JP3665497B2 - 燃料油用潤滑性向上剤及び燃料油組成物 - Google Patents

燃料油用潤滑性向上剤及び燃料油組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料油添加剤及び燃料油組成物に関し、特に軽油の潤滑特性を向上させ、かつ燃料噴射ポンプの摩耗防止に有効で、さらに、低温特性、酸化安定性の優れた燃料用添加剤、及び燃料油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題への関心の高まりから、世界各国でディーゼル車の排ガス規制の強化と共に軽油中の硫黄含有量の低減が進められている。日本では1997年10月から硫黄含量が0.05重量%以下に規制強化された。その為、軽油基材について深度脱硫を行わなければならず、この過程において軽油中の潤滑性物質が一緒に除去され、潤滑性能が低下する事が知られている。ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプは軽油によって潤滑を行っているため、このような潤滑性の低下した軽油を使用すると、燃料噴射ポンプの異常摩耗、エンジンの回転不良などが起こるという事例が欧米諸国から報告されている。このような軽油の潤滑性低下に対して、ディーゼルエンジンの部品面からも対応されているが、燃料面からの対応も要求され、検討が行なわれてきた。その結果、現在のところ、軽油に摩耗防止剤が添加されている。例えば、特定のエステル化合物系添加剤[国際公開第94/1760号パンフレット(1994)等]や、特定の酸化合物系添加剤(特開平10−110175号公報等)が開示されている。しかしエステル化合物系添加剤は、十分な摩耗防止性を発現せず、又、酸化合物系添加剤は、低温特性、酸化安定性に問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記観点から、特に硫黄含量が低減された軽油であっても、低添加量で優れた潤滑性能が維持され、ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプにトラブルを起こすことがない添加剤、及び、この添加剤を添加した燃料油組成物が必要とされている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこの課題を解決するために、硫黄含量が0.05重量%以下の低硫黄軽油に対して現在使用されている摩耗防止剤よりも低添加量で優れた潤滑性能を付与する添加剤、及び燃料油組成物について鋭意検討した結果、本発明にいたった。
【0005】
すなわち本発明は、溶解性パラメーター(SP値)が8.5〜10.0、HLB値が0.5〜9.6、分子量が120〜750、水酸価が75〜450、流動点が−5℃以下であるモノ水酸基含有化合物(A)を必須成分とする、硫黄含量が0.05重量%以下の低硫黄燃料油用潤滑性向上剤;及び硫黄含量0.05重量%以下の低硫黄燃料油と該潤滑性向上剤とを含有し、該潤滑性向上剤が燃料油に対し20〜750ppmである燃料油組成物である。
【0006】
【発明の実施形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。本発明においてHLB値はグリフィンのHLB(「新・界面活性剤入門」三洋化成工業株式会社発行P128)によって算出される値であり、溶解度パラメーター(SP値)はFedors法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]によって算出される値、連鎖移動定数はスチレンに対する60℃における値である。
【0007】
モノ水酸基含有化合物(A)のSP値は、通常8.5〜10.0であり、好ましくは8.7〜9.6である。HLB値は、通常0.5〜9.6であり、好ましくは0.8〜6.5である。分子量は通常120〜750であり、好ましくは250〜650である。水酸価は通常75〜450であり、好ましくは90〜375である。流動点は通常−5℃以下であり、好ましくは−7.5℃以下である。これらの物性値のすべてを満足しない場合、低温流動性の不良、燃料に対する溶解性の不良、添加剤の酸化安定性の不良、金属表面への吸着力の不都合、抗乳化性の悪化、水の抱きこみ性の進行、防錆性の低下などの問題が起こり、好ましくない。
【0008】
モノ水酸基含有化合物(A)としては、モノアルコール、モノフェノールが挙げられる。これらのうち好ましくはモノアルコールである。
モノフェノールとしたは、例えばノニルフェノール、ジノニルフェノール、オクチルフェノール等のアルキルフェノール等が挙げられる。
モノアルコールとしたは、例えば、飽和アルキルモノアルコール(炭素数6〜12の飽和アルキルアルコール、炭素数1〜22の飽和アルキルアルコールのアルキレレンオキサイド付加物等)、モノ不飽和アルキルモノアルコール(ツズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、の還元アルコール、及び、これらのアルキレレンオキサイド付加物等)、ジ不飽和アルキルモノアルコール(ソルビン酸、リノール酸、トランス−2、シス−4−デカジエン酸、トランス−10、トランス−12−オクタデカジエン酸、の還元アルコール、及び、これらのアルキレレンオキサイド付加物等)、トリ不飽和アルキルモノアルコール(ヒラゴ酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、プニカ酸、リノレン酸、γ−リノレン酸、ドコサトリエン酸、エイコサトリエン酸、の還元