JP3820805B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
皮膚外用剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3820805B2 JP3820805B2 JP19425199A JP19425199A JP3820805B2 JP 3820805 B2 JP3820805 B2 JP 3820805B2 JP 19425199 A JP19425199 A JP 19425199A JP 19425199 A JP19425199 A JP 19425199A JP 3820805 B2 JP3820805 B2 JP 3820805B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- urea
- phosphate
- skin
- external preparation
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Medicinal Preparation (AREA)
- Cosmetics (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、皮膚外用剤、特に水を含有する皮膚外用剤において、尿素を安定に配合することに関し、詳細には、ヌクレオチドとその塩を用いて、尿素を安定に配合した皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より尿素は、角質の水分保有力を高めるとともに、角質溶解作用,抗菌作用があるといわれており、特に魚鱗癬,乾癬,老人性乾皮症等の角化異常に対し著しい効果があると報告されており、皮膚の荒れ防止、保湿などの目的で各種の化粧料や医薬品に配合されている。
【0003】
しかしながら、尿素は水の存在下において、酸,アルカリ,熱等により容易に加水分解反応を生じ、二酸化炭素とアンモニアに分解する。このため、水を含有する化粧料に尿素を配合して長期間保存すると、アンモニア臭が発生し、著しく商品価値が損なわれるという欠点がある。
【0004】
かかる尿素の安定化に関しては、従来、尿酸を添加して安定化する方法(特公昭47−47662号),アルキルリン酸ジエタノールアミンを添加して安定化する方法(特公昭62−20166号),ニコチン酸及びその塩を添加して安定化する方法(特公平1−42922号),中性アミノ酸,酸性アミノ酸及びその塩を添加して安定化する方法(特公平2−56347号),アミノカルボン酸を添加して安定化する方法(特公平3−22872号),クエン酸・水酸化ナトリウム緩衝液及び脂肪酸アンモニア石鹸を添加して安定化する方法(特公平3−36802号),タウリンを添加して安定化する方法(特公平4−81567号,特公平5−27618号),塩基性アミノ酸及びその塩を添加して安定化する方法(特公平5−31510号),コラーゲン及びその加水分解蛋白質を添加して安定化する方法(特公平5−31541号),多価アルコール,カルボキシビニルポリマー,塩基性物質を添加して安定化する方法(特公平6−21061号),炭化水素,高級アルコール,エーテル型ノニオン界面活性剤を添加して安定化する方法(特公平7−74144号)等が提案されている。
【0005】
しかしながら、これら従来の方法においても、未だ尿素の安定化は十分とはいいがたく、皮膚外用剤におけるより効果的な尿素の安定化が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、尿素を配合した皮膚外用剤において、尿素の分解を防ぎ、長期間保存した場合でもpHの変動が無く、尿素の効果が低下しない皮膚外用剤を得ることを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記問題点に鑑み、尿素を配合した皮膚外用剤において、尿素の分解を防ぎ、長期間保存した後もpHの変動が無く、尿素の効果が低下しない皮膚外用剤を得るべく鋭意研究を行った結果、尿素を有効成分として含有する皮膚外用剤において、ヌクレオチド及びその塩を添加することにより、尿素が安定化されること、またさらに炭素数2〜8のヒドロキシ脂肪酸,炭素数2〜6の脂肪酸とグリセリンのエステルを添加することにより、更なる尿素の安定配合が可能であること、またヒドロキシ脂肪酸を添加することにより尿素の保湿効果が更に増強されること、脂肪酸とグリセリンのエステルを添加することにより尿素による皮膚刺激性が低減されること、を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
