JP4126112B2 - 易開栓性中栓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、易開栓性中栓に関するもので、より詳細には中栓の開栓に際して液飛び等が防止されると共に、指による開栓操作も容易に行われる易開栓性中栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
瓶詰め製品においては、流通時の密封性を向上させる目的で、中栓付きキャップが広く使用されている。この中栓付キャップにおいては、開栓性を向上させるため、中栓の内側に把持部材を設けたものも知られている。
【0003】
実開昭51−122855号公報には、有底中空筒部2の開口上端に周方向の鍔部3を一体に張り出し成形された合成樹脂製栓体1の、前記中空筒部2の開口上端若しくはその近傍から中空筒部2内に収まる環状体4を、中空筒部2とに連結片5を介して一体に設けた中栓が記載されている。
【0004】
従来、ワンタッチで開閉操作可能な液体容器用の開閉蓋も既に知られており、例えば、特開平9−30554号公報には、シール用シートと、第一の筒体と、第二の筒体と、キャップとを備え、第一の筒体を容器の口部に螺着可能に形成し、第一の筒体の首部に第二の筒体を開状態と閉状態とにスライドさせうるスライド域を形成し、第一の筒体の頭部にはボタン型のランド部とランド部の周りの液体用の注ぎ口を設けたものが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヒートシール蓋をキャップとは別に施すタイプの容器蓋では、流通時の密封性はかなり良好に維持されるが、キャップの打栓操作に先だって、ヒートシール操作が必要であり、充填密封の工程数が多く、また、装置コストを必要とする点で未だ十分満足しうるものではない。
【0006】
一方、中栓付のキャップでは、中栓及びキャップの構造及び組み合わせを選択することにより、同時に打栓操作を行いうる、即ち中栓をキャップ内にセットして打栓を行いうるという利点があるが、中栓の開栓が必ずしも容易でなく、しかも開栓に際して、液飛びが発生する等の問題を未だ抱えている。
【0007】
即ち、中栓の開栓に際しては、中栓に結合しているリング等の把持部材を指で把持し、これを引き上げることにより開栓を行うが、このタイプの開栓方式では、シールブレークと同時に開栓が進行するため、液面の変化やボトル内容積の変化が急激に進行して、内溶液が容器外に飛び出るという現象が発生しやすい。
また、密封信頼性のある中栓では、中栓の開栓のし易さも問題であり、前述した従来技術にみられる、リングと中栓とを連結片で接続した中栓では、連結片の部分で破断が生じ、開栓操作が失敗するという事態も屡々生じる。
【0008】
従って、本発明の目的は、把持部材による中栓の開栓操作が容易且つ円滑に進行すると共に、開栓に先立ってシールブレークが行われ、その結果として開栓に際しての液飛びが有効に解消された中栓を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、容器口部の頂面と係合するフランジ部と、容器口部の内周面と係合する側壁部と、閉塞底面部とを備えた中栓において、
弧状の把持部材が前記側壁部に一対の離隔した内側が滑らかな連結部を介して一体に設けられ且つ前記把持部材は連結部間の周の内長い方の周の側に延びており、
前記側壁部はその外周に外向きの膨出部を有し、前記把持部材の連結部はその下端を含む面が前記膨出部の一部と交わるように設けられている、
ことを特徴とする易開栓性中栓が提供される。
本発明の中栓においては、一対の連結部が把持部材の反対側で中栓の中心から30乃至110度、特に50乃至100度の開き角度となるように設けられていることが好ましい。
【0010】
【発明の実施形態】
[作用]
本発明による中栓の概略構造を示す図1(斜視図)において、この中栓は、容器口部の頂面と係合するフランジ部1と、容器口部の内周面と係合する側壁部2と、閉塞底面部3とを備えている。この中栓では、弧状の把持部材4が側壁部2に一対の離隔した内側が滑らかな連結部5、5を介して一体に設けられ、しかも把持部材4は連結部5、5間の周a,bの内長い方の周aの側に延びている。
