JP3815979B2 - 糊付機能を備えた全自動部分整経機 - Google Patents

糊付機能を備えた全自動部分整経機 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は繊維の少量・多品種・短納期生産に適する糊付機能を備えた全自動部分整経機に関する。
【0002】
【従来技術】
この種の全自動部分整経機としては、特公平5−85661号公報に示されたような綾取り作業、バンド合わせ作業、整経作業及びバンド毎の糸処理作業すべてを自動化した構造のものが知られている。
【0003】
一方、コスト競争力で不利な日本の織布産業が生き残るためには、高付加価値の開発・生産が重要であり、かつマーケットの要求に対し短期間で対応する生産体制(少量・多品種・短納期生産体制)を構築することが重要である。
【0004】
織布工程の少量・多品種・短納期化のネックとなる工程が整経・糊付工程であることは、従来より当業界で広く指摘されているところである。
【0005】
従来技術の少量織布準備では何が問題であるかについて述べると、通常の大量生産向きに使用される粗巻整経方式では、800〜1200個の多量のチーズが必要で、例えば1チーズが最低の500g巻きとしても400kgの経糸が必要となる。多量のチーズが必要ということは、少量の糸で整経する場合、分割作業やチーズ・ドラムの途中卸し作業などの余分な作業が生じる。
【0006】
また、少量であっても整経、糊付、ビーミング工程で必要な仕掛け時間や前後の糸ロスは同じだけ生じるため、単位長さ当たりの作業時間や工程ロスが多くなる。一方少量生産向きの部分整経においても糊付品種は、チーズ本数分を別工程で1本ずつ糊付する必要があり、かつ従来の部分整経機は熟練者によるマニュアルの整経技術・技能などが必要などの問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した特に少量・短納期化に伴う従来の問題を解決すべくなされたもので、少量・短納期化を要求されるオーダーに対し、必要量だけを短納期で製織するための準備工程設備を備えた全自動部分整経機を提供することを目的としている。
【0008】
前記目的を達成するために、本願発明の糊付機能を備えた全自動部分整経機は、織物の総経糸本数をいくつかのバンドに分割し、整経クリールより供給される1バンド分の糸を綾取り装置及び幅決め筬を通過させ、所定の密度で必要な整経長を整経ドラムに巻付け、これを総経糸本数及び整経幅になるまでバンドを繰り返し整経を行う部分整経機において、該整経クリールと綾取り装置の間に糊付装置及び乾燥装置を設け、該整経クリールから供給される糸を糊付乾燥した後、該綾取り装置及び幅決め筬を通過させるように構成し、綾取り作業、バンド合わせ作業、整経作業及びバンド毎の糸処理作業の全てを自動化した部分整経機であり、前記糊付け装置に設置された糊付けローラと整経クリールの間にフロントリードと2本のガイドローラを設け、さらにこのガイドローラうち片方にニップローラを設け、高速運転時ニップローラは離れた状態とし、低速運転時及び整経ドラム停止時はニップローラがガイドローラに圧着する機構としたことを特徴とする。
【0009】
前記糊付装置は、100mm以上離れた少なくとも2本の糊付ローラからなるローラ糊付方式で、かつ、ローラ回転数と整経ドラムの回転速度の連動化を図り、さらに整経クリールと糊付ローラとの間に、糊付ローラ軸と平行な方向に往復運動するフロントリードを設けることによって、経糸と糊付ローラの接触点の位置を、糊付ローラ軸と平行な方向に往復運動させながら糊付を行うことが、付着する糊量の均一化に有効である。
【0010】
さらにフロントリードと糊付ローラの間に2本のガイドローラを設け、その周速を糸速より遅く設定し、糸速とガイドローラの周速の差を回生ブレーキとして糸に張力を付加することで、糊付・乾燥時の糸シートに適正な張力が付加され、糸ゆるみにより隣接糸がくっつき糸切れするなどのトラブルを未然に防止する事に有効である。
