JP3816212B2 - 屋根構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、寄棟屋根をその棟の両端部の頂点のうちの一つの頂点で棟線方向と直交する平面で二つの分割体に切断した際の棟が含まれない方の分割体と略同様の形状の屋根を形成するための屋根構造に関する。
【0002】
【背景の技術】
一般に、住宅の構成要素である床、壁、屋根をそれぞれ複数の床パネル、壁パネル、屋根パネルを組み付けて形成するパネル工法を用いたプレハブ住宅が知られている。
上記各パネルは、例えば、矩形状の枠体と、該枠体内に縦横もしくはどちらか一方の方向に配置された棧材と、枠体の少なくとも片方の側面に貼設された面板とからなるとともに、基本的に木製のものである。なお、パネルには、矩形以外の形状のものがあるとともに、木材以外の材料も用いられている。
【0003】
そして、パネル工法を用いた住宅の屋根においては、屋根面を構成する各屋根パネルが、屋根面の下側まで上方に延出された壁と、壁間に架け渡された梁とにより支持されている。
例えば、切妻屋根の場合には、例えば、住宅の左右の妻壁の上部が三角形状とされ、その妻壁の上縁部、すなわち、左右の斜辺に、屋根パネルが載せられた状態に接合されるとともに、二つの妻壁の間に棟に沿った方向の壁や棟に直交した壁で、屋根面の下まで至る壁がある場合には、これらの壁の上縁部に屋根パネルが載せられた状態に接合される。また、棟に直交するとともに、互いに隣り合う壁間の上縁部には、梁が架け渡され、この梁上にも屋根パネルが載せられた状態に接合されて支持される。
【0004】
また、棟に平行に配置された壁や梁に屋根パネルを載せた場合は、これらや屋根パネルにより構成される屋根面が壁の厚み方向もしくは梁の軸方向に直交する方向に沿って傾斜しているので、壁や梁の上面を屋根面に合わせて傾斜させておく必要があり、壁や梁の上に断面三角形状の結合材を取り付けている。
また、寄棟屋根は、切妻屋根が二つの屋根面からなるのに対して四つの屋根面を有する複雑な形状を有するが、このような寄棟屋根の屋根面の支持構造を簡単なものとするために、屋根面を壁と水平な梁とに加えて斜めに傾斜した梁で支持するようになっている。また、斜めの梁と水平な梁とを平面視して一直線状になるように接合して用いている。このような梁を用いることにより、小屋裏空間内に配置される各種梁や束を減らして小屋裏を広くし、天井を高くしたり、小屋裏空間を広くして収納スペース等として有効利用することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、住宅においては、その屋根全体を陸屋根とすることにより屋上として活用したり、屋根の一部を陸屋根としてルーフバルコニーとして活用したりすることが行われている。
このような場合には、例えば、屋上への出入りのために勾配屋根状のペントハウスを形成することや、ルーフバルコニーの残りの部分に勾配屋根が存在することにより、陸屋根と勾配屋根とが隣接した状態となる。
【0006】
このような場合に、勾配屋根の形状としては、例えば、切妻屋根や、寄棟屋根を棟に直交する平面で切断した形状とすることが考えられる。そして、寄棟屋根をその棟の両端部の頂点のうちの一つの頂点において、棟線方向と直交する平面で二つの分割体に切断した際の棟が含まれない方の分割体と同様の形状の屋根を形成すると、屋根が、二等辺三角形状の妻壁と、該妻壁の二つの斜辺にそれぞれ底辺に直角な辺を沿わせて配置された直角三角形からなる二つの第一の屋根面と、二つの第一の屋根面の斜辺に左右の斜辺をそれぞれ沿わせて配置された二等辺三角形状の第二の屋根面とからなることになる。
【0007】
そして、二等辺三角形状の上記第二の屋根面は、その頂点部分が妻壁の頂点部分に該妻壁の厚み方向に沿って斜めの状態で載った状態となる。
