JP3821213B2 - ノンハロゲン難燃電線・ケーブル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐環境性、特にオゾンやチッソ酸化物(NOx )、イオウ酸化物(SOx )などの腐食性ガスに対する耐久性に優れたノンハロゲン難燃電線・ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポリ塩化ビニルやハロゲン系難燃剤を使用しない環境負荷の小さなノンハロゲン難燃性電線・ケーブルは、いわゆるエコ電線・ケーブルとして急速に普及している。これらのノンハロゲン難燃性電線・ケーブルは、電線の絶縁体またはケーブルのシースとしてポリオレフィンに水酸化マグネシウムをはじめとするノンハロゲン難燃剤を多量に混和した樹脂組成物が用いられているのが一般的である。
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のノンハロゲン難燃剤を多量に混和した樹脂組成物が用いられているノンハロゲン難燃性電線・ケーブルによると、特に配電盤、変電設備室等の電気接点の存在する密閉空間内に配線される場合、口出線として使用される場合または自動車・車両に使用される場合、局所的に高濃度のNOx 、SOx などの腐食性ガスに曝された場合、多湿環境下電線・ケーブルの表面にべとつきが生じ、また、高温多湿環境下結露が生じるという問題があった。これは、水酸化マグネシウムが、NOx 、SOx などの腐食性ガスと反応すると硝酸マグネシウムや硫酸マグネシウムを生成し、これらが空気中の水分を吸収するためにべとつきや結露を生じるためである。
【0003】
また、電線・ケーブルの表面が乾燥すると、生成した硝酸マグネシウムや硫酸マグネシウムの結晶が表面に残留して電線・ケーブルの外観の低下を招く、という問題があった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、NOx 、SOx 等の腐食性ガスに対する耐久性に優れたノンハロゲン難燃性電線・ケーブルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、絶縁体またはシースにノンハロゲン難燃剤である水酸化マグネシウムを含有させ、腐食性ガスが存在する密閉空間内に配線されるノンハロゲン難燃電線・ケーブルであって、前記絶縁体または前記シースは、ゴムまたはプラスチック100重量部に対し300重量部以下の前記水酸化マグネシウムを混和し、前記絶縁体または前記シースに添加される酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤 0.1〜10重量部と、チオエーテル系酸化防止剤を0.1〜10重量部との2種のみからなることを特徴とするノンハロゲン難燃電線・ケーブルを提供する。このような絶縁体またはシースは、NOx 、SOx 等の腐食性ガスが存在する特殊環境下での連続使用において耐久性に優れ、極めて信頼性が高くなる。
【0006】
また、前記ノンハロゲン難燃電線・ケーブルの前記ノンハロゲン難燃剤として、更に、金属水酸化物(水酸化マグネシウムを除く)、酸化金属化合物、リン化合物、シリコーン化合物、ホウ酸化合物、窒素化合物、膨張性黒鉛、インテュメッセント系難燃剤から選択される1種または2種の化合物を含むことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態によるケーブルを示す図である。絶縁体2で被覆された導体1を介在6の存在下、複数本集合したものをシース3で被覆したものである。
【0008】
シースは、ゴムまたはプラスチックと水酸化マグネシウムを混和したノンハロゲン難燃材料にヒンダードフェノール系酸化防止剤とチオエーテル系酸化防止剤とを各々0.1〜10重量部添加した組成物を押出成形して作製する。
【0009】
本発明のノンハロゲン難燃電線・ケーブルに用いるゴム及びプラスチックとしては、ポリマ中にハロゲン物質を含まないあらゆるものを含む。ゴム系材料としては、例えば天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルコポリマ、シリコーンゴム、アクリルゴムなどが挙げられる。また、プラスチック系材料としては、ポリオレフィン、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−ヘキセン三元共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、エチレン−オクテン共重合体(EOR)、エチレン共重合ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、マレイン酸グラフト低密度ポリエチレン、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体(H−SBR)、マレイン酸グラフト直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数が4〜20のαオレフィンとの共重合体、マレイン酸グラフトエチレン−メチルアクリレート共重合体、マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体、ブテン−1を主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体、ブテン−1を主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体、さらにポリプロピレン、例えばアイソタクチックポリプロピレンまたはシンジオタクチックポリプロピレン、ホモポリプロピレン、エチレン系の共重合成分を含むランダムポリプロピレンのいずれも使用できる。