アルコール、及び、これらのアルキレレンオキサイド付加物等)、テトラ不飽和アルキルモノアルコール(モノクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、の還元アルコール、及び、これらのアルキレレンオキサイド付加物等)、ペンタ不飽和アルキルモノアルコール(エイコサペンタエン酸、イワシ酸、の還元アルコール、及び、これらのアルキレレンオキサイド付加物等)、飽和アルキルモノカルボン酸のアルキレンオキサイド化合物(酢酸、ブチルカルボン酸、オクチルカルボン酸、2−エチルヘキシルカルボン酸、デシルカルボン酸、ドデシルカルボン酸、トリデシルカルボン酸、テトラデシルカルボン酸、ペンタデシルカルボン酸、ヘキサデシルカルボン酸、オクタデシルカルボン酸のアルキレレンオキサイド付加物等)、モノ不飽和アルキルモノカルボン酸のアルキレンオキサイド化合物(ツズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸のアルキレレンオキサイド付加物等)、ジ不飽和アルキルモノカルボン酸のアルキレンオキサイド化合物(ソルビン酸、リノール酸、トランス−2、シス−4−デカジエン酸、トランス−10、トランス−12−オクタデカジエン酸のアルキレレンオキサイド付加物等)、トリ不飽和アルキルモノカルボン酸のアルキレンオキサイド化合物(ヒラゴ酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、プニカ酸、リノレン酸、γ−リノレン酸、ドコサトリエン酸、エイコサトリエン酸アルキレレンオキサイド付加物等)、テトラ不飽和アルキルモノカルボン酸のアルキレンオキサイド化合物(モノクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸のアルキレレンオキサイド付加物等)、ペンタ不飽和アルキルモノカルボン酸のアルキレンオキサイド(エイコサペンタエン酸、イワシ酸のアルキレレンオキサイド付加物等)が挙げられる。
【0009】
これらのモノアルコールのうち、好ましくは潤滑特性、低温特性の点から、下記一般式(1)で表されるモノアルコールである。
一般式
R−(CO)m−(OA)n−OH (1)
[式中、Rは炭素数1〜18の炭化水素基、Aは2〜20の2価炭化水素基である。mは0又は1の数、nは1〜10の数である。]
Rは炭素数1〜18の炭化水素基であり、好ましくは炭素数4〜18の飽和アルキル基(例えば、ブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基)である。
Aは2〜20の2価炭化水素基であり、具体的にはOA基として炭素数2〜20のアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1−ブテンオキサイド、2ブテンオキサイド、炭素数5〜12のα-オレフィンオキサイド、トリメチルエチレンオキサイド、テトラメチルエチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α-メチルスチレンオキサイド、1,1-ジフェニルエチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン)の開環した残基である。好ましくはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1−ブテンオキサイド、2ブテンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランの開環付加反応した残基である。アルキレンオキサイドは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。2種以上を併用し付加した場合、ランダム状付加でも良いし、ブロック状付加でも良い。
上記モノ水酸基含有化合物は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0010】
酸化安定性をさらに向上させる場合、老化防止剤(B)を併用することは、有用である。老化防止剤(B)については、特に限定されないが、(B)のスチレンに対する60℃における連鎖移動定数は、酸化安定性の点から、通常0.001〜100であり、好ましくは0.01〜60である。SP値は、溶解性の点から、通常8.0〜12.0であり、好ましくは8.5〜11.0である。
【0011】
老化防止剤(B)としては、アミン系化合物、キノリン系化合物、フェノール系化合物、その他の化合物などが挙げられる。
アミン系化合物の具体例としては、ナフチルアミン系化合物{フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミンなど}、ジフェニルアミン系化合物{p−(p−トルエン・スルホニルアミド)−ジフェニルアミン、4,4’−(α、α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、ジフェニルアミンとアセトンの反応品、ジフェニルアミンとアニリンとアセトンの反応品、ジフェニルアミンとジイソブチレンの反応品、オクチル化ジフェニルアミン、ジオクチル化ジフェニルアミン、p、p’−ジオクチル・ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミンの混合物、置換ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミンの混合物、アラルキル化ジフェニルアミンによるアルキル及びアラルキル置換フェノールの混合物、ジフェニルアミン誘導体など}、p−フェニレンジアミン系化合物{N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルへプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミンなど}、ヒンダードアミン系化合物{ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体など}などが挙げられる。