【0011】
また、前記フロントリードと糊付ローラの間にある2本のガイドローラの片方にニップローラを設け、高速運転時ニップローラは離れた状態とし、低速運転時及び整経ドラム停止時はニップローラがガイドローラに圧着する機構としたことにより、低速時糸シートが弛もうとする動きに対しガイドローラとニップローラが常時糸シートに緊張を与える作用をし、結果として糸シートの弛みが防止できる。
【0012】
前記乾燥装置の熱風吹き出し口に開閉式シャッターを取り付け整経機の運転信号によりシャッターの開閉を可能とし、整経機運転中(整経ドラム回転中)には乾燥用熱風は糸の走行ゾーンを含む熱風循環路へ吹き出され、整経機運転待機中(整経ドラム回転中断中)には乾燥用熱風は糸の走行ゾーンを含まない待機熱風循環路(ダクト)内を低速で循環させられることで整経機が停止した場合、乾燥装置内の糸シートが熱風により乱れ、隣接糸同士が絡みつき易い点を防止するのに極めて有効である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明に係る糊付機能を備えた部分整経機の一つの実施の形態を示す概略側面図、図2は図1の概略平面図、及び図3は図1の部分整経機にニップローラを取付けた状態を示す要部拡大摘示図、図4は乾燥装置の一例を示す側面概略図で、整経機運転待機中の熱風循環路の状態を示し、図5は図4と同様の図面で、整経機運転中の熱風循環路の状態を示すものである。
【0014】
本発明の基本的な技術思想は、少量生産に優位な部分整経機をベースに、クリールと整経ドラムの間に簡易ローラ糊付装置と乾燥装置を組み込んで整経・糊付を1プロセス化し、少量生産の決め手となる整経機のクリール数を既存粗巻整経機の1/5以下すなわち100〜200個さらに望ましくは1/10以下すなわち50〜100個としさらには整経バンド毎に経糸をドラムに巻く作業の完全自動化を行うことにある。
【0015】
通常の部分整経機は粗巻整経機に比べ少量生産に有利であるが、糊付品種の場合整経本数分を別工程で1本ずつ糊付する必要があり2プロセスとなり、時間的にもコスト的にも不利である。本発明は簡易ローラ糊付装置と乾燥装置を組み込んで整経・糊付工程を1プロセス化することによりこの問題を解決する。
【0016】
また、少量生産の決め手となる整経機のクリール機は、通常の部分整経機では、300〜500個が普通であるが枠立て数を100〜200個さらに望ましくは50〜100個とする。枠立て数と整経バンドの積が総経糸本数の関係にあり従来の部分整経機で、ただ単に枠立て数を減少すれば、整経バンド数は増加するため綾取り作業、バンド合わせ作業、整経作業及びバンド毎の糸処理作業などマニュアル作業量が大幅に増加し問題となる。これらの整経バンド毎に経糸をドラムに巻く作業をすべて完全自動化し、無人運転可能化することについては既に提案されている(特公平5−85661号公報参照)。
【0017】
図1及び図2において、10は本発明に係る糊付機能を備えた全自動部分整経機である。該全自動部分整経機10は、織物の総経糸本数をいくつかのバンドに分割し、整経クリール12より供給される1バンド分の経糸14を綾取り装置16及び幅決め筬18を通過させ、所定の密度で必要な整経長を整経ドラム20に巻付け、これを総経糸本数及び整経幅になるまでバンドを繰り返し整経を行うものである。なお、21は経糸用ビームである。
【0018】
本発明の全自動部分整経機10における最大の特徴は、該整経クリール12と綾取り装置16の間に糊付装置22及び乾燥装置24を設け、該整経クリール12から供給される経糸14を糊付装置22において糊付し、次いで乾燥装置24で乾燥した後、該綾取り装置16及び該幅決め筬18を通過させるようにした点にある。
【0019】
該糊付装置22は、糊液を収容する糊液ボックス26と、経糸14に糊付する少なくとも2本の糊付ローラ28を有し、該糊付ローラ28,28の軸間隔は少なくとも100mm以上離して設けられる。
【0020】
