JP3820288B2 - スクイズボトル用容器蓋 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、スクイズボトル用容器蓋に関するものであり、より詳細には、ボトルのスクイズによって開放される弁機構を備えたスクイズボトル用容器蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ボトル壁をスクイズすることにより内容物を放出するスクイズボトルは、各種飲料、洗剤等の容器の分野に広く使用されている。このスクイズボトルには、ボトルのスクイズによって開放される弁機構がボトル口部に設けられており、この弁機構を利用して内容物の放出が行われる。
例えば特表平8−506307号公報には、ボトルの口部に内側(ボトル側)に凹んだ形状のゴム製密封弁(3)が設けられているボトルが開示されている。このボトルにおいて、上記密封弁(3)は、中央部にスリット(25)を有しており、その周縁部(密封フランジ)は、ボトル口部に固定されている筒状体(クリップオンカラー)によって、ボトル口部上端と筒状体との間でサンドイッチされて保持されている。
即ち、ボトルをスクイズすると、上記ゴム製の密封弁(3)が上方に反転し、スリット(25)が広がった状態となり、内容物の放出が行われるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記先行技術のボトルは、内容物の品質保証機能の点で不満足である。例えば、液体内容物等の品質保証を確実なものとする包装技術として、所謂無菌(アセプティック)充填法が知られている。この無菌充填法は、一般に液体の内容物を高温下で短時間殺菌後急冷し、別に殺菌処理された容器内に上記液体内容物を充填し、殺菌処理された容器蓋を装着して密封するというものである。上記先行技術のボトルに無菌充填法を適用すると、ボトルの殺菌処理後に、殺菌されたゴム製の密封弁及び筒状体を装着し、この後にオーバーキャップが装着されることになる。ところで、ゴム製の密封弁はスリットを有しているため、この密封弁が装着された段階においても、ボトル内空間は、外気と完全に遮断されていない。スリットが閉じた状態に保持されていたとしても、ミクロ的にみれば、その密封性が十分でなく、例えばガスの通過を完全に防止し得るものではないからである。従って、上記先行技術のボトルは、無菌充填法の利点を十分に享受できず、液体内容物の品質保証機能が十分でないのである。
従って、本発明の目的は、ボトルのスクイズによって開放されるスリットから成る弁機構を備えており、内容物の品質保証機能に優れたスクイズボトル用容器蓋を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、スクイズボトルの口部に固定され該ボトルの口部を閉塞する蓋本体と、該蓋本体に着脱自在に設けられるオーバーキャップとから成るスクイズボトル用容器蓋において、
前記蓋本体は、下方に湾曲している頂板部と、頂板部周縁部から下方に延びているスカート部とから成り、
前記頂板部の外面には、開口部形成用スコアが形成され、且つ該スコアで囲まれる開口部形成領域にスコア引裂用タブが設けられていると共に、
前記頂板部の内側には、該頂板部に沿って下方に湾曲した可撓性のライナー材が保持されており、該ライナー材は、少なくとも前記開口部形成領域において、半接着状態で頂板部内面に保持されていると共に、該ライナー材の中心部には、開口形成用のスリットが形成されていることを特徴とするスクイズボトル用容器蓋が提供される。
【0005】
本発明のスクイズボトル用容器蓋では、上記の可撓性ライナー材が弁機構として作用する。即ち、このライナー材は、常態において下方に湾曲しているが、ボトルをスクイズすることにより上方に反転し、これによりスリットが開いて開口し、内容物の吐出が行われる。スクイズを停止すれば、ライナーは常態に復帰してスリットが閉じた状態になる。
【0006】
本発明において、上述した弁機能を有するライナー材が、開口部形成領域を有する蓋本体の頂板部内面の実質上全面に設けられており、しかも該ライナー材は、頂板部の少なくとも開口部形成領域には半接着状態で保持されていることが重要な特徴である。
