JP3815105B2 - 中間留出油用流動性向上剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,軽油、A重油などの中間留出油用の流動性向上剤に関する。さらに詳しくは、特定の結晶化開始温度を有し、中間留出油の低温流動性を向上させることのできるブロック共重合体を含有する中間留出油用流動性向上剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
石油精製工業においては各種産業の基盤エネルギー源である中間留分の増産を目的として、例えば製品としての軽油の規格を満足させるのに行われる灯油のカットバックの量を通常よりも減少させることで灯油の増産を行ったり、通常A重油として用いるような蒸留範囲の成分のものを軽油として使用することで軽油の増産を行うといった方法がとられている。このようなことから、近年、軽油の蒸留性状が狭くなったり、重質留分を多く含むなどの性状変更が余儀なくされている。
それに加えて近年の原油の重質化により燃料油中に含まれる長鎖n−パラフィンが多くなり、低温性状は大きく変化している。そのため軽油に関しては、従来のものより高い温度で軽油への溶解性が低い長鎖n−パラフィンが析出することにより曇り点(以下、CPという)が高くなる。その結果、厳冬期に外気温が極度に低下した際、油温の低下に伴って析出したn−パラフィンが自動車などの燃料油移送ラインに設置されているフィルター、あるいはラインそのものを閉塞させる等のトラブルを生じる恐れが高まってきている。
このような問題を解決するため、これまで多くの添加剤が提案されている。例えば、アルケニルコハク酸アミド(特開昭56−43391号公報)や、ポリオキシアルキレンエステル(特開昭57−177092号公報)といった比較的低分子型である添加剤(以下、界面活性剤型添加剤という)、エチレン/酢酸ビニル共重合体とアルケニルコハク酸アルキルエステルとの組み合わせといった併用タイプの添加剤(英国特許第2129012号)等が提案されているが、これらは流動点(以下、PPという)を下げる効果は有するものの、目詰まり点(以下、CFPPという)については、特に重質で蒸留範囲の狭い軽油においては十分な効果が得られていない。
【0003】
また、エチレン/プロピレン共重合体(特開昭60−137997号公報)や、エチレン/酢酸ビニル共重合体(特開昭55−137193号公報)の使用も提案されているが、これらについても、軽油に対してはPPを下げる効果は有するものの、CFPPについての効果が十分とはいえない。さらに、エチレン/カルボン酸ビニル(特開平5−186782号公報)についても、最終沸点が365℃以上である軽油については低添加量にて効果を有するが、沸点が350〜365℃の範囲の軽油については500ppm以上の添加が必要であり、経済的に好ましくない。また、これらのポリマーを単独にて用いる添加剤(以下、ポリマー系添加剤という)は、油種によっては界面活性剤型添加剤と混合した場合にCFPPを損なうことが指摘されている(内田紘一郎、他、石油学会製品部会製品討論会予稿集、P.143.1998)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような状況下で、燃料油のPPを低下させることができ、また、界面活性剤型添加剤と組み合わせた場合においてもCFPPを下げる効果を損なうことなく、CFPP及びPPをバランスよく低下させることのできる中間留出油用流動性向上剤を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、燃料油、特に軽油、重油において、特定の結晶化開始温度を有する特定のブロック共重合体、あるいは所定の割合の上記ブロック共重合体とポリオキシアルキレングリコール部を有する特定の化合物とからなる流動性向上剤が、低温特性の改善、すなわちCFPP及びPPをバランスよく低下させることができることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、(A)芳香族ビニル化合物単位からなるブロックと、(B)ジエン化合物単位からなるブロックとから構成される共重合体の水素化物であり、結晶化開始温度が−10℃〜80℃であるブロック共重合体を含有する中間留出油用流動性向上剤に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明に係るブロック共重合体を構成する(A)芳香族ビニル化合物単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチルー4−ベンジルスチレン、アセトナフタレン、ビニルオクチルベンゼン等が挙げられるが、好ましくはスチレンである。このような芳香族ビニル化合物単位は、(A)ブロック中に好ましくは80〜100%含有させる。 また、(B)ブロック中のジエン化合物単位としては、例えば、ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン、2−メチルー1,3−ペンタジエン等が挙げられ、好ましくはブタジエン及びイソプレンの混合物であり、これらは(B)ブロック中に好ましくは50〜100%含有させる。