30はフロントリードで、該整経クリール12から引き出された経糸14をガイドローラ32に導く作用を行う。該フロントリード30は前記糊付ローラ28の軸と平行な方向(図2のY方向)に往復可能とされている。
【0021】
一般に、ローラ糊付方式においては、糸道はほぼ固定されている。しかも糊付ローラ28と糸の走行速度と比べて、糊付ローラ表面の回転速度は極めて遅いため、糊付ローラ28の表面に付着している糊液が、糊付ローラ28に接触通過する糸へ常に均一に供給されず、糸に付着する糊の量が不均一になり、タテスジ欠点や製織不良などの問題が生じる。ローラ糊付方式では糊の付着量を如何に均一にするかが従来より最大の課題である。
【0022】
本発明で用いられるローラ糊付方式の糊付装置22では、経糸14と糊付ローラ28との接触点Aの位置を、糊付ローラ28の軸と平行な方向に動かしながら糊付を行うことによって糊の付着量の均一化を図ろうとするものである。経糸14と糊付ローラ28の表面とが、連続して同じ位置で接触しないので、糊液を糸の長さ方向及び各糸に均一に付着させることができる。経糸14と糊付ローラ28との接触点Aの移動の周期や移動距離は、糊付する糸14の種類によって選択する。通常は、振幅が3〜10mm、周期が10〜30回/分の範囲が好ましい。
【0023】
経糸14と糊付ローラ28との接触点Aに上記の運動を付与する具体的手段としては、整経クリール12と糊付ローラ28の間に糊付ローラ28の軸と平行な方向に往復運動するフロントリード30を設けることによって達成される。
【0024】
また、糊付ローラ28は2本以上使用すると、経糸14の長さ方向における糊付液の付着量を均一化するのに有効である。2本以上設けられた各糊付ローラ28の軸間隔を、少なくとも100mm、さらに好ましくは150mm以上離して取付ける。
【0025】
糊付ローラ28の軸間隔が小さ過ぎると、前段に設けられた糊付ローラ28で糊が付着する部分と、次段に設けられた糊付ローラ28で糊が付着する部分とが重複して、糊の付着量が長さ方向に不均一になりやすい。
【0026】
さらに、経糸14の長さ方向における糊の付着量を均一化する方法としては、糊付ローラ28の回転数と経糸14の巻取速度の連動化を図ることが有効である。部分整経機10の場合、経糸の巻取速度が、高速、低速の間欠運転を繰り返すために糊付ローラ28の回転数が一定であると、糊付着量が高速、低速時で異なり経糸の長さ方向に不均一となってしまう。経糸の巻取速度の変化に応じ、糊付ローラ28の回転数を適宜変化させ糊の付着量を均一化させる方法である。
【0027】
さらにフロントリード30と糊付ローラ28の間に2本のガイドローラ32を設け、その周速を糸速より遅く設定し、糸速とガイドローラの周速の差を回生ブレーキとして糸14に張力を付加することができる。このことにより、糊付・乾燥時の糸シート14に適正な張力が付加され、糸ゆるみにより隣接糸がくっつき、糸切れするなどのトラブルを未然に防止出来る。ガイドローラ32の駆動には、例えば3相無段変速誘導電動機、又はトルクモーターやDCモーター等を使用することで目的は達成できる。
【0028】
前述した特公平5−85661号に記載された全自動部分整経機においては、クリール部と綾取り部の中間に糊付装置と乾燥装置を組み込み糊付する際、新たな問題として、綾取り作業時、経糸を開口補助バーで大きく開口させ、綾テープを挿入し、次の段階で開口を、ひっくり返し次の綾を組む際、経糸シートが大きく弛み、糊付ローラ上の糸が隣同士くっついたり、ローラ表面に密着してローラ巻付きを生じ、糸切れの原因となることが判った。
【0029】
この対策としては、図3に示したように、フロントリード30と糊付ローラ28の間に2本のガイドローラ32の片方にニップローラ34を設け、高速運転時にはニップローラ34は離れた状態とし、低速運転時及び整経ドラム停止時にはニップローラ34がガイドローラ32に圧着する機構とすることで解決出来る。
【0030】
