JP3816638B2 - 化学増幅型レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な化学増幅型レジスト組成物、さらに詳しくは、コントラストに優れ、高解像性、高残膜率及び高感度を有する上、レジストパターン形状、引き置き経時安定性が優れた化学増幅型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子や液晶素子などの製造においては、化学増幅型レジスト組成物が使用されるようになってきた。この化学増幅型レジスト組成物は、放射線の照射により生成した酸の触媒作用を利用したレジストであって、高い感度と解像性を有し、放射線の照射により酸を発生する化合物すなわち酸発生剤の使用量が少なくてよいという利点を有している。
【0003】
この化学増幅型レジストにはポジ型とネガ型の2つのタイプがあり、これらは、一般に、酸発生剤と、発生する酸の作用によりアルカリ水溶液に対する溶解性が変化する被膜形成成分とを基本成分としている。
【0004】
前記ポジ型レジストにおいては、被膜形成成分として、通常tert‐ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基などの溶解抑制基で水酸基の一部を保護したポリヒドロキシスチレンなどが用いられており、一方、ネガ型レジストにおいては、被膜形成成分として、通常上記溶解抑制基で水酸基の一部を保護したポリヒドロキシスチレン、あるいはポリヒドロキシスチレンやノボラック樹脂などの樹脂成分に、メラミン樹脂や尿素樹脂などの酸架橋性物質を組み合わせたものが用いられている。
【0005】
このような化学増幅型レジストの酸発生剤として、ジアゾメタン化合物を用いることが試みられているが(特開平3−103854号公報、特開平4−210960号公報、特開平4−217249号公報)、酸解離性基を有するジアゾメタン化合物は、これまで用いられていない。
【0006】
これまで、化学増幅型レジストの酸発生剤として、酸解離性基を有する酸発生剤は知られているが(特開昭64−26550号公報、特開昭64−35433号公報)、これらはすべてオニウム塩系の酸発生剤であり、このようなオニウム塩系の酸発生剤を用いたレジストは、定在波の影響を受けやすく、レジストパターンの断面形状が波を打つという欠点がある。
また、前記したように、酸発生剤としてジアゾメタン化合物を用いることも提案されているが、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンのような非芳香族性のジアゾメタン化合物は、透明性が高く、レジスト組成物に用いると高解像度のレジストパターンが得られるという長所がある反面、酸の発生効率や発生する酸の強度が低く、感度が不十分であるという欠点がある。また、それ以外のジアゾメタン化合物はいずれも溶解抑制基を有していないためコントラストが不十分になるのを免れない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、コントラストがよく、高解像性、高残膜率、高感度である上、レジストパターン形状、引き置き経時安定性が優れた化学増幅型レジスト組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、感光特性の改善された化学増幅型レジスト組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、酸発生剤として、酸解離性基を有するジアゾメタン化合物を用いることにより、コントラストがよく、高解像性、高残膜率、高感度の、しかもレジストパターン形状や引き置き経時安定性の優れた化学増幅型レジスト組成物が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)酸の作用によりアルカリに対する溶解性が変化する被膜形成成分、及び(B)一般式
【化2】
(式中のR1及びR2は、それぞれ酸解離性基で核置換された炭素環又は複素環基であり、それらはたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい)
で表わされるジアゾメタン化合物から成る酸発生剤を含有することを特徴とする化学増幅型レジスト組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明組成物において、(A)成分として用いられる被膜形成成分については特に制限はなく、従来ポジ型又はネガ型の化学増幅型レジストの被膜形成成分として用いられているものを使用することができる。
【0011】
このようなものとしては、ポジ型レジストの場合は、(a)アルカリ可溶性樹脂の水酸基が酸解離性保護基で保護され、アルカリ不溶性になっているもの、ネガ型レジストの場合は、(b)(イ)アルカリ可溶性樹脂又は上記(a)の樹脂と(ロ)酸架橋性物質、すなわち酸触媒により反応して架橋する硬化性物質との組合せから成るものが挙げられる。
【0012】
前記(a)成分を酸発生剤と組み合わせて用いると、露光した部分で酸が生成し、これが保護基を解離するため、その部分がアルカリ可溶性になり、現像の際に露光部分だけが選択的に除去されてポジ型のパターンが得られる。一方、(b)成分を酸発生剤と組み合わせて用いると、露光した部分で発生した酸により、その部分が架橋してアルカリ不溶性になり、現像の際に未露光部分だけが選択的に除去されてネガ型のパターンが得られる。
