JP3985306B2 - 低硫黄軽油用添加剤及び燃料油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は低硫黄軽油用添加剤及び燃料油組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は低硫黄軽油の低温特性及び潤滑性を向上させるとともに、該軽油に対する溶解性に優れた低硫黄軽油用添加剤、及びこれを低硫黄軽油に含有させてなる燃料油組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、石油から得られる各種石油製品、特に燃料油は、各種産業の発展やモータリーゼーションの進展に欠くことのできないものとして、大量に使用されている。
しかしながら、この燃料油の中でも代表的な軽油においては、冬期など外気温が低下する時期には、その中に含まれているn−パラフィンが析出し、自動車などの燃料油移送ライン系フィルターの目詰まりを生じさせたり、ラインそのものを閉塞させ、例えばディーゼルエンジンの円滑な運転に支障をきたしたり、場合によってはディーゼルエンジンが停止するなど、その低温特性について問題を有している。
【0003】
このような問題を解決するために、これまで種々の燃料油添加剤が提案されているが、いずれも必ずしも充分に満足しうるものではなかった。例えばエチレン−プロピレン共重合体(特公昭60−35396号公報,特開昭60−137997号公報)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(米国特許第2048479号明細書,特開昭55−137193号公報)などのエチレン含有共重合体型添加剤が提案されているが、これらの添加剤は、軽油に対して流動点(Pour Point)(PP)を下げる効果を有するものの、目詰まり点(Cold Filter Plugging Point)(CFPP)を下げることはできない。
【0004】
また、目詰まり点を下げるために、例えばアルケニルコハク酸アミド(特開昭56−43391号公報)やポリオキシアルキレンエステル(特開昭57−177092号公報,米国特許第4464182号明細書)などの比較的低分子型の添加剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体とアルケニルコハク酸アルキルエステルとの組合せなどの併用型添加剤(英国特許第2129012号明細書)などが開示されている。しかしながら、これらの添加剤も、軽油に対して流動点を下げる効果は有するものの、目詰まり点を下げる効果が充分ではなかったり、燃料油に対する溶解性が劣るなどの欠点を有している。
【0005】
一方、近年、トラック輸送の増大に伴い、軽油中に含まれる硫黄分が、環境問題の原因物質の一つとして大きく取り上げられるようになってきた。米国においては、カリフォルニアなど環境問題に厳しい地域では、すでに「ディーゼルエンジンからの排気ガス中における汚染物質(SOx ,NOx ,粉塵及び煙)の放出に関与する軽油中の硫黄分について、その含有量を0.05重量%以下に制限する」という規制が採用されており、この傾向は全世界に広がっている。
【0006】
例えば、日本では、1989年の中央公害対策審議会の答申で、自動車から排出されるNOx を短期的(1993年〜1994年)に20〜35重量%、長期的(10年以内)には40〜60重量%削減することが要請されている。このNOx を削減する新技術の導入のためには、硫黄分の削減も不可欠である。このため、軽油中の硫黄分を1992年に0.2重量%以下、さらに1997年に0.05重量%以下に段階的に低減することが決まり、すでに実施されている。
軽油中の硫黄分の低減は、石油精製における接触水素化処理により生産されている水素化脱硫軽油,水素化分解軽油などの利用により行われている。特に、水素化分解軽油は硫黄分含有量が低いため、その利用割合が増加してきている。
【0007】
このような低硫黄軽油は、相対的に長鎖のn−パラフィンを多量に含んでいることから、軽油中でのn−パラフィンの析出温度が高くなって、曇り点(Cloud Point)(CP)が高くなり、かつ析出するn−パラフィン量が相対的に多くなる。その結果、自動車などの燃料油移送ライン系フィルターの目詰まりを起こしたり、ラインそのものを閉塞させるなどのトラブルを生じる可能性が高くなってきている。
また、低硫黄軽油においては、通常軽油の潤滑性が低下しており、それによってディーゼルエンジンのインジェクション装置のポンプやノズルなどの部品が損傷を受けやすいなどの問題が生じている。