なお、ニップローラ34の離着はエアシリンダー駆動が望ましく、さらにガイドローラ32の回転方向は、高速運転時は糸の進行方向での回転とし、低速運転時は糸の進行方向とは逆方向の回転することがより望ましい。このことにより、低速時糸シートが弛もうとする動きに対しガイドローラ32とニップローラ34が常時糸シート14に緊張を与える作用をし、結果として糸の弛みが防止できる。
【0031】
前記乾燥装置24は、図4及び図5に示されるごとく、チャンバー36を有している。該チャンバー36の上部には糸14の走行ゾーン38が設けられている。40は該チャンバー36の内部に設置された加熱装置である。
【0032】
該チャンバー36の内部の糸14の走行方向(矢印Y)側の端部部分には上記糸14の走行ゾーン38を含まない待機熱風循環路hを形成する環状ダクト42が設けられている。該環状ダクト42内には第1モータM1によって駆動せしめられる第1ファン機構44が設けられている。
【0033】
該環状ダクト42の上部には、上記糸走行ゾーン38に連通する連絡通路、即ち熱風吹き出し口46が設けられている。48は該連絡通路46を開閉自在に閉鎖する開閉式シャッターである。この開閉式シャッター48は部分整経機10の運転信号によってその開閉が行われるもので、部分整経機10の運転中は該シャッター48は開放方向に回動して該連絡通路46を開口し(図5)、また部分整経機10の運転待機中又は運転停止中には該シャッター48は閉鎖方向に回動して該連絡通路44を閉鎖する(図4)。
【0034】
一方、該チャンバー36の内部の糸14の走行方向(矢印Y)と反対側の端部部分には上記糸14の走行ゾーン38を含む乾燥熱風循環路Hの一部を形成する垂直ダクト50が設けられている。52は該チャンバー36の内部中央部に設けられた水平ダクトで、該垂直ダクト50と前記環状ダクト42とを連通して糸14の走行ゾーン38を含む待機循環路Hを形成する。該垂直ダクト50の下部には第2モータM2によって駆動せしめられる第2ファン機構54が設けられている。
【0035】
前記部分整経機10の運転待機中は、図4に示したように、前記開閉式シャッター48によって連絡通路46は閉鎖せしめられている。この時、第1モータM1は低速回転状態となり、第1ファン機構44によって待機熱風循環路h内は乾燥用熱風W1が低速循環して運転再開に対して待機している状態となっている(図4)。なお、この状態では第2モータM2はオフとされ、第2ファン機構54は停止している。
【0036】
一方、前記部分整経機10の運転中は、図5に示したように、前記開閉式シャッター48は下方に回動して連絡通路46は開放状態となる。この時、第1モータM1及び第2モータM2はともに高速回転状態となり、第1ファン機構44及び第2ファン機構54によって乾燥熱風循環路H内は乾燥用熱風W2が高速循環し、糸走行ゾーン38を走行する糸14は走行中に迅速に乾燥せしめられる。
【0037】
すなわち、熱風乾燥を前提とするため、部分整経機10が運転待機状態となった場合、乾燥装置24内の糸シート14が熱風により乱れ、隣接糸同士が絡みつきやすい点を防止するため、運転中と運転待機時の熱風循環路を区分する、いわゆる熱風循環経路変更方式とする。もちろん熱風温度は、制御されるので次の運転時、時間やエネルギーのロスもなく運転再開可能で、乾燥不良や乾燥ムラが防止できる。
【0038】
次に本発明において好適に用いられる全自動部分整経機について述べる。通常の部分整経機の基本的整経作業は次の手順で行われる。▲1▼各整経バンドのバンド合わせ作業▲2▼綾取り作業▲3▼整経(整経ドラムへの巻付け)▲4▼整経バンド毎の糸処理作業、すなわち、▲1▼から▲4▼の操作を各整経バンド毎に必要バンド数だけ繰り返すが、▲3▼を除き各操作は手作業で行われる。本発明で好適に用いられる全自動部分整経機は、例えば特公平5−85661号公報に記載された構造であって、最初の1バンドのみ若干の手動作業を伴うが、2バンド目から最終バンドまで▲1▼から▲4▼の作業を全自動的に行うことができるものである。
【0039】
