JP4643409B2 - 脂肪酸組成物および燃料油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は脂肪酸組成物に関し、詳しくは燃料油用潤滑性向上剤および該潤滑性向上剤を含有してなる低硫黄燃料油組成物に関する。
脂肪酸は広い用途に使用されている。例えば、接着剤、アルキド樹脂、洗浄剤、洗剤、塗料、潤滑剤、燃料油、金属加工液、鉱業、油田探索、紙製造、ポリアミド樹脂、道路建設、ゴム加工、腐食防止剤および界面活性剤など用途で使用されている。
しかし、脂肪酸、特に高級脂肪酸は、その凝固点が高く、特に冬季や寒冷地での使用時には、脂肪酸の使用中や高級脂肪酸の貯蔵中に固化や結晶析出・沈殿という問題が起こりやすかった。また、凝固までには至らないが外観が曇ってくるという問題点もあった。
ところで、上記の用途のうち特に燃料油の用途においては、近年、地球環境問題への関心の高まりから、世界各国でディーゼル車の排ガス規制の強化と共に軽油中の硫黄含有量の低減が進められている。日本では2007年から硫黄含量が0.001重量%以下に規制される予定であるが、その規制に先駆け2005年1月からすでに硫黄含量が0.001重量%以下のいわゆるサルファーフリー軽油が流通し始めている。硫黄含量を0.001重量%以下にする為に、軽油基材について深度脱硫を行わなければならず、この過程において軽油中の潤滑性物質が一緒に除去され、潤滑性能が低下する事が知られている。ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプは軽油によって潤滑を行っているため、このような潤滑性の低下した軽油を使用すると、燃料噴射ポンプの異常摩耗、エンジンの回転不良などが起こるという事例が欧米諸国から報告されている。このような軽油の潤滑性低下に対して、ディーゼルエンジンの部品面からも対応されているが、燃料面からの対応も要求され、検討が行なわれてきた。
その結果、現在のところ、軽油に各種の摩耗防止剤が添加されている。そして、特許文献−1には炭素数8〜30の脂肪酸混合物を低硫黄燃料油の摩耗防止剤として用いることが開示されている。
しかし、上述のように、炭素数10以上の飽和または不飽和脂肪酸は、冬期のような低温期には、曇点以下の温度になるので、外観が曇ったり、さらには固化や結晶の析出が生じるため、製油所等で軽油等に添加する際に不具合が生じることがある。特許文献−2および特許文献−3には流動点降下剤兼曇点降下剤を含有する脂肪酸系の低硫黄軽油用摩耗防止剤が開示されている。しかしながら、流動点降下剤兼曇点降下剤を脂肪酸に対し少なくとも5重量部以上配合しなければ十分な曇点降下効果が得られない。高分子タイプの流動点降下剤兼曇点降下剤を大量に配合した摩耗防止剤を燃料油に添加すると常温での通油性が悪化するという問題が発生する。
特開平11−1692号公報 特開平10−110175号公報 特開平11−236581号公報
本発明は、低温状態であっても、曇ったり、固化や結晶の析出することがない脂肪酸組成物、および該脂肪酸組成物を含む燃料油用潤滑性向上剤、さらに該潤滑性向上剤を含む低硫黄燃料油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、一定の結晶化開始温度を有する脂肪酸に、一定の結晶化開始温度を有する曇点降下剤を併用した場合に、低い曇点の脂肪酸組成物を与えることを見いだし本発明に至った。
すなわち本発明は、脂肪酸(A)および曇点降下剤(B)を含有し、示差走査熱量計により測定される(A)の結晶化開始温度(ta)および示差走査熱量計により測定される(B)の結晶化開始温度(tb)が式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする脂肪酸組成物;該脂肪酸組成物を含む燃料油用潤滑性向上剤;並びに、硫黄含量が0.005重量%以下の低硫黄燃料油と該潤滑性向上剤とからなり、該潤滑性向上剤を20〜300ppm含有してなる低硫黄燃料油組成物である。
10℃ ≧ ta ≧ −20℃ (1)
20℃ ≧ tb ≧ −10℃ (2)
ta+20℃ ≧ tb ≧ ta−10℃ (3)
本発明の脂肪酸組成物は従来の脂肪酸組成物に比べて低い曇点を示す。
本発明の脂肪酸組成物からなる燃料油用潤滑性向上剤は、従来の燃料油用潤滑性向上剤に比べて低い曇点を示す。
本発明の低硫黄燃料油組成物は、従来と同等の潤滑性を示す。