このような問題を解決するために、前述の従来知られている燃料油添加剤を配合しても、低温特性と潤滑性の両方を同時に効果的に改善することはできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、上述したような環境規制に対応した低硫黄軽油の低温特性の改善、すなわち目詰まり点や流動点を下げるとともに、その潤滑性を高め、しかも低硫黄軽油に対する溶解性に優れた低硫黄軽油用添加剤、及びこれを含有する燃料油組成物を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のブロック共重合体やその水素化物、あるいは所定の割合の上記ブロック共重合体やその水素化物とポリオキシアルキレングリコール部を有する特定の化合物とからなるものが、低硫黄軽油用添加剤として、その目的に適合しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は
(1)(A)芳香族ビニル化合物単位からなるブロックと(B)ジエン化合物単位からなるブロックとから構成されたブロック共重合体及び/又はその水素化物からなる低硫黄軽油用添加剤(以下、低硫黄軽油用添加剤Iと称する。)、
(2)(a)(A)芳香族ビニル化合物単位からなるブロックと(B)ジエン化合物単位からなるブロックとから構成されたブロック共重合体及び/又はその水素化物1〜99重量%と、(b)ポリオキシアルキレングリコール部と鎖状アルキル部を必須構成成分とする化合物99〜1重量%とからなる低硫黄軽油用添加剤(以下、低硫黄軽油用添加剤IIと称する。)、及び
(3)硫黄分含有量が0.2重量%以下の低硫黄軽油中に、上記低硫黄軽油用添加剤I又はIIを、組成物全量に基づき、1〜10000重量ppmの割合で含有させたことを特徴とする燃料油組成物、
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の低硫黄軽油用添加剤Iとして、あるいは低硫黄軽油用添加剤IIにおける(a)成分としては、ブロック共重合体及び/又はその水素化物が用いられる。
上記ブロック共重合体は、(A)芳香族ビニル化合物単位からなるブロックと(B)ジエン化合物単位からなるブロックとから構成されたものであって、該(A)ブロックの形成に用いられる単量体の芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン,α−メチルスチレン,ビニルナフタレン,3−メチルスチレン,4−プロピルスチレン,4−シクロヘキシルスチレン,4−ドデシルスチレン,2−エチル−4−ベンジルスチレン,アセナフチレン,ビニルオクチルベンゼンなどが挙げられるが、これらの中で特にスチレンが好ましい。
【0012】
一方、(B)ブロックの形成に用いられる単量体のジエン化合物としては、例えばブタジエン;2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン);1,3−ペンタジエン;2−メチル−1,3−ペンタジエンなどが挙げられるが、これらの中でブタジエン及びイソプレンが好ましく、特にブタジエンとイソプレンとの混合物を必須単量体とするものが好ましい。
このブロック共重合体としては、前記の芳香族ビニル化合物単位からなる(A)ブロックとジエン化合物単位からなる(B)ブロックが、A−(B−A)n 型又は(A−B)n+1 型(nは1以上の整数、好ましくは10以下である。)を形成しているブロック共重合体を挙げることができ、特にA−B−A型のブロック共重合体が好適である。
【0013】
本発明におけるブロック共重合体としては、例えばスチレン/ブタジエンブロック共重合体,スチレン/イソプレンブロック共重合体,スチレン/(イソプレン/ブタジエン)ブロック共重合体,スチレン/ペンタジエンブロック共重合体,ビニルナフタレン/ブタジエンブロック共重合体,アセナフチレン/ブタジエンブロック共重合体,ビニルオクチルベンゼン/ブタジエンブロック共重合体など、及びそれらの水素化物が挙げられるが、これらの中で、特にスチレン/ブタジエン/イソプレンブロック共重合体の水素化物が好ましい。
【0014】
水素化前の前記ブロック共重合体の製造方法としては、特に制限はなく、アニオン重合法などの従来公知の方法によることができる。例えば、アルキルリチウム触媒の存在下、まず芳香族ビニル化合物を重合させた後、ジエン化合物をブロックに重合させる方法、あるいは芳香族ビニル化合物の重合体とジエン化合物の重合体を別々に製造した後、これらの重合体ブロックを適当な方法で結合させる方法などにより、所望のブロック共重合体を製造することができる。それぞれの重合体ブロックにおいて、二種以上の単量体を用いた場合には、各単量体単位の結合様式としては特に制限はなく、ブロック状,ランダム状のいずれであってもよい。
【0015】