ここで開口部形成領域に半接着状態に保持されているとは、容器蓋の殺菌工程や容器蓋をボトル口部に装着する工程のように、格別の剥離力が作用しない時には開口部形成領域から剥がれ落ちないが、一定の剥離力が作用した場合、即ち、開口部形成領域を画定しているスコアを破断して開口部を形成する時には、容易に剥離し得る程度にライナー材が弱接着されていることを意味する。
この場合、開口部形成領域の周縁部においては、ライナー材は、容器蓋がボトル口部に装着された状態では、頂板部の内面とボトル口部の上端との間にしっかりと挟持され、従って、頂板部に開口を形成した状態においてもライナー材は脱落することがなく、ボトルのスクイズによる反転及びスクイズの停止による復帰動作がスムーズに行われる。
【0007】
かくして本発明によれば、弁機能を有するライナー材を備えた容器蓋本体を殺菌処理し、殺菌後の容器蓋本体をボトル口部に装着した段階で、ボトル内空間は完全に外部と遮断されているため、無菌充填されたボトル内容物の品質が保証されるものである。
【0008】
また本発明において、前記オーバーキャップは、蓋本体上に装着された状態において、前記ライナー材のスリット上に位置し且つライナー材の上方への反転を防止し得るようなストッパーを備えているのがよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の容器蓋をスクイズボトル口部と共に示す一部断面側面図であり、図2は、図1の容器蓋における容器蓋本体の平面図であり、図3は、スコアの破断により開口部形成領域を取り除いて開口部を形成した状態の容器蓋本体を示す図であり、図4は、容器蓋本体に半接着状態に保持されているライナー材の平面図であり、図5は、ボトルをスクイズして内容物の吐出を行う状態の容器蓋本体を示す図であり、図6は、図5の容器蓋本体におけるライナー材のスリットの状態を示す平面図である。
【0010】
図1及び図2において、本発明のスクイズボトル用容器蓋は、大まかに言って容器蓋本体1とオーバーキャップ2とから成っている。
容器蓋本体1は、頂板部5と、頂板部5の周縁部から下方に延びているスカート部6とから成っている。
スカート部6の内面には、ボトル口部50の外面に設けられている螺条51と螺子係合する螺条7が設けられており、これにより容器蓋本体1は、ボトル口部50に固定されている。
【0011】
一方、頂板部5は下方に湾曲しており、その外面には、特に図2に明瞭に示されている様に、スコア20が形成されており、このスコア20によって囲まれている領域が開口部形成領域21となっている。開口部形成領域21には、スコア引裂用タブ22が設けられており、このタブ22を手で引っ張ることにより、スコア20が破断し、開口部形成領域21に開口が形成される。また頂板部5の外面には、スコア20の外側となる部分に周状突起25が形成されており、この周状突起25の付け根部外面には、係合用突起26が形成されている。
従って、本発明の容器蓋では、スコア20の破断により容器蓋が既に開封されたものであることを確認することができ、これにより不正使用を防止することができる。
【0012】
また容器蓋の分別廃棄のために、スカート部6の下端部には、外周リング40を設けておくのがよい。例えば図1に示されている様に、スカート部6の内面の最下方に、容器口部外面の顎部52の下側に係合するアンダーカット10を設け、且つ周方向に適当な間隔を置いて高さ方向に延びている切欠き11を形成すると共に、切欠き11の間の部分において橋絡部12を介して外周リング40を設けることができる。橋絡部12には、高さ方向に延びている切り込み13が形成されている。即ち、常態においては、外周リング40によるタガ締めによって、アンダーカット10が容器口部外面の顎部52の下側にしっかりと係合しており、これにより容器蓋本体1は、ボトル口部50にしっかりと固定されている。しかるに、容器蓋本体1をボトル口部50から取り外すには、外周リング40を押し込むことにより或いは上方に引っ張り上げることにより、切り込み13から橋絡部12を破断すればよい。外周リング40を取り外せば、アンダーカット10はタガ締め力から解放されるので、スカート部6を手で容易に外側に拡げることができ、かくして格別の工具を用いることなく容易に容器蓋本体1をボトル口部50から除去することができるのである。
【0013】