【0011】
上記の把持部材4と側壁部2との連結構造では、これらが連結部5、5の内側において滑らかに接続されているため、連結部5、5の部分は、他の側壁部2や把持部4に比して厚肉であり、把持部4を引っ張ったときにも伸びにくく、引張力が側壁部に伝達されやすい構造となっている。
【0012】
また、本発明による中栓では、把持部材4が連結部5、5間の周a,bの内長い方の周aの側に延びているので、把持部材4による引張力が側壁部2の短い方の周bに集中的に加わり、シールブレークと中栓の開栓とがこの順序に、しかも容易に進行するという利点が得られる。
【0013】
即ち、開栓に際して、把持部材4を指で摘み、開栓方向に引っ張ると、先ず、離隔した一対の連結部5、5が径内方に且つ長い方の周の側に引っ張られ、これにより、側壁部2の外周面と容器口部の内周面とのシールブレークが発生する。次いで、この剥離力は、一対の連結部5、5或いはその近傍の両側から、側壁部2の短い方の周bに沿って、しかも短い方の周bの中心Cに向かって、シール幅が次第に狭まるように開栓操作が進行する。
【0014】
このため、本発明によれば、中栓の開栓に際して、常に中栓のシールブレークが優先して行われ、その後開栓、即ち中栓の取り外しが進行するので、開栓に際して液飛びが発生するのが完全に抑制され、しかも中栓の容器からの取り外し点(短い方の周の中心C)に両側から応力が集中するように開栓が行われるので、開栓操作も至って容易且つ確実に行われるという利点が達成されるものである。
【0015】
本発明に用いる中栓では、密封信頼性の点で、中栓側壁部2はその外周に外向きの膨出部を有することが好ましく、この場合にも、シールブレーク及び開栓が容易に行われるように、把持部材4の連結部5、5はその下端を含む面が前記膨出部の一部と交わるように設けられていることが好ましい。この構成によれば、把持部材による開栓力が直接膨出部に加わるので、開栓操作が円滑に行われる。
【0016】
本発明の中栓では、シールブレークと開栓との間に液飛びを防止するようなタイムラグを設けること、及び易開栓性を維持することに関して、連結部5、5を境界とした長い方の周aと短い方の周bとの間には、一定のバランス(一定の比率)があることが好ましい。即ち、一対の連結部5、5が、把持部材4の反対側で、即ち短い方の周bの側で、中栓の中心から30乃至110度、特に50乃至100の開き角度(θ)となるように設けられていることが好ましい。
【0017】
即ち、この開き角度(θ)が上記範囲よりも小さいと、シールブレークと開栓(中栓の取り外し)とが時間的に近接するため、開栓に際して液飛びが発生する傾向があり、また開栓に際して把持部材の変位量が大きくなりすぎて開栓しにくくなるという傾向もある。一方、この開き角度(θ)が上記範囲よりも大きいと、一対の連結部5、5間の間隔が広くなりすぎて、開栓力が大きくなりすぎ、また中栓の容器からの取り外し点(短い方の周の中心C)に両側から応力が集中するように開栓を行うことも困難となって、易開栓性が損なわれる傾向がある。
【0018】
【実施例】
本発明を次の例を参照しつつ、更に説明する。
添付図面において、
図1は本発明の中栓の斜視図であり、
図2は図1の中栓の側断面図であり、
図3は図1の中栓の上面図であり、
図4は本発明の中栓付容器蓋の好適例を容器口部と共に示す側断面図であり、図5は図4の容器蓋における中空筒と柱状体との関係を示す蓋体の平面図であり、
図6は図4の容器蓋における弁部材の上昇によって注出路が開放され、容器内容液の注出が可能となっている状態を示す側断面図であり、
図7は図4の容器蓋を容器口部に螺合する前の状態を示す側断面図である。
図8は図4の容器蓋の機能を説明するための要部拡大側断面図である。
図9は図4の容器蓋における中栓を取り除いた後に、再び蓋体を容器口部に装着した状態を示す側断面図である。
【0019】
本発明の中栓の一例を示す図1乃至図3において、この中栓は、既に説明したとおり、容器口部の頂面(図4参照)と係合するフランジ部1と、容器口部の内周面(図4参照)と係合する側壁部2と、閉塞底面部3とを備えている。この中栓では、弧状の把持部材4が側壁部2に一対の離隔した内側が滑らかな連結部5、5を介して一体に設けられ、しかも把持部材4は連結部5、5間の周a,bの内長い方の周aの側に延びている。