【0008】
上記ブロック共重合体としては、例えばスチレン/ブタジエンブロック共重合体、スチレン/イソプレンブロック共重合体、スチレン/イソプレン/ブタジエンブロック共重合体、スチレン/ペンタジエンブロック共重合体、スチレン/イソブチレンブロック共重合体、ビニルナフタレン/ブタジエンブロック共重合体、アセナフチレン/ブタジエンブロック共重合体、ビニルオクチルベンゼン/ブタジエンブロック共重合体およびそれらの水素化物が挙げられ、好ましくはスチレン/ブタジエン/イソプレンブロック共重合体の水素化物である。
上記のブロック共重合体としては、芳香族ビニル化合物単位からなる(A)ブロックとジエン化合物単位からなる(B)ブロックが、A−(B−A)n 型、(A−B)n 型等のブロック共重合(nは1以上の整数であり、好ましくは10以下である)を形成している共重合体が挙げられ、特にA−B型、A−B−A型のものが好ましい。
【0009】
上記ブロック共重合体の分子量は,数平均分子量として1,000〜100,000であることが好ましく、さらに3,000〜60,000であることが好ましい。本発明においては、ブロック共重合体の結晶化開始温度は−10〜80℃であることが必要である。結晶化開始温度が80℃を超えると軽油に対する溶解性が低下し、またポリオキシアルキレングリコール誘導体を用いる場合の効果を阻害する。また−10℃未満では低温での析出のタイミングが遅く、PPを下げる効果が現れない。上記の観点から、結晶化開始温度は−5〜40℃であることが好ましい。
結晶化開始温度は示差走査熱測定法(differential scanning calorimetry、以下、DSCという)にて測定することができる。測定は10℃/minにて室温から200℃まで一旦昇温し、そのまま30分保持した後、10℃/minにて−50℃まで下げて行う。その結果得られたチャートにおいて、べースラインとピークの立ち上がりはじめの接線の交点を結晶化開始温度とする。
【0010】
特定の結晶化開始温度を有するブロック共重合体は特開平3−1288114号公報にあるように、(B)ジエン化合物単位からなるブロックのミクロ構造をコントロールすることにより製造が可能である。すなわち結晶化開始温度を高くしようとする場合はミクロ構造内に連続したエチレン鎖を導入し、該温度を下げようとする場合は,ミクロ構造内に分岐鎖を導入すれば良い。本発明のブロック共重合体の場合、連続したエチレン鎖とは1,4−結合により得られるブタジエン重合体を指し、また分岐鎖とは、1,2−結合により得られるブタジエン重合体および1,4−結合により得られるイソプレン重合体を指す。
【0011】
つまり1,4−結合により得られるブタジエン重合体を完全水添した場合には分岐を持たないポリエチレンと同一な構造をとるため結晶性は高くなる。また、1,2−結合により得られるブタジエン重合体あるいは1,4−結合により得られるイソプレン重合体を完全水添した場合には構造中に分岐鎖が残存し、非晶性となり、結晶化開始温度は低くなる。従って、ブロック共重合体の結晶化開始温度は上記のように分子構造を調整することによりコントロールすることができる。
【0012】
上記のブロック共重合体において、(A)ブロックの占める割合は重量比で1〜60%であり、好ましくは5〜40%である。この範囲以外のものでは結晶化開始温度を本発明の範囲にコントロールするうえで好ましくない。
また(B)ブロックは、前記したように単量体としてブタジエンとイソプレンとの混合物を用いるのが好ましく、またこの場合、ブタジエン単位とイソプレン単位の結合様式はランダム、ブロックいずれでもよい。またブタジエン単位とイソプレン単位の割合としては、重量比で1:9〜9:1、好ましくは4:1〜1:4が結晶化開始温度を本発明の範囲にコントロールするうえで好ましい。
【0013】
上記ブロック共重合体は、CFPP、PPをバランス良く低下させ得るという点から、本発明の中間留出油用流動性向上剤中、好ましくは10〜100重量%含有され、特に、30〜70重量%含有されることが好ましい。