そして、上記第二の屋根面が複数の屋根パネルからなり、かつ、第二の屋根面が壁と梁とにより支持される場合には、第二の屋根面の頂点部分に配置される屋根パネルは、妻壁に載せられた状態で支持されることになるが、上記屋根パネルは、妻壁の頂点部分の僅かな部分に載せられた状態なので、妻壁だけで支持することが難しく、例えば、屋根パネルを支持する軸組を行わなければならなかった。しかし、この場合には、屋根面の支持構造が複雑なものとなり、コストがかかるとともに、小屋裏空間が狭くなるといった問題がある。
【0008】
また、妻壁は、その上部が正面視して二等辺三角形となるとともに、妻壁の厚み方向に斜めとなった第二の屋根面の頂点部分を妻壁の頂点部部で支持するためには、妻壁の頂点部分も厚み方向に沿って斜めにする必要がある。例えば、妻壁の頂点部分を斜めに削る加工を行うものとし、妻壁の頂点部分を構成する壁パネルが、三角形状の枠体とその両面にそれぞれ貼設された面板からなるものとすると、妻壁の頂点部分を削ることにより、基本的に中空の壁パネルの枠体や面板が削られてしまうので好ましくないとともに、上述のような構成を有する壁パネルを削って成形するのは、均質な板状の部材を削って成形するよりも難しい。
従って、もし、壁パネルの頂点部分を厚み方向に沿って斜めにする場合には、壁パネル製造時に壁パネルの形状を上述のように頂点部分が斜めとなった形状としておくことが好ましいが、そうすると、製造すべき壁パネルの形状が複雑なものとなるとともに、製造すべき壁パネルの種類が増えるので、壁パネルの製造コストの増大の要因となる可能性がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、寄棟屋根を棟線に直交する平面で切断したような形状を有する屋根を構築するために、簡単で施工のしやすい屋根構造を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の屋根構造は、例えば、図1から図7等に示すように、寄棟屋根をその棟の両端部の頂点のうちの一つの頂点において棟線方向と直交する平面で二つの分割体に切断した際の棟が含まれない方の分割体と略同様の形状の勾配屋根1を形成するためのものであり、上記勾配屋根1が二等辺三角形状の妻壁3と、該妻壁3の二つの斜辺にそれぞれ底辺に直角な辺を沿わせて配置された直角三角形からなる二つの第一の屋根面4、4と、二つの第一の屋根面4、4の斜辺に左右の斜辺をそれぞれ沿わせて配置された二等辺三角形状の第二の屋根面5とからなり、第一及び第二の屋根面4、4、5が屋根パネル4a、4b、4c、5a、5b、5cから形成され、
かつ、妻壁3の内面側の頂部に屋根パネル5a、5b、5cから形成される第二の屋根面5の頂点の近傍を支持する補強部材8が設けられていることを上記課題の解決手段とした。
【0011】
上記構成によれば、妻壁3の頂点部に、屋根パネル5a、5b、5cから形成される第二の屋根面5の頂点部分が支持されること、すなわち、妻壁3の頂点部分の僅かな面積で第二の屋根面5の頂点側を支持することになるが、上記補強部材8により第二の屋根面5の頂点の近傍を支持することができるので、第二の屋根面5の頂点側を安定して支持することができる。
従って、第二の屋根面5の頂点側を安定して支持するために軸組等を行う必要がなく、妻壁3の屋内側の側面頂部に補強部材を取り付けるだけの簡単な構成で第二の屋根面5の頂点側を安定して支持することができるので、コストの低減を図ることができるとともに、屋根の施工を容易なものとすることができる。
【0012】
上記屋根パネル4a、4b、4c、5a、5b、5cは、板状のものならばどのようなものでも良いが、上記従来のパネル工法で用いられる屋根パネルであることが好ましい。
上記妻壁3は、第一の屋根面4、4及び第二の屋根面5を支持できるものならば良いが、上記従来のパネル工法で用いられる壁パネルから形成されることが好ましい。
上記補強部材8は、基本的に妻壁3に接合されて妻壁3に支持されるとともに、その上面が第二の屋根面5に沿って形成され、第二の屋根面5の妻壁3に支持される部分を拡大する形状となっていれば良い。
また、寄棟屋根をその棟の両端部の頂点のうちの一つの頂点において棟線方向と直交する平面で二つの分割体に切断した場合に、棟が含まれない方の分割体と同様の形状の勾配屋根1とは、基本的に平面視して正方形状の方形屋根をその四辺のうちの互いに平行な二辺と平行な垂直面で略均等に二分割した形状を含むものである。