【0020】
側壁部2は全体として円周状に形成されており、その内周面6は、型抜きが容易に行えるように、下向きに径が小さくなるようなテーパー状に形成されている。一方、その外周面7には、フランジ部2よりも下方に離隔した位置に、径外方向に最も膨出した膨出部8が形成されている。膨出部8の下方には、下向きに径が縮小するテーパー部9が形成されていて、容器口部への打栓が容易に行えるようになっている。
【0021】
一方、把持部材4は、好適には、側壁部2の内径よりも小さな内径の環状部材の一部として形成されており、把持部材4と側壁部2との関係は次のようになっている。即ち、側壁部2を包含する仮想的な環状体Aと、把持部材4を包含しその延長上にある仮想的な環状体Bとを考えると、両者は環状体Aの内周面に環状体Bの内周面が内接する偏心的な位置関係にある。これらの環状体A及びBの内部には成型用の樹脂が充満されており、中栓を形成している。即ち、連結部5、5からの2個の周のうち長い方の周aの部分では側壁部2と把持部材4とが独立に存在するが、短い方の周bの部分では、前記環状体A及びBの両方を包含するように側壁部2の内周面が規定されている。一層具体的には、把持部材4と側壁部とのこの連結構造では、把持部材4の側壁部2への付け根10となる端において、側壁部の厚みが最も大きく、次いで連結部間の中心に向けて厚みが徐々に減少していく部分11があり、連結部間の中心に最も厚みの小さい部分12があり、開栓に際してこの厚みの最も小さい部分12で容器口からの取り外しが容易に行われるようになっている。
【0022】
把持部材4の内周面13は、側壁部2の内周面6とほぼ同様に下向きに径が小さくなるテーパー面を形成しており、また把持部材4の外周面14も下向きに径の小さくなるテーパー面を形成しているが、外周面のテーパー角度の方が大きく、把持部材4の径方向の厚みは下向きに次第に小さくなっている。上記の厚み分布を持たせた把持部材では、成形時の型抜きが容易であり、例えば、把持部材の内周面より内側の型を先ず抜き、次いで外側の型を無理抜きすることにより、型抜きを容易に行うことができる。
【0023】
本発明においては、この場合に決して限定されるものではないが、把持部材4の上面を中栓のフランジ部1の上面と面一になるように設けておくことが好ましい。この構造では、把持部材付中栓の成形が最も容易であると共に、最も厚肉の把持部材上面とフランジ部上面とが接続されることにより、中栓の開栓による取り外しが容易に行われる。
更に、把持部材4の下端縁17を通る面が側壁部外周の膨出部8の少なくとも一部、特に膨出部8の上の部分と交わるような位置関係にしておくことが好ましい。このような配置にすると、開栓に際して、膨出部8を支点として側壁部外周を容器口部から離れやすくすることができ、シールブレークや中栓の取り外しを容易に行うことができる。
【0024】
把持部材4の内周面には、指の掛かりをよくするためのリブ18が2本周方向に伸びるように設けられている。また、把持部材4の中央は成形に際して、2分された樹脂流が合流するウェルドラインとなるが、開栓に際してこの部分が破壊するのを防止するため、相対的に厚肉の補強部を設けてもよい。
【0025】
中栓底面部3の上面の中心には、凹部を形成して、成形時のゲート残留部が露出して指に触れるのを防止するように構成してもよい。
【0026】
この具体例においては、中栓のフランジ部2の外周に、薄肉でしかも幅の狭い延長部22が形成されており、この延長部22は、中栓をキャップ内にセットした状態で同時に打栓を可能にし、中栓を開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しを可能とするものであるが、その作用については、後から詳述する。
【0027】
本発明の中栓において、把持部材4を包含する環状体Bの内径(Rb)は、開栓に際して少なくとも指の挿入が可能となるものである。一般に、Rbは少なくとも13.2mmの径を有することが好ましい。中栓側壁部2を包含する環状体Aの内径(Ra)との関係においても一定の好適範囲があり、Rb/Raの比は、一般に0.19乃至0.86、特に0.44乃至0.80の範囲にあることが望ましい。