【0013】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、例えばフェノール、m‐クレゾール、p‐クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドなどのアルデヒド類とを酸性触媒下に縮合させて得られたノボラック樹脂、ヒドロキシスチレンの単独重合体やヒドロキシスチレンと他のスチレン系単量体との共重合体、ヒドロキシスチレンとアクリル酸又はメタクリル酸あるいはその誘導体との共重合体などのポリヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル酸又はメタクリル酸とその誘導体との共重合体であるアクリル酸又はメタクリル酸系樹脂などのアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
【0014】
また、酸解離性保護基で保護された水酸基をもつアルカリ可溶性樹脂としては、水酸基の一部を酸解離性保護基で保護された、ヒドロキシスチレンの単独重合体やヒドロキシスチレンと他のスチレン系単量体との共重合体、ヒドロキシスチレンとアクリル酸又はメタクリル酸あるいはその誘導体との共重合体、あるいはカルボキシル基の水酸基の一部を酸解離性保護基で保護されたアクリル酸又はメタクリル酸とそれらの誘導体との共重合体を挙げることができる。
【0015】
上記のヒドロキシスチレンと共重合させるスチレン系単量体としては、スチレン、α‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、o‐メチルスチレン、p‐メトキシスチレン、p‐クロロスチレンなどが挙げられる。また、上記アクリル酸又はメタクリル酸の誘導体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル、アクリル酸2‐ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、アクリロニトリル及び対応するメタクリル酸誘導体を挙げることができる。
【0016】
他方、上記酸解離性保護基としては、例えばtert‐ブトキシカルボニル基、tert‐アミロキシカルボニル基などのような第三級アルコキシカルボニル基、tert‐ブトキシカルボニルメチル基のような第三級アルコキシカルボニルアルキル基、tert‐ブチル基のような第三級アルキル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基のようなアルコキシアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基のようなアセタール基、ベンジル基、トリメチルシリル基などを挙げることができる。
【0017】
これらの酸解離性保護基による水酸基の保護率は、通常樹脂中の水酸基の1〜60モル%、好ましくは10〜50モル%の範囲である。
【0018】
本発明の化学増幅型レジスト組成物がポジ型である場合は、(A)成分として、前記(a)成分、すなわち酸解離性保護基で保護された水酸基をもつアルカリ可溶性樹脂、具体的にはポリヒドロキシスチレンの水酸基の一部がtert‐ブトキシカルボニル基で保護された樹脂又はポリヒドロキシスチレンの水酸基の一部がエトキシエチル基、メトキシプロピル基などのアルコキシアルキル基で保護された樹脂あるいはこれらの混合物を用いるのが好ましい。特に、ポリヒドロキシスチレンの水酸基の10〜50モル%、好ましくは15〜40モル%がtert‐ブトキシカルボニル基で保護されたポリヒドロキシスチレンと、ポリヒドロキシスチレンの水酸基の10〜50モル%、好ましくは15〜40モル%が1‐エトキシエチル基や1‐メトキシ‐n‐プロピル基などのアルコキシアルキル基で保護されたポリヒドロキシスチレンとを、重量比5:95ないし50:50、好ましくは10:90ないし30:70の割合で混合したものを用いるのが有利である。
【0019】
一方、ネガ型である場合は、(A)成分として、前記(b)成分、すなわち(イ)ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル酸又はメタクリル酸系樹脂などのアルカリ可溶性樹脂又は酸解離性保護基で保護された水酸基をもつアルカリ可溶性樹脂と(ロ)酸架橋性物質との組合せが用いられる。中でもクレゾールノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンとスチレンとの共重合体、又はポリヒドロキシスチレンの水酸基の一部がtert‐ブトキシカルボニル基で保護された樹脂と酸架橋性物質との組合せを用いるのが好ましい。
【0020】
ネガ型レジスト組成物において用いられる酸架橋性物質としては、これまでネガ型レジスト組成物の架橋剤として知られているものの中から任意に選んで使用することができる。このような酸架橋性物質としては、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル‐ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド‐ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素‐ホルムアルデヒド樹脂などを挙げることができる。これらはメラミン、尿素、グアナミン、グリコールウリル、スクシニルアミド、エチレン尿素を沸騰水中でホルマリンと反応させてメチロール化、あるいはこれにさらに低級アルコールを反応させてアルコキシル化することにより容易に得られる。実用上はニカラックMx−750、ニカラックMw−30、ニカラックMx−290(いずれも三和ケミカル社製)として入手することができる。
【0021】
そのほか、1,3,5‐トリス(メトキシメトキシ)ベンゼン、1,2,4‐トリス(イソプロポキシメトキシ)ベンゼン、1,4‐ビス(sec‐ブトキシメトキシ)ベンゼンなどのアルコキシル基を有するベンゼン化合物、2,6‐ジヒドロキシメチル‐p‐クレゾール、2,6‐ジヒドロキシメチル‐p‐tert‐ブチルフェノールなどのヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するフェノール化合物なども用いることができる。