【0013】
本発明の請求項2記載の屋根構造は、上記妻壁3の上部が、該妻壁3の上部をほぼ左右に半分に分割した形状を有する二つの直角三角形状の壁パネル3a、3aと、これら直角三角形状の壁パネル3a、3aの間に挟まれた状態で妻壁3の頂点から下方に延在するように配置された角柱体(正角7)とからなることを上記課題の解決手段とした。
上記構成によれば、妻壁3の頂点が角柱体7となっており、妻壁3の頂点部分で妻壁3の厚み方向に沿って傾斜する第二の屋根面を支持するために、妻壁3の頂点部分を斜めに削った状態とする際に、壁パネル3a、3aではなく、角柱体7の上端部を削れば良いことになる。
【0014】
従って、三角形状の壁パネル3a、3aの頂点を削る必要がなく、角柱体7が、例えば、略一様な材質ならば、その上面を斜めに切断しても強度が低下するようなことがない。
また、壁パネル3a、3aが複数の部材からなり、角柱体7が均質な材質からなる場合に、壁パネル3aを加工するよりも、角柱体7を加工する方が容易である。
【0015】
本発明の請求項3記載の屋根構造は、上記勾配屋根1の所定の高さ位置に、第一の屋根面4、4を支持し、かつ、上記妻壁3と直交するように水平に配置された第一の梁9、9と、第二の屋根面5を支持するとともに、上記妻壁3と平行かつ水平に配置された第二の梁10とが配置され、第一の屋根面4、4の上部が妻壁3の左右の斜辺のうちの一方の斜辺と第一の梁9、9とにより支持され、第二の屋根面5の上部が妻壁3の頂部及び上記補強部材8と第二の梁10とにより支持されていることを上記課題の解決手段とした。
【0016】
上記構成によれば、第一の屋根面4、4の上部が妻壁3の左右の斜辺のうちの一方の斜辺と妻壁3に直交する第一の梁9、9とにより支持され、第二の屋根面5の上部が妻壁3の頂部と補強部材8と妻壁3に平行する第二の梁10とにより支持されている。
ここで、第二の屋根面4、4の頂点部分は、上述のように妻壁3の頂部と補強部材8とにより安定支持されているので、第二の屋根面4、4の上部を妻壁3の頂部と補強部材8と妻壁3に平行する第二の梁10とにより安定して支持することができる。
【0017】
なお、第一の梁9、9は、例えば、その一端部を妻壁3に接合されて支持されることが好ましい。また、第一の梁9、9の他端部は、後述するような斜めの第三の梁11、11と一体に接合され、第一の梁9、9の一端部が妻壁3に接合され、第一の梁9、9の他端部が第三の梁11、11の一端部と接合され、第三の梁11、11の他端部が妻壁3と対向する壁(例えば、外壁6)に接合されることにより、第一の梁9、9が支持されていることが好ましく、このようにすれば、第一の梁9、9を支持するために、さらに梁や束を配置する必要がなく、小屋裏空間を第一の梁9、9を支持するための梁や束で狭くすることがない。
また、第二の梁10は、二本の第一の梁9、9に支持されていることが好ましい。すなわち、第二の梁10の両端部がそれぞれ左右の第一の梁9、9に接合されて支持されていることが好ましく、このようにすれば、第二の梁10を支持するために、さらに梁や束を配置する必要がなく、小屋裏空間を第二の梁10を支持するための梁や束で狭くすることがない。
【0018】
本発明の請求項4記載の屋根構造は、第二の屋根面5の傾斜角度に対応して斜めに配置されて第二の屋根面5を支持する第三の梁11、11が設けられ、該第三の梁11、11と第一の梁9、9とが平面視して略一直線状に接合された形状とされていることを上記課題の解決手段とした。
上記構成によれば、第二の屋根面5の下部が斜めの第三の梁11に支持されるので、第二の屋根面5を支持するために、梁や束を複雑に組み合わせる必要がなく、小屋裏空間を広くすることができる。
【0019】
