JP3817058B2 - 2剤式化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用時に混合すると発熱を伴う2剤式化粧料に関し、さらに詳しくは、混合した時の発熱性やその持続性に優れ、かつ優れたコンディショニング効果を付与し得る、皮膚や頭髪に適用できる2剤式化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、油分や界面活性剤がもつコンディショニング効果を利用して、皮膚や頭髪に、潤いや滑らかさを付与し、その保護ないし状態の改善を図る目的のトリートメント用化粧料が数多く報告されているが、さらにコンディショニング効果を改善させるべく種々の検討がなされている。
【0003】
また、使用時に水と混合することにより発熱する化粧料が知られており、特開昭57−75909号公報によれば、化粧料中に水と接したときに希釈熱、溶解熱または反応熱などの熱を発生する物質が利用できるとされている。さらに、その他数多くの具体的な技術が開示されており、例えば、ポリエチレンオキサイドと炭素数2〜9のアルキレングリコールとを必須の成分とするコンディショニング頭髪用化粧料(特開昭56−77216号公報)や、多価アルコール、アニオン性高分子化合物、および水溶性非イオン性高分子化合物を含有する皮膚用ゲル状組成物(特開平2−311408号公報)、水と混合したときに発熱する塩と増粘剤の混合物、およびポリエチレングリコールなど25℃において液体である成分を使用時に水の存在下において混合させる毛髪用コンディショニング組成物(特開平7−69835号公報)などが挙げられる。
しかし、従来の発熱型化粧料によるトリートメント効果の付与は、発熱型の特性が十分に発揮されているとは言えず、さらなる改善が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発熱することによって、皮膚・頭髪へのコンディショニング性を改善し得る2剤式化粧料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、水と混合すると発熱する無機塩および無機酸化物から選ばれる化合物、ならびに油分を含有する1剤(A)と、多価アルコールを含有する2剤(B)とからなる化粧料が、使用時にこれらの(A)と(B)とを混合すると、発熱性、発熱持続性、および優れたコンディショニング性を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、水と混合すると発熱する無機塩および無機酸化物から選択される化合物、ならびに油分を含有する1剤(A)と、多価アルコールを含有する2剤(B)とからなり、使用時に(A)と(B)とを混合することによって(A)が(B)中の水あるいは水分と接触し、発熱することを特徴とする2剤式化粧料を提供するものである。
【0007】
本発明によれば、使用時に持続的に発熱し、優れたコンディショニング効果を皮膚や頭髪に付与し得る2剤式化粧料が提供できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の1剤(A)に用いる無機塩または無機酸化物としては、2剤中の多価アルコールまたは他から由来する水と混合すると発熱するものであればよく、限定されるものではない。ここにおいて「水と混合すると発熱する」とは、1剤(A)中の無機塩または無機酸化物が、2剤(B)中に含有される水あるいは、多価アルコール中の水分と混合される時に生じる溶解熱、水和熱などにより発熱することを意味し、このような無機塩または無機酸化物としては特に限定されるものではないが、例えば、2価金属の塩、2価金属の酸化物が好ましく、中でも塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウムが好ましく、これらの無水物が特に好ましく、無水塩化カルシウムが最も好ましい。これらの無機塩または無機酸化物は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、特に限定はしないが、例えば1種または2種以上の合計量として1剤全量に対して、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜25%重量である。
さらに、無機塩または無機酸化物は、平均粒径150μm以下とすると、発熱性が高まるので好ましい。
【0009】
本発明の1剤(A)に用いる油分としては、頭髪や皮膚へのコンディショニング性を有するものであれば、特に限定はせず、例えば、オリブ油、ヒマシ油、ヤシ油、大豆油、綿実油などの油脂、液状ラノリン、ラノリン、ホホバ油、ミツロウなどのロウ類、流動パラフィン、スクワランなどの炭化水素、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸、セチルアルコール、オレイルアルコール、2−オクチルドデカノールなどの高級アルコール、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、パルミチン酸オクチル、アジピン酸ジイソブチル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンなどのエステル油、が挙げられ、ロウ類や高級アルコール、エステル油が好ましく、特にエステル油が好ましい。
これら油分は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、特に限定はしないが、例えば1種または2種以上の合計量として1剤(A)全量に対して、10〜75重量%、好ましくは20〜60重量%、さらに好ましくは30〜50%重量である。
【0010】
本発明の(B)に用いられる多価アルコールは、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、商業的に入手できる通常のものであればよく、例えばエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビット、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、特に1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、分子量200〜600のポリエチレングリコールが好ましい。これらの商業的に入手できる多価アルコールには、通常、水分が存在している。