これらの酸架橋性物質は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
(A)成分として、(イ)成分と(ロ)成分とを組み合わせて用いる場合には、両者の割合は重量比で100:3ないし100:70好ましくは100:5ないし100:50の範囲で選ばれる。酸架橋性物質がこれよりも少ないと、感度が不十分になるし、またこれよりも多くなると均一なレジスト被膜が形成されにくい上、現像性も低下し、良好なレジストパターンが得られにくくなる。
【0023】
本発明組成物において、(A)成分に用いられるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、2000〜20000の範囲が好ましく、また分子量分布は、耐熱性、解像性の向上の面から小さいほど好ましいが、ノボラック樹脂とポリヒドロキシスチレン系樹脂では構造的な違いから達成される分子量分布に差があるため、ノボラック樹脂では3.5以下、好ましくは3.0以下であり、ポリヒドロキシスチレン系樹脂では3.5以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは1.5以下である。
【0024】
次に、本発明組成物の(B)成分としては、一般式
【化3】
(式中のR1及びR2は、それぞれ酸解離性基で核置換された炭素環又は複素環基であり、それらはたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい)
で表わされるジアゾメタン化合物から成る酸発生剤を用いることが必要である。
【0025】
前記一般式(I)におけるR1及びR2の酸解離性基で核置換された炭素環基は、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれでもよい。この脂環族炭化水素基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような飽和脂環族炭化水素基やシクロペンテニル基、シクロヘキセニル基のような不飽和脂環族炭化水素基やボルニル基のような多環状脂環族炭化水素基を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また芳香族炭化水素基の例としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、ジフェニル基などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0026】
他方、複素環基としては、異種原子として、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子の1種又は2種以上を含むもの、例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基、オキサゾリル基、ベンゾキサゾリル基又はこれらの水素化された基を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これらの炭素環基や複素環基は、酸解離性基以外にハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシル基などで置換されていてもよい。
【0027】
一方、酸解離性基としては、これまで化学増幅型レジストに用いられている酸解離性基、すなわちアルカリに対する溶解抑止力があり、かつ酸の作用により解離してアルカリに対する溶解性を向上させるものであればよく、特に制限はない。このようなものとしては、例えばtert‐ブトキシカルボニル基、tert‐アミロキシカルボニル基のような第三級アルコキシカルボニル基、tert‐ブトキシカルボニルメチル基のような第三級アルコキシカルボニルアルキル基、tert‐ブチル基のような第三級アルキル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基のようなアルコキシアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基のようなアセタール基、ベンジル基、トリメチルシリル基などを挙げることができる。
【0028】
これらの中で、tert‐ブトキシカルボニル基などの第三級アルコキシカルボニル基、tert‐ブトキシカルボニルメチル基のような第三級アルコキシカルボニルアルキル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基などのアルコキシアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基などのアセタール基、特にtert‐ブトキシカルボニル基、tert‐ブトキシカルボニルメチル基、エトキシエチル基及びテトラヒドロピラニル基がコントラストに優れる上、それらの基を導入するのに用いられる化合物が入手しやすく、かつ安価であるので好ましい。
【0029】
このR1及びR2としては、例えば
tert‐ブトキシカルボニルオキシフェニル基、
【化4】
(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル基、
【化5】
(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルフェニル基、
【化6】
tert‐ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル基、
【化7】
(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)シクロヘキシル基、