キノリン系化合物の具体例としては、ヒドロキノリン系化合物{ヒドロキノン−モノメチルエーテルなど}、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが挙げられる。
フェノール系化合物の具体例としては、モノフェノール系化合物[ブチルヒドロキシアニソール、スチレン化フェノール、アルキル化フェノールなど]、ビスフェノール系化合物{2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、アルキル化ビスフェノールなど}、ヒンダードフェノール系化合物{1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三−ブチルフェニル)ブタン、ヒンダードビスフェノールなど}などが挙げられる。
その他のものの具体例としては、サリチル酸誘導体[フェニルサリシレート、p−第三−ブチルフェニルサリシレートなど]、ベンゾフェノン系化合物{2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど}、ベンゾトリアゾール系化合物{ベンゾトリアゾール誘導体など}などが挙げられる。
(B)のうち、好ましくはアミン系化合物であり、特に好ましくはジフェニルアミン系化合物である。
【0012】
(B)の使用量についても特に限定されないが、潤滑性向上剤の劣化防止の点、及び、経済性の点から好ましくは(A)/(B)の重量比としては1/0.5〜1/0.0001である。
【0013】
本発明の燃料油組成物は、各機能に応じて以下のものを添加してもよい。
例えば、防錆性を付与したい場合には、防錆剤を添加することができ、防錆剤(C)の具体例としては、炭素数1〜30の脂肪族アミン、炭素数1〜30の脂肪族アミンの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
炭素数1〜30の脂肪族アミンの具体例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミンなどが挙げられる。
炭素数1〜30の脂肪族アミンの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、エチルアミンのエチレンオキサイド付加物、エチルアミンのプロピレンオキサイド付加物、エチルアミンのブチレンオキサイド付加物、ドデシルアミンのエチレンオキサイド付加物、ドデシルアミンのプロピレンオキサイド付加物、ドデシルアミンのブチレンオキサイド付加物、オレイルアミンのエチレンオキサイド付加物、オレイルアミンのプロピレンオキサイド付加物、オレイルアミンのブチレンオキサイド付加物、モノエタノールアミンのブチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0014】
本発明の燃料油用潤滑性向上剤には低温流動性を向上させる効果も有するが、さらに低温流動性が必要な場合には流動点降下剤を添加でき、流動性向上剤(D)の具体例としては、EVA(エチレン酢酸ビニル)系流動点降下剤、ASA(アルケニルコハク酸)系流動点降下剤、PMA(ポリメタクリレート)系流動点降下剤などが挙げられる。
EVA系流動点降下剤の具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体のフマル酸エステルグラフト物、エチレン−酢酸ビニル共重合体のマレイン酸エステルグラフト物、エチレン−酢酸ビニル−ベヘン酸ビニル3元共重合体、エチレン−酢酸ビニル−ベヘン酸ビニル3元共重合体のフマル酸エステルグラフト物、エチレン−酢酸ビニル−ベヘン酸ビニル3元共重合体のマレイン酸エステルグラフト物、エチレン−カルボン酸共重合物などが挙げられる。
ASA系流動点降下剤としてはアルケニル基の炭素鎖長が8〜50のアルケニルコハク酸アミドなどが挙げられる。
PMA系流動点降下剤の具体例としては、アルキル基の炭素数が12〜30のポリアルキルメタクリレート、アルキル基の炭素数が12〜30のアルキルメタクリレート−スチレン共重合物などが挙げられる。
【0015】
腐食防止性を付与する場合には腐食防止剤(例えばアルケニルコハク酸系防錆剤、アルケニルコハク酸のエステル系防錆剤)、清浄性を付与する場合には清浄剤(例えば、ジブチルアミンのエチレンオキサイド付加物)を添加してもよい。
【0016】
本発明における硫黄含量が0.05重量%以下の低硫黄燃料油の具体例としては、低硫黄原油(たとえば、ミナス原油等南方系の原油)の通常の蒸留で得られるJIS1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特3号軽油;通常の原油から水素化脱硫処理工程を経て製造される脱硫軽油;この脱硫軽油と直留軽油(水素化脱硫工程前の軽油)をブレンドして得られる軽油留分から製造されるJIS1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特3号軽油が挙げられる。特に好ましくは、水素化脱硫処理工程を経て製造される脱硫軽油を50重量%以上使用して製造されるJIS1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特3号軽油である。