本発明において使用するヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分にリン酸がエステル結合している化合物のことで、結合するリン酸の位置はどこでもよく、結合するリン酸の数もいくつでもよい。また例えば、ひとつのリン酸が3’,5’の両方に結合する化合物もヌクレオチドに含める。具体的には、アデノシン2’-リン酸,アデノシン3’-リン酸,アデノシン5’-リン酸,アデノシン3’,5’-環状リン酸,アデノシン5’-二リン酸,アデノシン5’-三リン酸,シチジン2’-リン酸,シチジン3’-リン酸,シチジン5’-リン酸,シチジン5’-二リン酸,シチジン5’-三リン酸,グアノシン2’-リン酸,グアノシン3’-リン酸,グアノシン5’-リン酸,グアノシン3’,5’-環状リン酸,グアノシン5’-二リン酸,グアノシン5’-三リン酸,グアノシン3’-二リン酸5’-二リン酸,グアノシン3’-二リン酸5’-三リン酸,イノシン5’-リン酸,ウリジン2’-リン酸,ウリジン3’-リン酸,ウリジン5’-リン酸,ウリジン5’-二リン酸,ウリジン5’-三リン酸等のリボヌクレオチド、デオキシアデノシン3’-リン酸,デオキシアデノシン5’-リン酸,デオキシアデノシン5’-三リン酸,デオキシシチジン3’-リン酸,デオキシシチジン5’-リン酸,デオキシシチジン5’-三リン酸,5-メチルデオキシシチジン5’-リン酸,5-ヒドロキシメチルデオキシシチジン5’-リン酸,デオキシグアノシン3’-リン酸,デオキシグアノシン5’-リン酸,デオキシグアノシン5’-三リン酸,チミジン3’-リン酸,チミジン5’-リン酸,チミジン5’-三リン酸,ヒドロキシメチルデオキシウリジン5’-リン酸等のデオキシリボヌクレオチドが例示される。
【0010】
これらのヌクレオチドは、遊離の酸の状態で用いてもよく、またそのナトリウム,カリウム,マグネシウム等との塩の状態で用いることもできる。
【0011】
本発明において用いられるヌクレオチド及びその塩としては、尿素の安定化効果の点から、イノシン5’-リン酸,イノシン5’-リン酸ナトリウム,イノシン5’-リン酸二ナトリウム,グアノシン5’-リン酸,グアノシン5’-リン酸ナトリウム,グアノシン5’-リン酸二ナトリウムから選択される1種又は2種以上を用いることが好ましく、イノシン5’-リン酸二ナトリウム,グアノシン5’-リン酸二ナトリウムから選択される1種又は2種を用いることがさらに好ましい。
【0012】
本発明において配合するヌクレオチド及びその塩は、天然物から単離したものでも、化学的に合成されたものでもよい。また、ヌクレオチド及びその塩を含有する天然体及びその天然体からの抽出物をそのまま用いてもよい。このような例としては、酵母,細菌,乳,魚介類,動物,植物由来のヌクレオチドが挙げられる。
【0013】
本発明において、ヌクレオチド及びその塩の皮膚外用剤への配合量は特に限定されないが、尿素の安定化効果の点から、尿素に対して1重量%以上200重量%未満添加することが好ましい。
【0014】
本発明においては、ヌクレオチド及びその塩に加えて、炭素数2〜8のヒドロキシ脂肪酸及びその塩から選択される1種又は2種以上を配合することにより、尿素の安定化向上のみならず、尿素の保湿作用及び角質溶解作用を更に向上させることができる。
【0015】
本発明において用いられる炭素数2〜8のヒドロキシ脂肪酸としては、炭素数が2の2-ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、炭素数が3の2-ヒドロキシプロパン酸(2-ヒドロキシプロピオン酸,乳酸),3-ヒドロキシプロパン酸(3-ヒドロキシプロピオン酸,ヒドロキシアクリル酸),2,3-ジヒドロキシプロパン酸、炭素数が4の2-ヒドロキシブタン酸(2-ヒドロキシ酪酸),3-ヒドロキシブタン酸(3-ヒドロキシ酪酸),4-ヒドロキシブタン酸(4-ヒドロキシ酪酸),2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(メチル乳酸),2-ヒドロキシブタン二酸(リンゴ酸),2,3-ジヒドロキシブタン二酸(酒石酸),3-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸,2-ヒドロキシ-3-ブテン酸、炭素数が5のイタ酒石酸,オキシメチルコハク酸(イタマル酸),2-ヒドロキシペンタン酸(2-ヒドロキシ吉草酸,2-ヒドロキシバレリアン酸),2,3-ジヒドロキシペンタン酸(2,3-ジヒドロキシ吉草酸,2,3-ジヒドロキシバレリアン酸),2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸,2-ヒドロキシ-2-メチルジカルボン酸、炭素数が6の2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸(クエン酸),1-ヒドロキシトリカルボン酸(1-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸,イソクエン酸),ガラクツロン酸,2-ケト-ガラクトン酸,2-ヒドロキシヘキサン酸(2-ヒドロキシカプロン酸),2-ヒドロキシ-2-メチルグルタル酸、炭素数7のo-ヒドロキシ安息香酸(サリチル酸),3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸),キナ酸(キニン酸),2-ヒドロキシヘプタン酸(2-ヒドロキシエナント酸)、炭素数が8の2-ヒドロキシ-2-フェニル酢酸(マンデル酸),4-メチルサリチル酸,3-メトキシサリチル酸,2-ヒドロキシオクタン酸(2-ヒドロキシカプリル酸),3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸,4-ヒドロキシフタル酸などが例示される。