ジエン化合物単位からなる(B)ブロックとしては、前記したように、単量体としてブタジエンとイソプレンとの混合物を用いるのが好ましく、この場合には、ブタジエン単位とイソプレン単位の結合様式はランダム状となる。
また、このようにして得られたブロック共重合体の水素化物の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法によることができる。例えば不活性溶媒中において、水素化触媒の存在下、上記ブロック共重合体を分子状水素で水素化する方法などにより、該ブロック共重合体の水素化物を容易に製造することができる。
【0016】
上記ブロック共重合体やその水素化物の数平均分子量については、特に制限はないが、1000〜300000の範囲にあるものが好ましく、特に3000〜100000の範囲にあるものが好適である。なお、この数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で測定した値である。
本発明の添加剤Iにおいて、又は添加剤IIの(a)成分においては、このブロック共重合体やその水素化物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
本発明の低硫黄軽油用添加剤IIにおいては、(b)成分として、ポリオキシアルキレングリコール部と鎖状アルキル部を必須構成成分とする化合物が用いられる。このような化合物としては、例えば(1)ポリオキシアルキレングリコール部を含有する含窒素化合物と飽和,不飽和の直鎖状及び/又は分岐状脂肪酸とから得られた部分エステル化物,完全エステル化物又はその塩、(2)ポリオキシアルキレングリコール部を含有する含窒素化合物と飽和,不飽和の直鎖状及び/又は分岐状脂肪酸と架橋剤とから得られた部分架橋エステル化物又は完全架橋エステル化物、(3)ポリオキシアルキレングリコールと飽和,不飽和の直鎖状及び/又は分岐状脂肪酸とから得られたエステル化物、(4)ポリオキシアルキレングリコール部を含有する多価アルコールと飽和,不飽和の直鎖状及び/又は分岐状脂肪酸とから得られた部分エステル化物又は完全エステル化物、(5)ポリオキシアルキレングリコール部を含有する多価アルコールと飽和,不飽和の直鎖状又は分岐状脂肪酸と架橋剤とから得られた部分架橋エステル化物又は完全架橋エステル化物、(6)ポリアルキレンポリアミンと飽和,不飽和の直鎖状及び/又は分岐状脂肪酸のアミド化合物のアルキレンオキシド付加物、(7)ポリアルキレンポリアミンと飽和,不飽和の直鎖状及び/又は分岐状脂肪酸のアミド化物のアルキレンオキシド付加物と架橋剤とから得られた部分架橋エステル化物又は完全架橋エステル化物、(8)ポリオキシアルキレングリコール部を含有する含硫黄化合物と飽和,不飽和の直鎖状又は分岐状脂肪酸とから得られた部分エステル化物又は完全エステル化物、(9)リン酸又は亜リン酸のアルキレンオキシド付加物と飽和,不飽和の直鎖状及び/又は分岐状脂肪酸とから得られたエステル化物などが挙げられる。これらの化合物は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
この(b)成分の化合物として、上記(1),(2),(6)及び(7)などの含窒素化合物を使用すると、(a)成分との併用による低温特性、特に目詰まり点の改善効果及び潤滑性改善効果がより大きく、一層好ましい。
本発明の低硫黄軽油用添加剤IIにおいては、前記(a)成分と(b)成分の割合は、重量比で99:1〜1:99であるが、低温特性及び潤滑性の改善効果がより大きく発揮される点から、10:1〜1:5の範囲が好ましい。
【0019】
本発明の燃料油組成物においては、燃料油として、硫黄分規制に対応するために、極度の水素化により精製された低硫黄分の軽油が挙げられる。ここで、軽油とは、石油精製における沸点範囲が130〜450℃の範囲、好ましくは150〜380℃の範囲の燃料油である。また、低硫黄軽油としては、硫黄分含有量が0.2重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.03重量%以下に低減された軽油を挙げることができる。
【0020】
このような低硫黄軽油は、通常直留軽油,水素化直接脱硫軽油,水素化間接脱硫軽油,水素化分解軽油,水素化脱硫重質軽油,脱硫灯油などを混合して調製することができる。
本発明の燃料油組成物においては、前記の低硫黄軽油用添加剤I又はIIは、低硫黄軽油中に、組成物全量に基づき1〜10000重量ppmの割合で含有される。この量が1重量ppm未満では低温特性及び潤滑性の改善効果が充分に発揮されず、また10000重量ppmを超えるとその量の割には効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利となる。低温特性と潤滑性の改善効果及び経済性などを考慮すると、この低硫黄軽油用添加剤の好ましい含有量は、組成物全量に基づき、10〜500重量ppmの範囲である。