本発明における脂肪酸(A)は、式(1)を満たす必要がある。taは示差走査熱量計により測定される(A)の結晶化開始温度である。
本発明において、結晶化開始温度は、セイコーインスツルメンツ社製RDC−220示差走査熱量計を使用し、試料5mgを、10℃/分の等温速度で50℃から−80℃まで冷却したときに観測される結晶化開始温度である。
10℃ ≧ ta ≧ −20℃ (1)
taがこの範囲から外れると、脂肪酸組成物の曇点が比較的高くなる。
式(1)を満たす脂肪酸としては、炭素数14〜22の不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸が挙げられる。不飽和脂肪酸としては、モノ不飽和モノカルボン酸(ツズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸など)、ジ不飽和モノカルボン酸(ソルビン酸、リノール酸、トランス−2、シス−4−デカジエン酸、トランス−10、トランス−12−オクタデカジエン酸など)、トリ不飽和モノカルボン酸(ヒラゴ酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、プニカ酸、リノレン酸、γ−リノレン酸、ドコサトリエン酸、エイコサトリエン酸、など)、テトラ不飽和モノカルボン酸(モノクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、など)、およびペンタ不飽和モノカルボン酸(エイコサペンタエン酸、イワシ酸など)などが挙げられる。飽和脂肪酸としては、パルミチン酸、ミリスチン酸およびステアリン酸などが挙げられる。これらの脂肪酸は単独で用いてもよいし、併用してもよい。
脂肪酸(A)の溶解度パラメーター(SP値)は、燃料に対する溶解性の観点から、好ましくは8.0〜9.6であり、さらに好ましくは8.5〜9.2である。SP値はFedors法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]によって算出される値である。
脂肪酸(A)のHLB値は、金属表面への吸着力と抗乳化性の観点から、好ましくは0.5〜1.7であり、さらに好ましくは0.8〜1.4である。HLB値はグリフィンのHLB(「新・界面活性剤入門」三洋化成工業株式会社発行P128)によって算出される値である。
脂肪酸(A)の分子量は好ましくは200〜350であり、さらに好ましくは250〜300である。
脂肪酸(A)の酸価(AV)は、好ましくは150〜250であり、さらに好ましくは175〜225、特に好ましくは185〜215である。
脂肪酸(A)のヨウ素価は好ましくは60〜188であり、さらに好ましくは90〜170である。
これらの範囲の値のすべてを満足する場合は、燃料に対する溶解性、金属表面への吸着力、抗乳化性、水の抱きこみ性、または防錆性などにおいて、さらに優れた効果を発揮できるので好ましい。
SP値、HLB値、分子量、AVおよびヨウ素価の好ましい範囲を満たし、かつ脂肪酸組成物の曇点が低くなるという観点から、脂肪酸(A)のうち好ましいのは、不飽和脂肪酸、および不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の混合物であり、特に、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸からなる群から選ばれる2種以上の脂肪酸を含有する混合物が好ましい。混合物には少量(脂肪酸全体のうちの5%以下)の飽和脂肪酸を含有していてもよい。
オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸を含有する混合物の場合の好ましい比率は、脂肪酸組成物の曇点の観点から、オレイン酸/リノール酸/リノレン酸=5〜90/5〜90/0.5〜20である。
本発明における曇点降下剤(B)は、JIS K−2269で測定される曇点を降下させる作用があり、式(2)を満たす必要がある。
20℃ ≧ tb ≧ −10℃ (2)
tbは示差走査熱量計により測定される(B)の結晶化開始温度である。
tbがこの範囲から外れると、脂肪酸組成物の曇点が比較的高くなる。
式(2)を満たす曇点降下剤(B)としては、ポリ(メタ)アクリレート系流動点降下剤(B1)、EVA(エチレン酢酸ビニル)系流動点降下剤(B2)、およびASA(アルケニルコハク酸)系流動点降下剤(B3)として従来から使用されている下記の化合物が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレート系流動点降下剤(B1)としては、炭素数1〜40の直鎖又は分岐アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)を必須構成単量体として含有する重合体が挙げられる。