【0028】
Rb/Raの比が、上記範囲よりも大きいと、把持部の引張を十分に行うことが窮屈となり、開栓性が低下する傾向があり、一方上記範囲よりも小さいと、指の挿入がやはり窮屈となって、開栓性が低下する傾向がある。
また、把持部材4の径方向の厚みは、上面部で0.70乃至1.05mmの範囲にあることが、開栓性の点で好適である。
【0029】
中栓を構成する樹脂材料は、それ自体公知の任意のプラスチックで形成されていることができるが、比較的柔らかい樹脂材料、例えばオレフィン系樹脂で形成されていることが望ましく、特に弾性率(JIS K7203)が2000乃至10000kg/cm2 のオレフィン系樹脂、特に線状低密度ポリエチレン(LLDPE)や線状超低密度ポリエチレン(LULDPE)から形成されていると、シールブレークと開栓とにタイムラグをもうけた開栓を容易に行うことが可能となる。
【0030】
本発明は、任意の中栓付容器蓋に適用でき、特に流通時には中栓を密栓状態に維持し、内容物の使用時には、中栓のみを取り外すような容器蓋に広く適用することができる。
【0031】
本発明が好適に適用される中栓付容器蓋の一例として、容器口部に螺子締結により着脱自在に装着される合成樹脂製の蓋体と、該蓋体と容器口部上端との間で挟持される合成樹脂製の中栓とから成り、前記蓋体には開閉可能な弁機構が設けられているものを挙げることができる。この場合、前記中栓はフランジ部外周に薄肉周縁部を有する中栓であり、前記蓋体は、水平フランジ部を備えた頂板部と、該水平フランジ部から垂下したスカート部とを備え、前記スカート部の内面には、容器口部の外面に形成された螺条と螺子係合する螺条が形成されていると共に、該螺条よりも上方であって且つ前記水平フランジ部とは小間隔を置いた位置に中栓係止用突起が形成されており、前記水平フランジ部の内面には、該蓋体を容器口部に装着して螺子固定した時に前記薄肉周縁部を下向きに指向させる形状調整用突起が形成されていることが好ましい。
以下この例について説明する。
【0032】
図4において、この容器蓋は、合成樹脂製の蓋体31と、合成樹脂製の中栓32とから構成されており、さらに必要によりオーバーキャップ33を備えている。
蓋体31は、おおまかに言って頂板部35と、スカート部36とから成っている。
頂板部35には水平フランジ部37が形成されており、この水平フランジ部37の外側端部からスカート部36が下方に垂下している。水平フランジ部37の内面には、形状調整用突起38が形成されている。更に形状調整用突起38の内側となる位置に中栓押さえ用の環状突起39を形成しておくのが好ましい。これら突起38,39の機能については後述する。
スカート部36の内面には螺条40が形成されており、この螺条40により、蓋体31が容器口部80へ着脱自在に係合固定される。即ち、容器口部80の外面には、螺条81が形成されており、上記の螺条40とこの螺条81との螺合により、蓋体31が容器口部80に固定される。
また、スカート部36の内面の螺条40よりも上方部分には、水平フランジ部37とは小間隔を置いて中栓係止用突起41が形成されている。この中栓係止用突起41の機能についても後述する。
【0033】
上記の容器蓋において、蓋体31の頂板部35の中央部分には、上方に直立した中空筒45が形成されており、この中空筒45内の中空空間は、頂板部35の下側空間と連通しており、中栓32がなければ、容器内に通じている。
一方、中空筒45内には、柱状体46が上方に延びており、その上端は、中空筒45から突出している。この柱状体46と中空筒45との位置関係を示す平面図を図5に示した。この図5に示されている様に、柱状体46は、一定間隔で設けられているブリッジ47によって中空筒45の内側に保持されており、中空筒45内の空間は、このブリッジ47によっては閉じられておらず、従って、中空筒45の内面と柱状体46の外面との間の空間が注出路48を形成し、この注出路48を通して、内容液の注ぎ出しが行われる。
【0034】
再び図4に戻って、中空筒45には、弁部材50が上下にスライド可能に嵌め込まれている。
この弁部材50の上下動によって、上述した注出路48が開放されたり、或いは閉じられたりするのであり、図6には、この弁部材50が上昇して注出路48が開放された状態の側断面図を示した。