また、第一の屋根面4、4を支持する第一の梁9、9と第二の屋根面5の下部を支持する第三の梁11、11とを平面視して略一直線状に接合された構造とすることにより、第一の梁9、9と第三の梁11、11とが接合されてなる梁12の一端部を妻壁3に接合し、上記梁12の他端部を妻壁3に対向する壁6に接合して支持することにより、第一の梁9、9と第三の梁11、11とを支持する構造とすることが可能となる。これにより、第一の梁9、9や第三の梁11、11を支持するために、梁や束を配置する必要がなくなり、小屋裏空間を広くすることができる。
【0020】
本発明の請求項5記載の屋根構造は、上記勾配屋根1の妻壁3側に隣接して上記勾配屋根1より低い位置に略水平な面状の陸屋根部2が設けられていることを上記課題の解決手段とした。
上記構成によれば、陸屋根部2を屋上やルーフバルコニーとし、勾配屋根1を屋上への昇降のためのペントハウスや、ルーフバルコニーに出入りする小屋裏を利用した最上階とすることができる。
そして、このような屋上もしくはルーフバルコニーに面する勾配屋根1が寄棟屋根を棟に直交する平面で分割された形状を有するので、意匠的に優れたものとすることができるとともに、このような意匠とするための構造を上述のように補強部材8を用いることにより簡単なものとすることができる。
なお、陸屋根部2の上面は、完全な水平となっているよりも、僅かに水勾配が付けられていることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態の一例の屋根構造を図面を参照して説明する。
図1及び図2は、この一例の屋根構造の外観を示すものである。
図1及び図2に示すように、この一例の屋根構造は、寄棟屋根をその棟の両端部の頂点のうちの一つの頂点において棟線方向と直交する平面で二つの分割体に切断した際の棟が含まれない方の分割体と同様の形状の勾配屋根1と、陸屋根2とからなるものである。
そして、勾配屋根1は、二等辺三角形状の妻壁3と、該妻壁3の二つの斜辺にそれぞれ底辺に直角な辺を沿わせて配置された直角三角形からなる二つの第一の屋根面部4、4と、二つの第一の屋根面部4、4の斜辺に左右の斜辺をそれぞれ沿わせて配置された二等辺三角形状の第二の屋根面部5とから形成されている。
【0022】
また、上記陸屋根2は、僅かに水勾配が付けられた略一つの平面からなるものである。そして、陸屋根2は、勾配屋根1の妻壁3側に隣接して配置されているとともに、陸屋根2が勾配屋根1の下端よりさらに低くなっている。
また、勾配屋根1の左右幅と陸屋根2の左右幅とが略同じとされ、勾配屋根1と陸屋根2とを合わせた部分を平面視すると正方形もしくは長方形状となっている。
そして、この一例においては、上記屋根構造を有する住宅の外壁6が勾配屋根1と陸屋根2とを合わせた部分の外周を囲うように、陸屋根2及び勾配屋根1の下端部よりも高くなっており、外壁6の上端部がパラペットとなっている。
【0023】
そして、上記勾配屋根2の妻壁3は、図3及び図4に示すように、三角形状もしくは四角形状の壁パネル3a、3a、3b、3b、3c、3c、3d、3dと、陸屋根側への出入用の開口部3eの下と上とに配置された開口部調整材3f、3gと、開口部3e上の開口部調整材3gの左右両端部をそれぞれ支持するように開口部3eの左右両側縁部に配置された方立3h、3hとを備えている。
【0024】
そして、上記妻壁3の上部は、例えば、二つの直角三角形状の上記壁パネル3a、3aの垂辺同士を接合した状態とすることにより二等辺三角形状とされるが、この一例においては、上記壁パネル3a、3a同士の間に断面正方形状の角柱体である正角7を配置するようになっている。
上記正角7は、その厚みが壁パネル3a、3aと略同じものとされている。なお、妻壁3を形成する壁パネル3a、3a、3b、3b、3c、3c、3d、3d及び開口部調整材3f、3gは、それぞれ厚みが略同じものとされている。
【0025】
そして、正角7の上端部は、図4に示すように、その左右の中央部を境として妻壁3の左右の斜辺に対応して斜めに切断された形状とされ、二つの斜面7a、7aが形成され、正面視して二等辺三角形状とされている。
また、正角7の上端部のその半分より屋内側の部分が、斜めに切り欠かれ、斜面7bが形成されている。