【0010】
また、熱可塑性エラストマーすなわち、スチレン系、エステル系、ウレタン系、アミド系、オレフィン系熱可塑性エラストマーも挙げられる。
【0011】
スチレン系熱可塑性エラストマーはスチレン系ブロック共重合体のことであり、ソフトセグメントの種類により、SBS(PS(ポリスチレン)−ポリブタジエン−PS)、SIS(PS−ポリイソプレン−PS)、SEBS(PS−ポリエチレン/ブチレン−PS)などが挙げられる。またこれらのスチレン系ブロック共重合体とポリプロピレン(PP)等のブレンド物も含まれる。
【0012】
エステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)を、ソフトセグメントとして軟質ポリエステル共重合体を有するものの総称であり、ソフトセグメントがポリテトラメチレングリコール(PTMG)とテレフタル酸の縮合物からなるポリエーテル・エステル共重合体や、ポリカプロラクトンを使用したポリエステル・エステル共重合体がある。
【0013】
ウレタン系熱可塑性エラストマーのハードセグメントは、ポリウレタンであり、ソフトセグメントの種類によりポリエステル系、ポリエーテル系があり、さらにポリエステル系には、カプロラクトン系、アジペート系、ポリカーボネート系が挙げられる。
【0014】
アミド系熱可塑性エラストマーは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などをハードセグメントとし、ポリエーテル、ポリエステルをソフトセグメントとした熱可塑性エラストマーである。
【0015】
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、ポリオレフィン樹脂をハードセグメントとする熱可塑性エラストマーであり、ブレンドタイプと共重合タイプがある。ここでは、ハードセグメントが組成物のポリマ成分のうち、15〜95重量%の範囲にあるものを指す。
【0016】
ハードセグメントとしては、結晶性のポリオレフインが必要であり、ポリプロピレン(PP)または高密度ポリエチレン(HDPE)または低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などが挙げられる。ソフトセグメントとしては、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、水素添加NBR、エチレン−オクテン共重合体(EOR)、エチレン−ブテン−1共重合体(EBR)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、スチレン成分を含むエラストマーなどが挙げられる。
【0017】
また、上記ソフトセグメントを有機過酸化物などで部分的に架橋したもの、混練時に分散されたソフトセグメントを完全に架橋(動的加硫)したものなどがある。
【0018】
エンジニアリングプラスチックとして、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンが挙げられ、比較的可とう性のあるポリアミド46、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリブチレンテレフタレート、スチレン系ブロック共重合体で変性されたポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンがある。
【0019】
本発明に用いるノンハロゲン難燃剤として用いる水酸化マグネシウム(Mg(OH)2 )は、合成水酸化マグネシウム、天然鉱石を粉砕した天然水酸化マグネシウム、ニッケルや亜鉛など他の元素との固溶体となったものなどが挙げられる。水酸化マグネシウムの混和量は当該樹脂100重量部に対し、300重量部以下に規定したのは、300重量部を超えると機械的特性が大幅に低下するからである。なお、水酸化マグネシウムは機械的強度、分散性、難燃性の点からレーザー式粒度分布計により測定した平均粒子径が10μm以上の粗粒分が10%以下のものがより好適である。耐水性を考慮して、これらの粒子表面を常法に従って脂肪酸、脂肪酸金属塩,シラン系カップリング剤,チタネート系カップリング剤またはアクリル樹脂、フェノール樹脂で表面処理することも可能である。
【0020】
本発明に使用するヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−第3ブチルフェノール)、2、2チオビス(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、n‐オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第3ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−第3ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−第3ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−第3ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、トリス−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、A:ビス(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、B:ポリエチレンワックス(50%)、3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ホスホネート−ジエチルエステル、ヒンダードフェノール、ヒンダードビスフェノールなどが挙げられる。