図4と共に図6を参照して、弁部材50は、天井壁51と、天井壁51から下方に延びているインナーリング52及び外側筒状壁53とから構成されており、インナーリング52と外側筒状壁53との間に中空筒45がスライド可能に嵌め込まれている。また天井壁51の中央部分には、開口54(図6参照)が形成されている。
【0035】
即ち、図4に示されている様に、弁部材50が最下方位置にある時(常態)には、柱状体46の上端部が開口54を閉じており、従って、この状態では、注出路48が塞がれ、内容液の注出を行うことができない。一方、図6に示した様に、弁部材50を上昇させると、開口54が開放され、注出路48が外部に通じる。従って、この状態で内容液の注ぎ出しを行うことが可能となるわけである。
このような構造では、一般の需要者は、例えば片手で容器を持ちながら、口で弁部材50を引っ張り上げることができるので、飲料などの容器内容液を喫飲する上で極めて便利である。
【0036】
特に図6を参照して、弁部材50の外側筒状壁53の下端内面には、アンダーカット55が形成されており、一方、中空筒45の上方部分外面には段差部57を設けることが好ましい。
即ち、上記段差部57とアンダーカット55との係合により、弁部材50が上昇し過ぎて外れてしまうというトラブルを防止できる。
【0037】
また図4から明らかな様に、本発明の容器蓋は、衛生性、商品価値、或いはホットパック後の冷却による水の侵入等を防止するなどの点で、オーバーキャップ33を設けた形で市販に供される。このために、頂板部35の中空筒45の外側部分には、ほぼ直立した段差部60を形成しておき、この部分にオーバーキャップ33を係止する様な構造とすることが望ましい。
【0038】
中栓32の構造は、既に図1乃至3を引用して説明したとおりのものである。
本発明においては、中栓32に薄肉周縁延長部22が形成されていることが重要であり、この薄肉周縁部22と蓋体スカート部36の内面に形成されている中栓係止用突起41との係合関係が、蓋体頂板部35の水平フランジ部37の内面に形成されている形状調整用突起38によりコントロールされ、キャッピング前では、中栓32が蓋体31内に安定に保持され、キャッピング終了後、蓋体31の開封にあたっては、中栓32の保持が解除され、中栓32と分離して蓋体31のみを容器口部上端80aから取り除くことができるのである。
以下、この薄肉周縁部22と形状調整用突起38との機能を図7と共に図8を参照して説明する。
【0039】
本発明の容器蓋では、キャッピングに先立って中栓32は蓋体31内に挿入されるが、この状態において、中栓32の薄肉周縁部22は、図7に示されている様に、蓋体スカート部36の内面に形成されている中栓係止用突起41と係合するようになっている。従って、中栓32の蓋体31からの脱落が有効に防止され、キャッピング工程への搬送及びキャッピングを確実に行うことができる。
【0040】
次いで、図7の状態で、内容液が充填された容器の口部80へのキャッピングが行われる。蓋体31を閉栓方向に旋回させてキャッピングを行っていくと、蓋体31の降下によって中栓32も押し下げられ、キャッピング終了時には、図8に示されている様に、中栓32は容器口部80内に嵌め込まれる。
容器口部80内に嵌め込まれた中栓32では、その筒状側壁2が容器口部80によって絞られているから、薄肉周縁部22の外径(中栓32の最外径)は若干縮小している。
また、この状態において、水平フランジ部37の内面に形成されている中栓押さえ用の環状突起39は、中栓32の水平環状部(フランジ)にがっちりと食い込み、従って、中栓32はしっかりと容器口部80に固定され、密封が確実なものとなる。
一方、中栓の水平環状部(フランジ部)の外側に位置している薄肉周縁部22には、その付け根部分乃至その近傍に形状調整用突起38が食い込み、この結果、薄肉周縁部22が下向きの状態に傾斜し、その外径は一層小さくなっている。即ち、キャッピングが完全に終了した図8の状態では、薄肉周縁部22の外径が小さくなっているため、このままの状態で蓋体31を上昇させた時、薄肉周縁部22は、中栓係止用突起41とは係合しないようになっている。
【0041】