【0016】
上記のヒドロキシ酢酸の中でもその効果の点から、炭素数2〜6の2-ヒドロキシ酢酸(グリコール酸),2-ヒドロキシプロパン酸(2-ヒドロキシプロピオン酸,乳酸),3-ヒドロキシプロパン酸(3-ヒドロキシプロピオン酸,ヒドロキシアクリル酸),2,3-ジヒドロキシプロパン酸,2-ヒドロキシブタン酸(2-ヒドロキシ酪酸),3-ヒドロキシブタン酸(3-ヒドロキシ酪酸),4-ヒドロキシブタン酸(4-ヒドロキシ酪酸),2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(メチル乳酸),2-ヒドロキシブタン二酸(リンゴ酸),2,3-ジヒドロキシブタン二酸(酒石酸),3-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸,2-ヒドロキシ-3-ブテン酸,イタ酒石酸,オキシメチルコハク酸(イタマル酸),2-ヒドロキシペンタン酸(2-ヒドロキシ吉草酸,2-ヒドロキシバレリアン酸),2,3-ジヒドロキシペンタン酸(2,3-ジヒドロキシ吉草酸,2,3-ジヒドロキシバレリアン酸),2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸,2-ヒドロキシ-2-メチルジカルボン酸,2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸(クエン酸),1-ヒドロキシトリカルボン酸(1-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸,イソクエン酸),ガラクツロン酸,2-ケト-ガラクトン酸,2-ヒドロキシヘキサン酸(2-ヒドロキシカプロン酸),2-ヒドロキシ-2-メチルグルタル酸等が好ましく用いられ、さらには、乳酸,2-ヒドロキシ酢酸を用いることが特に好ましい。
【0017】
炭素数2〜8のヒドロキシ脂肪酸は、遊離の酸の状態で用いても良く、またそのナトリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム,バリウム,鉄,L−アルギニン等との塩の状態で用いることもできる
【0018】
本発明において、炭素数2〜8のヒドロキシ脂肪酸の皮膚外用剤への配合量は特に限定されないが、尿素の安定化効果及び保湿作用,角質柔軟化効果の点から、皮膚外用剤全量に対して、0.001〜5重量%添加することが好ましい。
【0019】
本発明においては、さらに、炭素数2〜6の脂肪酸とグリセリンのエステルを添加することができる。炭素数2〜6の脂肪酸とグリセリンのエステルを併用することにより、尿素安定化が向上するだけにとどまらず、尿素による皮膚刺激性を低減することができる。
【0020】
本発明において用いられる炭素数2〜6の脂肪酸とグリセリンのエステルに用いられる脂肪酸としては、炭素数2の酢酸、炭素数3のn-プロパン酸,iso-プロパン酸、炭素数4のn-ブタン酸,iso-ブタン酸,sec-ブタン酸,tert-ブタン酸、炭素数5のn-ペンタン酸,2-メチルブタン酸,2,2-ジメチルプロパン酸、炭素数6のn-ヘキサン酸,2-メチルペンタン酸,2-エチルブタン酸,2,2-ジメチルブタン酸等が例示される。炭素数2〜6の脂肪酸とグリセリンのエステルとしては、グリセリン1分子と脂肪酸1分子がエステル結合したモノエステル、グリセリン1分子と脂肪酸2分子がエステル結合したジエステル、グリセリン1分子と脂肪酸3分子がエステル結合したトリエステル、及びこれらの混合物から選択される1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
上記の脂肪酸とグリセリンのエステルの中でも、尿素安定化及び刺激性低減効果の点から、酢酸とグリセリンのトリエステルであるトリアセチルグリセリンを用いることが好ましい。
【0022】
炭素数2〜6の脂肪酸とグリセリンのエステルの皮膚外用剤への配合量は、尿素の安定化及び刺激低減効果の点から、尿素に対して1重量%以上200重量%未満添加することが好ましい。
【0023】
本発明において、尿素は皮膚外用剤全量に対して30重量%を超えない範囲で配合することができる。
【0024】
本発明の皮膚外用剤においては、予めpHを5.5〜8.0に調整することが好ましい。pHが8.0を越えると、尿素の分解が促進され、安定性上好ましくない。
【0025】
本発明においては、上記した尿素,ヌクレオチド及びその塩を含有させて、尿素を安定に配合した皮膚外用剤を提供する。かかる皮膚外用剤は、ローション剤,懸濁剤,乳剤,クリーム剤,軟膏剤,ゲル剤等の形状で提供することができる。また、化粧水,乳液,クリーム,パック剤など皮膚用の化粧料や、化粧下地用ローション又はクリーム、乳液状,クリーム状,軟膏状,固型状の各種ファンデーション等のメイクアップ化粧料、日焼け止めローション又はクリーム等の日焼け止め化粧料、ハンドローション又はクリーム,レッグローション又はクリーム,ボディローション又はクリーム等のボディ化粧料などとしても提供することができる。