糊剤は特に限定されない。例えば、アクリル系糊剤を70〜80重量%用い、ワックスエマルジョンを残りの20〜30重量%用いた糊剤を、好ましく用いることが出来る.基本的に簡易整経糊付方法であるので、乾燥性と接着性に優れていること、さらに、乾燥性や浸透性を考慮すると、高濃度で低粘度を有する糊剤であることが好ましい。
【0040】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきものでないことはいうまでもない。
【0041】
(実施例1)
部分整経機においてクリール部と綾取り部の中間に糊付装置と乾燥装置を有しかつ綾取り作業、バンド合わせ作業、整経作業及びバンド毎の糸処理作業をすべて自動化した実験機を試作し、試験を行った。経糸としてポリエステルマルチフィラメントの無撚糸(50D−24F、丸断面糸)を用い、ヨコ糸としてポリエステルマルチフィラメント糸の無撚無糊糸(75D−36F、丸断面糸)を用いた平織物を製織した。
【0042】
この時の経糸の整経・糊付条件は下記の通りである。
整経機機種 :(有)スズキワーパー製 自動部分整経機タイプK5A
整経速度 :150m/min
整経枠立数 :100本
整経バンド数 :50個
使用糊剤 :互応化学製 プラスサイズTG−022
糊付着量 :4.0%
乾燥チャンバー長:2m
乾燥温度 :100℃
糊付ローラ :外径60mmφ、ステンレス製鏡面仕上げ、回転数8回/分
【0043】
製織条件は下記の通りである。
織物規格 :生機経糸密度103本/in×ヨコ糸密度79本/in
生機幅 131cm
織機機種 :ウオータ・ジェット・ルーム(津田駒工業製)
リードスペース 150cm
製織条件 :織機回転数 900rpm
製織長 550m/1水準
【0044】
上記条件下で、フロントリードの往復運動の有無、糊付ローラの本数及び糊付ローラの軸間隔をそれぞれ表1のように変化させ、糊付着のムラと関連の高い経筋品位及び製織性について評価を行った。結果を表1に示す。得られた織物は、経筋の発現が見られず高品質であり、製織性は良好であった。
【0045】
(実施例2)
糊付ローラを2本使用し、各ローラの軸間隔を200cmとした以外は実施例1と同一の条件で整経、糊付及び製織を行った。実施例1と同様に得られた織物は、経筋の発現が見られず高品質であり、製織性は良好であった。
【0046】
(実施例3)
糊付ローラを2本使用し、各ローラの軸間隔を10cmとした以外は実施例1と同一の条件で整経、糊付及び製織を行った。得られた織物は、実施例1〜2と同様に経筋の発現が見られず高品質であり、製織性は良好であった。
【0047】
(実施例4)
実施例3と同様の条件で、ただし糊付ローラの軸間隔を5cmとして整経、糊付及び製織を行った。得られた織物には、実施例3と比較して、経筋の発現がわずかに見られ、製織性は実施例1〜3に比較してやや劣っていた。
【0048】
(実施例5)
糊付ローラは1本使用した以外は実施例1と同一の条件で整経、糊付及び製織を行った。得られた織物には、経筋が観察され、また、製織性は実施例4には及ばなかった。
【0049】
(比較例1)
経糸に往復運動を与えずに糸道を固定し、2本の糊付ローラを使用して、糊付ローラの軸間隔を5cmとした以外は実施例1と同一の条件で整経、糊付及び製織を行った。得られた織物は、経筋が極めて目立ち、製織性も悪かった。
【0050】
【表1】
Figure 0003815979
【0051】
(実施例6及び比較例2)
実施例1の条件下、図3に示す如きガイドローラ5の片方にニップローラ12を設け、高速運転時ニップローラは離れた状態とし、低速運転時及び整経ドラム停止時はニップローラがガイドローラに圧着する機構とした。その結果、ニップローラのない比較例2が、綾取り作業時、経糸を開口補助バーで大きく開口させ、綾テープを挿入し、次の段階で開口を、ひっくり返し次の綾を組む際、経糸シートが大きく弛み、糊付ローラ上の糸が隣同士くっついたり、ローラ表面に密着してローラ巻付きを生じ、糸切れするのに対し、実施例6では常時糸シートに緊張を与えられるため、弛みが生じずこれらの問題は防止できた。