(a)としては、例えば、メチルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、イソドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、イソトリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、イソテトラデシルメタクリレート、ペンタデシルペタメクリレート、イソペンタデシルペタメクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、メチルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、イソドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、イソトリデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、イソテトラデシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、イソペンタデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、オクタデシルアクリレートが挙げられる。これらのうち好ましくは炭素数10〜40、さらに好ましくは12〜22のアルキル(メタ)アクリレートである。
(B1)が共重合体の場合に使用できる他の単量体(b)としては;アルキル基の炭素数が1〜30のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシ基の炭素数が1〜30、アルキレン基の炭素数が2〜30のアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートなど;アルキル基の炭素数1〜30の不飽和ポリカルボン酸エステル類(ジブチルマレエート、ジオクチルフマレート、ジラウリルマレエート、ジステアリルフマレート、ジオクチルイタコネート、ジラウリルイタコネートなど);芳香族系単量体(スチレン、ビニルトルエンなど);ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど);炭素数が10〜30のアルファオレフィン類(デセン、ドデセンなど);不飽和カルボン酸類(無水マレイン酸、メタアクリル酸、クロトン酸、イタコン酸など);炭素数が4〜30の共役ジエン(ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなど);アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテルなど);アルキルアリルエーテル(メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテルなど);が挙げられる。
(B1)の重量に基づく(a)の重量百分率は、脂肪酸中の結晶性物質との共結晶を生成し易いという観点から、好ましくは20〜100重量%(以下において、特に限定しない限り%は重量%を表す)であり、さらに好ましくは30〜100%である。
EVA系流動点降下剤(B2)としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体のフマル酸エステルグラフト物、エチレン−酢酸ビニル共重合体のマレイン酸エステルグラフト物、エチレン−酢酸ビニル−ベヘン酸ビニル3元共重合体、エチレン−酢酸ビニル−ベヘン酸ビニル3元共重合体のフマル酸エステルグラフト物、エチレン−酢酸ビニル−ベヘン酸ビニル3元共重合体のマレイン酸エステルグラフト物、およびエチレン−カルボン酸共重合物などが挙げられる。
ASA系流動点降下剤(B3)としてはアルケニル基の炭素数が8〜50のアルケニルコハク酸アミドなどが挙げられる。
(B)のSP値は、好ましくは8.8〜10.5であり、結晶性物質の結晶形状の制御の点から、さらに好ましくは8.9〜10.0である。
(B)のHLB値は、好ましくは0.5〜9.6であり、結晶性物質の結晶形状の制御の点から、さらに好ましくは0.8〜6.5である。