【0017】
0.05重量%以下の低硫黄燃料油中に含まれる本発明の潤滑性向上剤は通常20〜750ppm、好ましくは30〜500ppm、さらに好ましくは50〜300ppmである。20ppm未満では潤滑性が不十分であり、750ppmを越えると添加効率が悪くなり経済性が損なわれる。
【0018】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
ディーゼル燃料油の潤滑性は、通常の摩擦摩耗評価のテーブル試験法、例えばファレックスブロックオンリング摩擦・摩耗試験機を用いた試験、BOCLE試験機を用いた試験(ASTM D5001)、SRV試験機(独国 オプチモル社製)を用いた試験、ディーゼル燃料油の潤滑性評価のために開発されたHFRR試験等により評価できる。特に、HFRR試験(英国PCSインスツルメンツ社製)による評価が実際の燃料ポンプの摩耗と相関が高いため、この試験機を用いて評価した。
【0020】
燃料油組成物の水分離性および抗乳化性は、JIS K 2276「航空燃料油試験方法」の水溶解度試験方法により、評価できる。JIS K 2276に記載されているように、100mlの栓付きメスシリンダーに試料80ml、緩衝液20ml取り、所定の条件で振り混ぜ、静置後の緩衝液部分の容量変化および界面の状態、分離状態を表1、表2に従い評価した。
【0021】
【表1】
Figure 0003665497
【0022】
【表2】
Figure 0003665497
【0023】
ディーゼル燃料油の酸化安定性試験はISOT試験機を用いて行うことができ、実車におけるエンジン付着物の有無を表3に従って相対比較した。
【0024】
【表3】
Figure 0003665497
【0025】
添加剤の防錆性はJIS K 2510 錆止め試験法によって行った。
評価は表4にしたがって行った。
【0026】
【表4】
Figure 0003665497
【0027】
添加剤の低温特性は、−5℃×4日後の流動性を評価した。
評価は表5にしたがって行った。
【0028】
【表5】
Figure 0003665497
【0029】
実施例で使用する添加剤(S1〜S6)で使用する添加剤の組成比を表6に示す。{}内の数値は添加剤に占める質量%を示す。又、比較例で使用する添加剤を表7に示す。
【0030】
【表6】
Figure 0003665497
【0031】
【表7】
Figure 0003665497
【0032】
実施例1〜7
硫黄含量0.05重量%のJIS2号相当のディーゼル燃料油に、S1〜S3を100〜300ppm溶解させ、表8のように実施例1〜5の燃料油を作成した。得られた燃料油はいずれも透明で、カスミ等は確認されなかった。8種の燃料油について、温度60℃、ストローク長1mm、周波数50Hz、時間75分の条件でHFRR摩耗試験を行い、摩擦係数および摩耗痕の大きさを測定した。また、同じく得られた燃料油についてJIS K 2776に記載の水溶解度試験方法に従い、水分離性と抗乳化性を評価した。さらにISOT試験(120℃、700rpm、8時間)による酸化安定性とJIS K 2510の錆止め試験による防錆性を測定した。この評価結果を表9に示す。
【0033】
比較例1〜3
実施例と同様にR1〜4のそれぞれを300ppmの濃度で溶解させ比較例1〜4の燃料油を作成し、HFRR法による摩耗試験およびJIS K 2776による水溶解度試験による、水分離性を評価した。さらにISOT試験(110℃、700rpm、8時間)による酸化安定性とJIS K 2510の錆止め試験による防錆性を測定した。あわせて、なにも添加しないディーゼル燃料油のみのブランク試験も行った。この評価結果を表9に示す。
【0034】
【表8】
Figure 0003665497
【0035】
【表9】
Figure 0003665497
【0036】
【発明の効果】
本発明の燃料油添加剤および燃料油組成物は従来の添加剤と比較して優れた潤滑性を発揮すると同時に、低温特性、酸化安定性、水分離性、防錆性の面でも優れた性能を発揮している。

Claims (5)

  1. 溶解性パラメーター(SP値)が8.5〜10.0、HLB値が0.5〜9.6、分子量が120〜750、水酸価が75〜450、流動点が−5℃以下であるモノ水酸基含有化合物(A)を必須成分とする、硫黄含量が0.05重量%以下の低硫黄燃料油用潤滑性向上剤。
  2. (A)が一般式(1)で表されるモノ水酸基含有化合物である請求項1記載の燃料油用潤滑性向上剤。
    一般式
    R−(CO)m−(OA)n−OH (1)
    [式中、Rは炭素数1〜18の炭化水素基、Aは炭素数2〜20の2価炭化水素基である。mは0又は1の数、nは1〜10の数である]
  3. さらに老化防止剤(B)を含有してなる請求項1又は2記載の燃料油用潤滑性向上剤。
  4. (B)の連鎖移動定数が0.001〜100であって、アミン系化合物、キノリン系化合物、フェノール系化合物の群から選ばれる1種以上の化合物である請求項1〜3のいずれか記載の燃料油用潤滑性向上剤。
  5. 硫黄含量0.05重量%以下の低硫黄燃料油と請求項1〜4いずれか記載の潤滑性向上剤とを含有し、該潤滑性向上剤が燃料油に対し20〜750ppmである燃料油組成物。
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