JP3817053B2 - 非水系化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系化粧料に関し、さらに詳しくは、皮膚や頭髪の改質成分の吸着・付着性(以下、「収着性」と称する。)を改善し、優れたコンディショニング効果を持続的に付与し得る、使用時に水または湯と混合して用いる発熱型の非水系化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、油分や界面活性剤がもつコンディショニング効果を利用して、皮膚や頭髪に、潤いや滑らかさを付与し、その保護ないし状態の改善を図る目的のトリートメント用化粧料が数多く報告されているが、さらにコンディショニング効果を改善させるべく種々の検討がなされている。
【0003】
また、使用時に水と接触することにより発熱する化粧料が知られており、特開昭57−75909号公報によれば、化粧料中に水と接したときに希釈熱、溶解熱または反応熱などの熱を発生する物質が利用できるとされている。さらに、その他数多くの具体的な技術が開示されており、例えば、ポリエチレンオキサイドと炭素数2〜9のアルキレングリコールとを必須の成分とするコンディショニング頭髪用化粧料(特開昭56−77216号公報)や、多価アルコール、アニオン性高分子化合物、および水溶性非イオン性高分子化合物を含有する皮膚用ゲル状組成物(特開平2−311408号公報)、水と混合したときに発熱する塩と増粘剤の混合物、およびポリエチレングリコールなどの25℃において液体である成分を使用時に水の存在下において混合させる毛髪用コンディショニング組成物(特開平7−69835号公報)などが挙げられる。
しかし、従来の発熱型化粧料によるトリートメント効果の付与は、発熱型の特性が充分に発揮されているとは言えず、さらなる改善が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、皮膚・頭髪への改質成分の収着性を改善し、コンディショニング効果を持続的に付与し得る、使用時に水と接触することにより発熱する非水系化粧料に関する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、特定の油類、無機塩または無機酸化物、および界面活性剤を含んでなる非水系化粧料が、使用時に水と混合して皮膚・毛髪に適用することにより優れたコンディショニング効果(潤い、滑らかさなど)を付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、(A)25℃において液状である油類と、(B)水と混合すると発熱する無機塩および無機酸化物から選択される化合物と、(C)非イオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤から選択される界面活性剤とを含んでなり、使用時に水と混合することによって発熱することを特徴とする非水系化粧料を提供するものである。
【0007】
本発明によれば、使用時の発熱効果によって改質成分の収着性が改善され、持続性の向上した優れたコンディショニング効果を皮膚・頭髪に付与することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる(A)液状の油類は、常圧下、25℃にて液状である油類であればいずれのものでもよく、特に限定されるものでないが、例えば、オリブ油、大豆油、綿実油などの油脂類、液状ラノリン、ホホバ油などのロウ類、流動パラフィン、スクワランなどの炭化水素油、イソステアリン酸、オレイン酸などの側鎖を有する高級脂肪酸または不飽和高級脂肪酸、オレイルアルコール、2−オクチルドデカノールなどの不飽和高級アルコールまたは側鎖を有する高級アルコール、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸オクチルなどのモノエステル油、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸ポリプロピレングリコールオリゴエステル(35P.O.)などのジエステル油、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンなどのトリエステル油のようなエステル油が例示でき、好ましくはロウ類、高級アルコール、またはエステル油であり、特にエステル油が好ましい。これらの液状の油類は1種または2種以上を組合わせて配合することができ、その配合量は、特に限定されるものではないが、例えば、1種または2種以上の合計量として非水系化粧料全量に対して、10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%、さらに好ましくは30〜50重量%である。液状の油類の配合量が10重量%に満たないとコンディショニング効果が十分に発揮されず、また70重量%を超えると感触が損なわれるので好ましくない。
【0009】
また、本発明では、液状の油類を、モノエステル油と、ジエステル油およびトリエステル油から選択されるエステル油の1種以上とを組合わせたものとすることにより、べたつきを抑えると共に艶を付与する効果がある。好ましい組み合わせの例は、モノエステル油としてはオクタン酸セチル、ジエステル油としてはアジピン酸ジブチルであり、この場合の構成比率はモノエステル油に対してジエステル油またはトリエステル油が、5:1〜1:2、好ましくは4:1〜1:1である。
【0010】
本発明に用いる(B)無機塩または無機酸化物としては、水と混合すると発熱するものであればいずれのものでもよく、ここにおいて「水と混合すると発熱する」とは、無機塩または無機酸化物が水と混合される時に生じる溶解熱、水和熱などにより発熱することを意味し、このような無機塩または無機酸化物としては特に限定されるものではないが、例えば、2価金属の塩、2価金属の酸化物が好ましく、中でも塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウムが好ましく、これらの無水物が特に好ましく、無水塩化カルシウムが最も好ましい。これらの無機塩または無機酸化物は1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、通常、1種または2種以上の合計として非水系化粧料全量に対して5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜25重量%である。