(B)の重量平均分子量(以下、Mwと略記する)は、好ましくは3,000〜600,000であり、結晶性物質の結晶形状の制御の点から、さらに好ましくは5,000〜300,000である。尚、Mwは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより測定されるものであり、ポリスチレンに換算したMwである。
(B)のうち、好ましいのは、任意の結晶化開始温度に調整し易いという観点から、ポリ(メタ)アクリレート系流動点降下剤(B1)である。
本発明における脂肪酸(A)および曇点降下剤(B)は、それぞれ式(1)および式(2)のみでなく、さらに式(3)を満たす必要がある。
ta+20℃ ≧ tb ≧ ta−10℃ (3)
taおよびtbが式(3)を満たさないと、脂肪酸組成物の曇点が比較的高くなる。
taおよびtbは、曇点をさらに低くできるという観点から、式(4)を満たすことが好ましく、式(5)を満たすことがさらに好ましい。
ta+20℃ ≧ tb ≧ ta (4)
ta+15℃ ≧ tb ≧ ta+5℃ (5)
(A)/(B)の重量比は、常温での通油性の観点から、好ましくは(99.99〜96)/(0.01〜4)、さらに好ましくは(99.99〜99)/(0.01〜1)、特に好ましくは(99.99〜99.5)/(0.01〜0.5)である。
本発明の脂肪酸組成物は、(A)と(B)以外に、さらに脂肪酸の酸化安定性の観点から、老化防止剤(C)を含有してもよい。
老化防止剤(C)としては、アミン系化合物(ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物など)、キノリン系化合物、フェノール系化合物などが挙げられる。
(C)のうち好ましいのは、ジフェニルアミン系化合物であり、特に、(A)または(B)に対する溶解性の観点と酸化安定性の観点から、スチレンに対する60℃における連鎖移動定数が、好ましくは0.001〜100、さらに好ましくは0.01〜60であり、SP値が、好ましくは8〜12、さらに好ましくは8.5〜11であるようなジフェニルアミン系化合物である。
ジフェニルアミン系化合物としては、p−(p−トルエン・スルホニルアミド)−ジフェニルアミン、4,4'−(α、α'−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4'−ジオクチルジフェニルアミン、4−モノオクチルジフェニルアミン、ジフェニルアミンとアセトンの高温反応物、ジフェニルアミンとアセトンの低温反応物、ジフェニルアミンとアニリンとアセトンの低温反応物、ジフェニルアミンとジイソブチレンの反応生成物およびオクチル化ジフェニルアミンの混合物などが挙げられ、好ましいのはp−(p−トルエン・スルホニルアミド)−ジフェニルアミン、4,4'−(α、α'−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4'−ジオクチルジフェニルアミンおよび4−モノオクチルジフェニルアミンである。
(A)の重量に対する(C)の重量百分率は、通常0〜4%であるが、常温での通油性の観点から、好ましくは0.01〜1%、さらに好ましくは0.01〜0.5%である。
本発明の脂肪酸組成物は、さらに他の添加剤を脂肪酸組成物の重量に基づいてそれぞれ5%以下の割合で添加してもよい。他の添加剤としては、腐食防止剤(例えばアルケニルコハク酸系防錆剤、アルケニルコハク酸のエステル系防錆剤)、清浄剤(例えば、ジブチルアミンのエチレンオキサイド付加物、ブタノールのエチレンオキサイド付加物)、防錆剤(炭素数1〜30の脂肪族アミン、炭素数1〜30の脂肪族アミンの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物など)が挙げられる。
本発明の燃料油用潤滑性向上剤は上記の脂肪酸組成物からなる。
対象となる燃料油は、特に限定されないが、本発明の潤滑性向上剤の潤滑性向上効果が有利に発揮しやすいという観点から、低硫黄燃料油、特に硫黄含量が0.005%以下の燃料油が好ましい。
硫黄含量が0.005%以下の低硫黄燃料油としては、低硫黄原油(たとえば、ミナス原油等南方系の原油)の通常の蒸留で得られるJIS1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特3号軽油;通常の原油から水素化脱硫処理工程を経て製造される脱硫軽油;この脱硫軽油と直留軽油(水素化脱硫工程前の軽油)をブレンドして得られる軽油留分から製造されるJIS1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特3号軽油が挙げられる。