図8のように蓋体31及び中栓32が容器口部80に装着された容器は、この状態で市販され、これを購入した一般需要者は、先ず、蓋体31を開栓方向に旋回させて蓋体31を上昇させ、蓋体31を容器口部80から取り除く。
蓋体31を開栓方向に旋回して上昇させると、当然のことながら、形状調整用突起38による薄肉周縁部22の押圧賦勢は解除される。ところで、キャッピング終了時から一般の需要者が蓋体31の開栓を行うまでは長時間が経過しており、この間、ずっと図8に示された形状調整用突起38による薄肉周縁部22の押圧賦勢が行われている。薄肉周縁部22は合成樹脂製であり、薄肉であることも関連して、極めて変形し易い。即ち、一般需要者が蓋体31を開栓する時点では薄肉部22は永久変形しており、形状調整用突起38による押圧賦勢が解除された後も、薄肉周縁部22は下向きの状態のままの形状を保持しており、依然として、薄肉周縁部22の外径は、図8のように小さいままになっている。従って、蓋体31が開栓により上昇しても、中栓係止用突起41は薄肉周縁部22と接触せず、両者の係合は生じないのである。
かくして本発明によれば、蓋体31の開栓によって、蓋体31のみが上昇して容器口部80から取り除かれ、中栓32は、容器口部80にそのまま残存することになる。
【0042】
蓋体31を容器口部80から取り除いた後は、既に説明したとおり、把持部材4を手で持って引っ張り上げることにより、容器口部80に残存している中栓32を取り出して廃棄する。 次いで、再び蓋体31を容器口部80に装着する。この状態を図9に示した。
図9から明らかな通り、中栓32を取り除いた容器口部80に蓋体31を装着すると、形状調整用突起38及び中栓押さえ用の環状突起39が容器口部上端80aに圧接することになり、特に突起39が環状に形成されていることから、容器内の密封性は十分に確保される。
また、この状態では、容器内空間は蓋体31に形成されている注出路48に連通しているため、一般の需要者は、弁部材50を上昇させて内容液の注ぎ出し、或いは喫飲を行うことができ、弁部材50を降下させることにより、注出路48を閉じることができる。
【0043】
上述した本発明において、形状調整用突起38は、押圧賦勢により中栓32の薄肉周縁部22が全体的に下向きとなるように設定すべきであり、このために、この形状調整用突起38はリング状に形成されていることが好ましい。この場合には、中栓32を取り除いた容器口部80に蓋体31を装着したときの密封性の点でも有利である。形状調整用突起38をリング状に形成した場合には、中栓32を除去した後のシール性が、形状調整用突起38と容器口部上端80aとの圧着により確保されるため、前述した中栓押さえ用突起39を形成しないでもよいこともある。勿論、薄肉周縁部22が全体的に下向きとなる限りにおいて、適当な間隔で多数の突起38をリング状にバランスよく配置することもできる。また、形状調整用突起38の位置は、図8に示されている様に、容器口部80内に嵌め込まれた中栓2の薄肉周縁部22の付け根部或いはその近傍で、該突起38が薄肉周縁部22に当接するような位置とするのがよい。このような位置に形状調整用突起38を配置した時に、押圧賦勢による薄肉周縁部22の下向き化を最も有効に行うことができる。従って、形状調整用突起38の位置は、容器口部80内に中栓2を嵌め込んだ時に生じる薄肉周縁部22の外径の縮小の程度も考慮して設定すべきである。
【0044】
また形状調整用突起38の内側の中栓押さえ用環状突起39は、容器口部80内に嵌め込まれた中栓32の水平環状部(フランジ部)1を容器口部上端80aと接触し得る位置に配置する。更に、この突起39は、蓋体31をリシールした時に容器口部上端80aと密着し、これにより、密封性を確保するという機能を有するものである。従って、この突起39は環状でなければならない。尚、形状調整用突起38をリング状に形成した場合には、この中栓押さえ用環状突起39は必ずしも必須でないことは前述した通りである。
【0045】