【0021】
本発明の燃料油組成物の調製方法については、特に制限はなく、前記低硫黄軽油用添加剤I又はIIを単に軽油に添加することにより調製することができるが、低硫黄軽油と相溶性のある有機溶剤に溶かした濃厚溶液の形態で添加することにより、調製が容易となる。このような有機溶剤としては、例えばナフサ,灯油,軽油などの石油留分,芳香族炭化水素,パラフィン系炭化水素などが挙げられる。有機溶剤で希釈して用いる場合には、添加剤を好ましくは20〜80重量%、より好ましくは35〜75重量%の割合で含有する溶液を用いるのが有利である。
【0022】
本発明の燃料油組成物には、前記低硫黄軽油用添加剤I又はIIと共に、所望により従来燃料油の添加剤として慣用されている各種添加剤、例えば、曇点降下剤,流動性向上剤,防錆剤,酸化防止剤,セタン価向上剤,金属不活性化剤,清浄分散剤,燃焼性向上剤,黒煙減少剤,消泡剤,色相安定剤,氷結防止剤,スラッジ分散剤,マーカーなどを含有させることができる。
【0023】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で得られた燃料油組成物の性能は、下記の要領に従って求め、評価した。
(1)目詰まり点
JIS K−2288に準拠して測定した。
(2)曇り点
JIS K−2269に準拠して測定した。
(3)流動点
JIS K−2269に準拠し、1℃間隔で測定した。
(4)添加剤の燃料油に対する溶解性
100ミリリットルのビーカーに試料油50ミリリットルを入れ、攪拌しながら5℃に冷却する。この試料油に、添加剤の10重量%キシレン溶液50ミリリットルを、50℃に加熱した状態で添加し、この際の溶解状態を目視にて観察して、次の基準に従い評価した。
○:析出物なし,△:白濁あり,×:析出物あり
(5)潤滑性
潤滑摩耗試験機として、振動摩擦摩耗試験機(HFRR試験機)を用い、試験体として、PCSインスツルメンツ社製の径10mm、厚さ3.0mmディスク及び径6mmのベアリングボールを使用し、下記の条件で燃料油組成物の潤滑性を評価した。
【0024】
試験機:PCSインスツルメンツ社製HFR2(Ver.3.0)
試験体材質:ディスク、ボール共にスティールAISI E−52100
温度(℃):80±2, 振幅(mm):1.0±0.03
試料量(ml):2.0±0.20, 運転時間(分):75±0.1
荷重(g):200±1, 振動数(Hz):50±1
試料浴の表面積(cm2 ):6±1
顕微鏡観察により、上部ボールの摩耗痕の振動方向と直交方向の直径を測定し、摩耗痕の平均径を求め、さらに摩耗痕の形状により下記の4段階に分類し、摩耗痕の平均径と形状を摩耗痕の総合評価として、第1表に示す基準で評価した。
摩耗痕の形状 ランク
振動方向へ浅い線条痕のみがみられる : (イ)
一部深い線条痕がみられる : (ロ)
一部凝集摩耗やアブレシブ摩耗がみられる : (ハ)
全域に凝集摩耗やアブレシブ摩耗がみられる: (ニ)
【0025】
【表1】
【0026】
製造例1 ブロック共重合体水素化物(AB−1)の製造
攪拌装置及び滴下ロートを備えた耐圧反応容器に、シクロヘキサン500重量部及びsec−ブチルリチウム11重量部を仕込み、50℃に昇温した。これに、滴下ロートよりスチレン60重量部を連続的に仕込み、次いで、イソプレン280重量部を連続的に仕込み、その後スチレン60重量部を仕込んで8時間重合を行った。
次に、反応系を水素で置換し、ケイソウ土担持ニッケル触媒25重量部を加えて15kg/cm2 の水素圧を保ちながら、150℃で10時間反応させた。次いで、反応生成物をシクロヘキサンで希釈し、触媒を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮乾燥してブロック共重合体水素化物(AB−1)を得た。
このものは、核磁気共鳴(NMR)分析により、スチレン/イソプレン/スチレン三元ブロック共重合体の水素化物であり、スチレン単位の含有量は30重量%であることが確認された。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により、ポリスチレン換算の数平均分子量(以下、Mnという)は50000であり、ヨウ素価分析により求めた水素化率は96モル%であった。
【0027】
製造例2〜8
製造例1の方法に準じて、ブロック共重合体又はその水素化物AB−2〜AB−8を製造した。その性状を第2表に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
(注)水素化前共重合体の化学構造