従って、正角7の上端部には、その左右の中央部を境とするともに最上部とし、中央部から離れるに従って、下方に下がる台形状の斜面7a、7aと、その前後の中央部を頂点とする二等辺三角形状の斜面7bとを有するものとなっている。
【0026】
また、上記正角7の斜面7a、7aは、妻壁3の上部の左右の斜辺と同じ傾斜角とされるとともにこれら斜辺となる妻壁3の二つの上面とそれぞれ面一とされている。従って、斜面7a、7aは、左右の第一の屋根面部4、4と同じ傾斜角とされている。また、正角7の斜面7bは、第二の屋根面部5と同じ傾斜角とされている。
そして、正角7の左右の斜面7a、7aには、それぞれ左右の第一の屋根面部4、4の上端部が接合されるようになっている。
また、正角7の斜面7bには、第二の屋根面部5の上端部が接合されるようになっている。
【0027】
なお、正角7は、木質の角材であり、その先端部を容易に加工して斜面7a、7a、7bを形成することができるとともに、正角7は、基本的に、全体が略均質な状態(木材なので多少の違いはある)なので、上述のような加工をしても強度に大きな変化が生じることがない。すなわち、上述のような壁パネルでは、枠体の一部を削除するような加工を施すことが困難であるが、正角7においては、容易に加工が行える。
【0028】
そして、上述のような妻壁3の内面には、正角7に対応する位置に、正角7と略同じ左右幅を有するとともに、正角7と略同じ上下長さを有する補強材8が接合されている。上記補強材8は、その上面が屋内側に向かうにつれて低くなる斜面8aとされている。そして、補強材8の斜面8aは、正角7の斜面7bと同じ傾斜角とされている。また、補強材8を妻壁3の屋内側の側面において、正角7の位置に接合した場合に、補強部材8の斜面8aが正角7の斜面7bの下側に連続した状態となり、補強部材8の斜面8aと正角7の斜面7bとが略面一の一つの平面となるようになっている。
【0029】
そして、補強部材8により、第二の屋根面部5の上端部が接合される部分が、正角7の斜面7bと補強部材8の斜面8aとを合わせたものとなり、第二の屋根面部5の上端部を妻壁3に接合させるための妻壁3と第二の屋根面部5との接合面の面積が補強部材8の斜面8aの面積分だけ増加する。従って、第二の屋根面部5と妻壁3の接合強度を向上することができるとともに、より安定した状態で妻壁3により第二の屋根面部5の上端部を支持することができる。
【0030】
左右の上記第一の屋根面部4、4の上部は、それぞれ三角形状の屋根パネル4a、4bと、四角形状の屋根パネル4cと、妻壁3のケラバ部分に配置される屋根調整材4d、4dとからなり、これらと第一の屋根面部4、4の下部を構成する図示しない屋根パネルとが一体に接合された状態となっている。
また、第二の屋根面部5の上部は、三角形状の屋根パネル5a、5a、5b、5bと、四角形状の屋根パネル5cとからなり、これらと第二の屋根面部5の下部を構成する図示しない屋根パネルとが一体に接合された状態となっている。
なお、各屋根パネルは、三角形状もしくは四角形状の枠体(図示略)と、該枠体内にサイズに応じて配置された縦横もしくはどちらか一方向の棧材(図示略)と、枠体の上面に貼設された面材(図示略)とからなるものである。
【0031】
また、左右の第一の屋根面部4、4は、それぞれ、その一方の側縁部を妻壁3の左右の斜辺に載せられた状態で接合されることにより支持されるとともに、第一の屋根面部4、4の上部は、妻壁3に直交する水平な梁9、9に載せられた状態で支持されている。なお、梁9、9上には、断面が直角三角形状で、その斜辺の傾斜角が第一の屋根面部4、4の傾斜角と略等しくされた結合材(図示略)が配置され、該結合材を介して第一の屋根面部4、4と梁9、9とが接合されるようになっている。
【0032】
また、第二の屋根面部5は、その頂点部が妻壁3の頂部に配置された正角7の斜面7bと補強部材8の斜面8aとの上に載置された状態で接合されて支持され、かつ、第二の屋根面部5は、妻壁3に平行で水平な梁10と、平面視して妻壁3に対して直角で傾斜した梁11、11とに載せられた状態で支持されている。なお、梁10上には、断面が直角三角形状で、その斜辺の傾斜角が第二の屋根面部5の傾斜角と略等しくされた結合材(図示略)が配置され、該結合材を介して第二の屋根面部5と梁10とが接合されるようになっている。