本発明の流動性向上剤は、(A)芳香族ビニル化合物単位からなるブロックと、(B)ジエン化合物単位からなるブロックとから構成される共重合体を水添処理してなる水素化物を含有するものであるが、このような水添処理としては、例えば、水添反応及び水添触媒に対して不活性な溶媒に該共重合体を溶解した状態で分子状水素を反応させる方法等、公知の方法が用いられる。
【0014】
本発明の中間留出油用流動性向上剤は、上記ブロック共重合体と、ポリオキシアルキレングリコール部及び鎖状飽和アルキル部を有するポリオキシアルキレングリコール誘導体とを含有することが好ましい。該ポリオキシアルキレングリコール誘導体としては、(a)ポリオキシアルキレングリコール部を含有する含窒素化合物と、飽和あるいは不飽和および/または分岐脂肪酸とから合成されるエステルまたは部分エステル化物もしくはその塩、(b)ポリオキシアルキレングリコール部を含有する含窒素化合物と、飽和あるいは不飽和および/または分岐脂肪酸と、二塩基酸とから合成される架橋エステルまたは部分架橋エステル化物、(c)ポリオキシアルキレングリコールと、飽和あるいは不飽和および/または分岐脂肪酸とから合成されるエステル化物、(d)ポリオキシアルキレングリコール部を含有する多価アルコールと、飽和あるいは不飽和および/または分岐脂肪酸とから合成されるエステル化物、(e)ポリオキシアルキレングリコール部を含有する多価アルコールと、飽和あるいは不飽和および/または分岐脂肪酸と、二塩基酸とから合成される架橋エステルまたは部分架橋エステル化物、(f)ポリアルキレンポリアミンと飽和あるいは不飽和および/または分岐脂肪酸のアミド化物のアルキレンオキシド付加物、(g)ポリアルキレンポリアミンと飽和あるいは不飽和および/または分岐脂肪酸のアミド化物のアルキレンオキシド付加物と、二塩基酸とから合成される架橋エステルまたは部分架橋エステル化物、(h)ポリオキシアルキレングリコール部を含有する含硫黄化合物と、飽和あるいは不飽和および/または分岐脂肪酸とから合成されるエステルまたは部分エステル化物、(i)燐酸または亜燐酸のアルキレンオキシド付加物と、飽和あるいは不飽和および/または分岐脂肪酸とから合成されるエステル化物、などが挙げられる。本発明においては、特に、上記鎖状飽和アルキル部として、直鎖状のものが好ましく用いられる。
【0015】
本発明においては、上記ポリオキシアルキレングリコール誘導体は、前記のブロック共重合体とともにー種単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
上記(a)〜(i)の化合物の中で、(a)、(b)、(f)又は(g)におけるような含窒素化合物を使用した場合、ブロック共重合体との併用により低温特性、特にCFPPの改善効果がより大きく、一層好ましい。
本発明の中間留出油用流動性向上剤としては、上記ブロック共重合体と上記ポリオキシアルキレングリコール誘導体とを、重量比で99:1〜1:99、好ましくは10:1〜1:5の範囲の割合で含有することが、低温特性改善効果をより大きくしうる点で好ましい。
【0016】
また、ポリオキシアルキレングリコール誘導体と組み合わせるブロック共重合体については、燃料油の性状に従って、本発明の範囲内で結晶化開始温度を有するものを選定することにより、燃料油の性状にあった添加剤の設計が可能である。また、異なる結晶化開始温度を持つ2種以上のブロック共重合体を組み合わせて用いることにより、所望の性状を得ることも可能である。
本発明の中間留出油用流動性向上剤を、例えば軽油に添加する際の添加量は1〜10000ppm、好ましくは10〜500ppmである。添加剤の添加量が10000ppmを超える場合は、添加効果が飽和状態に達し、添加量に見合うだけの効果が得られないことがあるばかりか、経済的に不利である。また添加量が1ppmより少ない場合、十分な低温特性改善効果が得られない。
【0017】
本発明の中間留出油用流動性向上剤が有効に効果を発揮する燃料油としては、好ましくは、軽油、A重油が挙げられる。ここで軽油とは、石油精製における沸点範囲が130〜450℃の範囲、好ましくは150〜380℃の範囲の燃料油である。このような軽油は、通常,直留軽油、水素化直接脱硫軽油、水素化間接脱硫軽油、水素化分解軽油、水素化脱硫重質軽油、脱硫灯油などを適宜混合して調製することができる。また硫黄分規制に対応するために極度の水素化により精製された低硫黄燃料油、例えば硫黄分0.05重量%以下の軽油においても同様に効果を発揮する。
【0018】