S:スチレン重合体ブロック
I:イソプレン重合体ブロック
B:ブタジエン重合体ブロック
IB:イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック
【0030】
【表3】
【0031】
(注)水素化前共重合体の化学構造
V:ビニルナフタレン重合体ブロック
M:α−メチルスチレン重合体ブロック
P:ペンタジエン重合体ブロック
【0032】
実施例1〜14
第3表に示す性状を有する燃料油A又はBに対し、第5表に示す種類と量(組成物全量に対する重量ppmである。)のブロック共重合体又はその水素化物(製造例で得られたもの)及び第5表に示す種類と量(組成物全量に対する重量ppmである。)の燃料油添加剤(第4表に性状を示す。)を添加して、燃料油組成物を調製した。その性能の評価結果を第5表に示す。
【0033】
比較例1〜9
第3表に示す性状を有する燃料油A又はBに対し、第5表に示す種類と量(組成物全量に対する重量ppmである。)の燃料油添加剤(第4表に性状を示す。)を添加して、燃料油組成物を調製した。その性能の評価結果を第5表に示す。
【0034】
【表4】
【0035】
注1)JIS K−2249に準拠して測定
2)JIS K−2283に準拠して測定
3)JIS K−2254に準拠して測定
4)JIS K−2241に準拠して測定
5)n−パラフィン析出率は下記の方法により測定した。
試料油40gをメスフラスコに入れ活栓をし、グラスフィルター(3G−1)を備えた吸引瓶を設置したコントローラー付き冷却バスに浸す。室温から冷却速度1℃/hrで所定温度まで徐冷した後、冷却バス内で同温度に冷却した窒素ガスでシールする。次いで、10mmHgの減圧度でグラスフィルター内に敷いたろ紙により吸引濾過を行い、析出n−パラフィンを濾別する。同温度に冷却したアセトンで充分に洗浄した後、減圧乾燥してn−パラフィン析出量を秤量し、試料油に対する重量百分率を求める。曇り点以下数点においてこの作業を繰り返し、1℃当たりのn−パラフィン析出率を最小二乗法により直線近似して算出し、n−パラフィン析出率(重量%/℃)とする。
【0036】
【表5】
【0037】
(注)
(1)( )内の数値は仕込みモル数を表す。
(2)エステル化度は、水酸基価(mgKOH/g)測定により、下記の式に従い求めた。
エステル化度(%)=〔1−(反応終了後の水酸基価/反応開始前の水酸基価)〕×100
(3)C−1〜C−5は、本発明に係る(b)成分の化合物であり、D−1,D−2は既知の燃料油添加剤である。
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】
【発明の効果】
本発明の低硫黄軽油用添加剤は、低硫黄軽油の低温特性の改善、すなわち目詰まり点や流動点を下げるとともに、その潤滑性を高め、例えばディーゼルエンジンの燃料油潤滑部分の摩耗を低減させる効果に優れ、しかも、低硫黄軽油に対する溶解性に優れている。
また、この低硫黄軽油用添加剤を含有する燃料油組成物は低温特性に優れ、かつ良好な潤滑性を有している。
Claims (7)
- (A)芳香族ビニル化合物単位からなるブロックと(B)ジエン化合物単位からなるブロックとから構成されたブロック共重合体及び/又はその水素化物からなり、(A)ブロックがスチレン単位からなり、かつ(B)ブロックがランダムに結合したイソプレン単位とブタジエン単位とを必須構成単位とする低硫黄軽油用添加剤。
- (a)(A)芳香族ビニル化合物単位からなるブロックと(B)ジエン化合物単位からなるブロックとから構成されたブロック共重合体及び/又はその水素化物からなる請求項1に記載の低硫黄軽油用添加剤1〜99重量%と、(b)ポリオキシアルキレングリコール部と鎖状アルキル部を必須構成成分とする化合物99〜1重量%とからなる低硫黄軽油用添加剤。
- (A)ブロックと(B)ブロックとから構成されたブロック共重合体が、A−(B−A)n型又は(A−B)n+1型(nは1以上の整数)ブロック共重合体である請求項1又は2記載の低硫黄軽油用添加剤。
- ブロック共重合体及びその水素化物の数平均分子量が、3000〜100000である請求項1又は2記載の低硫黄軽油用添加剤。
- 硫黄分含有量が0.2重量%以下の低硫黄軽油中に、請求項1〜4のいずれかに記載の低硫黄軽油用添加剤を、組成物全量に基づき、1〜10000重量ppmの割合で含有させたことを特徴とする燃料油組成物。
- 低硫黄軽油が、硫黄分含有量0.05重量%以下のものである請求項5記載の燃料油組成物。
- 低硫黄軽油が、n−パラフィン析出率0.1〜0.7重量%/℃のものである請求項5記載の燃料油組成物。
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