【化8】
(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)ボルニル基、
【化9】
(1‐エトキシエチルオキシ)シクロヘキシル基、
【化10】
(1‐エトキシエチルオキシ)ボルニル基、
【化11】
などが挙げられる。これらの中で、特に4‐(tert‐ブトキシカルボニルオキシ)フェニル基、4‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル基、2‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルフェニル基、4‐(tert‐ブトキシカルボニルメチルオキシ)フェニル基、2‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)シクロヘキシル基、2‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)‐10‐ボルニル基、2‐(1‐エトキシエチルオキシ)シクロヘキシル基又は2‐(1‐エトキシエチルオキシ)‐10‐ボルニル基が好適である。
【0030】
前記一般式(I)で表わされるジアゾメタン化合物は、従来知られている方法、例えば特開平4−210960号公報に記載されている方法を参考にして次の反応式に従い製造することができる。
【化12】
【0031】
すなわち、RSHとジクロロメタンとを、メタノール、エタノールなどのアルコール類、トルエンなどの芳香族炭化水素などの溶媒中において、トリエチルアミンなどの塩基の存在下に反応させることによりRSCH2SRを製造し、次いで、この化合物と過酸化水素とを、水や、メタノール、エタノールなどのアルコール類などの溶媒中において、タングステン酸ナトリウムなどの触媒の存在下に反応させることにより、RSO2CH2SO2Rとしたのち、この化合物とトシルアジドとを、メタノール、エタノールなどのアルコール類、トルエンなどの芳香族炭化水素などの溶媒中において、トリエチルアミンのような塩基の存在下に反応させる。
【0032】
【化13】
に従い、RSHとパラホルムアルデヒトとを混合したのち、これに10℃以下で塩化水素ガスを導入し、次いで無水塩化カルシウムを添加して10℃以下で反応させて、RSCH2Clを製造し、続いて、この化合物とR′SHとを、メタノール、エタノールなどのアルコール類、トルエンなどの芳香族炭化水素などの溶媒中において、水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下に反応させることにより、RSCH2SR′を得る。以下、上記と同様にして処理することにより、所望のジアゾメタン化合物が得られる。
【0033】
この際、原料のRSH、R′SHとしては、例えば水酸基やカルボン酸基を有するベンゼンチオールやヒドロキシシクロヘキサンチオールや10‐メルカプトイソボルネオールなどが用いられる。そして、RSO2−CN2−SO2R′を生成させたのち、最後にその中の水酸基やカルボニル基に、前記tert‐ブトキシカルボニル基のような酸解離性基を導入することにより、一般式(I)で表わされる化合物を得ることができる。
【0034】
また、R1及びR2は、前記反応で示したように、たがいに同一であってもよいし、異なっていてもよいが、R1とR2とが同一の方がジアゾメタン化合物を安価にかつ簡単に製造しうるので実用上好ましい。また、上記酸解離性基の導入は、トシルアジドによるジアゾ化の前に行ってもよい。
【0035】
前記一般式(I)で表わされるジアゾメタン化合物の例としては、
ビス(4‐tert‐ブトキシカルボニルオキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
【化14】
ビス[4‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)フェニルスルホニル]ジアゾメタン、
【化15】
ビス[2‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルフェニルスルホニル]ジアゾメタン、
【化16】
ビス(4‐tert‐ブトキシカルボニルオキシメチルオキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
【化17】
ビス[2‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)シクロヘキシルスルホニル]ジアゾメタン、
【化18】
ビス[2‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)‐10‐ボルニルスルホニル]ジアゾメタン、
【化19】
ビス[2‐(1‐エトキシエチルオキシ)シクロヘキシルスルホニル]ジアゾメタン、
【化20】
ビス[2‐(1‐エトキシエチルオキシ)‐10‐ボルニルスルホニル]ジアゾメタン、
【化21】
【0036】
本発明組成物においては、この(B)成分の酸発生剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その含有量は、前記(A)成分の被膜形成成分100重量部当り、0.5〜20重量部の範囲が好ましい。この量が0.5重量部未満では像形成が不十分であるし、20重量部を超えると均一なレジスト被膜が形成されにくい上、現像性も低下し、良好なレジストパターンが得られにくい。像形成性、レジスト被膜形成性及び現像性などのバランスの点から、この(B)成分の特に好ましい含有量は、(A)成分100重量部当り、1.0〜10重量部の範囲である。
【0037】