これらのうち特に好ましいのは、水素化脱硫処理工程を経て製造される脱硫軽油を50重量%以上使用して製造されるJIS1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特3号軽油である。
本発明の燃料油組成物は、硫黄含量が0.005%以下の低硫黄燃料油と上記の潤滑性向上剤とからなり、該潤滑性向上剤を通常20〜300ppm、好ましくは30〜250ppm、さらに好ましくは50〜200ppm含有してなる燃料油組成物である。
20ppm以上であれば潤滑性が発揮し易く、300ppm以下であれば添加効率がよいので経済性が優れる。
本発明の燃料油組成物は、ディーゼルエンジンやボイラーなどに使用される硫黄含量が0.005%以下の燃料油(軽油)や、航空機などのジェットエンジン用の燃料油などに好適である。
特に、本発明の潤滑性向上剤は曇点が低いので、冬期のような低温期であっても固化したり、結晶の析出が生じることが少なく、製油所等で軽油等に潤滑性向上剤を添加する際に不具合が生じることが少ない。
また、本発明の潤滑性向上剤は、高級脂肪酸(A)に対する曇点降下剤(B)(特に高分子タイプのポリ(メタ)アクリレート系)の割合が、前述のように少量であっても潤滑性向上効果を発揮できるので、本発明の潤滑性向上剤を含有する燃料油組成物は常温での通油性が悪化するという問題が発生しにくい。
[実施例]
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[曇点降下剤(アルキル(メタ)アクリレート系重合体の合成例)]
合成例1
撹拌装置、加熱装置、温度計、窒素吹き込み管を備えた反応器に、トルエンを28g仕込み系内を窒素雰囲気として85℃まで昇温した。反応器中のトルエンを撹拌しながら、アルキル(メタ)アクリレート混合物250g(ドデシルメタクリレート:テトラデシルメタクリレート:ヘキサデシルメタクリレート:オクタデシルメタクリレート=38:38:12:12重量比の配合物)と、トルエン20gに2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルを1.5g溶解した溶液を、それぞれ別の滴下ロートから反応器に2時間かけて等速度で全量を仕込み、仕込み終了から2時間85℃で重合反応を行なった。反応終了後、130℃でトルエンをトッピング除去し、重合体を得た。これを曇点降下剤(B−1)とした。
合成例2
アルキル(メタ)アクリレート混合物を、ドデシルメタクリレート:テトラデシルメタクリレート:ヘキサデシルメタクリレート:オクタデシルメタクリレート=27:27:23:23重量比の配合物とする以外は、合成例1と同様にして重合を行ない、重合体を得た。これを曇点降下剤(B−2)とした。
合成例3
アルキル(メタ)アクリレート混合物を、ドデシルメタクリレート:テトラデシルメタクリレート:ヘキサデシルメタクリレート:オクタデシルメタクリレート=7:7:43:43重量比の配合物とする以外は、合成例1と同様にして重合を行ない、重合体を得た。これを曇点降下剤(B−3)とした。
合成例4
アルキル(メタ)アクリレート混合物を、ドデシルメタクリレート:テトラデシルメタクリレート:ヘキサデシルメタクリレート:オクタデシルメタクリレート=6:6:18:70重量比の配合物とする以外は、合成例1と同様にして重合を行ない、重合体を得た。これを曇点降下剤(B−4)とした。
合成例5
アルキル(メタ)アクリレート混合物を、ドデシルメタクリレート:テトラデシルメタクリレート:ヘキサデシルメタクリレート:オクタデシルメタクリレート=45:45:5:5重量比の配合物とする以外は、合成例1と同様にして重合を行ない、重合体を得た。これを曇点降下剤(B−5)とした。
合成例6
アルキル(メタ)アクリレート混合物を、オクタデシルアクリレート:エイコシルアクリレート:ドコシルアクリレート=45:10:45重量比の配合物とする以外は、合成例1と同様にして重合を行ない、重合体を得た。これを曇点降下剤(B−6)とした。
合成例1〜6で得られた曇点降下剤(B−1)〜(B−6)の分析値等を表1に示す。
Figure 0004643409
[脂肪酸組成物の調製]
実施例1〜6および比較例1〜5