さらに、これらの無機塩または無機酸化物は、平均粒径150μm以下とすると、発熱性を高めることができるので好ましい。
【0011】
本発明に用いる(C)界面活性剤のうちの非イオン性界面活性剤としては、モノステアリン酸プロピレングリコールなどのプロピレングリコール脂肪酸エステルやモノステアリン酸グリセリルなどのグリセリン脂肪酸エステル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル(15E.O.)などのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル、モノオレイン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60E.O.)などのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)などのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(9E.O.)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミン(5E.O.)などのポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられ、また、カチオン性界面活性剤としては、塩化セチルトリメチルアンモニウムや塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウムなどを挙げることができる。これらの非イオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤は親水性の高いものが好ましく、非イオン性界面活性剤にあっては特にHLB値10以上のものが好ましい。また、これらの非イオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することができ、その配合量は、1種または2種以上の合計量として非水系化粧料全量に対して、1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、さらに好ましくは5〜10重量%である。これらの界面活性剤の配合量が1重量%に満たないとコンディショニング効果が十分に発揮されず、また20重量%を超えても増量に相応したコンディショニング向上効果が得られない。
【0012】
本発明の非水系化粧料は、使用時に水と混合すると発熱することを特徴とするものであるが、ここに「水と混合すると発熱する」とは、本発明の非水系化粧料により、使用時に混合した水または湯の温度を上昇せしめることを意味する。
【0013】
また、本発明の非水系化粧料には、さらに使用感の向上の1つとして化粧料の延展性の改善を図るために、(D)25℃においてワックス状である油性成分を配合することができる。このワックス状の油性成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、ワックス状の高級脂肪酸、高級アルコール、トリグリセリド、ラノリン誘導体、炭化水素、エステル油、ミツロウやサラシミツロウ、キャンデリラロウ、モクロウ、モンタンワックスなどを挙げることができ、特に、ワックス状のラノリン誘導体、ミツロウ、サラシミツロウ、キャンデリラロウ、モクロウ、モンタンワックスが好ましい。
これらのワックス状の油性成分は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、例えば、1種または2種以上の合計量として非水系化粧料全量に対して、1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、さらに好ましくは5〜10重量%である。これらの油性成分の配合量が1重量%に満たないか、または20重量%を超えると化粧料の延展性を向上できないので好ましくない。
【0014】
本発明は、水と混合すると発熱することを特徴とする非水系化粧料であるが、水と混合した時に化粧料が均一に混合できたかを確認する手段(マーキング)として、さらに(E)水溶性色素を配合することができる。但し、本発明の化粧料を製造する際、水溶性色素を配合する前に必ず(B)無機塩または無機酸化物を配合しておく。無機塩または無機酸化物が配合されることにより、化粧料中に含まれる微量の水が吸収され、水溶性色素を配合しても化粧料を着色せず、使用時に水またはお湯と混合することにより着色する。
本発明に用いる水溶性色素としては、特に限定されるものではないが、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色106号、赤色201号、赤色213号、赤色214号、赤色227号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色203号、黄色402号、黄色406号、黄色407号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、青色1号、青色202号、青色203号、青色205号、かっ色201号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、紫色401号、黒色401号などを挙げることができる。これらの水溶性色素は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
本発明の非水系化粧料は、入浴時などに、水が付着した皮膚または頭髪に直接適用してその水と混合するか、または使用直前に容器などに採った水と混合した後に皮膚または頭髪に適用することができる。本発明の非水系化粧料は、皮膚・頭髪に塗布したまま使用する化粧料、または塗布した後に水で洗い流して使用する化粧料とすることができる。また、本発明の非水系化粧料は、増粘剤などの成分を含む水を主成分とする水系化粧料とペアにして、使用時にこれらを混合する2剤型化粧料として提供することもできる。