本発明組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、必要に応じて、各種アミン類、例えばトリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n‐プロピルアミン、ジ‐n‐プロピルアミン、トリ‐n‐プロピルアミンなどの脂肪族アミン、ベンジルアミン、アニリン、N‐メチルアニリン、N,N‐ジメチルアニリンなどの芳香族アミン、ピリジン、2‐メチルピリジン、2‐エチルピリジン、2,3‐ジメチルピリジンなどの複素環式アミンなどを添加することができる。これらの中では、トリエチルアミンが、レジストパターン形状、引き置き経時安定性に優れるレジスト組成物を与えるので特に好ましい。
【0038】
さらに、必要に応じ、酪酸、イソ酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3‐ブテン酸、メタクリル酸、4‐ペンテン酸などの飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸、1,1‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,2‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,3‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸、1,1‐シクロヘキシルジ酢酸など脂環式カルボン酸、p‐ヒドロキシ安息香酸、o‐ヒドロキシ安息香酸、2‐ヒドロキシ‐3‐ニトロ安息香酸、3,5‐ジニトロ安息香酸、2‐ニトロ安息香酸、2,4‐ジヒドロキシ安息香酸、2,5‐ジヒドロキシ安息香酸、2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、3,4‐ジヒドロキシ安息香酸、3,5‐ジヒドロキシ安息香酸、2‐ビニル安息香酸、4‐ビニル安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、ビニル基などの置換基を有する芳香族カルボン酸などのカルボン酸を添加することができる。
これらのカルボン酸の中では、芳香族カルボン酸が適当な酸性度を有するので好ましい。中でもサリチル酸がレジスト溶剤に対する溶解性及び各種基板に対して良好なレジストパターンが得られる点から、好適である。
【0039】
このアミン類及びカルボン酸類の添加量については、レジストパターン形状及び感度などの点から、アミン類は、(A)成分に対して、0.01〜1重量%、好ましくは、0.05〜0.5重量%の範囲が有利であり、カルボン酸類は、(A)成分に対して、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜2.0重量%の範囲が有利である。
【0040】
本発明組成物は、その使用に当たっては上記各成分を溶剤に溶解した溶液の形で用いるのが好ましい。このような溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール又はジプロピレングリコールモノアセテート、あるいはそれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;及び乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチル‐2‐ピロリドンなどのアミド系溶剤を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0041】
本発明組成物には、さらに所望により混和性のある添加物、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤などの慣用されているものを添加含有させることができる。
【0042】
本発明組成物の使用方法としては従来のホトレジスト技術のレジストパターン形成方法が用いられるが、好適に行うには、まずシリコンウエーハのような支持体上に、該レジスト組成物の溶液をスピンナーなどで塗布し、乾燥して感光層を形成させ、これに縮小投影露光装置などにより、紫外線、deep−UV、エキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して照射するか、あるいは電子線により描画し、加熱する。次いでこれを現像液、例えば1〜10重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理する。この形成方法でマスクパターンに忠実な画像を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の化学増幅型レジスト組成物は、コントラストに優れ、かつ高解像性、高残膜率及び高感度を有する上、レジストパターン形状、引き置き経時安定性に優れており、超微細加工が要求される半導体素子などの製造において好適に用いられる。
【0044】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0045】
なお、ポジ型レジスト組成物の諸物性は、次のようにして求めた。
(1)感度
試料をスピンナーを用いてシリコンウエーハ上に塗布し、これをホットプレート上で90℃、90秒間乾燥して膜厚0.7μmのレジスト膜を得た。この膜に縮小投影露光装置NSR−2005EX8A(ニコン社製)を用いて、1mJ/cm2ずつドーズ量を加え露光したのち、110℃で90秒間のPEB(Post Exposure Bake)を行い、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で60秒間現像処理し、さらに30秒間水洗後、乾燥した。この際、現像後の露光部の膜厚が0となる最小露光時間を感度としてmJ/cm2(エネルギー量)単位で測定した。