【0021】
また、チオエーテル系酸化防止剤としては、ジラウリル−チオジプロピオネート、ジステアリル−チオジプリピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、チオジプロピオン酸ジラウリル、β‐アルキルチオエステル−プロピオネート、含硫黄エステル系化合物、1,1’−チオビス(2−ナフトール)等がある。
【0022】
これらヒンダードフェノール系酸化防止剤およびチオエーテル系酸化防止剤の添加量を各々0.1〜10重量部に制限したのは、0.1重量部未満では酸化防止の効果が低く、また、10重量部を超えると難燃性の低下や、ブリードを生じるからである。
【0023】
本発明において、ノンハロゲン難燃剤としての水酸化マグネシウム以外に、例えば金属水酸化物、酸化金属化合物、リン化合物、シリコーン化合物、ホウ酸化合物、窒素化合物、膨張性黒鉛、インテュメッセント系難燃剤等を使用してもよい。
【0024】
金属水酸化物系難燃剤としては水酸化アルミニウム(Al(OH)3 )、ハイドロタルサイト、カルシウムアルミネート水和物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、ハードクレー等を挙げることができる。
【0025】
酸化金属化合物としては、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化アルミニウム等を挙げることができる。
【0026】
リン化合物としては赤リン,フォスフェートエステル、フォスフォネート、フォスフォリネン、ポリ燐酸アンモニウム等を挙げることができる。特に赤リンの添加は難燃性向上に効果が大きい。
【0027】
シリコーン化合物としてはシリコーンガム、シリコーンパウダー、シリコーンオイル、シリコーングラフトポリオレフィン、ポリオルガノシロキサンとアクリルゴムとの複合ゴムなどが挙げられる。
【0028】
シリコーン化合物としてはシリコーンガム、シリコーンパウダー、シリコーンオイル、シリコーングラフトポリオレフィン、ポリオルガノシロキサンとアクリルゴムとの複合ゴムなどが挙げられる。
【0029】
ホウ酸化合物としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウムなどが挙げられる。
窒素系難燃剤としては、スルファミン酸グアニジン、メラミンシアヌレートなどが挙げられる。
インテュメッセント系難燃剤は、燃焼時に発泡する成分と固化する成分の混合物からなる難燃剤である。発泡成分として窒素系発泡剤が挙げられ、テトラゾール化合物などの分解温度の高いもの(300℃以上)が好ましい。固化成分として上記リン系、シリコーン系、ホウ酸化合物系、窒素系難燃剤をはじめ、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、カーボンブラック、シリカ、亜鉛、錫酸亜鉛、層間シリコーン挿入クレー、無機または有機顔料などが挙げられる。
【0030】
また、上記材料の他に、充填剤を添加することもできる。充填剤として、炭酸カルシウム、ソフトクレー、ハードクレー、焼成クレー、シリカ、酸化亜鉛、マイカ粉、二硫化モリブデン、ガラス繊維、ガラスビーズ、グラファイト、カーボンブラックなどが挙げられる。このうち、樹脂への練り込みが容易で機械特性低下の少ない炭酸カルシウムが好適である。炭酸カルシウムには粒子の小さい合成炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)と、粗晶石灰石を機械粉砕した重質炭酸カルシウムがあり、混練加工性の良い重質炭酸カルシウムがより好適である。
【0031】
上記の各種配合剤を、耐水性を考慮し常法に従って脂肪酸、脂肪酸金属塩、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤またはアクリル樹脂、フェノール樹脂で表面処理することも可能である。
【0032】
なお、これらの樹脂組成物には必要に応じて酸化防止剤、滑剤、界面活性剤、軟化剤、可塑剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤、架橋剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の添加物を加えることができる。
【0033】
【実施例】
樹脂組成物および電線、ケーブルは以下の要領で作製した。
各種樹脂組成物は150℃に予熱した76mm二軸混練機(神戸製鋼製)で混練、ペレット化した。ペレットをプレス成形し、各種試験用試料とした。また、ペレットをケーブル作製用材料とした。
【0034】