また、薄肉周縁部22の厚みや長さ等も、形状調整用突起38の押圧賦勢による下向き化及びその永久変形が有効に行われ、且つ、この下向きの永久変形によって、中栓係止用突起41と薄肉周縁部22との係合が生じない様に設定される。例えば、薄肉周縁部22の厚みは、100乃至200μm 程度が好適である。また、容器口部80内に中栓32が嵌合された状態において、薄肉周縁部22と容器口部上端80aとの間には、下向き化に十分な空間が形成されているべきであり、この点を考慮すると、薄肉周縁部22が連なっている水平環状部1の厚みは、少なくとも0.5mm以上とするのが好ましい。
【0046】
また上述した構造の蓋体31及びオーバーキャップ33は、種々のプラスチックにより形成することができる。具体的には、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン1共重合体等のオレフィン樹脂;アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン(ABS)樹脂;耐衝撃性スチレン樹脂;アクリル樹脂;ナイロン樹脂等、特に好ましくは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を例示することができ、これらのプラスチックを用いての射出成形、圧縮成形等により、各部材を成形することができる。
【0047】
本発明の中栓付容器蓋は、キャッピング前の段階では中栓を容器蓋内に保持し、キャッピング後に容器蓋を容器口部から取り外すと中栓が容器口部に残るタイプの容器蓋に有効であり、図4等に示した構造のプッシュプルタイプのキャップとして、各種の飲料を充填したスクイズボトルに特に有効に適用される。
また、蓋体の構造も、図4に示した構造の限定されるものではなく、種々の形状乃至構造で内容物注出用開口が形成されたものであってよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、中栓の側壁部に把持部材を特定の関係に設けることにより、把持部材による中栓の開栓操作が容易且つ円滑に進行すると共に、開栓に先立ってシールブレークが行われ、その結果として開栓に際しての液飛びが有効に解消されるという利点がある。
また、上記中栓を容器蓋と共に同時に容器口部に締結させて密封を行うことが可能であり、中栓を開栓する際には、それに先だってキャップのみの取り外しが可能で、打栓作業性や開封のし易さにおいても優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中栓の斜視図である。
【図2】図1の中栓の拡大側断面図である。
【図3】図1の中栓の上面図である。
【図4】本発明の中栓付容器蓋の好適例を容器口部と共に示す拡大側断面図である。
【図5】図4の容器蓋における中空筒と柱状体との関係を示す部分平断面図である。
【図6】図4の容器蓋における弁部材の上昇によって注出路が開放され、容器内容液の注出が可能となっている状態を示す側断面図である。
【図7】図4の容器蓋を容器口部に螺合する前の状態を示す側断面図である。
【図8】図4の容器蓋の機能を説明するための要部拡大側断面図である。
【図9】図4の容器蓋における中栓を取り除いた後に、再び蓋体を容器口部に装着した状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 蓋体
2 中栓
3 オーバーキャップ
5 頂板部
6 スカート部
7 水平フランジ部
8 形状調整用突起
9 中栓押さえ用環状突起
11 中栓係止用突起
15 中空筒
16 柱状体
18 注出路
20 弁部材
38 水平環状部
40 薄肉周縁部
50 容器口部
Claims (2)
- 容器口部の頂面と係合するフランジ部と、容器口部の内周面と係合する側壁部と、閉塞底面部とを備えた中栓において、
弧状の把持部材が前記側壁部に一対の離隔した内側が滑らかな連結部を介して一体に設けられ且つ前記把持部材は連結部間の周の内長い方の周の側に延びており、
前記側壁部はその外周に外向きの膨出部を有し、前記把持部材の連結部はその下端を含む面が前記膨出部の一部と交わるように設けられている、
ことを特徴とする易開栓性中栓。 - 一対の連結部が把持部材の反対側で中栓の中心から30乃至110度の開き角度となるように設けられている、請求項1記載の易開栓性中栓。
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