【0046】
(2)解像性
上記(1)と同様な操作を行い、0.25μmのマスクパターンを再現する露光量における限界解像度で示した。
【0047】
(3)レジストパターン形状
上記(1)と同様な操作を行い、0.25μmの矩形のレジストパターンが得られた場合を○、レジストパターントップがやや細いパターンとなったり、波打ったレジストパターンとなった場合を×として評価した。
【0048】
(4)引き置き経時安定性
上記(1)において、露光までの操作を行ったのち、60分間放置したあと、同様にPEB処理、現像を行い、0.25μmのレジストパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真により観察し、0.25μmのラインアンドスペースが1:1に形成されたものを5、ライン幅(レジストパターン幅)が0.25μmより広くなり、スペース幅が0.25μmより狭くなったものを3、解像しないものを1とし、それぞれの中間を4,2として評価した。
(5)残膜率
上記(1)と同様の操作を行い、未露光部の残膜率を現像前膜厚に対する現像後膜厚の割合として求めた。
【0049】
実施例1
水酸基の39モル%がtert‐ブトキシカルボニル基で保護された重量平均分子量10000のポリヒドロキシスチレンと水酸基の39モル%がエトキシエチル基で保護された重量平均分子量10000のポリヒドロキシスチレンとの重量比3:7の混合物100重量部、酸発生剤としてのビス(4‐tert‐ブトキシカルボニルオキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン3重量部、トリエチルアミン0.3重量部及びサリチル酸0.2重量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート490重量部に溶解したのち、このものを孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、ポジ型レジスト組成物を調製した。このものについて、諸物性を評価した。その結果を表1に示す。
【0050】
実施例2〜8、比較例1,2
実施例1において、酸発生剤の種類と量を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にしてポジ型レジスト組成物を調製した。これらについて、諸物性を評価した。その結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
(注)
t‐boc‐ph‐diazme:ビス(4‐tert‐ブトキシカルボニルオキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン
THP‐ph‐diazme:ビス[4‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)フェニルスルホニル]ジアゾメタン
THPC‐ph‐diazme:ビス[2‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルフェニルスルホニル]ジアゾメタン
t‐boc‐mo‐ph‐diazme:ビス(4‐tert‐ブトキシカルボニルメチルオキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン
THP‐bor‐diazme:ビス[2‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)‐10‐ボルニルスルホニル]ジアゾメタン
THP‐ch‐diazme:ビス[2‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)シクロヘキシルスルホニル]ジアゾメタン
EE‐ch‐diazme:ビス[2‐(1‐エトキシエチルオキシ)シクロヘキシルスルホニル]ジアゾメタン
EE‐bor‐diazme:ビス[2‐(1‐エトキシエチルオキシ)‐10‐ボルニルスルホニル]ジアゾメタン
【0053】
比較例3
実施例1における酸発生剤の代りにビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン5重量部を用い、他は実施例1と同様にしてポジ型レジスト組成物を調製した。このものの感度は15mJ、解像性は0.21μm、レジストパターン形状は○、引き置き経時安定性は4、残膜率は96%であった。
Claims (4)
- (A)成分100重量部当り、(B)成分0.5〜20重量部を含有する請求項1記載の化学増幅型レジスト組成物。
- 酸解離性基がtert‐ブトキシカルボニル基、tert‐ブトキシカルボニルメチル基、アルコキシアルキル基又はアセタール基である請求項1又は2記載の化学増幅型レジスト組成物。
- (B)成分のジアゾメタン化合物において、一般式中のR1及びR2が、それぞれ4‐(tert‐ブトキシカルボニルオキシ)フェニル基、4‐(tert‐ブトキシカルボニルメチルオキシ)フェニル基、4‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル基、2‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)シクロヘキシル基、2‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)フェニル基、2‐(2‐テトラヒドロピラニルオキシ)‐10‐ボルニル基、2‐(1‐エトキシエチルオキシ)シクロヘキシル基又は2‐(1‐エトキシエチルオキシ)‐10‐ボルニル基である請求項3記載の化学増幅型レジスト組成物。
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