【0052】
【発明の効果】
本発明の糊付機能を備えた全自動部分整経機は、織布の少量・多品種・短納期生産に適し、特にQR対応性については、従来に比べ工程間の待ち時間を考慮すると圧倒的に優位で、織布準備期間は糊付時、少なく見積もっても従来の部分整経方式対比1/4以下(2日から0.5日)に短縮可能である。またコスト的にもきわめて有利である。
【0053】
特に、本発明の部分整経機に具備された経糸の糊付装置を用いることによって、経糸の長さ方向及び各糸条に糊剤を均一に付着することが出来るため、品質の良い織物を効率よく製織することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる糊付機能を具備した部分整経の一つの実施の形態を示す概略側面図である。
【図2】 図1の概略平面図である。
【図3】 図1の部分整経機にニップローラを取付けた状態を示す要部拡大摘示図である。
【図4】 乾燥装置の一例を示す側面概略図で、整経機運転待機中の熱風循環路の状態を示す。
【図5】 図4と同様の図面で、整経機運転中の熱風循環路の状態を示す。
【符号の説明】
10:全自動部分整経機、12:整経クリール、14:経糸、経糸シート、16:綾取り装置、18:幅決め筬、20:整経ドラム、21:経糸用ビーム、24:乾燥装置、26:糊液ボックス、28:糊付ローラ、30:フロントリード、32:ガイドローラ、34:ニップローラ、36:チャンバー、38:糸走行ゾーン、40:加熱装置、42:環状ダクト、44:第1ファン機構、46:熱風吹き出し口又は連絡通路、48:開閉式シャッター、50:垂直ダクト、52:水平ダクト、54:第2ファン機構、M1:第1モータ、M2:第2モータ。

Claims (4)

  1. 織物の総経糸本数をいくつかのバンドに分割し、整経クリールより供給される1バンド分の糸を綾取り装置及び幅決め筬を通過させ、所定の密度で必要な整経長を整経ドラムに巻付け、これを総経糸本数及び整経幅になるまでバンドを繰り返し整経を行う部分整経機において、該整経クリールと綾取り装置の間に糊付装置及び乾燥装置を設け、該整経クリールから供給される糸を糊付乾燥した後、該綾取り装置及び幅決め筬を通過させるように構成し、綾取り作業、バンド合わせ作業、整経作業及びバンド毎の糸処理作業の全てを自動化した部分整経機であり、前記糊付け装置に設置された糊付けローラと整経クリールの間にフロントリードと2本のガイドローラを設け、さらにこのガイドローラうち片方にニップローラを設け、高速運転時ニップローラは離れた状態とし、低速運転時及び整経ドラム停止時はニップローラがガイドローラに圧着する機構としたことを特徴とする糊付機能を備えた全自動部分整経機。
  2. 前記糊付ローラの軸間隔が、100mm以上離れた少なくとも2本の糊付ローラからなるローラ糊付方式で、か、ローラ回転数と巻取速度の連動化を図り、さらに整経クリールと糊付ローラとの間に、糊付ローラ軸と平行な方向に往復運動するフロントリードを設けることによって、経糸と糊付ローラとの接触点の位置を、糊付ローラ軸と平行な方向に往復運動させながら糊付を行うことを特徴とする請求項1に記載の全自動部分整経機。
  3. フロントリードと糊付ローラの間に2本のガイドローラを設け、その周速を糸速より遅く設定し、糸速とガイドローラの周速の差を回生ブレーキとして糸に張力を付加することを特とする請求項1又は2に記載の全自動部分整経機。
  4. 前記乾燥装置の熱風吹き出し口に開閉式シャッターを取り付け整経機の運転信号によりシャッターの開閉を可能とし、整経機運転中には乾燥用熱風は糸の走行ゾーンを含む熱風循環路へ吹き出され、整経機運転待機中には乾燥用熱風は糸の走行ゾーン含まない待機熱風循環路内を低速で循環させられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の全自動部分整経機。
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