電線は以下の要領で作製した。2mm2 の銅撚り線円形圧縮導体に表1に示すノンハロゲン樹脂組成物を90mm押出機を用いて押出し、電線を作製した。表1の材料を用いて作製した実施例1〜6、比較例1〜4の評価結果を表1に示す。
【0035】
ケーブルは以下の要領で作製した。上記2mm2 の電線をポリプロピレン介在とともに対撚りしたコアの上に、表1に示すノンハロゲン樹脂組成物を90mm押出機を用いてシースとして押出し、ケーブルを作製した。表1の材料を用いて作製した実施例7〜9、比較例5〜7の評価結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0003821213
【0036】
電線またはケーブルの評価は以下に示す方法で行った。
【0037】
(1)耐腐食性ガス試験
作製した電線、ケーブルをデシケータに入れ、20℃、湿度50%RHの条件で500ppmの二酸化チッソ(NO2)ガスを7日間曝露した。その後、ケーブルを40℃、90%RHの恒温恒湿槽に1時間放置後、電線、ケーブル表面の状態を目視観察した。表面に結露が観察されなかったものを優、結露が微少に観察されたものを良、結露が多く観察されたものを不可とした。
【0038】
(2)マグネシウムイオンの定量分析
表面結露と、高濃度の腐食性ガスによりマグネシウム化合物が侵されて生成したイオン性物質の生成量との関係を確認するため、表面のマグネシウムイオンを定量した。ケーブルシースから切り取た一定面積のシース表面の付着物を純水で良く洗浄したガーゼで拭き取った。付着物を拭き取ったガーゼをビーカに入れ、純水約50mlを加えた。フィルターでろ過後、100mlに定容して分析用試料とした。プラズマ誘導結合(ICP)発光分析装置(日立製作所;P−4000型)によりマグネシウム定量分析を行った。
【0039】
(3)難燃性
作製した電線またはケーブルをJIS C 3005に従った60度傾斜燃焼試験を行った。炎を取り去った後の延焼時間を測定した。5回の試験のうち延焼時間が最大のものを測定値とし、15秒未満で消火したものを優、15秒以上60秒未満を良、60秒以上延焼したものを不可とした。
【0040】
表1から明らかなように、本発明による酸化防止剤系を使用した電線の実施例1〜6およびケーブルの実施例7〜9は、いずれも表面に生成したマグネシウムイオンが微量かまたは全く検出されず、表面結露の程度も微少かまたは結露の発生がないことから、腐食性ガスに対する耐久性に優れることが分った。
【0041】
一方、電線の比較例1〜3およびケーブルの比較例5から7は腐食性ガスにより電線、ケーブルの表面にマグネシウムイオンが多く生成し、これにより著しい表面結露を招く結果となった。また、電線の比較例4は酸化防止剤が規定量を超えたため難燃性が大幅に低下した。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、絶縁体またはシースにノンハロゲン難燃剤である水酸化マグネシウムを含有させ、腐食性ガスが存在する密閉空間内に配線されるノンハロゲン難燃電線・ケーブルであって、絶縁体またはシースは、ゴムまたはプラスチック100重量部に対し300重量部以下の水酸化マグネシウムを混和し、絶縁体またはシースに添加される酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.1〜10重量部と、チオエーテル系酸化防止剤を0.1〜10重量部との2種のみからなることとしたため、NOx 、SOx の腐食性ガスが存在する特殊環境下での連続使用において耐久性に優れ、極めて信頼性の高いノンハロゲン難燃性電線・ケーブルを得ることができた。
【0043】
したがって、本発明による電線・ケーブルを、特に配電盤、変電設備室等の電気接点の存在する密閉空間内に配線する場合、口出線として使用する場合または自動車・車両に使用する場合のように、局所的に高濃度のNOx 、SOx などの腐食性ガスに曝されるおそれがある場合の使用に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態によるケーブルを示す図である。
【符号の説明】
1 導体
2 絶縁体
3 シース
4 介在

Claims (2)

  1. 絶縁体またはシースにノンハロゲン難燃剤である水酸化マグネシウムを含有させ、腐食性ガスが存在する密閉空間内に配線されるノンハロゲン難燃電線・ケーブルであって、
    前記絶縁体または前記シースは、ゴムまたはプラスチック100重量部に対し300重量部以下の前記水酸化マグネシウムを混和し、
    前記絶縁体または前記シースに添加される酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.1〜10重量部と、チオエーテル系酸化防止剤を0.1〜10重量部との2種のみからなることを特徴とするノンハロゲン難燃電線・ケーブル。
  2. 前記ノンハロゲン難燃電線・ケーブルの前記ノンハロゲン難燃剤として、更に、金属水酸化物(水酸化マグネシウムを除く)、酸化金属化合物、リン化合物、シリコーン化合物、ホウ酸化合物、窒素化合物、膨張性黒鉛、インテュメッセント系難燃剤から選択される1種または2種の化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のノンハロゲン難燃電線・ケーブル。
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