一方、A重油とは石油を直接に常圧または減圧によって蒸留した中〜重質留出燃料油、水素化脱硫や接触改質処理を行った中〜重質留出燃料油、熱分解、接触分解、水素化分解などの分解処理を行った中〜重質留出燃料油、オイルシェール、オイルサンド、石炭などの分解油の中〜重質留出燃料油などの燃料油の1種または2種以上の混合物であり、あるいは更に油脂、脂肪酸、アルコール、エ一テル、ケトンなどの酸素を含有する炭化水素化合物を上記中質〜重質留出燃料油に混合したものと、残留炭素分が生じる残油、例えば石油を常圧または減圧によって蒸留する際の蒸留残油、水素化脱硫や接触改質処理を行った処理油の蒸留残油、水素化脱硫や接触改質処理を行った処理油の蒸留残油、熱分解、接触分解、水素化分解などによる分解処理油の蒸留残油;潤滑油製造工程から発生する重質エクストラクト;各種石油精製工程から発生するアスファルト質〜樹脂質の副生物、不飽和性が高いオレフィン、ポリオレフィン、オイルシェール、オイルサンドなど、またはこれらの分解油の蒸留残油、その他の高分子量および/または重合性の炭化水素系物質などの重質留出燃料油などの燃料油1種または2種以上の混合物である。
【0019】
本発明の中間留出油用流動性向上剤は、軽油、A重油などの中間留出油にそのまま添加して使用することができるが、これらの燃料油と相溶性のある有機溶媒で20〜80重量%に希釈して用いることが好ましい。希釈することにより取り扱いが容易になり、また添加時の溶解性が向上する。このような有機溶媒としては、ナフサ、灯油、軽油などの石油留分、芳香族炭化水素、パラフィン系炭化水素などが挙げられる。
【0020】
また本発明の中間留出油用流動性向上剤は、本発明の効果を損なわない範囲で通常燃料油に使用される曇点降下剤、流動性向上剤、防錆剤、酸化防止剤、セタン価向上剤、金属不活性化剤、清浄分散剤、燃焼性向上剤、黒煙減少剤、色相安定剤、スラッジ分散剤、マ−カ−などの添加剤と併用してもよい。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例において、各性状は以下の方法により測定した。
(a)結晶化開始温度
DSCによりブロック共重合体の結晶化開始温度を測定した。測定はセイコーインスツルメント社製DSCを用い、温度条件は10℃/minにて室温から200℃まで一旦昇温し、そのまま30分保持した後、10℃/minにて−50℃まで下げた。その結果得られたチャートにおいて、べ−スラインとピ−クの立ち上がりはじめの接線の交点を結晶化開始温度とした。
【0022】
(b)分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)にて、ポリスチレン換算にて数平均分子量を測定した。
(c)目詰まり点(CFPP)
JIS K−2288に準拠して測定した。
(d)流動点(PP)
JIS K−2269に準じて、1℃間隔で流動点を測定した。
(e)簡易シミュレーター試験での目詰まり点の測定(修正CFPP)
JIS K−2288に準じ、金網を149μm、冷却速度を1℃/時間、吸引時間を30秒に変更して、低温庫内にて測定した。
【0023】
(f)n−パラフィン析出試験
燃料油中に含まれるn−パラフィンの1℃当たりの低温下における析出割合を以下のように評価した。試料油40gをメスフラスコに入れ活栓をし、グラスフィルター(3G−1)を備えつけた吸引瓶を設置したコントローラー付き冷却バスに浸す。室温から冷却速度1℃/hで所定温度まで徐冷した後、冷却バス内で同温度に冷却した窒素ガスでシールする。10mmHgの減圧度でグラスフィルター内に敷いた濾紙により吸引濾過を行い、析出n−パラフィンを濾別する。同温度に冷却したアセトンで十分に洗浄した後、減圧乾燥してn−パラフィン析出量を秤量し、試料油に対する重量百分率を最小二乗法により直線近似して算出しn−パラフィン析出率(重量%/℃)とする。
【0024】
製造例1〔共重合体水素化物(AB−1,3,5)の製造〕
攪拌装置,滴下漏斗の付属した耐圧反応容器にシクロヘキサン500重量部およびS−ブチルリチウム11重量部を仕込み、30℃に昇温して、滴下ロートよりスチレン60重量部を連続的に仕込み、次いでイソプレン/ブタジエンの混合モノマーを3/2の割合で280重量部を連続的に仕込み、再びスチレン6重量部を仕込んで8時間重合を行った。その後反応系を水素で置換し、ケイソウ土担持ニッケル触媒を25重量部加えて15kg/cm2 の水素圧を保ちながら、150℃で10時間反応させた。反応生成物をシクロヘキサンで希釈し、触媒を濾過し、次いで濾液を減圧下で濃縮乾燥してブロック共重合体水素化物(AB−1)を得た。この共重合体は、核磁気共鳴(以下NMRという)分析によりスチレン/イソプレン/スチレン3元ブロック共重合体であり、スチレンの含有量は30%であることを確認した。またGPC分析から数平均分子量(以下Mnという)は59,300であり、DSC分析から結晶化開始温度は2.6℃であった。