【0016】
本発明の非水系化粧料は(A)25℃において液状である油類と、(B)水と混合すると発熱する無機塩または無機酸化物と、(C)非イオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤から選択される界面活性剤とを、自体公知の方法によって均一に混合、分散することで、液状、乳液状、クリーム状など種々の形態に製造することができ、ボディーリンスやボディーローション、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアクリームなどとして使用することができる。
【0017】
さらに、本発明の非水系化粧料には、その性能を損なわない範囲で、水以外の成分、例えば、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤、高分子シリコーンおよびシリコーン誘導体、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属封鎖剤、香料などの公知の成分を適宜配合してもよい。
【0018】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。尚、以下において、「%」は「重量%」を示す。
発熱評価および使用感評価
・評価方法:下記表1の実施例1〜3の化粧料を調製し、専門パネラー5名に使用させて発熱評価および使用感評価を行った。
<発熱評価>
・判定基準
◎:4名以上が「温かい」と評価
○:3名が「温かい」と評価
△:2名が「温かい」と評価
×:1名以下が「温かい」と評価
<使用感評価>
・評価項目
a.皮膚の感触(べたつき感のなさ)
b.毛髪のなめらかさ
c.毛髪への艶付与
d.皮膚・毛髪へのなじみやすさ
・判定基準
◎:4名以上が「良い」と評価
○:3名が「良い」と評価
△:2名が「良い」と評価
×:1名以下が「良い」と評価
・総合評価
○:皮膚の感触(べたつき感のなさ)、毛髪のなめらかさ、毛髪への艶付与、の3項目の判定基準が◎または○を満たすもの。
×:上記の○以外。
これらの結果を、まとめて表1に示す。
【0019】
【表1】
Figure 0003817053
【0020】
上記表1から明らかなように、本発明の非水系化粧料は、皮膚または頭髪へ適用すると、良好な発熱効果および優れたコンディショニング効果を示した。
【0021】
実施例4 ヘアトリートメント
成 分 配合量
オクタン酸セチル 40.00%
アジピン酸ジブチル 10.00%
流動パラフィン 10.00%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 5.00%
無水塩化カルシウム 20.00%
ミツロウ 5.00%
高重合メチルポリシロキサン ( 重合度n=5000 ) 2.00%
メチルポリシロキサン ( 20cs ) 8.00%
合 計 100.00%
【0022】
実施例5 2剤式ヘアトリートメント
<1剤>
成 分 配合量
ミリスチン酸イソプロピル 49.99%
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン 20.00%
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 3.00%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 2.00%
無水塩化マグネシウム 15.00%
キャンデリラロウ 10.00%
メチルポリシロキサン ( 5000cs ) 4.00%
青色1号 0.01%
合 計 100.00%
<2剤>
成 分 配合量
精製水 98.00%
高重合ポリエチレングリコール ( 平均分子量30万 ) 2.00%
合 計 100.00%
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、水混合時に発熱することによって、持続性の高い優れたコンディショニング効果を皮膚・頭髪に付与し得る化粧料が提供される。

Claims (8)

  1. (A)25℃において液状である、モノエステル油と、ジエステル油およびトリエステル油から選択される1種以上との組合せである油類と、(B)水と混合すると発熱する無機塩および無機酸化物から選択される化合物と、(C)非イオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤から選択される界面活性剤とを含んでなり、使用時に水と混合することによって発熱することを特徴とする頭髪適用用の非水系化粧料。
  2. (B)が、2価金属の塩および2価金属の酸化物よりなる群から選択される化合物であることを特徴とする請求項1記載の非水系化粧料。
  3. (B)が、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、および酸化カルシウムよりなる群から選択される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系化粧料。
  4. B)の化合物が、平均粒径150μm以下の粒子であることを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載の非水系化粧料。
  5. C)が、親水性界面活性剤であることを特徴とする請求項1−4のいずれか1項に記載の非水系化粧料。
  6. さらに、(D)25℃においてワックス状である油性成分を含んでなることを特徴とする請求項1−5のいずれか1項に記載の非水系化粧料。
  7. さらに、(E)水溶性色素を含んでなることを特徴とする請求項1−6のいずれか1項に記載の非水系化粧料。
  8. 前記請求項1−7のいずれか1項に記載の非水系化粧料と、水系化粧料とからなる2剤型化粧料。
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