これら多価アルコールは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、特に限定はしないが、例えば1種または2種以上の合計量として2剤(B)全量に対して80重量%以上である。
【0011】
本発明の2剤式化粧料は、2剤(B)中には、20重量%以下、好ましくは10重量%以下の水が配合されていてもよい。また、水を配合しない場合でも、2剤(B)に配合される多価アルコールの工業原料中に初めから存在する水との作用により本発明の2剤式化粧料は発熱する。
本発明の2剤式化粧料の1剤(A)と2剤(B)とは、約5:1〜1:5、好ましくは2:1〜1:2の容量比の範囲で使用時に混合して用いる。例えば入浴時に、1剤(A)と2剤(B)とを所望の容量比で混合して、水が付着しているかまたは乾燥した皮膚または頭髪に直接適用できる。また、本発明の2剤式化粧料は、皮膚・頭髪に塗布したまま使用する化粧料、または塗布して一定時間放置した後に水で洗い流す化粧料とすることができる。
【0012】
本発明の2剤式化粧料は、使用時に1剤(A)と2剤(B)とを混合することによって発熱することを特徴とする2剤式化粧料であり、常法によって均一に混合、分散することで、種々の形態に製造することができ、ボディーリンス、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアクリームなどとして使用することができる。
【0013】
さらに、本発明の2剤式化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、アニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤、高分子シリコーンおよびシリコーン誘導体、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属封鎖剤、香料、色素などの公知の成分を適宜配合してもよい。
【0014】
【実施例】
次に実施例を挙げ本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。尚、以下において、「%」は「重量%」を示す。
【0015】
下記の表1に示す実施例1〜2および比較例1〜4の処方に従ってヘアトリートメント、ならびに表2に示す実施例3、4および比較例5〜7のボディーリンスを調製し、専門パネラー5名に通常の方法で使用させて、発熱評価および使用感評価を行なった。
1.発熱評価
(1)評価項目
i)発熱効果
ii)発熱持続効果
(2)判定基準
○:3名以上が「効果あり」と評価
△:2名が「効果あり」と評価
×:1名以下が「効果あり」と評価
【0016】
2.使用感評価
(1)評価項目
i)頭髪のしなやかさ
ii)皮膚への保湿感
(2)判定基準
○:3名以上が「良い」と評価
△:2名が「良い」と評価
×:1名以下が「良い」と評価
3.総合評価
○:発熱効果、発熱持続効果、頭髪のしなやかさ、または皮膚への保湿感の評価の全てが○のもの。
×:上記で○以外のもの。
これらの評価結果を表1および表2に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
表1および表2から明らかなように、本発明の2剤式化粧料は、皮膚または頭髪に適用すると良好な発熱効果およびその持続効果、優れたコンディショニング効果を示した。
【0020】
実施例5 ヘアトリートメント
<1剤>
成分 配合量(%)
オクタン酸セチル 50.0
ラノリン 10.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 5.0
無水塩化カルシウム 20.0
無水ケイ酸 5.0
高重合メチルポリシロキサン(平均分子量:5000) 2.0
メチルポリシロキサン(20cs) 8.0
合計 100.0
<2剤>
成分 配合量(%)
プロピレングリコール 97.0
ラウリルベタイン 3.0
合計 100.0
上記処方に従ってヘアトリートメントを調製し、1剤:2剤を1:1で混合して、通常のヘアトリートメントの使用方法に従って適用したところ、発熱性、発熱持続性、および毛髪のコンディショニング性に優れることが確認できた。
【0021】
実施例6 ヘアクリーム
<1剤>
成分 配合量(%)
パルミチン酸イソプロピル 55.0
ワセリン 10.0
自己乳化型ステアリン酸グリセリン 5.0
無水塩化カルシウム 20.0
高重合メチルポリシロキサン(平均重合度n=5000) 1.5
メチルポリシロキサン(20cs) 8.5
合計 100.0
<2剤>
成分 配合量(%)
ポリエチレングリコール(分子量400) 85.0
ポリエチレングリコール(分子量4000) 5.0
水 10.0
合計 100.0
上記処方に従ってヘアクリームを調製し、1剤:2剤を5:1で混合して、通常のヘアクリームの使用方法に従って適用したところ、発熱性、発熱持続性および毛髪のコンディショニング性に優れることが確認できた。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、使用時に2剤を混合することによって発熱し、またその発熱の持続効果も高く、優れたコンディショニング効果を皮膚・頭髪に付与する化粧料が提供できる。
Claims (4)
- 水と混合すると発熱する無機塩および無機酸化物から選択される化合物、ならびに油分を含有する1剤(A)と、多価アルコールおよび2剤(B)全量に対して10重量%以下の水を含有する2剤(B)とからなり、使用時に(A)と(B)とを5:1〜1:2の容積比の範囲で混合することによって発熱することを特徴とする2剤式化粧料。
- 1剤(A)中の発熱する無機塩または無機酸化物が、2価金属の塩および2価金属の酸化物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の2剤式化粧料。
- 1剤(A)中の発熱する無機塩または無機酸化物が、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、および酸化カルシウムよりなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2いずれか1項記載の2剤式化粧料。
- 2剤(B)中の多価アルコールが、分子量200〜600であるポリエチレングリコール、プロピレングリコール、および1,3−ブチレングリコールよりなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の2剤式化粧料。
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