【0026】
本発明に係る皮膚外用剤においては、本発明の特徴を損なわない範囲で、各種油分,界面活性剤,低級一価アルコール,保湿剤,多価アルコール,細胞賦活剤,抗酸化剤,美白剤,紫外線吸収剤,防菌防黴剤,顔料,色素類,香料等、一般的な皮膚外用剤添加成分を加えることができる。
【0027】
【実施例】
さらに実施例により、本発明の特徴について詳細に説明する。
【0028】
表1及び表2に示した処方にて実施例1〜実施例6及び比較例1〜比較例3にかかる保湿性化粧水を調製した。保湿性化粧水は、(8)に(2)を溶解し、次いで(1)及び(3)〜(7)の成分を順次添加して、混合溶解均一化して調製した。
【0029】
この実施例1〜実施例6及び比較例1〜比較例3において、尿素が安定に配合されているかどうかを確認するために、調製直後のpH及び40℃で1ヶ月間保存した後のpH及びアンモニア臭の有無を確認した。アンモニア臭の有無は、「全くアンモニア臭がない:◎」,「微妙にアンモニア臭が感じられる:○」,[アンモニア臭が感じられる:△],「強いアンモニア臭がする:×」として評価した。さらに、乾燥が気になる30代〜50代の男女計10名を一群として、実施例1〜実施例6及び比較例1〜比較例3を使用させ、保湿効果及び皮膚刺激性の評価を行った。保湿効果は、「保湿効果が非常に高い:5点」,「保湿効果が高い:4点」,「保湿効果がある:3点」,「保湿効果が少しある:2点」,「保湿効果があまりない:1点」として評価し、平均点を算出した。また、皮膚刺激性については、皮膚刺激性がないと回答したパネラーの数が、「10名又は9名:◎」,「6名〜8名:○」,「3名〜5名:△」,「0名〜2名;×」として評価した。これらの尿素安定性及び保湿効果,皮膚刺激性に関する評価結果を処方と共に表1及び表2に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
表1及び表2に示したとおり、尿素と、ヌクレオチドの塩の一種であるイノシン5’-リン酸二ナトリウム,グアノシン5’-リン酸二ナトリウムを配合した実施例1〜実施例3においては、40℃で1ヶ月保存した後でもpHの変化はほとんどなく、全くアンモニア臭が感じられなかった。しかしながら尿素だけを配合し、ヌクレオチド及びその塩を含有していない比較例1においては、40℃で1ヶ月保存することにより、pHが2.8上昇し、強いアンモニア臭が生じており、尿素がアンモニアに分解していることが示され、さらに使用したパネラー全員が何らかの皮膚刺激性を感じると訴えていた。
【0033】
さらに、尿素と,ヌクレオチドの塩であるイノシン5’-リン酸二ナトリウム,グアノシン5’-リン酸二ナトリウム、及びヒドロキシ脂肪酸の一種である乳酸を配合した実施例4においては、アンモニア臭の発生が全くなく、高い保湿効果を発揮した。それに対し、ヌクレオチドを含有せず、尿素と乳酸だけを配合した比較例2においては、40℃で1ヶ月保存することによりpHが3.2上昇し、アンモニア臭が生じており、実施例4と比較して、尿素が分解しやすいことが示された。また、保湿効果においても、実施例4は10名中7名のパネラーが保湿効果が非常に高いと評価しているが、比較例2使用群では保湿効果が非常に高いと回答したパネラーは認められなかった。さらに、実施例4は実施例3に乳酸を添加したものであるが、アンモニア臭の発生が減少し、保湿効果が顕著に高まっていた。以上のことにより、尿素とヌクレオチドの塩及びヒドロキシ酸を併用することで、尿素の更なる安定配合及び保湿効果の向上が可能であることが示された。
【0034】
さらに、尿素と,ヌクレオチドの塩であるイノシン5’-リン酸二ナトリウム,グアノシン5’-リン酸二ナトリウム、及び脂肪酸とグリセリンのエステルの一種であるトリアセチルグリセリルを含有する実施例5においては、アンモニア臭の発生が全くなく、且つ皮膚刺激性が認められず安全であることが示された。それに対して、脂肪酸とグリセリンのエステルを含有していない実施例3においては、3名のパネラーにおいて、塗布時の一過性の痛みなどの皮膚刺激性が認められ、若干の皮膚刺激性が認められていた。また、脂肪酸とグリセリンのエステルであるトリアセチルグリセリルを含有し、ヌクレオチドの塩を含有していない比較例3においては、実施例3と同程度の皮膚刺激性が認められ、また40℃における1ヶ月間の保存でpHが2.5上昇し,アンモニア臭が発生しており、尿素が分解していることが示された。
【0035】
さらに、尿素と,ヌクレオチドの塩であるイノシン5’-リン酸二ナトリウム,グアノシン5’-リン酸二ナトリウム、ヒドロキシ脂肪酸の一種である乳酸、及び脂肪酸とグリセリンのエステルの一種であるトリアセチルグリセリルを含有する実施例6においては、40℃で1ヶ月保存してもpHの変化がほとんどなく、アンモニア臭も発生せず尿素が安定に配合されており、さらに保湿力効果めて高く、皮膚刺激性も認められなかった。
【0036】
本発明の他の実施例を次に示す。
【0037】