上記表1の曇点降下剤(B−1)〜(B−6)、下記表2に示した脂肪酸(A−1)〜(A−3)、並びに老化防止剤(C)としての4−モノオクチルジフェニルアミン(連鎖移動定数0.9、SP値9.5)を、下記表3に示した配合組成で配合し、脂肪酸組成物を調製した。
それぞれの脂肪酸組成物の曇点をJISK−2269に準じて測定し、結果を表3に示した。
Figure 0004643409
Figure 0004643409
表3からわかるように、本発明の脂肪酸組成物は曇点が十分低い。
[燃料油組成物の潤滑性]
実施例5〜10および比較例6〜10
燃料油組成物の潤滑性は、通常の摩擦摩耗評価のテーブル試験法(例えば、ファレックスブロックオンリング摩擦・摩耗試験機を用いた試験、BOCLE試験機を用いた試験(ASTM D5001)、SRV試験機(独国 オプチモル社製)を用いた試験、ディーゼル燃料油の潤滑性評価のために開発されたHFRR試験等)により評価できる。
これらの試験法のうち、特に、HFRR試験(英国PCSインスツルメンツ社製)による評価が実際の燃料ポンプの摩耗と相関が高いため、この試験機を用いる評価方法で評価した。
HFRR試験に供した試験油は、脂肪酸組成物(=潤滑性向上剤)を、硫黄含量0.001重量%のJIS2号軽油相当のディーゼル燃料油に所定量添加して溶解させたものを使用し、HFRR(High−Frequency Reciprocating Resistance)を測定した。その結果を表4に示す。なお、脂肪酸組成物未添加の該ディーゼル燃料油のHFRRは550である。
Figure 0004643409
表4からわかるように、本発明の燃料油組成物は従来と同等の低いHFRR値を示すことから十分な潤滑性を示していることがわかる。
本発明の脂肪酸組成物は低硫黄燃料油用の潤滑性向上剤として有用である。

Claims (8)

  1. 脂肪酸(A)および曇点降下剤(B)を含有し、示差走査熱量計により測定される(
    A)の結晶化開始温度(ta)および示差走査熱量計により測定される(B)の結晶化開
    始温度(tb)が式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする脂肪酸組成物からなる燃料
    油用潤滑性向上剤
    10℃ ≧ ta≧ −20℃ (1)
    20℃ ≧ tb≧ −10℃ (2)
    ta+20℃ ≧ tb≧ ta−10℃ (3)
  2. 脂肪酸(A)の溶解度パラメーターが8.0〜9.6、HLB値が0.5〜1.7、
    分子量が200〜350、酸価が150〜250、およびヨウ素価が60〜188である
    請求項1記載の脂肪酸組成物からなる燃料油用潤滑性向上剤
  3. 脂肪酸(A)が、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸からなる群から選ばれる
    2種以上の脂肪酸を含有する混合物である請求項1または2記載の脂肪酸組成物からなる
    燃料油用潤滑性向上剤
  4. 曇点降下剤(B)が、炭素数1〜40のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリ
    レート(a)を必須構成単量体としてなる重合体(B1)であって、該(B1)の重量に
    基づく該(a)の重量百分率が20〜100重量%である請求項1〜3のいずれか記載の
    脂肪酸組成物からなる燃料油用潤滑性向上剤
  5. 曇点降下剤(B)の溶解度パラメーターが8.8〜10.5、HLB値が0.5〜9
    .6、および重量平均分子量が3,000〜600,000である請求項1〜4のいずれ
    か記載の脂肪酸組成物からなる燃料油用潤滑性向上剤
  6. (A)/(B)の重量比が(99.99〜96)/(0.01〜4)である請求項1
    〜5のいずれか記載の脂肪酸組成物からなる燃料油用潤滑性向上剤
  7. さらに、連鎖移動定数が0.001〜100および溶解度パラメーターが8〜12で
    あるジフェニルアミン系化合物からなる老化防止剤(C)を含有してなる請求項6記載の
    脂肪酸組成物からなる燃料油用潤滑性向上剤
  8. 硫黄含量が0.005重量%以下の低硫黄燃料油と請求項1〜7のいずれかに記載の
    潤滑性向上剤とからなり、該潤滑性向上剤を20〜300ppm含有してなる低硫黄燃料
    油組成物。
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