また上記のような外周リング40を設けることにより、外周リング40を取り除くことなしに容器蓋本体1をボトル口部50から取り外すことができないため、不正使用を有効に防止することができる。即ち、外周リング40が取り外されているものは、容器蓋本体1がボトル口部50から取り外されたものであることを明示するから、一般の使用者は一目で不正使用を確認することができるからである。
【0014】
またオーバーキャップ2は、天面2aとスカート状側壁2bとを備え、スカート状側壁2bの下端が前記係合用突起26と係合することにより、容器蓋本体1上に固定される。天面2aの内側には、スカート状側壁2bとは間隔を置いてインナーリング2cが形成されており、このインナーリング2cが、前記周状突起25の上端内面と密着することにより、シール性が補強されている。
尚、図1の例では、オーバーキャップ2は、スカート状側壁2bの下端と、周状突起25の外面に設けられている係合用突起26との係合により容器蓋本体1に固定されているが、このような固定手段に限定されるものではなく、例えばスカート状側壁2bを設けず、天面2aに形成されているインナーリング2cが周状突起25内に嵌合することにより固定されるような手段を用いることも可能である。
さらにオーバーキャップ2の天面2aの内側中央部には、ストッパー45が設けられているが、これについては後述する。
【0015】
図1、図3及び図4において、本発明では、下方に湾曲している頂板部5の内面には、これに沿ってライナー材30が半接着状態で設けられており、その中心部には、クロス状のスリット31が形成されている(図4参照)。
図1に示されている様に、容器蓋本体1をボトル口部50に装着した状態において、ライナー材30の周縁部30aは、頂板部5の内面とボトル口部50の上端部分との間にしっかりと挟持されている。この状態で、前述した様にタブ22を手で引っ張ってスコア20を破断すると、開口部形成領域21はタブ22と共にライナー材30から容易に剥離して取り除かれ、形成された開口部には、ライナー材30が露出した状態となる(図3参照)。
尚、スリット31の形状は、図示されたようなクロス状に限定されるものではなく、例えば一本の直線状であってもよい。
【0016】
更に図5及び図6において、図3の状態でボトルをスクイズすると、ボトル内の内圧の上昇によりライナー材30が上方に反転し、スリット31が開き、ボトル内に充填された内容物の吐出が行われるのである。ボトルのスクイズを停止すれば、弾性によりライナー材30は元の下方に湾曲した状態に復帰し、スリット31は閉じた状態になり、内容物の吐出は停止することになる。
【0017】
かかる本発明において、ライナー材30の中央部分30b(開口部形成領域21に面する部分)は、上述したスクイズによる反転及び復帰の動作がスムーズに行われるようにするために比較的薄肉にすることが望ましく、その周縁部30aは、頂板部5の内面とボトル口部50の上端部分との間でしっかりと挟持され且つ十分なシール性が確保される様に比較的厚肉とするのがよい。具体的な厚みは、ライナー材30の材質により、適宜定められる。
【0018】
また本発明においては、ライナー材30は、頂板部5の内面に半接着状態に保持されていることが必要であるが、このような半接着状態は、以下のようにして形成することができる。
即ち、容器蓋本体1は、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン1共重合体等のオレフィン樹脂;アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン(ABS)樹脂;耐衝撃性スチレン樹脂;アクリル樹脂;ナイロン樹脂等のプラスチックから形成されるが、ライナー材30としては、容器蓋本体1を構成するプラスチックとは半接着するようなプラスチックを使用すればよい。例えば、容器蓋本体1としてプロピレンリッチのプロピレン−エチレン共重合体を使用した場合には、ライナー材30として、エチレンリッチのエチレン−プロピレン共重合体乃至ポリエチレンを使用することにより、ライナー材30を半接着状態に設けることができる。また容器蓋本体1を構成するプラスチックと同種のプラスチックに適量の滑剤、例えば天然乃至合成の各種ワックスを配合し、これを用いてライナー材30を成形することにより、半接着状態に設けることも可能である。
【0019】