【0033】
また、梁11は、第二の屋根面部5と略等しい傾斜角を有し、梁11と第二の屋根面部5とが直接接合されるようになっている。なお、各屋根パネル4a、4b、4c、5a、5b、5cと梁9、10、11や妻壁3との接合は、基本的に屋根パネル4a、4b、4c、5a、5b、5cの枠体もしくは棧材を接合することにより行われる。
また、梁9と梁11とは、平面視して略一直線となるように互いに接合されており、図7に示すように梁9と梁11とから一体の傾斜梁12が形成されている。なお、梁9と梁11との接合部は、その左右側面に梁9から梁11に渡ってそれぞれ接合合板13を貼設することにより補強されている。
【0034】
そして、梁9と梁11とからなる梁12は、梁9側の端部が妻壁3に接合され、かつ、梁11側の端部が外壁6の妻壁3に対向する部分に接合されることより妻壁3と外壁6とにより支持されている。なお、妻壁3及び外壁6と梁12との接合部分には、梁と壁とを接合するための図示しない梁受け金物により行われている。
また、梁10は、互いに平行に配置された状態の二本の梁12、12にそれぞれ左右の端部が接合されて、二本の梁12、12同士の間に架け渡された状態で支持されている。なお、梁10の両端部は、梁12、12の梁9と梁11との接合部に接合されている。
【0035】
また、梁9、9上において、第一の屋根面部4、4の屋根パネル4a、4aと屋根パネル4c、4cが接合され、梁10上において、第二の屋根面部5の屋根パネル5a、5aと屋根パネル5cとが接合され、梁11上において、第二の屋根面部4、4の屋根パネル5cと屋根パネル5b、5bとが接合されるようになっており、各屋根パネルの側縁部が梁9、10、11に載せられた状態に支持されるようになっている。
【0036】
上記陸屋根2は、基本的二階の壁上に支持された床パネル(図示略)によって形成されるとともに、床パネルによって形成された水平な面の上を、水勾配を付けた状態の板体で覆うようになっており、該板体が陸屋根2の上面を構成するとともに、ルーフバルコニー(屋上)として用いられる陸屋根2の床面を構成するようになっている。
【0037】
なお、床パネル(図示略)は、基本的に矩形状の枠体と、該枠体内に配置された縦横もしくはどちらか一方向の棧材と、枠体の上面に貼設された面材とからなるものである。
また、上記外壁6は、基本的に壁パネル(図示略)からなるものであり、壁パネルは、矩形状の枠体と、該枠体内に配置された縦横もしくはどちらか一方向の棧材と、枠体の両側面にそれぞれ貼設された面材とからなるものである。
【0038】
次に、上述のような構成を有するこの一例の屋根構造の作用について説明する。
上述のように寄棟屋根を切断した形状を有し、棟が無い状態の勾配屋根を屋根パネル4a、4b、4c、4d、5a、5b、5c等のパネルから形成するものとした場合に、例えば、第二の屋根面部5の頂部は、妻壁3の頂部に載せられた状態で支持されることになり、第二の屋根面部5と妻壁3の頂部同士が接合されることになり、接合部の接合面の面積はどうしても小さなものとなり、例えば、正角7の斜面7bだけとなるが、上述の補強部材8を妻壁3の頂部に取り付けることにより、妻壁3の第二の屋根面部5を支持する面が、正角7の斜面7bと補強部材8の斜面8aとになり、第二の屋根面部5を支持する面、すなわち、第二の屋根面部5と妻壁3との接合面の面積を増やして接合強度の向上及び安定化を図ることができる。
【0039】
また、妻壁3の頂部においては、それぞれ傾斜方向が異なる二つの第一の屋根面部4、4の頂部と第二の屋根面5の頂部とが接合されることになるので、妻壁3の頂部は、三つの斜面(斜面7a、7a、7b)を備える必要があり、上記斜面を形成する加工を施す必要があるが、妻壁3の頂部が上述のような壁パネルからなる場合に、壁パネルの枠体の部分を加工することになる。しかし、壁パネルの枠体の部分を壁パネルの強度を低下させずに加工することは極めて困難なので、壁パネルの形状を最初から上述のような斜面を形成させたものとする必要があり、壁パネルのコストを増大させる恐れがある。