実施例7〜実施例10にかかる水性ゲル剤の処方を表3に示す。水性ゲル剤は、(1)に(2)〜(10)の成分を順次添加,混合し均一化して調製した。調製直後のpH、40℃にて1ヶ月保存後のpH、アンモニア臭の有無、保湿効果及び皮膚刺激性を評価し、表3に示した。
【0038】
【表3】
【0039】
実施例11〜実施例14にかかるO/W型乳剤の処方を表4に示す。O/W型乳剤は、(1)〜(5)の油相成分及び(6)〜(10)の水相成分をそれぞれ75℃に加熱て溶解,均一化し、水相成分に油相成分を添加してホモミキサーで均一に乳化した後、50℃に冷却し(11)〜(14)の成分を順次添加,混合し均一化して調製した。調製直後のpH、40℃にて1ヶ月保存後のpH、アンモニア臭の有無、保湿効果及び皮膚刺激性を評価し、同時に表4に示した。
【0040】
【表4】
【0041】
表3及び表4より、本発明の実施例7〜実施例14においては、40℃で1ヶ月間保存してもアンモニア臭の発生が無く、尿素が安定に配合されていることが、示された。またヒドロキシ脂肪酸或いは脂肪酸とグリセリンのエステルを併用することにより、保湿効果が向上し、皮膚刺激性が低減されることが認められた。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、尿素の分解を防ぎ、長期間保存した場合でもpHの変動が無く、尿素の効果が低下しない皮膚外用剤を得ることができた。またさらに、尿素の保湿効果が増強され、また皮膚刺激性が低減した皮膚外用剤を得ることができた。
Claims (5)
- 尿素と、ヌクレオチド及びその塩より選択された1種又は2種以上と、トリアセチルグリセリンを併用して成る、尿素を有効成分とする皮膚外用剤。
- ヌクレオチド及びその塩が、イノシン5’-リン酸,イノシン5’-リン酸ナトリウム,イノシン5’-リン酸二ナトリウム,グアノシン5’-リン酸,グアノシン5’-リン酸ナトリウム,グアノシン5’-リン酸二ナトリウムから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の尿素を有効成分とする皮膚外用剤。
- さらに、炭素数2〜8のヒドロキシ脂肪酸を含有する、請求項1又は請求項2に記載の尿素を有効成分とする皮膚外用剤。
- 皮膚外用剤が、水を含んでなることを特徴とする、請求項1〜請求項3の1項に記載の尿素を有効成分とする皮膚外用剤。
- pHが、5.5〜8.0に調整されて成る、請求項1〜請求項4の1項に記載の尿素を有効成分とする皮膚外用剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19425199A JP3820805B2 (ja) | 1999-07-08 | 1999-07-08 | 皮膚外用剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19425199A JP3820805B2 (ja) | 1999-07-08 | 1999-07-08 | 皮膚外用剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001019610A JP2001019610A (ja) | 2001-01-23 |
JP3820805B2 true JP3820805B2 (ja) | 2006-09-13 |
Family
ID=16321515
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19425199A Expired - Fee Related JP3820805B2 (ja) | 1999-07-08 | 1999-07-08 | 皮膚外用剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3820805B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20190060378A (ko) | 2017-11-24 | 2019-06-03 | (주)아모레퍼시픽 | 고함량의 우레아를 포함하는 화장료 조성물 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
HUP0400732A3 (en) * | 2001-04-30 | 2007-05-29 | Trommsdorff Arzneimittel | Pharmaceutically active uridine esters |
JP4871624B2 (ja) * | 2006-03-31 | 2012-02-08 | ポーラ化成工業株式会社 | 皮膚を柔軟にするための化粧料 |
WO2014140507A1 (en) | 2013-03-15 | 2014-09-18 | Moberg Pharma Ab | Pharmaceutical composition for the treatment of fungal infections |
WO2019035227A1 (ja) * | 2017-08-17 | 2019-02-21 | 味の素株式会社 | ゲル状化粧料組成物 |