共重合体水素化物AB−3,AB−5についても同様にして第1表に示すイソプレン/ブタジエンの混合比にて合成を行った。
【0025】
製造例2〔共重合体水素化物(AB−2,4)の製造〕
スチレンを第1表に示す割合にて仕込んだ後、同様にイソプレン/ブタジエンを仕込み、製造例1と同様に合成を行った。その結果、結晶化開始温度はAB−2が12.1、AB−4が17.6である共重合体が得られた。
製造例3〔共重合体水素化物(AB−6)の製造〕
反応温度を60℃、反応時間を3時間とした以外は製造例1と同様に合成を行った。その結果、結晶化開始温度が36.0℃である共重合体が得られた。
【0026】
製造例4〔共重合体水素化物(AB−7)の製造〕
反応温度を30℃、反応時間を2時間とした以外は製造例1と同様に合成を行った。その結果、結晶化開始温度が−13.1℃である共重合体が得られた。
製造例5〔共重合体水素化物(AB−8)の製造〕
反応時間を5時間にした以外は製造例1と同様にして合成を行った。その結果、結晶化開始温度が−15.9℃の共重合体が得られた。
製造例6〔共重合体水素化物(AB−9)の製造〕
反応容器を60℃に昇温し、第1表に示す割合にてスチレン/スタジエンを連続的に仕込み、製造例1と同様の方法にて4時間反応を行った。その結果、結晶化開始温度が82.2℃の共重合体が得られた。
【0027】
実施例1〜5
第1表に示すブロック共重合体と第2表に示すポリオキシアルキレングリコール部と脂肪酸を必須成分とするポリオキシアルキレングリコール誘導体とを、対象油として用いた第4表に示す軽油A,BおよびA重油Cの各々に第5〜7表に示されるように所定の割合にて添加し、CFPPおよびPPを測定した。
これらの評価結果を第5〜7表に示す。
【0028】
比較例1〜4
結晶化開始温度が本発明の範囲外であるブロック共重合体および/または市販の流動性向上剤を用いて実施例1と同様の評価を行なった。結果を第5〜7表に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
【表7】
【0036】
上記実施例及び比較例の結果より、蒸留範囲が狭く、重質留分を比較的多く含む軽油Aには結晶化開始温度が本願発明の範囲内、特に−10〜20℃の範囲であるブロック共重合体水添物を選ぶことにより、ポリオキシアルキレングリコ−ル成分のCFPP低下効果を阻害することなく、CFPP,PPともバランスよく低下させることができることがわかる。また蒸留範囲の広い軽油Bでは結晶化開始温度が本願発明の範囲をもつブロック共重合体水添物とポリオキシアルキレングリコ−ル成分との組み合わせにより良好なCFPP,PP低下効果を示す。一方、A重油Cについてもブロック共重合体水添物とポリオキシアルキレングリコ−ル成分との組み合わせにより、修正CFPPが改善されていることがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の中間留出油用流動性向上剤として、(A)芳香族ビニル化合物単位からなるブロックと、(B)ジエン化合物単位からなるブロックからなる共重合体の水素化物であり、特定範囲の結晶化開始温度を有するブロック共重合体を含有するものを使用することにより、特に、これと特定のポリオキシアルキレングリコ−ル誘導体と組み合わせ使用することにより、中間留分の低温特性、すなわちCFPP及びPPをバランスよく低下させることができる。
Claims (4)
- (A)芳香族ビニル化合物単位からなるブロックと、(B)ジエン化合物単位からなるブロックとから構成される共重合体の水素化物であり、結晶化開始温度が−10℃〜80℃であるブロック共重合体を含有する中間留出油用流動性向上剤。
- (A)芳香族ビニル化合物単位からなるブロックと、(B)ジエン化合物単位からなるブロックとから構成される共重合体が、A−(B−A)n 型又は(A−B)n 型(nは1以上の整数を示す)の共重合体である請求項1記載の中間留出油用流動性向上剤。
- (A)芳香族ビニル化合物単位からなるブロックがスチレンを80〜100重量%含有し、(B)ジエン化合物単位からなるブロックがブタジエンとイソプレンの重量比1:9〜9:1の混合物を50〜100重量%含有する請求項1または2に記載の中間留出油用流動性向上剤。
- 請求項1、2または3に記載のブロック共重合体と、ポリオキシアルキレングリコール部及び鎖状飽和アルキル部を有するポリオキシアルキレングリコール誘導体とを重量比1〜99:99〜1で含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中間留出油用流動性向上剤。
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