【0040】
それに対して、上述のように妻壁3の頂部となる部分に壁パネルに変えて角材である正角7を用いることにより、強度を低下させずに容易に上述のような斜面7a、7a、7bを形成する加工を施すことができる。
すなわち、上述のような補強部材8や正角7を用いることにより、勾配屋根1の頂点部分に第一の屋根面部4、4と第二の屋根面部5とを支持するための軸組を行うなどの必要がなくなり、極めて簡単な構造で、妻壁3の頂部において、第一の屋根面部4、4及び第二の屋根面部5の頂部を支持することができる。従って、上述のような屋根構造を有する勾配屋根1の施工コストの低減、施工の省力化及び施工期間の短縮を図ることができる。
【0041】
また、第一の屋根面部4、4の上部が妻壁3と該妻壁3に直交する梁9、9に支持され、第二の屋根面部5が妻壁3と該妻壁3に平行な梁10と、第二の屋根面部5に沿って傾斜する梁11とに支持され、さらに、梁9、9と梁11、11とが一体に接合されて梁12、12とされるとともに、この梁12、12が妻壁3と外壁6の妻壁3に対向する部分に支持され、かつ、梁10が梁12、12に支持されているので、第一の屋根面部4、4の上部と第二の屋根面部5の上部とは、基本的に妻壁3と梁9、10、11とにより支持され、梁9、10、11を支持するために別の梁や束が配置されない形状とされているので、上述の梁や束が配置されないことにより第一の屋根面部4、4と第二の屋根面部5の下側の小屋裏空間を広いものとし、有効に活用することができる。また、屋根面の支持構造自体を極めて簡素可して施工コストの低減、施工の省力化及び施工期間の短縮を図ることができる。
【0042】
また、上述のような勾配屋根1は、陸屋根2と組み合わせて、ルーフバルコニーに出入り可能な最上階部や、屋上に出入りするためのペントハウスなどとして用いた場合に、寄棟屋根もしくは方形屋根の一部を切除することにより、ルーフバルコニー(屋上)を形成したような印象を与える斬新な意匠となり、意匠的に極めて優れたものとなるとともに、このように意匠的に優れた形状の屋根を上述のように極めて容易に構築することができる。
さらに、外壁6を勾配屋根1の下端部及び陸屋根2より高く上方に突出させて、パラペットを形成することにより、さらに意匠的に優れたものとすることができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の屋根構造によれば、妻壁の頂点部に、屋根パネルから形成される第二の屋根面の頂点部分が支持されること、すなわち、妻壁の頂点部分の僅かな面積で第二の屋根面の頂点側を支持することになるが、上記補強部材により第二の屋根面の頂点の近傍を支持することができるので、第二の屋根面の頂点側を安定して支持することができる。
従って、第二の屋根面の頂点側を安定して支持するために軸組等を行う必要がなく、妻壁の内面側の頂部に補強部材を取り付けるだけの簡単な構成で第二の屋根面の頂点側を安定して支持することができるので、コストの低減を図ることができるとともに、屋根の施工を容易なものとすることができる。
【0044】
本発明の請求項2記載の屋根構造によれば、妻壁の頂点が角柱体となっており、妻壁の頂点部分で妻壁の厚み方向に沿って傾斜する第二の屋根面を支持するために、妻壁の頂点部分を斜めに削った状態とする際に、壁パネルではなく、角柱体の上面を削れば良いことになる。
従って、三角形状の壁パネルの頂点を削る必要がなく、角柱体が、例えば、略一様な材質ならば、その上面を斜めに切断しても強度が低下するようなことがない。
また、壁パネルが複数の部材からなり、角柱体が均質な材質からなる場合に、壁パネルを加工するよりも、角柱体を加工する方が容易であり、施工性及び強度の向上を図ることができる。
【0045】
本発明の請求項3記載の屋根構造によれば、第一の屋根面の上部が妻壁の左右の斜辺のうちの一方の斜辺と妻壁に直交する第一の梁とにより支持され、第二の屋根面の上部が妻壁の頂部と補強部材と妻壁に平行する第二の梁とにより支持されている。