-
1999
- 1999-07-08 JP JP19425199A patent/JP3820805B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20190060378A (ko) | 2017-11-24 | 2019-06-03 | (주)아모레퍼시픽 | 고함량의 우레아를 포함하는 화장료 조성물 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001019610A (ja) | 2001-01-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4776976A (en) | O/W type emulsion composition | |
JP5342736B2 (ja) | 水中油型エマルション及びその製造方法 | |
JP6057461B2 (ja) | αゲル構造体およびそれを含有する化粧料または皮膚外用剤 | |
JP6118546B2 (ja) | 水中油型乳化組成物 | |
JP5320016B2 (ja) | 皮膚外用剤 | |
KR102613882B1 (ko) | 자가 중화 아미노산 기반 양이온성 조성물 | |
JP3820805B2 (ja) | 皮膚外用剤 | |
JP2822093B2 (ja) | W/o/w型乳化化粧料 | |
JPS6128367B2 (ja) | ||
JPH049310A (ja) | 乳化化粧料 | |
JP2004189693A (ja) | 水中油型乳化化粧料 | |
JP4926354B2 (ja) | 皮膚外用剤 | |
WO2005030152A1 (ja) | 養育毛剤組成物 | |
JP2017197494A (ja) | バイオサーファクタントを含むことを特徴とする乳化物 | |
JP2602050B2 (ja) | 化粧料 | |
JP2594553B2 (ja) | 毛髪化粧料 | |
JPS61130204A (ja) | 皮膚化粧料 | |
JPH0523825B2 (ja) | ||
BR112020002821B1 (pt) | Sistema emulsificante, produto de cuidados pessoais, método e uso | |
JP2004231630A (ja) | 育毛剤組成物 | |
JPS6092399A (ja) | クリーム状乳化系洗浄料 | |
JP4656776B2 (ja) | 化粧料 | |
JP5427033B2 (ja) | オクテニルコハク酸トレハロースエステル塩組成物を含有する洗浄剤組成物 | |
JP4133639B2 (ja) | 養育毛剤組成物 | |
JP2021123557A (ja) | 液状化粧料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040901 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051024 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051027 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051226 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060612 |
|
RD05 | Notification of revocation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425 Effective date: 20060612 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060612 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100630 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100630 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110630 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120630 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130630 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130630 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140630 Year of fee payment: 8 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |