例1】
米国エレクトロケム社製の1mg/cm2白金担持ガス拡散電極の触媒層上に、ワニスAを噴霧器を用いてスプレー塗布した。これを100℃で30分間加熱乾燥し、厚さ0.8μmのプロトン伝導性スルホン化ポリマーの薄膜を形成させた。
【0084】
次に、この薄膜上に、ワニス(a)をドクターブレードを用いて、コーター塗布した。これを100℃で1時間加熱乾燥し、厚さ40μmのプロトン伝導性スルホン化ポリマーの膜を形成させ、積層体を製造し、下記に示す評価を行った。結果を表1および表2に示す。
(断面の観察)
得られた積層体から、ミクロトームを用いて断面を切り出した。走査型顕微鏡(SEM)を用いて、その断面を観察し、ワニス成分の電極層中への浸透の度合いを観察した。
【0085】
(全細孔比表面積測定)
自動ポロシメータを用いて水銀圧入法により、得られた積層体の電極層中の全細孔比表面積を測定した。
(燃料電池の作成及び性能の評価)
得られた積層体2枚を電解質ワニス塗工面を対向させて貼り合わせて電極膜接合体を作成した。次に作成した電極膜接合体を2枚のチタン製の集電体で挟み、さらにその外側にヒーターを配置し、有効面積25cm2の燃料電池を組み立てた。
【0086】
燃料電池の温度を80℃に保ち、燃料極に湿度0%RHで水素、酸化極に湿度65%RHで酸素をそれぞれ2気圧で供給し、電流密度1A/cm2のときの端子間電圧を測定した。
また、電圧の経時変化を観察し、電圧が0Vとなるまでの時間を発電可能時間として測定した。
【0087】
結果を表2に示す。
【0088】
【実施例2〜3および比較例1〜4】
実施例1において、ワニスAおよびワニス(a)に代えて表1に示す各ワニスを用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を製造し、得られた積層体の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
【0089】
【表1】
Figure 0003822131
【0090】
【表2】
Figure 0003822131
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、電極層上に電解質のしみ込みなく電解質層を形成でき、電極構造体として良好な発電特性を有する積層体を得ることができる。

Claims (1)

  1. 電極層上に、水分含量が25〜50重量%の下記スルホン化ポリアリーレン溶液または分散液を塗布し、乾燥して前記スルホン化ポリアリーレンからなる薄膜を形成し、次いで該薄膜上に水分含量が25重量%未満の下記スルホン化ポリアリーレン溶液または分散液を塗布し、乾燥することを特徴とする電極層と電解質層とからなる燃料電池用積層体の製造方法
    スルホン化ポリアリーレン:
    下記式(B−1)で表されるモノマーから得られる重合構造を少なくとも有し、スルホン酸基量が0.5〜3ミリグラム当量/gであるスルホン化ポリアリーレン
    Figure 0003822131
    (式中、RおよびR ' は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除くハロゲン原子または−OSO 2 Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)で表される基を示し、
    9 〜R 15 は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子およびアルキル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、
    Xは−CO−、−CONH−、− ( CF 2 ) p −(ここで、pは1〜10の整数である)、−C ( CF 3 ) 2 −、−COO−、−SO−、−SO 2 −から選ばれた2価の電子吸引性基を示し、
    Yは−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−および下記式
    Figure 0003822131
    で表される基から選ばれた2価の電子供与性基を示し、
    Wはフェニル基、ナフチル基および下記式(C−1)〜(C−3)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を示し、
    Figure 0003822131
    (式中、Aは上記Yと同様の2価の電子供与性基または単結合を示し、R 16 およびR 17 は水素原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選ばれる原子または基を示し、R 18 〜R 26 は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子およびアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示し、qは0または1を示す。)、
    mは0、1または2を示す。)。
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