ここで、第二の屋根面の頂点部分は、上述のように妻壁の頂部と補強部材とにより安定支持されているので、第二の屋根面の上部を妻壁の頂部と補強部材と妻壁に平行する第二の梁とにより安定して支持することができる。
【0046】
本発明の請求項4記載の屋根構造によれば、第二の屋根面の下部が斜めの第三の梁に支持されるので、第二の屋根面を支持するために、梁や束を複雑に組み合わせる必要がなく、小屋裏空間を広くすることができる。
本発明の請求項5記載の屋根構造によれば、陸屋根部を屋上やルーフバルコニーとし、勾配屋根を屋上への昇降のためのペントハウスや、ルーフバルコニーに出入りする小屋裏を利用した最上階とすることができる。
そして、このような屋上もしくはルーフバルコニーに面する勾配屋根が寄棟屋根を棟に直交する平面で分割された形状を有するので、意匠的に優れたものとすることができるとともに、このような意匠とするための構造を上述のように補強部材を用いることにより簡単なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の屋根構造を用いた住宅の外観の概略を示す斜視図である。
【図2】上記例の屋根構造を用いた住宅の外観の概略を示す平面図である。
【図3】上記例の屋根構造の妻壁を示す要部正面図である。
【図4】上記例のの屋根構造の妻壁を示す要部斜視図である。
【図5】上記例の屋根構造の屋根面を構成する屋根パネルの割付を示す図面である。
【図6】上記例の屋根構造の屋根面を支持する梁の配置を示す図面である。
【図7】上記例の屋根構造の屋根面を支持し、かつ、斜めの部分を有する梁を示す図面である。
【符号の説明】
1 勾配屋根
2 陸屋根
3 妻壁
3a 壁パネル
4 第一の屋根面部
4a 屋根パネル
4b 屋根パネル
4c 屋根パネル
5 第二の屋根面部
7 正角(角柱体)
8 補強部材
9 梁(第一の梁)
10 梁(第二の梁)
11 梁(第三の梁)
12 梁(第一の梁と第二の梁)
Claims (5)
- 寄棟屋根をその棟の両端部の頂点のうちの一つの頂点において棟線方向と直交する平面で二つの分割体に切断した際の棟が含まれない方の分割体と略同様の形状の勾配屋根を形成するための屋根構造であって、
上記勾配屋根が二等辺三角形状の妻壁と、該妻壁の二つの斜辺にそれぞれ底辺に直角な辺を沿わせて配置された直角三角形からなる二つの第一の屋根面と、二つの第一の屋根面の斜辺に左右の斜辺をそれぞれ沿わせて配置された二等辺三角形状の第二の屋根面とからなり、
第一及び第二の屋根面が屋根パネルから形成され、
かつ、妻壁の内面側の頂部に屋根パネルから形成される第二の屋根面の頂点の近傍を支持する補強部材が設けられていることを特徴とする屋根構造。 - 上記妻壁の上部が、該妻壁の上部をほぼ左右に半分に分割した形状を有する二つの直角三角形状の壁パネルと、これら直角三角形状の壁パネルの間に挟まれた状態で妻壁の頂点から下方に延在するように配置された角柱体とからなることを特徴とする請求項1記載の屋根構造。
- 上記勾配屋根の所定の高さ位置に、第一の屋根面を支持し、かつ、上記妻壁と直交するように水平に配置された第一の梁と、第二の屋根面を支持するとともに、上記妻壁と平行かつ水平に配置された第二の梁とが配置され、第一の屋根面の上部が妻壁の左右の斜辺のうちの一方の斜辺と第一の梁とにより支持され、第二の屋根面の上部が妻壁の頂部及び上記補強部材と第二の梁とにより支持されていることを特徴とする請求項1または2記載の屋根構造。
- 第二の屋根面の傾斜角度に対応して斜めに配置されて第二の屋根面を支持する第三の梁が設けられ、該第三の梁と第一の梁とが平面視して略一直線状に接合された形状とされていることを特徴とする請求項3記載の屋根構造。
- 上記勾配屋根の妻壁側に隣接して上記勾配屋根より低い位置に略水平な面状の陸屋根部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の屋根構造。
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