上記のような材料を使用し、例えば予め射出成形や圧縮成形により所定形状のライナー材30を成形し、これを容器蓋本体用の成形金型内にセットし、射出成形、圧縮成形等によって容器蓋本体1を成形する所謂2色成形により、ライナー材30を頂板部5の内面に半接着状態に設けることができる。
また、上記のような材料を使用して容器蓋本体1とライナー材30とを別個に成形し、成形されたライナー材30を容器蓋本体1内の所定位置に加熱圧着することによっても半接着状態にライナー材30を設けることができる。この場合において、半接着状態に保持されるのは少なくとも頂板部5の内面の開口部形成領域21に面する部分のみでよいから、ライナー材30の加熱圧着に際して、頂板部5の内面の開口部形成領域21の周辺部分に適当な接着剤樹脂を塗布しておき、半接着状態の周囲の部分を強接着とすることもできる。
【0020】
再び図1に戻って、本発明においては、オーバーキャップ2の天面の内側からは、下方に平断面が十字形状のストッパー45が下方に延びている。このストッパー45は、開口部形成領域21に開口が形成されている状態において、ライナー材30の不可抗力による反転を防止し且つスリット31からの内容物の漏洩を防止するためのものであるから、その下端は、可及的にライナー材30のスリット31に近いところに位置するように設けられる。またストッパー45は、少なくとも下端部において断面が十字状となっていればよく、さらに下端部をキノコ形状とすることも勿論可能である。
【0021】
上述した本発明の容器蓋は、容器蓋本体1を殺菌処理した後、内容物が無菌充填されたボトルの口部に装着され、次いで殺菌処理したオーバーキャップ2を容器蓋本体1に装着することにより使用に供される。
【0022】
【発明の効果】
本発明の容器蓋は、弁機能を有するライナー材を備えた容器蓋本体をボトル口部に装着した状態で、該ライナー材に形成されているスリットは完全に閉じられ、ボトル内容物は完全に外部と遮断されている。従ってボトル内容物の変質やフレーバー性の低下等の不都合は有効に防止され、内容物の品質保証機能が極めて優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の容器蓋をスクイズボトル口部と共に示す一部断面側面図。
【図2】図1の容器蓋における容器蓋本体の平面図。
【図3】スコアの破断により開口部形成領域を取り除いて開口部を形成した状態の容器蓋本体を示す図。
【図4】容器蓋本体に半接着状態に保持されているライナー材の平面図。
【図5】ボトルをスクイズして内容物の吐出を行う状態の容器蓋本体を示す図。
【図6】図5の容器蓋本体におけるライナー材のスリットの状態を示す平面図。
【符号の説明】
1:容器蓋本体 2:オーバーキャップ
5:頂板部 6:スカート部
20:スコア 21:開口部形成領域
22:タブ 30:ライナー材
31:スリット 40:外周リング
45:ストッパー 50:容器口部

Claims (4)

  1. スクイズボトルの口部に固定され該ボトルの口部を閉塞する蓋本体と、該蓋本体に着脱自在に設けられるオーバーキャップとから成るスクイズボトル用容器蓋において、
    前記蓋本体は、下方に湾曲している頂板部と、頂板部周縁部から下方に延びているスカート部とから成り、
    前記頂板部の外面には、開口部形成用スコアが形成され、且つ該スコアで囲まれる開口部形成領域にスコア引裂用タブが設けられていると共に、
    前記頂板部の内側には、該頂板部に沿って下方に湾曲した可撓性のライナー材が保持されており、該ライナー材は、少なくとも前記開口部形成領域において、半接着状態で頂板部内面に保持されていると共に、該ライナー材の中心部には、開口形成用のスリットが形成されていることを特徴とするスクイズボトル用容器蓋。
  2. 前記オーバーキャップは、蓋本体上に装着された状態において、前記ライナー材のスリット上に位置し且つライナー材の上方への反転を防止し得るようなストッパーを備えている請求項1に記載の容器蓋。
  3. 前記蓋本体の頂板部外面には、開口部形成領域を取り囲むようにして周状突起が設けられ、該周状突起に前記オーバーキャップが装着される請求項2に記載の容器蓋。
  4. 前記ライナー材は、前記開口部形成領域に面する部分が薄肉であり、その周縁部が厚肉となっている請求項1に記載の容器蓋。
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